- BRONZ1 技術レポート - 新開発 鉛フリー青銅 連続鋳造鋳物 Rev.2014.12.16 Copyright 2014 Joetsu Bronz1 corporation 1 www.nextbrass.com ※このデータは予告なく変更することがあります。 新開発 鉛フリー青銅 『 LF5A 』 次世代の規制に対応した鉛フリー青銅の開発 近年の水道水への鉛溶出量規制により、鉛の代替としてビスマスを使用したビスマス青銅等の合金が 開発されてきました。これらは、そもそも鉛を含有しない為、国内の鉛規制(水道水への溶出量 0.01mg/ L)に適合し、また米国で 2014 年より実施の新規格 NSF61 AnnexG (製品の加重平均鉛含有量 0.25%MAX) にも適合した合金となっています。 弊社開発材の『 LF5A 』は、ビスマス青銅のメリットをそのままに、成分範囲を再検討すること により性能を損なうことなく各種の規制に対応した、鉛フリー青銅として開発されました。 鋳造性・切削性等も従来材と同等に調整されており、CAC902等のビスマス青銅代替として、ま た、CAC406等の青銅からの切り替え用途としての使用にフォーカスし開発された合金です。 1.開発コンセプト 4. 使用用途 『鉛フリー青銅合金』として以下をコンセプト 4-1 とし、開発を行って参りました。 給水関連製品 給水栓金具、水道メーター、配管継手、各種バ 1.1 鉛フリー ルブ、配管継手部品、給湯システム装置部品(エ ・水道関連部品の鉛規制が強化されつつある中、 ルボ、チーズ等)などの水道関連製品。 諸元素の溶出規制をクリアする合金。 4-2 1.2 遜色の無い各種特性 産業機械部品 各種ブッシュ、ボンプ部品、自動車関連部品等。 ・CAC902と同等の鋳造性、耐腐食性、機械的 5.耐食性 性質に優れた素材。 1.3 継続性 5-1 ・昨今のレアメタル高騰のなかで、ビスマス含有量 耐脱亜鉛腐食性 LF5Aの脱亜鉛腐食試験では、脱亜鉛腐食層は を極力抑えた合金。 観察されず、従来の青銅と同等の結果を示していま ・リサイクル促進にも寄与できる合金。 す。 (図 1,2) 参考; *EN 規格(ヨーロッパ規格)* 2.LF5A グレード A :最大脱亜鉛深さ:200μm 以下。 試験方法 :ISO6509-1981 に規定された 黄銅の脱亜鉛腐食試験法に準拠。 LF5Aは、砂型鋳造用地金と切削加工用連続鋳 図1 脱亜鉛腐食試験結果 700 連続鋳造品について説明しています。 483 500 400 300 200 100 0 ≦10 ≦10 wt% Cu Sn Pb Zn Fe Ni P Bi 範囲 78.0 -83.0 2.0 -3.0 0.25 max 12.0 -17.0 0.3 max 0.2 max 0.5 max 0.9 -1.5 成分狙い 81.8 2.5 - 14.5 - - - 1.10 CAC203 化 学 成 分 ≦10 CAC406C LF5A LF5Aの化学成分を、表 1 に示します。 表1 ≦10 CAC804 3.化学成分 600 CAC902C 最大脱亜鉛深さ[μm] 造品の 2 種類があり、この技術レポートではその Copyright 2014 Joetsu Bronz1 corporation 2 www.nextbrass.com ※このデータは予告なく変更することがあります。 図 2 脱亜鉛腐食試験後の写真 *エロージョン・コロージョン試験後の写真* 図3 エロージョン・コロージョン試験結果(1) 最大腐食深さ[μm] 1200 1000 1000 800 600 400 121 200 74 0 CAC804 CAC902 LF5A 図4 エロージョン・コロージョン試験結果(2) 5-2 耐エロージョン・コロージョン性 LF5A のエロージョン・コロージョン性の試験結果 を図 3,4 に示します。従来の青銅と同等の、良好な 耐エロージョン・コロージョン性を示しています。 表 2 エロージョン・コロージョン試験条件 試薬 CuCl2・2H2O 99% 試験液濃度 1wt% 蒸留水 15 ㍑に 190gの試薬を溶解 1000 800 600 400 0 腐食時間 5 時間 エアー吹き込み 2 L/min CAC804 400 ml/min CAC902 3.3 m/sec 流量 428 344 200 40 ℃±1℃ 流速 850 LF5A 試験液温度 最大減量重量[mg] 1200 6.金属組織 LF5A の金属組織を以下に示します。α相の 中にビスマス粒子が点在した組成です。