乳製品情報2014年4月号

Lacto Japan Co., Ltd.
TEL: 03 6214 3831
FAX : 03 6214 3721
株式会社 ラクト・ジャパン
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町 4-8-15 ネオカワイビル 3F
ラクト・ジャパン乳製品情報 4 月号
2014/4/1
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記にて乳製品情報 4 月号をお届け致しますので、ご査収の程宜しくお願い申し上げます。
<目次>
脱脂粉乳・全脂粉乳情報
「やや弱含む粉乳相場」
・・・ 2-3 頁
バター情報
「好調な欧州、依然として堅調な米国、オセアニア相場」
・・・ 4-5 頁
ホエイ情報
「米国産 SWP 価格は強含み、EU 産は下落基調に」
・・・ 6 頁
カゼイン情報
「3 月に入ってカゼイン相場・需給は安定」
・・・ 7 頁
乳糖情報
「欧州、米国共に概ね堅調に推移」
・・・ 8 頁
チーズ情報
「欧州産チーズ輸出動向」
・・・ 9 頁
「米国 CME 相場」
「好調なチーズ輸出 米国」
国内情報
「加工向け生乳生産量 大幅減」
・・・ 10-11 頁
「2014-15 年度、11 ヶ国で生産割当超過か」
・・・ 12 頁
今月のトピックス
アムステルダム駐在員情報
「FrieslandCampina 社、利益半減」
「Danone 社、シンガポールの Genome 研と提携」
メルボルン駐在員情報
「WCB 社上期大幅増益,、Bega・MG 両社も 2 ケタ増益」
「中国当局、NZ 乳製品工場を視察へ」
・・・ 13-16 頁
「今年は牛乳生産が増加、NZ Fonterra 予想」
「NZ Fonterra、細菌混入騒動で違反認める」
米国駐在員情報
「2 月の生乳生産量」
・・・ 17-18 頁
「バター、SMP の輸出量」
「ホエイパウダーの生産量減」
「酪農家の収入改善」
中国情報
「三元食品が 40 億元増資、粉乳工場新設」
「ニュージーランド産乳児用粉ミルクの中国認証規制」
出典
1
・・・ 19 頁
<粉乳情報>
-やや弱含む粉乳相場EU の生乳生産は天候にも恵まれ、季節的要因で引き続き好調に推移している。オセアニアついては、豪州が
現在まで前シーズン比較マイナスにて推移している一方、ニュージーランドは好調に推移してきているが、最近に
なって北部が干ばつに見舞われているようで、今後の動向に注視する必要がある。米国も概ね乳量は好調な
模様。
中国からの引き合いが一時期と比べ落ちつき、全粉乳、脱脂粉乳の価格が弱含む兆しを見せているが、
第二四半期についてはどのサプライヤーもほぼ完売となっている。
-EUEU の生乳生産量は好調に推移している。EU28 ヶ国の 1 月の生乳生産量は前年同月対比+5.1%となっており、
主要生産国であるフランスは+3.5%、ドイツ+4.0%、オランダ+5.1%と何れも上昇に転じている。4 月からスタートする
第二四半期の生産に向けて乳量は潤沢に確保できているようである。これを受けて工場を製造可能量一杯に稼働
させているところが多く、加えてドライヤーを増設させたサプライヤーについては、今後更に製造量が増加していくと
予想される。
EU 産の脱脂粉乳相場は、域外の輸出が落ち着き、乳量も好調に推移していることから、全体的に若干弱含みにて
推移している。今後、新しいドライヤーの稼働等を背景に製造量が増加し、供給力が上昇することが期待される。
一方で、デリバリーが遅れていた既契約分をまず供給することに重きを置いているサプライヤーも見られ、
第二四半期においては、まとまった数量を新しくオファーできるサプライヤーは限られている。EU の 1 月の輸出量は
50 千トンにまで上り、これは前年同月対比+43%増となっている。中国とアルジェリアの 2 ヶ国向けに合計約 16 千トンを
輸出した模様。他、中東や東南アジアからの引き合いも多く見られる。
EU 産の全粉乳の価格はほぼ横ばい、または若干の弱含みにて推移している。オセアニアの供給量が一時期に
比べ回復してきたことから、需要の集中が依然よりも緩んだ印象を受ける。
-オセアニア豪州の生乳生産量は季節的要因で減少しているものの、1 月の生乳生産量は前年同月比+3.1%の上昇となった。
但し、シーズン全体として見ると現在までの生産量は前年対比-2.2%となっている。魅力的な乳価の恩恵を受け、
生産者は干し草等を与えてできるだけ生産量を上げようとしているようで、これを受けて豪州北部では干し草の
消費量が例年に比べ伸びている模様。
ニュージーランドの 1 月の生乳生産量は前年同月比+7.4%の 247 万トンとなっている。北部は現在乾燥した気候が
続いており、生産者は飼料節約の為に搾乳量が少ない乳業を優先的に休ませている様子。南部に関しては理想的な
降雨を得られており、今なお牧草が良い状態に保てているようである。
オセアニア産の脱脂粉乳の価格は全体的にほぼ横ばい、サプライヤーによっては若干の弱含みにて推移して
いる。豪州のサプライヤーについては第二四半期まで売り切ったサプライヤーが殆どで、スポット対応もあまり期待
できない。一方、ニュージーランドについては若干であればスポットでオファーできるサプライヤーも見受けられる。
3 月 18 日に行われた gDT では平均価格 USD4,584/MT(本船船側渡し価格)となっており、1 ヶ月前(2 月 18 日)
の平均価格 USD4,780/MT と比較すると-4.1%、下降に転じている。東南アジアからの需要は引き続き強い模様。
オセアニア産の全粉乳は脱脂粉乳同様横ばいもしくは若干の弱含みにて推移している。3 月 18 日に行われた
gDT の平均価格は USD4,439/MT(本船船側渡し価格)となっており、2 月 18 日の平均価格 USD4,999/MT
(本船船側渡し価格)と比較すると-11.2%となっている。中国からの需要が一時期に比べて落ち着いたものの、
