無機化学Ⅳレポート課題 奇数番を解答してレポートとして提出してください. (期末試験では偶数番の問題も範囲に含めます.) 問題を解答するために必要な数値(原子量,イオン半径,格子定数,各種定数等)は,問題に明記 されていない場合は各自調べること. 1. 剛体球を以下のように並べたときの空間の占有率(充填率)を計算せよ.計算過程も示すこと. (1) 立方最密充填,(2) 体心立方,(3) 単純立方,(4) 六方最密充填 2. ①3 配位,②4 配位,③6 配位,④8 配位の限界イオン半径比を求めよ.計算過程も示すこと. 3. 左に示す CaF2 結晶について以下の問いに答えよ. (1) 単位格子中に Ca2+,F-イオンはそれぞれ何個あるかを答えよ. (2) 矢印で示す Ca2+を原点とする得各イオンの分率座標を答えよ. (3) 最近接の Ca2+と F-イオン間距離を求めよ. (4) 理想的な結晶の密度を求めよ. 4. カルシウムカーバイド(CaC2)の結晶は,NaCl と同様のイオンの並びをしている.すなわち, Na+の代わりに Ca2+イオンを配置し,Cl-の代わりに C22-(C≡C2-)イオンを配置した構造であ る.しかし,C22-イオンが球形ではなく c 軸に沿って細長いため,c 軸が a,b 軸に比べ伸びて おり,正方晶格子(体心正方晶)となっている.格子定数は a=389nm,c=638nm である. 次の問いに答えよ. (1) CaC2 結晶の単位格子を模式的に図示せよ.ただし,C22-の C-C 間距離は 119nm とせよ. (2) 単位格子中に Ca2+,C22-イオンはそれぞれ何個含まれているか答えよ. (3) CaC2 結晶の密度を計算せよ. (4) CaC2 結晶は,450℃で C22-イオンが回転するようになり,平均的に球対象となる.これに よって転移が起こり,格子定数 a=588nm の NaCl 型結晶になる.この結晶の密度を求め よ. 5. 右図はグラファイト(黒鉛)結晶構造の一部を示した 図である.点線は単位格子(六方晶)を表す.これに付 いて以下の問いに答えよ. (1) ab 軸面内の最近接 C-C 間距離を求めよ. (2) 単位格子中に C 原子は何個含まれるかを答えよ. (3) それぞれ C 原子の分率座標を答えよ. (4) 理想的なグラファイトの密度を求めよ. 6. NiAs 型構造である NiS 結晶の単位格子について次の問いに答えよ. (1) 単位格子には Ni,S がそれぞれ何個含まれるかを答えよ. (2) S を原点においた場合と,Ni を原点に置いた場合のそれぞれについて,残りのイオンの 分率座標を答えよ. (3) Ni に対して S は何個配位しているかを答えよ.また配位多面体は何かを答えよ. (4) S に対して Ni は何個配位しているかを答えよ.また配位多面体は何かを答えよ. 7. ダイヤモンド型構造の Sn(α-Sn,灰スズ)について以下の問いに答えよ. (1) 単位格子に何個の Sn 原子が含まれるかを答えよ. (2) それぞれの原子の分率座標を答えよ. (3) 理想的な結晶の密度を計算せよ. (4) 最近接原子間距離を計算せよ. 8. KCl 結晶について以下の問いに答えよ. (1) Born-Haber サイクルを用いて KCl の格子エネルギーを求めよ.ただし,計算には 以下の表に示す熱力学的データを用いること. KCl に関する熱力学的データ (kJ/mol) K 結晶の昇華熱 89 K 気体のイオン化エネルギー 425 Cl2 気体の解離エネルギー 242 Cl 気体の電子親和力 355 (反応 Cl- → Cl + e- のエンタルピー変化) KCl 結晶の生成熱 438 (2) Born-Mayer の式(Born-Lande の式ではないことに注意!)を用いて,KCl の格子エネル ギーを計算せよ.ただし,ρ=34.5pm とする. 9. 格子定数 a の単純立方晶の結晶について粉末 X 線回折を調べた時に,2θが小さい方から最初 に出てくる 4 つの回折線は何かを答えよ.またそれらの面の面間隔を a を用いて表せ. 10. 