バイオマス産業都市の推進について 農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 1.バイオマスの特性 ○ 木質、食品残渣、家畜排せつ物等のバイオマス(動植物由来有機物資源)は、地域に密着した身近な資源で あり、発電、熱、燃料、素材など幅広い用途。大気中のCO2を増加させない「カーボンニュートラル」の特性により 地球温暖化対策に有効。 ○ 広域に存在する資源の収集・運搬体制や販路の確保等の課題があるが、これらの課題を解決し効率的な一 貫システムが構築できれば、地域の産業・雇用創出、エネルギーの強化、循環型社会形成に貢献。 バイオマス 木質系 草本系 エネルギー・製品 家畜排せつ物 食品廃棄物 ○熱・電気 ○燃料(エタノール、ディーゼル、木質ペ レット、バイオガス、固形燃料等) ○肥飼料 ○素材(プラスチック、樹脂等) ○化成品原料(アミノ酸、有用化学物質等) 利用 変換 下水汚泥 利用形態 ○発電 ○熱利用 ○燃料利用 ○製品利用 メリット 課 題 ○カーボンニュートラルの特性により地球温暖化対策に有効 ○資源が広域に存在するため収集・運搬にコストがかかる。 ○発電、熱、燃料、肥飼料、素材など幅広い用途。 ○食料供給との競合の可能性 (→食料供給と両立可能な 次世代技術の開発、廃棄物系資源の有効活用) ○地域の未利用資源の活用による地域の産業・雇用創出、 エネルギーの強化、循環型社会形成に貢献 ○天候に左右される太陽光、風力に比べ安定的なエネルギー源 1 2.日本のバイオマス賦存量と利用可能量 廃 棄 物 系 バ イ オ マ ス (賦存量約8400万t) 未利用:約850万t(10%) 堆肥等に利用:約7550万t(90%) (賦存量約7600万t) 未利用:約1700万t(23%) 建設資材原料等に利用:約5900万t(77%) ほとんどがエネルギー利用 (賦存量約1300万t) 素材原料等に利用:約2200万t(80%) (賦存量約2700万t) 未利用:約500万t(20%) (賦存量約1800万t) 肥飼料等に利用:約390万t(22%) 未利用:1410万t(78%) (賦存量約370万t) 製紙原料、エネルギー等に利用:約350万t(95%) 未利用:約20万t(5%) 再資源化等:約370万t(90%) (賦存量約410万t) 未利用 バイオマス (賦存量約1300万t) (賦存量約800万t) 未利用:約40万t(10%) 肥飼料等に利用:約420万t(32%) 未利用:約880万t(68%) ほとんどが未利用 資料:農林水産省「木材需給表」等を基に作成(一部項目に推計値を含む) 2 3.日本のバイオマス関連政策の主な経緯 (1) 2002 バイオマス・ニッポン総合戦略 (2002年12月閣議決定、2006年3月改定) バイオマス活用推進基本法 2009 (2009年6月制定、同年9月施行) バイオマス活用推進基本計画 2010 2011 (2010年12月 閣議決定) ○バイオマスを総合的に最大限利活用した持続的な社会 「バイオマス・ニッポン」の実現(関係7府省) ○2010年度における目標設定(廃棄物系バイオマス80% 以上、未利用バイオマス25%以上活用 等) ○バイオマス活用施策の総合的かつ計画的な推進 ○バイオマス活用推進計画の策定(国、都道府県、市町村) ○バイオマス活用推進会議の設置 ○2020年における目標設定(約2,600万炭素トンのバイオマ ス活用、約5,000億円規模の産業創出等) ○7府省のバイオマス活用推進会議の設置 東日本大震災・原子力発電所事故 (2011.3) 3 3.日本のバイオマス関連政策の主な経緯 (2) 電気事業者による再生可能エネルギー 電気の調達に関する特別措置法 (2011年8月 制定、2012年7月 施行) 2012 バイオマス事業化戦略 (2012年9月 バイオマス活用推進会議) 2013 農林漁業の健全な発展と調和の とれた再生可能エネルギー電気の 発電の促進に関する法律 (2013年11月 制定、2014年5月 施行) エネルギー基本計画改定 2014 (2014年4月 閣議決定) ○再生可能エネルギー電気(太陽光、風力、水力、地熱、バイ オマス)の固定価格買取制度(FIT)の施行 ○多種多様なバイオマス利用技術を評価した「技術ロード マップ」の策定 ○技術とバイオマスの選択と集中による事業化の推進 ○バイオマス産業を軸とするまちづくり・むらづくり(バイオマス 産業都市)の推進 ○農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネル ギー発電の促進により、農山漁村の活性化を図ることを目 的とした計画制度 ○輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的 な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつ つ、導入を継続する。 ○下水汚泥、食品廃棄物などによる都市型バイオマスや耕 作放棄地を活用した燃料作物バイオマスの利用を進める。 4 4.再生可能エネルギーの固定価格買取制度 (Feed in Tariff) ○ 固定価格買取制度が電力会社に買取を義務づけているのは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス由 来の電気。 ○ 買取の価格(調達価格)、期間(調達期間)は、専門家で構成される調達価格等算定委員会の意見を尊 重し、毎年、経済産業大臣が認定。 ○ 2014年度のバイオマス発電による電気の調達価格は13~39円/kWh(税抜)。 ○ 太陽光(住宅)を除くと、認定容量と比較して設備導入量(運転を開始したもの)はかなり少ない状況。 ■制度の概要 ■2014年度調達価格・期間(バイオマス関係) (kWh当たり、税抜価格) メタン発酵 ガス化発電 未利用木材 燃焼発電 一般木材等 燃焼発電 廃棄物 燃焼発電 リサイクル木材 燃焼発電 39円 32円 24円 17円 13円 調達価格 調達期間 20年間 ■再生可能エネルギー導入状況(2014年6月末時点) 設備導入量 (運転を開始したもの) 認定容量 太陽光(住宅) 240.0万kW 292万kW 太陽光(非住宅) 848.4万kW 6,604万kW 風力 11.2万kW 121万kW 地熱 0.1万kW 1万kW 中小水力 1.3万kW 32万kW バイオマス 8.4万kW 128万kW 1,109万kW 7,178万kW 合 計 ※FIT導入(2012年7月)から2014年6月末までの値。 5 5.バイオマス事業化戦略の概要 戦略1:基本戦略 ~(平成24年9月バイオマス活用推進会議決定)~ ■ 技術とバイオマスの選択と集中による事業化の重点的な推進 ■ 関係者の連携による原料生産から収集・運搬、製造・利用までの一貫システムの構築 ■ 地域のバイオマスを活用した事業化推進による地域産業の創出と自立・分散型エネルギー供給体制の強化 戦略2:技術戦略(技術開発と製造) 戦略3:出口戦略(需要の創出・拡大) ■技術ロードマップに基づき、事業化に活用する実用化技術とバイオマスを整理 ■ 固定価格買取制度の積極的活用 技 術・・・メタン発酵・堆肥化、直接燃焼、固体燃料化、液体燃料化 バイオマス・・・木質、食品廃棄物、下水汚泥、家畜排せつ物 ■ 投資家・事業者の参入を促すバイオマス関連税制の推進 ■ 各種クレジット制度の活用による温室効果ガス削減の推進 ■ 産学官の研究機関の連携による実用化を目指す技術の開発加速化 ■ 高付加価値製品の創出による事業化の推進 戦略4:入口戦略(原料調達) 戦略5:個別重点戦略 ■ ■ ■ ■ バイオマス活用と一体となった川上の農林業の体制整備 バイオマスの効率的な収集・運搬システムの構築 高バイオマス量・易分解性等の資源用作物・植物の開発 多様なバイオマス資源の混合利用と廃棄物系の徹底利用 戦略6:総合支援戦略 ■ 地域のバイオマスを活用した産業創出と地域循環型エネルギーシステム の構築に向けたバイオマス産業都市の構築(バイオマスタウンの発展・高度化) ■ 原料生産から収集・運搬、製造・利用までの事業者の連携による事業化 の取組を推進する制度の検討(農林漁業バイオ燃料法の見直し) 戦略7:海外戦略 ■アジア等における持続可能なバイオマス利用システムの構築 ■持続可能なバイオマス利用に向けた国際的な基準づくり等の推進 ①木質バイオマス ・ 未利用間伐材等の効率的な収集・運搬システムの構築と木 質発電所等でのエネルギー利用を一体的・重点的に推進 ②食品廃棄物 ・ 分別回収の徹底・強化と、バイオガス化、他のバイオマスとの 混合利用、固体燃料化による再生利用を推進 ③下水汚泥 ・ 地域のバイオマス活用の拠点として、バイオガス化、食品廃棄 物等との混合利用、固形燃料化による再生利用を推進 ④家畜排せつ物 ・ メタン発酵、直接燃焼、食品廃棄物等との混合利用による再 生利用を推進 ⑤バイオ燃料 ・ 大規模製造プラントを有する地域での農業と一体となった地域循 環型バイオ燃料利用の可能性について具体化の方策を検討 ・ バイオディーゼル燃料の税制等による低濃度利用の普及や高効 率・低コスト生産システムの開発 ・ 研究機関の連携による次世代バイオ燃料製造技術の開発加速化 6 6.