◇ シンポジウム ◇
S1-1
EZ アクセス楕円タイプを用いた胃癌に対する
Reduced port distal gastrectomy の成績
S1-2
1
産業医科大学 第一外科
2
柴尾 和徳、佐藤 典弘、日暮愛一郎
[はじめに]当科ではこれまでに 850 例の TANKO/ Reduced port
surgery を経験した。胃癌に対しては、EZ アクセス楕円タイプ(八
光)と細径鉗子 EndoRelief(ホープ電子)
、彎曲鉗子(KTY 鉗子;
足立工業)を用いて臍部縦 2.5cm、左上腹部に 2mm の 1 創 1 穿刺
で Reduced port distal gastrectomy(RPDG) を 行 っ て い る。EZ
アクセス楕円タイプは競合プラットフォームに比べ、より広いト
ロッカー間隔を確保可能であり、器機干渉、trianguration の狭小化、
in-line viewing などを回避できる。さらに彎曲鉗子と EndoRelief
を組み合わせることでより手術が容易となる。今回は、6 ポートに
よる LDG との比較について報告する。
[対象と方法]2013 年 12 月までに経験した RPDG:30 例を対象に、
同時期に経験した LDG の 174 例より年齢、性、再建法などがマッ
チした 30 例を抽出し、術後入院期間、手術時間、出血量、郭清リ
ンパ節個数、術後疼痛(VAS 値)について 1:1 マッチドペア解析
を行った。
[結果]両群間で術後在院日数、手術時間、出血量、郭清リンパ節
個数は異ならなかった。一方、術後疼痛は、統計学的に有意差は
なかったものの RPDG 群で低値であった(術後 24 時間 VAS 値:2.1
vs. 2.8、p=0.21)。
[結語]EZ アクセス楕円タイプと細径鉗子、彎曲鉗子を用いた
RPDG は、LDG と同等の手術成績を確保でき、整容性に優れてい
るため、有用な術式である。
S1-3
Reduced-port laparoscopic gastrectomy(RPG)
の治療成績
高川 亮 1、
國崎 主税 1、
牧野 洋知 1、
木村 準 1、
大島 貴 1、大田 貢由 1、小坂 隆司 2、秋山 浩利 2、
遠藤 格 2
目的:Reduced-port laparoscopic gastrectomy(RPG)の治療成績を
提示し有用性を明らかにする。
対象と方法:2010 年 4 月以降に同一術者が施行した RPDG 69 例、
RPTG 57 例と従来法の 5-ports + 小開腹の conventional LADG 42 例、
C-LATG 24 例の治療成績を比較した。
RPG 手技:臍部の小開腹創(DG 2.5cm、TG 4.0cm)に OCTOTM
Port を、右側腹部には 12mm port を留置する。energy device は
主に臍部 port から使用し、必要に応じ右側腹部 port から左手で操
作する。No.6 は RGEV まで右手で操作、RGEA からは左手で操
作し根部で処理後、十二指腸を切離する。No.8a/11p 郭清も左手で
energy device を操作する。RPDG は完全鏡視下に converse Ω吻合
で B-I 再建し、RPTG は RY 法で、断端手縫い吻合で anvil head を
挿入する。
結果:DG 群;術中因子;RPG 群は全手術時間(271/242)が長く、
再建時出血量
(15/32)
は少ないが、
他因子に差はなし。術後合併症
(縫
合不全 0/2、吻合部狭窄 1/3、膵液瘻 1/1)
、術後在院日数(15.4/14.4)
に差はなし。TG 群;術中因子;RPG 群は、全手術時間(313/272)
、
リンパ節郭清時間(176/140)が長く、出血量(94/135)は少ないが、
他因子に差なし。術後合併症は(縫合不全 3/1、肺炎 1/0、膵液瘻
4/2)差がなく、
術後在院日数(17.3/25.5)は RPTG で有意に短かった。
結語:RPG は手技に慣れた術者が行うことにより手術時間は長いも
のの、治療成績は差がなく、今後の標準化は可能であると考えられた。
S1-4
Reduced Port Gastrectomy の実際と工夫
県立広島病院 消化器乳腺移植外科
胃癌に対する定型的 Reduced Port Surgery ―低侵襲性と根治性のベストバランス―
石川県立中央病院 消化器外科
漆原 貴、鈴木 崇久、今岡 祐輝、高倉 有二、
大石 幸一、池田 聡、真次 康弘、石本 達郎、
中原 英樹、板本 敏行
[はじめに]単孔式腹腔鏡下胃切除術(Single Port Gastrectomy、以
下 SPG)
、双孔式(Dual Port Gastrectomy、以下 DPG)
、Reduced
Port Gastrectomy(以下 RPG)は、従来の腹腔鏡下手術に比較して
視野展開と鉗子操作が難しい。臍窩を含め上腹部に 3.5cm の皮膚切
開でアクセスポートをおき体型症例に応じて SPG か RPG を選択し
た。DPG は導入時に施行した。手術手技の工夫と従来の腹腔鏡下胃
切除術の手術時間、出血量について比較したので報告する。
[対象
と方法]平成 21 年 4 月から平成 26 年 4 月までに早期胃癌に対して
SPG を 30 例、DPG を 12 例、RPG を 35 例に施行した。SPG ではア
クセスポートに GelPOINT を使用し、DPG は腹壁つり上げ法を併用
しアクセスポートに EZ アクセスを使用した。RPG の場合はアクセ
スポートに EZ アクセス、GelPOINT、OCTO などを用い追加 port
を行った。従来法は 12mm trocar 3 本、
5mm 3 本の 6 孔式で施行した。
[結果]手術時間(平均)は SPG:218-471(323)分、DPG:234-414
(315)分、RPG:238-464(329)分であり従来法:198-442(301)分に
比較して有意差は無かった。出血量(平均)は SPG:10-357(67)g、
DPG:9-79(49)g、RPG:4-470(80)g で 従 来 法:4-731(74)g に 比
較して有意差は無かった。
[結論]SPG、DPG、RPG では従来の腹腔鏡下胃切除術に比べ視野
確保と鉗子操作に工夫を要した。
横浜市大市民総合医療センター 消化器病センター 外科、
横浜市立大学病院 消化器腫瘍外科
稲木 紀幸、森山 秀樹、伴登 宏行、山田 哲司
諸言:2010 年より胃癌に対する Reduced Port Surgery を導入して
きた。安全性の確保は前提として、低侵襲性と根治性のベストバ
ランスを考慮して当科としての定型的 Reduced Port Surgery
(RPS)
を確立してきた。その手技を提示し成績を述べる。
適応と方法:適応は早期胃癌で、比較的内臓脂肪が少なく小柄な
体型を選択する。患者の希望に応じて、十分な説明と同意のもと
適応拡大することもある。臍を約 3cm 切開しラッププロテクター
ミニを挿入し、12mm ポートを均等に 2 本(長&短)を挿入した
EZ アクセスを装着して気腹する。ニードル鉗子用の穿刺ポートを
右側腹部に 1 本、左側腹部に 2 本置く。術者は終始患者右側に立ち、
左手をニードル鉗子、右手を臍 EZ アクセスポートよりエネルギー
デバイスやステープラーなどを挿入し操作を行う。助手は終始患
者左側に立ち 2 本のニードル鉗子で従来の手術と同様の展開を行
う。スコピストは終始患者脚間に立ち、術者右手と同じ EZ アクセ
スポートよりカメラを挿入し視野を確保する。
成績:適応した RPS は完遂可能であった。従来の手術チームにより、
従来の視野展開や手順を踏襲して郭清、再建手技を行うことが可
能であった。従来の腹腔鏡下胃癌手術の教育を行っていく中でも、
スムーズに RPS を介入していくことが可能であった。
結語:適応を限定し、低侵襲性と根治性のベストバランスを加味
した RPS が定型化されたと思われた。教育の観点からも容認され
ると思われた。
― 38 ―
S1-5
S2-1
単孔式腹腔鏡下胃全摘術
大阪警察病院 外科
福岡輝栄会病院 外科
大森 健、益澤 徹、上島 成幸、鄭 充善、
若杉 正樹、鳥 正幸、赤松 大樹
目的:pure 単孔式腹腔鏡下胃全摘術(pure TANKO-TG)の安全
性について検討。対象と方法:2011 年 4 月から 2013 年 12 月まで
当院で施行した胃癌に対する pure TANKO-TG(R0 手術、残胃癌
3 例を含む)45 例を対象とし、その短期成績を検討する。約 2.5 か
ら 3cm の縦臍切開。カメラは 10mm フレキシブルスコープ、術者
は 2 本鉗子またはエネルギーデバイス、助手は top のポートより
45cm 長の鉗子を使用。郭清度は脾摘を伴う D2 5 例、D1+ 脾門部
すだれ状郭清、D1+。食道空腸吻合は EST 法(circular stapler)
30 例、新三角法(linear stapler)13 例、FEEA 2 例。結果:ポー
ト追加、補助鉗子追加、開腹移行なく全例 TANKO にて完遂。手
術時間平均 351 分、出血量 70ml、術後早期合併症 十二指腸断端縫
合不全 1 例、
肺炎 1 例。術後在院日数中央値 8 日(5 - 85 日)であり、
従来の 5 ポート腹腔鏡下胃全摘術と遜色ない結果であった。結語:
pure TANKO-TG は安全に施行しうる術式と考えられた。
S2-2
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の標準化 ―我々の工夫
と短期成績
山本 純也
【はじめに】腹腔鏡下手術において Reduced Port Surgery(RPS)は、
キズが目立たず整容的であり・創出血や術後癒着などの合併症が
少なく、特に肥満の患者に対しては有効である。RPS に対して様々
な方法(マルチトロッカー法、グローブ法、SILS、スポンジチュー
ブ法…)を試み、現在はアクセスポートを用いたマルチチャンネ
ルポート法を行っている。
【手術手技】アクセスポートを用いた基本的な手術手技は同じで、
臍部切開は 1.5-2cm を基準とし、45cm のロングスコープ(30°
斜視)
とロング把持鉗子を用いている。ポート配置は、
右下よりスコープ、
左下より胆嚢把持鉗子、右上より可変弯曲型把持鉗子、左上より
電極付洗浄・吸引器を挿入する。術者は右手にて可変弯曲型把持
鉗子を、左手にて電極付洗浄・吸引器を用いて胆嚢剥離操作を行う。
【結果】600 例の症例に RPS を行った。初めの 400 例はニードル型
サポート器具を用いて行っていたが、その後臍部操作のみの pure
TANKO を確立させ 200 例に施行した。若干の手術時間延長は認め
るものの、総じて結果に大差はなく、双方とも完遂率 97%であった。
【考察】RPS の手術方針としては、まず臍部からアプローチし、必
要に応じてニードル型サポート器具を追加していく方法が良いと
考える。
S2-3
Reduced Port laparoscopic cholecystectomy の経験
獨協医科大学越谷病院 外科
千葉市立青葉病院 外科
菅又 嘉剛、多賀谷信美、立岡 哲平、久保田 和、
竹上 正之、菅又 奈々、斎藤 一幸、奥山 隆、
吉羽 秀麿、大矢 雅敏
清水 康仁、安藤 克彦、小田 健二、土岐 朋子、
佐々木 亘亮
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を 249 例経験した。pure TANKO で手
術を開始、困難症例や状況によって RPS とする基本方針で行ってい
る。この術式を標準化していくための我々の術式と工夫を報告する。
【TANKO cholecystectomy の手術手技】腹腔鏡は 5mm の軟性鏡
を主に使用。臍を約 2.5-3.0cm 縦切開し小開腹、専用ポートを装
着。従来のストレート型鉗子 2 本のみを使用して pure TANKO で
手術を遂行。困難症例や状況(術者の技量等)にあわせて Needle
device やポートを追加。困難症例には胆嚢管を先行テーピングし順
行性に切り替える。
【結果】2014 年 4 月までに 249 例(男性 128 例、
女性 121 例)を経験。平均年齢は 57 歳(24 ∼ 82 歳)
、平均 BMI は
24.2(16.7 ∼ 34.1)
、平均手術時は 116 分(53 ∼ 325 分)だった。
ぶら胆と軽度炎症例は 200 例、いわゆる困難症例は胆嚢炎重度炎
症例 49 例、BMI30%以上の肥満症例 15 例、上腹部手術既往症例
(DG-P 術後、
胃がん術後)4 例、
総胆管結石切石術同時施行症例 1 例、
Mirrizi 症候群 1 例を経験している。うち 213 例を pureTANKO と
+ ニードル追加で完遂し(138/75)
、35 例に追加ポートを要し、高
度炎症例の 1 例は開腹移行した。術後合併症は、微熱遷延 1 例、腹
腔内膿瘍 1 例、創感染 5 例と腹壁瘢痕ヘルニア 1 例を経験したが、
胆道損傷は 1 例も経験していない。
【 ま と め 】 ぶ ら 胆 お よ び 軽 度 炎 症 例 に 対 す る pure TANKO
cholecystectomy はほぼ確立出来た。困難症例をいかに安全に完遂
するかが今後の課題と考えている。
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(RPS)の完遂率 97%
( TANKO with needle vs Pure TANKO )
我々は Reduced Port Surgery(RPS)として、単孔式手術(SI)
:
218 例、Needlescopic surgery(NS):240 例の計 458 例を行い、こ
のうち、胆嚢摘出術はそれぞれ 194 例、183 例の計 377 例であっ
た。適応は、術者やチームの経験例数の増加および手術手技の向
上、手術機器の開発、改良に伴い、術前に癌が強く疑われる症例
以外は RPS で臨んでいる。さらに術式の定型化に向け、SI では補
助的細径鉗子の省略が可能な Endo-Grab や鉗子同士や内視鏡との
clashing の 軽 減 に Flexible port と Pre-bending forceps を、NS で
は 2.1mm で剛性の高い BJ needle、先端に 5mm 鉗子が装着できる
シャフトが 2.4mm の Endo-Relief や 5mm 腹腔鏡と遜色ない画像を
提供する 3.3mm Needlescope を導入した。SI で 5mm ポートの追
加が 13 例(6.7%)
、NS で 8 例(4.4%)が通常の鉗子に変更した。
術中偶発症として気胸を 1 例に経験したが、術後合併症は認めら
れず、整容面の向上と術後の疼痛軽減による QOL の改善が実現で
きた。ただ、狭い切開創からの手技の困難性や鉗子の操作性や画
質の低下は免れないものの、標準術式として症例数の増加等を考
慮すると、コスト削減を目指すことになり、シンプルな再使用可
能な器具での RPS へ進んでいくものと思われる。
― 39 ―
S2-4
腹腔鏡下胆嚢摘出術における RPS の術式変遷と治
療成績
1
3
S2-5
2
国立病院機構宇都宮病院 外科、
獨協医科大学 第一外科、
群馬大学医学部 病態総合外科
臍 内 下 半 12mm 縦 切 開・Single incision multitrocar 法による単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術におけ
る臍切開・形成の工夫と結果
1
福井大学 第一外科、2 同 がん診療推進センター
増田 典弘 1,3、
滝田 純子 1,3、
芳賀 紀裕 1、
伊藤 知和 1,3、
勝又 大輔 1,2、
木村 明春 1,3、
中島 政信 1,2、
山口 悟 1,2、
2
3
加藤 広行 、桑野 博行
小練 研司 1、
飯田 敦 1、
木村 洋平 1、
藤本 大裕 1、
森川 充洋 1、
村上 真 1、
廣野 靖夫 1、
五井 孝憲 1、
2
1
片山 寛次 、山口 明夫
〈背景〉当院では平成 17 年に mini-loop-retoractor(MLR)2 本を用
いた、2 port+2 puncture による RPS を導入、平成 23 年から plus
two puncture TANKO(PTP-TANKO) を 導 入 し て い る。
〈対象
と方法〉平成 17 年以降の胆摘術は 522 例、うち PTP-TANKO は
131 例に施行、その遂行率、手術時間、合併症について検討。RPS
導 入 初 期 175 症 例 を A 群、PTP-TANKO 移 行 期 195 例 を B 群、
PTP-TANKO 中心の 24 年以降の 151 例を C 群とし、各群間の手術
時間、合併症、開腹移行率、術者別の learning curve に関して検討
した。
〈結果〉PTP-TANKO は 110 例、84.0%で遂行、16.0%でポー
トを追加。同時期の 27 例では炎症高度等の理由で TANKO 以外の
手技が選択された。同時期の開腹胆摘はなく、開腹移行は 1 例。手
術時間は 94.9 ± 37.7min で、同時期に convention 法で施行した症
例 1 例に総胆管損傷を認めた。術後の臍ヘルニアは 1 例。3 群の比
較では、手術時間、ポート追加率に差はなく、腹腔鏡遂行率は A 群:
92.0%、B 群 98.5%、C 群 99.3%。開腹を必要とした胆管損傷は A
群 2 例、B 群なし、C 群は 1 例。専修医の術者別の手術時間検討で
は、AB 群、では 10 例以下で平均手術時間 70min 未満になったが、
C 群では手術時間の短縮の見られない術者もいた。
〈考察〉PTPTANKO 法は 2port + 2punc と比し、手術時間、合併症、開腹移
行率に差はなく安全な術式と考えられたが、learning curve が得ら
れにくい術者もあり、手技習得には若干の困難を伴うと考えられた。
腹壁破壊を最小に高い整容性の確保を目指して単孔式腹腔鏡下胆嚢
摘出術を行っている。我々の臍の創形成、閉鎖手技の工夫と結果を
報告する。
「対象」上腹部癒着例以外の胆嚢良性疾患。2009 年 5 月より 5 年間、
計 124 例。
「方法」臍内下半皮膚を 10mm 縦切開し気腹針で気腹。創上縁の臍
底部で瘢痕を半分切開し scope 用 trocar を挿入。Scope で確認後、
創内左右に 45 度の仰角で操作用 trocar を刺入。創下縁を 2mm 皮
膚切開追加し鉗子の操作性を確保。創内下縁に胆嚢拳上用の把持鉗
子を直接刺入。標本摘出は直接穿刺鉗子と scope 用 trocar との間で
創内の腹壁を縦切開。左右の trocar 孔は経腹直筋のため閉鎖不要。
2-0 Vicryl で正中の腹壁閉鎖、5-0 Monocryl で臍形成、真皮縫合。
患者に術後アンケートを実施。
「結果」臍変形なし、創感染なし。臍部の瘢痕ヘルニアなし。
「考察」Single incision multi-trocar 法は trocar を外側向きに挿入で
き、皮膚切開に比して大きな trocar 間隔を確保し操作性が比較的良
好に保てる。臍底部の瘢痕の頭側半分を温存することで臍の変形を
防ぎ、閉創・臍形成も容易に行え、air leakage も認めない。
「結語」独特の trocar 配置による臍内下半 12mm 縦切開・Single
incision multi-trocar 法により単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術が安全し施
行され、良好な結果と臍の形態を得た。
S2-6
S2-7
単孔式肝外側区域切除の定型化
1
2
上村病院 外科
東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科、 同 低侵襲医学
研究センター
伴 大輔 1,2、
大庭 篤志 1、
松村 聡 1、
藍原 有弘 1、
落合 高徳 1、入江 工 1、工藤 篤 1、田中 真二 1、
田邉 稔 1
【はじめに】当科では 2000 年以降、2014 年 4 月まで 100 例に腹腔
鏡下肝切除を行い、2013 年 4 月から腹腔鏡下肝切除に RPS を導入
し、2014 年 3 月までの腹腔鏡下肝切除 23 例中 13 例(56.5%)に
TNAKO 肝切除(外側区 7 例、部分切除 6 例)を行うことができた。
とくに外側区区域切除について報告する。
【方法】TANKO 肝切除を定型化した。臍部からマルチアクセスゲー
トを挿入し、肝切除部の視野を確保するための展開子としてニー
ドルを挿入し腹腔内組み立て式の綿球をニードルに装着する(ド
ラムスティック法)。肝離断は CUSA、
超音波凝固切開装置、バイポー
ラ凝固装置を用いる。切除肝(外側区域)は臍部創から摘出でき
ないが、臍部創を広げずに創からナイロンバックを挿入し標本を
回収後、バックの開孔部を外に出してマルチアクセスゲートを再
挿入し気腹する。バック内で標本を鏡視下に見ながら病理に支障
がない適切なラインで割を入れる(Bag-in-Bag 法)。標本を臍部か
ら摘出する。
【結果】TANKO 肝外側区域切除の手術時間中央値 249 分(210-344
分)
、出血量中央値 28 mL(1-265 mL)であった。術後合併症なし。
術後在院期間中央値 7 日(4-8 日)であった。
【結語】TANKO 外側区域切除は腹腔鏡下肝切除のなかで TANKO
の良い適応であり、定型化することで安全に施行できる。標準術
式となりえると思われた。
腹腔鏡下胆嚢摘出術における Reduced Port Surgery
堤田 英明、宇都 光伸、上村 万里、上村 俊朗
当院では、胆摘術において全身麻酔可能な全ての良性疾患に腹腔
鏡下手術でアプローチし、現在までの 372 例に胆管損傷や開腹移
行例を認めていない。2011 年 2 月より単孔式手術(2mm 併用)を
導入し、SILS port + 2mm にて 116 症例(困難症例 22 症例を含む)
を施行、平均手術時間 38.7 分(17 ∼ 84 分)と延長なく、術中合併
症を認めなかった。しかしながら、以前の 4 ポート法と比較して、
術後鎮痛剤の使用頻度が増加した事、臍ヘルニアの頻度が 3.4% に
増加した事より、術式の再検討を行い、現在では臍部の創は 12mm
ポートと同じ腹壁破壊量にラップディスクミニにて 5mm scope と
術者鉗子の 2 本を入れ、残りの鉗子を右側腹から 2mm 鉗子として
2 本挿入する事にしている。現在まで 24 例(困難症例 6 症例を含む)
に対し施行、平均手術時間は 48.5 分(21 ∼ 71 分)とやや延長を認
めるものの、現時点では合併症や疼痛増強など認めず、経過良好
である。
胆嚢摘出においては、12mm のポートを挿入するための腹壁破壊は
胆嚢を摘出するためにも最小限必要であると考えるが、現在、整
容性の悪化にならない有用な 2mm 鉗子が開発されている中で、臍
以外のポート数を減らし臍からのポート数を増やす目的で臍皮下
の腹壁破壊を増加する事は、患者に不利益になるとも考えられる。
今後様々な患者の意向に沿うべく術式のオプションを可能ならば
準備すべきであると考える。
― 40 ―
S2-8
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術における手術時間と
BMI の相関と適応
S3-1
大阪警察病院 外科
四谷メディカルキューブ きずの小さな手術センター
鄭 充善、若杉 正樹、益澤 徹、大森 健、
上島 成幸、鳥 正幸、赤松 大樹
梅澤 昭子、渡邉 友美、橋本 健吉、関 洋介、
笠間 和典、黒川 良望
【目的】単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(T-LC)における、患者の
BMI と手術時間の相関を検討し、BMI からみた適応を考える。
【対象】これまでに施行した T-LC175 例中、他手術を併置した 6 例
を除く 169 例。
【手術】T-LC の適応は、患者の希望があり、急性胆嚢炎の既往が
なく、DIC(経静脈的胆道造影)にて胆嚢陽性、総胆管結石を除く
症例とした。手術は、臍にマルチチャンネルのプラットフォーム、
右季肋部に細径のポートを置いた、いわゆる単孔 +1 で、ルーチン
に術中胆道造影を施行した。
【結果】169 例の平均手術時間は 71.8 分、
平均 BMI は 21.1 であった。
BMI < 20 を A 群(67 例)
、BMI 20-23 を B 群(67 例)、BMI > 23
を C 群(35 例)とすると、平均手術時間は A 群 65.7 分、B 群 72.0
分、C 群 82.9 分であった。
A 群 67 例では BMI と手術時間は相関しないが、B および C 群は
BMI と手術時間が相関する傾向にあった。
【考察】BMI < 20 の症例は、通常の腹腔鏡下胆嚢摘出術と遜色ない
手術時間で施行できるため、T-LC のよい適応である。BMI > 20 の
症例は、BMI と手術時間が相関する傾向があり、炎症や癒着、内
臓脂肪などの条件も加味して適応を検討する必要がある。
手技の定着と習熟に従い、炎症症例や総胆管結石症例にも適応を
拡大することが可能と考えているが、初期には BMI < 20 の症例を
選択するのが適切である。
S3-2
Single-port surgery, Reduced-port surgery の成績
と直腸癌への適応
【はじめに】当科では、大腸癌に対して 2009 年より単孔式内視鏡
手術を導入、2010 年より進行癌に対しても適応拡大し、現在ほと
んどの結腸癌に対して SPS を施行している。
【目的】右側結腸癌に
対する単孔式内視鏡手術(SPS)と多孔式内視鏡手術(MPS)の手
術成績および術後短期成績について比較検討する。【対象と方法】
2008 年 1 月から 2013 年 12 月までの間に右側結腸癌に対して SPS
あるいは MPS を施行した連続 312 例において、SPS 群と MPS 群
の手術成績、術後短期成績について後ろ向きに検討した。
【結果】
SPS;171 例、MPS;141 例であった。年齢・性別・ASA スコア、
PS は両群に有意差は認めなかった。SPS 群で早期癌が多かった。
出血量・リンパ節廓清度・リンパ節郭清個数に有意差を認めなかっ
たが、手術時間は SPS 群の方が有意に短かった。SPS 群の 2 例に
MPS への移行を認めた。MPS 群の 3 例に開腹移行を認めた。SPS
群では開腹移行は認めなかった。術後出血・縫合不全・腹腔内膿瘍
は両群に有意差を認めなかった。創感染・腸閉塞は SPS 群で有意
に少なかった。術後在院日数は SPS 群で有意に短かった。遠隔転
移を 7 例に、
吻合部再発を 1 例に認めた。リンパ節再発は認めなかっ
た。Stage 別の 2 年 Disease free survival は Stage0、Ⅰ;100%、Ⅱ;
93.3%、Ⅲ a;81.5%、Ⅲ b;77.8% であった。
【まとめ】右側結腸癌
に対する SPS は、MPS と比較しても術後短期・長期成績ともに遜
色ない結果であり、標準術式になりうる。
S3-3
大阪大学大学院 医学系研究科 消化器外科学
Propensity scoring による大腸癌に対する Reduced
port surgery と多孔式腹腔鏡手術との症例対象比
較研究
1
浜部 敦史、竹政伊知朗、植村 守、西村 潤一、
畑 泰司、水島 恒和、山本 浩文、土岐祐一郎、
森 正樹
【 背 景 】 当 教 室 で は 2009 年 よ り 大 腸 疾 患 に 対 し て Single-port
surgery(SPS)
、Reduced port surgery(RPS) を 導 入 し、2013
年までに 323 症例に対して施行してきた。本研究では当教室で
の SPS、RPS の安 全 性 評 価を行う。更に、難 易度 が 高い直 腸 癌
に対する SPS、RPS の適応拡大の可能性について、Conventional
laparoscopic surgery(CLS)と比較することで検討を行った。
【方法】2009-2013 年に手術を施行した SPS、RPS 322 例の治療成績
を検討した。2009-2012 年に当教室で SPS、RPS、CLS を施行した
直腸癌症例の手術成績、腫瘍学的根治性、術後合併症について比較
検討を行った。
【 結 果 】322 例の内 訳は SPS 270/ RPS 57 例、男性 174/ 女 性 148
人、平均年齢 64 歳であった。34 例に合併症を認めた(縫合不全 3
例、吻合部出血 8 例、腸閉塞 9 例を含む)
。直腸癌症例は SPS 28 例、
RPS 25 例、CLS 82 例であった。局在は RS/Ra/Rb に関して SPS
19/9/0、RPS 4/11/10、CLS 22/37/23 例と、SPS で高位の症例が多
かった。手術時間は SPS 194 分、RPS 264 分、CLS 295 分であった。
出血量は SPS 20ml、RPS 20ml、CLS 33ml であった。リンパ節郭
清個数は SPS 16 個、RPS 16 個、CLS 18 個であった。
【結語】SPS、RPS は安全に実施可能で、直腸癌手術への導入も可
能と考えられた。
右側結腸癌に対する単孔式内視鏡手術の成績
帝京大学 外科、2 横浜市立大学 消化器病センター
藤井 正一 1、福島 慶久 1、
赤羽根拓弥 1、
中村 圭介 1、
1
1
1
端山 軍 、土屋 剛史 、
野澤慶次郎 、松田 圭二 1、
國崎 主税 2、橋口陽二郎 1
【背景】腹腔鏡下手術に Reduced port surgery(RPS)が導入され数年
が経過した。
しかし、
大腸癌での意義やエビデンスは未だ明らかではない。
【目的】大腸癌に対する RPS の治療成績を供覧し、現状での意義を
明らかにする。
【RPS の適応】2009 年に導入。右側、S 状結腸、直腸癌で径 4cm 以下
の Bulky ではない病変に適応している。結腸および RS では単孔、腹膜
翻転部より遠位側での操作を要する病変では単孔+ 1port で施行した。