新規に第二四半期のオファーをだせるサプライヤーは限られており、スポットでの対応になっているところが殆どの
ようである。
脱脂粉乳、全粉乳とも第二四半期の供給量は非常に限られている為、第三四半期の供給・価格に注視して
いきたい。
2
-米国米国の 1 月の生乳生産量は前年同月対比+1.0%にて推移した。魅力的な乳価は生産者の生産意欲を高めており、
2014 年第一及び第二四半期の合計生産量は前年同期対比+2.0-2.5%上昇する見込み。
1 月の脱脂粉乳の生産量は昨年同月対比+22.6%となっており、その数字から需要の強さが伺える。現在
第二四半期まで売り切れのサプライヤーは殆どで、スポットでの対応も難しい様子。最大需要者の中国への 1 月の輸
出量は前年同月対比+92.7%の 34,123 トンであった。全粉乳についても 1 月だけで 124,900 トンを同国に輸出し、
+62.6%の上昇。脱脂粉乳の価格は現在、概ね EU 産とほぼ同じレベルで推移している模様。
-今後の見通しどの地域も概ね天候に恵まれ、全体として生乳生産は好調に推移したと言える。但し、期近の船積みでもスポット
ベースで対応できるサプライヤーもいるようであるが、基本的に第三四半期からオファーを受け付けるサプライヤー
が殆ど。
EU においては期待していた以上の生乳が確保できており、今後も需要が強い脱脂粉乳、全粉乳を製造していく
ことが予想され、逼迫した供給状況が緩和されることを期待したい。
オセアニアは、以前に比べて脱脂粉乳と全粉乳を製造した時の利益率が徐々に狭まってきていることから、今後
サプライヤーがどちらの製造に重きを置いていくか、意向を確認しながら適切なタイミングで玉を確保したいところ。
中国の需要は一時期に比べて落ち着いたと声が聞かれる一方で、高値で推移してきた相場が弱含んできた今を
見計らって玉を確保し始めている他地域の需要者も見られる。また、まだ相場が下がる余地があると予想して買い
控えている需要者もいるようで、全体の需要としては依然強いようである。第三四半期についても引き続き
サプライヤーの供給状況に注視し、売り切れになる前に早めに調達することが賢明である。また、価格については
今後 EU、オセアニアが今まで市場を牽引してきた米国をどこまで追随できるか期待したい。
-現在の粉乳取引価格EU 産脱脂粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
EU 産全粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
: USD4,700 – 5,000/MT CFR ASIAN PORT
: USD 5,300 – 5,600/MT CFR ASIAN PORT
オセアニア産脱脂粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
オセアニア産全粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
: USD 5,000 – 5,300/MT CFR ASIAN PORT
: USD 5,100 – 5,400/MT CFR ASIAN PORT
米国産脱脂粉乳価格(ADPI EXTRA GRADE)
: USD 4,700 – 4,900/MT CFR ASIAN PORT
<清水>
3
<バター情報>
-好調な欧州、依然として堅調な米国、オセアニア相場クリミア半島を巡るロシアの動きに対して、EU は
禁輸措置による牽制を検討しているが、今のところ
域内のバター市場への影響はさほど見られないと
伝えられている。実際には、3 月中の EU バター相場
は僅かではあるが値を下げた。酪農家への高い
乳価、飼料コストの低下、加えて暖冬により EU の
生乳生産量が依然増えており、オランダ公定価格は
先月に 続き やや下げ て、 2 - 3 月の 2 ヶ 月で は
EUR130/MT 下落となった。今後 1~2 ヶ月以内に
迎えるピーク時に向けて生乳生産量がさらに増加
していくと見られ、2014 年前半はしばらくこの基調が
安定して続きそうである。価格はもう一段の下げを
期待したいところである。
オセアニアバター相場は、中国をはじめとするアジア新興諸国からの需要が相変わらず強い上に、端境期で依然
高値安定にて推移している。豪州では生乳生産が不調である一方、NZ では好調であるが、中国の需要を賄える
程ではない。gDT オークション第 1 回目(3 月 4 日)は AMF が USD5,126/トン FAS(本船船側渡し)で前回比 3.5%減
に対し、バターは USD4,746/MT FAS(本船船側渡し)で前回比 3.5%増と対照的な結果となった。2 回目(3 月 18 日)は
AMF が USD4,578/MT FAS(船側渡し)で前回比 10.7%減、バターは USD4,534/MT FAS(本船船側渡し)で前回比 4.5%
減という結果となった。平均落札価格の大幅な下落の主要因としては、NZ の生乳生産が期待以上に好調で、
オファー数量が全体的に増加したことが考えられる。
米国のバター輸出量は依然増加しており、1 月の輸出量は昨年同月比 136%増と、大きく上回っている。
生乳生産量も引き続き堅調に推移しており、国内需要も好調のようだが期近の輸出用の玉は売り切れ。
CME バター相場価格は緩やかに推移していたが、月末には約 USD180/MT 値上がりし、USD4,400/MT 程度の高値と
なった。
-CME(シカゴ)バター相場(トン当たり換算、国内、直物、加塩 80%脂肪)-
US$4,500
US$4,250
US$4,000
US$3,750
US$3,500
US$3,250
US$3,000
US$2,750
4
2014 年 3 月
現在のバター取引価格
EU 産バター価格
オセアニア(NZ、豪州産)バター価格
米国産バター(無塩 82%脂肪)価格
(換算レート EUR/USD1.37)
