Nara Women's University Digital Information Repository Title テレビの話 Author(s) 西岡, 弘明 Citation 西岡弘明:奈良女子大学情報処理センター広報, Vol.5, pp.6-14 Issue Date 1993-03 Description URL http://hdl.handle.net/10935/3796 Textversion publisher This document is downloaded at: 2015-01-31T21:35:09Z http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace 利用の事例 ァレビの話 理学部助教授西岡弘明 テレビは情報機器だと言うと異論のある方も多いと思うが、テレビも立派な情報機器の一つである。 それでは何故そのように思わないかというと、それはテレビがあまりにも我々の日常生活に深く入り込 んでいるからである。たとえば、テレビを見ながら食事をする人はいても、パソコンのキーボードをた たきながらという人はほとんどいないことからもそれは分かると思う。すなわち、テレビは我々の生活 の一部になっていると言っても過言ではない。 現在、テレビに接続可能な機器には次のようなものがある。 ・ビデオテープレコーダ( VHS, S-VHS, β) ・ビデオカメラ( 8mm, VHS-C) ・教材提示装置 ・スライド表示装置 ・一部のテレビインターホン ・レーザ、ディスク(ビデオテープよりも高品位の画像を記録できるが、自分で録画はできない) ・CDV(音楽用 CDの一部に短時間の動画像データを入れた物〉 •CD-G •CD-I ・電子ブック装置 ・一部のキャプテン端末 .ゲーム用コンピュータ ・パソコン用スキャンコンバータ ・ゴーストクリアチューナ(テレビのゴースト(二重映り)を軽減する装置) ・文字放送チューナ(文字放送アダプタ〉 •BS チューナ ・c sチューナ • MUSE-NTSCコンパータ(ハイビジョン簡易受信装置) •CATV アダプタ ・カーナビゲーションシステム(自動車の道案内システム) ・ビデオプリンタ(テレビ画面のカラーハードコピー装置) 上に挙げた物の内で、いくつを御存知で、あろうか。別にそれらすべてを知る必要もないのであるが、 テレビは我々が様々な画像情報を受け取る窓のような役割を果たしている事だけは理解して頂きたい。 6 テレビを取り囲む環境は、近年非常に急速に変わりつつある。その変貌の様子を簡単に紹介してみた し 'o 【衛星放送】 普通の人がテレビに期待しているものは、娯楽・映画・情報番組・スポーツ中継・ニュースそしてずっ と下がって教育番組と言った所であろうか。これらのイメージは既存の放送局(以下では地上波局と呼 ぶ)が作り上げてきたものといえる。 従来の放送では、視聴者はコマーシャルさえ我慢して見ていれば、(NHKを除いては)直接には放 送局に料金を支払う事なく番組を見ることができる。視聴者はこのようなシステムが当然と思うように なっている。しかし実際にはコマーシャルで、紹介された商品の購入時に、間接的に視聴料金を払ってい るにも関わらず\視聴者の意見は視聴率調査を通じてしか番組に反映されていないと言っても過言では ない。 衛星放送は地球局と呼ばれる大型パラボラアンテナを持つ地上の送信所から電波を送信し、これを衛 星で中継し、衛星から再送信した電波を直接に各家庭のアンテナで受信するものである。現在、衛星放 送には放送衛星(BS:B r o a d c a s t i n gS a t e l l i t e)を使用するものと、通信衛星(CS:Communication S a t e l l i t e)を使用するものの二種類があり、 c sを使用するものは使用する衛星(スーパーバード、 JCSAT)によりさらに二系統に分かれている。