【方法】2009-2014 年施行の RPS を同部位の Stage4 を除いた多孔式腹腔
鏡手術(MPS)を対象とした。適応が異なり背景を一致させるため、変
数を性別、年齢、部位(結腸、直腸)
、Dukes 分類、手術責任医(JSES
技術認定医)
とするPropensity scoring によるmatchingを行い比較した。
【結果】RPS71 例、MPS420 例で、matching により各 60 例(RPS 結
腸 49・直腸 11、MPS 結腸 47・直腸 13)を解析した。両群の背景
に差なし。開腹移行は MPS1 例(1.7%)あり。RPS:MPS は手術時
間(分)179: 172、出血量(ml)19:33、Grade2 以上合併症(%)
10.5:14.5、術後在院(日)8.9:10.3 で差なし。郭清リンパ節数 23.4:
21.7、病理学的断端いずれも差なし。最大創(mm)35:49 で差あり。
結腸、直腸別の解析でも同様であった。pStage1 の 3 年無再発生存率
(%)は 100:94.2 で差なし。
【結語】
RPS は手術時間以外の短期成績、
根治性ともに MPS と同等であっ
た。進行癌での長期予後が MPS に劣らなければ、標準治療の 1 つとな
り得ると思われた。
― 41 ―
S3-4
下部消化管疾患に対する RPS
(悪性腫瘍手術を除く)
S3-5
2
馬場 研二
【はじめに】Reduced port surgery(以下 RPS)の最大の利点は整
容性であり、悪性腫瘍手術に対しては長期成績や根治性の課題が残
る。
【目的】今回われわれは、悪性腫瘍手術を除く下部消化管疾患
に対する RPS について、手術成績を中心に検討し、標準手術にな
りうるか考察する。
【対象・方法】対象は 2009 年 7 月から 2014 年
4 月までの期間に RPS を施行した 58 例。非切除大腸癌に対する人
工肛門造設術も対象とした。手術症例の内訳、手術時間、出血量、
合併症等について検討した。導入時は multiple-trocker 法で行った
が、現在は multichannel port 法で行っている。
【結果】平均年齢は
65 歳、男性 25 例、女性 33 例。術式の内訳は虫垂切除術 29 例、小
腸切除術 8 例、大腸切除術 6 例、人工肛門造設術 15 例。疾患別に
は虫垂炎 27 例、大腸狭窄 15 例、小腸憩室 5 例、結腸軸捻転 4 例、
その他 7 例。RPS のうち単孔式は 20 例、2 孔式は 35 例、3 孔式は
3 例。平均手術時間は 74.9 分。平均出血量 17ml であったが、
クロー
ン病に対する小腸切除術の 1 例に 960ml の出血を認めた。開腹移
行症例はなかったが、3 孔式のうち 2 例は高度炎症を伴う虫垂炎で
ポート追加した症例であった。
【結語】悪性腫瘍手術を除く下部消
化管疾患に対する RPS は安全に施行可能であり、患者の希望や手
術の難易度を考慮したうえで行えば、虫垂切除・小腸切除・人工肛
門造設術では標準術式になりうると思われる。
S4-1
大腸癌に対する単孔式腹腔鏡下手術の短・中期成績
1
鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科
鼡径ヘルニアに対する高位腹膜切開アプローチに
よる単孔式 TAPP120 例の手術成績
横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター、
横浜市立大学 消化器・腫瘍外科、3 横須賀共済病院 外科
諏訪 宏和 1、
大田 貢由 1、
渡邉 純 3、
諏訪 雄亮 2、
2
1
石部 敦士 、國崎 主税 、遠藤 格 2
【背景】大腸癌への単孔式腹腔鏡下手術(SILS)は標準化されてい
ない術式であることから、その治療成績のエビデンスは少ない。
【目
的】大腸癌に対する SILS と conventional LAC(c-LAC)の短期・
中期成績を比較して SILS の意義を検討する。
【対象・方法】2008 年
から 2013 年に LAC を施行した結腸癌 737 例中、他手術併施例 26
例を除いた 711 例を対象に c-LAC 群 532 例と SILS 群 179 例の 2 群
に分け、プロペンシティスコアを用いてマッチングを行い、短期・
中期成績を比較した。
【結果】
c-LAC 群 109 例と SILS 群 109 例がマッ
チングされた。 両群で背景因子に差は見られなかった。短期成績は
手術時間(分)が c-LAC 群 /SILS 群でそれぞれ 164/168、
出血量(ml)
40/20、開腹移行率(%)3.7/0 であった。創全長(mm)は 103/44
と SILS 群で有意に短かったが(p< 0.01)
、術後排ガス日 1.9/1.8、
排便日 2.8/2.7、経口摂取開始日 3.5/3.1 に差はなかった。ClavienDindo G2 以 上 の 合 併 症 は 7.6/7.6%、
( 縫 合 不 全 2.8/0.9、 創 関 連
SSI2.0/3.0、腸閉塞 2.4/1.0)で、再手術率(%)1.9/0.9、術後在院
期間(日)9.4/8.5 とともに両群に差はなかった。3 年無再発生存率
(%)はそれぞれ、stage1:94.4/92.3、2:100/100、3:77.9/79.3 であっ
た。
【結語】大腸癌に対する単孔式腹腔鏡下手術の短期・中期成績
は conventional な腹腔鏡下手術と比較して遜色はなく、安全に導入
可能である。
S4-2
TANKO + 1 puncture による腹腔鏡下虫垂切除術
国立宇都宮病院 外科
上野外科胃腸科病院 外科
滝田 純子、増田 典弘、伊藤 知和、勝又 大輔、
芳賀 紀裕
田上 和夫
【背景】鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術経腹腔的到達法(TAPP)
は一般に行われており、最近では単孔式で行う施設も増えている。
当院では、ヘルニアタイプの理解が容易、対側の観察が可能、術
野が広く解剖の理解が容易、腹膜閉鎖が容易などの理由により高
位腹膜切開アプローチによる単孔式 TAPP を導入し、これまでに
120 例 132 病変に行ったので、その成績ついて報告する。
【方法】
手術は臍正中切開、Multiple trocar 法にて行う。手順は、上前腸
骨棘の高さで腹膜を切開して腹膜外腔に入り、外腔の剥離とヘル
ニア嚢周囲の剥離を行う。ヘルニア嚢は pre-tied knot 法にて体外
結紮後切離する。補強はヘルニア用メッシュを用い吸収性体内固
定用組織ステープルにて 4 ∼ 5 箇所固定する。腹膜はステープル
で腹膜断端を重ねるように吸収性体内固定用組織ステープルを打
針して閉鎖する。
【結果】1 例にポート追加が必要であった。術中
術後で重篤な合併症は認めなかった。手術時間は片側 96.5 ± 32.9
分、
両側 136.4 ± 21.8 分、
出血量は少量であった。再発 1 例(0.8%)
、
漿液腫 7 例(5.3%)、血腫 2 例(1.5%)
、大腿皮神経領域の一時的
な知覚鈍麻 2 例(1.5%)を認めた。【結語】我々が行っている単孔
式 TAPP の手術成績は短期間において従来式と比べて遜色なく、
整容性にも優れていると考えられるが、さらなる工夫や検討が必
要であると考えられた。
[目的及び方法]当院では平成 17 年より腹腔鏡下虫垂切除術を導
入し、現在まで 155 例の症例を積み重ねている。腹腔鏡手術導入
当 初 は Conventional 法( 以 下 C 法 ) を 用 い て い た が、 そ の 後 2
port+1 puncture(Reduced port、以下 RP 法)を経て、現在では
1 incision+1 puncture(TANKO + 1P 法)をもっぱら first choice
としている。今回我々はそれぞれの術式について炎症の程度と手
術時間を検討し、TANKO + 1P 法が今後の標準術式になりうる可
能性があるかを検討した。[結果]腹腔鏡下虫垂切除術 155 例のう
ち、C 法は 48 例、内訳は急性虫垂炎(以下 A)22 例、慢性虫垂炎
(以下 CH)9 例、局所膿瘍形成例(以下 LAB)8 例、汎発性腹膜
炎(以下 PP)7 例、腫瘍性病変(T)2 例。平均手術時間は A=74
分、CH=59 分、LAB=123 分、PP=113 分、T=139 分。以下同様に
RP 法では A:60 分(11 例)、CH:74 分(2 例)、LAB:100 分(8
例)、PP:125 分(3 例)
。TANKO + 1P 法では A:52 分(55 例)、
CH:60 分(8 例)
、LAB:80 分(15 例)
、PP:126 分(4 例)
。同時期、
開腹手術が 4 例、小開腹併用 6 例。いずれの術式においても LAB
群、PP 群において手術時間に有意差がなく、また A 群においては
TANKO + 1P 法が C 法に比べて手術時間が短くなる傾向にあった。
[結語]現在では虫垂炎と診断した場合、膿瘍形成例、穿孔例も含
めてまずは全例腹腔鏡下、TANKO +α形式を想定して臍から 2
本ポートを挿入して手術を開始している。
― 42 ―
S4-3
細径鉗子を用いた細径単孔式鼠径ヘルニア修復術
(Needle TANKO-TAPP)の有用性について
当院での小児虫垂炎に対する細径鉗子併用単孔式
腹腔鏡下虫垂切除術の検討
大阪府済生会泉尾病院 外科・消化器外科
福井赤十字病院 外科
山道 啓吾、齊藤 卓也、菱川 秀彦、植田 愛子、
田中 義人
川上 義行、藤井 秀則、我如古理規、皆川 知洋、
吉田 誠、吉羽 秀麿、土居 幸司、青竹 利治、
田中 文恵、廣瀬 由紀
【目的】われわれは術後疼痛やしびれが少なく、整容性に優れた
TAPP 法による単孔式鼠径ヘルニア修復術を行ってきたが、さら
なる疼痛の軽減と整容性の改善を目指し、細径鉗子を用いた細径
単孔式鼠径ヘルニア修復術(Needle TANKO-TAPP)を導入した。
今回、Needle TANKO-TAPP の術式を紹介し、有用性について報
告する。【術式と方法】皮切は臍窩内に留めるベンツマーク状切開
を行う。筋膜切開は行わず、臍輪内を鈍的に開腹、頭側の創縁から
カメラ用 5mm ポートを挿入したのちに尾側創縁右側に 5mm ポー
トを追加、さらに尾側創縁左側に細径鉗子(BJ needle TM)用の
2mm ポート(BJ port TM)を挿入する。左手細径鉗子で腹膜を把持、
右手 LCS や 5mm 鉗子で腹膜切開や剥離を行う。5mm ポートから
細径鉗子で 3DMAX TM Light Mesh を挿入し、AbsorbaTac TM で固
定する。腹膜はスキー針を用い、ぐし縫いで閉鎖する。本術式の
治療成績を従来行ってきた TANKO-TAPP(EZ Access TM を用い
た術式や 5mm ポート 3 本で行った術式)と比較検討した。【結果】
現在まで Needle TANKO-TAPP を 20 例 22 病変に施行した。全
例、完遂でき、術後合併症も水腫と血腫それぞれ 1 例のみであった。
従来の術式に比較し、手術時間や合併症の発症に差はなかったが、
術後疼痛は低下し、整容性も向上した。【結語】Needle TANKOTAPP は従来の TANKO-TAPP に比べ、操作性や安全性は遜色な
く、術後疼痛や整容性の点で優れた術式といえる。
S5-1
S4-4
S5-2
本邦における泌尿器単孔式腹腔鏡手術の現状
1
平成 21 年 4 月より単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を導入、高度炎症
例、小児例に適応拡大した。【目的】現在当科での小児虫垂炎に対
する腹腔鏡下手術適応は年齢 7 歳、体重 20Kg 以上であるが、体格
の小さい小児例において術野展開を容易とするために細径トロッ
カーを臍部ポートに併用した。【方法】臍部 5-6mm ポート、恥骨
上 2-3mm 細径トロッカー(細径法)。臍部 3 トロッカー(pure 単
孔法)
。
【成績】
平成 21 年 4 月 -25 年 5 月の急性虫垂炎症例 320 例
(小
児 78)。高度炎症例 133 例(腹腔鏡手術 67 例、開腹術 66 例)
、小
児 22 例(腹腔鏡手術率 13 例 -59.1%、同時期の開腹術 9-40.9)
。23
年 4 月細径法導入前後で比較すると高度炎症 60 例(腹腔鏡 37 例、
開腹 23 例)、小児 37 例、細径鉗子導入前は腹腔鏡 1/10(10.0%)
、
開腹 6/31(19.4)と較べて導入後 12/27(44.4)、3/10(30.0)と腹
腔鏡手術率は増加した。細径法の手術時間平均 83.1 分、在院日数
中央値 3.5 日で pure 単孔法の 82.0, 4.0 と変らず、開腹術の 54.3、5.0
と較べて手術時間はやや延長。短期合併症は腹腔内膿瘍、術後イ
レウス(細径法各 1 例)
。【結論】当院での単孔式腹腔鏡下虫垂切
除術における細径鉗子の併用は、小児高度炎症性虫垂炎に対する
適応拡大において有用な手技となるものと考えられた。
2
大分大学 腎泌尿器外科学、 東京歯科大学市川総合病
院 泌尿器科、3 滋賀医科大学 泌尿器科、4 広島大学 腎泌
5
6
杏林大学 泌尿器科、
秋田大学 腎泌尿器科学、
尿器科学、
7
京都大学 泌尿器科、8 東海大学 泌尿器科、9 関西医科
大学 腎泌尿器外科学
佐藤 文憲 1、
中川 健 2、
河内 明宏 3、
松原 昭郎 4、
5
6
7
桶川 隆嗣 、
羽渕 友則 、
吉村 耕治 、
星 昭夫 8、
木下 秀文 9、三股 浩光 1
【 目 的 】 本 邦 お け る 泌 尿 器 科 領 域 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 手 術(LESS
surgery)の安全性と有用性について検討する。
【対象と方法】国内
9 施設において 2009 年 2 月より 2012 年 12 月までに施行した LESS
surgery について後ろ向きに検討した。
【結果】LESS surgery は副
腎摘除 177 例、根治的腎摘除術 143 例、腎尿管全摘除術 40 例、ド
ナー腎採取術 40 例、腎盂形成術 30 例、その他 39 例の計 469 例で
あった。臍からのアプローチは 248 例(53%)に施行され、経腹膜
アプローチは 385 例(82%)であった。主な術式の手術時間および
出血量(共に中央値)は副腎摘除 148 分、30ml、根治的腎摘除術
211 分、30ml、腎尿管全摘除術 278 分、128ml、ドナー腎採取術 241
分、50ml、腎盂形成術腎 228 分、5ml であった。術式の conversion
は reduced port surgery 27 例(5.8%)
、腹腔鏡手術 12 例(2.6%)
、
開腹手術 2 例(0.4%)であった。術中合併症は 10 例(2.1%)
、術後
合併症は 29 例(6.2%)に認め、Clavien grade Ⅲ a 以上の重篤な合
併症は 5 例、1.1%(Ⅲ a:心不全 1 例;Ⅲ b:術後出血 2 例、縫合
不全 1 例;Ⅳ a:心不全 1 例)に認めたが、死亡例は認めなかった。
【考察】LESS surgery は適切な症例選択によって、多くの手術適応
を有する泌尿器科疾患に対し、比較的安全に施行可能と考えられる。
整容性の他に手術侵襲の軽減や術後の創痛緩和等、侵襲が少ないこ
とが期待され、今後明らかにしていく必要がある。
単孔式腹腔鏡下副腎摘除術おける手術侵襲につい
ての検討
東海大 泌尿器科
星 昭夫
【目的】単孔式腹腔鏡手術(LESS)は 2-3cm の創から手術を行うため、
摘出の際に皮切延長を要さない症例が多い副腎摘除はよい適応である。
単孔式腹腔鏡下副腎摘除(LESS-A)は従来の腹腔鏡下副腎摘除(LAD)
に比べ整容性は優れていると考えられるが、より低侵襲であるかについ
ては議論の余地がある。今回われわれは LESS-A の低侵襲性について
検討した。
【対象と方法】2011 年 1 月から 2014 年 3 月に LESS-A を施行した 11 例
を対象と、2008 年 7 月から 2012 年 6 月までに同一術者が LAD を施行
した 13 例を対照群とした。周術期成績、採血データの推移、術後鎮痛
薬使用率について検討した。
【結果】LESS-A の気腹時間、出血量、術後在院日数の中央値は 104 分
(60-138)
、9ml(5-17)
、4 日(4-9)であり、合併症を認めた症例はなかっ
た。LAD との比較では気腹時間が約 35 分長い以外、
有意差はなかった。
術前と比較した術後 1 日目の白血球数増加率、術後 1 日目の CRP 値の
中央値は 122%(105-186)
、1.68mg/dl(0.68-6.54)
、LAD では、それぞれ
134%(86-181)
、1.98mg/dl(0.36-5.63)であり有意差はなかった。術後鎮
痛剤使用率は LESS-A 46% と LAD 58%(内訳は点滴薬が 36% と 50%、
内服薬または座薬が 18% と 33%)であり、有意差はないものの LESS-A
が低かった。
【結語】更なる症例の蓄積は必要だが、LESS-A は整溶性に優れ術後疼
痛が軽度な術式であり、標準術式となり得ると考えられる。
― 43 ―
S5-3
S5-4
子宮筋腫核出術の低侵襲化
北海道医療センター 婦人科
倉敷成人病センター 婦人科
大隅 大介、内田亜紀子、齋藤 裕司
【目的】腹腔鏡手術のさらなる低侵襲化としてポート減数化と細径
化が行われている。婦人科では卵巣手術や子宮全摘術と比較し子宮
筋腫核出術の低侵襲化は難しい。理由として①筋腫核出は筋腫や
子宮筋層の牽引など鉗子による強い把持を要し細径鉗子では困難。
②子宮全摘は開放された腟が摘出物搬出経路となるが、筋腫核出
の場合ポート減数や細径化で創部が縮小すると、筋腫搬出や電動
モルセレーターの使用が困難。の 2 点がある。
これらを解決し子宮筋腫核出術を低侵襲化する方法を検討した。
【方法】①シャフトは 2mm 径だが先端は 5mm 径鉗子同様で、従来
の細径鉗子より把持力のある Endo Relief を使用、かつ鉗子に力を
加える方向に工夫した。②摘出筋腫搬出経路を腟とし、安全な搬出
方法を検討した。
カメラポートは臍に 5mm ポートをダイレクト法で設置、右下腹部
に 5mm ポート、下腹部正中に Endo Relief を設置した。
【結果】Endo Relief を押し引きの動作を中心に使用することでス
ムースな筋腫核出が可能であった。縫合は結紮動作の煩雑さから無
結紮縫合糸である V-loc を主に使用した。また筋腫の搬出は腹腔内
で筋腫を収納した回収袋を後腟円蓋の切開創に誘導し破砕摘出した
が、ここにも一工夫加えた。これらについて動画を供覧する。
【結語】EndoRelief の導入と使用上の工夫、経腟的な筋腫搬出を組
み合わせることにより、子宮筋腫核出術の低侵襲化は可能であると
考える。
S5-5
経腟回収法のススメ ―操作孔としての Douglas
窩及び臍筋膜欠損部の利用と低侵襲性について―
Reduced Port Surgery(RPS)の臨床的検討 ― Pure-NOTES vs 2 孔式腹腔鏡手術 ―
黒土 升蔵、中島 紗織、高野みずき、福田 美香、
海老沢桂子、藤原 和子、羽田 智則、太田 啓明、
金尾 祐之、安藤 正明
【目的】摘出物の回収に際し自然口である腟の利用は、体表に穴を開
けないため低侵襲性と整容性に優れ、腟式子宮全摘術で感染事例が
経験的に少ないことから、近年その有用性が報告されている。
【方法】当科の data を基に、その有用性を考察した。
【成績】単孔式手術として行った子宮筋腫核出群 35 例(A 群)では、
hybrid-NOTES(腹壁に 5mm 以下の trocar 2 本、膣より軟性鏡を
使用)あるいは細径術式(腹壁に 5mm 以下 2 本、3mm 以下 2 本の
計 4 本の trocar を留置)で行った子宮筋腫核出群 35 例(B 群)に
対し、術後 3 日目の CRP が有意に高値であり(A 群 2.01 ± 1.3mg/
dl vs B 群 1.43 ± 1.2mg/dl、P = 0.038)
、術後疼痛時の硬膜外麻酔
push 回数が有意に多かった(A 群 2.0 ± 2.5 回 vs B 群 1.0 ± 1.5 回、
P = 0.048)
。
【結語】臍筋膜欠損部は数 mm の薄層部分であり、Douglas 窩は腟
上皮と薄い筋層、腹膜からなる構造物である。ゆえに、これら薄層
構造物を操作孔として利用することは、組織破壊が少なく最も低
侵襲的といえ、臍に 5mm 以下の trocar を置き、Douglas 窩から摘
出物を回収した B 群がこれに該当する。これに対し、A 群では約
25mm の皮切と、筋膜欠損部を起点に皮下脂肪層と筋腹膜を上下に
切開、創を拡大して摘出物を回収するために、組織破壊が強く高侵
襲となり、CRP 高値や硬膜外麻酔 push 回数の増加につながった。
経腟回収法の利点である整容性かつ低侵襲性について、今後も症例
を集積検討していくことが望まれる。
S5-6
単孔式を最大限に生かした後腹膜鏡下生体腎ド
ナー腎採取術
倉敷成人病センター 婦人科
県立広島病院 消化器乳腺移植外科
黒土 升蔵、柳井しおり、福田 美香、高野みずき、
海老沢桂子、藤原 和子、羽田 智則、太田 啓明、
金尾 祐之、安藤 正明
今岡 祐輝、漆原 貴、山下 正博、札場 保宏、
大石 幸一、池田 聡、眞次 康弘、石本 達郎、
中原 英樹、板本 敏行
【目的】腟を利用した PureNOTES(以下 PN)は、腟式子宮全摘
術で腹腔内への感染が極めて少ないことが経験的にわかっており、
その有用性に関する臨床的な検討が望まれる。
【方法】2012 年 7
月 ?2014 年 4 月まで子宮付属器腫瘍に対して行った PN(11 名)に
ついて、同時期に施行した 10 名の 2 孔式腹腔鏡手術(以下 2p)と
比較検討した。PN は、platform を腟に装着し、後腟円蓋より軟性
鏡を挿入、
180°反転し全ての操作を経腟的に行う術式とした。2p は、
臍 12mm、下腹部正中 5mm trocar を設置し、臍はカメラ孔と腫瘍
の回収、下腹部正中孔は vessel sealing system や EndoGrab 等の
鉗子類を one-hand surgery で利用する操作孔として執刀した。【成
績】年齢、BMI、経腟分娩回数、腫瘍径は両群で有意差を認めなかっ
た。出血量、手術時間とも両群に有意差を認めなかったが、手術
時間は PN では若干長い傾向が認められた。術後 3 日目の CRP で
は、2p で有意に高値であった(median[range]として、2p:0.76
[0.09-2.57]mg/dl vs PN:0.31[0.08-1.55]mg/dl、
P = 0.047)。【結論】
PN は、腹壁に一切の創がないことから整容性に優れ、早期離床が
可能で低侵襲性にも優れていたが、手術時間はやや延長する傾向
が認められ、経腟的に挿入した軟性鏡の 180°反転化に伴う mirror
image が手術を困難にさせたと考えられた。将来関連器機の開発や
技術革新により PN がさらに発展できるよう議論が必要である。
[緒言]後腹膜鏡下生体腎ドナー腎採取術は、三孔式後腹膜鏡生
体腎ドナー腎採取術(以下、三孔式)が一般的である。左側腹部
斜切開にマルチチャンネルポートを装着した単孔式後腹膜鏡下ド
ナー腎採取術(以下、単孔式)を考案したので報告する。[対象と
方法]2005 年 4 月から 2012 年 3 月までに 49 例に対し三孔式で施
行、2012 年 4 月に単孔式を導入し 2014 年 4 月までに 20 例に施行
した。側臥位腎体位で側腹部に 5.5cm の切開を加え、直視下に後
腹膜腔の剥離を行い GelPOINT TM(Applied Medical 社)を装着
し、尿管はトリプルクリップ後に切離、腎動脈はダブルクリップ
し切離し腎静脈は Endocutter を用いて切離した。腎臓はラージサ
イズの EZ パース TM(八光社)に入れて体外へ取り出した。
[結果]
手術時間は三孔式:353 ± 76 分、単孔式:271 ± 46 分で単孔式に
おいて有意に短く、出血量は三孔式:72 ± 70g、単孔式 90 ± 94g
で三孔式の出血量は少なかった。温阻血時間は三孔式:347 ± 99 秒、
単孔式:356 ± 136 秒で有意差は無かった。[結論]三孔式後腹膜
鏡下ドナー生体腎採取術の経験から、その欠点を補い利点を生か
して単孔式後腹膜鏡下ドナー生体腎採取術を考案した。温阻血時
間において差はなく安全かつ合理的な術式であることが示された。
― 44 ―
◇ ワークショップ ◇
W1-1
再手術症例からみた Reduced Port Surgery の合
併症の検討
W1-2
西陣病院 外科
天草地域医療センター 外科
小泉 範明
外山栄一郎
(目的)ReducedPortSurgery(RPS)後に再手術を行った症例に対
して検討を加え、長期成績・有用性を明らかにする。
(方法)対象は 2009 年 8 月から 2014 年 4 月までに RPS を施行した
526 例のうち再手術を行った 26 例。
(結果 / 成績)合併症で再手術を施行した症例は 13 例で、疾患の内
訳は腹腔内膿瘍、腹腔内出血、腸閉塞、急性胆嚢炎などであった。
腸閉塞の 1 例のみ臍部に癒着が見られたが、9 例は腹壁に全く癒着
を認めなかった。腸閉塞に対して 4 例手術を行ったが、いずれも臍
部での癒着に起因するものではなかった。11 例に再び臍の小切開
創から RPS が可能であった。合併症以外の再手術症例は 6 例が播
種病変に対する審査腹腔鏡 / 切除であり、4 例は異なる疾患に対す
る手術、3 例は計画的分割手術であり、全例腹腔内の癒着はほとん
どみられなかった。
13 例中 11 例は再度臍からのアプローチが可能であり、他の 2 例も
結果的には臍部の癒着を認めなかった。臍の瘢痕ヘルニアおよび
SSI は 9 例(1.7%)にのみ発症し、導入当初危惧された臍周囲での
合併症はわずかであった。
(結語)今回の検討では臍への癒着はほとんどみられず、2 回目の
手術の妨げとはならなかった。初回手術で炎症のあった症例や合併
症のおこった症例を除いては腹腔内にも癒着はほとんどおこってお
らず、2 回目以降であっても繰り返し臍からのアプローチで安全に
RPS が実施可能であり、創の集約につながると思われた。
W1-3
当院で施行した RPS 症例の合併症についての検討
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術における臍手術創につ
いて−単孔式では本当に創合併症が多いのか
【はじめに】当院では 2009 年より TANKO を初めとした RPS を導
入し、徐々に適応を拡大しながら症例を重ねている。2014 年 3 月
までに当院で施行した RPS 施行例について、その合併症について
検討した。
【対象】RPS を行った胆嚢摘出 187 例、虫垂切除 97 例、腹腔鏡下
鼠径ヘルニア修復(TAPP)69 例、結腸・直腸切除 32 例(左側 18
例、右側 14 例)の合計 385 例を対象に、それぞれの術中・術後合
併症について検討した。
【結果】術中合併症として、急性胆嚢炎に対する胆嚢摘出で 2 例の
胆管損傷を認め、開腹移行して修復を行った。その他には術中合併
症は認めなかった。術後合併症として、TAPP で 2 例(2.9%)に
再発を認め、3 例(4.3%)に SSI が認められた。SSI の 1 例は瘢痕
ヘルニアを来した。虫垂切除では 7 例(7.2%)に SSI を認め、うち
1 例が瘢痕ヘルニアを来した。結腸・直腸切除例では合併症は認め
なかった。
【考察・まとめ】術中合併症に対しては、ポートの追加や開腹移行
をためらわず行うことが肝要である。TAPP 後の再発はいずれも
直接ヘルニア症例の内側再発で、内側の剥離が不十分であったこと
が原因であったが、RPS に起因するものではないと思われた。SSI
の発生率は諸家の報告と同程度であった。臍部創の瘢痕ヘルニア
は避けるべき合併症であるため、当院では独自に開発した筋鈎を
用いて確実な創の閉鎖を心がけており、SSI に続発した症例以外に
は瘢痕ヘルニアの発生は経験していない。
W1-4
大腸疾患に対する Single-Port Surgery における
創閉鎖
千葉市立青葉病院 外科
福井県立病院 消化器外科
清水 康仁、安藤 克彦、小田 健二、土岐 朋子、
佐々木亘亮
石山 泰寛、平能 康充、秋山 玲子、道傳 研司、
服部 昌和
2009 年 6 月より単孔式腹腔鏡下手術を導入し、単孔式腹腔鏡下胆
嚢摘出術を 249 例経験した。これらの症例について臍の手術創の
合併症について検討したので報告する。
【TANKO cholecystectomy の手術手技】
臍部を約 2.5-3.0cm、
縦切開し小開腹する。現在は専用ポートを装着。
腹腔鏡は 5mm の軟性鏡を主に使用。従来のストレート型鉗子類 2
本のみを使用して pureTANKO で手術を遂行する。困難症例や状
況(術者の技量等)にあわせて Needle device やポートを追加する
方針としている。
術前臍処置は自宅(外来にて臍処置のパンフレットを渡す)と術
前に病棟で行う。創閉創は 3 層(①腹膜を連続縫合、②筋膜は単
結紮縫合閉鎖、③皮膚は単結紮・埋没縫合)で行っている。
【結果】2014 年 4 月までに 249 例(男性 128 例、女性 121 例)を経
験(胃部分切除 1 例、結腸切除 2 例、虫垂切除 1 例や瘢痕ヘルニア・
臍ヘルニア修復術各 1 例を併施)した。
平均年齢は 57 歳(24 ∼ 82 歳)
、平均 BMI は 24.2(16.7 ∼ 34.1)、
平均手術時は 116 分(53 ∼ 325 分)だった。創合併症は、創感染
5 例(2.0%)
、他に創感染された 1 例が遅発性の瘢痕ヘルニア(0.4%)
を生じた。
【まとめ】3 層にて行う臍手術創の閉鎖は創合併症も少なく、有用
