資料1 環境にやさしい内航船に向けた JRTTの技術的取り組みについて 独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 本日の講演内容 1.内航船・共有船の概況 2.環境負荷低減への取り組み (1)環境負荷低減技術の開発 ・スーパーエコシップ ・先進二酸化炭素低減化船 ・高度船舶技術の実用化助成 (2)調査研究 (3)その他 1 内航海運の概況 ● 内航海運は国内物流の約4割を担い、鉄鋼・石油・セメント等 産業基礎物資の約8割を輸送する重要な物流産業。 ● 内航海運事業者の99.6%が中小企業。 2 内航船と中小造船所の状況 ● 内航船の老齢船比率(船齢14年以上の船舶が占める割合)は、 平成24年度で74%。 ● 建造量の低迷。中小造船所の開発ポテンシャルが課題。 内航船の船齢構成の推移 船種別新造船隻数の推移 3 内航海運を取り巻く状況 ・ ・ ・ ・ 燃料油価格の高騰 CO2 削減の社会的要請 排ガス規制強化 船員の労働・居住環境の改善 【NOx規制】 20 NOx規制値(g/kWh) 18 16 現行規制 14 2次規制(2011年)現行比約20%削減 12 10 8 6 3次規制(2016年)現行比80%削減 4 2 0 0 【SOx規制】 ⇒PPTへのグラフ掲載 【内航燃料油価格の推移】 指定海域 一般海域 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 機械回転数(rpm) 2010年7月 2012年 2015年 1.5% 4.5% 2020年or 2025年 ※ 0.1% 1.0% 3.5% 0.5% 4 機構の役割 ● 機構は低利・長期資金の供給及び技術支援を通じ政策課題 に対応した船舶の建造を促進。 ・ 過去5年の共有船建造実績は年30隻、300億円規模。 ・ H25年度は事業予算額を303億円から568億円に増額。 ● 旅客船の58%、貨物船の47%が共有船(総トン数ベース)。 【近年の共有船建造実績】 5 本日の講演内容 1.内航船・共有船舶の概況 2.環境負荷低減技術への取り組み (1)環境負荷低減技術の開発 ・スーパーエコシップ ・先進二酸化炭素低減化船 ・高度船舶技術の実用化助成 (2)調査研究 (3)その他 6 SESの建造実績 ● 機構は国土交通省と連携して平成17年度からSESの建造を促進 ● これまでに竣工したSESは合計23隻(旅客船2隻、貨物船21隻) 推進方式 船 一般貨物船 499GT型 「新衛丸」 油タンカー 749GT型 「なでしこ丸」 「東亜丸」 ラインシャフト CRP H24.12就航! ケミカルタンカー 種 セメント船 499GT型 「第五日光丸」 「のじぎく」 「第三ほうりん」 「豊和丸」 「ろっこう」 「第五豊晃丸」 749GT型 「海光丸」 「鶴洋丸」 「やまゆり」 「北斗丸」 LPG船 旅客船 749GT型 「第十いづみ丸」 5700GT型 「パシフィック ブリーズ」 1000GT型 「国朋丸」 ポッド H24.10就航! 749GT型 「安鷹」 『SES2番船』 の建造決定! 1300GT型 「桜島丸」 「松涛丸」 タンデムハイブリッド 4675GT型 「北翔丸」 2軸CPP マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー 2012、シップ・オブ・ザ・イヤー2012 小型貨物船部門賞をW受賞! 15000GT型 「興山丸」 250GT型 「みやじま丸」 H25.3起工! 5700GT型 「橘丸」 749GT型 「新進丸」 ・・・建造中SES 7 最近のSESの状況 ・ ・ ・ ・ 平成24年は新形式2軸型SESの1番船「新進丸」を含む3隻のSESが竣工。 