我々がこれらの放送を見ょうとする場合には、地域に 0 ∼4 5センチのパラボラアンテナを南西方向およそ 4 5度の仰角 より若干異なるが、 BSの場合で直径 3 で上げる必要があり、 c sの場合には直径 60∼75センチクラスのアンテナを南東方向およそ 45度の仰 角で上げなければならない( CSは衛星毎に方位角・仰角が異なる為、それぞれ別のアンテナを上げる か、もしくはアンテナに回転装置を付ける必要がある〉。 BSと c sの区別はそれほど明確なものではない。実際、 BS (11.7∼12GHz)と日本国内向けの c s ( 1 2 . 2 5 ∼1 2 . 7 5GHz)はほぼ同じ周波数帯( Kuバンド)の電波を送信している。したがって違いを強 いて言えば、電波送信出力の差と言うことになる。 BSの送信出力は現在の衛星 BS-3a及び BS-3b で1 2 0w、次期衛星 BS-4では 200Wとなっている。これに対して、 (最大 s o w入 JCSATが 20Wとなっている。 c sはスーパーバードが 22W c sの受信に大きなアンテナを必要とするのは、送信出 力が小さい為である。衛星放送に使用されている電波( Kuバンド)は激しい降雨やアンテナへの積雪 によって、電波の減衰を生じて、テレビの映りが悪くなることがある。この為、衛星の送信出力や家庭 の受信アンテナは少しでも大きい方が望ましい。 c sは BSよりも送信出力が小さい代わりに、多くの中継器(トランスポンダ)を搭載しており、一 〆bのトランスポンダは各 3個、 c sの 度に多くの放送や中継を行なうことができる(現在の BS-3a 場合は 1衛星で 2 0 ∼3 2個程度のトランスポンダを搭載している)。 また、現在の BSによる衛星放送は、地球等による食の為、春分・秋分の日の前後 4 0日程度にわたっ て、深夜の放送中断が避けられない(食の期間中は地球や月の影に衛星が入る為に太陽電池が働かず、 電波送信が途切れる)。これに対して、 c sの場合には太陽電池の発電エネルギーの一部をバッテリー に蓄積している為、食の期間中も電波が途切れることはない。 BSに関しでも、次期衛星からはバッテ リーを搭載して、食の影響を受けないようになるはずである。 衛星ビジネスは現在でも非常にリスクが大きい。すなわち衛星そのものが故障してしまえば、修理は 7 まず不可能であり、代わりの衛星を上げるしかないが、衛星の製作やロケットによる打ち上げには相当 の準備期間を必要とし、その間に、放送等のサービスは途切れてしまうことになる。実際、今までにも BS-3aが太陽電池の出力不足を起こして、寿命の尽きた BS-2bが再度使用されるというようなこ ともあった。 c sでもスーパーバード A号が制御不能に陥って放棄され、一時的にもう一つの c sであ る JCSATにユーザを移さざるを得なかったことがある。故障に備えて予備衛星は必ず用意されていな ければならない。理想的には、静止軌道上に 1個、そして地上に常に打ち上げ可能な状態でもう 1個の 予備衛星が必要と言われているが、資金面からそれだけの備えをしている所は少ない。 このように、衛星放送にはいくつかの技術的に未解決な問題が残っているが、それでも衛星放送の登 場は様々な点で従来の放送に対する考え方を根底から覆すだけのインパクトを与えている。衛星放送は 日本全国を一局でカバーできる(このことは東京のキー局の電波を中継して放送している地方ローカル 局にとっては死活問題である)。災害時に東京のキー局が機能しなくなった場合にも、大阪や名古屋等 の局から衛星に電波を発信することで放送を継続することも可能で、ある。現在ではトラック 1台に送信 用パラボラアンテナと放送機材を積んだ SNG( s a t e l l i t enewsg a t h e r i n g)車さえあれば、全国どこか らでも衛星に直接電波を送ってニュース等の中継ができるようになっている。 