と考えている。コツは皮膚閉鎖を極めてラフにすることと思って
いる。
【はじめに】臍は不潔であり創感染が危惧されるため従来は切開す
ることを敬遠されてきた経緯がある。そのため、臍を切開する単
孔式腹腔鏡下大腸手術では手術創の感染が高率と考えられている。
しかしながら、当科で 2010 年 8 月より Single-Port Surgery(SPS)
を大腸疾患に導入した結果は手術創感染の発生率が 1%以下と極め
て良好な結果であった。この結果を踏まえて当科で施行している
創閉鎖法をおよび成績を報告する。【手技】手術は臍部に約 2.5cm
の縦切開創を置きラッププロテクター、EZ アクセスを使用した。
創の閉鎖は筋膜を結節縫合した後、生理食塩水にて洗浄。真皮縫
【結
合を行った後、表皮層をダーマボンド*アドバンストにて閉鎖。
果】2010 年 8 月より大腸疾患 424 例に対して単孔式腹腔鏡下手術
を施行した。臍部を切開しなかった症例は 1 例のみであった。こ
の 1 例を除いた 423 例中、手術創感染は 3 例(0.7%)(S 状結腸癌、
S 状結腸憩室、回腸悪性リンパ腫症例各 1 例)のみであった。ま
た腹壁瘢痕ヘルニアも 3 例(0.7%)と良好な結果を得ている。
【考
察】臍部を使用した SPS は、手術創感染の発生率の低下を期待でき、
患者の QOL を向上できる可能性が示唆された。臍部は皮下脂肪が
少なく浸出液が少ないことや、手術時に臍を反転し清拭すること
で臍よりの切開創への感染の可能性が低下することがその要因と
考えている。
― 46 ―
W1-5
Reduced Port Surgery における胆嚢摘出術の
合併症
W1-6
単孔式腹腔鏡下大腸切除術における術中出血に対
する処置
1
つがる総合病院 一般・内視鏡・心血管・呼吸器・乳腺
外科、2 ときわ会病院 外科
1
笹田 大敬 1、
若山 文規 1、
境 雄大 1、
長尾 好治 1、
岩渕 圭 1、八木橋信夫 1、永山 淳造 2
小林 宏寿 1、
菊池 章史 2、
岡崎 聡 2、
石黒めぐみ 3、
石川 敏昭 2、飯田 聡 2、植竹 宏之 3
【目的】
当科では 2009 年より胆嚢摘出術は単孔式を基本としており、
pure Tanko、SILS plus one puncture(POP)などを施行している。
2013 年 6 月までの単孔式で施行した胆嚢摘出術の合併症につき検
討す。
【対象】当科での 2009 年 5 月から 2013 年 6 月 3 日までの単孔式腹
腔鏡下嚢摘出術手術を受けた 160 症例を対象とした。
【成績】単孔式全体 160 例では、手術時間は 116 分、出血量は 16g、
術後在院日数は 4.5 日であった。手術時間の最大は 363 分、出血
量の最大は 902g で輸血は不要で、術後在院日数の最大は胆汁漏の
患者で 70 日であった。SILS POP は 123 例、pure SILS は 24 例、
Tanko(parallel)POP は 1 例、pure Tanko は 12 例であった。従
来法への移行例は 17 例。術中合併症は、
胆嚢損傷が 23 例、
出血 2 例、
腹膜損傷 1 例、胃穿孔 1 例だった。術後合併症では、創関連が 11
例であったが、臍の創は 8 例であった。創以外は、術後総胆管結
石が 3 例、
無気肺が 2 例、
術後腸麻痺と胆汁漏が 1 例ずつであった。
また術中・術後合併症ともに Clavien-Dindo 分類で Grade IIIb 以上
のものは認めなかった。
【結語】術中・術後合併症ともに重大な合併症は認めず、標準術式
として良いと思われた。
【背景】大腸癌に対する腹腔鏡下手術が広く行われるようになってい
る。また、更なる低侵襲を求めて単孔式内視鏡手術や needlescopic
surgery を行う施設もある。今回われわれは大腸癌に対する単孔式
腹腔鏡下回盲部切除中の出血に対して 5mm ポート一本を追加する
ことで止血ならびに腹腔鏡下手術を完遂した 1 例を経験したので、
報告する。
【 症 例 】71 歳、 女 性。 盲 腸 癌(C, type 2, cT3, cN1, cM0, cStage
IIIa)に対して単孔式腹腔鏡下回盲部切除術(D3 郭清)を施行した。
【経過】術中に回結腸静脈からの出血を認めたため、下腹部正中に
5mm port を 1 本追加し止血に活用した。手術時間は 3 時間 00 分、
出血量は 5ml であった。
術後経過良好にて術後第 7 病日退院となった。
【結語】今後も更なる低侵襲手術が広がることが予想されるが、そ
れと同時に手術創や使用できる手術器具には制限が加わる。単孔
式アプローチは、その美容性より治療選択肢の一つとして有用と
考えられるが、術中の出血等に際してはポートを追加することで
安全に対処できる可能性が示唆された。
W1-7
肥満患者の RPS における臍部アプローチは創部感
染が多い
1
2
3
W1-8
2
東京医科歯科大学 低侵襲医学研究センター、
同 腫瘍外科、
同 応用腫瘍学
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術後の腹壁瘢痕ヘルニア
手術症例の検討
福山市民病院 外科
四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センター、
同 外科
中野 敢友
笠間 和典 1、
関 洋介 1、
橋本 健吉 1、
梅澤 明子 2、
渡邊 友美 2、黒川 良望 2
【背景】単孔式手術は通常の腹腔鏡手術と比較して整容性に優れている。
我々は 700 例の腹腔鏡下減量外科手術を行ってきたが、近年その整
容性の高さから、Reduced port surgery(RPS)を減量外科にも取
り入れている。今回、減量外科における RPS の合併症である創感
染に関して検討した。
方法)四谷メディカルキューブきずの小さな手術センター外科に
おいて臍部からのアプローチを行った腹腔鏡下胆嚢摘出手術(LC)
1300 例および単孔式胆嚢摘出術(TC)150 例と同減量・糖尿病
外科センターにて施行した 207 例の腹腔鏡下スリーブ状胃切除術
(LSG)および臍部からの RP スリーブ状胃切除術(RP-SG)13 例に
おける創部感染の割合を検討した。
結果)LC の創部感染(臍部)は 10 例:0.77%、TC は 1 例:0.67%、
LC は 1 例:0.48%、RP-SG は 5 例:38.5%であった。
考察)RP-SG における臍部感染率は、臍部からのアプローチを行う
LC や同じ創縁保護具を使う TC、腹腔内で同じ操作を行う LC と比
較しても圧倒的に高い。LC は標本をバッグにいれて摘出するが創
縁保護具を用いないし、LSG はバッグも用いず右側腹部から切除胃
を摘出するが、TC と同様の創縁保護具を用いる RP-SG は感染率が
高い。肥満患者の臍が深く、術前に入念な洗浄、消毒を行っても十
分に清潔になりえないと考えられる。
結論)肥満患者に創部からのアプローチを行う場合には、創感染の
リスクが高くなる。合併症に関しての十分な説明が必要である。
しかしマルチチャンネルポート法では、ポート挿入のために臍部筋膜を
十分に切開する必要があり、腹壁瘢痕ヘルニア発症時にはヘルニア門が
大きくなることが懸念される。
【方法】2009 年から 2013 年 9 月までに単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(以
下 SILS 胆摘)を施行した 245 例の術後腹壁瘢痕ヘルニア発症に関して
検討を行った。
【結果】245 例中 3 例(1.2%)に腹壁瘢痕ヘルニアを認め、いずれも腹
腔鏡下修復術を施行した。症例 1 は 73 歳男性。SILS 胆摘後 9 ヶ月目に
腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した。ヘルニア門のサイズは 5.0
× 3.9cm であり、15 × 10cm のデュアルメッシュを用いて修復を行った。
症例 2 は 71 歳男性。術後 7 ヶ月目に腹腔鏡下修復術を施行し、ヘルニ
ア門は 7.0 × 4.0cm、15 × 10cm のデュアルメッシュにて修復を行った。
症例 3 は 74 歳女性で、ヘルニアサイズは 4.0 × 3.0cm、12cm 円形のパ
リテックスコンポジットメッシュにて修復を行った。いずれも術後合併症
なく経過し、観察期間 36 ヶ月、33 ヶ月、15 ヶ月でいずれも再発は認め
ていない。
【考察】今回の検討では SILS 胆摘後の腹壁瘢痕ヘルニア発症率は
1.2% と高くはないものの、ヘルニア門は最大 7.0cm であった。整容性
を特に希望されない症例に対する Reduced port surgery としては、
Needlescopic surgery が適当と思われ、単孔式手術の適応は慎重であ
るべきかもしれない。
― 47 ―
W2-1
W2-2
経膣的胆嚢摘出を伴う腹腔鏡下胆嚢摘出術の経験
日本医科大学 消化器外科、2 日本医科大学千葉北総病
院 外科
斎藤 一幸、多賀谷 信美、立岡 哲平、久保田 和、
竹上 正之、菅又 奈々、奥山 隆、菅又 嘉剛、
吉羽 秀麿、大矢 雅敏
「はじめに」既存の手術器具にて実行可能で、従来の内視鏡下手術
に比べより低侵襲性を提供でき、腹壁破壊を最小限にするために、
我々は Natural orifice を利用した標本摘出法として膣ルートを用い
た腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しているので報告する。
「対象および方法」症例は 4 例で、平均年齢は 60 歳(39-81 歳)
、2
例に腹部手術既往があった。ポートは臍に 5mm、心窩部および右
季肋下に 3mm を刺入した。3 例には通常の腹腔鏡下あるいは細径
内視鏡下に胆嚢摘出を行い、胆嚢を回収バッグに収納後、後膣円蓋
より 12mm ポートを挿入し、そこより体外に摘出した。残る 1 例
は経膣的に 12mm ポートを留置後、そこより挿入した長さ 60cm で
外経 5mm の 30°斜視型硬性内視鏡観察下に腹部に挿入した臍部お
よび心窩部のポートより胆嚢摘出を行い、経膣的に胆嚢を体外に摘
出した。膣孔は体外より縫合閉鎖した。
「結果」4 例全例が完遂された。手術時間は平均 64.5 分(46− 85 分)
、
1 例のみ術後鎮痛剤を 1 回使用した。下腹部や膣の痛みは認められ
ず、術中偶発症や術後合併症は認められず、術後在院日数は平均 3
日(2-4 日)であった。
「結語」本法は経膣的に胆嚢を取り出すことで、創痛の軽減および
整容面の向上につながり、女性に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の有効
な選択肢に成りうると思われた。
W2-3
右側結腸癌に対する Reduced Port Surgery
1
獨協医科大学越谷病院 外科
消化器疾患に対するNOSE(Natural orifice specimen
extraction)手技による Incision Less Surgery
進士 誠一 1、
小泉 岐博 1、
菅 隼人 1、
松本 智司 2、
1
1
1
中村 慶春 、
山田 岳史 、
山岸 杏彌 、横山 康行 1、
岩井 拓磨 1、内田 英二 1
【はじめに】我々は右側結腸癌において計画的に右下腹部にトロ
カールを挿入する単孔式(TANKO+1)腹腔鏡補助下回盲部切除
(ICR)を Pure TANKO へのステップとして行ってきた。一方で
アンカー式リトラクターである Internal Organ Retractor が開発
され、これを右側結腸授動時の牽引用補助具として使用すること
で Pure TANKO の難易度を軽減させ、従来法と同様の手術手技を
可能にさせると考え導入している。【目的】右側結腸癌に対する単
孔式腹腔鏡補助下大腸切除術の手技の工夫をビデオで供覧し手術
成績を検討。【対象】2012 年 11 月∼ 2014 年 4 月までの右側結腸癌
10 例。【手術手技】臍部に約 3cm の縦切開を置き小開腹。EZ アク
セスを装着。牽引用補助具を用い回結腸動静脈の Pedicle を腹側に
牽引し術野を展開。内側アプローチで右結腸を授動後、回結腸動
静脈を処理。牽引用補助具で右側結腸を内側に牽引し外側アプロー
チにて右結腸を完全に授動。体外で上行結腸と回腸を離断し標本を
摘出。機能的端々吻合にて再建。TANKO+1 では牽引用補助具を
用いず右下腹部に 5mm ポートを追加。【成績】TANKO+1-ICR:8
例。Pure TANKO-ICR:1 例、Pure TANKO+1- 右結腸切除:1 例。
平均 BMI22.4、平均手術時間 201 分、平均出血量 21ml、平均リン
パ節検索個数 15.2 個、平均術後在院日数 7.4 日。【結語】右側結腸
癌における Reduced Port Surgery は従来法と変わらない安全性と
根治性を有する有用なアプローチ法と考えられる。
W2-4
右側結腸がんに対する hybrid NOTES と単孔式手
術の比較
前橋赤十字病院 外科
立川綜合病院 外科
富澤 直樹
蛭川 浩史、佐藤 洋樹、武居 祐紀、斉藤 敬太、
多田 哲也
緒言:腹腔鏡手術の更なる低侵襲化として Reduced port surgery
や SIRS が広まりつつあるが、小開腹による体壁破壊は低侵襲化
へ の 最 大 の neck で あ る。 当 院 で は 2008 年 よ り NOSE(Natural
orifice specimen extraction)手技による小開腹を省略する Incision
Less Surgery(以下 ILS)を積極的に行っているので報告する。対
象と方法:対象は病変が悪性腫瘍なら郭清された組織とともに経
肛門・経膣的に摘出可能な症例。BMI<25 かつ腫瘍径 5cm 以下を
適応基準とした。Wong-Baker Face Scale で疼痛評価した。方法
は下部直腸病変は反転法を適応、DST 吻合が可能な症例は Anvil
head を 経 肛 門 的 に 口 側 腸 管 に 留 置、DST 吻 合 す る こ と で 小 開
腹を省略。DST 吻合が困難な症例は手縫い吻合とした。結腸病
変では左側は肛門側腸管を経由して摘出する TASE(Transanal
specimen extraction) を 主 に 適 応 し、 右 側 は 経 腟 的 に 摘 出 す る
TVSE(Transvaginal specimen extraction)を行い、体腔内機能
的端々吻合や End-PSI を用いた DST で ILS とした。結果:全 111
症例 128 病変に ILS を適応した。ISR5 例、直腸反転法 40 例(手縫
い 15 例、DST25 例)
、TASE39 例、TVSE29 例。 NOSE 手技に関
するトラブルなく局所再発はなかった。疼痛評価は通常の腹腔鏡
下手術と比較し優位に少なかった。結語:ILS の適応は大腸疾患で
約 30% と症例は限定されるが、その低侵襲性は驚異であった。総
じて BMI 低値の手術のやりやすい症例が多いため Reduced port
を試みさらなる低侵襲化を図っている。
【目的】経腟的に挿入した腹腔鏡下に完全鏡視下手術を行い経腟的
に摘出する hybrid NOTES による結腸切除術症例(N 群)と、単
孔式結腸切除術症例(S 群)について、
術後短期成績を比較した。【対
象と方法】2011 年 11 月から 2014 年 4 月まで、腫瘍の局在が横行
結腸までの 12 例、対象は、同時期に施行した単孔式手術による症
例(S 群)24 例。手術時間、出血量、術後合併症、術後疼痛の程度、
在院日数などの項目で比較。【手術手技】N 群では経腟的に挿入し
た 10mm ポートから腹腔鏡を挿入、経腟腹腔鏡下に完全腔内切離
吻合後、
標本は経腟的に摘出。S 群では臍を約 3cm 切開しマルチポー
トデバイスを挿入。吻合は鏡視下ないし小切開口から施行。両群
とも腸管切離先行による no touch isolation technique を用いた。
【結
果】N 群と S 群で、平均年齢は 81:75 と有意差あり。手術はすべ
て右半結腸切除術、N 群はすべて D3 郭清、S 群は 2 例が D2。手
術時間、出血量はそれぞれ 340 分:236 分、33ml:21ml と N 群が
多かった。創感染は N 群にはなかったが、S 群で 2 例に見られた。
第一病日の VAS scale の平均は 1.5:2.5、第二病日は 1.5:2 だった。
【結語】Hybrid NOTES による結腸切除術は、術後疼痛が少なく、
高齢者に対しても安全に施行可能。また、創合併症を軽減する可
能性が示唆された。
― 48 ―
W3-1
横行結腸癌に対する Single-port surgery, Reducedport surgery ―3 次元再構築画像による術前シミュ
レーション―
W3-2
順天堂大学浦安病院 外科・低侵襲外科
大阪大学大学院 医学系研究科 消化器外科学
勝野剛太郎、福永 正氣、李 慶文、永仮 邦彦、
菅野 雅彦、飯田 義人、伊藤 嘉智、大内 昌和、
平崎 憲範、東 大輔
浜部 敦史、竹政伊知朗、植村 守、西村 潤一、
畑 泰司、水島 恒和、山本 浩文、土岐祐一郎、
森 正樹
【背景】Single-port surgery(SPS)
、
Reduced-port surgery(RPS)は、
Conventional laparoscopic surgery と比較して腹壁破壊を減弱し、
更なる低侵襲性を達成できると期待されている。SPS、RPS は C/A/
S/RS に局在する癌を中心に適応が広がっているが、横行結腸癌に対
しては未だ実施症例は少ない。特に中結腸動脈根部周囲の処理を伴
う場合には難易度が非常に高い。当教室では術前に 3 次元再構築画
像による解剖把握を行い、安全性・根治性を確保している。当教室
の横行結腸癌 SPS、RPS の成績を検討し、手術ビデオを供覧する。
【方法】2009-2013 年に当教室で実施した SPS、RPS 322 例のうち、
横行結腸癌 20 例を対象とした。血管造影 CT、PET、注腸造影結果
を overlay し 3D triple fusion 画像を作成し、血管走行、主腫瘍・腸
管・周囲臓器の解剖を把握した。
【結果】症例は男性 11 名、女性 9 名。年齢 69 歳。cStage は 0/I/II:
5/11/4 例。リンパ節郭清度は D1/D2/D3:1/9/10 例。7 例で中結腸
動脈根部を切離した。8 例で 1 本ずつ追加ポートを挿入した。手術
時間は 244 分、出血量は 113ml であった。リンパ節郭清個数は 16.5
個で、断端はいずれも陰性であった。術後合併症は腸閉塞が 1 例、
吻合部出血が 1 例、
膵炎が 1 例であった。術後在院日数は 14.5 日であっ
た。
【結語】中結腸動脈根部周囲の解剖を詳細に把握することで、安全性・
根治性を保ち、横行結腸癌に対して SPS、RPS の適応を拡大するこ
とが可能と考えられた。
W3-3
大腸疾患に対する Reduced Port Surgery の現状
我々は大腸癌に対して Reduced Port Surgery(RPS)の究極とし
て Single Port Surgery(SPS)を導入。cN1、cSS までを当科での
適応としており、BMI や腫瘍の局在の制限はない。導入当初は S
状結腸、上部直腸、右側結腸に適応を限定したが、手技の安定化お
よび +1port あるいは +1puncture 追加(SPS+1)することで下部
直腸や下行、横行結腸癌の一部や困難症例に対しても安全に施行
することが可能となってきた。
【手技】手術手順は従来法に準ずる。右側病変は盲腸から肝弯曲部
レベルの腫瘍、左側病変は上部直腸から下行結腸の一部の症例まで
は pureSPS で対応可能と考える。一方、脾弯授動を要す横行結腸
癌の一部や困難症例に対しては +1port あるいは +1puncture 法を
導入し RPS で対応。 直腸下部病変で通常の切離が困難である場合
は、計画的にあらかじめ 1 ポート追加し、安全に直腸切離を行うか、
可能な場合は反転法を用いた NOSE で対応する。
【成績】大腸癌に対する SPS 全 220 症例のうち、SPS+1 を行った症
例は 25 例。このうち 15 例は視野不良による直腸切離不能あるい
は反転不能な Ra レベルの直腸癌症例。NOSE 反転法症例は 20 例。
術後経過良好、縫合不全なし。
【結論】当 科の成績はこれまでのところ良好であり、大腸癌に対す
る SPS/RPS の適応・手技は妥当であると考える。症例により適切
に SPS/RPS を使い分け、また pureSPS 困難症例では NOSE 反転
法や RPS を導入することにより SPS/RPS の feasibility は向上する
と考える。
W3-4
福井県立病院 外科
直腸脱に対する細径鉗子を用いた腹腔鏡下直腸固
定術の工夫
鳥取市立病院 外科
平能 康充、服部 昌和、道傳 研司、石山 泰寛、
秋山 玲子、橋爪 泰夫
【はじめに】当科では 2010 年 8 月に大腸疾患に RPS を導入し 2014
年 3 月までに大腸疾患 424 例に対して本術式を施行してきた。現
在では、全大腸疾患に対して RPS を標準術式としている。当科で
の定型化した手術手技を供覧するとともに、本術式の成績に関し
て報告する。
【手技】臍部に約 2.5cm の縦切開を置き小開腹とす
る。装着した EZ アクセスにトロカールを 3 本挿入し手術を施行
(TANKO)。直腸癌に対しては、右下腹部にトロカールを挿入し
(TANKO+1)手術を施行する。手術に際しては EZ アクセスを回
転させスコープと術者の両手の鉗子の Coaxial な関係を維持するこ
とを基本とし、展開が不十分な際には EndoGrab の使用や EZ アク
セスに鉗子を直刺しすることにより展開の補助を行うことでほぼ
従来法と変わらない手術が可能と考えている。【結果】2013 年 12
月までに大腸腫瘍性病変 380 例に対して本術式を適応した。手術
の完遂率は 93.2% であったが、手術手技に関した移行は 6 例のみ
であった。手術時間の検討では、各術式の経験で有意に手術時間
の短縮が見られた。また平均摘出リンパ節個数 25 個、術後合併症
は軽微なものを含めて 21 例(5.9%)と手術の安全性も担保されて
いた。【まとめ】大腸疾患に対する RPS は、優れた整容性を有しつ
つ安全に施行可能であり、手技の定型化によりほぼすべての大腸
手術に適応可能と考えている。
大 腸 癌 に 対 す る single/reduced port surgery の
適応と限界
加藤 大、大石 正博、小寺 正人、山村 方夫、
池田 秀明、水野 憲治、谷 悠真、山下 裕
【目的】直腸脱に対する手術として、
我が国ではガント・三輪・ティー
ルシュ手術が主流であったが、最近腹腔鏡手術で行われる機会が
徐々に増えてきた。今回当科で行っている細径鉗子を用いた腹腔
鏡下直腸固定術の工夫について報告する。
【方法】臍部を 2cm 切開
し EZ アクセスを装着し 5mm ポートを 2 本挿入する。仙骨部にコ
イルをできるだけ直角に打ち込むために、右下腹部に 5mm ポート
を挿入する。必要に応じて左下腹部に助手用細径鉗子を 1 本挿入す
る。体位を頭低位し、重力を用いて小腸を頭側に排除する。直腸
固有筋膜を下腹神経前筋膜より剥離し、肛門挙筋近傍に到達する。
直腸を頭側に引き上げ、直腸固有筋膜と仙骨を非吸収式コイルで
固定する。
【結果】
この手術は直腸癌の TME を応用した手技であり、
直腸癌に対して腹腔鏡手術を導入している施設では、非常に取り
組みやすい手技であると考えられる。従来のガント・三輪・ティー
ルシュ手術に対して術後疼痛は非常に少なく、食事開始時期は早
く、在院日数も短いと思われる。【結語】症例数は少ないが、現在
までに再発例は認めていない。我々の手術手技を供覧する。
― 49 ―
W3-5
下 行 結 腸 癌 に 対 す る 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 Complete
Mesocolic Excision(CME)の手術手技
W3-6
立川綜合病院 外科
1
横須賀共済病院 外科、2 横浜市立大学市民総合医療セ
ンター 消化器病センター、3 横浜市立大学医学部 消化器・
腫瘍外科
渡邉 純 1、
大田 貢由 2、
諏訪 宏和 2、
樅山 将士 3、
3
1
1
石部 敦士 、茂垣 雅俊 、舛井 秀宣 、長堀 薫 1
【背景】下行結腸癌は左結腸動脈(LCA)、副中結腸動脈(aMCA)
や脾彎曲部から下腸間膜静脈中枢側に直接流入する静脈の変異に
沿ったリンパ流を考慮に入れて CME を行う必要がある。また脾彎
曲の授動が必要であり単孔式手術においては難易度が高い。
【目的】
下行結腸癌に対する単孔式 CME(SPCME)の手術手技を供覧す
る。
【手技】アクセスポートは EZ アクセス、エネルギーデバイス
は LCS を用いる。視野展開には体位変換を十分に活用する。まず
網嚢を開放し胃結腸間膜を脾下極まで切離する。IMA 根部より頭
側尾側に腹膜を切開し、内側剥離を膵の下縁から尾側まで十分に
行う。血管処理の前に内側剥離を十分に行っておくことが視野展
開上重要である。LCA を根部で切離し上直腸動脈は温存、IMV は
LCA 切離レベルで末梢側を切離する。aMCA、静脈の処理が必要
な場合には aMCA、IMV 中枢側を膵下縁レベルで切離する。外側
アプローチで SDJ から脾下極まで外側を剥離し、膵下縁で横行結
腸間膜を外側に向かい切離し脾彎曲を授動する。臍小開腹から体
外で腸管の切離吻合を行う。
【対象・方法】2012 年 4 月から下行結
腸癌に対し SPCME を施行した 8 例を検討【結果】手術時間 167 分、
出血量 44ml、port の追加・開腹移行なし、創長 38mm、術後在院
日数 6 日であった。術後合併症は創 SSI を 2 例に認めた。【結語】
下行結腸癌に対する SPCME は本手技により安全に施行可能であ
る。
W4-1
蛭川 浩史、佐藤 洋樹、武居 祐紀、斉藤 敬太、
多田 哲也
横行結腸切除術は血管の走行に変異が多くかつ膵損傷の危険もあ
り困難な術式と考えられている。当院では横行結腸癌に対しても
積極的に reduced port surgery を導入している。当科の成績を報
告する。
【対象】2010 年から 2014 年まで横行結腸癌に対する RPS を行った
15 例。手術時間、出血量、
周術期合併症、術後経過について検討した。
【手術手技】臍を 3㎝切開した単孔式手術とする。手技が困難な場
合は左あるいは右上腹部に 5mm ポートを追加。結腸間膜を切離し
網嚢を開放し、脾弯曲、肝弯曲を受動。中結腸動脈、上腸間膜静
脈などを同定しておく。腫瘍から 10cm の部位で結腸を切離、針糸
で腹壁に牽引しておく。中結腸動脈根部周囲を頭側からの剥離と
はさみうちするように剥離を進め D3 郭清を行う。局在が右側の時
は右半側結腸切除、左側の時は左半側結腸切除とする。
【結果】術式は、右半側結腸切除術 9 例、横行結腸切除術 6 例。手
術時間は平均、283 分、出血量は 12ml。単孔式手術は 10 例、1 ポー
ト追加は 3 例、2 ポート追加は 2 例だった。すべて第 1 病日より歩
行開始、第 3 病日より経口摂取開始。術後合併症は 1 例が腸閉塞
を来たし再手術を要した。術後在院期間中央値は 8 日。その他の
合併症なし。
【結語】横行結腸癌に対しても RPS は適応可能と考えられた。
W4-2
短期滞在手術基本料を考慮した単孔式 TEP
横行結腸癌に対する reduced port surgery
慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科
手術コストを意識した、安全に行う単孔式腹腔鏡
下虫垂切除術
公立学校共済組合東海中央病院 外科
和田 則仁、古川 俊治、北川 雄光
日比 健志
【はじめに】平成 26 年度診療報酬改定では、高度急性期と一般急性
期を担う病床の機能分化として短期滞在手術基本料の見直しが行
われた。一定程度治療法が標準化し短期間で退院可能な手術は包
括範囲が全診療報酬点数となり、入院日数に関わりなく成人鼠径
ヘルニア手術は 24,805 点、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は 51,480 点
となった。そこで当科の治療戦略と術式、保険請求点数を後ろ向
きに検討し妥当性を評価した。【方法】対象は 2013 年 8 月∼ 2014
年 1 月に当科で手術を行い、
「ヘルニア手術 5 鼠径ヘルニア(15 歳
以上)」
(O群)
、「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)
(15 歳以上)
」
(L群)に該当する患者の 58 例である。【結果】DPC での請求点数
はO群の 1 泊 2 日は 15,563 点、2 泊 3 日は 19,315 点、L群の 1 泊 2
日は 35,029 点、2 泊 3 日は 40,263 点であった。
【考察】当科では片
側では Lichtenstein 法、両側では TEP を原則としてきた。今回の
改定ではそれぞれ 24,805 点、51,480 点となり、いずれの術式でも
点数が増加した。特に TEP は局所麻酔で行い、
バルーンやタッカー
を用いない点でコストを抑えることが可能で、病院の収益にも貢
献可能であると考えられた。対象患者では全例合併症なく手術翌
日に退院可能であり、患者満足度も高かった。新しい DRG の保険
制度下で有用な治療戦略になりうると考えられた。
【目的】単孔式虫垂切除は低侵襲性や整容性に加え、2 人の外科医
しか必要としない点も、昨今の外科医不足の中で評価される術式
である。しかし通常単孔では高価な医療材料を使用することが多
いことが、コスト的に問題である。我々は 100 例程の単孔式虫垂
切除を行っているが、鏡視下手術初心者においても安全で、しか
も低コストの節約単孔を施行しているので報告する。【方法】1.
