2014.2.7 日本計画研究所 石炭ガス化複合発電(IGCC)商用設備の 最新運転状況、課題と今後の展開 2014年2月7日 常磐共同火力㈱ 勿来発電所 IGCC事業本部長 石橋喜孝 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 1 1.空気吹きIGCCの特徴 2.IGCCの開発意義 3.実証機試験の概要 4.商用転用後の運転実績 5.今後の展望(商用機の動向) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 2 IGCCとは 石炭ガス化複合発電(IGCC) 従来型石炭火力(PCF) ボイラ+蒸気タービン 石炭 ボイラ ボイラ+蒸気タービン+ガス化炉+ガスタービン ボイラ(HRSG) 石炭 排ガス ガス化炉 排ガス ガスタービン 空気 蒸気 タービン 酸素 or 空気 蒸気 タービン ・IGCCは複合発電技術の採用により、従来型石炭火力に比べて発電効率が高い。 ・IGCCには酸素吹きと空気吹きの2方式があり、勿来では世界で唯一の空気吹き IGCCを開発。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 3 世界の石炭IGCCプロジェクト プロジェクト Buggenum Puertollano オランダ スペイン Wabash River 米国 Tampa 米国 Nakoso 勿来 日本 ガス化炉形式 酸素吹き 乾式給炭 Shell 酸素吹き 乾式給炭 Plenflo 酸素吹き 湿式給炭 E-GasTM 酸素吹き 湿式給炭 GE 空気吹き 乾式給炭 MHI 石炭消費量 2,000 t/d 2,600 t/d 2,500 t/d 2,500 t/d 1,700 t/d 発電端出力 (GT温度) 284 MW 1,100℃級 335 MW 1,300℃級 297 MW 1,300℃級 315 MW 1,300℃級 250MW 1,200℃級 実証試験 開始時期 1994年1月 1997年12月 1995年10月 1996年9月 2007年9月 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 4 酸素吹きIGCCと空気吹きIGCCの比較 発電効率 発電端効率 所内動力 送電端効率 酸素吹きIGCC 空気吹きIGCC ・空気吹きIGCCは、酸素製造動力が不要のため、酸素吹きIGCCに比べて 所内動力が少なく、送電端効率が2~2.5ポイント高くなる。 ・化学品製造を伴う場合は石炭ガス中に不純物(窒素)を含まない酸素吹き、 発電専用であれば送電端効率の高い空気吹きの採用が妥当と考えられる。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 5 メリット1:発電効率の向上 未来のIGCC by 1700℃級GT 近い将来の IGCC by 1600℃級GT 送電端効率 (%LHV) 50 目標効率50%以上 IGCC(48~50%) 商用機 by 1500℃級GT 45 IGCC(45~46%) by 1300 deg C GT 40 IGCC 実証機(42%) by 1200℃級GT 超々臨界圧石炭火力(41~43%) 従来型石炭火力(40~41%) ガスタービン技術の進展(高温化)によって発電効率は向上する。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 6 メリット2:適用炭種の拡大 世界の石炭資源量 1200 IGCC向き 1000 従来微粉炭火力向き 億トン 800 600 400 200 0 北米 中国 インド オーストラリア 南アフリカ インドネシア ■微粉炭火力向き(高灰融点炭) ⇒ 高灰融点炭を使用することにより、ボイラの壁に溶融灰が付着して伝熱障害を起こすのを防ぐ ■新たに利用可能(低灰融点炭) ⇒ 低灰融点炭を使用することにより、ガス化炉から溶融スラグとして石炭灰が排出される IGCCは、微粉炭火力では使いにくい石炭を利用することができる Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 7 メリット3:石炭灰スラグの有効利用 灰をガス化炉内で溶かして、ガラス 状のスラグとして排出するため容積 がほぼ半減 フライアッシュ ガラス状スラグ (従来石炭火力) (IGCC) セメントの原材料や路盤材等として 有効利用可能 道路舗装のアスファルトへの利用 コンクリート成型製品への利用 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 8 その他のメリット メリット4 : 大気環境性能の向上 煙突出口のSOx、NOx、煤塵濃度は、8ppm、5ppm、 4mg/m3N以下を達成 メリット5 : 温排水量の低減 複合発電方式の採用により、従来型石炭火力に比べて 温排水量を約3割低減 メリット6 : 用水使用量の低減 脱硫装置を設置した従来型石炭火力では大量の用水を必 要としたが、IGCCでは燃料段階でのガス精製となるため、 用水使用量を大幅に低減 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 9 1.