骨組みの力学Ⅱおよび演習 教科書 講義資料 質問 授業の基本事項

教科書
骨組みの力学Ⅱおよび演習
坂田弘安・島﨑和司『建築構造力学Ⅱ 』〔学芸出版〕
参考書
坂田弘安・島﨑和司『建築構造力学Ⅰ』〔学芸出版〕
田口武一『建築構造力学Ⅰ』〔昭晃堂〕
谷 資信・杉山英男『建築構造力学演習Ⅰ・Ⅱ』
〔オーム社〕
島﨑
和司
12号館35号室
講義資料
当日のOHP資料は、その前日の夕方ホー
ムページに掲載する。
http://shimazaki.arch.kanagawa-u.ac.jp/
質問
建築の力学、骨組みの力学ⅠⅡ(これらをあ
わせて構造力学ということが多い)は、何のた
めに学修しているのか?
授業時間外の質問はホームページの掲示
板に。
授業の基本事項
建築の安全性を確保するには、建物に作用する
力が、建物の構造部材を構成する材料の強度以
下であることが必要である。すなわち、部材に作
用する力、断面に作用する力を求めることが必
要である。
骨組みの力学Ⅱおよび演習では、実際の建物を
モデル化した構造部材に、荷重や地震力などが
作用したときに、どのような力が生じるかを計算
する考え方と手法を学ぶ。そして基本的な構造
物の力の流れ、部材に作用する力の概要のイ
メージをつかみたい
このような力学を理解するためには、実際に自
分で理論を導き、計算をやってみることが必要
であり、最終成績は、出席しての演習と中間・期
末試験により決定する。
なお、実際の建物のように複雑な構造物はコン
ピュータを用いて解析される。この方法は、3年
次前期の「コンピュータによる骨組みの解析」で
学修する。
また、鉄筋コンクリート構造、鋼構造に関しては
3年次に具体的な構造設計手順を学修する(構
造系必修)。
1
Web上でできる構造力学
評価
評価の基本的配分
演習50%
 中間試験25%
 期末試験25%
軸力・曲げモーメントなどの基本事項の復習


名古屋工業大学市之瀬研究室
Javaを用いた構造力学教育ソフト
http://kitten.ace.nitech.ac.jp/ichilab/mech/
トラス橋の設計コンテスト

授業中に行う小テストがあり、上記とあわせて
総合的に評価する
高度な立体フレーム解析

名古屋工業大学市之瀬研究室
米軍陸軍士官学校 (win版のみ)
http://bridgecontest.usma.edu/index.htm
名城大学村田研究室
http://www-arch.meijo-u.ac.jp/semi/murata/
space/home.html
授業計画
2014/9/23 &
2014/9/30 &
2014/10/7 &
2014/10/14 &
2014/10/21 &
2014/10/28 &
2014/11/4 &
2014/11/11 &
2014/11/18 &
2014/11/25 &
2014/12/2 &
2014/12/9 &
2014/12/16 &
2015/1/7 &
2015/1/14 &
2014/9/24 ガイダンス、骨組みの力学Iの復習
2014/10/1 断面の性質、部材の変形、Φ-θ-δ関係
2014/10/8 エネルギー法 外部仕事と内部仕事
2014/10/15 仮想仕事法による構造物の変形
2014/10/22 不静定構造物
2014/10/29 たわみ角法Ⅰ
2014/11/5 たわみ角法Ⅱ
2014/11/12 たわみ角法III&中間試験
2014/11/19 中間試験解説&たわみ角法III
2014/11/26 たわみ角法から固定法へ
2014/12/3 固定法
2014/12/10 D値法
2014/12/17 断面の塑性解析
2015/1/13 骨組みの塑性解析
2015/1/20 座屈、総復習
http://kitten.ace.nitech.ac.jp/ichilab/mech/
1級建築士試験・学科試験
建物と建築構造力学
建築計画

計画各論、建築史
環境・設備

環境工学、建築設備
建築法規

建築基準法、建築業法、建築士法
建築構造

力学、RC造、S造、土質基礎、構造材料
建築施工

施工計画、建築工事、契約、機械
2
建物に作用する力
建物の安全性の検証
建物のモデル化
部材に作用する力を算定する
静定構造物
単純梁
片持梁
 トラス構造


不静定構造物
ラーメン構造
 ブレース、耐震壁ありフレーム構造

断面に作用する力
建築の力学
応力度
骨組みの力学Ⅱ
構造物の節点と支点(I)
いろいろな
節点
軸方向力 P
σ=P/A
曲げモーメント M
σ=M/Z
骨組みの力学Ⅰ
≦材料の強度
せん断力 Q
τ=Q/A (τmax=κ・Q/A)
3
構造物の節点と支点(Ⅱ)
構造物の節点と支点(Ⅲ)
いろいろな支点
(b)ピン支承
(a)固定柱脚
(c)ローラー支承
構造物の節点と支点(Ⅳ)
構造物の安定・不安定・静定・不静定(I)
構造物の安定・不安定
構造物の安定・不安定・静定・不静定(Ⅱ)
支持の安定・不安定
構造物の安定・不安定・静定・不静定(Ⅲ)
静定構造物

