カナダ太平洋岸の LNG輸出プロジェクト 最近の動向 2014年9月18日 調査部 舩木 弥和子 1 本日の内容 カナダ太平洋岸のLNG輸出プロジェクト 1. LNG輸出プロジェクトの概要と背景 2. 進行中のLNG輸出プロジェクト 3. LNG輸出プロジェクトの課題 2 1.LNG輸出プロジェクトの概要と背景 カナダ太平洋岸のLNG輸出プロジェクト概要 ●BC州で計画中のLNG輸出プロジェクト:20件 – NEBが輸出を承認したプロジェクト:9件 – FID時期:2014~2017年 – 生産開始時期:2010年代末から2020年代初め – フル生産時の液化能力:合計で2億9,590万t/年 – フィードガス: 22.025Bcf/d(判明分10プロジェクト) ●BC州で計画中のパイプラインプロジェクト:6件 – 総延長:3,340km 3 1.LNG輸出プロジェクトの概要と背景 カナダ太平洋岸のLNG輸出プロジェクト位置 別添カラー資料1あり (LNG in British Columbiaに加筆) 4 1.LNG輸出プロジェクトの概要と背景 カナダ太平洋岸のLNG輸出プロジェクト背景 ●2013年のカナダの天然ガス生産量:15Bcf/d ●カナダのガス消費量は生産量の約30%、BC州は約15% ●余剰分を輸出していた米国でシェール革命 ⇒アジア等新たな市場へのLNG輸出を計画 (出所:Northeast BC Industry Activity Update) (BP Statistical Review of World Energy June 2014より作成) 1.LNG輸出プロジェクトの概要と背景 カナダ太平洋岸のLNG輸出プロジェクト背景 ●豊富なシェールガス埋蔵量 (単位:Tcf) (出所:Northeast BC Industry Activity Update) Basin Liard 面積 (km2) 原始 埋蔵量 可採 埋蔵量 生産井数 生産量 累計 生産量 9340 Large! - 2(2014/3) 4.5MMcf/d 10.1Bcf 11400 448Tcf 78Tcf 200(2014/2) 492MMcf/d 635Bcf Cordova 2690 200Tcf 20Tcf 19(2014/3) 30MMcf/d 25Bcf Montney 29850 1965Tcf 271Tcf 1644(2014/3) 2.26Bcf/d 2.53Tcf Horn River (出所:Northeast BC Industry Activity Update) 1.LNG輸出プロジェクトの概要と背景 カナダ太平洋岸のLNG輸出プロジェクト背景 ●アジア市場への距離が近く、渡航日数が短い ●気温が1℃下がると電力消費効率は1.7%改善 ⇒ガス液化やLNG貯蔵のエネルギー効率の観点から有利 年間平均気温 BC州北部 7℃ オーストラリア 27℃ カタール 26℃ モザンビーク 23℃ 米国ルイジアナ州 22℃ (出所:LNG in British Columbia) 7 2.進行中のLNG輸出プロジェクト Kitimat プロジェクト 関連会社 概要 Kitimat LNG Chevron Apache 液化能力:1000万t/年(当初500万t/年) NEB輸出承認取得:2011/10 Douglas Channel Douglas Channel Gas Services Haisla Nation Golar LNG LNG Partners LLC 液化能力:180万t/年 NEB輸出承認取得:2012/2 LNG Canada Shell 三菱商事 KOGAS PetroChina 液化能力:2400万t/年(当初1200万t/年) NEB輸出承認取得:2013/2/4 Cedar 1、2、3 LNG Export Cedar LNG Export Development (Haisla Nation) 液化能力:1450万t/年 NEB輸出承認申請:2014/8/28 (各種資料より作成) 8 2.進行中のLNGプロジェクト Kitimat 上:Kitimatで計画されているLNG輸 出プロジェクト 右上:LNG Canadaプロジェクト模型 右下:LNG Canada桟橋予定地 9 2.進行中のLNG輸出プロジェクト Kitimat、Prince Rupert (各種資料より作成) 10 2.進行中のLNG輸出プロジェクト Prince Rupert プロジェクト 関連会社 概要 Pacific NorthWest LNG Progress Energy JAPEX Petroleum Brunei Indian Oil Corp Sinopec 液化能力:1920万t/年(当初1200万t/年) NEB輸出承認取得:2013/12/16 FS終了 プレFEED実施中 FID: 2014年末 輸出開始時期:2018年 WCC LNG Imperial Oil ExxonMobil 液化能力:3000万t/年 (当初1000~1500万t/年) NEB輸出承認取得:2013/12/16 FID: 2018年 輸出開始時期:2023年 Prince Rupert LNG British Gas 液化能力:2100万t/年(当初1400万t/年) NEB輸出承認取得: 2013/12/16 FID: 2017年 Orca LNG Orca LNG 液化能力:2400万t/年 NEB輸出承認申請:2014/9/4 Watson Island LNG Watson Island LNG (各種資料より作成)11 2.