衛星放送のもう一つの利点はゴーストや雑音電波の影響を受けにくいことである。これは、衛星から の電波が従来の地上波テレビよりも高い周波数(短い波長〉の電波を使用しており、非常に指向性が強 い為である。さらに、日本の衛星放送はテレビの音声部分を PCM方式で伝送している為、従来のテレ ビよりも格段に高音質になっている( Aモードでもコンパクトディスクに近い音質であり、 Bモードで はそれ以上の音質が得られる)。 また、民間有料放送の登場は既存の放送局にとって大きな脅威となった。視聴者から料金を徴収する 代わりに、今までにない高度な内容のサービスを行なうというもので、契約者だけが視聴できるように 画像・音声を暗号化(スクランブル〉している。したがって、暗号解除装置(デスクランブラまたはス クランブルデ、コーダとも呼ばれる)を持たないとテレビを見ることができない。暗号化の方式にはコア テッ夕、スカイポート等の方式があって統ーがなされておらず、このことが有料放送の普及の妨げの一 因にもなっている。暗号化による有料放送では、衛星放送の予備データ部分を使用して各契約者の登録 番号を送信して暗号解除装置を制御しているので、従来の地上波の放送局では制度的だけでなく技術的 にも困難である。 現在、 BSでは日本衛星放送( JSB、wowowとも言う) 1局だけが民間有料放送を行なっており、 映画・スポーツ・音楽等の総合編成の放送を行なっている。これに NHKの BS-1 (ニュース、スポー ツ入 BS-2 (総合編成〉を加えた 3局が BSの放送として認可されている。一方、 c sでは BSよりも 各チャンネルの専門化が進んでおり、スターチャンネル(洋画〉、 MTV (音楽〉、 CNN (ニュース〉、 衛星劇場(邦画)、 SpaceShower(音楽)、 Sports-i(スポーツ)の 6局が民間有料放送として認可 s放送局として加わる予定である。 されている。近いうちに、さらに 4局が c 衛星放送にはこの他にも海外の衛星によるものがあり、これらの中でも特に通信衛星アジアサットを 使用した香港のスター TVは有名である。現在、映画・エンターテイメント・音楽・スポーツ等の専門 チャンネルと英国 BBCニュースチャンネルが英語で放送されている。この他にも中国語(北京語〉の 放送も行なわれており、近い将来、日本語放送も行なう計画があるようである。衛星放送の多くが有料 放送である中で、スター TVはコマーシャル収入のみで運営されており、完全無料放送を行なっている O 日本の一部の大学でも既に BBCニュースチャンネルを英語教材として授業に活用し始めている。スター 8 TVの受信サービスエリアは中東、インド、東南アジア、中園、韓国、日本等を含み、世界で最も広い 範囲をカバーする衛星放送となっている。これだけ多くの国や地域の人々が同ーの放送を見ていると言 うのは驚異的なことである。かつて日本国内でもテレビが文化的な地域格差を縮める役割を果たしたよ うに、国際的な規模の衛星放送が各国閣の文化的な格差や偏見等を取り除いて共通の文化を育て始めよ うとしている。ただし、これについてはいくつかの間から電波を通じた文化侵略であるという非難もな されている。このあたりの事情については、“アジア TV革命”( 1)という本に詳しく述べられており、 テレビが政治や社会にいかに大きな影響力を持っているかが分かり非常に興味深い。 . 8 ∼ 3 m程度の Cバンド用ノマラボラアンテナと 現在、日本国内でスター TVを受信するには、直径 1 1 9 9 4年頃打ち上 専用チューナを必要とするので、受信設備はかなり大がかりなものとなる。しかし、 ・ げ予定のアジアサット 2号( Kuバンド、送信出力 200W)での放送サービスが開始されれば、直径 1 m程度のアンテナで受信可能になると予想されている。 