ブルネイ概況 - JETRO

ブ ル ネ イ ・ ダ ル サ ラ ー ム 概 況
ジェトロ海外調査部(更新日:2015 年3月5日)
政治動向
一般的事項
① 1842 年の英蘭協定で英国の進出が本格化する迄、スペイン、ポルトガル、オランダの進出が続く。
国・地域名:ブルネイ・ダルサラーム国 Brunei Darussalam
② 1888 年に英国はブルネイと保護協定を締結し、次第に行政権を固めていった。第二次大戦中、
面積:5,765 平方キロメートル(三重県とほぼ同じ)
1942 年から 45 年の終戦まで日本軍の統治下に入った。戦後の復興は多額の投資を必要とし、統治
人口:41 万 3,000 人(2014 年8月推計)、出所:ブルネイ首相府、以下「首相
権は英国に返還された。内政の自治は 1959 年に回復したが、不十分で 1984 年 1 月 1 日に完全独
府」、IMF-World Economic Outlook Database 2014 年 10 月版
首都:バンダルスリブガワン、人口:24 万 1,000 人(2011 年)、出所:CIA
立を達成。独立直後に英連邦や ASEAN に加盟し、同年 9 月には国連加盟を果たした。
③ 1970 年以来、議員の選出は選挙制から国王任命制となっていた。2004 年 9 月の憲法改正で公選議
公用語:マレー語(公用語)、英語、中国語
員が一部選出されるようになったが、直接選挙実施には至っていない。今日でも国王が元首で首
宗教:イスラム教(国教、67%)、仏教(13%)、キリスト教(10%)、その他(10%)
相、財務、防衛相を兼務し、閣僚を指名し、独立以来、宗教上も頂点に立ち、国政全般を掌握。
出所:外務省基礎データ
経済動向
基礎的経済指標
①歴史的背景から依然、英国の経済面での影響力は大きく、石油天然ガス部門を中心に最大の投資
名目 GDP(2014 年):174 億 2,600 万ドル(出所:IMF 推計)
国となっている。EIU(Economist Intelligence Unit)によると、2013 年の GDP 構成は石油天然ガス等の
購買力平価ベースGDP(2014 年):321 億 600 万ドル(IMF 推計)
鉱業部門(51.8%)を含む産業部門が 68.2%を占め、行政サービス、運輸・通信、小売、観光、金融等
一人当たり名目 GDP(2014 年):42,239.34 ドル(IMF 推計)
のサービス部門が 31%、残る農林水産部門は 1%にも満たないという。
輸 出:114 億 4,718 万 6,678 ドル(2013 年)、出所:UN Comtrade
②エネルギー輸出が例年、輸出全体の 9 割以上を占めるため、2008 年と 2009 年は世界金融危機の
123 億 6,420 万 BND(2014年1~11 月暫定値)、出所:首相府
需要減でマイナス成長となった。その後回復したが、2012 年と 2013 年はとくに原油の減産で再度落
輸 入:36 億 1,243 万 4,602 ドル(2013 年)、出所:UN Comtrade
ち込んだ。2014 年はサービス部門が好調で個人消費、政府消費支出、設備投資等の内需が伸びた
39 億 3,920 万 BND(2014年1~11 月暫定値)、 出所:首相府
ため、輸入も拡大したが、IMF は 2014 年の実質 GDP 成長率を 5.3%と高めに推計している。これに対
2013 年主要貿易相手国(構成比):中国は、香港を含まない。
し、EIU はその後の世界的なエネルギー価格の急落で同年の実質 GDP 成長率を 0%としている。
輸出:日本(39.8%)、韓国(16.3%)、インド(7.6%)、豪州(7.3%)、ベトナム(5.3%)、
ブルネイ・ダルサラームの主要経済指標
*推計値
インドネシア(4.7%)、シンガポール(4.4%)、タイ(4.2%)、NZ(4.1%)等
2009
2010
2011
2012
2013
2014
輸出主要品目(2013 年):液化天然ガス(51.8%)、原油(44.7%)、その他(3.5%)
1. 実質 GDP 成長率(%)
△1.8
2.6
3.4
0.9
△1.8*
5.3*
出所:首相府
2. 名目 GDP(100 万ドル)
10,733
12,371
16,693
16,952
16,109*
17,426*
輸入:マレーシア(21.9%)、シンガポール(19.1%)、米国(11.9%)、中国(11.2%)、
3.
一人当たりの名目
GDP(ドル)
28,237.5
31,981.9
42,436.0
42,402.4
39,658.8*
42,239.3*.
日本(5.8%),タイ(5.0%)、インドネシア(4.2%)、ドイツ(3.4%)、韓国(3.4%)等
輸入主要品目(2013 年):輸送用機器(36.6%)、工業製品(20.4%)、食品(13.3
4. 消費者物価上昇率(%)
1.0
0.2
0.1
0.1
0.4
0.4*
%)、産業用部品(10.6%)、化学品(8.0%)、燃料類(7.5%)
5. 失
業
率
3.5
2.7
2.7
2.7*
2.7*
2.7*
出所:首相府
6. 経常収支(100 万ド ル)
4,320
5,623
6,075
5,674
5,074*.
5,507*
外国直接投資受入累積額(2013 年末):142 億 1,200 万ドル、出所:UNCTAD
7. 輸 出(100 万 ド ル)
7,200.22* 8,907.47* 12,464.94* 13,000.83 11,447.19
N.A.
外貨準備残高(金除く):34 億 5,389 万ドル(2014年8月末)、出所:IMF
8. 輸 入(100 万 ド ル)
2,448.92* 2,537.79* 3,628.72*
3,572.23
3,612.44* N.A.