「新進丸」は「マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2012」などを受賞。 現在、「橘丸」(タンデムハイブリット方式)が建造中。 今年9月には、鹿児島市のSES2番船(ポッド方式)の建造が決定。 ○新形式2軸型SES 第1船「新進丸」について 平成24年6月 竣工 船主 オペレータ 建造造船所 船種 総トン数 積載量 株式会社日隆 鉄道・運輸機構 JFE物流株式会社 有限会社福島造船鉄工所 液体化学薬品ばら積船 (IMO TYPEⅡ) 749トン 約1,500 トン (貨物倉容積:1,500 m3) 常用航海速力 12.0 ノット ・建造コスト差を在来船比10%以内に低減。 「橘丸」の起工(H25年3月) 船主 :東海汽船株式会社、鉄道・運輸機構 船種 :貨客船 推進方式:タンデムハイブリッド 総トン数 :約5,730トン Lpp×B×D:109.2m×17.0m×8.95/6.50m 旅客定員:八丈島まで(近海区域)約600人 御蔵島まで(沿海区域)約1,000人 載貨重量:約1,200トン 推進機関:〔前〕4,350kw(ディーゼル主機関、CPP) 〔後〕1,500kw(アジマス電動機、FPP) 進水予定:H25.11 竣工予定:H26.6 航海速力:19.0kt 竣工実績(H24年度) ・省エネ性能は、海上試運転の結果、在来船比で 約10%の燃費改善。 平成24年度中に3隻が竣工。 これまで建造されたSESは 23隻となった。 外部からの評価 ・新形式2軸型SES第1船「新進丸」 ・ラインシャフトCRP方式SES 499GT型ケミカルタンカー7番船 「やまゆり」 ・ポッド方式SESセメント船2番船「松涛丸」 ・新形式2軸型SES「新進丸」は、「マリンエンジニアリング ・オブ・ザ・イヤー2012」及び「シップオブザイヤー2012小型 貨物船部門賞」を同時受賞。 8 SESのメリット • 燃料消費量が少ない。 在来船比10%~30%削減 出入港時も省エネ • (CO2,NOx,SOx)排出量低減。 • 船員室、客室が静粛(騒音、振動)。 5~10dB低下 CO2,SOx 在来船比10~30%削減 NOx 在来船比20~40%削減 国際的にも騒音低減化の動き • デッドシップの心配がない。 安全性向上 • 港内操船性が高い。 出入港時間短縮、タグボート不要 (ポッド方式、タンデムハイブリッド方式) • 機関部作業が軽減。 • 電動荷役で荷役作業が低減。 • 潤滑油消費量が少ない。 機関部職員低減制度 省エネ、環境負荷、船内環境等に優れた性能 9 「橘丸」の建造 何故SES(タンデムハイブリッド)を選んだか? ①環境負荷低減 ⇒省エネ船型の実現 ◎ 1軸船型を採用し付加物抵抗減による大幅な省エネ ⇒各モードでの省エネの実現 ◎ 航海モード :航海中は前後の推進器にて運転 (二重反転効果) ◎ 低速航行モード:浦賀水道(12kt航行区域)ではCPPのみで 運転(燃費率のよい低速主機関での運転) ②快適性の向上 ⇒電気推進等による低騒音・低振動の実現 ③安全性・就航率の向上 ⇒従来のCPPとバウスラスタに加え、アジマスをスタンスラスタと して使用することにより、安全かつ迅速な離着桟作業の実現。 離島への就航率を向上。 10 鹿児島市SES2番船の建造計画 何故SESを連続建造するのか? ①「桜島丸」の実績及び高評価 ⇒省エネの実現 ◎ 省エネ効果は、海上試運転で9%。就航後の実績でもこの効果を証明。 ⇒低騒音・低振動の実現 ◎ 客室で59~67dB 快適性を求め「桜島丸」を指定して乗船する乗客も。 (参考)60dB;静かな乗用車 普通の会話 ②新造船の基本コンセプトにべストマッチ ⇒基本コンセプト ◎ 環境にやさしく、経済的で、バリアフリーに配慮した利用者に親しまれる船 11 鹿児島市SES2番船の建造計画 竣工予定:H27.2 推進方式:CRPポッド 総トン数 :約1,250トン Lpp×B×D:52.0m×13.5m×4.00m 推進機関:CRPポッド2基(FPP) 推進用電動機:500kw×4(電動機2基で1基のポッドを駆動) 航海速力:11.0kt 12 今後のSESへの取り組み ・20隻を超えるSESが就航。省エネなどSESの効果は定着しつつある。 ・今後は、真に市場に定着したSESの実現と普及を目指す。 ・そのための課題は、 (1)実運航、中長期利用の中での検証。 (2)市場で受入れやすいコスト(船価)に向けた更なる合理化。 1.SESの運航 ・SESを運航して 2.保守管理費低減に向けた合理化 ・二重反転プロペラ(CRP)の検査の合理化 3.2軸型SES ・2軸型SESの運航 ・2軸型SESの建造費低減に向けた検討 13 SESを運航して(所有者:国鵬汽船㈲様、運航管理者:豊晃海運㈲様) 船員様のコメント(竣工して6年が経過しているが、竣工当時と変わりなく運航できている。) ・日常の保守点検は海水ラインのストレーナーの清掃及びG/Eの燃料弁の清掃程度。 ・今の機関室スペースで日常作業に特に問題はない。 ・警報がでたときはマニュアル通りに対応する。自分の判断であれこれいじるとトラブルのもとになる。 船 名 / 所有者 総トン数 / 船種 /船級 / 竣工 検査日 中 間 検 査 工 事 内 容 定 期 検 査 工 事 内 容 補 修上 工記 事以 内外 容の 発電機用原動機 発電機、推進用電動機 CRP CRP周辺機器(ポンプ類) ギアボックス インバーター盤、変圧器、制動抵抗器 配電盤 検査日 発電機用原動機 第五日光丸17T02 / 国鵬汽船有限会社 499トン / 液体化学薬品ばら積み船兼油タンカー / JG / 2007/5/31 2010/1/30 #1#2#3カバー整備、#1#2#3各2気筒ピストン抜き、#1#2#3T/C,I/C整備、 #1#2#3オイル取替え なし なし CRP関係クーラー開放、チューブ突き掃除 点検孔開放の上、内部点検 なし メガーテスト 2012/5/29 #1#2#3カバー整備、#1#2#3ピストン抜き、#1#2#3ライナー2本抜き出し、#1#2#3T/C,I/C整 備、#1#2#3メタル点検、#1#2#3オイル取替え、#1#2#3リーマーボルト取替え 発電機 なし CRP 軸抜き開放、ボンディング取替え、スラストメタル交換 CRP周辺機器(ポンプ類) クーラー関係チューブ突き掃除 インバーター盤 冷却ファンのベアリングを全数取替え、リモコンチェック 配電盤 メガーテスト 検査日 2013/9/2 発電機用原動機 運転時間に応じた開放整備工事 発電機、推進用電動機 なし CRP 二重反転装置のオイルの分析に水分を検出したため、全量取替 CRP周辺機器(ポンプ類) クーラー関係チューブ突き掃除 ギアボックス なし インバーター盤、配電盤、変圧器、制動抵抗器 なし 14 二重反転プロペラの予防保全方式 ○予防保全の導入実績(共有船) 船名 船級 新衛丸 JG 第五日光丸 JG 第十いづみ丸 NK パシフィックブリーズ NK やまゆり NK 竣工 H19.2 H19.5 H22.10 H22.11 H24.12 予防保全開始時期 H23.11 H24.5 H22.10 H22.11 H24.12 この他に1隻が申請中。 ○二重反転プロペラ軸を搭載する既存船の予防保全管理について ・JG船では、上記予防保全管理の承認にあたり、軸抜き等の軸の状態確認が行われたが、下記を条 件に軸抜きを行わない状態での導入が考慮されることとなった。 1.以下を条件に予防保全管理を開始する。 ①新造又は前回の軸の抜き出しから5年目の検査時を目処に以下を実施する。 ・「鉄粉濃度計測器」、「二重反転軸の潤滑油取り出しコック」の設置、及び、 「管理マニュアル」の整備。 ・上記の機器設置、管理マニュアルについて、受検地を管轄する運輸局・支局の承認を受ける。 ②上記①実施後の本来軸抜きが必要となる検査時(以下「検査時」という。)において、適切に予防保 全管理が行われていること及び不具合等の発生がないことにつき船舶検査官による確認を受ける。 (※)「本来軸抜きが必要となる検査時」:新造又は前回の軸の抜き出しから8年目。 2.検査時において、船舶検査官による上記1.②の予防保全管理状況についての確認を受けた場合 は予防保全管理が継続される。 15 2軸型SESの建造コスト低減に向けた検討 以下の変更により建造コストを更に削減できる可能性が有る。 ○標準仕様への変更 ・カーゴラインのSUS管を鋼管に変更 ・バラストタンク内塗装を耐熱塗料から通常型塗料に変更 ○スケグ形状の変更(スケグ部分の幅を広げることによる工数減) ○新しい始動方式の採用によるG/Eの出力・台数の変更 ・主発電機を3台から2台へ削減 (参考)発電機運転台数について(2軸SESの24年度調査報告書) ・就航したH24.6.29~H2412.31の主発電機の運転時間 1号機:2,588HR 2号機:1,909HR 3号機:242HR ○バウスラスタの削減又は小容量化 16 本日の講演内容 1.内航船・共有船舶の概況 2.環境負荷低減技術への取り組み (1)環境負荷低減技術の開発 ・スーパーエコシップ ・先進二酸化炭素低減化船 ・高度船舶技術の実用化助成 (2)調査研究 (3)その他 17 在来型省エネ船の開発 ・平成22年海上労働条約を先取りし、かつ、CO2排出を削減した先進二酸化 炭素低減船「山鋼丸」を山中造船㈱様と共同開発 ⇛ 既に5隻が竣工 先進二酸化炭素低減化船 第1番船「山鋼丸」 第1番船 「山鋼丸」の主要目 用 途 貨物船 就航年月 平成22年11月 航行区域 沿海区域 長さ×幅×深さ 69.00×12.00×7.12m 総トン数 498トン • 居室床面積及び天井高さを拡大し、 載貨重量 1,710トン • ILO海上労働条約に対応 航海速力 13.0ノット • 90年代船と比較して、トンマイル当たり の二酸化炭素排出量を19%低減 • 貨物艙容積を確保するためエラ船型を 採用 【先進二酸化炭素低減船の実績】 ●機構開発船型(船主/建造造船所)(竣工) 1. 2. 3. 4. 5. 山鋼丸(山中造船/山中造船)(H22.11) みつひろ7(三原汽船/山中造船)(H23.3) 大隆邦(中松海運/山中造船)(H23.8) 千勝丸(勝丸海運/山中造船)(H23.6) 太栄丸(栄吉海運/山中造船)(H25.4) 18 在来型省エネ船の開発 ● 在来型の省エネ船の開発支援 ・90年台初頭と比べてCO2 排出量が16%以上少ない船について、水槽試験 で性能を確認し、「先進二酸化炭素低減船」として認定 ⇛ 金利を軽減 ・内航船造船事業者の自主船型開発について、高度船舶実用化助成制度で 水槽試験の費用を助成して支援 ・平成25年は新たに5,000kl型白油タンカーと7,000DWT型セメント船を認定 【先進二酸化炭素低減船の認定・支援スキーム】 水槽試験の実施 水槽試験費用 の助成 建造船のCO2排出量の算定 CO2排出量を基準船と比較 「先進二酸化炭素低減化船」に使用される新船型の開発のための水 槽試験費(上限500万円) 先進的な省エネデバイス(二重反転プロペラ、空気潤滑システムなど) 搭載船の船型を検討する場合の数値流体力学解析(CFD)費 (水槽試験とあわせて上限1,000万円) スーパーエコシップ・ 先進二酸化炭素低減化船 △0.3% 高度二酸化炭素低減化船 △0.2% ●造船所開発船型(船主/建造造船所)(竣工) 金利の優遇 「先進二酸化炭素低減化船」として認定 ● 造船所開発船型(船主/建造造船所)(竣工) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 光翔丸(吉祥海運/渡邉造船所)(H23.11) 第三十八三晃丸(三晃海運/徳岡造船)(H24.2) 第五進康丸(泊洋汽船/中之島造船所)(H24.4) 未定(未定/村上造船所)(未定) 第八新江丸(新洋海運/小池造船海運)(H25.3) 第二十七徳丸(松岡船舶/徳岡造船)(H25.5) HKL まや(兵機海運/中之島造船所)(H25.3) 未定(邦洋海運・旭タンカー/熊本ドック)(H26.3予定) 未定(アジアパシフィックマリン・ジェネック/三浦造船所)(H26.1予定) 19 本日の講演内容 1.内航船・共有船舶の概況 2.環境負荷低減技術への取り組み (1)環境負荷低減技術の開発 ・スーパーエコシップ ・先進二酸化炭素低減化船 ・高度船舶技術の実用化助成 (2)調査研究 (3)その他 20 高度船舶技術実用化助成制度 助成対象技術 ● 実用化されておらず、基礎的な技術開発が終了しているもの ● 内航船への使用が見込まれるもの ● 環境負荷低減、内航海運の効率化等に資するもの 助成対象経費 高度船舶技術を用いた船舶、船舶用機関及び船舶用品について、以下の経費を助成 ● 実用化設計費 当該技術を実用化するための設計に必要な経費 ⇒ 設計者の直接人件費、外注費等の経費。 ※ 2番機(船)でも必要とされる設計に要する経費は、原則対象外 ● 初期故障対応費 当該技術に係る初期故障を修理するために必要な経費 ※ 原因究明又は再発防止対策を講じるために必要な経費を含む。 ただし、定期的な保守・整備にかかる経費(予備品の交換等)は対象外。 機構への 実績報告 初期故障 船舶の引渡日 3年以内 初期故障対応 終了 助成金交付 21 高度船舶技術実用化助成実施と普及状況 助成対象技術 助成期間 実施者 就航隻数 高度船舶安全管理システム 平成18~19年度 阪神内燃機工業㈱ 5隻 高度船舶安全管理システム(電気推進用) 平成19年度 ヤンマー㈱ 省力化航海支援システム 平成19年度 エムエイチアイマリンエンジニアリング㈱ 5隻 内航向けタンデム型CRPシステム 平成20~22年度 ナカシマプロペラ㈱ 2隻 (*2) タンデム配置推進装置を有する船舶の操船統合 制御システム 平成20~22年度 下関菱重エンジニアリン グ㈱ 1隻 (*3) EUP式電子制御ディーゼル機関 平成21年度 ヤンマー㈱ 5隻 (*4) 内航船舶用排熱回収スターリングエンジン発電システム 平成22~23年度 ㈱ eスター 1隻 11隻 (*1) マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー受賞 シップ・オブ・ザ・イヤー 小型貨物船部門賞受賞 「新進丸」(2012) ダブル 受賞 セメント船「興山丸」(2010) *2,*3を搭載し、貨物船として初の タンデム・ハイブリッド推進を実現 中速EUP式電子制御 ディーゼル機関(2009) (*4) 内航船舶クラスの中小型エンジンで初の 電子制御をEUP(※)方式により実現 (※)Electrical Unit Pump *1を搭載 22 最近の助成対象事業 助成対象技術 助成期間 実施者 低速4サイクル電子制御機関 平成23~25年度 阪神内燃機工業㈱ 相手船動静監視システム 平成24~25年度 エムエイチアイマリンエンジニアリング㈱ スーパーエコシップ用誘導電動機の起動システム 平成24年度 ヤンマー㈱ ハイブリッド・インジェクション・システム 平成24~26年度 新潟原動機㈱ 二段過給システムによる低燃費ディーゼル機関 平成25~26年度 ヤンマー㈱ 例1 『低速4サイクル電子制御機関の実用化』 ●実施者 阪神内燃機工業株式会社 ●実施期間 平成23~25年度 低速4サイクルディーゼル機関で初の電子制御を実現し、 NOx低減とCO2削減を同時に実現 例2 『ハイブリッド・インジェクション・システム (HIS)の実用化』 ●実施者 新潟原動機株式会社 ●実施期間 平成24~(26年度) ・従来の機械式燃料噴射装置に小 型の電子制御式燃料噴射装置を 組合せた簡易なシステム ・小型噴射装置によるアシスト噴射 により、燃焼条件の厳しい低負荷 域での燃焼を改善 ・機械式燃料噴射での運転も可能 であり安全性・冗長性を担保 【油圧系統概略図】 【試験機関の概観】 23 本日の講演内容 1.内航船・共有船舶の概況 2.環境負荷低減技術への取り組み (1)環境負荷低減技術の開発 ・スーパーエコシップ ・先進二酸化炭素低減化船 ・高度船舶技術の実用化助成 (2)調査研究 (3)その他 24 調査研究の実施 • ルール改正/環境変化を先取りした調査の実施。 • セミナー等による業界へフィードバック。 1.最近の課題 (1)海上労働条約への対応 (2)排ガス規制への対応 2.今後の課題 (1)騒音規制 25 海上労働条約への対応 1.背景 ・海上労働条約により船員の居住設備等に係る国際的基準が確立。 ・平成26年8月5日に我が国で発効。同日以降に起工される200GT以上の 内航船(全沿海以遠)に適用。 ・同条約の適用により居住区域が拡大(天井高さ、船員室床面積、トイレの数など)。 内航船(特に499GT、749GT)の設計に影響。 2.調査 「海上労働条約(MLC)に対応した船型調査」 (1)499GTケミカルタンカー、749GT白油タンカー等について、既存のベース船を 一部変更して試設計を実施。総トン数を増加させず、オペレーション上の要求、 復原性基準等を満足したうえで所要の貨物艙容積を確保。 (2)設計の検討に時間を要することから、新造船では早めの準備が必要。 (参考)9月に、東京、広島、福岡、高松において、関係ルールの改正内容とともに、 上記調査結果を説明するセミナーを開催したところ。 26 排ガス規制への対応 1.背景 ・船舶の排ガス規制は、世界的に強化の方向。 ・NOxについては、2011年から二次規制がスタート。 ・SOxについては、2012年に燃料油含有硫黄分(上限)が4.5%から 3.5%へ。更に、早ければ2020年には0.5%以下となる。 ・適用は、内航現存船を含めた全船舶。 2.対策 (1)低硫黄分の燃料の供給 (2)燃料の排ガスからの脱硫 「船舶における船上脱硫の可能性に関する調査」(予備的調査) (3)LNG燃料船(船舶用天然ガスエンジン) 「天然ガス(LNG)焚きキャリア兼バンカー船に係る調査」 「天然ガス(LNG)タグボートに係る調査」 27 騒音コード 背景 ●IMO第91回海上安全委員会で船内騒音コードを強制化するSOLAS条約改正案が採択 ●対象は2014年7月1日以降に契約の結ばれる総トン数1,600トン以上の船舶 規制の概要 ①船舶完成後、海上試運転時に騒音値を計測すること。 ②機関区域、作業区域、居住区域等の騒音を規制値内とすること。 ③居住区域内の隔壁及び甲板には、規定された「重み付き音響透過損失」を有する遮音材 を設置すること。 内航船への適用 ●沿海区域以遠を航行区域とする1,600トン以上の船舶に適用。 ●2014年7月1日以後建造契約が結ばれる船舶に対して適用するが、騒音コード第4章の 「最大許容音圧レベル」の適用だけは、3年間の猶予期間を設け、2017年7月1日以後建造 契約が結ばれる船舶に対して適用とする方向で検討中。 