単孔式手術を安全に行うために、臍に 3cm の皮切を加え、フリー
アクセスもしくは E-Z アクセスを使用している。2.虫垂の炎症が
強い場合は、エンドグラブにより腹腔内で臓器の吊り上げを行う
ことで助手の代わりとし、手術難度を下げている。3.虫垂間膜の
切離には LCS やクリップを使用せず、電気メスと 3-0 吸収糸によ
る腹腔内結紮を用いている。虫垂切除には自動縫合器は用いずに、
やはり腹腔内結紮もしくはエンドループを用いている。
【成績】現
在まで術後合併症は認めておらず、出血量は少量、手術時間は 90
± 46 分で行うことが出来、通常単孔と差異は認めない。節約単孔
には臓器や血管の剥離、体腔内結紮といった鉗子操作の基本が含ま
れるので、初心者が鏡視下手術を始める際の登竜門的役割を果た
している。コストについては概算ではあるが通常単孔の場合、LCS
加算を合わせて 144700 円の収入に対し、200500 円の支出、我々の
節約単孔の場合、114700 円の収入に対し、67333 円の支出となっ
ており、その差は歴然である。
― 50 ―
W4-3
Reduced port surgery(RPS)における経済性を重
視した術式(Reduced Cost Surgery)開発について
W4-4
国際親善総合病院 外科
奈良県西和医療センター 外科
亀山 哲章、冨田 眞人、三橋 宏章、宮田 量平、
馬場 誠朗、天田 塩
池田 直也、上野 正闘、金村 哲宏、榎本 浩士、
北野 睦子
単孔式鏡視下手術(TANKO)を代表とする Reduced Port Surgery
がその高い整容性により注目を集めている。当施設では 2009 年に奈
良県内で最も早くにこの手技を導入し、現在では胆のう良性疾患、
非穿孔性虫垂炎に対しては TANKO を標準術式としているほか、胃・
小腸・大腸良性腫瘍などの疾患や腹膜生検に対しても積極的に行っ
ている。今回、当施設で開発した新たな手術手技 gasless TUSILAA
の有用性、安全性、及び医療経済面における利点について報告する。
gasless TUSILAA とは虫垂炎に対して吊り上げ法で行う TANKO
であり、非常に単純で簡便な手術手技である。本手技の非穿孔性虫
垂炎 50 例に対する成績は手術時間 59 分、術後在院日数 4 日と良好
で、術中・術後に本手技に起因する合併症は認めなかった。経済性
を重視した利点として、ディスポーサブル製品を用いないため必要
経費は開腹下虫垂切除術と全く同等である。本手技は傷痕を残さな
いため患者に喜ばれ、また収益が大幅に増加するため病院に歓迎さ
れ、尚且つ気腹に必要な二酸化炭素やディスポーサブル製品を用い
ないため医療経済性に優れており「三方よし」の手術手技であると
考える。尚、MEDLINE/PubMed で検索しえた範囲では、このよう
な手術手技は欧米においても報告されていないことから学術的にも
興味深い手術手技であると考え報告する。
W4-5
ガスレス式腹壁全層吊り上げ法を用いた単孔式腹
腔 鏡 手 術(GSILS with AWL) に よ る Reduced
Cost Surgery
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の経済性
【はじめに】現在までに単孔式腹腔鏡手術を 650 例以上経験し、約半
数が胆嚢摘出術(SP-C)であり 91%が Pure SP-C である。アプロー
チ方法はグローブ法、SILS ポート、EZ アクセスなどを使用したが、
現在ではグローブ法で行っており、
その経済的側面について検討する。
当院での SP-C は、臍窩に 1.5cm の縦切開、開腹後ウンドリトラク
ター XXS を挿入。グローブを装着し、5mm ポートを 2 本および
弯曲鉗子を直に挿入している。使用する器具は、弯曲鉗子、メリー
ランド型バイポーラ鉗子、ハサミ鉗子、クリップ、5mm 軟性鏡で
ある。必要に応じて洗浄吸引鉗子を使用している。
【結果】SP-C のランニングコストは、
12444 円(ウンドリトラクター:
8400 円、イエローポートのバルブ:2000 円× 2、グローブ:44 円)
である。EZ アクセスを使用した SP-C でのランニングコストは、
24200 円(EZ アクセス:7600 円、ラッププロテクター:6600 円、
EZ トロッカー:3500 円× 2 + 3000 円)となる。
conventional LC におけるランニングコストは 36900 円であった。
【結語】同一術者で SP-C と LC を比較した場合、手術成績におい
て有意差を認めなかったことから、エキスパートでは SP-C は安全
に施行できる術式であると言える。さらに、グローブ法を用いた
SP-C は、経済的メリットが高いと考えられる。
W4-6
早 期 肺 癌 に 対 す る Single port thoracoscopic
surgery(SITS) と conventional VATS に 関 す
る手術成績と医療経費の比較検討
長浜赤十字病院 外科
日本医科大学千葉北総病院 呼吸器外科
下松谷 匠、谷口 正展、丹後 泰久、中村 一郎、
中村 誠昌、川口 晃
平井 恭二
【目的】単孔式内視鏡手術は多くの施設で気腹式により行われてい
るが、その手技や視野展開の制限があり、またディスポ製品の使
用によりコストも増加する。2009 年以来当院では西井式吊り上げ
鉤を用いた腹壁全層吊り上げ法により単孔式腹腔鏡手術(Gasless
Single Incision Laparoscopic Surgery with Abdominal Wall Lifting
:GSILS with AWL)を行っている。腹腔鏡下胆摘のうち単孔式
の 占 め る 割 合 は 2011 年 19/73(26.0%)
、2012 年 25/74(33.8%)
、
2013 年 46/73(55.3%)と年々増加の傾向がある。
【方法】創縁を
保護し、金属の吊り上げ鈎を 2 本腹腔に挿入し、挙上器を用いて
腹壁を全層で吊り上げる。トロッカーを使用せず flexible scope と
2 ないし 3 本の鉗子で手術を行う。気腹法に比べ臍部の小開腹創に
余裕があり鉗子操作に制限が少ないため、通常の腹腔鏡用手術器具
を使用して手術ができ、吸引、洗浄、ガーゼの出し入れも容易であ
る。
【結果】5mmClip 以外ディスポ製品を使用することがほとんど
なく、摘出臓器の大きさに応じて手術当初から臍の創を開大するこ
とにより手術操作の制限も減ずる。胆嚢摘出術以外、
肝嚢胞開窓術、
胃部分切除、幽門側胃切除、噴門側胃切除、結腸右半切除術、左副
腎摘除術、尿膜管切除、審査腹腔鏡、虫垂切除などを行った。
【結
論】腹壁全層吊り上げ法を用いた単孔式腹腔鏡下手術はコストが低
く Reduced Cost Surgery としても有用と思われる。
患者のインフォームドコンセント取得の後、早期肺癌(I 期のみ)
に対して SITS を行った。さらに、c-VATS(3 ないし 4 ポート孔
による)での手術因子ならびに医療経済の観点からも比較検討を
行った。(目的)SITS と c-VATS の治療成績を比較する。
(対象と
方法)2011 年 3 月∼ 2014 年 4 月までに同一術者による臨床病期 I
期非小細胞肺癌手術例、SITS 40 例、c-VATS 10 例。SITS は前腋
窩線に約 5cm 大の小切開創を作成し、創部にラッププロテクター
ミニを装着し、30 度斜視の 10mm 胸腔鏡使用し、対面倒立 2 モニ
ター特殊な器具は使用せず。(結果)SITS と c-VATS の年齢、出
血量、手術時間、ドレーン留置期間、術後在院日数、CPKmax,、
CRPmax、リンパ節郭清総個数、自動縫合器使用総個数については
2 群間で差はなかったが、、VAS、NRS、アロディニア出現頻度で
は SITS が有意に低かった。SITS は術創が 1 つであるため血管処
理において自動縫合器が角度的に使用不能であることがあるが、葉
間へのアプローチが容易であることより貫通結紮が施されること
が多く、自動縫合器の使用数も必然的に SITS で減少傾向がみられ
た。ポートも使用せず、術後疼痛も少ないため術後鎮痛剤の使用頻
度も低下した。
(考察)早期肺癌での SITS の手術成績は c-VATS
と遜色なく、医療経費上では上回っている可能性が示唆された。
― 51 ―
W5-1
W5-2
単孔創閉鎖目的に作製した Y 字双鈎の有用性
1
西陣病院 外科、2 市立奈良病院 外科
1
1
新たな単孔式ポート開発の経験
大阪医科大学 一般・消化器外科
1
1
高木 剛 、
小林 博喜 、
小泉 範明 、
福本 兼久 、
中瀬 有遠 2
朝隈 光弘、井上 善博、米田 浩二、清水徹之介、
廣川 文鋭、宮本 好晴、林 道廣、内山 和久
単孔式腹腔鏡下手術が導入され、術後の患者満足度から症例件数は
年々増加している。そして単孔となる臍切開創も整容性を更に向
上させるために縮小傾向にある。しかし切開創が縮小するにつれ、
閉創時の腹膜ならびに筋膜の縫合閉鎖は困難となる。縫合閉鎖を
確実にすることが、術後の腹壁瘢痕ヘルニアといった合併症を減
少させることに繋がると思われる。今回、われわれは単孔式腹腔
鏡下手術をはじめとした reduced port surgery における閉創時の
腹膜ならびに筋膜に縫合針を確実にかけることが可能となるオリ
ジナルの双鈎:Y 字双鈎高砂医科工業株式会社)を作製したので
その有用性を報告する。
作製したオリジナル双鈎は、既存の双鈎であるオリエル双鈎(高
砂医科工業株式会社)を原形にした。原材料:13Cr ステンレス鋼。
鈎の長さ(深さ)30mm、幅は 11mm に設定。腹壁を縫合する際に
必要な糸ならび針が双鈎の間隙を接触なく通過できるよう 4mm に
設定した。双鈎の形状は内側が「谷」となる、つまりY字状とな
るように設計した。谷状に 45 度の角度を設けることにより、縫合
針をかける位置の皮膚ならびに脂肪組織を更に圧排し牽引するこ
とが可能となった。
本器具を用いた経臍単孔式腹腔鏡下手術における臍切開創の閉創
方法を供覧する。
単孔式腹腔鏡手術が登場して 5 年が経過した。当科でも現在まで
単孔式腹腔鏡手術を合計 512 例を経験した。導入当初より手袋法
を用いて行っている。その理由として、当科で単孔式手術を開始
した 2009 年時点では製品化されたポートが存在しなかったという
理由があるが、その後、SILS ポート 、E・Z アクセス などの製
品が市場に出たが、それぞれに利点、欠点があり、当科では、そ
の後も手袋法を使用している。手袋法の利点はアレキシスを使用
することで最小の傷を最大限に活用することが出来る点にあると
考えられる。その他にも手袋の柔軟性のおかげでポートの干渉を
最小限に出来る点も挙げられる。しかしながら製品化されておら
ず、既存製品の組み合わせの手作りという点、手袋内が見えない、
等の欠点もある。これらの利点をそのまま受け継ぎ、欠点を克服
した製品を開発すべく、新たな単孔式ポートの開発に取り組んで
きた。経産省の課題解決型医療機器等開発事業に採択され、助成
金を使わせて頂きながら中小企業 3 社が開発主体となり、大企業 1
社がアドバイザーという体制で開発を行っている。製品化に向け
ては様々な課題が未だ山積しているが、上市に向けて一丸となっ
て取り組んでいる。新たな医療機器開発という取り組みを通して
の様々な経験を発表する。
W5-3
W5-4
X-Gate II (フラップ開創式マルチチャンネルポー
ト改良版)の開発
地元福井県 江市の眼鏡枠製造会社との医工連携
―腹腔内での臓器把持用の機器の開発
メディカルトピア草加病院 外科
福井赤十字病院 外科
金平 永二、谷田 孝、亀井 文、中木 正文、
秀嶋 周
藤井 秀則
【背景】演者らはマルチチャンネルポート X-Gate を住友ベークラ
イト社と共同で開発した。
(販売:ジョンソンエンドジョンソン社)。
X-Gate は開創度が高いという特長のほか、ステープラ―、縫合針、
湾曲器具が円滑に挿入できるというメリットがあり、積極的に使
用を続けてきた。今回は改良モデルを試作し、デスクトップで効
果を検証した。
【材料と方法】ワーキングインサートの基盤素材を
シリコンラバーから SEBS(スチレンエチレンブチレンブロックコ
ポリマー樹脂)に変更した。SEBS により屈曲によるチャンネル変
形を最小限に留め、エアリーク軽減策とした。新旧モデルを装着
したボックスを準備し、それぞれのチャンネルに 5mm 鉗子または
5mm トラカールを挿入した。これらを基盤から傾斜させ(65 度)
リーク誘発の条件とした。ボックスに 5L/ 分で通気し内圧を測定
した。
【結果】内圧測定結果は現行モデル:8 10mmHg、X-Gate
II :13 14mHg であった。X-Gate II の気密度が高まったことが
示唆された。変更はほかに 12mm 対応チャンネルを 2 か所とし、
10mm スコープ使用下のステープラ―挿入に対応した。また気腹用
活栓チューブを取り付け、体外リングにクッションを設け皮膚圧
挫軽減対策とした。臨床試用による結果も本研究会で報告したい。
【はじめに】福井県 江市は眼鏡枠の生産で全国の 95% を占め海外
にも多く輸出している。シャルマン社は月間 6-7 万枚生産する大手
メーカで国外でも多くの製品を販売している。一つの眼鏡枠を作
る工程は約 200 工程におよび、機能性とデザインに優れ精密で耐
久性のある商品を作っている。最近では手術器具の分野にもその
技術を活かしてきている。昨年春に縁があり製造現場を見学し内
視鏡手術についての社内講演をさせていただき新しい器具の共同
開発に着手した。
【新商品の目的】近年 Reduced port surgery の概
念が注目され、細径鉗子や腹腔内での組織把持展開器具などの開
発されている。我々は、鉗子の代用にできるような腹腔内での臓
器把持用の機器の開発を目指した。10mm 用ポートからの挿入用に
加え、さらに 5mm 用のポートからの出し入れを可能な機器も開発
し Reduced port surgery に応用可能なものとした。
【製品概要】試
作を繰替しプロトタイプ FC-004(5mm ポート用)FC-005(10mm
ポート用)が完成した。動物臓器での使用実験を行い有用性と使い
やすさ安全性を確認している。通常用いる腹腔鏡用鉗子で操作可能
な着脱式の鉗子で滅菌可能でリユース可能な金属製で経済性にも
留意している。
【まとめ】伝統と実績ある地元の眼鏡枠産業と連携
してのもの造りは職場が近いためお互いの意見の交流もしやすく、
よりよい機器の完成に向けて多くの利点があると考えられた。
― 52 ―
◇ 若手医師セッション ◇
若手 1-1 胆石発作を呈した妊婦に対する細径鉗子を使用し
た 3 孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の経験
若手 1-2 小児内視鏡手術において RPS から目指すもの
長崎大学病院 小児外科
獨協医科大学越谷病院 外科
立岡 哲平、多賀谷信美、久保田 和、竹上 正之、
斎藤 一幸、菅又 奈々、奥山 隆、菅又 嘉剛、
吉羽 秀麿、大矢 雅俊
山根 裕介、田浦 康明、小坂太一郎、大畠 雅之、
江口 晋、永安 武
妊婦に対する腹腔鏡下胆嚢下胆嚢摘出術は内視鏡外科ガイドライ
ンにおいて、推奨度 C とされ、妊娠中期であれば、安全に施行可
能とされている。今回我々は、妊娠 21 週の胆石発作を認めた妊婦
に対して、3mm 鉗子を使用した 3 孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行
し、良好な結果を得たので報告する。症例は 34 歳の経産婦。4 年
前に正常経腟分娩歴あり。妊娠 21 週 1 日に突然、右季肋部痛を自
覚し、腹部超音波検査(US)にて胆石症と診断された。胎児の発
育は順調で、術前検査では、問題は認められず、妊娠 21 週 4 日に
準緊急的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。術前の US にて子宮底
は臍部を超えており、臍部よりの単孔式手術は子宮への影響を考
え、臍部上方 5cm の正中から first port(12mm)を留置した。腹
腔鏡観察下に心窩部に 5mm、右季肋下に 3mm port を刺入した。
妊娠子宮に異常がないことを確認後、3mm 細径鉗子にて胆嚢を挙
上牽引し、5mm の種々のエネルギーデバイスにて胆嚢管および胆
嚢動脈を剥離同定した。Critical view を得たのち、胆嚢動脈は超
音波凝固切開装置にて切離し、胆嚢管はクリッピング後に切離し、
胆嚢を肝床部より剥離した。胆嚢を回収袋に収納後、臍上部創よ
り体外に摘出し、ドレーンは挿入せず、創部を縫合閉鎖して手術
を終了した。術後子宮収縮抑制剤が投与され、
第 7 病日に退院となっ
た。現在、特に問題なく経過している。
【目的】Reduced Port Surgery(RPS)は低侵襲で整容性に優れる
ため小児外科領域でも取り入れられてきている。しかし対象疾患
が多種多様であるのに対し症例数は少ないため術式の定型化が困
難である。我々は RPS を念頭におきつつ、術者(O)・助手(A)
が「両手」を使うポート配置にすることで先天性胆道拡張症(CBD)
など advanced surgery の定型化を目指しているので報告する。
【方法】当科で施行された CBD、胃食道逆流症(GER)、先天性
十二指腸閉鎖症(DA)を対象とした。いずれも成人胃癌手術に準
じ逆台形型のポート配置を基本形とし、O は患者右側、A は患者
左側に位置した。CBD:臍 2cm 縦切開創にラッププロテクターと
EZ アクセスを使用する RPS とし、エネルギーデバイス(ED)を
使用する O 右手(5mm)以外はすべて 3mm ポートを使用し、A
左手は EZ アクセスから挿入した。GER:ED を使用する O 右手
(5mm)以外はすべて 3mm ポートを使用し、A 右手は胃瘻造設予
定部に配置した。肝拳上は糸を使用した。DA:すべて 3mm ポー
トを使用した。各術式で必須である縫合手技は体腔内で行った。
【結果】問題になるような術中合併症は認めなかった。O・A の配
置が患児の左右に分かれるため腹腔外での干渉はほとんど認めな
かった。また助手鉗子の役割が増えることでよりよい術野の展開
が可能であった。
【結語】O・A が「両手」を使用するということを定型化することで、
希少な第一例目の手術であっても十分対応可能であると思われた。
若手 1-3 腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術における Reduced
若手 1-4 卒後 3 年目の外科医が取り組む定型化された腹腔
Port Surgery への取り組み
鏡下胆嚢摘出術(RPS)
斗南病院 外科
鳥取市立病院 外科
山本 和幸
谷 悠真、加藤 大、水野 憲治、池田 秀明、
山村 方夫、小寺 正人、大石 正博、山下 裕
当科では鼠径ヘルニアに対して、原則腹腔鏡下手術を行っている。
症例に応じ、TEP および TAPP を選択している。これまでに双方
の術式に対し臍部単孔式手術および細径鉗子による手術を導入し
た。また成人若年女性Ⅰ− 1 型ヘルニア対して、妊娠を予定して
いる場合には LPEC 法を導入した。当院における腹腔鏡下鼠径ヘ
ルニア修復術の Reduced Port Surgery への取り組みを報告する。
TAPP、TEP において当初は 5mm トロッカー 3 本(conventional
手術)で導入を行った。臍部単孔式手術は摘出臓器がないヘルニ
アの手術においては、創を最小限とすることができるが、3 本のト
ロッカーを挿入することで、創が大きくなりやすく、術後の腹壁
ヘルニアの発生が危惧される。また鉗子間距離が小さくなること
で、手技の難易度は上がる。3mm の細径鉗子を使用した場合、左
手の鉗子を 3mm 細径鉗子とし、カメラポートおよび右手鉗子用
ポートは 5mm トロッカーとした。5mm 鉗子とほぼ同等の手技が
可能であり、特に縫合の手技を要する TAPP においては術者のス
トレスが軽減された。TEP においては単孔、細径鉗子での手術で
手術時間の延長は、出血量の増加は認めなかった。TAPP におい
て単孔は conventional 手術で経験を積んだ後に導入しているため、
手術時間の延長は認めなかった。Conventional 手術、臍部単孔式
手術、細径鉗子による手術を振り返り、今後の鼠径ヘルニアに対
する Reduced Port Surgery の方向性を探りたい。
当院では卒後 3 年目の後期研修医が腹腔鏡下胆嚢摘出術を RPS に
よって施行して標準術式としている。その現状を報告する。近年の
鏡視下手術の急速な普及により、研修医を含めた若手医師の執刀症
例も鏡視下手術による症例が増えている。当院でも後期研修の内
から積極的に鏡視下手術を執刀させる方針であり、さらに RPS も
施行している。筆者はこれまでに腹腔鏡下胆嚢摘出術においてス
コピスト 12 例、第一助手 4 例経験した後、4 ポートによる腹腔鏡
下胆嚢摘出術の執刀を 3 例経験した。その後 RPS に取り組んでいる。
体位は開脚位とし、臍部に 1.5 ∼ 2cm の小切開を加え、EZ アクセ
スを装着後 5mm ポートを 2 本挿入し、執刀医右手鉗子と 5mm フ
レキシブルスコープを挿入する。右側腹部より執刀医左手細径鉗
子を 1 本挿入している。右季肋部に助手用細径鉗子を 1 本挿入し
て胆嚢を挙上する際に使用している。全例で critical view を確認し、
安全に胆嚢管、胆嚢動脈を同定し処理している。開腹移行に至る
ような出血や胆道損傷もなく、新たにポートを追加した症例もな
く全例で経過は良好で問題なく退院されている。4 ポートを使用し
た腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較し鉗子操作における困難性は感じな
いように思える。【結語】RPS による腹腔鏡下胆嚢摘出術は研修医
を含めた経験の乏しい術者でも執刀可能な術式であると考えられ
る。若手医師にとって鏡視下手術修練の第 1 歩として適切であり、
教育上も有益であると考える。
― 54 ―
若手 1-5 腹腔鏡下膵体尾部切除術における Reduced Port
Surgery
東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科
大庭 篤志、伴 大輔、松村 聡、藍原 有弘、
落合 高徳、入江 工、工藤 篤、田中 真二、
田邉 稔
科では 2011 年より腹腔鏡下膵体尾部切除術を導入し、2014 年 4 月
まで 15 例に対して施行した。当初、5 ポートで導入したが 2013 年
、左右中腹部
8 月より臍部に X ゲート TM(Ethicon Endo-surgery)
に 2 ポートを加える Reduced Port Surgery(RPS)で 5 例に施行
した。本術式において膵上縁や胃脾間膜切離の操作の際、胃の拳上・
展開がポイントなるが、我々は考案したドラムスティック鉗子(体
内組み立て式ニードルリトラクター)を用いて良好な視野展開を得
ることができ、臍部にマルチアクセスゲートは RPS にとって有用
なだけでなく、①開腹用超音波プローベの活用ができる:手袋法で
開腹用プローベを気腹下に使用することができる。内視鏡型腹腔
鏡用プローベよりも精細な観察が可能となり、造影超音波検査も
施行できる。② 15mm 径ステープラーカートリッジが使用できる:
膵切離にエンド GIA TM トライステープル TM 60 black を用いている
が、15mm 径ポートからしか挿入できないことは難点であった。X
ゲート TM から挿入可能であり、ポートを変更・追加することなく
使用可能である。③小開腹創の有効活用ができる:臍部 25mm の I
字切開で X ゲート TM を挿入した臍部からそのまま摘出が可能であ
り、創の大きさが有効に利用できる。これらを含めた当科での工
夫を実際の手術ビデオも用いて供覧する。
― 55 ―
若手 2-1 最 小 創 2mm、5mm、2mm で 行 う needle scopic
TAPP
若手 2-2 当院での細径鉗子を用いた腹腔鏡下鼡径ヘルニア
手術(TAPP)の手技
メディカルトピア草加病院 外科
福井赤十字病院 外科
亀井 文、金平 永二、中木 正文、谷田 孝
我如古理規
【目的】われわれは成人の鼠径ヘルニアに対して、2mm、5mm、
2mm の創で腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP 法)を行ってき
た。今回は本術式(以下、
TAPP-252 と略す)と手術成績を報告する。
また TAPP-252 を導入するにあたり、従来使用している 2mm 把持
鉗子 BJ ニードル に加え、新たな超細径器具のシリーズをニチオ
ン社と共同で開発したので、それらの有用性に関しても報告する。
【方法】臍に 5mm、両側腹部に 2mm のポートを挿入する。腹膜の
切開と剥離を、2mm 電気メスなどを用いて行ったあと、2mm プッ
シャーを用いてメッシュを 5mm ポートより挿入する。2mm スコー
プの観察下に 5mm ポートを利用して、タッカーや縫合針の挿入を
行った。腹膜の縫合は 2mm 持針器 BJ ピコ を用いて行った。
【結
果 / 成績】2013 年 6 月より 12 例の成人鼠径ヘルニアの症例に対
して TAPP-252 を行った。全例でポートを追加変更することなく
TAPP-252 を完遂できた。術中の合併症はなく手術時間の著明な遷
延は認めなかった。新しく開発した BJ ニードルのラインアップ
(超
細径器具)はすべて有用で、特に 2mm スコープ導入の意義は大き
いと考えられた。【結語】2mm の超細径器具を駆使した TAPP-252
は安全に施行できた。今後も器具の耐久性や適応症例を検討しな
がら積極的に本術式を行う予定である。
若手 2-3 吊り上げ単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の導入と初期
成績
1
当院では腹腔鏡下鼡径ヘルニア手術(TAPP)を 2012 年 7 月より
本格導入し、
これまでに 81 例 87 病変に施行した。5mm 用トロッカー
2 本と細径鉗子を用いた 3 ポートによる手技を定型化した。同時期
に施行された前方アプローチ 96 例と比較検討を行った。当院での
手技は、1)臍部で約 1cm の皮膚切開を行い、Optical View 法で
5mm 用トロッカーを挿入する。2)病変を確認しトロッカーの位
置を決め、右側腹部に 5mm 用ポート、左側に細径鉗子用のトロッ
カーを挿入する。トロッカーに Endo Keeper(ニチオン)を装着
するとトロッカー位置が固定され手術時のポート過挿入が防げる。
3)腹膜切開は超音波凝固切開装置を用い、腹膜の鈍的剥離には腹
腔鏡ガーゼを用いる。細径鉗子を用いれば 5mm 用のトロッカーか
らの出し入れは容易である。4)メッシュは 5mm より挿入可能な
ものを用い、吸収性のタッカーで固定する。5)腹膜の閉鎖は 4-0
の吸収糸の連続で行っている。
【結果】TAPP は従来法に比べ手術
時間は長かったが、在院日数は変わらず、術後の鎮痛剤の使用は
少なかった。
若手 2-4 私が執刀した腹腔鏡下虫垂切除術の検討
福井赤十字病院 外科
市立函館病院 消化器外科、2 同 乳腺外科
澤野 武行 1、
倉内 宣明 1、砂原 正男 1、
常俊 雄介 1、
笠島 浩行 1、
原 豊 1、
鈴木 伸作 2、
遠山 茂 1、
1
木村 純
【目的】当科では気腹下に単孔式虫垂切除術を行うほかに、2009 年
に筋鈎(Langenbeck 扁平鈎)を用いて用手的に腹壁を吊り上げて
虫垂を臍部に牽引して処理をする吊り上げ法を試行した。2011 年
に筋鈎の柄を屈曲加工した専用吊り上げ鈎による吊り上げ単孔式
腹腔鏡下虫垂切除術を開始し、本年その症例数を増やしてきたの
で報告する。
【方法】患者の臍−上前腸骨棘線線上の右腰部に支柱
を立て、牽引器を装着しておく。臍を縦切開し Lap protector mini
を装着する。専用吊り上げ鈎を創縁にかけて牽引器につないで牽引
し腹壁を吊り上げる。径 5mm 斜視腹腔鏡の観察下にパラレル法で
虫垂間膜を把持して授動し臍部近くまで牽引する。虫垂が臍直下
まで授動出来るときは吊り上げを解除して直視下に虫垂根部を処
理する。虫垂根部が十分に授動出来ないときは吊り上げたまま臍
近くで腹腔内操作をするか、支柱を腹壁の高さまで下げ水平に臍
を右下方向へ牽引して創直下で直視下操作をする。
【成績】2011 年
1 月から最近までに行った腹腔鏡下虫垂切除術 128 例中、多孔式(臍
と恥骨上発毛部の invisible 2-incision も含む)が 113 例、単孔式が
17 例で、17 例中気腹 11 例、吊り上げ 6 例であった。6 例の手術時
間は 52 ± 27.5 分、出血量は 8 ± 6.5ml、術後在院日数は 2 ± 1.3 日
で合併症は認められなかった。
【結語】吊り上げ単孔式では単孔式
特有の鉗子操作が少なく直視操作が多いことが利点と考えられた。
皆川 知洋
私は現在卒後 4 年目である。2013 年 4 月より当院に在籍してから
現在まで 42 例の虫垂切除を経験し、開腹 15 例、腹腔鏡 27 例執刀
した。執刀当初は開腹をおもに行い、2013 年 5 月下旬より腹腔鏡
の執刀を行った。全例緊急手術であり、穿孔や膿瘍形成例も現在
は腹腔鏡で行っている。当院では臍 2 ポート(versaport、6mm
end tip canula)と恥骨上正中左側に細径ポートでの手術を標準と
し、穿孔の程度、腹腔内汚染の程度により細径ポートを 6mm end
tip canula に変更もしくはポートの数を増やすなどしている。虫垂
根部はエンドループによる結紮を行い超音波凝固切開装置で切離
もしくはその方法で不安がある場合には体内固定用組織ステープ
ル(エンドパスエンドカッター)を使用している。現在までに行っ