アジアサット以外にも、コリアサット(韓国)、パラパ(インドネシア入ノマンナムサット(米国〉等 の衛星が数年以内に打ち上げられて、日本もサービスエリアに含めた衛星放送を開始するのではないか といわれているが、現状では詳細は不明である( 2)0 なお、国内の BSや c s及び、海外衛星の実際の受信法については、“衛星テレビ受信テクニック’93”ω という本に詳しく書かれている。 【ハイビジョン】 ハイビジョン(高品位テレビ〉の実験放送( MUSE方式〉が BSの空きチャンネルを利用して行な われている。ハイビジョンは従来のテレビの約 2倍の 1 1 2 5本の走査線数を持ち(従来のものは 5 2 5本入 かっ画面の縦横の比が 1 6:9(従来のテレビは 4:3)のワイドスクリーンとなっている。この為、従 来のテレビ画面よりも約 6倍の情報量を持っている。これによって、将来は家庭のテレビで映画館と同 程度の品質の映画を楽しむ事ができるようになると言われている。 ハイビジョンの普及によって映画館の上映方式も一変する。現在のような映画フィルムの輸送は廃止 されて、配給会社から直接に通信衛星等を通じて電波で全国の映画館に映画が配信され、これをノ\イビ ジョン用の大型ビデオプロジェクタを用いて上映するようになる O この為、映画館の大きさもハイビジョ ンに合わせて、現在よりやや小さいミニシアターが主流になると言われている。また、映画上映以外に も工業的用途・医療画像・映画製作・博物館展示等にもハイビジョンは使用され始めている。 0 0万円前後の価格であり、家庭に普及させるには少な ハイビジョンの受信システムは現在でもまだ 1 くともこの半分以下の価格にする必要がある(その為に受信システム専用 LSIが共同開発されている)。 また、ハイビジョン専用の家庭用 VTRがまだ製品化されていない(試作機は最近できたようである) ことも普及を妨げる一因となっている。さらに、外国では MUSE方式とは別方式の高品位テレビの開 発が行なわれており、各国聞の思惑から放送方式が統ーできなかったことも災いしているようである。 なお、ハイビジョンを安い値段で手軽に楽しみたい方は、 BSチューナと MUSE-NTSCコンパータ をテレビに接続するとよい(ただし、この場合の画質は一般放送並になってしまう〉。 ハイビジョンの動作原理については、“身近な技術のタネ明かし ハイビジョン受像機川〕を参照さ れたい。 ハイビジョンの実験放送はハイビジョン推進協会という団体が母体となり、これに NHK、JSB、東 9 京・大阪等の各民放、電機メーカ( SONY 、NEC等)が参入して 1時間単位で交代しながら、毎日 8 時間の放送を行なっている。実験放送から本放送にかわる時期や放送事業者が誰になるか等は未定であ る 。 【キャプテン】 haracterAndP a t t e r nTelephoneAccessInformationNetworksystem)は電話 キャプテン( C 回線を利用して、文字・図形・メロデ、ィ等を含む情報を利用者に提供するものである。利用料金は 3分 3 0円(ヰ朝、深夜、休日は 5分 3 0円)を基本とするが、特殊な情報サービスの場合にはこれに特別料 金が上乗せされる。なお、これらの料金はキャプテンを使用する電話回線の通話料金と一括して徴収さ 0 0円を一度だけ支払う必 れる(この為、キャプテンを使用する為の申請書を電話局に提出し、加入料 8 要がある)。 接続を行なう為には、従来はキャプテン専用の端末を必要としたが、現在ではモデムとパソコン (PC9 8 0 1 , FMRシリーズ)の組合せでも使用可能になっている(ただし、キャプテン専用の端末エミュ 0 0 ∼1 00 0 0円)を購入する必要がある( 5) ) 。 レータソフト( 50 キャプテンには全国共通のサービスである全国キャプテンと地域情報を専門とするローカルキャプテ ン(大阪船場キャプテン,神戸ポートキャプテン等)がある。