空気吹きIGCCの特徴 2.IGCCの開発意義 3.実証機試験の概要 4.商用転用後の運転実績 5.今後の展望(商用機の動向) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 10 火力発電の熱効率の歴史 70% 70 60 60% 発電用 天然ガス 50% プラント熱効率 (%) 50 a : ニューコメン 石炭 (0.5%) 40 40% 250at×600/600℃ 超々臨界圧USC 246at×538/566℃ 超臨界圧 30% 169at×566/566℃ 再熱サイクル b:ジェームス・ ワット (4%) 30 c: 最初の火力発電所 (3%) 20 10 動力用 127at×538℃ ピストンエンジン 42at×450℃ 再生サイクル 20% 10% 10at×268℃ b a 1700 蒸気タービン c 1750 1800 1850 0% 1900 1950 2000 2050 2100 →年 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 11 「エネルギー供給の基本条件3E+S」から見たIGCC ・ばい煙(SOx, NOx, 煤塵等)排出量は最少 ・CO2排出量は従来型微粉炭火力より20%低く 地球温暖化防止に貢献 →CCS(CO2分離回収)の適用も比較的容易 ・通常火力電源と同様、 東日本大震災にも耐え、 早期復旧を果たした。 ・石炭ガスのリークに対して 十分な安全対策が必要 Environmental Protection + Energy Security 低品位炭(亜瀝青炭等)と の相性が良く、適用炭種の 拡大が可能 Safety Economy ・安価な石炭の利用が可能、さらに低品 位炭利用によるコスト低減可能 ・建設費は若干高いが、燃料費は高効 率により安くなり、発電コストとしては 従来型と同等の見通し Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 12 世界の地球温暖化防止に貢献しうるIGCC 日本で20%効率アップ⇒世界ではさらに大幅UP! Thermal efficiency of coal fired power stations in the world(2006) LHV% 60% 発 電 効 率 ( % ) 世界の石炭火力発電の発電効率比較(2006) IGCC の発電効率 50%が実現すると・・・ Thermal efficiency 50% is expected by IGCC 50% 効率 potential UP分 40% 30% 現在の 効率 20% 日 本 ドイツ アメリカ オースト 中 国 Japan Germany USA Austraila China ラリア インド India 出典: ECOFYS,“INTERNATIONAL COMPARISON OF FOSSIL POWER EFFICIENCY”(2008) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 13 微粉炭火力向き石炭とIGCC向き石炭 燃料比 (固定炭素/揮発分) 3.0 微粉炭火力向き 石炭 2.5 2.0 IGCC向き石炭 1.5 1.0 0.5 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 1,600 1,700 灰の溶融温度[℃] 従来型石炭火力とIGCCは、適合する炭種が異なるため、 IGCC導入により日本で使える石炭の幅が広がる。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 14 CCS(CO2分離回収)の適用性 ・Pre-combustion Type CCS(燃焼前CO2分離)の適用により 加圧下のガス体積が小さい段階で、効率的なCO2回収が可能 ・下図のように、ガス精製とガスタービンの間にCO2分離回収設備を設置する ので、IGCC建設後にCCS設備を付加することも容易(CCS-Readyが容易) 石炭 ガス化炉 ガス 精製 CO CO2 H2 H2 H2 ガスタービン CO 変換 設備 CO2 分離 回収 設備 CO2 H2O Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 圧送 設備へ 15 1.空気吹きIGCCの特徴 2.IGCCの開発意義 3.実証機試験の概要 4.商用転用後の運転実績 5.