標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 式の計算⑴ 1 ◆指導ページ P.10 ~ 13 ◆ 【指導のねらい】 ★単項式,多項式,次数の意味を理解する。 ★多項式どうしの加減法ができるようにする。 はじめに 学習内容・補足事項 〈導入〉 中学 1 年で学習した文字式は,中学 2 年では,さらに高次(1 次以上)にま で拡張される。まず,単項式・多項式, 次数の意味を理解し,与えられる式の 計算,四則演算ができるようになるこ とを目標とする。中学 1 年のときと同 様にして,式の計算を学んだ後,これ が,連立方程式につながってくる。さ らに,中学 3 年では,2 次方程式を取 り扱うことになる。中学 2 年の連立方 程式は,グラフとの対応として 1 次関 数につながる。その基礎として,多項 式の四則演算は重要である。演習問題 B までこなせば,習熟に近づくはずで ある。 学習 1 単項式・多項式,次数 A1,A2 例題 4xy2 - 2x + y2 + 1 項 [4xy2,- 2x,y2,1] 次数 [3] 4xy2 の 3 次が最高次 学習 2 同類項をまとめる A3,A4,B1 例題 次の式を簡単にしなさい。 ⑴ 2a - 7b + a + 5b = 2a + a - 7b + 5b 同類項をまとめる =(2 + 1)a +(- 7 + 5)b = 3a - 2b ⑵ x2 - 6x - 4x2 + 10x = x2 - 4x2 - 6x + 10x 同類項をまとめる =(1 - 4)x2 +(- 6 + 10)x =- 3x2 + 4x 学習 1 ・単項式…数や文字についての乗法だ けでできている式 例題 次の計算をしなさい。 ・多項式…単項式の和 ・項…多項式の 1 つ 1 つの単項式 ・次数…単項式では,かけられている 文字の個数,多項式では,各項の次 数のうちで最も大きいものの次数 学習 2 ・同類項…文字の部分が同じである項 例 2x - 4x + 6x + 8x = 8x + 4x 2 2 2 同類項 同類項 (※) 同類項はまとめることができ る。 学習 3 ・多項式の加法…かっこをそのままは ずして,同類項をまとめる。 ・多項式の減法…ひく方の多項式の各 項の符号を変えて加える。 学習 4 ・分配法則… ( a b + c)= ab + ac ・文字式の分数→分子にかっこをつけ て通分する。 学習 3 式の加法・減法 A5,B2,B3 ⑴ (3x + 2y)+(x - 6y) かっこをはずす = 3x + 2y + x - 6y 同類項をまとめる =(3 + 1)x +(2 - 6)y = 4x - 4y ⑵ (2a2 + a - 3)-(a2 - 3a + 4) かっこをはずす(符号注意) = 2a2 + a - 3 - a2 + 3a - 4 同類項をまとめる =(2 - 1)a2 +(1 + 3)a +(- 3 - 4) = a2 + 4a - 7 学習 4 数と多項式の乗除,分数形の加減 A6,B4 例題 次の計算をしなさい。 ⑴ 2(2x - 3y)- 3(4x + 7y) かっこをはずす(符号注意) = 4x - 6y - 12x - 21y 同類項をまとめる =(4 - 12)x +(- 6 - 21)y =- 8x - 27y 3a - 2b 2a - b - 4 3 4 と 3 の最小公倍数 12 で約分する 3(3a - 2b) 4(2a - b) = - 12 12 かっこをはずす(符号注意) 9a - 6b - 8a + 4b = 12 a - 2b = 12 ⑵ ⑵の計算は式変形の段階が多い。通分,かっこをはずすなどは,順を追って丁寧に説明したい。 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 式の計算⑵ 2 ◆指導ページ P.14 ~ 17 ◆ 【指導のねらい】 ★単項式の乗除ができるようにする。 ★乗除が混合計算について,効率的に約分計算ができるようにする。 はじめに 〈導入〉 前章での多項式に対する加減法の学 習に続き,ここでは,単項式の乗除を 学ぶ。中学 1 年次に学んだ単項式の乗 除よりも次数の大きい,複雑な式を取 り扱うことになるが,基本は同様であ る。見通しよく約分をして,間違える ことなく,素早く計算できるようにし たい。しかし,登場する文字が増える ことや,累乗も指数が大きくなるため 学習内容・補足事項 学習 1 単項式の乗法⑴ A1 例題 次の計算をしなさい。 ⑴ 5a × 7b 係数どうし をまとめる = 5 × 7 × a × b ⑵ (- 2x)× ( - 3xy) 係数どうし をまとめる =(- 2)×(- 3)× x × xy = 35ab = 6x2y 学習 2 単項式の乗法⑵ A2,A3,B1 2 ⑴ (- 3m) 十分に演習を重ねることが望まれる。 =(- 3m)×(- 3m) 学習 1 = 9m2 単項式どうしの積 1 2 ⑵ (- 2a) × a 2 ・係数どうしの積と文字どうしの積を かける (文字はアルファベット順) ・同じ文字の積→指数を使う - 3m2 とは異なるもので あることに言及する 例題 次の計算をしなさい。 係数どうしをまとめる =(- 3)×(- 3)× m × m 1 =(- 2a)×(- 2a)× a 2 係数どうしをまとめる 1 =(- 2)×(- 2)× × a × a × a 2 =- 2a3 学習 2 ・累乗の指数…かけられている個数 3 例 (2a) = 2a × 2a × 2a = 8a3 3 (- 2a) =(- 2a)×(- 2a) ×(- 2a)=- 8a3 学習 3 ・単項式の除法 A A ÷ B = B 1 A ÷ B = A × B C B A ÷ = A × B C 学習 4 ・乗法と除法の混じった計算 →わる式を逆数にしてかける (乗法だけの式に直す。) 学習 3 単項式の除法 A4,B2 例題 次の計算をしなさい。 ⑴ 10xy ÷(- 5x) 負の数が 1 個 10xy =- 5x 2 1 ab 2 わる数の逆数をかける 2 = 6a2b × ab ⑵ 6a2b ÷ 1 1 10 × x × y =- 5×x 6×a×a×b×2 = a×b =- 2y = 12a 1 1 1 学習 4 乗除混合計算 A5,B3,B5 例題 次の計算をしなさい。 ⑴ 6x2 ÷(- 4x)× 8x わる数の逆 1 数をかける 2 = 6x × - x × 8x 4 ( ) 21 6x2 × 8x =- 4x 11 2 =- 12x 分母の 6 と分子の 4 で約分するよ りも,分母の 8 と分子の 4 で約分 する方が効率的である。 2 3 ab 3 わる数の逆 3 数をかける 2 2 = 3ab × 6a b × 2ab3 ⑵ 3ab2 × 6a2b = 1 1 3 1 3ab2 × 6a2b × 3 = 2ab3 11 = 27a 2 1 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 式の計算⑶ 3 【指導のねらい】 ★文字式に,数値を代入し,式の値を求められるようにする。 ★文字式で数量を表わしたり,それを利用して数量の性質を延期することができるようにする。 はじめに 〈導入〉 前章までの多項式の四則演算に続き, ここでは式の値が登場する。式の値は 中学 1 年の文字式の計算でも取り扱っ た量であり,スムーズに進められるで あろう。また,ここでは,文字式を利 用して,数列や図形に関する数量のを 記述することも行う。さらに,その数 量間の規則性を与えられた文字式を用 いて証明することを行う。難度の高い ものになると,論証する能力が問われ るようになる。補足の必要な部分は適 宜,補っていくとよい。こういった論 証能力は入試頻出の図形問題などでは 学習内容・補足事項 学習 1 式の値 A1,B1 例題 a = 3,b =- 2 のとき,次の式の値を求めなさい。 ⑴ (5a - 4b)+(5b - 3a) 式を簡単にする = 2a + b 負の数はかっこをつけて代入する = 2 × 3 +(- 2) = 4 ⑵ 6a2b3 ÷ 3ab 式を簡単にする 6a2b3 = 3ab 負の数はかっこをつけて代入する = 2ab2 2 = 2 × 3 ×(- 2) = 24 重要なものとなる。 学習 2 等式の変形 A2,B2,B3 学習 1 ⑴ - x + y = 3 [x] 例題 次の等式を, [ ]内の文字について解きなさい。 - x = 3 - y ①式の計算する (同類項をまとめる。)。 x = y - 3 式の値 ②頁の数は,かっこをつけて代入する。 学習 2 ・x について解く 例 x + y = 4 学習 3 ・三角形の面積 1 S = ah (a:底辺,h:高さ) 2 ・角錐,円錐の体積 1 V = sh (s:底面積,h:高さ) 3 ・円の面積 1 S = ab [b] 2 左辺と右辺を 1 ab = S 入れかえる 2 2S 2 b = 両辺に をかける a a ⑵ y を移項 両辺に- 1 を かける 学習 3 図形への利用 A3,B4 例題 右の図は,長方形に 2 つの半円がつなぎあわされた図形である。 