USD5,300~USD5,650/MT CFR ASIAN PORTS
USD4,900~USD5,100/MT CFR ASIAN PORTS
USD4,750~USD5,200/MT CFR ASIAN PORTS
<山渕・近藤>
5
<ホエイ情報>
-米国産 SWP 価格は強含み、EU 産は下落基調に米国産ホエイパウダーの価格は依然として安定的若しくは強含みにて推移している。
好調な生乳生産に支えられ、チーズの生産量が伸びた事により 、ホエイパウダーの生産も堅調に推移
している一方で、米国内のホエイパウダーの需要は根強く、在庫は既契約分を履行するのがやっとで、スポット取引
は限定的である模様。
またタンパク質濃縮ホエイパウダー(WPC)などの高付加価値製品に対する需要が依然強く、スイートホエイ
パウダーの生産量が限られていることも、価格を押し上げる要因となっている。
今後は季節的に米国の生乳生産量の伸びる時期であるため、それに伴いホエイパウダーの生産量が増加し、
相場の弱含みを期待する声が多く、期近のみ抑え、先の契約はせずに市場を静観しているバイヤーが多い。
WPC-34 の価格は引き続き高値に推移している。生産は安定的に行われているものの、高たんぱく製品に対する
需要が引き続き堅調で、脱脂粉乳の代替用途としての海外からの引き合いも依然あり、今後も相場は底堅く推移して
いくことが予想される。
EU 産ホエイパウダーの価格は若干の弱含みにて推移している。前月に引き続き、チーズ増産に伴い
ホエイパウダーの生産量が好調であり、増産分の多くは WPC の製造に回され、スイートホエイのみならず、WPC の
価格も下落基調にある。米国産に比べ EU 産の価格競争力があることから、アジアを中心とした EU 域外からの
引き合いが旺盛で、この状況が続けば EU 産の価格が再び上値に転じる可能性もあるため、今後の状況を
注視したい。
<帆秋>
6
<カゼイン情報>
-3 月に入ってカゼイン相場・需給は安定3 月に入ってカゼイン相場は安定的に推移している。引き合いも活発に行われてはいない模様。
3 月入ってから 行われた gDT オークションにおいて、全粉乳並びに脱脂粉乳の平均落札価格が下落したが、
それがカゼイン相場にも影響するのではと様子をみるバイヤーが多いものと推察される。
結果、現時点での需給は非常に安定している。
EU 域内の生乳生産も引き続き順調と伝えられている。2015 年の生乳生産割り当て枠撤廃を見越して、アイルランド、
フランス、オランダ、ドイツといった EU 域内における主要カゼイン生産国では、酪農家へ支払われている乳価が現在
高く設定されている事もあって、生乳生産の伸びが期待されている。従って、供給面の不安は非常に限られている
とみて良いだろう。
今後の相場は、全粉乳並びに脱脂粉乳の相場の動きに連動するものと思われる。
gDT オークションにおけるレンネットカゼインの平均落札価格については、1 回目(3 月 4 日実施)については
微増となったが、2 回目(3 月 18 日実施)については約 11%の下落となった。
1 回目において全粉乳並びに脱脂粉乳の平均落札価格が下落したことが影響をしたとみて良いだろう。
-レンネットカゼインの gDT 平均落札価格(2013 年 11 月以降)入札日
カゼイン(単位:トン)
2013 年 11 月 5 日
USD9,926
2013 年 11 月 19 日
USD9,418
2013 年 12 月 3 日
USD11,011
2013 年 12 月 17 日
USD11,770
2014 年 1 月 7 日
USD11,903
2014 年 1 月 21 日
USD12,390
2014 年 2 月 4 日
USD11,876
2014 年 2 月 18 日
USD11,461
2014 年 3 月 4 日
USD11,791
2014 年 3 月 18 日
USD10,533
<池田>
7
<乳糖情報>
‐欧州、米国共に概ね堅調に推移‐欧州‐
2013 年末に底を打った欧州産乳糖相場は、 2014 年 国別乳糖輸入量:2 月時点での累計(単位/トン)
第 2 四半期の価格交渉を終え、引き続き堅調な動きを見せて
2013
2014
(%)
いる。
オランダ
1,818
1,192
-35
供給については、引き続き EU 域内が好天に恵まれており
フランス
279
254
-9
生乳生産が好調。結果、チーズ生産も順調に推移し、原料で
ドイツ
1,912
1,889
-1
あるホエイの調達・乳糖生産も順調に推移している。
カナダ
504
478
-1
一方、需要に つ いては特に EU 域内において順調な
米国
5,300
6,233
18
生乳生産に後押しされる形で粉乳生産が盛んに行われて
豪州
0
0
いることから、粉乳のタンパク調整用途での乳糖の需要も
ニュージーランド
646
352
-46
伸びており、相場は堅調な動きを見せている。
その他
170
512
201
今後の相場動向については、乳糖の生産量自体は増加して
合計
10,626
10,910
3
いるものの、中国をはじめとする粉乳需要は引き続き高く推移
すると予想され、粉乳のタンパク調整用途での需要増を背景に上昇基調で推移すると見られる。
‐米国‐
米国産乳糖相場は 2013 年末に下落後堅調に推移しており、2014 年第 2 四半期の価格交渉を終えた現在も
相場は概ね横ばい、もしくは堅調な推移を見せている。
需要については、メッシュの細かい乳糖は引き続き非常に引き合いが強く、在庫は減少している。より安価な
メッシュの粗い乳糖についても、ある程度の在庫はあり供給余力はあるものの、メーカーごとに在庫量に差が
出来ている模様。また、メッシュの粗い乳糖については南北アメリカ、オセアニアからの引き合いも見られている。
特にニュージーランドでは順調な生乳生産を背景に設備投資含めた粉乳の増産計画を進めており、同地域からの
先々の引き合いも増えている。