バイオマス産業都市について ○ バイオマス産業都市とは、経済性が確保された一貫システムを構築し、地域の特色を活かしたバイオマス 産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指す地域であり、関係7府省が共同で選定。 ※関係7府省:内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省 イメージ 畜産農家 家畜排せつ物 未利用材 (売電) 剪定枝 (売電) 牧草地 (電力会社) エネルギー 液肥・敷料 木質ペレット製造施設 発電施設 耕種農家 バイオガス製造施設 食品廃棄物 木質バイオマス発電施設 ボイラー用燃料 エネルギーの地域内利用 農業機械用燃料 廃食用油 輸送用燃料 BDF製造施設 会社 食品工場 学校 農業用ハウス 福祉施設 一般家庭 温泉施設 バ イ オ マ ス を 活 用 し た 地 域 活 性 化 7 7.バイオマス産業都市選定の流れ バイオマス産業都市構想の募集 ○作成主体:市町村(単独、複数)・企業共同体等 ○構想の内容:目指すべき将来像・目標、事業化プロジェクト、地域波及効果、実施体制等 提案応募 バイオマス産業都市選定委員会による審査・ヒアリング・推薦案の決定 ○メンバー:バイオマス、環境、エネルギー、投資・金融等の専門家で構成 ○評価の視点:①先導性、②実現可能性、③地域波及効果、④実施体制 7府省によるバイオマス産業都市の選定 バイオマス産業都市構想の実行・具体化 ○関係府省による連携支援(事業化プロジェクト) ※関係府省の施策の活用には、別途当該府省の審査・採択が必要。 8 8.バイオマス産業都市の選定地域 しもかわちょう 平成26年度 選定地域 す もと おこっぺ ちょう 北海道下川町 し 兵庫県洲本市 北海道興部町 ・BDF(廃食用油、ナタネ、ヒマワリ) ・バイオガス発電(下水汚泥、食品廃棄物、廃玉ねぎ等) ・燃料化、マテリアル化、肥飼料化(竹(放置竹林)) ・燃料化、発電(BTL)(可燃ごみ、木質、農産物残渣) ・燃料化、飼料化、マテリアル化(微細藻類) 平成25年度 選定地域 べつかいちょう 北海道別海町 くし お き の しま ちょう 北海道十勝地域 島根県隠岐の島町 ・マテリアル化(間伐材・林地残材等) ・ペレット燃料化、熱利用(間伐材・林地残材等) ・木質バイオマス発電(間伐材・林地残材等) ・バイオガス発電 (食品廃棄物、間伐材・林地残材等) (19市町村) し みなみさんりくちょう 宮城県南三陸町 にし あわ くら そん 岡山県西粟倉村 ろ 北海道釧路市 とかち にい がた し 新潟県新潟市 ひがしまつしま し 宮城県東松島市 い みず し 富山県射水市 ま にわ し 岡山県真庭市 福岡県みやま市 ・堆肥化(樹皮、剪定枝等) ・混合燃料化(廃食用油) ・熱利用、肥料化、資材化等(もみ殻) ・木質バイオマス発電(間伐材等) おく いずも ちょう ・バイオガス発電、液肥化 (食品廃棄物、し尿、浄化槽汚泥) ・資材化、燃料化、肥料化等(紙おむつ) ・BDF(廃食用油、ナタネ) ・堆肥化(廃棄海苔) 島根県奥出雲町 うし が し 佐賀県佐賀市 ・二酸化炭素農業利用等 (食品廃棄物、ごみ(紙類等)の焼却排ガス) ・バイオガス発電(食品廃棄物、下水汚泥等) ・チップ・ペレット燃料化、熱利用(林地残材等) ・マテリアル化、燃料化(微細藻類) し 茨城県牛久市 おお ぶ み とよ さ く し 香川県三豊市 さ いき し 大分県佐伯市 ・木質バイオマス発電 (製材工場残材、林地残材等) ・バイオガス発電(下水汚泥、集落排水 汚泥、食品廃棄物等) し 愛知県大府市 つ はままつ し 静岡県浜松市 し 三重県津市 9 (参考1) 平成25年度選定地域の構想概要 【平成25年度一次選定(H25.6月)】 地域名 主な取組 北海道十勝地域 バイオガス発電・熱利用(家畜排せつ物等)、木質バイオマス発電・熱利用(剪定枝等)、BDF(廃食用油) 北海道下川町 木質バイオマス発電・熱利用(林地残材等)、ペレット燃料化・BDF(ヤナギ・ススキ) 北海道別海町 バイオガス発電・熱利用(家畜排せつ物、水産廃棄物等) 宮城県東松島市 バイオガス発電・熱利用(食品廃棄物等)、木質バイオマス発電(間伐材等) 茨城県牛久市 BDF(廃食用油)、堆肥化(食品廃棄物)、ペレット燃料化(剪定枝等) 新潟県新潟市 バイオガス発電・熱利用(下水汚泥、食品廃棄物等)、ペレット燃料化(間伐材等)、BDF(廃食用油) 愛知県大府市 バイオガス発電・熱利用(食品廃棄物、し尿等) 香川県三豊市 堆肥化・燃料化(食品廃棄物等)、資材化(竹) 【平成25年度二次選定(H26.3月)】 地域名 主な取組 北海道興部町 バイオガス発電・熱利用 (家畜排せつ物、食品・水産系廃棄物)、 木質バイオマス発電・ペレット燃料化(林地残材等)、BDF(廃食用油) バイオガス発電 (家畜排せつ物、食品・水産系廃棄物)、木質バイオマス発電(林地残材) 宮城県南三陸町 バイオガス発電・熱利用(食品廃棄物、下水汚泥)、ペレット燃料化(林地残材等) 静岡県浜松市 木質バイオマス発電・熱利用(間伐材等)、バイオガス発電(食品廃棄物、下水汚泥) 北海道釧路市 島根県奥出雲町 木質バイオマス発電・熱利用(林地残材等)、 バイオガス発電・熱利用、燃料化(有機性汚泥・食品廃棄物)、燃料化(間伐材、下水汚泥等) ペレット燃料化、炭材(林地残材等) 岡山県真庭市 木質バイオマス発電(林地残材等)、BDF(廃食用油)、堆肥化(食品廃棄物等) 岡山県西粟倉村 木質バイオマス熱利用(林地残材等) 三重県津市 10 (参考2) 既選定地域の事業化プロジェクト 用途 \ 原料 FIT活用 木質バイオマス 家畜排泄物 食品廃棄物 下水汚泥 下川町、東松島市、浜松 十勝地域、下川町、別海 市、津市、真庭市、射水市、 町、興部町 佐伯市 東松島市、大府市、浜松 市、洲本市、佐伯市 興部町、浜松市、洲本市、 佐伯市 十勝地域、釧路市、興部 町、隠岐の島町 新潟市、興部町、南三陸 町、津市、みやま市、佐賀 市 新潟市、南三陸町、みやま 市 東松島市、新潟市、興部 町、南三陸町、津市、隠岐 の島町 新潟市 東松島市、新潟市、大府 市、三豊市、興部町、南三 陸町、浜松市、隠岐の島 町、みやま市、佐賀市 南三陸町、みやま市 十勝地域、下川町、牛久 市、新潟市、大府市、三豊 市、釧路市、真庭市、射水 市、洲本市、みやま市 津市 発 電 その他 (未定を含む) 熱 利 用 肥料・飼料等 燃 料 その他 (マテリアル利用等) 釧路市 十勝地域、下川町、東松 島市、牛久市、新潟市、三 豊市、釧路市、南三陸町、 十勝地域、下川町、別海 浜松市、津市、奥出雲町、 町、釧路市、興部町 西粟倉村、洲本市、隠岐 の島町、みやま市、佐賀市、 佐伯市 三豊市、射水市、洲本市 下川町、牛久市、新潟市、 南三陸町、津市、隠岐の 島町、佐賀市 三豊市、真庭市、洲本市、 隠岐の島町 十勝地域、下川町、別海 町、釧路市、興部町、佐賀 市 新潟市、浜松市 11 9.バイオマス産業都市に係る支援について 【国の支援内容】 バイオマス産業都市構想作成 地域の合意形成のための取組や事業実現 可能性の調査等、構想案の作成を支援 バイオマス産業都市選定 技術開発・実証 バイオマスを利活用したシステム構築等の 技術開発及び実証を支援 バイオマス利活用施設の整備 構想に掲げられたプロジェクトの推進に 必要なバイオマス利活用施設の整備を支援 事業化プロジェクトの実施 バイオマスの専門家や関係7府省による 助言・指導等 ※技術開発・実証及びバイオマス利活用施設整備に係る支援については、バイオマス産業都市に選定されていなくても利用できる 支援策もある。 12 し ほろ ちょう 10.士幌町の事業概要(町・JAが連携した家畜排せつ物バイオガス化) ○士幌町は、平成15年に、家畜ふん尿の適正処理、農村環境の維持・向上を図るため、農家を公募し個別型バイオガスプラントを 3基設置。それぞれ別のメーカーのプラントを採用し、寒冷地での稼働状況を調査。 ○平成24年にはJA士幌町が事業主体となりプラントを新たに4基設置。地域の酪農家に管理運営・実証業務を委託。発酵槽の熱 収支を改善し、冬期間の温度低下及びガス発生量の低下を防ぐほか、余剰熱を搾乳施設等で有効活用できる、北方型高能率 低コスト個別型プラントを導入。 北方型高能率低コスト個別型プラントの概要 士幌町のバイオマス活用 家畜ふん尿 消化液 自家消費 バイオガス プラント 自家消費 合計7基 その 稼動中 電気・余熱 消化液 農地還元 余剰電気 売電 士幌町3基 農 協 4基 ガ ス 町内施設 ■稼働開始 ■処 理 量 ■発電能力 平成25年3月4日 家畜ふん尿 19トン/日 約50kw (資料)JA士幌町資料を元に作成 食品加工 廃棄物 農協プラント (食品工場) (澱粉工場) 熱・ガス 食品工場 13 しか おい ちょう 11.鹿追町の事業概要(十勝畑作・畜産地帯の家畜排せつ物バイオガス化) ○鹿追町は、平成19年に、家畜ふん尿の適正処理、生ゴミ・汚泥の資源化等を図るため、既存の汚泥処理施設にバイオガスプ ラント・堆肥化施設を新設し「鹿追町環境保全センター」を設置。 ○バイオガスによる電力は施設内で利用するとともに、余剰分は固定価格買取制度により北海道電力に売電。消化液は液肥・堆 肥として農地還元し、環境に配慮した地域資源循環型社会の形成を推進。 ○平成27年の稼働を目指し、大規模な家畜ふん尿バイオガスプラント (処理量:約210トン/日、発電能力:約600kw)を建設 予定。 