キャプテンの主なサービスには次のもの がある。 ・ニュース ・株式情報 ・銀行振込、残高照会(ホームバンキング〉 .郵便貯金ホームサービス ・電話番号案内( ANGELLINE) .データベースの検索 ・名所案内,イベント(催しもの)案内 ・列車座席予約、航空チケット予約、宿泊予約 ・天気予報 .入試関連情報 ・趣味(競馬情報、ゴルフ情報、クイズ等) ・キャプテンメール(電子メール) ・不動産物件情報 ・在宅ショッピング キャプテンのデモンストレーションを見たい方は情報処理センター受付に申し出て頂きたい(使用料 金支払いの関係で常時使用することはできないが、簡単なデモはいつでも見せることができる)。 10 【文字放送】 文字放送は地上波 TVの映像信号の空き時間(ブランキングタイム〉を利用して、文字・図形・メロ ディ等を送信するものである。文字放送は非常に多くの番組数を持っているが、その内容はかなりの部 分がキャプテンと類似している。 文字放送の最大の利点は無料でサービスを受けられる点であろう(その為に番組の冒頭にコマーシャ ルの入る物が多い)。キャプテンよりも劣る点は、放送局からの単方向の情報である為に、問い合わせ や申し込み等ができない点であろう(番組の選択のみが可能である)。文字放送(近畿地区)の主な番 組には次のものがある。 ・ニュース〈海外、国内、ローカル、経済〉 、 2部、大証 1部 、 2部 ) ・株式市況(東証 1部 .証券情報 ・天気予報 .気象衛星ひまわりの画像 −西日本気象レーダーの画像 .各自治体別の地域だより ・鉄道沿線だより、旅行ガイド ・交通情報、高速道路工事情報 ・列車ダイヤ、航空ダイヤ ・生活情報(住宅情報、料理の献立、医療情報、法律相談) ・フ。ロ野球速報、競馬情報、ゴルフ、宝くじ ・事業催物案内、チケット情報、映画情報、雑誌情報 −趣味(囲碁、園芸、釣り、川柳、うらない、カラオケ、クイズ〉 •T V放送番組案内 −字幕放送(聴覚障害者向け) なお、パソコン用の文字放送受信ボードも開発されている。チューナーを内蔵していない為、直接ア ンテナをつなぐことはできず、 VTR等のビデオ出力を入力とする必要があるが、受信した番組内容 (メロデ、ィ等も含む〉をディスクに記録し再生することができ、画面ハードコピーにもパソコンのプリ ンタが使用できるので、専用の文字放送受信装置よりも場合によっては良いかもしれない。 【電子ブック】 大型計算機のデータベースにアクセスしないと得られないような情報を個人でしかも手のひらの上で 検索できるようにしたのが電子ブックである。電子ブックの記憶媒体は、音楽用の 8cmの CD (シン グル CD)と同じ物を用いる(ただし、取扱いが容易になるように、 CD部分は 3 . 5インチフロッピー と同じ保護ケースに納められている)。 電子ブックと似たものに CD-ROMを用いたデータベースがある。両者を比較すると、記憶容量、 1 1 検索速度は CD-ROMの方が優っている。しかしながら、 CD-ROMによる検索には、パソコンと SCSIインターフェイスと CD-ROM ドライブが必要であり、しかもデータベースの検索ソフトは使 用する CD-ROM毎に違った方式を採用している。電子ブックプレーヤーは音楽用のポータブル CD プレーヤーを土台として、これに電子ブック検索用のソフトを ROM(読み出し専用メモリー〉の形で 入れたマイクロコンピュータを搭載したものである。検索方式が統一されているため、基本的にはどの 電子ブックも同じ方法で検索できるという利点がある。また、辞書類の逆引きや前方(後方)一致検索 のような従来の紙製の本ではできない機能も用いることができる。 情報処理センターでは、 2種類の電子ブック読み取り装置を用意している。