た腹腔鏡下虫垂切除術 27 例のうち合併症は遺残膿瘍 7%(2 例)で、
麻痺性イレウス 3%(1 例)、開腹移行例 3%(1 例)、回盲部切除例
3%(1 例)であった。炎症が高度な例や、術前に穿孔している例
で合併症は多くなる傾向にあった。手術時間の平均は 100 分であり、
膿瘍形成し、洗浄を多量に行った症例や、開腹移行例を除くと平
均は 65 分であった。既存の論文と比較しても大差なく施行でき、
若手でも指導医のもと安全に腹腔鏡下虫垂切除術を行うことが可
能であると考えられた。今後さらに安全に行う工夫が必要であり、
若干の文献的考察をふまえ報告する。
― 56 ―
◇ 一般演題 ◇
O-1
胆嚢結石症を合併した胃 GIST に対して単孔式腹
腔鏡下胆嚢摘出術+胃局所切除術を試みた 1 例
腹腔鏡下アカラシア手術における 5 孔式アプロー
チと単孔式アプローチの比較
白河厚生総合病院 外科
1
竹村 真一、土井 孝志、横山 智、有明 恭平、
梶原 大輝、相澤 卓、黒田 房邦
福田 周一 1、
中島 清一 1,2、
高橋 剛 1、
宮崎 安弘 1、
1
1
1
山崎 誠 、黒川 幸典 、宮田 博志 、瀧口 修司 1、
森 正樹 1、土岐祐一郎 1
症例は 76 歳男性。胆嚢総胆管結石症による心窩部痛にて当院救急
外来を受診。その際に施行した CT で胃体部後壁に直径 5cm 大の壁
外性腫瘍を認めた。胃内視鏡検査で胃体部後壁に直径 5cm 大の粘膜
下腫瘍を認め、超音波内視鏡下針生検を施行。c-kit(+)
、CD34(+)
、
S-100(-)
、desmin(-)で胃 GIST の診断となった。本症例に対し
て患者の希望もあり単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術+胃局所切除を行っ
た。臍上部に 5cm の皮膚切開をおき Gel POINT に 3 本のポート
を装着してまず胆嚢摘出術を施行した。Endo Grab TM を用いて胆嚢
を把持挙上し、パラレル法による胆嚢摘出術を施行。次に胃局所切
除に移ったが、術野の展開が不良であったため、右側腹部に 5mm
ポートを 1 本追加しカメラポートとした。網嚢を開放し大網を Endo
Grab TM で把持挙上して胃後面を露出。膵上縁付近の後腹膜に癒着
した腫瘍を剥離して、胃小弯側後壁の腫瘍根部を露出。自動吻合器
(Endo GIA TM Radial Reload+45mm Tri-Staple TM)を用いて胃壁を
切除して標本を摘出した。腫瘍の局在が小弯側後壁であったため、
剥離操作に難渋し手術時間は 293 分であった。
これまで当院では 6 例の胃 GIST に対して腹腔鏡下胃局所切除術を
施行したが、単孔式で試みたのは本症例が初めてであった。これま
での multi-port による腹腔鏡下胃局所切除症例と比較検討の上、若
干の文献的考察を加えて単孔式腹腔鏡下胃局所切除の問題点、有用
性について報告する。
O-3
O-2
胃粘膜下腫瘍に対する単孔式内視鏡手術 91 例の
手術成績
大阪大学 消化器外科、2 同 次世代内視鏡治療学
【はじめに】我々は multi-port laparoscopy(従来法)40 例あまり
を経験した後、腹腔鏡 Heller-Dor 手術のさらなる低侵襲化と治療
成績の維持をめざして、2009 年より単孔式アプローチ(TANKO)
を導入した。TANKO 導入前後の腹腔鏡 Heller-Dor 手術症例を後
方視解析して、従来法と TANKO 間での historical comparison を
行った。【対象と方法】TANKO 導入直前の従来法 10 症例と、導
入直後の TANKO 10 症例の間で、患者背景ならびに治療成績を
比較検討した。【結果】手術時年齢、男女比、病型分類、拡張度
Grade、罹病期間については従来法と TANKO の間で統計学的に
有意な差を認めなかった。手術時間に関しては従来法:210.2 ±
28.8 分、TANKO:223.5 ± 46.3 分、また出血量に関しても従来法:
14.0 ± 31.7ml、TANKO:16.0 ± 17.8ml であり、いずれも両群間
に差を認めなかった。従来法で術後一時的な通過障害を 1 例認めた
が、TANKO では全例、術中食道粘膜損傷および術後合併症を認
めなかった。最大 LES 圧減少率に関しては従来法:25.1 ± 34.4%、
TANKO:21.8 ± 19.2% であり、両群間に差を認めなかった。整容
性に関する満足度は従来法、TANKO とも十分高いものであった
が、TANKO でより高かった。【まとめ】腹腔鏡下 Heller-Dor 手術
において、5 孔式アプローチの十分な症例数を経験していれば、単
孔式アプローチは安全に導入することができ、治療成績を維持し
たまま、より整容性の高い治療が可能となると考えられた。
O-4
胃癌に対する単孔式腹腔鏡下胃切除の経験
ベルランド総合病院 外科
メディカルトピア草加病院 外科
出村 公一
中木 正文、金平 永二、谷田 孝、亀井 文
【目的】我々は胃粘膜下腫瘍に対し積極的に単孔式内視鏡手術を
行っているので、手術手技を供覧し早期成績を報告する。【対象】
当院開設となる 2012 年 2 月から 2014 年 4 月までに腹腔鏡下手術を
行った 129 例の胃粘膜下腫瘍症例のうち単孔式内視鏡手術を施行
した 91 例を対象とした。術式の内訳は腹腔側からの切除
(EG)40 例、
胃内手術(IG)48 例、両アプローチ(EIG)3 例であった。切除縫
合の方法はステープラーが 18 例、手縫いが 73 例であった。【手術
手技】EG では x-Gate を臍部に装着し、湾曲鉗子やエネルギーデ
バイスを用いるほか、補助として BJ ニードルを使用する。主にソ
ノサージを用いて胃壁を全層で切除した後に手縫いで縫合閉鎖す
る。EG か IG の適応判断は腫瘍の局在と突出型を勘案して決定する。
IG では、臍部に造設した胃瘻を介して x-Gate を胃内腔に装着す
る。補助として BJ ニードルを使用する。切除は主に電気メスによ
り行い、切除後の全層璧欠損は手縫いで閉鎖する。食道筋層と胃
筋層が離解した状態であり、これらの確実な再建と狭窄防止対策
が必要である。
【結果】開腹移行はなく、
手術時間は 45 ∼ 235 分(平
均 122 分)であった。合併症は出血 1 例、腹膜炎 1 例、SSI が 1 例
であった。病理組織検査では全例断端陰性であった。
【目的】より低侵襲化を目指し単孔式腹腔鏡下胃切除を導入した。
【方法】5 ポート腹腔鏡下胃切除術はこれまでに 190 例施行し、単
孔式手術は、胆嚢切除術 10 例、虫垂切除術 7 例、胃手術(郭清を
伴わない)8 例施行している。いわゆる advanced surgery である
郭清を伴う胃切除を単孔式で行うには様々な工夫が必要であった。
まずは先駆者である大森健先生の術式を研究し、手術見学も行い、
大森先生を招聘し直接指導していただいた。従来式との一番の大き
な違いは臍部からすべての器具が挿入されることによる、鉗子の
干渉、アプローチアングルの問題であった。ダンボールで作成し
た単孔モデルを使用し、各場面での術者助手の鉗子の動きを確認
し、視野展開の工夫や屈曲式の鉗子を用いることにより解決した。
手術手順も従来方法とは変更した。
【手術方法】縦 2.5cm のジグザグ切開にて開腹し、4 本のトロッカー
を挿入し、術者 2 本、カメラ、助手 1 本の鉗子を用いた。また必
要に応じ術野展開にエンドグラブも用いた。
膵上縁頭側アプローチ #1,3,9 頭側→ CHA から PHA の層をとり
#5 → #8(+#12a)→ #7 → #11p →大弯側での #4d,4sb → #6 →胃
切離→吻合(新三角法)
【結果】ESD 対象外の早期胃癌症例を中心に 2013 年 12 月から 2014
年 3 月まで 4 例の単孔式腹腔鏡下胃切除術を施行した。手術時間
255-378min、出血量 30-100ml、術中術後手術関連合併はなかった。
【結語】単孔式腹腔鏡下胃切除術は準備と工夫を行い安全に導入で
きた。
― 58 ―
O-5
化学療法を行い 1 年 9 か月後に腹腔鏡下に胃切除
術を行った切除不能胃癌の 1 例
O-6
1
国立病院機構熊本医療センター 外科、2 天草地域医療
センター 外科、3 国立病院機構熊本再春荘病院 外科
愛知県がんセンター中央病院 消化器外科
三澤 一成、伊藤 誠二、伊藤 友一、木下 敬史、
木村 賢哉、千田 嘉毅、安部 哲也、小森 康司、
清水 泰博、木下 平
久保田竜生 1、外山栄一郎 2、川田 康誠 3、大原 千年 3
【はじめに】SPIRITS 試験、HER2 陽性胃癌に対する ToGA 試験の
結果を受けて、再発・切除不能胃癌においても長期予後を期待でき
る症例の増加を認めるようになってきた。今回我々は腹膜播種転
移、多発リンパ節転移のために切除不能胃癌と診断され胃空腸バ
イパス術後に化学療法を行い、1 年 9 か月の後に胃切除術を、その
4 か月後に腹腔内転移リンパ節切除術を腹腔鏡下に行った症例を経
験した。ビデオを供覧するとともに、切除不能胃癌に対する集学的
治療における腹腔鏡下手術の有用性を検討する。
【症例】
62 歳、男性。
2011 年 12 月に腹痛を主訴に当院救急外来受診となる。幽門部胃癌
であり所属リンパ節の著明な腫大と腹膜播種病変を認めた。手術
では播種病変を認め腹腔鏡下胃空腸バイパス術を施行した。その
後外来にて化学療法を継続、長期間の SD 状態であったが、腫瘍よ
りの出血のため初回手術より 1 年 9 か月の後に腹腔鏡下胃切除術
を施行した。臍に EZ アクセス D を留置+ 5mm を 2 本の reduced
port にて行った。術後状態は改善し、化学療法を継続した。新病
変の出現なく PET-CT にて異常集積を認める 2 か所のリンパ節を
切除する方針となった。腹腔鏡下リンパ節切除術を施行し、現在 2
年 5 か月が経過し再発を認めない。
【結語】3 回ともに腹腔鏡下に
施行した。複数回の手術にも関わらず癒着をほとんど認めず切除
術が可能であった。
O-7
単孔式胃内手術における食道胃欠損部縫合閉鎖
通常の LAG の手技で安全・確実に行う胃癌 Reduced
Port Surgery
【はじめに】胆石症や大腸癌などに対する Reduced Port Surgery
(RPS)が普及しつつあるが、胃癌に対する胃切除については、術
野展開や操作がより複雑といった問題もあり、一部の施設で行われ
ているのみである。当院では Gel POINT と細径鉗子を用いポート
配置を工夫することにより、
定型化された腹腔鏡下胃切除術(LAG)
と同様の術野展開と手技で行う胃癌 RPS を考案し施行してきた。
【方法】臍を 3.5cm 横切開またはジグザグ切開後、装着した Gel
POINT よりカメラ、術者右手鉗子、助手左手鉗子を挿入する。さ
らに左右腹壁に術者左手、助手右手用の細径鉗子(EndoRelief)を
挿入する。合計 4 本の鉗子を用いて、術野展開、切除および再建
を行う。
【結果】早期胃癌を中心に 20 例(TG:2、DG:17、PPG:1)
に対し本コンセプトで RPS を行った。本術式は、①術者、助手と
もに 2 本の鉗子を別々のポートから挿入することにより、左右の
鉗子間距離が十分であるため、triangulation が確保され術中操作に
難渋しないこと、②細径シャフト(2.4mm)ながらも通常鉗子同様
の把持力がある EndoRelief を使うことによって、通常鉗子と同様
の操作ができること、③ EndoRelief 挿入部の瘢痕はほとんど消失、
へそ瘢痕も目立たなくなるため、単孔式手術とほぼ同等の整容性
が得られること、といった特徴がある。【結語】比較的難易度の高
い胃癌 RPS が、本術式によって、通常の LAG の技術で安全かつ
確実に施行可能であると考えている。
O-8
メディカルトピア草加病院 外科
当院における胃癌 Reduced Port Surgery の現状
と課題
日本大学医学部 消化器外科
谷田 孝
萩原 謙
【目的】噴門部胃粘膜下腫瘍に対する単孔式胃内手術における食道
胃欠損部の縫合閉鎖を供覧し、検討する。【対象】当院で施行した
単孔式胃内手術 38 例での縫合技術を分析した。
【手術】臍部に胃
瘻を造設し x-Gate を胃内腔に装着し、左季肋部より BJ ニードル
(2mm 鉗子)を挿入する。切除後は全層の璧欠損ができ、食道と
胃の筋層が離解した状態となる。縫合では左手運針が必要となり、
右手で BJ ニードルを操作することが特徴である。エルゴノミクス
的には、マニピュレーションアングルが小さいこと、持針器は水
平方向アプローチとなるが、BJ ニードルはエレベーションアング
ルが大きくなることも影響を与える。狭窄予防のため放射状に全
層結節縫合とする。縫合線が規定されていることも難度を上げる
要素である。逆流防止には食道・胃両側の筋層の確実な視認と運
針が必須である。前壁では針の湾曲を腹側に凸にするなど特殊な
運針が必要である。糸結びでは BJ ニードルのサムアップ法が有効
である。【結果】全例単孔式手術で完遂し、全胃を温存できた。平
均手術時間は 115 分であった。病理組織検査結果では、全例で切
除断端陰性であった。
【考察】単孔式胃内手術を安全に施行するた
めには、独特の環境下での縫合技術に習熟する必要がある。必ず
しも容易な手技とは言えないが、臓器温存性と低侵襲性かつ整容
性に優れた本術式は適応となる患者にとってはメリットが大きい
と考える。
【はじめに】胃癌における Reduced Port Surgery(RPS)は十分な
定型化にいたっておらず、整容性以外の臨床的妥当性について不明
な点も多い。今回、
当院の胃癌 RPS の現状と今後の課題を検討する。
【対象と方法】2009 年 6 月より現在までの RPS-LDG(RPS 群)8
例と同時期の LADG、LDG(従来法群)56 例を比較検討した。当
院の胃癌 RPS は臍部のマルチチャンネルポート、5mm ポート、細
径器具(鉗子)1 本を標準とし、症例に応じてエンドグラブを使用
した。再建は従来法で 16 例(28%)に小開腹下に、他はすべて体
腔内で器械吻合を施行した。
【結果】RPS 群 8 例は年齢 61.5 ± 14.5 歳、
性 別(M:3 例 /F:5 例 )
、BMI22.3 ± 3.4、 郭 清 度(D1+:6 例 /
D2:2 例)、再建(B-1:7 例 /R-Y:1 例)stage(IA:6 例 /IB:1
例 /IIA:1 例)で従来群 56 例と背景因子に有意差はなく。手術因
子(RPS 群 vs 従来法群)
(手術時間(min)(260 vs 248)
、出血量
(ml)
(7.5 vs 6)、リンパ節郭清個数(42.1 vs 44.4))や、術後経過
(排ガス日(2.4 vs 2.0)
、歩行開始日(1.5 vs 1.2)
、鎮痛薬使用回数
(3.5 vs 3.6)、発熱日(37.5 度以上)(2.9 vs 2.4)
、術後在院日数(13.5
vs 13.6))
のいずれも有意差を認めなかった。RPS 群は全例追加ポー
トなく手術を完遂し、合併症は吻合部出血 1 例であった。【まとめ】
当院の胃癌 RPS の短期成績は従来法と遜色ない結果であった。デ
バイスの工夫や手技の定型化を進め、体表破壊の少ない本術式の
メリットの再検討が今後の課題である。
― 59 ―
O-9
臍部 Zigzag 切開法を応用した胃癌に対する Reduced
Port Surgery の有用性
O-10
1
平塚共済病院 外科、2 横浜市大 外科治療学、3 横浜市
立大学付属市民総合医療センター 消化器病センター
長崎労災病院 外科
川下 雄丈、森内 博紀、原 貴信、平山 正彦、
岩田 亨
【背景】腹腔鏡手術の整容性を高めるべく Reduced Port Surgery
の概念が確立されその意義が検証されつつあるが胃癌領域への応
用は容易ではない。我々は市中病院においても簡便に応用可能な
臍部ジグザグ切開法による RPS を行ってきたためその手技術後成
績に関し報告する。
【対象と方法】胃全摘 2 例、幽門側胃切除 12 例に施行(いずれも
D1+ 郭清)
。臍部に 2.5-3.0cm のジグザグ切開を加えそれを進展直
線化することで筋膜切開長を臓器摘出サイズに応じて 4.5cm 確保
しプラットフォームとして GelPOINT を装着する。臍部より最も
遠位となる口側の切離を確実にするため左側腹部に 12mm, 右季肋
部に 5mm ないし細径鉗子を挿入する。臍部は最終的に臓器摘出孔
となり同部に 3 ポートを留置するため計 5 ポートの従来法に準じ
た LADG, LATG が可能となる。再建:Roux-en-Y による体内再建。
平均手術時間は胃全摘;325 分、幽門側切除;262 分。一例に軽度
の stasis を認める以外に合併症なし。SSI なく早期退院が可能であ
り高い患者満足度が得られた。
【結語】臍部 Zigzag 切開法に追加ポートを配置する RPS は従来法
に匹敵する操作感を得ることができ安全かつ有用な手法であると
考える。
O-11
当科における S 状結腸癌に対する reduced port
surgery の定型化
結腸癌手術における Single Port Surgery(SPS)
の検討
鈴木 喜裕 1,3、
白石 龍二 1、
神尾 一樹 1、
原田 浩 1、
國崎 主税 3、益田 宗孝 2
[目的]結腸癌手術における SPS の意義について検討した。
[方法]2011/04 より EMR 後追加切除および cStage Ⅰ症例に対し
て、2013/04 より適応拡大し 2014/03 までに SPS を施行した 38 例
(右
側結腸癌 12 例、横行結腸癌 8 例、下行結腸癌 4 例、S 状結腸癌 14
例直腸癌(Rs)4 例を対象とした。
手術部位にて R 群:右側結腸、L 群:横行∼下行結腸、S 群:S 状
結腸、直腸の 3 群に分け、手術時間、合併症を比較した。
手術方法は臍部に 3cm の切開を置き X-gate を使用し、10mm カメ
ラを用い、気腹圧は 8mmHg で施行した。デバイスは超音波凝固
切開装置(LCS)を用いて剥離授動郭清操作を行い、血管処理はク
リップを使用した。再建方法は上行結腸から下行結腸までと一部の
S 状結腸は臍部より腸管を腹腔外に誘導して吻合した。また一部の
S 状結腸と直腸は腹腔内で切離し DST にて吻合した。
[結果]手術時間は R:平均 208 分(125-252 分)、L:平均 273 分
(239-469 分)
、S:平均 227 分(151-332 分)、R vs L:p=0.022、L vs S:
p=0.064、S vs R:p=0.35 であった。いずれも術中開腹移行例や縫
合不全などの合併症はなかった。手術時間にて L 群で R 群より有
意に長かった。合併症などには差は見られなかった。
[結語]SPS は右側結腸や S 状結腸、直腸(Rs)では問題なく施行
可能であり施行意義は十分にあるが、横行∼左側結腸では手術操
作の難易度が高くなり手術時間が延長するため、細径鉗子やポー
ト追加など SPS+ とする必要があると考える。
O-12
S 状結腸癌・直腸 S 状部癌に対する Reduced port
surgery の検討 ―標準術式に向けて―
京都府立医科大学 消化器外科
下関医療センター 消化器外科
中西 正芳、伊藤 博士、村山 康利、栗生 宜明、
阪倉 長平、小西 博貴、森村 玲、小松 周平、
生駒 久視、大辻 英吾
西村 拓、坂田晃一朗、近藤 潤也、前田 祥成、
中邑 光夫
【目的】当科では 2007 年 6 月より大腸癌に対する腹腔鏡下手術の適
応を拡大し、
2013 年には約 85%の症例に対して腹腔鏡下手術を行っ
た。この間に低侵襲な治療を目指した試みを行い、2013 年 4 月か
ら S 状結腸癌及び RS の直腸癌を対象として reduced port surgery
(RPS)を定型化して行っている。
【方法】臍部小切開からカメラ用 12mm port と助手右手用 5mm
port を挿入して気腹する。右側腹部から 3mm port と 5mm port、
左下腹部から 2mm port を挿入、細径鉗子としてカールストルツ社
の 3mm 鉗子とホープ電子の Endo Relief を使用する。これにより
通常の腹腔鏡手術と同様の手術操作が可能である。腸管切離の際
は 12mm port から着脱式腸鉗子及び切離デバイスを挿入する。カ
メラは正中創もしくは右下腹部の 5mm port から挿入する。その後
の腸管切除、吻合操作は通常の腹腔鏡手術と同様である。
【結果】これまでに本法で 17 例に対して手術を行った。男性 / 女
性 10/7、手術時年齢中央値 68.5(53-81)
、手術時間中央値 215.5 分
(160-295)
、出血量中央値 3g(0-38)
。術後の縫合不全は無く、SSI
を 2 例に認めた。
【結語】本法により安全に RPS を導入できる。しかし直腸切離に対
する工夫やポート創を縮小することに意義があるのかという点に
ついて更なる検討が必要である。
【 は じ め に 】Reduced port surgery(RPS) は 整 容 性 に 優 れ る
が、RPS が標準術式になるには、従来の腹腔鏡手術(Multiport
surgery:MPS)と同様の安全性、根治性が要求される。当院では
2010 年より MPS の手技になるべく準拠する形(臍部創+ 1 ポート
±細径鉗子追加)での RPS を導入してきた。今回、S 状結腸癌及
び直腸 S 状部癌に対する RPS の妥当性を検討した。
【対象】2006
年から 2014 年 4 月までに施行した S 状結腸癌・直腸 S 状部癌に対
する腹腔鏡下切除術(合計 96 例)を対象とした。RPS は T4 以浅
の著明な腸管拡張の無い症例では原則適応とし、郭清度はガイドラ
インに遵守、左結腸動脈は原則温存としている。MPS 群(合計 38
例)と RPS 群(合計 48 例)の短期手術成績を中心に比較検討した。
【結果】両群間で年齢、性別、BMI、腫瘍局在、術前病期、手術時間、
リンパ節郭清度、術後合併症率、術後入院期間には両群間で差は
なかったが、出血量において RPS 群が少なかった。また、長期間
の観察ではないが、
再発率に関しても遜色無いものと思われた。
【結
語】S 状結腸癌及び直腸 S 状部癌に対する RPS は標準術式に十分
なりうると思われた。
― 60 ―
O-13
腹腔鏡大腸手術における Reduced Port Surgery
の短期成績
O-14
大 腸 全 摘・J 型 回 腸 嚢 肛 門 吻 合 術 に 対 す る
Reduced Port Surgery
市立函館病院 消化器外科
三重大学医学部 消化管小児外科
笠島 浩行、遠山 茂、常俊 雄介、澤野 武行、
原 豊、砂原 正男、鈴木 伸作、倉内 宣明、
木村 純
廣 純一郎、荒木 俊光、井上 靖浩、大北 喜基、
川本 文、井上 幹大、問山 裕二、田中 光司、
毛利 靖彦、楠 正人
【はじめに】当院は 2004 年 11 月から腹腔鏡大腸手術を導入してい
る。当初は 5 ポートでの手術(以下、定型法)を行ってきたが症例
を限定して Reduced Port Surgery(以下 RPS)を行っている。今回、
通常、5 ポートの手術と比較検討する。
【方法】
(単孔・単孔 +1)
臍に Ez アクセスを装着しカメラポートと鉗子用ポートを挿入。観
察・展開していて可能な場合はもう 1 本ポート挿入して単孔で行い、
左側結腸では右下腹部に腸管切離の器材を挿入予定の 12mm ポー
トを追加して行う。このポートは最終的に骨盤底 drain の留置孔
となる。
(3 ポート)臍に通常のカメラポートを挿入し、腹腔内を
観察。操作用ポート 2 本を別に挿入して行う。【対象】当院で 2005
年から 2014 年までに腹腔鏡手術した大腸癌 550 例のうち RPS39
例(単孔:7 例、単孔 +1:14 例、3 ポート:18 例)。37 例が D3。
【 結 果 】 局 在 は C:4 例、A:1 例、T:1 例、D:2 例、S:10 例、
Rs:6 例、Ra:8 例、Rb:7 例。平均手術時間は 161.8 分、出血量
は 23.4ml。術後合併症は創感染 1 例、minor leak1 例のみであった。
最も多い術式である S 状・前方切除で定型法と比較すると、平均
手術時間は定型法 187.1 分:RPS148.7 分、出血量は定型法 30.6ml:
RPS22.5ml であった。
【結論】RPS は定型法に比して手術時間が短
かったが、これは症例選択の時点での bias があると思われる。症
例を選択して行えば十分に安全で整容性・根治性を担保しうる術
式と考える。今後さらに症例を集積して検討を重ねていきたい。
はじめに Reduced Port Surgery:RPS は、近年、単孔式手術と
同様、整容性に優れ、術後疼痛が少ない手術として注目されている
が、難易度が高く定型化が難しい。今回、潰瘍性大腸炎(UC)や
家族性大腸ポリポーシス(FAP)に対する RPS による腹腔鏡下大
腸全摘・回腸嚢肛門吻合術(Laparoscopic total colectomy:LTC)
の成績とについて報告する。対象と方法 2000 年より 288 例の TC
を施行し、LTC は 30 例、RPS LTC は、10 例に施行した。LTC は
6port、RPS TLC はストマ造設部、ドレーン挿入部、臍部の 3port
ま た は 2port で 施 行 し た。TLC は 腹 腔 鏡、RPS と も に 手 術 手 順
は同じとし、手技成績について比較検討を行った。結果 全例 TLC J 型回腸嚢肛門吻合が可能であり、開腹移行は TLC2 例に認
めた。RPS TLC は TLC に比べ、回腸嚢肛門管距離の検証と回腸
嚢作成に工夫が必要であった。手術時間(363 分:367 分)
、出血量
(157g:127g)、術後合併症、術後在院日数(21 日:19 日)に有意
な差は認めなかった。術後創部痛は RPS TLC の方が、TLS より
も少なく、整容性は RPS TLC において女性の満足度が高かった。
結語 若年者に治療が必要となる UC、FAP に対する RPS TLC は
良好な手術成績で整容性に優れ、選択術式の一つとなりうると考
えられた。
O-15
臍部の癒着性腸閉塞に対する単孔式腹腔鏡下手術
の経験
O-16
大腸癌に対する reduced port surgery(RPS)の
標準術式としての可能性の検討
東京ベイ浦安市川医療センター 外科
草加市立病院 外科
良永 康雄
小野 千尋、西岡 良薫
症例は 65 歳女性、腹痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した。既往
症として 30 年前に開腹による卵巣摘出術を受け、その後より腸閉
塞症状と保存的加療を繰り返した。来院 2 ヶ月前にも同様の症状で
当院を受診し、癒着性腸閉塞の診断で欠食と経鼻胃管による保存的
治療で軽快し、退院している。今回来院時、腹部は軽度膨隆し軟で、
臍部から左下腹部にかけて強い圧痛を認めた。腹膜刺激症状は認
めなかった。腹部造影 CT で、臍直下左寄りに閉塞起点を持つ小腸
閉塞の所見を認めた。絞扼を疑う所見は認めなかった。これは 2 ヶ
月前に CT で確認したものとほぼ同一だった。腹腔右側の腸管に拡
張は少なく腹腔鏡下に術野の確保は可能と考え、単孔式腹腔鏡下
腸管癒着剥離術を施行した。アクセスポートは EZ アクセスミニを
使用、腹部正中の癒着部位を避けて、これを右上腹部に設置した。
良好な術野を得ることができ、超音波凝固切開装置と鋏鉗子で小
腸の癒着を剥離した。経過は良好で術後 5 日目に退院し、術後 2 ヶ
月目の時点で再発を認めていない。単孔式腹腔鏡手術による腸閉
塞手術の報告は多くないが、術前評価で治療効果と安全性が確保
できると判断される場合は、選択の可能性がある。
[目的]大腸癌に対し RPS が標準術式となりえるか否か検討する。
[方法]単一術者同時期の RPS(R 群)と multiport surgery(MPS:
M 群)症例の臨床病理学的因子を検討した。[成績]早期癌:R 群
盲腸(C)癌 5 例(回盲部(IC)切除)S 状結腸(S)癌 3 例(下行
結腸切除 1、S 状結腸(S)切除 1、高位前方(HAR)切除 1)、M
群上行結腸(A)癌 2 例(右半結腸(RH)切除)横行結腸(T)癌
1 例(横行結腸(T)切除)であった。各因子の比較(中央値、
R 群:
M 群)は、郭清リンパ節数 N1 6:8、N2 4.5:6、N3 0:0、出血量(ml)
25:50、手術時間(分)128.5:91、小切開長(cm)3:5、術後入
院期間(日)11:13 であった . 晩期合併症は R 群でイレウス 2 例
を認めた。進行癌:R 群 A 癌 2 例(RH 切除 1、RH 切除+胆摘 1)
T 癌 3 例(RH 切除 1、RH 切除+胆摘 1、部分切除 1)下行結腸(D)
癌 1 例(左半(LH)切除)S 癌 1 例(S 切除)Rs 癌 1 例(HAR 切
除)であった。M 群 A 癌 3 例(IC 切除 1、RH 切除 2)T 癌 2 例
(LH 切除 1、LH 切除+胆摘 1)S 癌 3 例(S 切除)Rs 癌 1 例(HAR
切除)で stageIV 以外は D3 郭清を施行した。各因子の比較(中央
値、R 群:M 群)は、郭清リンパ節数 N1 9.5:9、N2 4.5:4、N3
1.5:1、出血量(ml)22.5:25、手術時間(分)185:172、小切開
長(cm)5:6 で、M 群でイレウス 2 例を認めたため術後入院期間
(日)12:14.5 であった。術後再発は R 群で肝転移を 1 例認めた。
[結
語]症例数が少なく、術式に差はあるものの、RPS は手術時間が
長い傾向にあるが出血量・リンパ節郭清はほぼ同等で整容面も良
好であり、大腸癌に対する標準術式になりえると思われる。
― 61 ―
O-17
右 側 結 腸 癌 に 対 す る 単 孔 式 を 含 め た Reduced
Poet Surgery は標準術式となり得るか?
