マーケットウィークリー・782号産業ニュース 2014.6.6 需要拡大するトンネル工事関連作成者：池田隆行注目されるトンネル工事関連企業高速道路や鉄道などで、大規模なトンネル工事の需要が高まっており、関連企業が注目される。東京外かく環状道路では大泉ジャンクション（ＪＣＴ）から東名ＪＣＴまで、トンネル総延長16キロメートル、総事業費1兆2,800億円の大型プロジェクトが始動する。東京湾アクアラインの総延長15.1キロメートル、総事業費1兆4,409億円にも匹敵する規模。リニア中央新幹線では夏にもＪＲ東海（9022）が国土交通大臣に「工事実施計画」を提出する準備を進めている。大深度地下利用法により、地下利用が拡大へ大深度地下利用法は首都、中部、近畿圏で公共目的の事業に限って地上の所有権に関係なく、地下40メートル以上の使用を認める法律。国土交通省は3月28日付けで、同法を適用して、外かく環状道路の大泉ＪＣＴから東名ＪＣＴまで、大深度地下のトンネル建設を認可している。地上の高架方式で同区間を建設する都市計画が、1996年にいったん決定したが、騒音や大気汚染を懸念した近隣住民の反対で凍結された経緯がある。2007年に地下方式に計画を変更した。2009年5月に整備計画が決定され、2009年度補正予算が成立したことを受け事業化された。東京外かく環状道路のトンネル工事施工者が決定工事対象となる東京外かく環状道路（関越～東名）は東京都練馬区の関越道大泉ＪＣＴから中央自動車道を経て、東名高速道路の東名ＪＣＴを結ぶ約16キロメートルの高速道路（下図：東京都側点線区間）。東日本高速道路による南行と中日本高速道路による北行の本線トンネル2本を大泉と東名の両側からシールドマシンで掘り進め、接合させる計画。4月3日に本線トンネル工事4件の施工者が決まった。東日本高速道路が発注した（南行）東名北工事は1,525億1,112万円で、鹿島（1812）、前田建（1824）、三住建設（1821）、鉄建（1815）、西武建設のジョイントベンチャー（ＪＶ）に決まった。東名ＪＣＴ付近から井の頭通り付近までの総延長約9キロメートルをシールド工法により施工するトンネル工事となる。 ◇東京外かく環状道路計画図（出所）国土交通省関東地方整備局マーケットウィークリー・782号 2014.6.6 工期は2019年6月までの計画。（南行）大泉南工事は、1,229億400万円で清水建（1803）、熊谷組（1861）、東急建設（1720）、竹中土木、鴻池組のＪＶに決まった。総延長約7キロメートルをシールド工法により施工する。7月には東日本高速道路が大泉ＪＣＴの立坑（たてこう）工事の開札を予定しており、本線関係の施工者がすべて決定することになる。リニア中央新幹線では環境影響評価書が提出された 2027年に開業を目指すリニア中央新幹線も3月、大深度地下利用法に基づく手続きを開始した。品川-名古屋の約286キロメートルのうち、約55キロメートルで大深度地下のトンネルを計画している。区間は東京都品川区から川崎市、町田市にかけての約35キロメートルと愛知県春日井市から名古屋市にかけての約20キロメートル。ＪＲ東海は4月に「中央新幹線（東京都・名古屋市間）環境影響評価書」を作成し、国土交通大臣に送付した。評価書によると、都市部の大深度地下トンネル部では主にシールド工法を採用する計画。建設に要する費用概算額は9兆300 億円（車両費を含む）。評価書に対して、環境相が国交相に意見し、国交相はそれを踏まえて90日以内に意見を述べる予定となっている。対策不足との判断が出なければ、工事実施計画書を作成し、認可を国交省に申請する方針。建設会社以外の関連企業シールドマシンの国内主要メーカーはＩＨＩ（7013）とＪＦＥエンジニアリングがシールド掘進機事業を統合し設立したジャパントンネルシステムズがトップであり、三菱重（7011）、川重（7012）、日立造（7004）が続く。シールドマシンで掘ると同時に、掘削面の崩落を防ぐためセグメントと呼ばれるブロックを設置する。セグメントはジオスター（5282）などが手掛ける。トンネル工事では大量の残土が発生する。残土処理関連では建設系廃棄物処理のタケエイ（2151）やダンプトラックの新明和（7224）、極東開（7226）などがある。（単位：円、倍）コード株価ＰＥＲコメント 1719 510 14.7 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）大泉南工事を受注 1720 446 18.3 首都高の中央環状線トンネル等の実績を持つ 1801 530 26.3 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）大泉南工事を受注 1802 682 21.3 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）東名北工事を受注 1803 684 22.4 東京湾アクアラインのシールドトンネル等に実績 1805 150 19.5 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）大泉南工事を受注 1812 427 26.1 シールドや山岳トンネル工事に多くの実績を持つ 1815 301 33.6 ＪＶで東京外かく環状道路の（南行）東名北工事を受注 1820 406 20.5 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）東名北工事を受注 1821 107 30.8 シールドや山岳トンネル工事に数々の実績がある 1822 388 18.2 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）大泉南工事を受注 1824 759 14.5 青函トンネルや地下鉄工事などに実績を持つ 1860 326 21.6 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）東名北工事を受注 1861 269 16.7 ＪＶで東名ジャンクション・本線トンネル立坑を施工中 1893 297 28.3 ＪＶで東京外かく環状道路の（北行）大泉南工事を受注 2151 1,050 18.4 建設関連産業廃棄物の中間処理などに強み 5282 665 296.9 トンネル内部を補強するセグメントに強み 7013 440 19.4 ジャパントンネルシステムズはシールドマシントップ 7224 851 14.9 トンネル残土の運搬でダンプトラック需要が拡大へ 7226 1,431 12.6 トンネル残土の運搬でダンプトラック需要が拡大へ ◇株価とコメント銘柄安藤ハザマ東急建設大成建大林組清水建飛島建鹿島鉄建西松建三住建設大豊建前田建戸田建熊谷組五洋建タケエイジオスターＩＨＩ新明和極東開（注）株価は6月3日の終値、ＰＥＲは今期予想（出所）各社資料よりＣＡＭ作成