一つはセンター内のパソ コン PC9 8 0 1RAの RS-232Cインターフェイスに電子ブックドライブ DD-DR1(SONY)を接続 したものである(検索結果の印刷にはノマソコンのプリンタが使用できる〉。検索システムとしてはドラ イブ購入時に付いているソフト(コマンド名: EB)と別売のソフト Q uickViewer(コマンド名: QV) がある。検索速度は QVの方が速いが、外国製の電子ブックソフトには対応していないので、このよ うな場合にだけ EBコマンドを用いる。 もう一つの読み取り装置は情報処理教育室にあり、電子ブックプレーヤー DD-10(SONY)と電子 ブックプリンタ DD-P1(SONY)を組み合わせたシステムである。このシステムの方が本来の電子 ブック読み取り装置の形態である。電子ブックプレーヤーには液品表示画面がついており、これに検索 条件や検索結果が表示されるが、これと同時にプレーヤーのビデオ出力端子をテレビやビデオプロジェ クタのビデオ入力端子に接続すれば検索結果を大きく映し出すことができる。 電子ブックは 5 , 0 0 0円∼ 1 0 , 0 0 0円位の価格で様々なソフトが存在するので、個人でも気軽に購入する ことができる( CD-ROMの場合は 1 0万円以上のものが多い)。 情報処理センターでは次の電子ブックソフトを用意している。 ・広辞苑電子ブック版、岩波書店( EBXA) ・現代用語の基礎知識電子ブック’ 9 1、自由国民社( EB) ・新英和・和英中辞典電子ブック版、研究社( EB) ・しゃべる英会話起きてから寝るまで表現 5 5 0 電子ブックビジュアル版、アルク( EBXA) ・漢和字典漢字源電子ブック版、学研( EB) ・コンピュータ用語辞典英和・和英/用例・文例、紀伊国屋書店( EB) ・電子図書館第一巻、三修社( EBG) 上のリストで、 EBと書かれているものは、文字情報のみが表示される。 EBXAと書かれているもの は文字以外に図形や音声のデータも含んでいる( EBXA対応の電子ブックでは図形や音声を出力でき る 〉 。 EBGと書かれているものは、外国で作成された電子ブックであるが、この種の電子ブックは検索 システムによっては検索できないことがあるので注意が必要である(センターで用意しているシステム の場合には問題はない)。なおここに紹介した物以外のソフトについては“電子ブックカタログ”( 7)を参 照されたい。 電子ブックは当初は SONYが開発し 1社だけの販売となっていたが、現在は松下、三洋等からも発 売されている(カタログによると松下の製品は従来の製品よりもキーボード操作性や検索速度の面で性 能の向上が計られているようである)。 12 【 C D I . .CD-G 】 CD-Iの CDはコンパクトディスクを指し、 Iは I n t e r a c t i v eすなわち対話性を意味している。 CDIはオランダのフィリップス社によって開発されたものであり、高精細な静止画面を対話的に変化させ て行くのを得意としている。美術館の中を歩くような美術全集、対話形ゲーム、絵物語等のソフトを持 。 て コ ( 9) CD-Gの場合の CDもコンパクトディスクを指し、 G は Graphicsを意味している。 CD-Gは音 楽とともにパソコンのグラフィックのような画面を表示できるシステムであり、主として絵の出るカラ オケ装置のソフト等として使用されている。 CD-I、CD-Gともにまだ他のメディアよりも歴史が浅く、今後どのように発展していくのかは供 給されるソフトに依存する面が大きく、未知数の部分が多い。 【ナビゲーションシステム】 G l o b a lP o s i t i o n i n gSystem)は複数の衛星(通常は 3個程度〉から発射 衛星測位システム GPS( される電波を受信して、その差から数十メートル以内の誤差の範囲で位置確認をするシステムである。 