供給については、乳糖の生産拠点の集まる中西部において寒波の影響が見られ、生乳生産は昨年対比減少して
いる。また粉乳生産の増加によりチーズ生産に向けられる生乳が減少しており、ホエイの生産量が減少している。
2014 年 1 月のホエイパウダーの生産量は昨年対比 2 割以上減少しており、乳糖の生産にも影響を与えている。
また、悪天候等によるコンテナ不足は、引き続き輸出向け貨物の遅れを引き起こしている。
今後については、強い引き合いにより供給面でタイトなサプライヤーも見られ、また生乳生産が順調に行われて
いるニュージーランドでは引き続き粉乳生産に力を入れていく模様であり、タンパク調整用途での乳糖需要は
引き続き好調、相場も当面は横ばいもしくは堅調に推移すると思われる。
-米国からの乳糖輸出量(2014 年 1 月)1. ニュージーランド
5,060 トン
2. 中国
3,721 トン
3. 日本
3,604 トン
4. メキシコ
2,650 トン
5. インドネシア
2,309 トン
6. ブラジル
1,286 トン
7. シンガポール
982 トン
輸出量総計
29,558 トン
-米国の乳糖生産量と在庫量(2013 年 12 月)乳糖生産量
月末在庫
43,182 トン
45,949 トン
前年比 7.4%増
前年比 13.0%増
前月比 3.6%増
前月比 7.4%減
8
<作田>
<チーズ情報>
-欧州産チーズ輸出動向2013 年における欧州よりの世界各国へのチーズ輸出量は史上最高を記録した。
欧州産チーズ、特にチェダーチーズ・ゴーダチーズ・エメンタールチーズといったハード・セミハードチーズは
欧州にとって主要な輸出製品となっており、上述した天候不順の影響にも関わらず、ハード・セミハードチーズの
輸出量は 2012 年の 543 千トンから 538 千トンへと微減に留まった。欧州産チーズは主にロシア、米国、スイスへと
輸出されており、ハード・セミハードチーズの輸出額は 2012 年対比 3.6%増の 2.71 億ユーロとなり、欧州産チーズ
総輸出額は 2012 年対比 5.3%増の 3.78 億ユーロとなった。
また、欧州産チーズの輸出先として 2012 年対比 21%増といった顕著な成長を遂げていたウクライナであったが、
ロシアとの関係悪化によりこの成長に歯止めがかかることが予想されている。
上述した通りロシアは欧州産チーズ主要輸入国となっているだけに、今後も欧州地域、ロシアの動向には細心の注
意を払う必要があると思われる。
-米国 CME 相場-
2014 年 3 月の CME 相場スポット相場は 3 月 3 日に USD 4,912/MT から開始となった。2 月中旬よりスポット相場は
軟調に推移していたが、2 月末にかけて再上昇。3 月に入っても相場の勢いは衰えることなく、3 月 24 日には
2 月に記録した市場最高値を上回る USD 5,364/MT を記録した。
(※上記相場価格は全てメーカー現地工場からの庫前渡し価格)
-好調なチーズ輸出 米国米国産チーズ在庫量は 2013 年 7 月より減少を続けており、2014 年 1 月における在庫量は前年同期比約 1.6%の
減少となった。在庫量が減少を続ける一方で、1 月における生産量は前年同期比約 1.6%増加しており、改めて
米国産チーズへの強い引き合いを裏付けることとなった。欧州産、オセアニア産チーズと比べて価格競争力が
あることが、米国産チーズに対する強い引き合いの主な理由となっており、 西部地域におけるチーズサプライヤー
の中には、2014 年における輸出向け契約を既に終了するサプライヤーも出てきた。
輸出向けチーズ生産が好調な一方で、米国国内市場に対する供給はタイトになってきている。こうした理由を背景に
CME 相場は記録的な高水準で推移している。現在の水準は一時的であると考えられているものの、この傾向は
少なくとも第二四半期終わりまでは続くのではないかといった見方が有力である。
<土屋>
9
<国内情報>
-加工向け生乳生産量 大幅減-生乳・牛乳2014 年 2 月の全国の生乳生産量は 572,501 トン、前年同月比 3.7%減で 9 ヶ月連続での減産となった。北海道の
2 月の生乳生産量は 293,309 トン(前年同月比 4.2%減)、都府県は 279,192 トン(同 3.4%減)。 2013 年期累計(4~2 月)
で 6,803,991 トン(同 2.0%減)となった。ホクレンの速報値によれば、3 月上旬の北海道の生乳受託生産量は
前年比 3.2%減となり、厳しい状況が続いている。
離農や牧草の不作(品質低下)、昨年夏場の猛暑等が影響した為、13 年度の生乳生産量は 2 年ぶりの前年割れと
なる事が確実な模様。北海道は高齢化、後継者不足、不透明な TPP(環太平洋連携協定)、生産コスト上昇等により
将来へ不安が高まっている事から離農が進んでおり、その数は 3 年連続増加している。今年度の生乳受託戸数(北海道)は
2 月末時点で 6,181 戸となっており、年度初めと比較して、194 戸減少(3.1%減)となっている。北海道の 2 月の
加工向けは 19.6%減となり、1 月に続き 2 ヶ月連続で落ち込み、今年度で最大の落ち込みとなった一方で、飲用等向けは 4.3%
増、生クリーム等向けは 7.4%増となった。生乳生産は当面厳しい状況が続くと予想され、前年割れの状態が続く見通し。
-バター1 月のバター生産量は 4,793 トンで前年比 23.5%減となり、先月に引き続き前年数量を大幅に下回って推移
している。全国の生乳生産量が大きく落ち込んでいる中で、需要が堅調な生クリーム等向け(前年同月比 4.1%増)や
チーズ向け(同 4.4%増)が大きく増加し、優先順位が低い加工向けは、2 月の北海道で約 20%減と大幅に減少した。
加工向け生乳が大幅に減少しており、バターの在庫は 18,209 トン(前年同月比 17.8%減)と予想を大きく下回り、
積み増しが難しい状況が続いている。3 月からバターの価格改定が始まっている。乳業メーカーとしては価格改定を