鹿追町環境保全センターの施設概要 バイオガスプラント建設の背景・目標 鹿追町の課題 その ■敷地面積 ■稼働開始 ■処 理 量 約51,500㎡ 平成19年10月1日 家畜ふん尿 134.4トン/日 生ごみ 2.0トン/日 浄化槽汚泥等 1.57トン/日 ■発電能力 約300kw ■肥料製造量 約3万トン/年 (資料)鹿追町資料 鹿追町の目標 ①家畜ふん尿の利用により27%のCO2排出量を削減可能 ②環境に配慮した地域資源循環型社会の推進 ③エネルギー自給率100%を目指す。 ④鹿追町が目指す『活きて(経済の発展)生きる(福祉の増進)町 づくり』の推進 14 12.集中型と個別型 集中型 ■建設費が安い(処理量当) メリット ■エネルギーの生産効率が高い ■新規雇用が創出できる デメリット ■ふん尿と消化液の輸送コストがか かる(雑排水含) ■原料が不均一になりやすい ■余剰熱を牧場内で利用できない 個別型 ■ふん尿と消化液の輸送コストがかからない ■均一な原料が確保可能 ■個別の農家で維持管理ができる ■余剰熱を牧場内で利用できる ■パーラー雑排水も処理できる ■建設費が高い(処理量当) ■エネルギーの生産効率が低い 15 13.バイオマス産業都市構想の作成に当たっての留意事項 (1) ○ バイオマスを活用したまち・むらづくりの展望を描いているか。 ※ バイオマスの活用を通じて、どのように地域の課題を解決し、どのような地域づくり を目指すのか (バイオマスの最適な利用方法や事業の規模は地域によって様々で あり、構想には中長期的な視点も必要) 。 ※ 事業化プロジェクトの実施が、地域の活性化に結びつく内容となっているか。 ○ 実施予定のプロジェクトに、先導性・独自性はあるか。 ※ 漠然としたイメージではなく、バイオマスを使ってなにをしたいのか、構想のセールス ポイントを明確に。 ○ 一部のバイオマスや利活用方法に、極端に偏った構成になっていないか。また、構想を 実現化するのに十分な実施体制の構築を検討しているか。 ○ 事業化を目指すプロジェクトと、実証的なプロジェクトを区別して、それぞれが達成すべ き目標を明確に設定しているか。 ○ 事業化プロジェクトごとに、原料の収集・運搬や販路を踏まえたうえで、事業収支に係る 検討を行っているか。 ※ 採算性に係る検討が不足している構想が多い。事業化できる取組の見極めを。 ○ 直近の取組み(申請年度中の事業着手など)を予定しているにもかかわらず事業主体 が未定など、実施体制やスケジュール設定に無理がある内容になっていないか。 16 13.バイオマス産業都市構想の作成に当たっての留意事項 (2) ○ 固定価格買取制度による売電を予定している施設を整備する際に、国庫補助事業の 適用が前提となっていないか(固定価格買取制度を活用する場合に、補助事業によっ て発電施設の整備費の補助を受ける計画は不可)。 ※ 再生可能エネルギー発電設備の接続に係る議論などを踏まえて、今後、固定価格 買取制度の適用が前提となる構想については、その実現可能性を検証するために 電力会社との協議状況を確認する必要があると考えているところ。 ※ 固定価格買取制度による売電だけでなく、エネルギーの地域内利用について検討 していく視点も重要であると認識。 ○ 募集要領に記載されている検討項目(構想の内容)はそろっているか。 ※ 評価をするために必要な記述が不足している構想書も散見される。再確認を。 ○ 平成25年度の地域バイオマス産業化支援事業において、構想づくりの参考となる以下 の資料を作成し、(一社)日本有機資源協会(JORA)のホームページで公開しているた め、構想の取りまとめに当たっての参考としていただきたい。 ・バイオマス産業都市構想作成の手引き (20140322版) ・バイオマス産業都市構想の雛形例 (20140322版) ・バイオマス産業都市構想作成の手引き〔解説編〕 (20140727版) URL : http://www.jora.jp/tiikibiomas_sangyokasien/index.html 17 (参考3) バイオマス産業都市Q&A Q1:バイオマス産業都市とは何ですか。バイオマスタウンとはどのように違うのですか。 A: バイオマス産業都市とは、バイオマスの活用に重点をおいたバイオマスタウン構想を更に発展させ、木質、食品廃棄物、下水汚泥、家畜排せつ 物など地域のバイオマスの原料生産から収集・運搬、製造・利用までの経済性が確保された一貫システムを構築し、地域のバイオマスを活用した 産業創出と地域循環型のエネルギーの強化により、地域の特色を活かしたバイオマス産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目 指す地域です。関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が共同で地域を選定し、連携して 支援を行います。 