半導体パッケージ基板用プリント配線板材料 CS-3305A

Products News 201
Products News 202
今月の表紙
CCL with excellent Price/Performance for IC package substrate
Round window type
instrument Current transformer
ICチップの熱膨張率に迫り
コストパフォーマンスに優れる
受配電設備になく
受配電設備になくてはならない
てはならない
半導体パッケージ基板用プリント配線板材料
エポキシ樹脂モールド
丸貫通形計器用変流器
新開
▲丸貫通形計器用変流器
発
CS-3305A
利昌工業(株)化学技術研究所
RISHO KOGYO CO.,LTD.
Chemical Science
R&D Laboratory
■我が国初の絶縁方法
CTの内部には、ドーナッツ状のコアに電線を巻
利昌工業では1953(昭和28)年より、コイル
いたもの(コイル)が入っています。磁場を受
を樹脂に完全に埋没させて絶縁するタイプの計
けて、コイルには電線の巻き数に応じた電流が
器用変流器や変圧器を製造しております。
流れ、これを継電器やメーターへと伝えます。
「樹脂モールド」と呼ばれるこの絶縁方法は、
■はじめに
継電器は異常電流を検出すると、直ちにしゃ断
利昌工業が我が国ではじめて開発したもので、
高度情報化に伴い、電子機器の高機能化や薄
機と呼ばれるスイッチを動作させ電源を切り、
現在では、30キロボルト級までの計器用変流器
型化が急速に進んでいます。このような発展の
事故を未然に防ぎます。
背景には、CSP(Chip Scale Package)やPoP
式のものが、たくさん製造されています。
■正確な変流比と誤差精度を兼ね備える
(Package on Package)といった、高集積化・薄型
本稿では、これまでリショーニュースでとり
計器用変流器には、正確な電流変換性能と耐
あげる機会がなかった丸貫通形計器用変流器に
久性が必要です。たとえば一番右のER-48には、
ついてご紹介いたします。
2500アンペアといった大電流を、メーターや継
や変圧器の絶縁の主流となり、他社でもこの方
化された半導体パッケージの開発があります。
パッケージの高集積化・薄型化が進むと、IC
チップと、それを搭載する基板(サブストレート)
が持つ熱膨張係数(CTE)の差により、反りが発
■計器用変流器
電器を動作させるのに必要な5アンペアへと、正
工場や大型施設などが電力会社より電気の供
確に変換する性能が求められます。さらに2500
給を受ける際は、6600ボルトとか22000ボルトと
アンペア以上の電流が流れても大きな誤差が生
化)の要求が強まっています。
いった大きな電圧で受電します。この際、回路
じないような設計がなされています。
これを達成するため各社では、樹脂に無機充
■零相変流器
填材を高充填したり、基材には低熱膨張ガラス
に流れている大電流を小さな電流に変換し、電
流計(アンペアメーター)や継電器(リレー)
一番左のRE-21Zは零相変流器(ZCT)で、200ミ
へと、その情報を送るのが「計器用変流器」の
リアンペアといった微弱な電流を、さらに微弱
役目です。
な1.5ミリアンペアに変換します。通常、三相交
▲CS-3305A
窪山典人
安田宜史
Norihito Kuboyama Takashi Yasuda
生しやすくなるという問題がでてきます。その
ため、基板材料には低熱膨張化(以下、Low CTE
【CS-3305Aの特長】
Eガラスクロスで Low CTE化を達成したため、
コストパフォーマンスに優れます。
● 熱膨張係数(CTE)はICチップとほぼ同等の
6ppm/Kです。
● 加熱時の曲げ弾性率が非常に高く、
リフロー時
の反りを低減します。
●
弾性率が高いため、薄物基板加工時のハンド
リング性が良好であります。
● 高Tg (Tg300℃以上)でありながら低吸水性を
備えますので、実装信頼性や絶縁信頼性に優
れております。