通貨単位:ブルネイ・ドル(BND)
9.原油確認埋蔵量(億バレル) OPEC 等
11
11
11
11
11
11
1BND=約 81.5 円(2014 年5月上旬時点)
出所:外務省
シンガポール・ドルと等価交換され、政府の補助金政策と併せ、消費者物
価上昇率を低水準に抑える役割を果たしている。
収支
▲3,157,118
▲3,957,357
▲5,573,486
▲5,803,282
▲4,614,483
▲3,919,923
対日貿易の主要品目(構成比):2014 年
対ブルネイ輸出:輸送用機器・同部品(54.6%)、機械機器類・同部
品(13.0%)、セメント類(8.2%)、電気機器類・同部品類(8.0%)、
パイプ・継手等鉄鋼製品(6.8%)、ゴム製品(2.9%)
対ブルネイ輸入:LNG(94.2%)、原油・粗油(5.0%)
出所:財務省「貿易統計」
財務省「貿易統計」や BP によると、ブルネイは日本の LNG 輸入(2014
年)で数量、金額ベ-スともナイジェリアに次ぐ第8位(各 4.9%、5.1%)の
供給国。一方、2013 年のブルネイ産 LNG 輸出で日本は数量、金額べ
ースとも最大の輸出市場(各約 72%)で韓国、近隣東南アジア諸国、台
湾、インド等が続く。
人的交流
要人往来
(往)
2012 年7月
渡部恒三友好議員連盟会長、二階俊博同幹事長
2013 年7月
岸田外相(ASEAN 関連外相会議)
2013 年 8 月
茂木経産相(ASEAN 関連経済相会合)
2013 年 8 月
甘利内閣府特命担当相(TPP 閣僚会合)
2013 年 10 月
安倍首相(ASEAN 関連首脳会議)
(来)
米国 EIA
150.6
158.2
169.2
158.7
135.1
N.A.
2010 年 12 月
リム・ジョクセン第二外務貿易相
BP
168
172
165
159
135
N.A.
2011年 12 月
ヤスミン・エネルギー相
154.6
159.4
156.5
145.7
122.1
N.A.
2012 年 4 月
ヤスミン・エネルギー相(東アジア低炭素成長対話)
11.原油輸出量(1000 バレル/日) OPEC
152
161
154
138
115
N.A.
2012 年 10 月
アブドゥル・ラーマン第二財務相(IMF 世銀総会)
12.石油輸出額(100 万 US ドル) UNCTAD
3,808.01
5,045.60
7,016.53
2012 年 12 月
ヤスミン・エネルギー相
390.8
390.8
390.8
2013 年 2 月
モハメッド・ボルキア外務貿易相
2013 年 5 月
リム・ジョクセン第二外務貿易相
2013 年 5 月
ハサナル・ボルキア国王
2013 年 5 月
ヤスミン・エネルギ-相
(東アジア低炭素成長対話)
12.4
2013 年 12 月
ハサナル・ボルキア国王、ヤスミン・エネルギー相
為替レート:1US$=1.3149BND(2014 年12 月平均) 出所:2015 年 2 月版 IFS
=1.2512BND(2013 年平均) 出所:2014 年 IMF・IFS 年鑑
二国間関係
貿易額(1000 ドル) 日本の輸出
日本の輸入
2009
162,251
3,319,369
2010
149,819
4,107,176
2011
142,496
5,715,982
2012
187,607
5,990,889
2013
151,879
4,766,362
2014
106,944
4,026,867
10.原油生産量
(1000 バレル/日)
OPEC
米国 EIA
6,344.28* 5,208.09*
390.8
390.8
N.A.
390.8
政治体制
13.天然ガス確認埋蔵量
B P
300
300
300
300
300
N.A.
政体:立憲君主制、元首:ハサナル・ボルキア(Hassanal Bolkiah)国王
(10 億㎥)
OPEC
350
309
301
288
276
N.A.
立法評議会が 1984 年の独立直後から機能していなかったが、2004 年 9 月
B P
11.4
12.3
12.8
12.6
12.2
N.A.
に再開、従来、議員全員が国王の任命だったのが、一部が選挙で選出され
14.天然ガス生産量(10 億㎥)
OPEC
11.5
11.8
12.44
11.83
12.47
N.A.
るようになったが、2011 年現在、直接選挙実施には至っていない。
米国
EIA
8.81
8.83
9.43
9.03
N.A.
首相、財務、防衛相:ハサナル・ボルキア国王が兼任
15.液化天然ガス輸出量
B
P
8.81
8.83
9.39
9.1
9.5
N.A.
外務貿易相:モハメッド・ボルキア(Mohamed Bolkiah)親王(国王実弟)
(10 億㎥)
OPEC
8.81
8.83
9.42
8.88
9.324
N.A.
開発相:スヨイ・オスマン(Suyoi Osman)
エネルギー相:モハマド・ヤスミン・ウマール(Mohammad Yasmin Umar)
16..液化天然ガス輸出額
UNCTAD 3,184.92
3,658.21
5,004.86 6,157.06* 5,937.40*
N.A.
(100 万 US ドル)
産業一次資源相:ヤヒャ・バカール(Yahya Bakar)
〔出所〕1.~6.:IMF-World Economic Outlook Database(2014 年10 月版)、7.&8.:UNCTAD、13.および 15.「米国
出所:EIU 2014年第4四半期版カントリー・レポート
EIA」データ:1 ㎥=35.31478 立方 ft で算出。
在ブルネイ日本大使館
アブドゥル・ラーマン第二財務相、リム・ジョクセン
第二外務貿易相(日・ASEAN 特別首脳会議)
出所:外務省基礎データ
日系企業進出状況:9社(2013年10月現在)
在留邦人数: 146人(2013年10月現在)
出所:外務省・海外在留邦人数調査統計 平成 26 年要約版