進行中のLNG輸出プロジェクト Grassy Point プロジェクト 関連会社 概要 Aurora LNG Nexen INPEX 日揮 液化能力:2400万t/年 NEB輸出承認取得:2014/5/1 FID: 2017年 輸出開始時期:2021年 Grassy Point LNG Woodside Energy 液化能力:2000万t/年 NEB輸出申請:2014/7/18 (各種資料より作成) (出所:Woodside Energyホームページ) 12 2.進行中のLNG輸出プロジェクト その他の地域 プロジェクト 場所 Woodfibre LNG Squamish Triton LNG Kitsault Energy Project Canada Stewart Energy Project WesPac Discovery LNG Steelhead LNG 関連会社 Woodfibre LNG Export (Pacific Energy Corporation) AltaGas 出光興産 Kitsault Energy 概要 液化能力:210万t/年 NEB輸出承認取得:2013/12/16 輸出開始時期: 2017年 ‐ 液化能力:230万t/年 NEB輸出承認取得:2014/4/16 Kitsault 液化能力:2000万t/年 NEB輸出承認申請:2013/12/31 パートナーを募集中 Stewart Canada Stewart Energy 液化能力:当初500万t/年、3000 万t/年 NEB輸出承認申請:2014/3/5 パートナーを募集中 Delta WesPac Midstream 液化能力:300万t/年 Vancouver Tilbury 島 NEB輸出承認申請:2014/6/20 Campbell Quicksilver Resources 液化能力:2000万t/年 River NEB輸出承認申請:2014/7/28 Alberni Inlet Steelhead LNG 液化能力:3000万t/年 Huu‐ay‐aht族 NEB輸出承認申請:2014/7/7 (各種資料より作成) 13 2.進行中のLNGプロジェクト LNG輸出プロジェクト供給用のパイプライン プロジェクト 関連会社 Pacific Trail Chevron Pipeline Apache* Coastal Gaslink Trans Pipeline Canada Pacific Northern Gas Transmission Pipeline Expansion Prince Rupert Gas Transmission Westcoast Connector Gas Transmission Eagle Mountain – Woodfibre Gas Pipeline Pacific Northern Gas Trans Canada Spectra Energy BG Group FortisBC 概要 全長:480km(Summit Lake~Kitimat) パイプライン口径:42インチ 送ガス能力:4Bcf/d 全長:650km(Dawson Creek~ Kitimat) パイプライン口径:48インチ 送ガス能力:1.7Bcf/d 全長:525km(Summit Lake~Kitimat) パイプライン口径:24インチ 投資規模:50億ドル 全長:900km パイプライン口径:48インチ 送ガス能力:2~3.6Bcf/d 全長:850km パイプライン口径:48インチ 送ガス能力:4.2Bcf/d 全長:52km パイプライン口径:20インチ 備考 Kitimat LNG専用パイプ ライン LNG Canada専用パイプ ライン 既存のパイプラインに並 行してパイプラインを敷 設、送ガス能力の拡張を 行う Pacific Northwest LNGに ガスを供給 供用開始:2018年末 Prince Rupert LNGにガ スを供給 供用開始:2019年 Woodfibre LNG専用パイ プライン (各種資料より作成) 2.進行中のLNGプロジェクト LNG輸出プロジェクト供給用のパイプライン 別添カラー資料2あり 15 3.LNGプロジェクトの課題 ●LNG輸出税 ➢2014年2月、BC州はLNG輸出税の税率を当初は純利 益の1.5%、建設コスト回収後は7%とする案を発表 ➢ Shell、Chevron等から、税率を引き下げるように要求 ➢2014年10月にLNG輸出税に関する詳細発表を予定 ●労働者確保 ➢コスト上昇とプロジェクトの遅延につながるとの懸念 ➢政府は職業訓練プログラム等により対処 ●先住民問題 ➢先住民部族が参画するLNGプロジェクトもあり、ガス パイプライン敷設に関しては収入配分協定や経済便 益協定の交渉中 16 まとめ ●膨大な天然ガス埋蔵量と液化コストやアジア 市場への輸送コストを抑えられるという利点 を背景に、British Columbia州のLNG輸出プロ ジェクトは増加、2014年9月初めの時点で20件。 ●顧客やパートナーを確保するために、また、BC 州が導入するLNG輸出税の詳細決定を待って、 いずれのプロジェクトも少なくとも1年程度、稼 働開始の時期を遅らせている。 ●LNG輸出税の行方に加え、労働力不足など課 題も存在しており、今後の動向が注目される。 17
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