1.5MB - 日本ライフライン

JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT
古賀 英信
Vol.037
先生 (新行橋病院 循環器内科部長・ハートセンター長)
マイクロカテが通過困難なCTO 病変に
canPass が容易に通過した症例
年齢:79 歳 性別:男性 冠危険因子: 高血圧 診断名: 労作性狭心症
現病歴:20 年前に冠攣縮性狭心症と診断されている。平成 26 年 1 月頃より労作時胸痛出現。症状が改善
しないため、6 月下旬外来受診。冠動脈 CT を施行し #1 100% CTO 病変を認めた。平成 26 年 7 月 2
日 CAG を施行し #1 100% CTO を認めた。
システム
Balloon : canPass 1.20 × 6(日本ライフライン)
、
Guiding catheter : SAL1.0SH
Guiding wire : XT-R、Gaia 1st、SION blue( 朝日インテック )
Microcatheter : Mizuki(カネカメディックス)
交換用カテーテル : Kusabi(カネカメディックス)
Stent : #1: Resolute Integrity 3.5 × 24(メドトロニック)
#2: Xience Expedition 3.0 × 38
Trek 2.5 × 15(アボットバスキュラー)
、
Raiden3 4.0 × 15(カネカメディックス)
#3: Xience Expedition 2.5 × 28(アボットバスキュラー)
IVUS : View it(テルモ)
PCI 所見
Fig. 1
Target lesion #1 100% CTO
穿刺部:6F Rt radial approach
Fig. 2
症例内容
6F Rt radial apparoch にて手技を開始した。GC:SAL1.0、
Microcath:Mizuki、Guide wire: XT-R にて# 1CTO 病変に
対して wire cross を試みるが、GC の back up 不良と病変
の硬さにより XT-R がはじかれた。CT で判断すると石灰化
もあまり無いため、血栓性閉塞病変で硬い病変といった認
識はなかったが実際 XT-R は CTO lesion の入口部すら進入
しなかった (Fig. 1)。Back up 不良に対し
てアンカーする branch もないため XT-R
Fig. 3
Fig. 4
では通過困難と判断し、Gaia1st に変更
し た。Mizuki を CTO の 入 口 部 ぎ り ぎ り
に 留 置 し、Gaia 1st を ゆ っ く り 操 作 し、
deflection に注意しながら進めると何とか
病変を通過できた (fig. 2)。続いて Muzuki
を病変部に通過させようと試みるが全く
先に進まず、ガイドカテが外れる状況と
なった為、バルーンで病変部を拡張する
方針とした。
canPass 1.20 × 6 を選択し不通過部の病
変 Cross を試みたところ、容易に病変を
通過した (fig. 3)。そのまま閉塞病変部を
canPass で R.B.P 圧(14atm)にて次々
に 拡 張 し 造 影 し た と こ ろ、#2 90%, #3
90%, #4AV 100% で Diffuse 病変である
ことを確認した (fig. 4)。
canPass 通過後、Mizuki を末梢に到達さ
せ wire を Gaia か ら Sion blue に 変 更 し
Kusabi を用いて Mizuki を抜去した。次に
Trek 2.5 × 15 にて #1 CTO site を拡張す
る方針とし 12atm で拡張 (fig. 5,6) したの
ち IVUS にて確認した(fig. 7)。
Fig. 5
Fig. 6
Fig. 7
JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT
#1 の distallanding point の 内 腔 3.0mm、
proxymal( 入 口 部 ) の landing point 内 腔
4.2mm 前後であった。#2、3 の PCI の為に
は、まず CTO site の Stenting が必要と考え
Resolute Intergrity 3.5 × 24 を 12atm で留
置した (fig. 8)。
IVUS 確 認 後、stent Proximal 部 が 圧 着 し
ておらず Raiden3 4.0 × 15 にて 20atm で
拡 張 不 良 部 を 拡 張 し た。IVUS 確 認 後、 次
に #2、3 を Trek 2.5 × 15 に て 拡 張 し #3
の Distal か ら Xience Expedition2.5x38、
#2 に先程のステントに crossover する形で
Xience Expedtion 3.0 × 38 を 12atm で 留
置 し た(Fig. 9,10,11)。IVUS 確 認 後、 圧 着
も問題無いため手技を終了した (fig. 12)。
Fig. 8
Fig. 9
Fig. 10
Fig. 11
考察
今 回、CTO lesion に 於 い て wire 通 過 後 マ
イクロカテが通過困難な症例に canPass が
容 易 に 通 過 し た 症 例 を 報 告 し た。CTO 病
変にバルーンを通過させるための必要な
バ ル ー ン 特 性 は、 ① 術 者 か ら の バ ル ー ン
Pushability を損なわないこと②バルーン先
端と wire との段差が少なく、より tapared
された先端 tip と屈曲に追従する柔軟性をもつ先端構造ではないだろうか。
canPass は、まず Shaft 構造としてバルーン先端から柔らかく設計され、中間部か
Fig. 12
らハイポチューブにかけても硬度バランスが考慮された設計となっている。
その結果、柔らかな硬度変化が実現し、シャフトの抵抗が低減することで、蛇行を伴
う狭窄病変においても優れたプッシャビリティと高いトラッカビリティが発揮でき
るようになっている。
さらに、先端 tip の特徴として非加熱加工による柔軟性の保持と研磨機にて作成され
た 2 段テーパー処理が病変部での crossability を向上させている。
今回マイクロカテーテルが通過困難であった病変に於いて canPass は容易に通過し、
canPass の優れた通過性能を痛感した。今後 CTO や石灰化病変を含むバルーン通過
困難が予想される病変に対しては、canPass の使用を一考していただければ幸いで
ある。
Integrated Shaft
先端チップ
コアワイヤーの固定位置、固定方法の工夫で安定したプッシャビリティと高いトラッカビリティを発揮
術者紹介
新行橋病院 循環器内科部長・ハートセンター長
古賀 英信 先生
1997
1997
1999
2002
2008
循環器内科専門医、CVIT 専門医、医学博士
年
年
年
年 -2005 年
年 -2014 年 3 月
2014 年 4 月
熊本大学医学部卒業
熊本大学 循環器科
熊本中央病院 循環器内科 / 熊本赤十字病院 循環器内科
熊本大学大学院
国立病院機構熊本医療センター 循環器内科・医長
新行橋病院 ハートセンター長
2014-09-07-01