今後の展望(商用機の動向) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 16 日本における空気吹きIGCCの開発経緯 実証プラント クリーンコールパワー研究所 1700t/d 250MW (2007-2013) パイロットプラント 石炭ガス化複合発電技術研究組合 200t/d 25MW相当 (1991-1996) Process development unit 電力中央研究所-三菱重工 2t/d(1983-1995) 確認テスト用プラント 三菱重工 長崎工場 24t/d (1998-2002) CRIEPI: Central Research Institute of Electric Power Industry Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 17 IGCC実証試験体制 資源 エネルギー庁 平成22年6月まで 補助金30% 共同研究 CCP 発注 分担金70% ↓平成22年6月より 100% 人員 敷地、運転員など 北海道電力 東北電力 東京電力 中部電力 北陸電力 関西電力 中国電力 四国電力 九州電力 電源開発 電力中央研究所 常磐共同火力 三菱重工業 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 18 IGCC実証機の設置場所 福島県 いわき市 いわき市 勿来地区 東京 実証プラント 常磐共同火力 勿来発電所の構内に設置 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 19 実証プロジェクトの工程 年度 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 事前検証試験 CCP設立 実証機設計 環境影響評価 実証機建設 試験開始 2007年9月~ 試験終了 運転試験 運転試験は2013年3月に終了。設備は常磐共同火力に移管され、現在商用運転中。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 20 勿来IGCCの仕様 出 力 250 MW 石炭消費量 方 式 目標熱効率 環境特性 (目標値) 約 1,700 t/日 ガス化炉 空気吹き&乾式給炭 ガス精製 湿式(MDEA)+石膏回収 ガスタービン 1200 ℃級 (50Hz) 発電端 48% (LHV) 46% (HHV) 送電端 42% (LHV) 40.5% (HHV) SOx排出濃度 8 ppm NOx排出濃度 5 ppm ばいじん排出濃度 4 mg/m3N (16%O2 換算) IGCC商用機では1,500℃級GTを適用して48~50%の送電端効率が可能である。 IGCC実証機では出力を商用機の半分にするため1,200℃級GTを適用している。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 21 IGCC実証機の系統図 石炭 石膏回収 湿式ガス精製 ポーラス フィルタ ガス化炉 燃焼器 空気 ガスタービン HRSG 蒸気タービン チャー G スラグ 廃熱回収ボイラ HRSG 空気 煙突 M 酸素 窒素 ASU ガス化炉 抽気空気圧縮機 空気分離装置(ASU)は、石炭やチャーを加圧・ 搬送するための窒素製造が主目的であり、酸 素吹きIGCCに比べて非常に小さい。 ガス化に必要な空気はGT空気圧縮機から 抽気・昇圧して供給し、所内動力を低減。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 22 給炭方式の特徴 乾式給炭・高濃度搬送・パラレルロックホッパ方式の採用 ・乾式給炭:微粉炭を窒素で加圧し、約30気圧のガス化炉に給炭 ・高濃度搬送:ガス化炉内への窒素を持ち込み量を最小とするため、 微粉炭を高濃度で搬送する方式を採用(固気比15~20程度) ・パラレルロックホッパ方式:受入ホッパ、加圧/待機ホッパ、払出ホッパを 順次切替ながら給炭 微粉炭 <設備改善> ・ ホッパの加圧制御の改善 ・ ホッパ底部の流動化の改善 等を行いながら、安定給炭を達成 ①受入 ②加圧/待機 ③払出 微粉炭ビン 微粉炭供給ホッパ Coal Wet Gas Clean-Up ① ② Gasifier ③ Porous Filter ホッパ加圧用 Air Steam Turbine Unburned Coal ガス化炉 G Slag 石炭搬送用 HRSG Air Air is utilized for burning coal 窒素 Combustor Gas Turbine HRSG Gypsum recovery O2 N2 Stack M Gasifier Boost-up Compressor ASU ASU of Air-blown IGCC is relatively small. バーナ Mainly N2 is utilized for coal and char transport Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 23 ガス化のしくみ ・石炭を空気により部分燃焼(空気比0.4~0.45)させ、発熱量5~5.5MJ/m3N程度の ガスタービン燃料に適したガスを製造 ・石炭灰はガス化炉内で溶融し、水で急冷してガラス質の水砕スラグとして排出 ・燃料ガス中の不純物は後段のガス精製設備にて除去 石炭 + CO,H2 リッチガス ガス化炉 ガス化反応 C + CO2 = 2CO C + H2O = CO + H2 CO + H2O = CO2 + H2 CO H2 空気 H2S HCl NH3 N2 