28 本日の講演内容 1.内航船・共有船舶の概況 2.環境負荷低減技術への取り組み (1)環境負荷低減技術の開発 ①新しいコンセプト船 ・スーパーエコシップ ・先進二酸化炭素低減化船 ②要素技術の開発 ・高度船舶技術の実用化助成 (2)調査研究 (3)その他 29 省エネロジ、SII補助申請へのアドバイス 1.省エネ型ロジスティックス等推進事業費補助金 (革新的省エネ型海上輸送システム実証事業) (概要) 対 象:革新的技術の導入による船舶の運航システムの省エネ化を目指した実証事業。 補助率:1/2 (採択結果)(25年度1次募集) 名門大洋フェリー、オーシャントランス等 2.エネルギー使用合理化事業者支援事業補助金(実施団体:SII) (概要) 対 象:省エネ設備への代替を支援。 省エネルギー効果(1%以上、又は、原油換算500kl以上)、事業規模、 費用対効果などを総合評価。 補助率:1/3 (採択結果)(25年度1次募集) 名門大洋フェリー等 30 技術支援の拡充 ○計画段階での御相談 ・旅客船(自治体支援) 平成24年度は、鹿児島県鹿児島市の依頼により新船建造基本設計プロポーザル審査 委員会を通じて基本仕様の決定等を支援。 ・SES 所定の性能を満たす船舶の確実な建造を目的として、エンジニアリングレビュー(基本 計画・性能等についての技術審査)を実施するとともに、オーナー・ニーズの把握、造 船所、電気推進システムを構成する機器メーカーの総合調整等の技術支援を実施。 ○保証ドック立会(実績) : 平成24年度7隻/平成23年度11隻 ○トラブル対応(実績) : 平成24年度6件/平成23年度4件 ・トラブル対応事例 主機関に頻繁に燃焼不良による出力低下が発生(燃料噴射口の詰まりによるもの)。 本船に赴き現状を把握するとともにメーカー、船主と対策を検討。 対策は事例とともにメーカーから関係者へ提供。 31 JRTTの技術支援(まとめ) ● 内航海運業を取り巻く環境変化に対応して 「環境にやさしい省エネ性能に優れた船舶」の建造に注力しつつ 開発段階から竣工後まで幅広い支援を実施。 開発支援 ● 新しいコンセプト船の提案 ・スーパーエコシップの普及・促進 ● 省エネ船型・省エネ設備の導入促進 ・省エネ船型の開発支援(水槽試験助成) ・実用化助成 ● ルール改正・環境変化に対応した調査研究 ・海上労働条約(MLC) ・NOx・SOx規制(MARPOL条約付属書Ⅵ) 技術支援 ● 内定まで ・省エネ・環境に配慮した基本計画策定支援 ・政策目的・基準への適合性の確認 ・離島航路旅客船の仕様書作成、航路改善協議会 への参画 ● 内定後~竣工まで ・図面審査と協議 ● 政策効果のより高い船舶への代替建造促進 ・SES、先進二酸化炭素低減化船への金利優遇 (基準金利から0.3%低減) ・建造中の工事監督 ● 竣工後 ・故障・トラブル対策を支援 ● 省エネロジスティクス、SII申請へのアドバイス ・保証ドックの立会 ・革新的省エネ型海上輸送システム実証事業(1/2補助) ・エネルギー使用合理化事業者支援事業(1/3補助) ・保守・管理の支援(離島航路やSESなど) 32 ご清聴ありがとうございました。 独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 ホームページ : http://www.jrtt.go.jp/ 調査研究等のお問い合わせ:共有船舶建造支援部 開発支援課(TEL:045-222-9124) 共有建造船の技術支援:共有船舶建造支援部 技術支援課(TEL:045-222-9123) 33
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