バイオマスタウン構想は、バイオマスの活用に重点をおいた市町村を基本単位とする取組ですが、バイオマス産業都市構想は、バイオマスタウン を更に発展させ、バイオマスを活用した産業化に重点をおいた取組で、地域の実情に応じて、①市町村(単独又は複数)、②市町村(単独又は複 数)と都道府県の共同体、③これらと民間団体等(単独又は複数)との共同体のいずれかが作成主体となることができます。 Q2:バイオマス産業都市構想の作成主体はどこですか。 A: バイオマス産業都市づくりには、一般に広く薄く存在するバイオマスの生産から収集・運搬、製造・利用までの経済性が確保された一貫システム の構築が必要となること等を勘案し、地域の実情に応じ、以下の主体が単独又は共同でバイオマス産業都市構想を作成し、応募します。 ① 市町村(単独又は複数) ② 市町村(単独又は複数)と当該市町村が属する都道府県の共同体 ③ ①又は②と民間団体等(単独又は複数)との共同体 18 Q3:バイオマス産業都市の選定はどのように行われるのですか。どのような点を評価するのですか。 A: バイオマス産業都市の選定プロセスは、以下のとおりです。 (1)7府省が共同でバイオマス産業都市構想の提案の募集を行います。応募のあった提案は、地方農政局等及び事務局で整理します。 (2)有識者で構成するバイオマス産業都市選定委員会において、ヒアリング・審査を行い、選定委員会としての選定推薦案を決定します。 (3)選定委員会の選定推薦案をもとに7府省が共同で選定を行います。選定結果は公表するとともに、選定された地域にはバイオマス産業都市の 選定の認定証を交付します。 (4)バイオマス産業都市の選定に当たっては、以下の視点を踏まえ、応募があったバイオマス産業都市構想の内容を総合的に評価します。 ① 先導性:バイオマス産業都市が目指す将来像と目標を実現し、全国のモデルとなるような取組であるか。 ② 実現可能性:自治体・事業者等の地域の関係者の連携の下で経済性が確保された一貫システムの構築が見込まれるなど、地域のバイオ マスを活用した産業創出と地域循環型のエネルギーの強化の実現可能性が高いか。 ③ 地域波及効果:地域のバイオマスの利用促進、地域循環型のエネルギーの強化、地域産業振興・雇用創出、温室効果ガス削減などの地 域波及効果が高いか。 ④ 実施体制:自治体・事業者等の地域の関係者の連携の下でバイオマス産業都市構想の具体化、評価等を適確に実施していくための実施 体制ができているか。 Q4:バイオマス産業都市構想には、どのようなことを記載すればよいのですか。 A: バイオマス産業都市構想には、以下の事項を記載することとしています。地域のバイオマスを活用した事業化プロジェクトを企画立案し、その実行 を通じて地域の産業・雇用の創出、再生可能エネルギーの強化など、いかにして幅広い地域波及効果を産み出していくかがポイントとなります。詳し くは応募要領をご参照ください。 ① 地域の概要:対象地域の範囲、経済的・社会的・地理的な地域の特色、作成主体等 ② 地域のバイオマス利用の現状と課題:地域のバイオマスの賦存量、利用率(量)等の現状と課題 ③ 目指すべき将来像と目標:バイオマス産業都市を目指す背景や理由、バイオマス産業都市として目指すべき将来像、達成すべき目標 ④ 事業化プロジェクトの内容(当該年度に具体化する取組、5年以内に具体化する取組、10年以内に具体化する取組の別がわかるように記載) ⑤ 地域波及効果:地域の実情に応じ、③の目指すべき将来像や目標も踏まえつつ、バイオマス産業都市構想の具体化による地域波及効果を 記載 ⑥ 実施体制:自治体・事業者等の地域の関係者の連携の下でバイオマス産業都市構想の具体化、評価等を実施していくための実施体制を 記載 ⑦ フォローアップの方法:③の目標の達成状況等の評価や構想見直しの時期・方法等を記載する(原則5年後に中間評価を実施)。 ⑧ 他の地域計画との有機的連携 19 Q5:バイオマス産業都市構想に盛り込む事業化プロジェクトとはどのようなものですか。 A: 事業化プロジェクトとは、バイオマス産業都市構想の期間内に具体化する取組のことであり、バイオマス産業都市構想の中核部分です。当該年 度に具体化する取組、5年以内に具体化する取組、10年以内に具体化する取組の別がわかるように記載します。当該年度に具体化する取組に ついては、事業内容や事業採算性などの詳細がわかるように記載します(事業概要、事業主体、計画区域、原料調達計画、施設整備計画、製 品・エネルギー利用計画、事業費、年度別実施計画、事業収支計画(内部収益率(IRR)を含む。)、事業実施体制等)。