08 複素フーリエ級数 - 東海大学理学部物理学科

1/4
08
08
複素フーリエ級数
複素フーリエ級数
フーリエ級数は、
f ( x) =
a0 ¥
+ å ( ak cos kx + bk sin kx ) (周期: 2p )
2 k =1
(8.1)
であった。ところで、
eix  cos x  i sin x
(8.2)
なので、
eikx  eikx
eikx  eikx
cos kx 
, sin kx 
2
2i
を得る。そこで、(8.3)を(8.1)に代入すると
f ( x) =
(8.3)
a0 ¥ æ eikx + e -ikx
eikx - e - ikx ö a0 ¥ æ ak - ibk ikx ak + ibk - ikx ö
e +
e ÷
+ å ç ak
+ bk
÷ = + åç
2 k =1 è
2
2i
2
ø
ø 2 k =1 è 2
(8.4)
より、新たな係数 ck と d k を用いて書き換えると、
f ( x) =
¥
a0 ¥ æ ak - ibk ikx ak + ibk - ikx ö
+ åç
e +
e ÷ = c0 + å ( ck eikx + d k e- ikx )
2 k =1 è 2
2
ø
k =1
(8.5)
ここで、
c0 =
a0
a - ibk
a + ibk
, ck = k
, dk = k
2
2
2
( k = 12,3,)
(8.6)
である。ただし、

f ( x ) が実数の関数であるので d k = ck* が成立している
することに注意する。また、
eikx
k =-1, -2, -3,
= e - ikx
(8.7)
k =1,2,3,
に注意して、
¥
åd e
k =1
- ikx
k
= d1e - ix + d 2 e - i 2 x + d3e - i 3 x +  = d -( -1) ei( -1) x + d -( -2) ei( -2) x + d -( -3) ei( -3) x + 
=
-¥
åd
k =-1
-k
e
ikx
=
-¥
å c e (c
k =-1
ikx
k
k
= d - k : k = -1, -2, -3,)
を得る。これを(8.5)に代入して、 c0 = c0 eikx
¥
¥
k =0
を用いると、
-¥
f ( x ) = c0 + å ( ck eikx + d k e - ikx ) = c0 + å ck eikx + å ck eikx =
k =1
k =1
(8.8)
k =-1
¥
åce
k =-¥
ikx
k
(8.9)
になる。ここで、 d k = ck* 、つまり、「 f ( x ) が実数の関数」なので、
c- k = ck*
(8.10)
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
2/4
08
複素フーリエ級数
である。以上から、周期 2p の関数 f ( x ) のフーリエ変換は
f ( x) =
¥
å c e (但し、f ( x )が実関数のとき、c
k =-¥
ikx
-k
k
= ck* )
(8.11)
になった。
さて、「第四章フーリエ級数」で調べた(8.1)と同様に
f ( x ) の展開ができるには、係数、 ck =1¥ & ck =-1-¥ 、がわかる必要

がある。そこで、(4.2)の「三角関数の積分の性質」と同じ性質を利用する。つまり、
ìï2p ( m = n )
imx - inx

e
e
dx
m
,
n
=
±
1,
±
2,
±
3
±
¥
=
= 2pd mn
(
)
í
ò-p
ïî0 ( m ¹ n )
p
(8.12)
を得る。 d mn は(4.16)で与えられたクロネッカーのデルタである。これを用いると、
p
ò f ( x) e
- imx
-p
p
p
p
¥
¥
¥
æ ¥
ö
dx = ò ç å ck eikx ÷ e - imx dx = å ck ò eikx e - imx dx = å ck ò ei( k - m ) x dx = å ck 2pd km
k =-¥
k =-¥
k =-¥
ø
- p è k =-¥
-p
-p
(8.13)
である。ここで(4.19)を用い
p
òp
¥
f ( x ) e - imx dx =
å c 2pd
k =-¥
-
k
km
= 2p cm
(8.14)
従って、
cm =
1
2p
p
òp f ( x ) e
- imx
dx
(8.15)
-
とわかる。以上から
【公式】f(x)は複素周期関数
f ( x) =
¥
åce
k =-¥
k
ikx
1
(周期: 2p ) ck =
2p
p
òp f ( x ) e
- ikx
dx
-
( *) 但し、f ( x )が実周期関数のとき、c- k = ck*
例題
「第四章フーリエ級数」で調べた、周期 2pの関数 f ( x ) = x ( -p £ x < p )
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
(8.16)
3/4
08
複素フーリエ級数
f  x
の複素フーリエ級数を求めよ。
f ( x) =
¥
åce
k =-¥
1
(周期: 2p ) において、 ck =
2p
ikx
k
k = 0の時: c0 =
1
2p
1
k ¹ 0の時: ck =
2p
p
1
2p
ò
p
1
f ( x ) e - ikx dx =
2p
ò
-p
òp f ( x ) e
- ikx
dx で係数が求まるので、
-
p
f ( x ) dx =
-p
p
ò xdx = 0
-p
i ( -1)
- ikx
ò-p xe dx = k
p
k
(8.17)
である。従って、
f ( x) =
¥
åce
k =-¥
k
ikx
2 ( -1)
=å
k
k =1
¥
k +1
sin kx
(8.18)は(4.15)の結果と一致することがわかる。
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
(8.18)
4/4
08
複素フーリエ級数
第七回目レポート
レポートの回数(七回目)、学生証番号と氏名を明記すること
必ず表紙を付ける(A4レポート用紙使用のこと)
1)「 f ( x ) が実数の関数」のとき、(8.10)を導け。
2)(8.12)を導け。
1
3)例題の ck =
2p
p
A)
òp xe
-
- ikx
p
òp xe
- ikx
dx の計算について以下の問いに答えよ。
-
dx の部分積分を用いて、 k ¹ 0 の時に ò xe - ikx dx = -
1æ1
ö -ikx
ç + x ÷ e を求めよ。
ik è ik
ø
B)A)を用いて(8.17)を導け。
C)(8.18)を導け。 f ( x ) =
¥
å
k =-¥
ck eikx =
-1
å
k =-¥
¥
1
k =1
k =¥
ck eikx + c0 ei 0 x + å ck eikx = å c- k e (
用いると良い。
【安江正樹@東海大学理学部物理学科】
i -k )x
¥
+ c0 + å ck eikx を
k =1