スラグ Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 24 ガス化炉本体の特徴 ・空気で効率良くガス化するため二室二段噴流床方式を採用 ・未燃分はチャーリサイクルによりほとんどゼロ(炭素転換率99.9%以上) ・コンバスタは耐火材を用いず、石炭灰によるセルフコーティング方式を採用 ・ガス化炉全体を圧力容器内に収め、空間を窒素で充填して安全確保(二重壁構造) 石炭ガス C + CO2 = 2CO C + H2O = CO + H2 CO + H2O = CO2 + H2 石炭 700K Porous リサイクル Filter リダクタ (石炭ガス化室) チャー HRSG 石炭 コンバスタ 空気 (燃焼室) 空気 温度 溶融スラグ Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 25 画像監視によるガス化炉安定運転の確認 スラグ流下監視装置 ・ガス化炉下部にビデオカメラを設置し、①溶融スラグのスラグホールからの 流下状況、②溶融スラグのスラグホッパ水面への流下状況を画像監視 ・溶融スラグが二筋で安定して流下していれば、ガス化炉安定運転の証明 <溶融スラグの安定流下> スラグ流下監視装置 >画像分析装置 >音響監視装置 ガス化炉 Coal スラグホールからのスラグ流下 Wet Gas Clean-Up Gasifier Porous Filter Combustor Gas Turbine HRSG Gypsum recovery Air Steam Turbine Unburned Coal G Slag HRSG Air Air is utilized for burning coal N2 O2 Stack M Gasifier Boost-up Compressor ASU ASU of Air-blown IGCC is relatively small. スラグホッパ水面へのスラグ流下 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd Mainly N2 is utilized for coal and char transport 26 ガス精製のしくみ ・ガスタービンで燃焼させる前の高圧化でまだ体積の小さい段階でガスを精製 ・信頼性の高い湿式ガス精製方式を採用 水洗浄塔で窒素化合物(NH3) 、塩化水素(HCl)等を除去 アミン吸収塔で硫黄化合物(H2S)を除去、石膏として回収 ハイドロカーボン、水銀の除去も考慮 ・徹底した熱回収により、湿式ガス精製採用による熱効率低下を抑止 ガス精製前 CO 水 アミン溶液 CO H2 H2S NH3 N2 HCl ガス精製後 窒素化合物等 の除去 硫黄化合物 の除去 H2 N2 石膏へ NH3 HCl その他 H2S Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 27 IGCC 実証プラント鳥瞰図 排熱回収ボイラ (HRSG) ガス化炉設備 ガス精製設備 ガスタービン 蒸気タービン & 発電機 空気分離装置 (ASU) 中央操作室 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 28 IGCC実証機全景 煙突 排熱回収ボイラ (HRSG) ガス化炉設備 石炭の流れ 蒸気の流れ 排ガスの流れ 石炭ガスの 流れ ガスタービン 蒸気タービン ガス精製設備 発電機 電気の流れ 変圧器 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 29 実証試験実績スケジュール 2007 ’07.9 2008 ’08.3 ’08.9 GT ガス 定格出力 2000時間 点 化炉 250MW 連続運転 火 点火 達成 到達 2009 2010 ’10.6 ’09.6 5000時間 耐久運転 開始 5000時間 耐久運転 終了(補助 2011 2012 ’11.3 ’11.7 東日本 震災復旧 大震災 完了 被災 運転再開 事業終了) 実 石炭ガス化 長時間 運転 炭種 連続 最適化 変化 調整試験 運転試験 試験 試験 運転 証 5000時間 耐久運転 試験 試 験 炭種 運用性 震災復旧 適合性 向上 および 拡大試験 試験 定期検査 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 信頼性・炭種適合性・ 経済性等の検証試験 30 IGCC実証試験の目標と達成状況 項 目 目 標 達成状況 システムの 安 全 性 定格出力での安定運転、異常時 の安全停止を確認 定格出力250MWでの安定運転を確認(H20/3) 環 境 性 ばい煙濃度(煙突出口) 目標:SOx:8ppm NOx:5ppm ばいじん:4mg/m3Nの達成 目標ばい煙濃度以下を確認(H20/3) 実績値: SOx:1.0ppm NOx:3.4ppm ばいじん:0.1mg/m3N 信 頼 性 2000時間(夏季3ヶ月間相当)の 連続運転の達成 連続運転2,039時間を達成(H20/9) 震災復旧後連続運転2,238時間を達成(H23/11) 炭種適合性 設計炭(中国神華炭)以外の 