塩化セシウム型結晶である CsX(X=Cl,Br,I)について次の問いに答えよ. (1) 括弧にあてはまる適切な語句,数字を答えよ. 塩化セシウム結晶は, ( )立方晶であり,単位格子中には Cs+,X-イオンそれぞれ( ) 個ずつ含まれる. (2) 各単位格子に含まれる全てのイオンの分率座標を答えよ. (3) 下の表は,CuKα1 線(λ=154.05pm)を用いて測定した各決勝の X 線回折パターンにつ いて,回折角が小さい 4 つの回折線の回折角 2θと相対強度 I を示した. (CsI は 2 つの 回折線のみ示す. )それぞれの回折線のミラー指数(ア)~(エ)を答えよ. CsCl (h k l) CsBr CsI 2θ I 2θ I 2θ (ア) 21.5 45 20.7 8 - (イ) 30.6 100 29.4 100 27.6 (ウ) 37.8 13 36.2 3 - (エ) 43.9 17 42 18 39.4 I 100 20 (4) 4 番目(エ)の回折線から各結晶の格子定数を計算せよ.(有効数字 4 桁で答えよ. ) (5) 陰陽各イオンの原子(イオン)散乱因子を fx,fCs とし,CsX 結晶の(h k l)回折線の構造因 子 Fhkl を書け. 11. RbCl は室温では NaCl 型構造を,低温(-190℃)では CsCl 型構造をとる.両者の格子定数はそ れぞれ 658pm および 375pm である.以下の問いに答えよ. (6) それぞれの結晶において,Rb+に対する Cl-の配位数,Cl-に対する Rb+の配位数を答えよ. (7) それぞれの結晶について,最近接のイオン間距離(各イオンを球とみなした場合の Rb+ と Cl-の中心間距離)を計算せよ. (8) それぞれの結晶の密度を求めよ.(原子量は各自調べること.) 12. NaCl 型構造を持つ NiO 結晶について次の問いに答えよ. ただし, 格子定数を 418pm とする. (1) 単位格子中に Ni2+イオン,O2-イオンはそれぞれ何個含まれるかを答えよ. (2) 理想的な結晶の密度を計算せよ. (3) 格子面(100),(111),(211),(221)の面間隔を求めよ. 13. ペロブスカイト型構造を持つ KTaO3 結晶の単位格子を以下の図に示す(矢印は K+イオンを示 す).この結晶について以下の問いに答えよ.ただし,格子定数を 399pm とする. (1) 単位格子中に含まれるそれぞれのイオンは何個含まれるかを答えよ. (2) Ta5+イオンを原点にした単位胞を図示せよ. (3) K+イオンを原点としたとき,および Ta5+イオンを原点としたとき,各々のイオンの分率 座標を答えよ. (4) 最近接の Ta5+と O2-,K+と O2-,Ta5+と K+間の距離(各イオンを球とみなした場合の中心 間距離)を計算せよ. 14. 次の図において,ミラー指数(1 1 0)(1 1 1) (1 0 2) (1 0 1 1)を示せ. 15. 閃亜鉛鉱型結晶である CuF とルチル型結晶である CuF2 について次の問いに答えよ. (1) CuF 結晶での最近接の Cu+と F-のイオン間距離(中心間距離)を求めよ.ただし, CuF の格子定数を 426pm とする. (1) Born-Mayer の式(Born-Lande の式ではないことに注意!)を用いて,CuF の格子エネルギ ーUCuF を求めよ.式も書くこと.ただし,ρ=34.5pm とする. (1)で求めた格子エネルギーと,Born-Harber サイクルを用いて CuF の生成エンタルピーΔ (2) HCuF を求めよ.式も書くこと. (3) CuF2 の格子エネルギーは,3037kJ/mol である.Born-Harber サイクルを用いて CuF2 の生成 エンタルピーΔHCuF2 を求めよ.式も書くこと. 種々の熱力学的データ kJ/mol) 16. Cu(s)の昇華熱 337 Cu(g)の第 1 イオン化エネルギー 746 Cu(g)の第 1 イオン化エネルギー 1958 F2 の解離熱 157 F の電子親和力 328 Cu の結晶は立方最密充填構造をとる,CuKα 線を用いて測定した粉末 X 線回折パター ンでは,最初の 2 つの回折線は 2θ=43.2°,50.3°のところに現れた. (X 線 CuKα 線の波長は講義資料を参考にすること.) (1) Cu 結晶の格子定数を計算せよ. (2) Cu 原子の半径を計算せよ. (3) (1)の値を用いて Cu の理論密度を計算せよ.Cu の原子量:63.6 17. 