●
● 環境対応(ハロゲンフリー、
リンフリー)の基板材
料です。
クロスを採用したり、といった対応がなされて
います。
■低反り性
■電流の検出方法
■利昌工業におけるLow CTE化の手法
半導体パッケージは高集積化や薄型化が進む
流の電線をまとめ
Low CTE化の手法として一般的なものに、エ
ほど、ICチップ(CTE 3∼5ppm/K)と、サブスト
計器用変流器(以下、CT)が電流を検出する
ると磁場が互いに
ポキシ樹脂に無機充填材(シリカ:CTE
レート(CTE 13∼15ppm/K)との、熱膨張係数の
0.5ppm/K)を高充填する方法があります。ただ、
差により、反りが発生しやすくなります。
イメージは、下記の通りです。電流(電線)の
三相
打ち消され、ZCT
まと
めて には電流が流れま
周りには磁場が生じています。また、丸貫通形
磁場が消えて
0アンペア
大電
流
継電器
メーター
▲零相変流器のイメージ
変流比に応じた電流
継電器
メーター
▲丸貫通型変流器 電流検出のイメージ
6
充填の量にも限界がありますので、樹脂の改良
せんが、このうち
も進められ、エポキシ樹脂の骨格に多環芳香族
の1線に事故(地
構造や液晶構造などを導入することで高機能・
絡)が起こると三
高性能化を達成しています。
相バランスが崩れ、
利昌工業では汎用的なEガラスクロスを基材と
ZCTの二次側に電
し、さらに樹脂構造を見直し、無機充填材の分
流が流れることに
散技術を駆使することで、ICチップとほぼ同等
より、継電器で異常を検知します。
のCTE(6ppm/K)を持ち、かつ比較的安価にご提
利昌工業では標準品のほか、お客様のご要望
供することができる低熱膨張プリント配線板材
に応じた計器用変流器の設計・製造を承ります。
料CS-3305Aを開発しましたので、ご紹介いたし
お気軽にご相談ください。
ます。
図1. 基板のLow CTE化による反り解消のイメージ
Fig.1 Image of Warpage solution with Low CTE substrate
封止材 Seal material
サブストレート
substrate
半田ボール Solder ball
Low CTE
High Modulus
Products News 202
Products News 202
その抑制方法としては…
※半導体パッケージの実装においては、リフロー工程
We have newly developed Low CTE CCL,
E glass , CS-3305A has excellent
①サブストレートのCTEをICチップのCTE
(250℃前後の熱で、はんだボールを溶融させPKG基板と
CS-3305A, for IC package substrate.CS-3305A has
Price/Performance and we expect CS-3305 to be
マザーボードを接続する)で一時的な高温が掛かり、反り
excellent Low CTE property of 6ppm/K (Fig.2)
used not only as IC package substrate but also as
が発生して接続不良となりやすい。
not consisting of Low CTE glass but consisting of
Automotive substrate or Module substrate.
■まとめ
E glass . This Low CTE property is almost equal to
We also line-up Low CTE CCLs in order to meet
that of IC chips(3∼5ppm/k). CS-3305A also has
customers requirements (Table1) and are
so excellent hot flexural modulus(Fig.3)that it
looking forward to inquiries.