石炭についても安定運転を確認 北米PRB亜瀝青炭、インドネシア亜瀝青炭、 コロンビア炭、ロシア炭 、カナダ炭 等 高効率性 目標送電端効率42%の達成 送電炭効率42.9%を達成(H21/1) 耐 久 性 ・年間5000時間運転到達(H22/6) 5000時間耐久運転試験後、設備 ・開放点検により設備に重大な損傷なしを 確認 の開放点検を行い検証 ・大地震(震度6弱)でも倒壊せず、耐震性を 確認 経 済 性 商用機における建設費、運転費 保守費等を総合的に評価 運 用 性 火力プラントとしての運用性の 向上 建設費はUSCに比べて約2割高くなるが、燃料代 は高効率のため約2割安くなり、発電原価はUSC と同等の見込み 従来型石炭火力並の運用性を確認(H23/3) (起動時間15時間、最低負荷36%、負荷変化率3%/分等) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 31 性能試験結果 (2008年3月) 設計値 試験結果 大気温度 発電端出力 ガスタービン出力 蒸気タービン出力 送電端効率(LHV) 15℃ 250 MW 128.9 MW 121.1 MW 42 % 13.1℃ 250.0 MW 124.4 MW 125.8 MW 42.4 % 石炭ガス 発熱量 組成 CO 4.8 MJ/m3N 28.0 % 3.8 % 10.4 % 0.3 % 57.5 % 5.2 MJ/m3N 30.5 % 2.8 % 10.5 % 0.7 % 55.5% CO2 H2 CH4 N2 & Others 環境性能 (16% O2 換算) SOx NOx 煤塵 <目標値> 8 ppm 5 ppm 4 mg/m3N 1.0ppm 3.4 ppm <0.1 mg/m3N 2008年3月に定格出力(250MW)運転を達成、定格出力での安定運転と設計性能が確認された。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 32 長期信頼性検証試験中の経時変化データ(2008年夏) 400 400 4040 30 30 [MW] Output [MW] Output 300 300 June, 2008 - August, 2008 LHV [MJ/m [℃],temperature Temperature [℃]3N] Atmospheric Gross output GT output ST output Atmospheric temperature Product gas LHV 200 200 20 20 100 100 1010 0 0 00 55 10 10 1515 2020 25 25 30 30 35 35 40 Operatingdays days Operating 40 45 4550 55 50 55 000 ・定格出力での安定運転が確認できた。 ・2000時間連続運転が運転初年度で達成できた。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 33 試験炭種 (設計炭) 中国 2009.1 発熱量 (air dry) kJ/kg 北米 インドネシア インドネシア コロンビア ロシア インドネシア 北米 (A) (A) (B) (A) (C) (B) 2009.1 2009.3 2010.9 2011.9 2011.12 2012.1 2012.10 北米 (C) 2013.1 27,120 26,670 26,370 23,010 28,090 26,560 29,620 25,910 26,790 全水分 (as received) wt% 15.4 25.3 21.7 29.7 14.7 10.8 8.4 19.6 6.9 全硫黄 (air dry) wt% 0.25 0.39 0.25 0.12 0.76 0.34 0.62 0.45 0.24 固有水分 wt% 7.5 8.0 7.9 17.1 1.8 3.7 2.7 12.6 5.2 固定炭素 wt% 51.3 47.4 45.2 37.8 49.0 44.8 43.9 46.8 48.1 揮発分 wt% 32.3 39.1 42.5 41.6 35.6 38.2 44.9 35.4 36.8 灰分 wt% 8.9 5.5 4.4 3.5 13.6 13.3 8.5 5.2 9.9 1,225 1,420 1,260 1,230 1,390 1,450 1,570 1,365 1,290 工業分析 (air dry) 灰溶融温度 deg C 瀝青炭(中国炭等)と亜瀝青炭(北米炭等)の燃焼テストを実施し、安定的に発電 できることを確認した。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 34 耐久運転試験の結果 ・耐久性試験を2009年6月から2010年6月にかけて実施し、1年間での 累計運転時間は5,013時間に達した。 ・耐久性試験では、下表に示すように主に付属設備の故障により、何回かの プラント停止を経験したが、耐久性試験後の点検では、設備の重大な損傷 は発見されなかった。 故障の内容 系 統 原 因 1. 