cm この図形の周の長さをℓとして,ℓを a と r の式で表しなさい。 y =- x + 4 (→ 1 次関数を書く際に必要) ◆指導ページ P.18 ~ 21 ◆ ただし,円周率はπとする。 (周の長さ)=(半円の円周部の長さ)× 2 +(長方形の 1 辺 a)× 2 cm =(円周の長さ)+(長方形の 1 辺 a)× 2 より, ℓ= 2a -πr2 学習 4 式による説明 A4,A5,B5,B6,B7 例題 一の位が 0 でない 2 けたの自然数 A がある。この自然数 A の十の位の数と一の位の数 を入れかえてでる 2 けたの自然数を B とすると,A から B をひいた差は 9 でわり切れる。 このわけを説明しなさい。 2 S =πr(r:半径) 学習 4 自然数 A の十の位の数を m,一の位の数を n とすると, ・3 ケタの自然数 A = 10m + n 100a + 10b + c また,自然数 R の十の位の数は n,一の位の数は m だから, B = 10n + m したがって, A - B =(10m + n)-(10n + m) = 9(m - n) m - n は整数だから,9(m - n)は 9 で割り切れる。 よって,A - B は 9 で割り切れる。 記述の解答には,まだ不慣れな生徒が多い。書き方のフォーマットが頭に入るようゆっくり説 明したい。 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 連立方程式⑴ 4 ◆指導ページ P.22 ~ 25 ◆ 【指導のねらい】 ★連立方程式を加減法及び代入法で解くことを身につける。 ★かっこを含んだり,係数が分数や小数の連立方程式も解けるようにする。 はじめに 〈導入〉 ここでは,2 元 1 次方程式の解法を 学び,それを利用して未知数量を求め ることを学習する。さらに,連立して いる 1 次方程式はグラフ上では 1 次関 数に対応し,その解は,それらの交点 学習内容・補足事項 学習 1 加減法・代入法 A1,B1 ⑴,⑵,代入法 A2,B1 ⑶,⑷ 例題 次の連立方程式を解きなさい。 ⑴ 3x - 2y =- 8 …① ⑵ 3x + 2y = 12…① 2x - 5y = 2 ……② y = x + 1 ……② <加減法> <代入法> 6x - 4y =- 16 ①× 2 に相当することを学習する。1 次関数 ②× 3 につながる重要な項目である。4 章は, - 6x - 15y = 連立方程式の見通しの良い解法を身に つけたい。数式それぞれを計算し,加 減法・代入法を用いて解を求める。演 習問題をある程度こなして,習熟させ てしまうことである。うまく組み合わ せて文字を消去する加減法におもしろ みを感じる生徒も多い。 ②を①に代入 6 3x + 2(x + 1)= 12 11y =- 22 5x = 10 y =- 2 x = 2 y =- 2 を①に代入する。 x = 2 を②に代入する。 3x + 4 =- 8 より,x =- 4 y = 2 + 1 = 3 x もしくは y の係数が 1 の場合→代入法 そうでない場合 →加減法 学習 1 の例題を段階を追って丁寧に説明する。それ以降も解法は同じであり,ここをしっかり 説明しておく。 学習 1 学習 2 かっこを含む連立方程式 A3 ⑴,⑵,B2 ⑴,⑵,⑶ 連立方程式の解法 例題 次の連立方程式を解きなさい。 ① x もしくは y の係数が 1or - 1 x - 2(y + 3)= 2 ⇒係数が 1or - 1 の文字について解 3(x - 5)+ 2y = 17 く まずはそれぞれ計算して整理する。 それぞれ計算を進めると, x = 10 を③に代入 ⇒その式をもう一方の式に代入 x - 2y = 8 ……③ 10 - 2y = 8 (代入法) 3x + 2y = 32 …④ ②上記でない場合 ③+④ ⇒ x か y のどちらかの係数をそろえ る - 2y =- 2 y=1 x - 2y = 8 - 3x + 2y = 32 ⇒加減法により,その文字を消去 (加減法) 4x = 40 x = 10 学習 2 学習 3 係数が分数や小数の連立方程式 A3 ⑶,⑷,B2 ⑷,B3 かっこのはずし方 ・a + (b + c)= a + b + c ・a + (b - c)= a + b - c ・a - (b + c)= a - b - c ・a - (b - c)= a - b + c 例題 次の連立方程式を解きなさい。 ⑴ - x + y = 4………① 1 1 1 x - y =- …② 2 3 2 ②× 6 より(①は y について解く), y = 4 + x 学習 3 3x - 2y =- 3 係数が分数や小数 ・係数が分数⇒分母の最小公倍数をか ける。 ・係数が小数⇒両 辺を 10,100,…倍 などして,整数のみに する。 学習 4 A = B = C⇔ ⇔ ⇔ A=B A=C A=B 代入法で解くと, 0.15x + 0.07y = 0.16…② ①× 10,②× 100 より, 3x - 2y = 10 15x + 7y = 16 加減法で解くと, x = 2,y =- 2 x = 5,y = 9 時間があれば,計算も補足する。 学習 4 A = B = C の形の連立方程式 A3 ⑸,⑹,B4 例題 連立方程式 2x - 3y = 3x + 4y = 17 を解きなさい。 2x - 3y = 17 別解 2x - 3y = 17 ………① 3x + 4y = 17 2x - 3y = 3x + 4y…② を解けばよい。 ②を計算して, 加減法で解くと, 2x - 3y = 17 x = 7,y =- 1 x =- 7y (以降は代入法で解く) B=C どちらを解くかは好みで。 A=C B=C ⑵ 0.3x - 0.2y = 1………① 時間があれば,計算も補足する。 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 連立方程式⑵ 5 ◆指導ページ P.26 ~ 29 ◆ 【指導のねらい】 ★相伴って変化する数量の関係を連立方程式で表現できるようにする。 ★様々な数量関係を表現できるようにする。 はじめに 〈導入〉 前章 4 章では,連立方程式の解法 を学んだ。ここ5章では,それを用 いて未知の数量を求めることを学習 する。扱う数量は,小学校から登場 している速さや割合などである。苦 手とする生徒もいるため,適宜,補 足しながら進めていくのが望ましい。 基本的には,中学 1 年の 1 次方程式 と同様である。どの数量を未知変数 におくかを決め,それを用いて等し い数量を記述して,方程式を 2 つつ くる。解を求め,題意に適合するか 吟味する。この方針は中学 3 年で登 学習内容・補足事項 学習 1 解から係数を求める問題 A1,B3,B4 例題 次の連立方程式の解が x = 2,y = 1 となるように,a,b の値を決めなさい。 ax + by =- 7 3x + ay = 2b x = 2,y = 1 を,それぞれの式に代入すると 2a + b =- 7 a,b についての連立方程式 6 + a = 2b これを,a,b について解くと, a =- 4,b = 1 1 番目の式を b について解き,代入法を用いる 学習 2 代金と個数に関する問題 A2,B1 例題 1 個 120 円のみかんと 1 個 200 円のりんごを合わせて 10 個買ったところ,代金の合計 は 1520 円であった。みかんとりんごをそれぞれ何個買いましたか。 場する 2 次方程式でも,同様である。 みかんを x 個,りんごを y 個買ったとする。 個数について 学習 1 解から係数を求める問題 ⇒連立方程式に解(x,y)を代入する x + y = 10 代金について 120x + 200y = 1520 ⇒係数についての方程式を解く まとめると, 学習 2 120x + 200y = 1520…② 連立方程式による未知数量の求め方 ①どの数量を x,y で表すかを決める。 x + y = 10 ………① これを解いて,x = 6,y = 4 ①を y について解いて,代入法を用いる よって,みかん 6 個,りんご 4 個 ②等しい関係を 2 つ見つけ,x と y の 連立方程式をつくる。 ③連立方程式を解く。 (加減法,代入法) ④得られた解が,題意を満たすか吟味 する。 学習 3 速さ,道のり,時間の関係 (速さ) = (道のり)÷(時間) (時間) = (道のり)÷(速さ) (道のり) = (速さ)×(時間) 学習 4 ・割合の表わし方 a a%⇒ 100 a a 割⇒ 10 学習 3 速さに関する問題 A4,B5,B8 例題 A 地から B 地を経て C 地まで 18km ある。