(図 5) 図 5 ミクロ組織観察 ビスマス粒子 α相 Copyright 2014 Joetsu Bronz1 corporation www.nextbrass.com 3 ※このデータは予告なく変更することがあります。 8. 切削性 7. 機械的特性 8-1 LF5A は、青銅(CAC902C)の JIS 規格をクリアし、 同等の性質を確保しています。(代表値; 図 6,7,8 ) *JIS 規格* CAC902C 連鋳鋳物 LF5A の切削抵抗測定結果を以下に示します。 ( 表 3,図 9,10 ) 表 3 切削抵抗測定条件 ; 引張強さ 245 [MPa]以上 伸び 20 [%]以上 NC 旋盤 最適加工条件探索装置 使用チップ TNGG160404L-C GH110 切削速度 100 m/min 切込み量 1.0 mm 送り速さ 0.1 mm/rev 図6 引張強さ 350 引張強さ(MPa) 300 283 290 295 250 200 10 回 切削環境 ドライ 図9 切削抵抗値 100 0 CAC902C CAC406C 切削合力(N) LF5A 図7 伸び 40 35 30 25 20 15 10 5 0 37 33 33 149 132 106 LF5A CAC902C CAC406 図10 Bi量と切削合力の関係 240 LF5A CAC902C CAC406C 図8 ブリネル硬さ 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 (Bi1.1%) 切削合力(N) 伸び( %) 繰返し数 150 50 HB10/1000 切削抵抗測定 220 LF5A 200 CAC902C(参考値) 180 160 140 120 70 78 72 100 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 Bi含有量(wt%) 8-2 切粉形状比較 切削抵抗試験での切粉の写真を以下に示します。 LF5A CAC902C CAC406C LF5A(Bi1.1%) Copyright 2014 Joetsu Bronz1 corporation www.nextbrass.com CAC406 CAC902C 4 ※このデータは予告なく変更することがあります。 9. 物理的性質 11. 固液相線温度の比較を表 5,6 に示します。 表 5 固液相線温度 素材名 液相線 固相線 固液幅 LF5A 998℃ 866℃ 130℃ ニッケル溶出試験結果 20mm 水道メーター形状(Ni 含有量 0.29%)にて、厚 生労働大臣登録検査機関にて、水道用器具-浸出性 能試験を実施した結果を以下に示します。 分析方法;JIS S3200-7 水道用器具-浸出性能試験方法 表 6 物理的性質値 10. 密度 8.63 gm/cm3 at 20℃ 比重 8.63 導電率 0.11 MegaSimens/cm at 20℃ 熱伝達係数 30.8 W/m ・K at 20℃ 分析項目 ・ニッケル 分析結果(補正値) 単位;mg/L 0.001 備考 (1)コンディショニング無し (2)ニッケルは浸出試験方法に該当しない為、 ICP/MS 法により定量を行った。 (3)分析結果の補正値は配管途中に設置される 給水用具として、浸出液の濃度を 25 で割 った値である。 鉛溶出試験結果 20mm 水道メーター形状にて、厚生労働大臣登録検査 機関にて、水道用器具-浸出性能試験を実施した結 果を以下に示します。 分析方法;JIS S3200-7 水道用器具-浸出性能試験方法 分析項目 ・カドミウム ・鉛 ・亜鉛 ・銅 ・ビスマス 分析結果(補正値) 単位;mg/L 0.0003 未満 0.003 0.14 0.01 未満 0.001 未満 備考 (1)コンディショニング無し (2)分析方法は付属書1の分析方法による。但し、 ビスマスは ICP/MS 法による。 (3)分析結果の補正値は配管途中に設置される 給水用具として、浸出液の濃度を 25 で割 った値である。 ( ※ 参考 JIS S3200-7 ) 給水装置の末端以外に設置されている給水用具 の浸出液、又は給水管の浸出液に係る基準。 ・カドミウム 0.01mg/L 以下 ・鉛 0.01mg/L 以下 ・亜鉛 1.0 mg/L 以下 ・銅 1.0 mg/L 以下 ・ビスマス 基準無し ・ニッケル 基準無し Copyright 2014 Joetsu Bronz1 corporation www.nextbrass.com 5 ※このデータは予告なく変更することがあります。
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