多孔フィルタ下部の 回転バルブのグランド リーク チャー循環 系統 グランドパッキンの締め付け不良による グランドからのガス漏洩 グランドパッキンの締 め付け適正管理 2. スラグ搬送コンベア の停止 スラグ処理 系統 チェーンコンベアのスクレーパー(掻取 板)が、蛇行により底板の溝上に引っ掛 かり、電動機が過電流により停止した。 コンベア構造の改善 3. 微粉炭集塵機からの 微粉炭リーク 微粉炭供給 系統 濾布の破孔により濾布内に微粉炭が蓄 積し、この微粉炭が酸化昇温した。 微粉炭漏洩の監視装 置を設置、操作手順の 改善を実施 4. No.2抽気空気冷却 器の伝熱管リーク ガス化炉空 気供給系統 伝熱管が材質不良により腐食を起こし た。漏洩した空気が復水器に入り、復 水の溶存酸素濃度を上昇させた。 適正な材質の伝熱管に 交換 5. ガス化炉チャーバー ナ冷却管のリーク ガス化炉 バーナ先端の設置位置が不適切であっ バーナ先端の設置位 たため、バーナ冷却管が磨耗により損 置の適正化 傷した。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 対 策 35 運用性確認試験の結果 負荷変化速度 400 Gross Output GT Output ST Output Output [MW] 300 March , 2011 3% 200 3% 100 0 0 4 8 12 Operating hours 負荷変化速度は従来の石炭火力と同等の 3%/分を達成できた。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 36 その他の取組み ①夏場の出力低下への対応 ・GT空気圧縮機IGV(入口案内翼)の制御改善 ・GT燃焼器の許容温度を短時間上昇させるピークモード対応 ②部分負荷効率の向上対応 ・部分負荷で余裕の出る酸素をガス化炉に注入 ③炭種によってSGC入口が詰まり傾向になることへの対応 ・SGCパネル改造(パネル間隔、チューブ間隔の適正化) ・高圧除煤装置の炭種毎の作動頻度調整 ④商用機での建設費低減 ・商用機段階でSGCサイズ小さくすることを狙ったSGCパネル改造 ・実証の結果不要となる設備の抽出(スラグクラッシャ、デスラッガ等) ・粉体制御弁の材質変更 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 37 経済性の評価 発電コスト/kWh = 建設コスト + 運転コスト + メンテナンスコスト +環境コスト ① IGCC > PCF ② IGCC < PCF ③ IGCC ≒ PCF ④ IGCC < PCF *PCF:従来型石炭火力 経済性評価 ①建設コストは、商用化時、従来型石炭火力より20%程度高くなる見通し → コストダウン方策を検討中 ②運転コストの主要を占める燃料費は、商用化時、効率向上に伴い従来型 石炭火力より20%程度低減できる見通し ③メンテナンスコストは現在評価中 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 38 IGCC所用面積の評価 IGCC実証機所用面積 250MW (2.6ha) 商用化 IGCC所用面積 About 1140MW (570MW ×2 unit) 従来型石炭火力所用面積 1000MW (1000MW ×1 unit) 商用化時の IGCC所用面積は、従来型石炭火力と同等の見通し。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 39 1.空気吹きIGCCの特徴 2.IGCCの開発意義 3.実証機試験の概要 4.商用転用後の運転実績 5.今後の展望(商用機の動向) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 40 IGCC実証機の移管と商用転用 2013年3月31日以前 ・設備の所有者:㈱クリーンコールパワー研究所 ・位置付け:実証試験研究 ・設備名称:IGCC実証機 ・結果:5年半に亘る実証試験は成功裏に終了 商用機設計に必要なデータを取得 <移管の理由> ・電源としての供給力活用 ・IGCC運転保守技術の一層の成熟化 2013年4月1以降 ・設備の所有者:常磐共同火力㈱ ・位置付け:商用運転 ・設備名称:勿来発電所10号機 ・運転状況:6/28~12/8の間 3,917時間の連続運転を達成 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 41 商用化後の10号機の運転実績 商用化後の勿来IGCCは、6/28~12/8の間、ほぼ定格出力で3,917時間の連続運転を 行った。(これまでの世界最長連続運転時間はオランダブフナムの3,287時間) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 42 勿来10号機の課題と対応 <現時点の課題> 勿来10号機は、もともと研究設備として建設されているため、 下記の課題がある。 ・予備機がない。 ・長期運転に耐えうる材質で製作されていない。 ・屋外型タービンフロアとなっているため保修性が悪い。 ・単一の設計炭(中国神華炭)で設計されているため、定格 出力が取れる炭種が限られる。 等 <今後の対策> ・設備的な課題に対しては、平成27年度に大がかりな改修工 事を行い、今後の長期的な運転に備える予定である。 ・炭種制約に関しては、今後定格出力の取れる炭種の探索、 混炭運用による定格出力運転の維持に努める予定である。 ※なおIGCC商用機においては、きちんとした設計を行う事に より、これら課題は解決できる。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 43 1.空気吹きIGCCの特徴 2.IGCCの開発意義 3.実証機試験の概要 4.商用転用後の運転実績 5.今後の展望(商用機の動向) Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 44 平成25年11月29日 東京電力発表資料 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 45 常磐共同火力全景 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 46 商用機の出力と効率 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 47 コストラーニングカーブ Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 48 IGCC普及拡大への課題と対応 空気吹きIGCCは、石炭による高効率発電技術として、国の支援を得ながら、 30年間に亘って開発を進めてきたわが国独自の技術である。勿来IGCC実証 機での5年半に亘る実証運転の結果、当初目標は全てクリアでき、いつでも商 用機設計が出来る段階となった。 現在、福島復興電源としての500MW級IGCCの建設が計画されているところ である。 IGCCの普及拡大への課題の一つは「信頼性」である。 IGCCは機器点数が多いため、信頼性の確保が特に重要である。IGCC はベース電源として70~80%の設備利用率が求められるが、実証試験で 得られた知見を商用機設計に反映することにより、達成可能と思われる。 さらに勿来10号機での運用経験を積み重ね、これを商用機設計に反映 することにより、さらなる信頼性の向上に努めていく予定である。 IGCC普及拡大へのもう一つの課題は「経済性」である。 IGCCはUSCより設備が複雑となるため、建設費は従来型に比べて二割 程度高くなると想定される。発電効率が高いために発電原価は同等と想 定されるが、イニシャルコスト高は導入への障壁となり得る。 現在、実証機の成果を踏まえ、さらなる建設コスト削減を検討中である。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 49 ホームページ http://www.joban-power.co.jp/ ご清聴ありがとうございました。 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 50 6.その他 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 51 東日本大震災による被災状況 IGCC 実証機 津波来襲時の様子 事務所1階 熱交換器の脱落 機器類水没 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 52 震災復旧の歩み ・ 3月11日 IGCC 設備は地震動(震度6弱)検知し自動停止 約40分後から襲来した津波により多くの設備が 浸・冠水、ただし、設備に致命的な被害は無 ・3月中 最小人員が常駐し対応 ・4月上旬 本格復旧開始 (4月11日、12日 に震度6弱の余震→被害拡大) ・4月中旬~6月末 本格的復旧工事(300名~500名/日) ・7月 試験 及び 調整、 28日に運転再開 ・ 8月10日~11月11日 最長連続運転記録(2238時間) +試験実施 その後も高稼働を達成 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 53 IGCC実証機の震災以降の運転実績 (2011年1月~2012年3月) 5000 定期点検 3.11東日本大震災 からの復旧 連続運転 1,420時間 累 積 3000 運 転 時 2000 間 連続運転 2,238時間 1000 Feb-12 Jan-12 Dec-11 Oct-11 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 Sep-11 2011年 Aug-11 Jul-11 6月 7月 8月 Jun-11 5月 May-11 Apr-11 Mar-11 Feb-11 1月 2月 3月 4月 Jan-11 0 Nov-11 4000 連続運転 928時間 2012年 震災復旧以降、IGCC実証機は高稼働で運転 Copyright Joban Joint Power Co., Ltd 54
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