縫合不全に対し単孔式腹腔鏡下回腸瘻造設術を施
行した 3 例
神戸大学大学院 食道胃腸外科
大阪府立急性期・総合医療センター 消化器外科
角 泰雄、金治 新悟、山本 将士、金光 聖哲、
山下 公大、今西 達也、中村 哲、鈴木 知志、
田中 賢一、掛地 吉弘
松田 宙、團野 克樹、宮崎 進、川田 純司、久
保田 勝、藤谷 和正、岩瀬 和裕、田中 康博
【 目 的 】2011 年 1 月 よ り 右 側 結 腸 癌 手 術 に 対 す る Reduced Port
Surgery を段階的に導入した。2014 年 4 月からは単孔式手術を含
めた Reduced Port Surgery を第一選択としている。これまでの成
績をもとに右側結腸癌に対する Reduced Port Surgery が標準術式
となりうるのかビデオ供覧し検討する。
【方法】2011 年 1 月より 2011 年 4 月までに当科で行った右側結腸
癌に対する 5 ポート(31 例)、3 ポート(18 例)
、単孔式(8 例)の
それぞれについて手術時間、出血量、合併症の有無について検討し
た。また、技術認定医と非技術認定医についての検討も併せて行っ
た(単孔式は技術認定医のみ施行)
。
【結果】手術時間(中央値)
:5 ポート;274 分、3 ポート;214 分、
単孔式;186 分。出血量(中央値)
:5 ポート;40g、3 ポート;5g、
単孔式;5g であった。合併症は 3 ポート及び単孔式群では特に認
めず、5 ポート群で術後膵液漏を 1 例に認めた。手術時間(中央値)
に関して、技術認定医(技)と非技術認定医(非)とで評価してみ
ると、5 ポート;
(技)225.5 分、
(非)276 分、3 ポート;
(技)198 分、
(非)243 分、単孔式;(技)186 分であった。
【結語】右側結腸癌に対しては Reduced Port Surgery は標準術式
となり得る可能性がある。
O-19
O-18
単孔式腹腔鏡下結腸切除術における iDrive を用い
た機能的端々吻合の有用性
(はじめに)術後縫合不全に対して、人工肛門造設を要する症例が
ある。縫合不全に対し腹腔鏡下に人工肛門を造設した報告は散見
されるが、人工肛門造設予定部から単孔式回腸瘻を造設した報告
は少ない。当科で単孔式腹腔鏡下回腸瘻造設術を施行した 3 例を
報告する。
(方法)ストマ予定部に 3-4cm の縦切開の皮切を置き、小開腹後
EZ アクセスを装着。5mm または 10mm のカメラポートと 5mm ポー
ト 2 本を挿入し、気腹開始。腹腔内を十分に観察、洗浄後、回腸
末端を確認し、回腸末端付近で回腸瘻を造設する。
(症例 1)68 歳男性。直腸癌に対し、腹腔鏡下高位前方切除施行し、
術後 3 日目にドレーンから便汁様排液が認められ、縫合不全と診
断された。単孔式腹腔鏡下回腸瘻造設術し、術後 31 日目に退院と
なる。
(症例 2)69 歳女性。直腸癌に対し、腹腔鏡下高位前方切除施行し、
術後 2 日目にドレーンから便汁様排液が認められ、縫合不全と診
断された。単孔式腹腔鏡下回腸瘻造設術し、術後 35 日目に退院と
なる。
(症例 3)67 歳男性。XELOX+Bev 施行中に横行結腸穿孔となり、
横行結腸部分切除施行。術後 15 日目に創部発赤を指摘され、創部
を開放したところ、食物残渣を含む排液を認め、縫合不全と診断
した。単孔式腹腔鏡下回腸瘻造設術し、術後 21 日目に退院となる。
(結語)縫合不全に対する単孔式腹腔鏡下回腸瘻造設術は安全で有
用と考えられた。
O-20
安全性を担保した大腸癌に対する Reduced port
surgery
群馬大学大学院 臓器病態外科
札幌清田病院 消化器外科
小川 博臣、塚越 浩志、吉成 大介、須納瀬 豊、
高橋 憲史、茂木 陽子、五十嵐隆通、高橋 研吾、
加藤 隆二、竹吉 泉
福島 正之、矢野 智之
近年、ポート削減や創を縮小した Reduced Port Surgery が広まり
つつあり、単孔式腹腔鏡下手術もその中で広まりつつある。単孔
式手術は、元々必要な小開腹創以外に傷跡が残らないため、整容
性に関する Quality は優れていると考えられる。一方、通常の腹腔
鏡手術より鉗子の取り回しに工夫が必要なため手技が煩雑になり、
手術時間の延長や合併症リスク増加の懸念がある。
今回、吻合における煩雑さの改善を期待して電動式自動縫合器
iDrive を用いて体腔内で腸管の切離吻合を行った。
症例は 66 歳男性。バウヒン付近の上行結腸に腫瘍を認めた。臍に
小開腹をおき EZ アクセスを用いて単孔式手術を行った。回結腸動
静脈の郭清と腸管受動の後、口側・肛門側腸管を iDrive を用いて
切離し、さらに体腔内で機能的端々吻合を行った。切離断端開放
から共通孔閉鎖までの全ての時間は 29 分であった。術後 7 日目に
退院した。
従来の自動縫合器は片手操作が困難で、角度や開閉の微調整を行
うことが出来なかった。iDrive によりステイプラーの屈曲・回転・
開閉・打針が片手で操作でき、さらにそれぞれが微調整可能であ
ることから繊細な縫合線のコントロールが可能であった。単孔式
手術のように鉗子数と挿入位置に制限がある場合、片手で微調整
ができることで、術者の理想に近い縫合をより早く安全に行える
と考えられた。iDrive を用いた体腔内での切離吻合は、比較的容
易かつ安全に操作が行え、有用性が高いと考えられた。
【はじめに】2010 年 1 月より早期癌から TANKO を導入し、徐々
に進行癌にも適応を拡大してきた。しかし、TANKO では、左手
のみで視野展開し、右手のエネルギーデバイスで切除することに
なり、切離ラインを展開できない場合があった。最近では、症例に
応じて 3-5mm のポートを 1-2 本追加した reduced port surgery を
積極的に施行し、腫瘍学的な安全性の担保している。【対象】2010
年 1 月から 2014 年 4 月までに施行した RPS:55 例と 4-5 ポートの
従来法:61 例を比較した。
【結果】RPS 群は pureTANKO:48 例
RPS:7 例 RPS 群において直腸癌 3 例は術者の右手鉗子・直腸切
除のため右下腹部に 12mm ポートを使用した。開腹移行:2 例。従
来法群は、開腹移行:3 例。合併症は RPS 群 5 例(創感染 1 例)、
従来法群 16 例(縫合不全 4 例、創感染 6 例)
。RPS 群は結腸癌 46
例 直腸癌 9 例、従来法群は結腸癌 36 例 直腸癌 25 例(0<0.01)。
BMI は RPS 群 vs 従 来 法 群 で 21.7(14.9-27.2)vs 24.1(16.0-31.4)
(p<0.01)。出血量は 7(0-161)ml vs 33(1-565)ml(p<0.01)
。術
後在院日数は 13(7-39)日 vs 18(8-57)日(p<0.01)
。手術時間は
178(110-324)分 vs 226(133-440)分(p<0.01)
。【結語】RPS は、
従来法と比較して直腸癌や BMI の高い症例が少なく、手術の難易
度により術式が適正に選択されていた。最近では、整容性の犠牲
を最小限にできる 3mm の細径ポートを使用することにより、手術
が安定し、安全性が担保された。
― 62 ―
O-21
腹腔鏡下低位前方切除術における reduced port
surgery の検討
腹壁破壊を最小限とする大腸癌における経臍標本
摘出 ∼明日からできる低侵襲化の工夫∼
北九州総合病院 外科
天草地域医療センター 外科
村山 良太
外山栄一郎
2012 年 1 月から 2014 年 4 月までの当院における腹腔鏡下低位前方
切除術症例は 18 例であった。conventional surgery として 5 ポー
トで行った 7 例(C群)と、reduced port surgery で行った 11 例
(R群)について検討した。当院での reduced port surgery は臍部
に multichannel port として GelPOINT を装着し、症例に応じて側
腹部に+ 1 個、+ 2 個、場合によっては+ 3 個のポートを追加挿
入し、安全性を担保して手術を行っている。R群では TANKO+1
ポートで行った症例は 3 例、
TANKO+2 ポートで行った症例は 7 例、
TANKO+3 ポートで行った症例は 1 例であった。局在はC群で
Ra4 例 /Rb3 例、R群で Ra8 例 /Rb3 例であった。covering stoma
はC群 2 例、R群 2 例に造設し、術中出血量はC群が 122.8cc で
あったのに対して、R群は 81.3㏄であった。手術時間はC群 327.1
分に対し、R群 399.6 分であった。術後合併症はC群に縫合不全を
1 例認めたのに対して、R群では縫合不全 2 例、腹腔内膿瘍 1 例で
あった。腹腔鏡下低位前方切除術においては、骨盤腔内の狭くて
深い場での視野の確保や、剥離操作、直腸の切離などが問題となる。
reduced port surgery ではさらにそれらが制限され、手技の難易度
は高くなる。当科での手技と工夫をビデオで供覧して検討する。
O-23
O-22
Reduced Port Surgery による腹腔鏡補助下結腸
切除 ―定型化と適応拡大を目指して―
(目的)RPS と needle の共通の目標は腹壁破壊を最小とすることで
あり、標本摘出を伴う手術では摘出創を最小限にすることが望ま
れる。大腸癌においては従来から片側の腸管のみを体内で切離し、
体外で標本摘出および吻合もしくはアンビル挿入を行うことが一
般的であった。われわれは腹腔内で標本をバッグに収納し、最小限
の皮膚切開で摘出する手技を行い、高い整容性を得ているので手
技を供覧する。
(方法)体内で口側・肛門側ともに切離し、腫瘍側
を収納バッグの底にして標本がバッグ内で横方向にならないよう
に右側結腸では肛門側腸管を左側では口側をバッグの外に少しは
み出させて収納する。臍を縦割りし筋膜は上下に十分に切開する。
はみ出させた腸管から創外に誘導し、回収バッグを標本ごとツイ
ストしながら摘出する。
(結果)摘出の妨げになる腫瘍や回盲部が縦方向に最後に摘出され
ることでよりスムーズな摘出が可能である。また標本を体内で切
離することで創外に摘出する際の腸間膜からの不要な出血も避け
ることが可能であり、安全面の向上にもつながっている。腫瘍経
の大きなものでも臍の切開は約 4cm 程度ですみ、最大創が臍内に
収まることで整容面にも優れている。
(結語)腹壁破壊の最小化は RPS/needle のみでは解決することは
できず、標本回収は大きなテーマである。本手技は特別な手技や
道具を用いることなく従来法にも明日から応用可能な合理的な摘
出方法である。
O-24
病的肥満症例に対する単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術
の経験
鹿児島大 消化器・乳腺甲状腺外科
獨協医科大学越谷病院 外科
盛 真一郎、馬場 研二、柳 政行、喜多 芳昭、
内門 泰斗、奥村 浩、前村 公成、石神 純也、
夏越 祥次
久保田 和、多賀谷信美、立岡 哲平、竹上 正之、
菅又 奈々、斎藤 一幸、奥山 隆、菅又 嘉剛、
吉羽 秀麿、大矢 雅俊
【 は じ め に 】 内 視 鏡 外 科 手 術 に お け る 新 し い 取 り 組 み と し て、
NOTES や単孔式腹腔鏡下手術が注目され、導入が進んでいる。し
かしながら、手技的に難易度が高いため、限られた施設で、限ら
れた術者により、限られた患者に対し行われているのが現状であ
る。当院では、助手のポートをアクセスポート内に減数し結腸癌
手術を行う Redused Port Surgery(RPS)を行っているので、そ
の手技の定型化と適応拡大について考察した。
【対象】2012 年 2 月
∼ 2014 年 1 月の 18 例。【手術方法】臍部に 4-5cm の皮膚切開を置
き開腹し、Access devise を装着する。アクセスポート内に助手の
2 本のトロッカーを減数し助手の鉗子用とする。腹腔内で鉗子をク
ロスさせるようにし、場を展開する。術者の操作用トロッカーは従
来の腹腔鏡下手術と同じ位置に留置し、手術操作を行う。右側結
腸では、体位を右側高位とし内側アプローチを行い、左側結腸では、
体位は頭低位、右側低位とし、内側アプローチを行う。手術時間
は 298 分、出血量は 41ml で、術中合併症はなかった。
【考察と結語】
① RPS の概念で手術を行うことにより、eye hand coordination や
hand hand coordination が維持され、術者の操作性は良好であった。
②助手とカメラオペレータが干渉することがあり、工夫を要した。
③手術手技が定型化し進行結腸癌症例や BMI 高値症例など適応拡
大が可能であった。
「はじめに」病的肥満症例に対する単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を経
験し、良好な結果を得たので報告する。
「対象」帝王切開による手術既往(臍下部近傍までの下腹部正中切
開創)のある BMI:41.8 の 29 歳女性および虫垂炎の手術既往のあ
る BMI:49.6 の 31 歳女性である。
「手術手技」体位は閉脚仰臥位とし、臍部に約 2.5cm の縦切開を施
し、手袋法にてアプローチした。腹腔内圧は 12mmHg にて開始した。
腹腔内は厚い大網が存在したが、胆嚢は周囲との癒着は認められ
ず、胆嚢の把持は容易で、胆嚢体部を Endo-Grab にて把持・挙上
したが、術野が不良なため、腹腔内圧を 15mmHg に変更した。胆
嚢管、胆嚢動脈をそれぞれ剥離、同定し、Critical view を得た後に、
胆嚢動脈を超音波凝固切開装置(LCS)にて切離し、
胆嚢管はクリッ
ピング後に切離した。ドレーンは挿入せず、臍部を縫合閉鎖した。
後者には ICG を使用した蛍光胆道および脈管造影を併用した。手
術時間(腹腔鏡使用時間)は 127(98)および 163(116)分、出
血量は少量で、術中偶発症および術後合併症は認められず、両例
ともに第 3 病日に退院した。
「結語」腹腔内圧を上げ、種々のデバイスを駆使し、ICG 蛍光法を
併用することで、手術を安全に完遂できた。病的肥満例は、手術
時間の延長は免れないものの、慎重に手術を進行すれば、適応外
にする条件にはならないと判断された。
― 63 ―
O-25
腹腔鏡下脾臓摘出術における従来法と単孔 +1 法
の比較
O-26
単孔式手術における multi-channel port(フリー
アクセス)の有用性
日本大学 消化器外科学講座
亀田総合病院 消化器外科
五十嵐雅仁
林 健太郎、高 賢樹、山田 成寿、柳田 剛、
本城 弘貴、太田 智之、林 賢、草薙 洋、
加納 宣康
【はじめに】当院では、現在良性胆嚢疾患、急性虫垂炎に対する
【はじめに】Reduced Port Surgery(以下 RPS)は整容性の点で優
れているが、手技の難易度が上がることが問題である。腹腔鏡下
脾臓摘出術に対して RPS の導入について検討した。
【方法】当科における腹腔鏡下脾臓摘出術(以下 Lap 法)では臍周
囲に 1st port を造設し、症例に応じて 2-4 本の鉗子を追加し、脾臓
摘出のために創を拡大することもある。一方単孔式腹腔鏡下脾臓
摘出術では細径鉗子を 1 本追加する方法(以下単孔+ 1 法)を用
いている。2009 年 9 月から 2013 年 6 月に良性疾患(特発性血小板
減少症、脾動脈瘤)に対して施行した Lap 法 4 例と単孔+ 1 法 3
例について、手術時間、出血量、ペインスケール、術後入院日数、
合併症の有無を検討した。
【結果】Lap 法では卒後 5 年∼ 11 年の医師が執刀し、平均値で手術
時間 159.8 分、出血量 117.5cc、術当日、術翌日、術後 2-3 日のペイ
ンスケールはそれぞれ 6.0、4.5、3.3、術後日数は 8.0 日であった。
一方単孔 +1 法では卒後 17 年の医師が執刀し、平均値で手術時間
154.7 分、出血量 55.0cc、術当日、術翌日、術後 2-3 日のペインスケー
ルはそれぞれ 4.0、4.7、3.2、術後日数は 6.3 日であった。合併症は
どちらも認めなかった。
【結語】腹腔鏡下脾臓摘出術における単孔 +1 法は、適応疾患を選
択し、熟練した医師が施行することで通常の Lap 法と遜色ない結
果が得られた。
O-27
臍部ジグザグ切開を利用した膵・脾に対する腹腔
鏡下手術
1
標準術式として単孔式手術を施行しており、整容性、術後疼痛軽
減を目的として可能な限り切開創を小さくすることを心がけてい
る。その試みとして multi-channel port(フリーアクセス)、屈曲
鉗子(Cuschieri 鉗子)、3mm 細径鉗子を用いた手術を行っている。
その手技を供覧する。【手術手技】臍内におさまる切開創で開腹し
Alexiis XS とフリーアクセスを装着する。スコープ用と右手操作鉗
子用の 5mm trocar2 本を挿入。スコープ用 trocar の尾側に 3mm
trocar を挿入し細径鉗子で胆嚢を把持牽引し Cuschieri 鉗子はに直
接挿入して操作を開始する。
【結果 / 成績】腹腔鏡下胆嚢摘出術症
例 20 例全て単孔式で完遂可能であった。平均手術時間 63 分、出
血量 10g、術後在院日数 3.1 日、術後合併症は認めなかった。
【考察】
multi-channel port を用いた組み合わせは手元の干渉を極力減じて
安全により小さい切開創で手術を完遂することが出来る有用な方
法と考える。
O-28
鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科、2 同 保健学科
1
1
1
ITP に対する reduced port 腹腔鏡下脾臓摘出術
の4例
NTT 東日本札幌病院 外科
1
山田 秀久
前村 公成 、
又木 雄弘 、
蔵原 弘 、
南 幸次 、
飯野 聡 1、
盛 真一郎 1、
迫田 雅彦 1、
新地 洋之 2、
夏越 祥次 1
【目的】腹腔鏡下脾臓摘出術(LSp)は 1991 年に報告され、特に
【目的】臍部のジグザグ切開と Gelport laparoscopic system(以下
Gelport)による経臍的手法を用いて、膵尾側切除(DP)ならびに
脾切除における腹腔鏡下手術を試みたのでその成績について検討
した。
【方法】対象は低悪性度または良性の膵疾患(8 例)と脾疾患(3
例)の計 11 例。術式の概略は、最初に臍部のジグザグ切開を行い
Gelport を装着する。Gelport からは 2 ∼ 3 個のポートを留置し、
手術の難易度に合わせてさらに 2 ∼ 3 か所のポートを追加する。
ポート数、手術創状態、周術期および術後合併症を検討した。
【成績】Gelport 装着時の臍部切開孔の平均径は 6.6㎝で、閉創後
の臍部切開創平均長は 5.1㎝であった。平均の追加ポート設置数は
2.7 個。 術 中 に 触 診 を 含 め た Hand assisted laparoscopic surgery
(HALS)を併用した症例は 8 例であった。2 例が開腹操作移行と
なったが、その原因は各々膵の高度癒着と巨大脾腫瘍によるもの
であった。9 例は全て臍切開創より無損傷で標本摘出が可能であっ
た。DP で GradeB(ISGPF)膵瘻 1 例を認めたが、その他の合併
症なく、術後在院日数は DP で 12 日、脾摘術で 7 日であった。
【結論】腹腔鏡下尾側膵切除および脾摘術に対する段階的な
reduced pot surgery の導入に際し、臍部ジグザグ切開と Gelport
を用いた経臍的アプローチ法は安全性を担保した方法として推奨
できると思われた。
ITP では、脾腫を伴うことは少なく、LSp が gold standard とされ
ている。さらに、より整容性と低侵襲性を追求した単孔式腹腔鏡
手術が導入されている。今回、脾臓疾患に対する単孔式腹腔鏡下
脾臓摘出術の成績について検討したので報告する。
【方法】手術前
検査として、CT 画像から血管再構築し脾動脈・静脈の走行を評価
し、脾臓容積測定を行う。RI で副脾の確認を行った。手術は全身
麻酔管理下に右半側臥位の体位とし、術者および助手は患者右側
に立ち操作を行った。臍を縦に 2.5cm 切開し EZ アクセスを装着し
5mm カニューラを 3 本挿入した。腹腔内を二酸化炭素で気腹し、
8mmHg で維持した。5mm flexible scope、従来型把持鉗子、フッ
ク型電気メス、超音波凝固切開装置を使用した。胃脾間膜を切離
後、脾動脈を膵上縁で結紮し血流遮断を先行し、出血軽減に努める。
脾門部および後腹膜の剥離を行い、血管処理は結紮切離あるいは
自動縫合器による一括切離を行った。脾臓は破砕し摘出した。
【結
果】'14/4 までに施行した 4 例。男性 3 例、女性 1 例、年齢 27 ∼
49 歳。平均 BMI 22.0 m/kg2。手術時間は 141 ∼ 300 分。ポート追
加は単孔 +2、
単孔 +1 各 1 例。出血量は 0 ∼ 450ml。術後合併症無し。
【結語】単孔式腹腔鏡下脾臓摘出術は、視野展開や鉗子操作などに
習熟が必要であるが、単孔式手術の経験と段階的導入により、安
全に施行可能な低侵襲手術である。
― 64 ―
O-29
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術における肥満の影響
O-30
石川県立中央病院 消化器外科
昭和大学藤が丘病院 消化器・一般外科
北村 祥貴
【目的】単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は従来法より鉗子の干渉などの
制限があり、肥満が術式に与える影響は不明である。肥満が単孔
式腹腔鏡下胆嚢摘出術にあたえる影響を検討した。
【方法】2009 年 7 月から 2014 年 4 月までに SILC を施行した 143 例
2
BMI 30-25kg/m(M
を対象とした。BMI 30kg/m2 以上(O 群)8 例、
2
群)40 例、BMI 25kg/m 未満(N 群)94 例の 3 群に分けて、手術
時間、出血量、合併症を検討した。なお、手術手技は現時点では
access device として EZ アクセスを使用し、湾曲鉗子 2 本と 5mm
30 度斜視硬性鏡を使用している。
【結果】手術時間は O 群、M 群、N 群それぞれ 88 分、83 分、87 分
で有意差はなかった。出血量は O 群、M 群ともに少量で N 群では
50ml 以上の出血を 6 例に認めた。合併症は M 群で 2 例 SSI を認め
た。また、N 群で 4 例にポートを追加したが、O 群 M 群は全例単
孔で完遂した。
【結語】BMI が 30kg/m2 を超える肥満症例に対しても安全に SILC
を施行しえた。しかし、少数例の検討であり今後症例の集積が必
要である。
O-31
当科における単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術のポート
留置と鉗子の工夫
Pure TANKO による胆嚢摘出術を困難にする要
因の検討
水上 博喜、田中 淳一、原田 芳邦、喜島 一博、
櫻庭 一馬、横溝 和晃、松原 猛人、梅本 岳宏、
木川 岳、根本 洋
当科では、2011 年 4 月より単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行して
いる。当初は、非炎症症例に限定していたが、現在では、全ての症
例の第一選択としている。初期は、
臍部皮膚切開を 3cm にて開腹後、
multi-trocar 法にて施行した。胆嚢把持には MiniLap TM を使用して
いたが、胆嚢穿孔を認める症例があり、EndoRelief TM 鉗子に変更
した。中期は、multi-trocar 法にて、トロッカーの接触による皮膚
のびらんを経験し、皮膚切開そのままに、アクセスデバイス(フリー
アクセス TM)を用いた multi-channel 法に変更した。現在は、皮膚
切開を 2cm に縮小し、EZ アクセス TM を用いて、トロッカーを挿
入し、胆嚢の炎症の程度にて、胆嚢を展開する器具を EndoRelief、
EndoGrab TM、もしくは、使用せずに、胆嚢を摘出している。単孔
式腹腔鏡下手術では、トロッカー間の距離が狭小化し、鉗子操作
の干渉が発生するため、若手外科医の技術の安定化を目指し、ま
た、安全な胆嚢管、胆嚢動脈の処理ために屈曲型ヘモロックアプ
ライヤーを用いる等、工夫している。当初は、全ての症例に対応
可能となる手技を目指して、定型化を考えていたが、RPS の理念
に立ち返り、安全性と確実性を維持しながら、更なる整容性の向上、
術後回復の改善、患者それぞれに対するテーラーメード治療を目
指している。
O-32
東北労災病院 外科
1
薫風会佐野病院 消化器がんセンター、2 高知大附属病
院 がん治療センター
野村 良平、徳村 弘実、西條 文人、松村 直樹、
武藤 満完、安本 明浩、田嶋 健秀、松本 正孝、
千年 大勝、望月 保志
生本 太郎 1、小髙 雅人 1、岡本 健 2、小林 道也 2
当院では 2009 年の単孔式手術導入以来、Pure TANKO による胆
嚢摘出術(以下 TANKO-LC)を良性胆嚢疾患に対する標準術式
として行っている。導入当初はデバイスの干渉による操作性の低
下に悩まされたが、デバイス同士の交差を避ける手技を定型化す
ることによりこれを解決している。また市中病院における 標準
術式とするため、経済性を悪化させる専用プラットフォーム等は
一切使用していない。ポート配置は直接穿刺を併用した Multiple
trocar 法を標準としている。
[目的]Pure TANKO を困難にする
要因を明らかにする。
[方法]当院における TANKO-LC 症例を
retrospective に検討し、トロッカー追加あるいは開腹移行に至っ
た原因を特定する。
[結果 / 成績]抄録登録時点までの TANKOLC 症例は 295 例であった。うちトロッカー追加症例は 8 例(2.7%)、
開腹移行症例は 15 例(5.1%)であった。トロッカー追加理由は、
胆嚢炎による剥離困難が 5 例、出血、術中造影、視野不良が各 1 例
であった。開腹移行理由は、胆嚢炎による遂行困難が 11 例、前回
手術の癒着による遂行困難が 4 例であった。[結語]Pure TANKO
を困難にする要因は胆嚢炎が主であり、デバイス同士の干渉は少
なくとも直接的な要因にはならなかった。炎症症例に対しては適
切な手術時期を選ぶ等の工夫により Pure TANKO の完遂割合が上
がるのではないかと考えている。
細径化腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術成績
【目的】われわれは急性胆嚢炎と上腹部手術既往のない DIC 胆嚢