4個の専用衛星が必要とされるが、現 世界中のどこからでも GPSが使用可能となる為には、全部で 2 在はこの内の 2 0個程度が軌道上にある(衛星は静止衛星よりも低い軌道にある)。位置は緯度・経度の 数値データとして表示されるが、自動車用のものはこれに道路地図データを重ね合わせてディスプレイ (またはテレビ)に表示されるようになっており、現在位置や行程の確認が容易にできるようになって いる。 現在使用されている GPSのシステムは、すべて米軍の軍事用衛星を使用している。この衛星は湾岸 戦争の際にも使用された実績を持ち、通常は非常に信頼度が高いとされている。ただし、有事の際には 軍事的な戦術として意識的に精度が落とされたり、完全に使用不可能になる恐れもあると言われており、 民間用の衛星の出現が望まれている。 【将来のテレビ】 テレビの将来の姿はどのようなものになるであろうか。一つの方向はより小型化されて、個人の携帯 用になってしまうというものであり、もう一つは画面の大型化・精細化によって映画館の設備に迫ろう とするものである。この両極端の方向が現れているのは、ニュースや情報番組等は各個人でどこでも見 たいと言う要求があり、映画やスポーツ中継等には映画館並みの臨場感を求めようとするからである。 次の製品は既存のブラウン管技術を発展させて、より大きなスクリーンのテレビを実現したものであ る 。 ・大型ブラウン管テレビ( 3 7 ∼40インチが限界〉 ・プロジェクションテレビ(小型高輝度ブラウン管の映像をレンズを用いて、スクリーンの背面から 投影する方式で 40インチ以上の画面を実現) 1 3 次の製品はいずれも液晶技術を用いて作られている。 ・ポータブル液晶テレビ( 2∼ 5インチの携帯用テレビ) ・液品ビデオプロジェクタ(テレビ画面を 1 0 0インチ程度のスクリーンに投影可能) ・壁掛けテレビ(試作段階であり現在は非常に高価、液晶以外の方式の物もある) なお、情報処理教育室の設備として、液品ビデオプロジェクタ( SHARPCU-SXI、TFTアクティ ブマトリクス駆動方式、 2 1 7 9 4 5画素〉が導入されており、これと S-VHSビデオテープレコーダ(三 i c t o rAV-110入 電 子 ブ ッ ク プ レ ー ヤ ー 菱 HV-BS35入教材提示装置(ポータブルビューア、 V (SONYDD-10)及びスキャンコンパータ(パソコンのアナログ RGB信号をプロジェクタ用の信号 に変換する装置、 SHARPXC-10SC1)が接続されている。 次の製品はいずれも、新しい放送方式に対応するものである。 ・クリアビジョン(既存の地上波放送を鮮明にする技術を導入したテレビ〉 ・ワイドビジョン( MUSE-NTSCコンパータ+ワイドブラウン管で見る簡易形のハイビジョン受 信装置〉 ・ハイビジョン( MUSEデコーダ+ハイビジョン用ブラウン管で見るフルセットのハイビジョン受 信装置〉 上のリストに挙げてあるものは、既に商品化されたり、試作機が作られたりしているものである。こ の他にも、完全な立体テレビがいろいろな方式で研究されている。 [参考資料] ( 1 ) “アジア TV革命”、アジアプレスインターナショナル編、三田出版会 ( 2 ) “衛星電波ボーダーレス加速一一海外の番組越境、電波法を揺さぶる”、朝日新聞、 1 9 9 3年 1月 2 9日 ( 3 ) “衛星テレビ受信テクニック’ 9 3”、三才ブックス ( 4 ) “身近な技術のタネ明かし ハイビジョン受像機”、朝日新聞、 1 9 9 2年 6月 2 4日 ( 5 ) “パソコンをお使いのあなたへ一一キャプテンのご案内’'.,. NTT ( 6 ) “文字放送総合番組表”、監修関西文字放送普及協議会、協力 TVぴあ関西版 ( 7 ) “電子ブックカタログ” ( 8 ) “CD-ROMソフト INDEX” 、 NEC ( 9 ) “CD-Iプレーヤーカタログ”、フィリップス 14
© Copyright 2024 Paperzz