に近づける
②高温時※の弾性率を高くする
…が考えられます(図1)。
CS-3305AはICチップのCTEとほぼ同等の
CS-3305Aは、汎用的なEガラスクロスで構成さ
CTE = 6ppm/Kを達成しており(図2)、さらに高温
れながらも、CTE=6ppm/Kを達成しました。
時の弾性率も高いため(図3)、加熱時(リフロ
ーはんだ工程など)における反り低減が期待でき
ます。
今後、半導体チップ実装後の反り評価等を進め
る計画です。
低コストでも、リフロー工程での反り不良を低
減できる半導体パッケージ基板用プリント配線板
will be able to reduce defective reflow soldering
caused by warpage of substrates. Consisting of
材料です。半導体パッケージ用途以外にも、車載
関係やモジュール基板など、低反り性、高耐熱性、
■一般特性
General properties
高信頼性が必要とされる分野への用途展開につい
CS-3305A
CS-3305
CS-3356S
ても開発を進めて参ります。
試験項目
図2. TMAチャート
Test items
図3. DMAチャート Fig.3 DMA chart
Fig.2 TMA chart
1.0E+11
1.0E+10
0.4
3356S
0.3
3305A
0.1
0.3
CS-3356S
1.0E+09
0
50
100
150
200
Temperature (℃)
250
1.0E+08
0.2
0.1
0
100
200
300
0.0
Temperature (℃)
300
として、CS-3305Aの他にも、下記アイテムをラ
インナップして、様々な用途や設計にお応えし
ております。お気軽にご相談ください。
ガラス転移温度[Tg](℃)
利昌工業では、高弾性系プリント配線板材料
Low CTE + 高Tg・高温時高弾性
< CS-3305>
●
ハロゲンフリー・リンフリー
●
高Tg・高温時高弾性
<CS-3356S>
●
ハロゲンフリー 高弾性
曲げ弾性率
Flexural modulus
12
6
13
13
300<
300<
180
35
34
31
34
33
28
19
19
13
19
19
10
0.13
0.13
0.09
4.6
4.4
4.4
0.010
0.007
0.012
Low profile
0.6
0.6
0.9
UL94
V-0相当
V-0相当
V-0
(50-100℃)
ヨコ方向
℃
DMA
GPa
Warp
常態
RT
ヨコ方向
Fill
200
タテ方向
3356S
180
0
2
4
6
8
10
CTE-XY (ppm/K)
12
熱間曲げ弾性率
14
16
Hot Flexural modulus
Water absorption
40
比誘電率(Dk)
35
Dielectric constant
30
250℃
ヨコ方向
%
23℃/24h
̶
1MHz 常態
誘電正接 (Df)
25
RT
Dissipation factor
20
15
ピール強度
10
Peel strength
5
0
Warp
GPa
Fill
吸水率
曲げ弾性率 Flexural modulus
弾性率(GPa)
●
11
タテ方向
3305
高弾性
ハロゲンフリー
220
ハロゲンフリー・リンフリー
Eガラスクロス
ppm/K
Tg 300℃<
高温時高弾性
ハロゲンフリー
リンフリー
6
Warp
α1
240
160
●
Coefficent of thermal
expansion
Glass transition
temperature
260
< CS-3305A >
●
3305A
280
タテ方向
熱膨張係数
ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)- 熱膨張係数(CTE)
300
Development concept
Fill
320
■ラインナップのご紹介
開発コンセプト
0.4
CS-3305
3305
0.2
0.0
E (Pa)
Length (%)
0.5
Eガラス
Low CTE
Tg 300℃<
高温時高弾性
ハロゲンフリー
リンフリー
0.5
CS-3305A
tan(δ)
0.6
耐燃性
一般FR-4
3356S
3305
3305A
UL flammability
KN/m
̶
12μm ロープロ箔
☆上記の数値は測定値の一例であり、保証値ではありません。
☆The various above mentioned data is measured value and is not guaranteed performance.
9
Products News 202
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その抑制方法としては…
①サブストレートのCTEをICチップのCTE
に近づける
②高温時※の弾性率を高くする
…が考えられます(図1)。
※半導体パッケージの実装においては、リフロー工程
We have newly developed Low CTE CCL,
E glass , CS-3305A has excellent
(250℃前後の熱で、はんだボールを溶融させPKG基板と
CS-3305A, for IC package substrate.CS-3305A has
Price/Performance and we expect CS-3305 to be
マザーボードを接続する)で一時的な高温が掛かり、反り
excellent Low CTE property of 6ppm/K (Fig.2)
used not only as IC package substrate but also as
が発生して接続不良となりやすい。
not consisting of Low CTE glass but consisting of
Automotive substrate or Module substrate.
■まとめ
E glass . This Low CTE property is almost equal to
We also line-up Low CTE CCLs in order to meet
that of IC chips(3∼5ppm/k). CS-3305A also has
customers requirements (Table1) and are
so excellent hot flexural modulus(Fig.3)that it
looking forward to inquiries.