通じて需要の引き締めを行い、適正在庫を維持したいところだが、増産の見通しがつかない事から、需給の厳しい
状況が続く見通しとなっている。
-脱脂粉乳2 月の脱脂粉乳の生産量は 9,471 トンで前年比 24%減と大幅な減少とり、在庫量も 40,950 トンで前年比 12.2%減と
なった。2013 年 7 月以降は対前年比でマイナスが続いており、2014 年 1 月~2 月は 2 ヶ月連続で二桁のマイナスとな
った。バターと同様に加工向けが大幅に減少している状況を受け、脱脂粉乳も同様にタイトな状況となっている。
4 月 1 日以降は消費増税となり、消費の動向を注視する必要があるが、夏場に向けて需要が堅調に推移した場合、
更なる逼迫となる可能性もあるので、状況をよく注視したい。
10
生乳生産量(26 年 2 月)(単位:千トン)
平成 25 年度
前年比
生乳生産量
牛乳等向け
573
96.3%
303
100.5%
内業務用
24
109.7%
平成 25 年度、バター需給予想(単位:トン)
生産量
前年比
消費量
第 1 四半期
19,676
104.8%
17,033
第 2 四半期
13,763
93.3%
16,471
第 3 四半期
13,617
88.6%
22,000
第 4 四半期
18,629
87.7%
18,000
合計
65,685
93.7%
73,504
在庫量はカレントアクセスによる輸入バター(民間)を含む
平成 25 年度、脱脂粉乳の需給予想(単位:トン)
生産量
前年比
消費量
第 1 四半期
37,618
103.8%
38,475
第 2 四半期
26,129
90.9%
35,559
第 3 四半期
30,737
88.9%
30,874
第 4 四半期
36,167
86.4%
28,667
合計
130,651
92.4%
133,575
在庫量はカレントアクセスによる輸入脱脂粉乳(民間)を含む
乳製品向け
その他
265
91.8%
4.8
99.8%
前年比
87.0%
92.2%
105.8%
105.9%
97.7%
前年比
104.7%
98.4%
90.7%
87.7%
95.7%
在庫量
前年比
25,713
119.7%
23,005
103.4%
16,000
85.0%
18,000
18,000
78.0%
78.0%
在庫量
前年比
52,967
112.4%
44,137
111.1%
44,000
109.3%
51,500
51,500
104.2%
104.2%
月数
4.1
3.7
2.6
2.9
2.9
月数
4.6
3.8
3.8
4.4
4.4
<神田>
11
-2014-15 年度、11 ヶ国で生産割当超過か2014-15 年度、EU の 11 ヶ国で生乳生産割当数量を超過するのではないかと、現時点で見込まれている。
製品価格の大幅な上昇と、多くの地域で良好な天候が続いていることから、ヨーロッパ乳業協会(EDA)は、
オランダ、アイルランド、ドイツ、フランス、ポーランド、オーストリア、デンマークの 7 ヶ国で割当数量を超過すると
予想している。
更にエストニア、ラトビア、ルクセンブルグ、キプロスの 4 ヵ国でも割当量を超える可能性が高いという。
EU 委員会のレポートによると超過が特に大きいのは、昨年 12 月に 1 ㎏あたり 44 ユーロセントという非常に高い
乳価を支払ったオランダである。1 ㎏あたり 28 ユーロセントの課徴金の支払いが見込まれるにも拘わらず、酪農家は
引き続き強い生産意欲を持っているようである。乳業各社も 2015 年 4 月の割当廃止に向けて 700 億ユーロを費やし、
処理設備の増大を進めている。
フランスは 2012-13 年度の天候不順による落ち込みの反動もあるが、2013-14 年度後半の生乳生産の伸びは
非常に大きい。2 月 10 日の週(week 7)はフランス全体で前年比 5.9%アップ、特に主産地であるブルターニュ地方で
7.7%、ノルマンディー地方は 8.9%の伸びとなった。
増加する生乳の多くはチーズ製造に向けられ 2013 年度は 1%の伸びを示した。EU のチーズ輸出はロシア向けの
4.6%アップをはじめ、全世界向けとしては 2.6%の上昇し、増大する生産量を吸収している。輸出市場の伸びを受けて、
チーズ製造は 2014 年に 1.2%、2015 年は 1.7%の伸びが見込まれている。
-FrieslandCampina 社、利益半減オランダ乳業大手の FrieslandCampina 社は、昨 2013 年下半期の利益が 1 億 5700 万ユーロとなり、前年同期の
2 億 7400 万ユーロからほぼ半減した。同社業績報告での発表によると、減益は営業権の減損処理(2 億ユーロ)が
主な原因という。
利益こそは期待外れだったが、FrieslandCampina 社は「良い 1 年だった」としている。製品価格が 17%上昇し、
「歴史的な高値」となりグループ全体の売上額は 103 億ユーロから 11%伸びて 114 億ユーロになった。
アジアとアフリカで乳飲料と育児用製品の販売が伸びたこともプラスに作用した。同社は乳業において世界 5 大
メーカーの一つであり、世界 28 ヵ国に進出している。欧州での売り上げは逆に低下しているが、同社の見込みで
は、全体的な売上げ上昇は今年も続くとしている。
-Danone 社、シンガポールの Genome 研と提携Singapore Genome 研究所(GIS)は、フランス乳業大手 Danone 社が運営する研究機関 Nutricia Research と
腸内細菌の健康効果に関する研究で提携した。
腸内細菌には消化促進、ビタミン生成や、人体で自然に生み出すことができない必須酵素を生成する効果などが
確認されており、両機関は栄養学の観点から若年期の栄養摂取と腸内細菌の関連性を調べ、その後の病気予防に
役立てる研究を手掛けるという。
提携期間は 3 年で、Nutricia Research の研究チームが 2 種類の研究を行い、GIS は最新のゲノム分析機器を