5年以内及び10年以内 に具体化する取組については、可能な限り具体的な内容がわかるように記載します(事業概要、事業主体、計画区域、事業全体フロー等)。 Q6:バイオマスを活用した事業を5年後に計画していますが、事業の構想段階でも選定を受けることができますか。 A: バイオマス産業都市は、7府省が連携し、地域のバイオマスを活用した産業化に向けた具体的な取組を後押しし、地域の産業・雇用の創出や再 生可能エネルギーの強化を推進するものです。バイオマス産業都市構想の中核部分である事業化プロジェクトについては、事業主体、原料調達計 画、施設整備計画、製品・エネルギー利用計画、事業収支計画など、事業内容や事業採算性等が評価できる具体的な内容を記載する必要があ ります。このため、関係者で話し合いを進め、目指すべき姿とともに、事業化プロジェクトの方針や内容を固め、それによる地域波及効果等をベース にバイオマス産業都市構想を作成することになります。 Q7:バイオマス産業都市に選定されるとどのようなメリットがあるのですか。例えば、どのような施策が活用できるのですか。 A: バイオマス産業都市の選定地域に対しては、バイオマス産業都市構想の実現に向けて、バイオマス産業都市関係府省連絡会議を活用しなが ら、構想の内容に応じて、関係府省の施策の活用、各種制度・規制面での相談・助言などを含め、関係府省が連携して支援を行います。なお、関 係府省の施策の活用に当たっては、別途当該施策を所管する府省の審査・採択が必要です。各府省は、それぞれの政策推進の観点から、バイ オマスに関連する施策・予算を担当しています。 例えば、農林水産省は、地域バイオマス産業化推進事業、強い林業・木材産業構築対策、地域材利活用倍増戦略プロジェクト等、経済産業 省は、地域バイオディーゼル流通システム技術実証事業(農林水産省連携事業)、再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策費補助金等、国 土交通省は、下水汚泥の有効利用の促進(社会資本整備総合交付金)等、環境省は、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業(農林水 産省連携事業)、木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業(農林水産省連携事業)、循環型社会形成推進交付金、再生 可能エネルギー等導入推進基金事業等の施策・予算を担当しています(平成26年度)。 20 Q8:バイオマス産業都市構想の作成を検討しようと思っていますが、どこに相談すればよいですか。 A: バイオマス産業都市構想に関するご質問は、農林水産省食料産業局バイオマス循環資源課又は地方農政局事業戦略課等にご連絡ください。 また、バイオマス産業都市構想の作成に当たっては、(一社)日本有機資源協会が作成した「バイオマス産業都市構想作成の手引き」を参照し てください。 【連絡先】 ○ 農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 〔TEL:03-6738-6479〕 ○ 北海道農政事務所 農政推進部 経営・事業支援課 〔TEL:011-642-5485〕 ○ 東北農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:022-221-6146〕 ○ 関東農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:048-740-0160〕 ○ 北陸農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:076-232-4233〕 ○ 東海農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:052-223-4619〕 ○ 近畿農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:075-414-9024〕 ○ 中国四国農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:086-224-9415〕 ○ 九州農政局 経営・事業支援部 事業戦略課 〔TEL:096-211-9347〕 ○ 内閣府 沖縄総合事務局 食品・環境課 〔TEL:098-866-1673〕 【バイオマス産業都市構想作成の手引き( (一社)日本有機資源協会ホームページ)】 http://www.jora.jp/tiikibiomas_sangyokasien/index.html 21 (参考4) バイオマス関連施策 (平成27年度概算要求時点) 【総務省】 【農林水産省】 施 策 施 