P-13-1~6

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内シャントにおける中心静脈領域の狭窄(静脈高血圧症)に
対する検討
医療法人あかね会 中島土谷クリニック 透析センター1)、
土谷総合病院 人工臓器部2)
○松田政二1)、森石みさき1)、川西秀樹2)、土谷晋一郎1)
【はじめに】中心静脈(CV)領域の狭窄病変ではHD時の血流は問題なく確保され、
静脈圧の上昇やシャント肢、顔面の腫脹などで発見される場合が多い。つまり自覚、
他覚的所見が出現した時点で既に狭窄が重症化しているケースが多い。今回、CV領
域狭窄の傾向と治療成績について検討を行った。
【対象】CV領域に責任部位となる狭窄を認めた維持透析患者7名。男性5名、女性2
名。平均年齢63.4歳±16.8歳。平均HD歴11.9±12.1年。
【方法】7名において、導入期の超音波検査(US)によるVA血流量、VAIVT前後の
自覚・他覚的所見、狭窄責任部位、治療成績について患者基礎データを基に検討した。
【結果】USにて責任部位の特定が可能であった症例は7名中2名であり、残り5名に
おいては造影CTを行った。責任部位は左腕頭静脈狭窄が5名(右腕頭動脈と胸骨に
よる圧迫3名含む)、鎖骨下静脈狭窄が1名、橈側皮静脈と上腕静脈の合流部狭窄が
1名であった。また1名においては左内頚静脈の逆流を確認した。7名の導入期の上
腕動脈血流量は747.0±146.2ml/min(全体平均490.9±226.0ml/min)とやや高流量で
あり、初回VAIVT前のVA血流量は1122.7±325.9ml/minと高流量であった。VAIVT
後では1125.4±529.6ml/minと血流量に差は認められなかった。また7名中5名は1
年以内に再VAIVTまたはステント留置の適応となった。
【結語】高血流量シャントや腕頭動静脈の位置関係がCV領域の狭窄に関与していると
考える。VAIVT後の再狭窄率も高いため、保険的問題はあるがステント留置が有効
と考える。
P-⑬-2
脱血不良時における上腕動脈血流量が低値を示さない症例に
ついての検討
医療法人 さとに田園クリニック
○松川英樹、梅田 彩、本多理沙、松下恵美、武田陽子、西垣千春、
南條友典、森田祐司、太田匡彦
パルスドプラ法における上腕動脈血流量(FV)、血管抵抗指数(RI)の測定はバス
キュラーアクセス(VA)の機能評価に役立ち、VA管理をするうえでの有用性が多
く報告されている。
当院でも平成24年4月よりPTAを繰り返す患者、閉塞歴のある患者、及び狭窄の
存在をエコーでみとめた患者に対し、PTA後に測定したFV、RIを基準に定期的なエ
コーを実施し管理を行っている。
しかし脱血不良をきたしPTAを要する症例において、FV低値を示さない症例も見
受けられ、VA機能の把握に苦慮することがあった。
今回我々は脱血不良時FV低値を示さない群(FV400ml/min以上)において、吻合
部位、正常径、狭窄径、狭窄率、相対的狭窄の有無、上腕動脈径、設定QB、および
FV、RIの変化について検討した。
本大会にて検討結果に考察を加え報告する。
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73
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P-⑬-3
当院におけるシャントエコーの取り組み
倉敷中央病院 臨床工学部 人工透析センター支援室
○連仏治幸、新垣 光、藤井貴乃、隅中智太、三宅智香、森 拓人、
牧田結花、物部麻衣子、小椋真也、藤井佑希、横田耕次、守屋幸治、
安藤 誠
[はじめに]透析療法においてバスキュラーアクセス(VA)は必要不可欠である。
そのため、治療の継続に困難をもたらすVAトラブルを早期に発見できる体制を整え
る必要がある。近年、VA管理におけるシャントエコーの有用性が報告されており、
当院でもその実施に向けた取り組みを行ったので報告する。
[取り組みの概要]他施設での取り組みを参考に、シャントエコーによる機能評価と
形態評価を実施することとした。機能評価では、上腕動脈血流量(Flow Volume:
FV)と血管抵抗指数(Resistance Index:RI)を測定し、形態評価では、短軸と長
軸により血管を評価した。また、シャントデッサンとエコー画像を組み合わせ、当院
独自のシャントエコー報告書を作成した。報告書はFileMakerを用いて作成し、医師
を含めた透析スタッフ全員が情報共有できるようにした。
[測定結果と有効性]2013年4月から2014年6月までに、外来透析患者46名に対して
120回のシャントエコーを実施した。そのうち11名において、平均でFV 305.50±
199.14ml/min、RI 0.73±0.13と有意な機能低下を示し、形態的にも狭窄を認めたため
早期に治療介入を行った。画像と数値によりVAを評価することで、医師が治療介入