CS-3305AはICチップのCTEとほぼ同等の
CS-3305Aは、汎用的なEガラスクロスで構成さ
CTE = 6ppm/Kを達成しており(図2)、さらに高温
れながらも、CTE=6ppm/Kを達成しました。
低コストでも、リフロー工程での反り不良を低
時の弾性率も高いため(図3)、加熱時(リフロ
減できる半導体パッケージ基板用プリント配線板
ーはんだ工程など)における反り低減が期待でき
will be able to reduce defective reflow soldering
caused by warpage of substrates. Consisting of
材料です。半導体パッケージ用途以外にも、車載
ます。
関係やモジュール基板など、低反り性、高耐熱性、
今後、半導体チップ実装後の反り評価等を進め
■一般特性 General properties
高信頼性が必要とされる分野への用途展開につい
る計画です。
CS-3305A
CS-3305
CS-3356S
ても開発を進めて参ります。
試験項目
図2. TMAチャート
Test items
図3. DMAチャート Fig.3 DMA chart
Fig.2 TMA chart
1.0E+11
1.0E+10
E (Pa)
Length (%)
0.5
0.4
3356S
0.3
3305A
0.0
0.3
CS-3356S
1.0E+09
1.0E+08
0.1
0.2
0
50
100
150
200
Temperature (℃)
250
0.1
0
100
200
300
0.0
Temperature (℃)
300
ガラス転移温度[Tg](℃)
利昌工業では、高弾性系プリント配線板材料
として、CS-3305Aの他にも、下記アイテムをラ
インナップして、様々な用途や設計にお応えし
ております。お気軽にご相談ください。
●
Low CTE + 高Tg・高温時高弾性
ハロゲンフリー・リンフリー
●
高Tg・高温時高弾性
200
6
13
13
300<
300<
180
35
34
31
34
33
28
19
19
13
19
19
10
0.13
0.13
0.09
4.6
4.4
4.4
0.010
0.007
0.012
Low profile
0.6
0.6
0.9
UL94
V-0相当
V-0相当
V-0
(50-100℃)
ヨコ方向
℃
DMA
GPa
Warp
常態
RT
ヨコ方向
タテ方向
3356S
180
0
2
4
6
8
10
CTE-XY (ppm/K)
12
熱間曲げ弾性率
14
16
Hot Flexural modulus
Warp
GPa
吸水率
Water absorption
比誘電率(Dk)
35
Dielectric constant
ヨコ方向
%
23℃/24h
̶
1MHz 常態
誘電正接 (Df)
25
250℃
Fill
40
RT
Dissipation factor
20
15
ピール強度
10
Peel strength
0
ハロゲンフリー 高弾性
12
Fill
5
<CS-3356S>
●
Flexural modulus
30
弾性率(GPa)
●
曲げ弾性率
曲げ弾性率 Flexural modulus
< CS-3305>
11
タテ方向
3305
耐燃性
一般FR-4
3356S
3305
3305A
UL flammability
KN/m
̶
12μm ロープロ箔
☆上記の数値は測定値の一例であり、保証値ではありません。
☆The various above mentioned data is measured value and is not guaranteed performance.
8
高弾性
ハロゲンフリー
220
ハロゲンフリー・リンフリー
Eガラスクロス
ppm/K
Tg 300℃<
高温時高弾性
ハロゲンフリー
リンフリー
6
Warp
α1
240
160
●
Coefficent of thermal
expansion
Glass transition
temperature
260
< CS-3305A >
●
3305A
280
タテ方向
熱膨張係数
ガラス転移温度(Tg)
320
300
Development concept
Fill
ガラス転移温度(Tg)- 熱膨張係数(CTE)
■ラインナップのご紹介
開発コンセプト
0.4
CS-3305
3305
0.2
Eガラス
Low CTE
Tg 300℃<
高温時高弾性
ハロゲンフリー
リンフリー
0.5
CS-3305A
tan(δ)
0.6