陽性例に対して、TANKO-LC および 3mm ポート一本を追加した
Modified TANKO-LC を施行した。しかし、その後レジデント教育
と通常 LC と同等の施行可能な術式という点から 2012 年 7 月より
右肋弓下で鎖骨中線・前腋窩線の 2 つのポートを 3mm の細径鉗子
を用いて行う細径化腹腔鏡下胆嚢摘出術(細径法 5、3、3、12mm)
を施行している。本術式の手術成績を検討する。【方法】2014 年 3
月までに施行した細径法 50 例の完遂率、手術時間、合併症、術後
在院日数を検討した。また、これらと同様の手術適応で同時期に
行われた通常の 5mm 鉗子を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術(通常法 5、
5、5、12mm)75 例と比較した。【結果 / 成績】完遂率 100%, 平均
手術時間 96.5 ± 28.2 分、合併症は表層切開創 SSI 2 例、術後在院
日数は 4.0 ± 1.5 日(クリニカルパス術後 4 日退院)であった。通
常法と比べて統計学的有意差を認めなかった。
【結語】細径法は
TANKO よりはるかに難度は低い。通常法と比較し、上記適応に
おいては難度も上がらず同等の手術成績であった。
― 65 ―
O-33
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるエンドグラブ
を用いた Calot 三角展開の工夫
O-34
1
大阪府済生会泉尾病院 外科・消化器外科、2 高村病院
外科
Reduced Port Surgery での胆嚢摘出術における
当院での術中胆道造影手技について
下関医療センター 外科
近藤 潤也
齊藤 卓也 1、
山道 啓吾 1、
菱川 秀彦 1、
植田 愛子 1、
田中 義人 1、田中 宏典 2
【はじめに】腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)は胆嚢良性疾患の標準手術
【目的】エンドグラブシステムは腹腔内で継続的かつ自在に組織
を展開できるアンカーシステムである。特に、単孔式腹腔鏡手術
(TANKO)では、補助鉗子による traction がないためエンドグラ
ブは有用である。今回、TANKO 胆嚢摘出術でエンドグラブを用
いて Calot 三角の良好な展開が得られたので、その工夫を報告する。
【方法:当科における TANKO 胆嚢摘出術】臍部にベンツ切開を行
いマルチトロッカー法(3 ポート:12mm 径 1 本と 5mm 径 2 本)
で施行し、臍部より胆嚢を腹腔外に摘出している。なお、細径鉗
子などの臍部以外へのポートの追加は行っていない。
【結果:展開
の工夫】肝の張り出しが強く、左手の鉗子による胆嚢の牽引だけ
では Calot 三角の展開が不十分なこともある。このような症例に対
しては、エンドグラブで肝円索を把持し、肝を持ち上げるように
腹壁に固定して traction をかけいる。こうすることで良好な Calot
三角を展開し、Critical view を得ることができた。
【結語】エンド
グラブは通常、胆嚢底部を把持し腹壁に固定するが、肝円索を把
持し traction をかけることで TANKO 胆嚢摘出術でも、Critical
view of safty の概念に則った手術が安全に施行できる。
O-35
癌性腹膜炎による鼠径ヘルニア嚢転移、小腸狭窄
を伴った胃癌に対し腹腔鏡手術を行った 1 例
となり、近年では、更なる低侵襲性を目指した単孔式腹腔鏡下胆嚢
摘出術が広まりつつある。我々の施設では 2010 年から単孔式 LC
を導入し、症例を重ねながらより安全で汎用性のある手技を工夫
してきた。現在は、pure TANKO + 細径鉗子による Reduced Port
Surgery を基本術式としているが、従来の 4 ポートによる腹腔鏡
下胆嚢摘出術で原則全例に術中胆道造影を行っていたこともあり、
Reduced Port Surgery においても術中胆道造影を施行するように
努めている。Reduced Port Surgery での胆嚢摘出術における当院
での術中胆道造影手技について報告する。
【手術手技】臍輪内に収
まる臍縦切開を加え、
5mm ポートを 2 本留置。右肋弓下に 3mm ポー
ト、右側腹部腋窩線上に 2.4mm 細径鉗子を挿入して手術を開始。
Critical view の術野展開を行い、必要に応じて胆嚢動脈処理を先
行し、胆嚢管を確保する。胆嚢管を切開後、造影チューブを 3mm
ポート通して挿入してクリップで固定。胆道造影を行った後に固定
用のクリップを愛護的に除去して造影チューブを抜去。胆嚢管を
再度クリッピング後に切離して胆嚢を肝床より剥離摘出する。造
影に要する時間は 10 分程度である。【結語】当院の Reduced Port
Surgery での胆嚢摘出術における術中胆道造影手技は、若干のコツ
をつかめば従来法と同様に安全に施行可能であると考える。
O-36
立体映像表示カメラシステムを用いた若年女性に対
する単孔式鼠径ヘルニア修復術(TEP 法)の一例
国立病院機構 福井病院 外科
福岡市立病院機構福岡市民病院 外科
田畑 信輔
富川 盛雅、遠藤 和也、東 貴寛、是永 大輔、
竹中 賢治
症例は 77 歳女性。右鼠径部腫瘤にて紹介受診。腹部 CT 検査にて
腹水貯留、胃壁の肥厚、小腸狭窄、2cm 強の右鼠径部腫瘤を認め、
上部消化管内視鏡検査にて噴門から胃体上部にかけての全周性の
4 型進行胃癌を認めた。また、径肛門的小腸内視鏡検査にて内視鏡
通過できない狭窄を 1 カ所認めた。以上より胃癌の癌性腹膜炎によ
るヘルニア嚢転移、小腸狭窄の診断にて確定診断兼治療目的に手術
となった。手術は臍縦切開にて開腹し、ラップディスク、EZ アク
セス装着にて腹腔内を観察、右鼠径部に外ソケイヘルニアを認め、
ヘルニア内に癌性腹膜炎による腫瘍を認めた。左側腹部に 5mm の
ポートを追加し、ヘルニア周囲の腹膜を切開し、ヘルニア嚢を完
全に腹腔内に引き出した部位にて子宮円靭帯を切離し、摘出した。
開大したヘルニア門に 4x5cm に切ったメッシュを当て固定し、腹
膜を縫合閉鎖した。小腸狭窄の部位を臍部より創外に出し、切除、
吻合を行い、抗癌剤注入用の腹腔ポートを左側腹部のポート部に
留置した。術後経過は良好で術後 12 日目より胃癌に対する化学療
法を開始した。現在、癌性腹膜炎の増悪は認めているが鼠径部腫
瘤の再発は認めず経過している
悪性腫瘍によるヘルニア嚢転移に対する腹腔鏡手術の報告はこれ
までにないが、本症例は審査腹腔鏡、小腸切除、腹腔ポート留置
に新たな創を追加することなく行うことができ、術後回復も早く、
局所コントロールも良好であり、有用な手術であったと考える。
【 は じ め に 】 単 孔 式 totally extraperitoneal preperitoneal repair
(TEP)法は、臍部のみの切開で腹腔内操作も行わず剥離範囲も最
小限度に行うことが可能であるため低侵襲と考えられ、患者の生
活の質(QOL)の向上が期待できる。若年女性の鼠径ヘルニアに
対し立体映像の観察が可能な立体映像(3D)表示カメラシステム
を用いた単孔式 TEP 法を経験した。【症例】24 歳女性、左鼠径部
の膨隆と圧痛を主訴に来院した。左鼠径ヘルニアと診断し、3CCD
を搭載した直径 11mm の 3D 硬性内視鏡とパナソニック社製フル
ハイビジョン対応 3D 表示カメラシステムを用いた。
【結果】本シ
ステムの使用により狭隘な腹膜前腔内の 3 次元解剖の把握が容易
となり、
剥離操作、縫合結紮がスムーズに行われた。手術時間 127 分、
出血量少量であった。本システムは手術の安全性に寄与したと考え
られた。合併症は認めなかった。【結語】単孔式鼠径ヘルニア手術
は奥行きを感じることにより、より安全に施行できる術式であり、
確実な奥行き情報を術者に伝える 3D 表示カメラシステムは単孔式
内視鏡手術において有用であると考えられた。
― 66 ―
O-37
5、5、3mm の ト ロ ッ カ ー に よ る Needlescopic
TEP for Inguinal Hernia(第 2 報)
成人女性鼠径ヘルニアに対する Single-port LPEC
の経験
長野市民病院 外科・消化器外科
国立病院機構岡山医療センター 外科
宗像 康博、関 仁誌、高田 学、佐近 雅宏、
町田 水穂、成本 壮一、林原 香織、松村 美穂、
岡田 正夫、大越 猛
内藤 稔、太田 徹哉、國末 浩範、柿下 大一、
徳毛 誠樹、難波 圭、山本 治慎、照田 翔馬、
津高 慎平、森川 希実
Less Invassive の 追 求 と し て、 ま ず、Single Port + One に よ る
TEP を試み、次に、5mm 2 本、3mm 1 本の multiple trocar 法に
よる Needle Scopic TEP を試みて前回の本会で報告した。今回、
さらに症例を重ねて試みたので、報告する。
症例は、
男性 4 例、
女性 2 例、
平均年齢は 64.7 歳。外鼠径ヘルニア 5 例、
大腿ヘルニア 1 例。【手術方法】臍内の縦切開の皮切を行い、腹直
筋筋鞘内に 5mm トロッカーを 2 本挿入し、気腹下に腹直筋の背側
を剥離し、3mm トロッカーを挿入。通常の TEP と同様に鼠径部
の腹膜を剥離し、ヘルニア嚢をすべて剥離または、エンドループ
や結紮糸で結紮切離した。5mm トロッカーより術野に 3D メッシュ
LG を挿入して修復した。腹直筋鞘を 2-0 バイクリルで縫合、臍内
の皮切および 3mm の創は V-Loc で縫合した。平均手術時間は 69.3
分、術中偶発症や術後合併症はなかった。
【考察】単孔式腹腔鏡下
ヘルニア修復術では TTEP の報告は少なく、5、5、3mm のトロッ
カーによる TEP の報告は他になかった。単孔式 TEP では、腹直
筋後鞘と腹膜の間を剥離してマルチテャンネルポートを装着する
報告があるが、ほとんどの症例で気腹となり、腹腔内の脱気を必
要とするため、TEP 本来の利点を薄めてしまう。本法は剥離ルー
トが従来の TEP と同様であり、腹直筋鞘の後鞘は切開されず、前
哨のみ小さく切開縫合するだけなので、創痛が少ない印象であり、
TEP 本来の利点を有したより less invassive な Needlescopic TEP
と思われた。
O-39
O-38
当院における、単孔式腹腔鏡下ヘルニア手術の検討
【はじめに】小児鼠径ヘルニアに対する LPEC 法は、広く行われて
いるが、成人(15 歳以上)に対する適応は明らかでない。我々は、
成人女性鼠径ヘルニアに対し Single-port LPEC 法で手術を行って
いるので、適応と術式を紹介する。
【適応】2004 年 4 月 -2013 年 11 月に当院で行われたヘルニア 2491
例について年齢と性別を検討した。男性 1,587 例、女性 904 例。14
歳以下症例は、男児 957 例、女児 833 例。症例数年齢別分布は、
男性で 0-4 歳と 75-79 歳の二峰性を示すのに対し、女性は 0-4 歳の
一峰性であった。直近の成人女性 67 例と成人男性 120 例でヘルニ
アの型と発生年齢を調べた結果、内 / 外鼠径ヘルニアは女性例で
8/59 例、男性例で 35/93 例。内鼠径ヘルニアの最低年齢は女性例
59 歳、男性例 26 歳。女性鼠径ヘルニア例は、主に腹膜鞘状突起遺
残に由来すると考えられるが、男性例ではそれに加え鼠径床の脆弱
に由来する内鼠径ヘルニア症例の増加が二峰性の原因と考えられ
た。以上より成人女性例に対し腹腔鏡観察後、腹膜鞘状突起遺残
による外鼠径ヘルニアの場合はそのまま LPEC 法で修復している。
【手術手技】全身麻酔下に行い、臍を縦切開し Hakko の LAP DISC
OVAL mini を挿入、5mm の port2 本を用いそれぞれカメラと鉗子
に用いる。ラパヘルクロージャーを用い 2-0 非吸収糸で内鼠径輪を
閉鎖する。
【結果】3 例の成人女性:平均年齢 20 歳、両側 1 例・片側 2 例にお
こない、1 年以上経過しているが再発は認めていない。
O-40
当科における単孔式腹腔鏡下虫垂切除術
北野病院 消化器センター 消化器外科
兵庫県立塚口病院 小児外科
井上 善景、金澤 旭宣、飯田 拓
高田 斉人
はじめに:当院においてこれまで、腹壁瘢痕ヘルニア、臍ヘルニア
に対して、開腹下での修復を行ってきた。2014 年からは、腹腔鏡
下ヘルニア根治術を導入し、一部の症例においては、単孔式手術
を行っている。ヘルニア門が直視下で確認が可能であること、創
が小さく患者への負担が少ないことが利点として挙げられる。
検討:2014 年 5 月までの手術症例は 4 例であった。臍ヘルニア 1 例、
腹壁瘢痕ヘルニア 3 例であった。単孔式手術を 3 例において施行
した。平均手術時間は、105 分(52-202)であり、出血はほとんど
認めなかった。現在までに、再発は認めていない。
考察:単孔式腹壁瘢痕ヘルニア根治術を安全に導入しえた。臍以
外での切開となるため、
整容面での利点は今後の課題である。一方、
ポート数を減らすことによるポート挿入部のヘルニアの予防、創
が大きくなることによる直視下での縫合の確実性の改善などが利
点として考えられる。文献的考察を加えて、報告する。
虫垂切除術は外科医にとって必須な基本術式の一つであるが、近年
では従来の開腹ではなく腹腔鏡下の手術が主流となっている。そ
の後、単孔式内視鏡手術(Single Incision Laparoscopic Surgery:
SILS)が開発されると、SILS は外科、婦人科等を含め領域を問わ
ず急速に普及してきた。
当科では平成 18(2006)年から虫垂切除術は 3 ポートでの腹腔鏡
下手術を標準術式としてきた。
平成 24(2012)年 1 月から、SILS による虫垂切除術を導入し、現
在ではこれを標準術式として採用している。
腹腔鏡手術の侵襲度は腹壁の手術創の大きさと数に比例しており、
SILS では創が 1 ヶ所という優れた整容性の面だけでなく、術後に
生じる腹壁との癒着や創部痛が臍部のみであること、といったこ
れらの点においても、以前に行っていた 3 ポート式(多孔式)の
手術に比し、メリットが大きいという特徴がある。
SILS は現時点において一方向からの手術であるため多孔式よりも
操作が難しく、また SILS に特化した使用器材の必要性等もあり、
これらのデメリットを補う SILS に特有のテクニックや器具の開発
が今後の SILS の発展に不可欠なものと考えられる。
当科における虫垂炎手術 - 単孔式腹腔鏡下虫垂切除術 - の術式を呈
示し、当科で主に用いている各種デバイス群とそれらの使い分け
について、また手術の操作性向上のために行っているいくつかの
工夫を紹介するとともに、若干の文献的考察を加えて報告する。
― 67 ―
O-41
当院での急性虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡下虫垂
切除術の現状
穿孔性虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡下虫垂切除術
の経験
沖縄協同病院 外科
京都九条病院 消化器外科
川上 浩司
北川 一智、須知健太郎、米花 正智
【目的】単孔式手術は整容性に優れた術式として次第に普及してき
ている、当院でも急性虫垂炎に対して 2011 年 6 月より同術式を導
入し 2013 年 12 月までに 104 件を経験した単孔式手術の適応は厳格
には決めず術中所見で柔軟に変更もありうる形をとっている。また
2013 年 12 月より細径鉗子を導入し困難症例にはこれを追加して対
応する症例もある 2013 年 12 月までの治療成績について報告する。
【方法】1.臍部縦切開で 5mm トロッカーを直接穿刺するマルチト
ロッカー法(EZ アクセスを使用した症例 4)、
2.LCS で間膜処理、3.
エンドループまたは体腔内結紮で虫垂根部を処理、4.汚染がひど
い場合は洗浄、5.回収バッグにて標本回収
【結果】104 例に施行(カタル性 15 例 蜂窩織炎性 76 例 壊疽性
12 例 正常虫垂 1 例)平均在院日数は 3.9 日 平均手術時間は 47 分
術後合併症は創感染 3 例 腹腔内膿瘍 1 例であった
【結果】conventional な腹腔鏡下虫垂切除とほぼ遜色ない結果とお
もわれた。
O-43
O-42
単孔式腹腔鏡下虫垂切除術における腹腔鏡手術手
技のジレンマ
[目的]当院では虫垂炎に対して 2010 年より単孔式腹腔鏡下虫垂
切除術(以下 LAA)を行っている。当初は比較的炎症の少ない症
例のみを対象としていたが、次第に適応を拡大しており、2012 年
からは穿孔症例にも LAA を施行しているので報告する。[方法]
2012 年 9 月∼ 2013 年 12 月までに経験した穿孔性虫垂炎にたいし
て LAA を施行した 5 症例。同時期の穿孔性虫垂炎のうちイレウス
を併発しており腹腔鏡下に視野を得ることが困難な 2 症例は開腹
で虫垂切除を行っている。
[結果 / 成績]年齢は 16-78(平均 38)歳、
男性 4 名、女性 1 名。全例が臍部小切開 TANKO で手術を行って
いた。虫垂の処理法は小切開に出して従来の方法で処理したもの
が 4 例、自動縫合器の処理が 1 例。全例で 4L 以上の術中洗浄を行っ
ておりドレーンは留置せず。手術時間は 75−150(平均 120)分、
出血量は 0−50(平均 14)ml。術後合併症は創感染 1 例、腹腔内
血腫 1 例、麻痺性イレウス 4 例(改善するのに要した日数は 4、4、
10 日)
、偽膜性腸炎 1 例。術後在院日数は 4−35(平均 15.2)
日。
[結語]
穿孔性虫垂炎の術後の問題点として遺残膿瘍 , 創感染があると考え
られる。今回の 5 症例において創感染は 1 例のみであり、遺残膿瘍
は認めなかった . 腹腔鏡を使用することの利点として充分な腹腔内
の観察、洗浄が可能であり、術中に十分な洗浄を行うことでドレー
ンを留置せずに単孔式で行うことが可能であると考えられた。
O-44
経済性を重視したグローブ法で行う単孔式虫垂切
除術の工夫
高知赤十字病院 外科・呼吸器外科
高松市民病院 外科
山井 礼道、山本祐太郎、笹 聡一郎、吉田 千尋、
松岡 永、甫喜本憲弘、大西 一久、谷田 信行、
藤島 則明、浜口 伸正
尾形 頼彦、四方 祐子、篠原 永光、井内 正裕、
福田 洋、和田 大助
当院では 2010 年 2 月から単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を導入し、
2014 年 4 月までに 159 例を経験した。執刀医は 10 年目以上が 5 人、
10 年目以下が 5 人であった。導入当初は SILS port を用い、体内
での体腔内結紮器具を用いた根部結紮を基本としていた(体内法)
。
しかし、根部処理の煩雑さから普及せず、2011 年から、プラット
フォームの変更に伴い臍外での根部処理を導入し、急激に単孔症
例が増加した(体外法)
。しかし、レジデント等は単孔式腹腔鏡下
手術手技に不慣れなことから、場の展開や協調運動とは関係なく、
可及的な間膜処理を行った後に体外で根部を処理する hybrid な手
術として完成している。合併症等に差も無く、learning curve に達
するまでの手術時間は体外法のほうが短い傾向にあり、臨床上は
問題無いと思われる。しかし、
本来の単孔手術操作に不慣れなため、
難渋した際に port の追加で対応できない、安易な創部の延長、体
外法にこだわるが故の過度の牽引で虫垂断裂等が増加する可能性
を危惧している。また、同時期に導入した単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出
術では port 追加症例を含めて、症例数の増加は認めていない。こ
の原因は単孔式手術手技の難易度に起因していると思われる。こ
ういった背景から、現在は単孔式にこだわらず、3 port での腹腔鏡
下虫垂切除術で Triangle formation, Coaxial setup を意識し、症例
に応じて単孔式手術の使い分けを明確にするよう指導している。
【目的】整容性に優れた単孔式手術であるが高価なアクセスデバイ
ス、自動縫合器の使用はコスト面で問題がある。グローブ法は低
コストであるが不透明な手袋の先の小さい穴からは鉗子、腹腔鏡
の挿入性に問題がある。また、挿入時はブラインド操作になるた
め不用意な操作による腹腔内臓器損傷の危険性があった。当院で
施行している最小限の切開と経済性に配慮し両立を目指した単孔
式虫垂切除術の工夫を報告する。【対象・方法】穿孔、膿瘍形成症
例以外の虫垂炎。臍縁内を縦切開し 1 ∼ 2cm 用ラッププロテクター
ミニミニを挿入、カットした手袋の親指に装着。指に 5mm ポート
を 2 本、3mm ポートを 1 本とプラスチック製のビーカーを装着し
ポートは体内に挿入せず腹腔鏡、鉗子類のみ腹腔内に挿入する。通
常のストレート鉗子のみ使用、虫垂間膜は超音波凝固切開装置で
処理し虫垂根部は結紮する。【結果】虫垂を取り出すために必要な
約 1.5cm の切開で手術可能である。また、再利用可能ポート、ア
クセスデバイスとしてのグローブ使用や虫垂根部を結紮処理する
ことでコストも最小限となる。またビーカーの底を通して切開部
を直接確認でき、鏡や鉗子類のスムースな挿入が可能になりグロー
ブ法の問題点であった挿入時のストレスはなくなった。
【結語】比
較的炎症が軽度の虫垂炎では創長、コストを最小限にするグロー
ブ法を用いた単孔式虫垂切除術が安全に施行可能であると考えら
れた。
― 68 ―
O-45
O-46
虫垂炎に対する reuced port surgery の検討
長野市民病院 外科
1
北海道医療センター 外科、2 北海道医療センター 呼
吸器外科、3 北海道医療センター 婦人科
町田 水穂、宗像 康博、林 賢、関 仁誌、
高田 学、佐近 雅宏、成本 壮一、竹本 香織、
松村 美穂、岡田 正夫
[はじめに]当院では虫垂炎に対して 3port 手術(S 群)、TANKO
手術(T 群)、
TANKO+Needle 手術(+N 群)の 3 術式を行っており、
比 較 検 討 し た。[ 対 象 と 方 法 ]2013 年 4 月 か ら 2014 年 5 月 の 間
に施行した虫垂炎手術 72 例(急性期手術 59 例(A 群)+interval
appendectomy13 例(B 群))について検討した。術式は執刀医が
病態及び自身の習熟度に応じて判断した。術者は 3 年目の後期研
修医から内視鏡外科学会技術認定医までの合計 8 人であった。
[結
果]S 群 50 例(A/B:43/7)、
T 群 10 例(7/3)
、
T+N 群 12 例(9/3)で、
腹腔内膿瘍を伴う症例はそれぞれ 10、1、5 例であった。T 群は困
難な手術が予想される症例では選択されることは少なく、腹腔鏡手
術に習熟した医師が執刀していた。+N 群は後期研修医も執刀して
いた。術中に術式を変更した症例はなく、手術時間
(57.36 ± 31.6 分、
T 群 44 ± 15.7 分、+N 群 54.3 ± 40.5 分)、
入院日数に有意差はなかっ
た。[考察]もっとも整容性に優れた術式は TANKO 手術と考えら
れるが、当院では後期研修医が執刀することが多く TANKO 手術
を積極的に進めるのは難しい面がある。しかし TANKO+Needle
手術では 3port 手術と比較して視野に大きな差はなく、鉗子の操作
性も良好であり、腹腔鏡手術に習熟していない術者でもストレス
なく手術が可能であると考えられる。
O-47
当院における単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の標準化
単孔式 +1 ポートでアプローチした妊娠 15 週急性
虫垂炎の手術経験
菊地 健 1、
坂本 譲 1、
蔵谷 大輔 1、
植村 一仁 1、
高橋 宏明 1、
伊藤 美夫 1、
井上 玲 2、
大坂 善彦 2、
大隅 大介 3、齋藤 裕司 3
妊娠 15 週で急性虫垂炎を発症し、腹腔鏡下虫垂切除術を施行し良
好な経過であった 1 症例を経験した。症例は 27 歳女性で、来院時
妊娠 15 週 0 日であった。前日からの嘔吐と右下腹部痛で来院し、
エコー検査で急性虫垂炎と診断した。受診日に手術を施行した。臍
から eazy accesse を利用し内視鏡と鉗子一本を挿入し、別に右側
腹部より鉗子用ポートを挿入した。気腹圧を 8 ∼ 10mmHg とした。
回盲部の視野は良好であった。術中所見として、発赤腫大した虫
垂炎とダグラス窩に膿性腹水があった。切除に際し鉗子が子宮に
触れぬよう細心の注意をはらった。ダグラス窩を洗浄した後ドレー
ンを留置し二日後に抜去した。術後 6 日目に退院し、その後切迫
早産や子宮収縮の徴候もなく 40 週 0 日に通常分娩にて 2970g の健
康児を出産した。妊娠 15 週では子宮のサイズも大きくなく視野が
良好で鉗子操作空間も保たれ、比較的安全な手術が可能であった。
同術式では疼痛緩和からプロスタグランディンの産生低下や腹壁
瘢痕ヘルニアのリスクを低減できる可能性があると考える。
O-48
北九州総合病院 外科
急性虫垂炎に対し Interval appendectomy 施行し
虫垂癌と病理診断された 1 例
金沢赤十字病院 外科
黒田 宏昭、永田 直幹、村山 良太
単孔式腹腔鏡下手術の利点は整容性であるが、従来の手技と同等
の安全性と質を確保する事が必要である。当院では 2010 年 1 月よ
り単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を導入後 147 例を経験した。そのうち、
TULAA(経臍腹腔鏡補助下虫垂切除術)は 36 例、pure TANKO
は 62 例、細径鉗子 1 本追加する TANKO+1 は 65 例であった。当
院では、症例によって、あるいは術者の熟練度に応じて単孔式の
手技を工夫し、標準化することができた。単孔式の手技は、臍部
に 2cm の切開を置き、ラッププロテクター、EZ アクセスを装着、
5mm30°斜視鏡用ポートと術者用の 5mm ポートを挿入し、まず腹
腔内を検索。癒着が少なく簡単な症例では、1 本の鉗子で虫垂を把
持し体外に引き出し、
開腹時と同様の手技で切除(TULAA)するか、
あるいはそのまま体内で切除する(pure TANKO)。高度癒着例や
穿孔例では、3mm の細径ポートを追加挿入(TANKO+1)
。LCS
を用い虫垂周囲癒着剥離と虫垂間膜切離を行い、虫垂根部を体外
結紮後切離し、虫垂を摘出。穿孔例では、細径ポート孔を利用し
て 3.5Fr. ドレーンを留置する。術後合併症は創感染、イレウスを
認めたが、重篤な合併症は認めなかった。単孔式腹腔鏡下虫垂切
除術は症例の難易度にかかわらず安全に行うことができ、手術時