を判断する上での有効な指標となったものと考えられた。また、報告書の情報共有に
より穿刺トラブルを未然に防止することが可能となり、穿刺困難例にも有用であった。
[結語]シャントエコーの実施により、より早期でのVA機能低下の発見と治療介入
が可能となった。
P-⑬-4
上腕動脈高位分岐症例に対する検討
特定医療法人あかね会 中島土谷クリニック 透析センター
○下方実樹、高橋秀宜、松田政二、森石みさき、土谷晋一郎
【はじめに】
上腕動脈は肘関節部のやや末梢で橈骨動脈と尺骨動脈に分岐する。しかし、上腕動脈
が通常位置よりも中枢で分岐する高位分岐症例がある。Vascular Access(VA)超音
波検査では上腕動脈のFV・RIなどが測定されるが、高位分岐症例では、上腕動脈の
測定が困難な場合が多い。今回、上腕動脈高位分岐症例に対し検討を行った。
【対象】
当院の慢性維持透析患者493名のうち高位分岐を認めた3名を対象とした。超音波検
査にて分岐パターンを確認し、上腕動脈・AVF作製動脈のFV・RIを測定した。また、
通常分岐患者のPTA前FV・RIを測定し比較検討した。
【結果】
分岐パターンは2名腋窩部より中枢で分岐していた。この2名は上腕動脈の測定は困
難であった。1名は上腕中部から分岐していた。通常分岐患者の上腕動脈FV値平均
=214.3ml/min・RI値平均=0.78、AVF作製動脈FV値平均=161.9ml/min・RI値平均
=0.59、高位分岐症例FV値平均=271ml/min・RI値平均=0.56であり、当院のPTA適
応基準FV値=300ml/min以下・RI値=0.7以上にしているが、高位分岐症例のRI値は
適応基準外であった。
【考察】
上腕動脈高位分岐症例は稀ではあるが、今後、分岐異常に関して意識を持って検査・
評価する事が必要であると考える。
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P-⑬-5
バスキュラーアクセス(VA)機能不全の早期発見・治療を
目的とした VA 管理データベースの開発
川崎医療福祉大学 医療技術学部臨床工学科1)、
川崎医科大学附属病院MEセンター2)
○青野由佳1)、白髪裕二郎2)、小野淳一1,2)
【背景】血液透析において、VA開存率向上のためにVA機能不全の早期発見は重要で
ある。そこで、種々のVA情報を評価し、VA機能不全の早期発見を可能とするVA管
理データベースをFileMaker Pro12を用い開発してきた。データベースは、iPad内に
データを保存するスタンドアローン形式で使用してきたがPCと同期を行えず、印刷
出力やデータ活用の面で問題が残っていた。また、データベースを臨床使用する上で、
インターフェースやデータ構造の改善等、VA情報や問題点を効率良く評価するには
データベースを再構築する必要性があると考えた。
【目的】これまで開発してきたデータベースをネットワーク対応型システムに改良を
行う。さらに、VA管理を行うために必要な評価項目とインターフェースの再検討を
行う。
【方法】サーバー PC上にFileMaker Surverをインストールし、ネットワーク対応型
システムに改良を行った。サーバー上で起動しているVA管理システムを同じネット
ワーク上に接続されているPCならびにiPadを用いデータ入力、分析を行う形式に変
更を行った。
【まとめ】ネットワーク対応型システムにすることで、ネットワークを介し医師や看
護師とのVA情報の共有も容易となり、VA情報や問題点をさらに効率良く評価でき
ることが期待される。また今後、データベースを用いたVA管理を通し、VAの治療
成績の向上へと繋げていきたい。
P-⑬-6
止血方法の見直しについて
松江保健生活協同組合 総合病院 松江生協病院 透析室
○枝木和美、八木亜紀子、川井絢子、一二弘子
当院では、終了時の止血の際に多くの患者が止血ベルトを使用していたが、繰り返
しシャント閉塞を来す患者が目立つようになり、よりよいシャント管理の観点からも
自己止血を検討する余地があると考え、患者自身による自己止血に取り組んだ。
前年度のシャントPTAの件数、対象患者を抽出し、重点的に経過を追った。また、
スタッフ、患者に学習会を実施し、前後でシャント管理に対するスタッフへのアンケー
トをおこなった。
現時点で止血ベルトを使用している患者個々に自己止血の意義を説明し、同意を得
られた患者から自己止血に取り組んだ。また、統一した止血方法でケアできるよう記
録に残した。
学習会を行ったことで患者、スタッフ共に認識を新たにすることができ、また自己
止血が基本ではあるが、患者個々のクオリテイに合わせ、ニーズを考慮したうえでの
アプローチをしていく事が大切だと学んだので、その経緯を報告し今後に繋げたいと
思う。
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