策 地域経済循環創造事業交付金 地域バイオマス産業化推進事業(構想づくりと施設整備支援) 分散型エネルギーインフラプロジェクト 農山漁村活性化再生可能エネルギー導入等促進対策 農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用 【文部科学省】 施 策 新たな食品リサイクルループの構築 (食品ロス削減等総合対策事業の一部) 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金 戦略的創造研究推進事業(先端的低炭素化技術開発) 東北復興のためのクリーンエネルギー研究開発の推進 (東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクトの一部) 次世代施設園芸導入加速化支援事業 地域畜産環境総合対策 エコフィード増産対策(飼料増産総合対策事業の一部) 【国土交通省】 技術でつなぐバリューチェーン構築のための研究開発 施 策 下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト) 森林・林業再生基盤づくり交付金 地域材利用促進(新たな木材需要創出総合プロジェクトの一部) 下水汚泥の有効利用の促進 下水処理場における総合バイオマス利活用検討 22 【経済産業省】 【環境省】 施 策 地域バイオディーゼル流通システム技術実証事業 (農林水産省連携事業) バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業 施 策 循環型社会形成推進交付金(浄化槽分を除く) 廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業の一部 セルロース系エタノール生産システム総合開発実証事業 木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業 (農林水産省連携事業) 戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業 クレジット制度を活用した地域経済の循環促進事業 (一部農林水産省連携事業) バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業 (農林水産省連携事業) 再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策費補助金 独立型再生可能エネルギー発電システム等対策費補助金 バイオ燃料導入加速化支援対策費補助金 革新的省エネ化学プロセス技術開発プロジェクト 先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業 (グリーンプラン・パートナーシップ事業) 地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業 (農林水産省連携事業) 低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援事業のうち地 域の未利用資源等を活用した社会システムイノベーション推進事 業 高性能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材 化技術開発 23 【関連税制】 施 策 減 免 内 容 グリーン投資減税 (経産省・環境省・国交省・農水省) 再エネ設備等を取得した場合の30%特別償却又は法人税額(所得税 額)の7%税額控除(中小企業のみ) 農林漁業バイオ燃料法に基づく固定資産税の軽減 (農水省・経産省・環境省) バイオ燃料製造設備(バイオガス、木質ペレット、BDF、エタノール)の固 定資産税の課税標準を2分の1に軽減(3年) 再生可能エネルギー発電設備の固定資産税の軽減 (経産省・環境省・農水省) 固定資産税の課税標準を3分の2に軽減(3年) バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例 (経産省・環境省・農水省) 混合バイオエタノールの揮発油税(53.8円/L)の減免 【融 資】 施 策 融資条件 資 金 使 途 : 農林漁業者等によるバイオマス利活用施設の改良・造 成・復旧・取得 農林漁業施設資金(バイオマス利活用施設) (日本政策金融公庫) 貸 付 利 率 : 0.9%(農林漁業金利D-3)(H26.9.19現在) 貸付限度額 : 負担額の80% 償 還 期 間 : 20年以内(据置期間3年以内) 24
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