提供して同研究を支援することになる。
<木幡>
12
-WCB 社上期大幅増益、Bega・MG 両社も 2 ケタ増益Warrnambool Cheese & Butter 社 (WCB) が発表した 2013 年 12 月中間決算は、純利益が 3,130 万豪ドル
(約 28 億 3,300 万円) と、前年同期から 105%増加した。乳製品価格の上昇や乳製品需要の高まりが業績を
押し上げた。
同社売上高は前年同期比 25%増の 2 億 8,920 万豪ドル。6 月通期の業績見通しについて、乳製品需要の世界的な
高まりや豪ドル安が業績に貢献するとしている。既報の通り同社をめぐる買収合戦はカナダの乳業大手 Saputo 社が
勝利し、同社の WCB 株保有率は 87.9%となっている。
Bega と MG 両社も 2 ケタ増益
New South Wales 州の Bega Cheese 社も好調。13 年 12 月中間決算は純利益が 1,870 万豪ドルと、前年同期から
18%増加した。これには Saputo 社に売却した WCB 株 18.8%の売却益 4,400 万豪ドルは含まれていない。
売上高は同 4.1%増の 5 億 1,060 万豪ドルで、設備投資には Melbourne 西部の粉乳加工施設建設などに
約 1,700 万豪ドルを投じた。中国からの需要にけん引される形で乳製品価格が上昇し、業績に貢献した。
また、Murray Goulburn 社 (MG) の 13 年 12 月中間決算は、税引き後利益が 6,100 万豪ドルと、前年同期から 17.6%
増加した。売上高も同 18.3%増の 13 億 4 千万豪ドル。
乳製品価格の上昇を背景に、同期の出荷価格 (加重平均) は 31%上昇。前年同期と比べて、酪農家への支払額は
あわせて 2 億 2,500 万豪ドル増えた。Saputo 社へ売却した WCB 株 17.7%の売却益 5,100 万豪ドル (税引き前) は
同決算に含まれていない。
-中国当局、NZ 乳製品工場を視察へ中国国家認証認可監督管理委員会は今月、New Zealand (NZ) を訪問し、乳製品と育児用粉乳製造工場 7 カ所を
視察する予定。(NZ Herald)
NZ の第一次産業省が明らかにしたもので、この中には乳業大手 Fonterra 社や Westland Milk Products 社などの
施設が含まれている。生産工場のほか、研究所や農場も訪れる予定。Fonterra 社への中国当局による訪問は初めて。
同社では、育児用粉乳を生産している Hamilton 工場を含めた施設 3 カ所が視察の対象になるとみられている。
中国では昨年末以降、粉ミルクの生産管理規定を厳格化しており、すでに基準を満たさない国内企業の工場を
閉鎖するなどしている。また今年 5 月をめどに、国内外の企業に対して、新しい許可証の取得を求めている。
これを受けて、NZ 国内の製造・輸出業者の間では規制に対する不安が広がっている。
-今年は牛乳生産が増加、NZ Fonterra 予想Fonterra NZ 社は、本年度の生乳生産量が前年を上回るとの見通しを示した。
気候は乾燥しているものの、昨年の干ばつほどは深刻ではないことに加え、加盟酪農家に対する分配金
引き上げも増産につながると見ている。(Australian)
2013/14 年度の NZ の乳固形分の生産量は前年度比 7.5%増の 157 万キログラム(生乳換算で 2 千万トン強)
となり、同社がこれまで示していた 6.4%増を上回る見込み。
加盟酪農家に対する分配金予測を固形乳 1 キロ当たり 8.65NZ ドル (生乳換算で NZ Cent 60.98/リッター) と
すると、同社が支払う分配金は総額 136 億 1 千万 NZ ドルとなる。
Fonterra 社は昨年 7 月末までの 1 年間では、NZ 国内の酪農家からの生乳調達に乳固形分 1kg 当たり
5.84NZ ドル、総額 86 億 4 千 NZ ドルを支払った。
同国内、Waikato や Northland など一部の地域で乾燥した気候の影響がみられるものの、昨年と比べると広範な
地域ではないとしている。
同社の上半期決算予想では、14 年の税・利子引き前利益 (EBIT) は 13 年の 10 億 NZ ドルから 5 億~6 億 NZ
ドルに落ち込むとしている。
13
-NZ Fonterra、細菌混入騒動で違反認めるFonterra NZ 社は、世界的な同社製品のリコール (回収) につながった 2013 年の細菌混入騒動について、NZ の
食品安全規制に違反していたことを認めた。
第一次産業省 (MPI – Ministry for Primary Industries) は同社に対し、安全基準を満たさない製品を輸出した
疑いなど 4 件の違反について告発していた。
同社は 4 件すべてについて告発内容を否定しない方針で、今後、最高 50 百万 NZ ドルの罰金を科せられる
可能性がある。
騒動は昨年 8 月、同社が自社製ホエイに、ボツリヌス中毒症を引き起こす可能性のある細菌が検出されたと
発表し、NZ 産乳製品の安全性を揺るがせる事態に発展した。ただ、その後の調査では、検出された菌が無害の
バクテリアだったことが判明している。
4 件の違反は、◆不適切な乳製品加工、◆基準を満たさない動物性食品の輸出、◆乳製品加工が不適切だった
可能性について検証者への報告を怠った、◆輸出済みの乳製品について不備があることについて迅速な報告を
怠った、となっている。
一方で、Fonterra 社の Wilson 会長は、中国での販売について、細菌混入騒動後の売り上げは数週間は横ばいが
続いたものの、その後すぐに目標を上回るペースで増えていると語った。同社の中国での売上高は年間40 億NZ ドル
を超えており、速いペースで成長が続いている。
14
-2014 年 2 月のビクトリア州の主な町の降雨量 (mm)Tatura (北部)
Warrnambool (西部)