いま,A 地から B 地までは毎時 4km の速 さで歩き,B 地で 15 分休み,B 地から C 地までは毎時 5km の速さで歩いて,合計 4 時間 15 分かかった。A 地から B 地,B 地から C 地までの道のりをそれぞれ求めなさい。 A 地から B 地までの道のりを xkm,B 地から C 地までの道のりを ykm とすると, x + y = 18 道のりについて y x 1 15 + + = 4 4 5 4 60 時間について これを整理して x + y = 18 …① 5x + 4y = 80…② これを解いて,x = 8,y = 10 ①を y について解いて,代入法を用いる よって,A 地から B 地は 8km,B 地から C 地は 10km 速さ,道のり,時間は苦手とする生徒も多い。線分図や言葉を補い,説明に時間をかけたい。 学習 4 割合に関する問題 A5 a x の a%増し ⇒ x(1 + ) 100 a x の a 割増し ⇒ x(1 + ) 10 a x の a%引き ⇒ x(1 - ) 100 演習時間は割愛する。 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 1 次関数⑴ 6 ◆指導ページ P.30 ~ 33 ◆ 【指導のねらい】 ★ 1 次関数の変化の割合を理解する。 ★グラフを書けるようにし,またそれを利用して x の変域に対応する y の変域を求める。 はじめに 〈導入〉 残りの 6,7,8 章では,一次関数に ついて取り扱う。中学 1 年で学習した 比例・反比例の延長にあたる。変化の 割合という概念が登場する。この量は 中学 3 年の 2 次関数でも取り扱う。さ らにその先,高校では微分積分につな がってくる。この 1 次関数は,比例の グラフを平行移動させたものであるが, 中学ではそれには言及せず,高校で説 明が与えられる。感の鋭い生徒はそれ に気がつくかもしれない。興味をもつ 学習内容・補足事項 学習 1 関数 A1,B1 例題 次の x と y の関係のうち,y が x の 1 次関数であるのはどれか答えなさい。 ① 10L の水が入った水そうに,毎分 3L の割合で水を入れるとき,x 分後の水そうの水の 量を yL とする。 はじめ(0分後) 3xL 増加 x 分後 10L 10 + 3xL これより,y = 3x + 10(y = ax + b の形。1 次関数) ② 面積が 20cm2 の長方形の,縦の長さを xcm,横の長さを ycm とする。 (長方形の面積)=(縦の長さ)×(横の長さ)より, 20 20 = x × y これより,y = (反比例) x 以上より,1 次関数は① 生徒には,それに軽く言及しても良い だろう。また,この 1 次関数の章では, 学習 2 変化の割合 A2,B2 連立方程式の解が,それを与える 2 本 例題 1 次関数 y = 2x + 3 において,x の値が 1 から 4 まで増加するとき,次の値を求めなさ の 1 次関数の交点に対応することも学 習する。連立方程式を苦手とする生徒 も少ないが,適宜,復習事項を説明す ると良い。 学習 1 ・1 次関数 y が x の 1 次関数で表される ⇒ y = ax + b(a ≠ 0) 学習 2 (y の増加量) (変化の割合)= (=(傾き)) (x の増加量) い。 ⑴ y の増加量 ⑵ 変化の割合 x = 1 のとき,y = 2 × 1 + 3 = 5 x = 4 のとき,y = 2 × 4 + 3 = 11 +6 y の増加量は,6 (y の変化量) (変化の割合)= (x の変化量) 11 - 5 = 4-1 = 2(傾きに等しい) (変化の割合)=(傾き) 変化の割合は定義をしっかり説明し,具体例を順を追って説明する 学習 3,4 1 次関数のグラフ A3,B3,変域 A4,B4 例題 1 次関数 y = 2x - 1 について,次の問いに答えなさい。 ⑴ この 1 次関数のグラフをかきなさい。 y = 2x - 1 1 次関数では,変化の割合は常に一 傾き 切片 定で,それは傾きに等しい。 1 O −1 学習 3 1 +2 +1 1 次関数のグラフの書き方 ①(0,- 1)をとる。 ②①の点から右へ+ 1,上に+ 2 移動した点(1,1)を とる。 ③その 2 点をむすぶ。 1 例 y =- x + 2 3 ⑵ この 1 次関数について,x の変域を- 1 ≦ x ≦ 3 としたときの y の変域を求めなさい。 ①切片 (0,2)を点に取る。 x = 3 のとき,y = 2 × 3 - 1 = 5 ② (変化の割合)=(傾き) (y の増加量) 1 -1 = =- = (x の増加量) 3 3 そ の点 (0,2)から x 軸方向に+ 3, y 軸方向に- 1 だけ平行移動した 点を取る。 ③ 2 点を直線で結ぶ。 学習 4 ・変域 例 y = ax + b において,x の変域 を- 1 ≦ x ≦ 1 としたときの y の 変域 - a + b ≦ y ≦ a + b(a>0 のとき) ( a + b ≦ y ≦- a + b(a<0 のとき) 傾き a の符号で変化することに注意 (→グラフを見せて説明する。) x =- 1 のとき,y = 2 ×(- 1)- 1 =- 3 右のグラフの実線のとる y の値がその変域に対応 するから - 1 ≦ y ≦ 5 傾きの符号で端点の入れ変わりがある。 ⇒グラフで説明する。 5 −1 O −1 −3 3 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 1 次関数⑵ 7 ◆指導ページ P.34 ~ 37 ◆ 【指導のねらい】 ★傾き,切片,通る点などが与えられた直線の式を求められるようにする。 ★直線のグラフを読み取り,その直線の式を求められるようにする。 はじめに 〈導入〉 先の 6 章では,1 次関数の基本を学 習し,与えられ 1 次関数をグラフに書 くこと学習した。ここでは,傾き,切 片,通る点などが与えられた直線の式 を求めることを行う。そしてまた,与 えられた直線のグラフから,1 次関数 の形を求めることも行う。関数は数式 で書かれるものだが,常にグラフとの 対応を考えると良い。計算も効率的に なったり,ミスも減ることになる。こ れは,この先も意識していきたい。関 数は方程式を代表的に,幾何的に取り 扱うことのできる有効な概念である。 学習 1 傾きと 1 点が与えられるとき ① y=ax+b とおく。 ② a= (傾き) を代入する。 学習内容・補足事項 学習 1 傾きと 1 点から式を求める A1 ⑴,⑵,B2 ⑴,⑶,⑷ 例題 次の問いに答えなさい。 ⑴ 点(3,2)を通り,傾きが 4 の直線の式を求めよ。 直線の式:y = ax + b とかく。 傾きが 4 より,a = 4 だから,y = 4x + b ……① 点(3,2)を通ることから,①を代入して, 2 = 4 × 3 + b b =- 10 よって,直線の式は,y = 4x - 10 ⑵ 変化の割合が- 3,x = 2 のとき,y = 5 となる 1 次関数の式を求めよ。 = = 傾き 点(2,5)を通る ⑴と同様にして,求めることができる。 学習 2 切片と 1 点から式を求める A1 ⑶,B2(0,6) 例題 次の問いに答えなさい。 ⑴ 切片が- 2 で,点(4,2)を通る直線の式を求めよ。 直線の式:y = ax + b とおく。 ③②の式にその 1 点を代入する。 切片が- 2 より,b =- 2 だから,y = ax - 2 ……① 学習 2 2 = 4a - 2 切片と 1 点が与えられるとき ① y=ax+b とおく。 点(4,2)を通ることから,①に代入して, a = 1 よって,直線の式は,y = x - 2 ③②の式にその 1 点を代入する。 ⑵ x = 0 のとき y = 3,x = 4 のとき y = 0 となる直線の式を求めよ。 = = 学習 3 ⑴と同様にして,求めることができる。 ② b= (y 切片の値)を代入する。 切片が 3 点(4,0)を通る 通る 2 点が与えられるとき ① y=ax+b とおく。 ② 2 点を代入し,連立方程式にする。 学習 4 グラフから関数式を求める。 ①傾き,切片,通る点を読み取る。 ②上記の学習 1 ~ 3 のどれかを利用す る。 学習 3 通る 2 点から式を求める A1 ⑷,B1 ⑵,B2 ⑵,B3 例題 2 点 (1,5),(3,9)を通る直線の式を求めなさい。 直線の式:y = ax + b とおく。 点(1,5)を通るから,5 = a + b ……① 点(3,9)を通るから,9 = 3a + b……② ①と②を連立方程式として解くと,a = 2,b = 3 だから,直線の式は,y = 2x + 3 学習 4 グラフから式を求める A3,B4 例題 右の①,②のグラフの式を求めなさい。 ② ● ①について 切片が 4,点(6,2)を通る直線の式 ⇒学習 2 と同様 ① ● 4 ②について 2 点(- 4,- 2),(1,8)を通る直線の式 ⇒学習 3 と同様 時間があれば,計算も補足するとよい。 (1, 8) O (−4, −2) (6, 2) 標準新演習 夏期テキスト 中 2 数学 指導のポイント 1 次関数⑶ 8 ◆指導ページ P.38 ~ 41 ◆ 【指導のねらい】 ★与えられた 2 元 1 次方程式のグラフを y = ax + b に変形し,グラフを書けるようにする。 ★ 1 次関数で与えられる数量を x の変域に注意して,関数式を書けるようにする。 はじめに 〈導入〉 1 次 関 数 の 最 後 の 章,8 章 で は,1 次関数の交点が,その関数の表わす方 程式のなす連立方程式の解に相当する ことを学習する。そして,1 次関数を 用いて数量を記述することをする。こ こでは,変域ごとに関数の形が異なる 数量を扱う。具体的数値から実験的に 試しながら一般性を見出す能力が問わ れてくる。図や言葉を用いて状況を推 理していくことが望まれる。演習問題 B までこなせば,ある程度の演習量は 確保できるはずである。 学習 1 学習内容・補足事項 学習 1 2 元 1 次方程式のグラフ A1,A2,B1 例題 次のグラフをかきなさい。 ⑴ 2x - y = 3 (1,+1) +1 ⇒ y = 2x - 3 (傾きが 2,切片が- 3 の直線) (0,- 3) 点(0,- 2)を通り,x 軸に平行な直線 (常に y 座標が- 2 である直線) O ⑶ x = 3 −2 点(3,0)を通り,y 軸に平行な直線 −3 学習 2 連立方程式とグラフ A3 例題 右の図の直線①,②の交点の座標を求めなさい。 ⇒ y = (x の式)に変形する 3 3 切片- 2,傾き の直線 ⇒ y = x - 2 4 4 ・x =ℓ (ℓ:定数)のグラフ ⇒ (ℓ,0)を通り,y 軸に平行な直 線 ② ● 3 +1 O −2 ②について, 切片 3,傾き- 2 の直線 ⇒ y =- 2x + 3 ① ● −2 +3 +4 ①,②の交点は 3 y = x - 2 4 学習 2 y =- 2x + 3 ・連立方程式の解 20 7 の連立方程式を解いて,( ,- ) 11 11 y = ax + b ……① 3 (1, −1) (常に x 座標が 3 である直線) ・ax + by = c のグラフ ⇒ (0,k) を通り,x 軸に平行な直線 2 点(0,- 3) , (1,+1) を結ぶ直線 ⑵ y =- 2 ①について, ・y = k (k:定数)のグラフ +2 y = cx + d ……② ①,②の交点に相当する 演習 3 1 次関数の利用(動点) A4,B2,B3,B4 例題 右の図のように縦 4cm,横 6cm の長方形 ABCD がある。点 P 学習 3 は頂点 B を秒速 1cm の速さで出発し,辺上を B → C → D → A を 1 次関数による数量の記述(動点) 頂点 A まで進むものとする。このとき,点 P の進むのにかかった ① x の変域の端から端までの y の値を 時間を x 秒,△ ABP の面積を ycm2 として,次の各場合に分けて, 実験的に調べてみる。 ②具体的に x の変域を区切る。 6 cm A C 4 cm B y を x の式で表し,またグラフを書きなさい。 P D ⑴ 0 ≦ x ≦ 6 ⑵ 6 ≦ x ≦ 10 ⑶ 10 ≦ x ≦ 16 ③それぞれの x の変域における関数形 A D A D A 16− P D を算出する。 ④区切られた変域の境界が連続的に 4 cm P 4 cm 4 cm なっているか確認する。 B cm C P B C 6 cm 1 △ ABP= × x × 4 2 1 △ ABP= × 4 × 6 2 = 2x より,y = 2x より,y = 12 ⑴~⑶より,0 ≦ x ≦ 16 のグラフは = 12 12 B A AP = B D C C - P B O 4 10 C =(6 + 4 + 6)- x 高さは一定 = 16 - x で 6cm より, 1 △ ABP = × 4 ×(16 - x) 2 = 21(16 - x) =- 2x + 32 だから,y =- 2x + 32 D 16 図を使い,変域ごとで関数型が異なることを順を追って説明する。
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