次の図において,方向指数[1 2 0],[2 1 0],[3 2 3]を図示せよ. 18. BaTiO3 は 120℃以上で立方晶ペロブスカイト型構造を持つ.以下の問いに答えよ. (X 線 CuKα 線の波長は講義資料を参考にすること.) (1) 立方晶ペロブスカイト型 BaTiO3 の単位格子の構造を,Ba2+を原点(分率座標 000) においた場合と,Ti4+を原点においた場合の 2 通りの方法で描け. (2) 200℃での BaTiO3 の格子定数は a=401pm である.CuKα 線を用いて粉末 X 線回折 を測定したとき,200 回折線は何度(2θ)に現れるか. (3) BaTiO3 は 120℃以下で相転移し,c 軸方向に少し伸びた正方晶になる.その格子 定数は a=399pm,c=404pm である.200℃での 200 回折線は室温ではどのように変 化するか,理由をつけて答えよ. (4) 200℃および室温での BaTiO3 の理論密度を計算せよ. (Ba,Ti および O の原子量は各自調べること.) 19. X 線の強度に関する構造因子の式から,①単純格子,②体心格子,③面心格子における X 線 消滅則を導け. 20.NaCl 型結晶である KClの X 線回折パターンについて次の問いに答えよ.ただし,用いる X 線は CuKα 線であり,KClの格子定数は a=629pm とする. (1) 111,200,220,311 の各回折線は何度(2θ)に現れるか. (2) K+,Cl-の原子(イオン)散乱因子を fK+,fCl-として,(1)の回折線の構造因子を fK+,fCl-を用いて表せ. (3) KCl 結晶では,(111),(311)回折線がほとんど出ない理由を説明せよ. 21. カルシウムは室温で立方晶で,250℃では六方晶となるが,ともに原子の最密充填構造である. 以下の問(a),(b)に答えよ.ただし,カルシウムの原子量は 40.08,アボガドロ数は 6.02×1023mol-1 とする. (a) カルシウムの室温での粉末 X 線回折で,111 回折線が回折角 2θ=27.6°に現れた.ただ し,CuKα線を用いている. (1) (111)の面間隔 d111(Å)を求めよ. (2) 格子定数 a(Å)を求めよ.また,単位格子中に存在する原子の数を答えよ. (3) カルシウムの原子半径(金属結合半径)を求めよ. (4) カルシウムの室温での理論密度を求めよ. (5) この構造における原子の配位数を答えよ. (b) カルシウムの 300℃での構造を考える. (1) 原子半径が変化しないと仮定して格子定数 a(Å)を求めよ. (2) この構造では格子定数(a と c)の比 c/a は理想的には一定の値になる.この値を計算 して格子定数 c(Å)を求めよ. 22. NaCl(岩塩型)、ZnS(セン亜鉛鉱型),Li2O(逆ホタル石型)では、陰イオンが立方最密充填 配列し,陽イオンの位置だけが異なる構造をとる.それぞれの結晶における陰イオンおよび陽 イオンの配位数を答えよ.また,下図に示す陰イオン(○)により形成される格子中に陽イオン を●で表示し単位格子を完成せよ.なお,Li2O に対して、原点を陰イオンの位置から陽イオン の位置に移した単位格子を全ての陽イオンと陰イオンを表示し完成せよ.ただし、解答欄には 単位格子中の 1 つの陽イオン(●)が原点に表示してある. NaCl 陽イオンの配位数: 陰イオンの配位数: 23. ZnS 陽イオンの配位数: 陰イオンの配位数: Li2O 陽イオンの配位数: 陰イオンの配位数: NaCl,CsCl の陽イオンと陰イオン間の平衡距離を 2.82,3.57 Å とするとき,それぞれの結晶 の密度を計算せよ.ただし,Na,Cs,Cl の原子量は各自調べること.
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