日本刺絡学会誌　第 16 巻 1 号　( ２０１５）海外レポートニュージーランドの鍼灸事情２横浜薬科大学都築繁利、Kampo Health Centre 小松信子横浜薬科大学 Kampo Health Centre 日本刺絡学会国際部　小松　一上（実質的には 140 点以上）で IELTS ４） 6.5 ニュージーランドに入国する場合、観光目的で９０日以内の入国には、特にビザを取得すが必要となります。海外留学経験などがあり、ることなく滞在できますが、鍼灸師として仕事同程度の英語力が証明できれば、IELTS の受験に従事する場合、働けるビザが免除される場合があります。１）が必要になり投資家移民の場合、最低でも２億円程度の資ます。金が必要で、企業家移民では、ニュージーラン今回、ニュージーランドで就労するためのビド国内で 2 年以上安定して事業を経営しておザについて紹介します。り、ニュージーランド経済に貢献していることが条件です。ニュージーランドでは、既存の現地鍼灸学校を卒業すれば鍼灸のライセンスを得て働くこ（２）就労ビザとができます２）が、就労できるビザを取得できれば、現地ライセンスがなくても日本のライ原則として鍼灸師を雇用する意思を持つ現センス（免許）で鍼灸師として働くことが可能地企業からのジョブオファーがあれば申請できです。以上のことから、就労できるビザの取得ます。履歴書の作成および面接は基本的に英語を目指すことになります。ですので、自身の経験や学歴をプレゼンテーションできる英語力が必要となります。なお、鍼灸および漢方薬は現地では医療の範ので、極論を言えば日本起業家カテゴリーに属する長期労働ビザの免許も不要です。実際、無資格で鍼灸治療を（LTBV；Long Term Business Visa）は、鍼灸疇に含まれません３）師として一定の職務経験があり、ニュージーラ行っている所もあると聞き及びます。ンドで鍼灸クリニックを自営することを目的として取得するものです。事業計画書とそれに付（１）永住権永住権保持者は、何らの制限なく鍼灸師と随した投資、生活資金、および英語力（IELTS 4.0 して就労できます。当該ビザには、技術移民以上）が申請に必要です。申請が受理されると３年間の就労ビザが発給されます。（Skilled Worker）、投資家移民、企業家移民のカテゴリーがありますが、現実的には技術移民（３）ワーキングホリデービザでの永住権取得となります。申請者が１８歳以上３０歳以下の場合で、技術移民はポイント制であり、これまでの経有効期間は１年間。ただし、発給は一生に一度験や学歴などをポイントに換算し、100 点以 84 日本刺絡学会誌　第 16 巻 1 号　( ２０１５）のみです。日本とニュージーランドの文化的、まとめ人的交流の促進が主な目的ですので、自由に就ニュージーランドに限らず海外で鍼灸を行労ができます。この制度を利用して入国し、就うためには、ライセンス以前に必ずビザの問題職先を探してジョブオファーを獲得できれば、がつきまといます。就労ビザの取得も可能です。３０歳未満のやる気のある若い鍼灸師は、ワーキングホリデービザという、制限のないすばら（４）学生ビザしい制度がありますので、この制度を活用して 14 週間以上認証を受けた語学学校等の英語渡航し、就労の機会を得るのがよいと思われまコースで学ぶ場合、条件を満たせば週 20 時間す。一方、臨床経験も知識も豊富な３０歳以上までの就労が可能になります。また、大学等のの鍼灸師にとっては十分な語学力と資金力が必高等教育機関で最低 1 年間在籍すれば、夏休要となりますが、自身のスキルアップのためにみ以外の休暇も就労でき、博士号や修士号の取も是非、一度ビザを取得し、就労の機会を得て得を目指す大学院生は制限なくフルタイムでの欲しいと思います。就労が可能です。参考文献および註１）ニュージーランドビザ申請センター： http://www.vfsglobal.com/newzealand/japan/ Japanese/index.html ２）外国人（永住権等非所持）は期間限定３） AC C （ T h e A c c i d e n t C o m p e n s a t i o n Corporation）treatment provider として登録し、鍼灸による治療が適当と判断された場合は、国の医療保険で医療費がカバーされる４）International English Language Testing System（アイエルツ）http://www.eiken.or.jp/ ielts/ 85