間、創感染防止、レジデント教育および手技の定型化の観点からも、
標準治療となり得る術式と考えられた。
大畠 慶直、西島 弘二、二上 文夫、中村 隆、
西村 元一
【目的】急性虫垂炎に対し単孔式虫垂切除術を行う際の断端処理に
関して虫垂癌であった場合にも安全な方法を検討する。
【方法】急
性虫垂炎と診断され単孔式虫垂切除を行い術後に虫垂癌で切離断
端陽性と病理診断された症例に関して検討する。【結果】症例は右
卵巣嚢腫で当院婦人科通院中の 53 歳の女性。右下腹部痛を主訴に
当院を受診した。腹部造影 CT 検査で虫垂は腫大し強く造影されて
おり急性虫垂炎と診断したが盲腸にも造影効果を伴う壁肥厚を認
め盲腸癌・虫垂癌の除外が必要と判断し interval appendectomy を
行う方針とした。PET-CT 検査では盲腸、虫垂、右卵巣を含め異
常集積は認めなかった。下部消化管内視鏡検査では虫垂開口部およ
び盲腸に腫瘍性病変は認めなかった。以上より虫垂癌や盲腸癌は
否定的と判断し 3 か月後に虫垂切除と診断目的に右卵巣切除を行っ
た。当院では急性虫垂炎に対する虫垂切除は単孔式で行い、回盲部
を授動し臍から体外に虫垂を取り出し直視下で虫垂間膜の処理と
虫垂切除を行い断端は盲腸にタバコ縫合で埋没している。術後の
病理診断で虫垂は tubular adenocacrinoma で断端陽性であった為、
後日あらためて腹腔鏡下回盲部切除術を追加した。術後 6 か月再
発は認めていない。【結語】虫垂断端を盲腸に埋没する方法は虫垂
癌で断端陽性であった場合にも腹膜播種を免れる可能性がある。
― 69 ―
O-49
Enseal を用いた単孔式無結紮腹腔鏡下子宮摘出術
の検討
酸化セルロース・バック:卵巣の reduced port
sugery における癒着防止剤貼付の工夫
熊本赤十字病院 産婦人科
福井赤十字病院 産婦人科
荒金 太、田中 義弘、黒田くみ子、桑原 知仁、
前田 宗久、三好 潤也、氏岡 威史
田嶋 公久
全腹腔鏡下子宮摘出術(TLH)は手術行程の全てを腹腔鏡下で行い、
縫合結紮等の複雑な操作が要求される難易度の高い手術とされて
いる。これまでに他の sealing device を用いた無結紮子宮摘出術が
報告されている。今回我々は新しいデバイスとして enseal を導入
し無結紮 TLH を単孔式に施行したので、その手術成績から有用性
を検討し報告する。Enseal は 100℃以上に発熱しないようにコント
ロールされた vessel sealing system であり安全性を確保し、かつ、
ワンモーションで凝固・切断が可能な器械である。当院では、平
成 26 年 1 月に enseal を導入した。これまでに 2 例の上記手術を施
行した。子宮摘出の際、子宮動脈の結紮は行わず、子宮摘出が可
能であった。2 例の単孔式手術の手術時間は平均○時間○分、出血
量は平均○○ g であった。術中、術後の合併症はなく、創が少な
いことによる患者満足度は高い印象であった。昨年 1 年間の TLH
の平均手術時間は 2 時間 28 分で、出血量は 243g であった。子宮
動脈の結紮の省略することで、昨年の手術成績を比較して、手術
時間は短縮され、出血量の増加はなかった。また、凝固・切断が
同時に行える enseal を用いることで、出血の際にも鉗子交換が不
要なため、鉗子交換の回数が減少し、単孔式手術に有用と思われた。
O-51
O-50
[目的]卵巣嚢腫切除術は挙児希望のある女性に対して行われるこ
とが多く、不妊の原因となる術後癒着を防止することが極めて重
要である。この際の癒着防止法として、酸化セルロース膜の貼付
が有効とされる。しかしながら、reduced port surger では、腹腔
内における酸化セルロース膜の取り扱いがしばしば煩雑で、貼付
に時間を要することがある。我々は、酸化セルロース膜をあらか
じめバック状に加工しておくことで、卵巣への貼付を容易にでき
たので報告する。
[方法]市販の酸化セルロース膜(7.6cm × 10.2cm)を癒着防止剤
として用いた。セルロース膜にハサミで切り込みを入れ、バック
状(6.5cm × 4cm)に形成した。
[結果 / 成績]卵巣嚢腫切除術を reduced port surgery(単孔式
+3mm 径ポート 1 本)
で行う際に、酸化セルロース・バックを用いた。
作成に要した時間は約 3 分だった。切除した嚢腫を体外に摘出した
後、腹腔内を十分に洗浄し、バックを 5mm ポートから腹腔内に引
き込んだ。嚢腫切除後の卵巣をバックのなかに落とし込むことで、
容易に卵巣を被覆することができ手術時間を短縮できた。
[結語]酸化セルロース膜は、布のような性状をもつため容易に加
工することができる。その特性をいかすことで、卵巣の reduced
port surgery における癒着防止剤の貼付を簡単にすることができた。
O-52
当科での Reduced Port Surgery の現況
腹腔鏡手術における臍ポート部閉創法の工夫
福井赤十字病院 産婦人科
柳川病院 産婦人科
辻 隆博
松口 一道
より低侵襲で整容性に優れた Reduced Port Surgery を福井赤十字
病院産婦人科では子宮付属器の疾患に対して開始している。
【目的】当科での Reduced Port Surgery の現況と今後の展望を考
察すること。
【方法】2009 年 4 月より 2014 年 3 月までの 5 年間に当院産婦人
科で行った付属器疾患の腹腔鏡手術について後方視的に検討。
Reduced Port Surgery を行った群と通常の腹腔鏡手術を行った群
とで年齢・疾患・手術方法・手術時間・出血量・合併症などにつ
いて比較・検討。当科での Reduced Port Surgery の現況と今後の
展望について考察した。
【結果】当科での Reduced Port Surgery は SILS ポートを使用して
単孔式手術として開始。その後プラットホームを E-Z アクセス・ラッ
ププロテクターに変更。現在は細径鉗子もしくはエンドレリーフ
鉗子を追加して 2 孔∼ 3 孔式手術で施行。Reduced Port Surgery
群では患者年齢は低く、手術時間は長く、疾患は卵巣嚢腫がほと
んどであった。通常の腹腔鏡手術群では出血量が多かった。
【結語】若い女性の手術が多い産婦人科では整容性に優れている
Reduced Port Surgery のニーズはとりわけ高い。2 孔∼ 3 孔式手
術でおこないエンドレリーフ鉗子を用いれば通常の腹腔鏡手術と
同程度の完遂度の高い手術が期待され、今後は術式の適応拡大に
つながると予想される。
目的
単孔式手術は腹腔鏡手術において、整容性に優れるだけでなく、
ポート数の減少による疼痛軽減などの有用性がある。しかし創部
のトラブルを経験することもある。今回当院で行っている創部閉
創法の工夫について報告する。
方法
当院では良性婦人科疾患に対して multi trocar 法(以下 SSL)によ
る単孔手術を基本としている。胃全は、縦切開し周囲の皮下を鈍的
に剥離した創部を、皮膚縫合のみとしテープで整形固定していた
が、まれに出べそのようになり整容性が損なわれる場合があった。
その問題点を解決するため臍底部のみ皮膚と腹直筋前鞘を固定し、
埋没縫合を行わず綿球を用いた圧迫という方法に変更した。その
詳細について提示する。
結果 / 成績
現在の方法へ変更後症例数は 100 例を超えたが、整容性を損なう
ような症例は起こっていない。
結語
臍底部を固定し綿球で圧迫する方法は SSL における臍部閉創法と
して有用かもしれない。
― 70 ―
O-53
当院での婦人科単孔式手術におけるポート挿入法
と合併症発生の検討
O-54
福井赤十字病院 腎泌尿器科
財団法人 医療 介護 教育研究財団 柳川病院 産婦人科
渡邉 望、小松 和人
高橋 俊一
目的
当院での単孔式手術におけるポート挿入方法について検討し合併
症発症との関連性についての検討を行う。
方法
当科ではオプティビュー法にて挿入を行っているが単孔式手術に
おける合併症(下大静脈損傷)を実例にあげ合併症発生時の状況
をあらためて振り返り問題点となるべき手術手技∼方法について、
ポート挿入方法による合併症発生の原因について検討を行う。
また、その他の挿入方法についての合併症発症リスクについても
検討を行った。
結果 / 成績
合併症の発生にはいくつかの要因があり 1)術者(人的要素) 2)
患者の要因(体型、病状、合併症など)
3)医療機器の状況(デ
バイスの不具合など)などがあげられる。
合併症の発生に関してポート挿入方法での発生率の差はないとの
報告もあり 1)∼ 3)の様々な要因が絡みあって結果的に合併症は
引き起こされると考える。
当科においても特異性は見いだせなかった。
最終的には、術者が自分自身の管理、周辺機器の管理、患者の状
況の把握を行い手術に臨むべきであり、また、常に合併症に遭遇
した際の対処方法に熟知しておくべきであると考える。
結語
今後さらなる安全なトロカール挿入についての検討が必要である
と考える。
O-55
通常の腹腔鏡デバイスのみにて施行しえた単孔式
腎摘除術の 1 例
気膀胱による膀胱結石摘出術の経験
【目的】
多発する膀胱結石に対して気膀胱による摘出術を経験したので報
告する。
【方法】
多発する膀胱結石で結石は表面平滑で硬く経尿道的膀胱結石破砕
術では出血の危険性があり破砕、摘出困難が予想された。膀胱鏡を
用いて結石を確認しながら single port で膀胱内の結石を摘出した。
【結果 / 成績】
出血はなく短時間で全て摘出しえた。膀胱高位切開術に比べて創
は小さく出来た。
【結語】
膀胱結石で経尿道的膀胱結石破砕術が困難と予想される症例では
気膀胱による摘出術は有用である可能性がある。
O-56
1
帝京大学ちば総合医療センター 泌尿器科、2 千葉大学
医学部大学院医学研究院 泌尿器科学、3 千葉大学 フロ
ンティア医工学センター、4 済生会習志野病院 泌尿器科、
5
山王病院 泌尿器科
E・Z アクセス を使用した腹腔鏡下尿路全摘の経
験
1
沼津市立病院 泌尿器科、2 東海大学医学部付属病院 泌
尿器科
清水 勇樹 1、
星 昭夫 2、
日暮 太朗 2、
福田 護 2、
2
2
2
川上 正能 、
中島 信幸 、新田 正広 、花井 一也 2、
野本 剛史 2、寺地 敏郎 2
荒木 千裕 1、
杉浦 正洋 1、
芳生 旭辰 1、
増田 広 1、
1
5
4
小島 聡子 、
趙 秀孔 、
関田 信之 、
納谷 幸男 1、
五十嵐辰男 3、市川 智彦 2
【背景と目的】当科では腎摘除術、副腎摘除術、腎盂形成術等を
【目的】reduced port surgery としての腎摘除術は既に認知を得て
いるが、そのポート位置、また標本摘出創等の面もあり、必ずし
も術式としての恩恵を十分に得ていない側面がある。今回我々は
水腎症症例に対し , 単孔式術式にて特に追加ポートを作成せずに腎
摘除術を施行したので、報告する。
【方法】症例は 41 歳男性、Cre 高値精査時に右先天性水腎症を認
め、精査目的に他院より紹介。レノグラムにて無機能腎であった。
QOL の面、また本人の希望もあり腎摘除術の適応となった。
【結果 / 成績】術式は臍よりの単孔式アプローチとした。臍に X ゲー
トを留置し、同部より経腹膜的に腎摘除術を施行した。内視鏡は
オリンパス 5mm flexible scope を使用し、肝臓はスネークリトラ
クタを使用し挙上した。腎、および血管系を大凡剥離した段階で
腎を穿刺し、内溶液を吸引し操作スペースを広げた後、残存して
いる血管系の処理を施行し、腎を遊離した。収納パウチを X ゲー
トより腹腔へ挿入し、腎を収納、同創より体外へ摘除した。手術
時間 262 分、出血 30ml であった。
【結語】本術式は水腎症に対する腎摘除術として、整容性の面のみ
ではなく、ポート以外を従来の機材のみで施行可能である面から
も十分なメリットのある術式と考えられる。
reduced port surgery(RPS)にて施行している。今回、これら手
技を応用し multi-channel port(E・Z アクセス )を使用した腹腔
鏡下尿路全摘を 2 例施行したので報告する。
【方法】半側臥位とし臍部に E・Z アクセス を、必要に応じ腋下線
肋骨弓下に 1 本ポートを置き、腎および尿管を骨盤腔内まで剥離し、
その後に体位変換し対側腎尿管を剥離する。肋骨弓下ポートはそ
れぞれドレーン留置に用いた。さらに体位を仰臥位に変更し、E・Z
アクセス の左右に 1-2 本のポートを追加し、膀胱および前立腺の
剥離を施行した。
【結果/成績】症例 1 は 64 歳男性。肉眼的血尿を主訴に受診し、右
腎盂癌、左尿管癌と診断。血液透析導入されており本術式を施行。
症例 2 は 78 歳男性。左尿管腫瘍に対し単孔式腹腔鏡腎尿管全摘除
施行。その後、膀胱、尿道に尿路上皮癌の多発再発を認めた。血液
透析導入されており、本術式を施行。症例 1、2 の手術時間は 593、
390 分、気腹時間は 468、343 分、出血量は 352、94g であり、術中
術後の合併症を認めなかった。
【結語】multi-channel port を使用することで、腹腔鏡下尿路全摘除
術において RPS を安全に施行できた。本術式は体位変換も含め手
術時間を要したものの、出血量や術後の疼痛が少ない低侵襲な手
術であると考えられた。
― 71 ―
O-57
単孔式腹腔鏡下左副腎摘除術における先端屈曲型
クリップアプライヤーの使用経験
O-58
Needlescopic Radical Prostatectomy の経験
安生更生病院 泌尿器科
広島大大学院 腎泌尿器科学
秋田 英俊
井上 省吾、馬場崎隆志、小畠 浩平、重松 慶紀、
関野 陽平、稗田 圭介、正路 晃一、梶原 充、 【緒言】腹腔鏡下前立腺全摘術(LRP)は尿道膀胱吻合もあり難易
亭島 淳、松原 昭郎
度の高い手術と考えられている。我々は、2 孔式前立腺全摘をえて
【目的】広島大学では 2009 年から副腎腫瘍に対して単孔式腹腔鏡
下副腎摘除術(LESS-A)を開始し、現在まで 60 例を経験した。
LESS-A において副腎中心静脈の処理は、従来のクリップアプライ
ヤーでは屈曲しないため血管と垂直方向に施行することが困難で
あった。今回、左側 LESS-A における副腎中心静脈処理に先端屈
曲型クリップアプライヤーを使用したので、その使用経験を報告
する。
【対象と方法】対象は 3 例の左副腎腺腫で、疾患は原発性アルドス
テロン症 2 例、サブクリニカルクッシング症候群 1 例であった。症
例は男性 1 例、女性 2 例で、女性はいずれも卵巣摘除術の既往を
認 め た。 年 齢 は 49、34、50 歳、BMI は 24.7、20.4、26.0 で、2 例
は臍から、1 例は腹腔内の癒着のため上腹部からのアプローチで施
行した。2cm の皮膚切開をおき、手術用手袋を用いた Glove 法に
て施行した。
【結果】全例合併症を認めず LESS-A を完遂した。気腹時間は 98、
114、75 分、出血量は 10、20、10ml で全例に輸血を施行しなかった。
クリップアプライヤーの先端を屈曲させることで、従来の腹腔鏡
下副腎摘除術と同様に血管に対して垂直にクリッピングが可能で
あった。
【結論】従来のクリップアプライヤーで難易度が高かった副腎中心
静脈の処理は、先端屈曲型クリップアプライヤーを使用すること
で、より安全確実に処理可能であった。
O-59
から、2mm 針型鉗子
(エンドリリーフ)を用い、
単孔式 RP(LESS-RP)
を施行したので報告する。【対象】2012 年 8 月から LESS-RP を施
行 し た 31 症 例。PSA6.3(4.4-16.0)、Gleason score 6 以 下 /7/8 以
上それぞれ 13/11/7 例を対象とした。【方法】multichannel-port と
して EZ ACCESS・ラッププロテクターを用い同部分に 5mm トロッ
カーを 3 本挿入した。左下腹部に 2mm 針型鉗子を留置した。DVC
(dorsal vein complex)
の運針は右手にて multichannel-port より行っ
た。膀胱頚部処理時、
金属曲ブジーを用い前立腺を腹側へ保持した。
尿道膀胱吻合は両端針を用い 8-10 針の連続縫合を行った。6 時方
向での運針は 2mm 針型鉗子またはオートノミーを用いて行た。
【結
果】開腹移行および追加ポート症例はなかった。手術時間 208(170396)分、、出血量(尿含む)405(2-1517)ml、
前立腺重量 43(21-80)
g、尿道カテーテル留置期間 4(3-8)日であった。片側神経温存は
1 例(3.3%)リンパ節郭清は 29 例(93.5%)で施行された。術中合
併症症例はなかった。
【考察】2mm 針型鉗子を用いることにより
LESS-RP が可能であった。LESS-RP は低侵襲であり、整容性にも
優れており、安全に施行できた。
O-60
単孔式完全胸腔鏡下肺葉切除
前橋赤十字病院 呼吸器外科
上吉原光宏、井貝 仁、伊部 崇史、河谷菜津子
【はじめに】当科では以前より「Reduced port surgery」をコン
セプトに、さらなる低侵襲化を目指した単孔式胸腔鏡手術を報告
してきた。今回我々は、単孔式完全胸腔鏡下肺葉切除(uniportal
VATS lobectomy)を行ったので報告する。
【症例】80 代女性。右肺 S9a 発生の原発性肺癌。
1)第 6 肋間、前腋窩線上に 3.5cm の皮膚切開。
2)主な使用器具は 5mm のフレキシブル型胸腔鏡、把持鉗子、剪刀、
エネルギーデバイス。
3)肺動静脈及び気管支を Stapler で各々処理。
4)ビ ニ ー ル バ ッ グ で 体 外 へ 摘 出(The vacuum-packing method.
Eur J Cardiothorac Surg 2012)。
5)手術時間 2 時間 30 分、出血量 30ml 未満。
【術後経過】1 日目よりトイレ歩行、2 日目に病棟内歩行開始、
(土日をは
さんで)5 日目に退院可能。鎮痛薬は手術当日に塩酸ペンタゾシン 1A
(25mg)とロキソプロフェンナトリウム 1 錠(600mg)を使用したのみ。
【まとめ】
1)視野方向は単孔式は coaxial vision。
2)特殊器具を使用せず、従来の胸腔鏡用器具で完遂。
3)後方視野を得るため下葉背側にガーゼパッキング(Move the ground)
4)左手使用鉗子(展開用)で右手使用鉗子(剥離操作用)を創縁
に押さえて鉗子操作を安定(Shaft-on-shaft technique)
。
5)血管及び気管支の剥離範囲をやや長めに行って Stapler 挿入角度
の許容度をあげる。
6)血管テープを knot-pusher で視野方向に対して垂直軸方向へテー
プを牽引し Stapler 挿入。
― 72 ―
演題取り下げ
O-61
呼吸器外科における needlescopic lobectomy and
segmentectomy
O-62
単孔式 needlescopic surgery で経験した 11022 例
の成績と今後の課題
神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器外科
山本英博クリニック 呼吸器外科
田尻 道彦、大森 隆広、安藤 耕平、稲福 賢司
山本 英博
【はじめに】呼吸器外科領域では reduced port surgery は少数派で
あるが、胸壁の疼痛や損傷が負荷となる胸部外科手術こそ、より
低侵襲なアプローチが患者側の利益になる。従来、我々は 5mm ス
コープを使用してきたが、2011 年 1 月以降、3mm スコープと細径
鉗子を用いた needlescopic surgery(1 port+2-3 punctures 法)を
開始した。手技及び成績を供覧する。
【 手 技 】 ① 摘 出 検 体 に 応 じ て 1-3cm の メ イ ン ポ ー ト を 設 け、 ②
3mm ポートを 2-3 本留置し、3mm スコープと細径鉗子を挿入し、
③他の器具はメインポートより挿入し、④肺の圧排はセクレアを
用いて、⑤ドレーンはメインポートより挿入・留置する。
【対象・成績】現在まで、原発性肺癌 40 例、非腫瘍性良性疾患 6
例に本法を施行した。術式は、
肺葉切除 40 例、
肺区域切除 6 例であっ
た。全肺葉で遂行可能であった。1 例が肺動脈の損傷のため従来法
への移行した他は、右上葉切除症例と左上大区切除症例各 1 例で、
肺静脈と肺動脈の処理用の自動縫合器の挿入のために、3mm ポー
トの創を 1 箇所のみ 1cm に拡張した。肺癌症例には ND2a-1 の縦
隔リンパ節郭清を施行した。全例、重篤な術中偶発症及び術後合
併症なく経過し軽快退院した。
【結論】スコープの強度、視野の狭さに留意する必要があるが、従
来法と大差なく遂行し得た。本法は、呼吸器外科で有利な多方位
から観察・操作が可能であり、有用な選択肢になり得ると思われる。
演者は、局所多汗症に Needlescopic surgery を用いて胸部交感神
経節切除術(ETS と略す)を 11022 例以上経験した。
手技的には腋窩に皮膚切開を 2.5 ミリ加え単孔式に胸腔内操作をす
べて行った。3 例を除き全例において手術当日に退院した。単孔式
かつ needlescopic surgery に行った利点としては第一に術後疼痛管
理・創部の感染など創部に関係する問題がほとんどなかった点が
あげられる。
胸部手術で日帰り手術を行う重大な問題点にトロカールの刺入
部での肋間動脈や同静脈の損傷に伴う術後胸壁出血のリスクがあ
るが、当施設が用いてきた手術器具の工夫が効を奏し当施設では
発生はなかった。
不利な点としては、手術器具に小さいがゆえに手術操作が難しい。
胸膜肺癒着例の対処にはさまざまな手術操作が必要となるが、器具
の強度もないため荷重や応力を避けなければいけない。特に、手
術には出血がつきものであるが、needlescopic surgery では一定量
以上の出血が生じると対処できない。手術操作を慎重かつ小範囲
の操作で手術しなければならず、時間がかかる点も不利と言える。
今後の課題として手術器具の更なる改良を行い、多様な手術操作
が行なえるような工夫が必要と思われた。今回は、過去の総括か
ら needlescopic surgery の利点と欠点について述べ、特に欠点や不
利な部分について当方の対処方法を報告する
― 73 ―
◇ コメディカルセッション ◇
コメディカル -1 内視鏡手術の動向と取り組み
コメディカル -2 新棟移転に際し内視鏡手術シミュレーションの計画
を立案して ―シミュレーション準備における報告―
福井赤十字病院 中央手術室
1
笹川友佳里、吉田由紀恵
【目的】当院における内視鏡手術は年々増加し、特に外科・婦人科
は顕著である。増加する内視鏡手術に対応できる体制を作る為に
チームで取り組んだ活動内容を検討し報告する。
【方法】H25 年 4
月∼ 26 年 3 月における活動内容を以下の項目で検討した。①内視
鏡早分かりファイルの作成②各科内視鏡カートの定期的な更新③
鉗子の種類・定数の表示、管理方法の明確化。
【結果・考察】内視
鏡手術件数は、H25 年度は 1,333 件と前年度より 111 件増加し外科・
婦人科の増加が著明であった。特に細径鉗子を汎用する Reduced
Port Surgery のヘルニア根治術は 60 件(前年度比約 2.5 倍)、虫
垂切除術は 58 件(前年度比約 1.5 倍)であった。活動内容として、
経験の浅いスタッフでも手術につけるよう、手術別にポイントを
おさえた情報を記載した内視鏡早分かりファイルの作成、各科内
視鏡カートの定期的な更新をした。件数の増加に伴い鉗子等の手
術器具が不足する状況に備え、各勤務のスタッフが把握できるよ
うに翌日使用数・在庫数を明記できる申し送り表を作成し、予定・
緊急手術時に不足物がないよう鉗子の洗浄・滅菌を依頼している。
更に、全スタッフが緊急時の虫垂切除に対応できるよう鉗子セッ
トを作成した。【おわりに】内視鏡手術は今後も増加し、新たな器
機の開発や更なる低侵襲手術が求められていくと予測され、随時
新たな工夫・対策を考えていく必要がある。
福井大附属病院 看護部、2 同 第一外科、3 同 手術部
西 夏希 1、木村 祥子 1、宮川久美子 1、諏訪 万恵 1、
五井 孝憲 2、飯田 敦 2、山口 明夫 2、湶 孝介 3
【目的】
当院手術部は、平成 26 年 9 月に新棟への移転を控えている。移転
翌日より手術室稼働を予定しており、円滑に業務できるよう移転
までに準備しておく必要がある。内視鏡手術室以外で手術を行う
場合、内視鏡手術室で行う場合に比べ看護師が配線やチャンネル
入力などのセッティングに不安を感じていることが当院の先の調
査で明らかになっている。新棟でもこれまでと同様の不安や問題
が残ることが予想され、その対策としてシミュレーションを計画・
立案した。
【方法】
対象:当院手術室看護師 38 名。
方法:新棟の手術室を想定し、先の調査より明らかになっている
看護師の不安の内容をふまえ、移転後の問題点を抽出する。抽出
した問題点の解決方法や対策を検討し、実際に新棟の手術室を見
学する。CE とともに内視鏡手術室以外の場合も含めてマニュアル
を作成する。作成したマニュアルを使用し、机上シミュレーショ
ンを実施し、実際の流れを確認、修正する。
【結果】
作成したマニュアルを使用し机上シミュレーションを行い、実践
シミュレーションの計画を立てた。
【結語】
机上シミュレーションの結果と修正したマニュアルを用いて、実
践シミュレーションを行い、移転後の円滑な業務へと繋げる。
コメディカル -3 当院の内視鏡手術における褥瘡対策
石川県立中央病院 手術室
橋本 修平、山岸 純子、山本 淳子、石田 博美
【はじめに】内視鏡手術では手術時間が長いことに加え、
左右にロー
テーションをかけたり、頭低位にしたりすることにより褥瘡が発生
しやすいと考えられる。当院で行っている褥瘡対策について報告す
る。
【腹腔鏡下手術の割合】当院では手術件数の 23%が内視鏡手術
である。特に多いのは呼吸器外科が 90%、消化器外科が 70%、婦
人科が 40%であった。4月からは泌尿器科でロボット支援手術も
始まった。【術中の除圧】まず、仙骨部が最も褥瘡が発生しやすい
部位であるため、仙骨プロテクターまたはリモイスパッドを仙骨
に当て、除圧している。また、1時間ごとに外回りナースが患者
の背中、大腿の下に手を入れ、持ち上げるようにしている。【頭低
位での体圧測定】ロボット支援手術では 30 度の頭低位となるため、
仙骨部と肩にかかる圧を測定した。水平時→ 30 度頭低位での肩の
圧は 19.86 → 51.2mmHg に仙骨の圧は 42.43 → 23.86mmHg に変化
した。そのため、仙骨の除圧に加え、肩の除圧も重要と考えた。肩、
頚部に十分量のスポンジを当て、
除圧とズレをを防止している。
【ま
とめ】当科での褥瘡対策の実際を動画と写真で説明したい。
― 76 ―