Bairnsdale (東部)
Albury (北東部)
Melbourne
2 月降雨量
昨年同月降雨量
平年
平年比
11.0
8.0
12.8
31.6
25.6
45.5
20.4
46.6
2.0
66.4
34.1
32.5
50.6
49.4
48.1
-67.7%
-75.4%
-74.7%
-36.0%
-46.8%
-2014 年 3 月のビクトリア州の降雨量
3 月降雨量
Tatura (北部)
Warrnambool (西部)
Bairnsdale (東部)
Albury (北東部)
Melbourne
30 日時点 (mm)昨年同月降雨量
25.6
42.6
41.8
38.8
23.4
39.2
22.0
65.8
51.0
41.4
※グラフは 2014 年 3 月 30 日までの降雨量
15
平年
平年比
34.9
49.7
45.4
42.0
50.3
------
-ニュージーランドの主な町の降雨 2014 年 2 月と累計 (mm)2 月降雨量
昨年同月降雨量
South Auckland (北島)
Taranaki (北島)
North Canterbury (南島)
Southland (南島)
64.0
20.2
51.8
58.8
12.5
29.6
20.8
39.7
-生乳生産量-
平年
平年比
61.0
95.8
43.0
86.7
+4.9%
-78.9%
+20.5%
-32.2%
単位:百万リットル
’14, 1 月の生乳生産量(前年同月比)
’13, 7 月~累計(前年同時期比)
NSW
84.3 (-3.0%)
638.5 (-4.7%)
Victoria
535.0 (+4.8%)
4,075.9 (-1.5%)
Queensland
35.9 (-4.2%)
266.8 (-5.8%)
South Australia
42.8 (-6.2%)
316.0 (-6.1%)
Western Australia
25.7 (-3.6%)
202.4 (-3.4%)
Tasmania
81.4 (+9.7%)
499.6 (+0.8%)
Australia
805.2 (+3.1%)
5,999.3 (-2.2%)
-ビクトリア州の地域別生産量-
単位:千リットル
’14, 1 月の生乳生産量(前年同月比)
’13, 7 月~累計(前年同時期比)
東 部
178,652(+7.1%)
1,299,136(-0.3%)
北 部
180,861 (+0.8%)
1,315,370 (+0.4%)
西 部
175,464 (+7.0%)
1,461,441 (-4.0%)
ビクトリア州全体
534,977 (+4.8%)
4,075,947 (-1.5%)
-豪州品目別生産状況-
単位: トン
’14, 1 月 (前年同月比)
’13, 7 月~累計(前年同時期比)
バター
8,097 (+29.5%)
57,328 (+0.6%)
バターオイル
1,048 (-35.7%)
7,045 (-27.7%)
チェダー
14,228 (+1.7%)
99,082 (-7.7%)
その他チーズ
11,906 (-20.1%)
81,407 (-15.7%)
脱脂粉乳
21,270 (+84.1%)
150,424 (-4.1%)
全粉乳
6,287 (-20.7%)
89,092 (+11.3%)
ホエイ、WPC
6,208 (-9.5%)
37,952 (-9.1%)
<辰澤>
16
-2 月の生乳生産量西部地域では引き続き堅調な成長・回復が見られているが、ロッキー山脈以東特に北部では伸び悩みや昨対減が
目立つ。米国農務省(USDA)の発表によると 2 月の生乳生産量は昨年 2 月比 1.1%増の約 721 万トンであった。
2 月の搾乳乳牛頭数は約 1.2 万頭の減少となっている模様で、生乳生産増は 1 頭当たりの搾乳量が 1.2%増加したこ
とによる。
USDA は生乳生産主要 23 州でミズーリ州を除外しサウスダコタ州を新たに加えた。2013 年サウスダコタ州の
生乳生産は 90 万トン強であったのに対し、ミズーリ州は 59 万トン弱であった。
同 23 州のうち 16 州は昨対増であったが、7 州は昨対減であった。
主要生乳生産州別の昨年比
ワシントン州
アイダホ州
カリフォルニア州
テキサス州
ニューメキシコ州
ウィスコンシン州
ミネソタ州
ミシガン州
+3.1%
+2.6%
+5.3%
+3.2%
-1.4%
-2.0%
-2.3%
+0.7%
-バター、SMP の輸出量1 月米国のバター輸出量は 12 月の水準からは 0.7%落ちたが、依然昨年比を大きく上回っており、約 10,160 トンで
2013 年 1 月比 136%増となった。
バターの輸出量は 2013 年 8 月以降、前年を 9,000 トン強上回るペースでの推移となっており、その大部分は
北アフリカ、中東向けとなっている。
1 月のバター輸出量全体の 60%が同 2 地域向けであったが、単一国で最も多い向け先はウクライナで、同全体の
11%を占めた。
NFDM/SMP の輸出量は 2013 年 10 月の約 51,700 トンをピークに落ち着きが見られており、1 月の輸出量は
約 38,700 トンで 2013 年 12 月比 12%減である。
しかしながら、2013 年 1 月比では 22%増となっており、向け先としてはフィリピン向けが約 7,000 トンで 232%増、
中国向けは約 2,500 トンで 666%増となっている。
メキシコ向けは 8%の減少であるが、依然米国 NFDM/SMP の最大の輸入国で約 13,600 トン、輸出全体の 35%を
占めた。
-ホエイパウダーの生産量減1 月食用ホエイパウダーの生産量で急減が見られた。USDA の発表によると 1 月の生産量は約 3.13 万トンで 12 月
の約 3.67 万トン、2013 年 1 月の約 3.91 万トンから大幅な減少である。
平年ホエイパウダーの生産は夏場よりも冬場の方が多く、1 月はホエイパウダーの生産量がピークであることが
多い。そのため 1 月の生産量の大幅減の影響は大きい。
主な原因は WPC/WPI の生産増にある。1 月 WPC のタンパク含量 25~49.9%は約 1.20 万トンで 2013 年 1 月比
46%増、WPI は単月の生産量の記録を更新し 0.36 万トンで昨対比 23%増であった。
生産減による在庫の減少が見られており、1 月の在庫量は約 2.49 万トンで、12 月比 7.7%の減少、2013 年 1 月比で
11.3%減となっている。生産量と在庫量の減少から取引価格に影響が出てきている模様。
17
-酪農家の収入改善Income-over-Feed(乳価から飼料価格を差し引いた酪農家の収入の指標)は 2 月キロ当たり 33.1 セントで、1 月比
2.4 セント、2013 年 2 月比では 18.4 セントもの改善が見られた。同指標は 2014 年 1 月から 2 月までの 2 ヶ月平均で
32.0 セントとなっており、これまでの最高値記録を 13.2 セント上回り、昨年同期比では 2 倍超である。
地域別には、全米 4 番目の生乳生産量であるニューヨーク州は 35.0 セント、ウィスコンシン州は 33.2 セント、
アイダホ州は最も大きい上昇幅で 1 月比 3.8 セント上昇であった。
アイダホ州は特にクラス 3 乳価の上昇の牽引が影響している。
カリフォルニア州は 1 月比 1 セント上昇に留まったが、アルファルファなどの飼料の取引価格の上昇が 8.7%と大きく、
相殺された形となっている。
ウクライナは世界第 3 位のトウモロコシ輸出、第 6 位の小麦輸出を誇る。その同国の政情不安により、一時的に
トウモロコシと小麦の価格は急上昇したが、米国穀物協会のクリミアのロシア占領地域は穀物の主要生産地ではない
という発表後落ち着いた。穀物輸出港であるオデッサはクリミアから離れて位置する。
しかしながら、ウクライナ通貨下落が起きているため、インフレに備えて穀物備蓄を積み増し傾向が高まり、穀物輸出
に影響を及ぼしている。
<斉藤>
18
-三元食品が 40 億元増資、粉乳工場新設北京首都農業集団傘下で 上海上場の 乳業大手、 北京三元食品( 北京市海淀区、 三元食品) は 1 日、
第三者割当増資により 40 億元(約 680 億円)を上限に資金調達し、粉乳生産工場を建設すると発表した。
調達資金のうち 15 億元を工場建設に投じ、このうち7億元を生産設備に、5 億 3 千万元を土木事業や
エネルギー設備にそれぞれ充てる。工場は北京市大興区瀛海鎮に設け、2015 年に1期工事が完成の予定。稼働後
は乳幼児向け、中高年向け、アイスクリーム向けなど年間 5 万トンの各種粉乳製品や、チーズなどを生産する。
三元食品は牛乳などの液状乳製品が売上高の 80%以上を占めるが、液状乳製品の粗利率は約 10%。これに
対し粉乳は約 70%と高いほか、中国の乳幼児向け粉ミルク市場は年平均 17%で成長し 17 年には 1,423 億元規模に達
するとみられる。
業績改善を目指す同社は今後、粉ミルク事業に積極投資する意向。
(http://www.21food.cn/html/news/13/1322922.htm)
(食品ビジネスネット 3 月 4 日)
-ニュージーランド産乳児用粉ミルクの中国認証規制中国の新政策管理により、ニュージーランド産乳幼児用粉ミルクが大きな制限を受ける事になる。今月
中国認証監督委員会の審査員がニュージーランドを訪問し、Fonterra 社の 7 か所の生産加工工場を検査予定である。
中国は 2008 年に発生したメラミン混入粉ミルク事件により、国産の粉ミルクを激減させ、結果輸入粉ミルクが激増
した経緯にある。これを境にニュージーランドの 100 社を超える粉ミルクメーカーが中国市場に乱立する結果となった。
情報によると、輸入業者を 10 社程迄絞り込む予定である。ニュージーランド本国で販売されているブランドのみ
中国への輸入が許可される可能性が高い。
Fonterra 社の中国地区の責任者 Kelvin Wickham 氏の発言によると、更なる厳格な規定は、充分な規模のある企業
が中国の乳児用粉ミルク市場に入る事が出来る事を意味しているという事である。
今回審査員のニュージーランド訪問は Fonterra 社のボツリヌス菌問題とは無関係であり、審査を経て
中国市場への全ての輸入ブランドが 5 月 1 日迄に登記される事となる。
(http://www.chinesemilk.cn/html/n2/1/2014-3-7/20143714553503.shtml)
(中国乳製品業界ネット 3 月 7 日)
<西村>
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作成・問合せ先:株式会社 ラクト・ジャパン
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第一チーム
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チーズ事業本部
チーズチーム
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出典:AGRA EUROPE 各誌、
Dairy Industry Newsletter
農畜産業振興機構“畜産の情報”
AMS Dairy Market News
日刊酪農乳業速報
Rice Dairy
NZ Herald
Stuff.co.nz
食品産業網
Weeklytimes
USDEC Export Trade Data
Global Trade Information Service
USDA’s Dairy Market News
Australian Financial Review
中国乳製品業界ネット
21 世紀経済報道
食品ビジネスネット
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