力の釣合条件のみで部材に生じる力を算定できる
不静定構造物

力の釣合条件と部材に生じる変形条件から部材
に生じる力を算定
静定不静定の判別式

部材数+剛接部材数+反力数-節点数×2
=不静定次数
4
静定・不静定
n=3
s=4
r=2
k=5
m=3+4+2-5*2=-1
不静定次数=反力数+部材数
+剛接部材数-節点数×2
n=3
s=4
r=0
k=4
m=3+4+0-4*2=-1
力のつり合い
力の釣り合い
n=3
s=4
r=3
k=5
m=3+4+3-5*2=0
例題
B点の力の釣り合い
数式解法
力のモーメント
力の向きの仮定
釣合条件(ΣX=0,ΣY=0)
5
3ピン構造
せん断力とモーメントの関係
Y  0
力とモーメントのつり合い
Q
 w
x
Q  wx  Q  Q  0 
MA  0
x
 M  M   0
2
M  Q  x  wx 

微小区間での
力のつり合い
M
wx
Q
2
x
x  0
dQ
 w
dx
dM
Q
dx

d 2M
dx2

dQ
 w
dx
曲げを受ける連続体
単純梁に生じる力
P=300kN
荷重無し
荷重P
P
h/2
167kN
せん断力Q 8kN A
せん断力一定
+
C
Q図
せん断力ギャップ
曲げモーメント
1次式
C
A
B
-
h/2
4kN
133kN
l
拡大図
φ
B
dx1 = y1・θ
ε1=dx1/x0 =y1・θ/ x0
+
曲げモーメントM
668kNm
MC=16kN・m
M図
= y1 ・φ
x0
N1
dx1
dy

h/2
y1
-Pl
1
2
3
n
y
x
伸び(ひずみ)は中心からの距離に比例
断面の応力度と曲げモーメント
φ
y2 y1
n
(a) ひずみ度の分布
h/2
dy
1  E  1  E  y1  
φ
y
x
b
ε1= dx1/x0 = y1・φ
σ1=E・ε1= E・dx1/x0 = E・ y1・φ
N1=A1×σ1= b・dy・E・y1・φ距離の2乗
M1= N1×y1= b・dy・E・y12・φ
n
M 2
N1
N2
Nn
(b) 応力度と力の分布

n
M i  2 Eb
i 1
y
2
i
dy
i 1
上端引張なのでモーメントはマイナス
dy→0
 M  2 Eb 
h/ 2
0
I
 2 E 
h/ 2
0
y 2 dy  2 E 
h/2
0
y 2 dA  EI
N1  A   1
1  E  1  E  y1    b  dy  E  y1  
y 2bdy
N1
N2
dy
h/2
dy
1
32
h/2
1  y1  
p86
断面2次モーメント
φ
Nn
M
 
EI
  x  
b
(b) 応力度と力の分布
   
曲げ剛性
Mx0
EI
Mx
l
EI
6
p96
断面係数

M
M

EI E (bh 3 / 12)
Sx 
dy→0のときy1→h/2
σ= E・ y1・φ= E・ y1
断面1次モーメントと図心
縁応力度σは
 ydA
M
M

3
E (bh / 12) (bh 2 / 6)
Z
Sy 
0
A
A
 xdA
Sv 
 vdA   ( x  x )dA   xdA  x  dA
0
A
A
0
A
A
 S y  x0 A
M
Z
断面2次モーメント
図心・断面2次モーメント・断面係数
図心

I u   v 2 dA   ( y  yG ) 2 dA
y 2 dA
A
A
  y dA  2 yG  ydA  yG
A
Iy 
0
A
 S x  y0 A
A


 udA   ( y  y )dA   ydA  y  dA
A
A
I
Z
h/2
Ix 
Su 
2
 x dA
2
A
2
A
2
2
 I x  2 yG A  yG A
A
2
 I x  yG A
 dA
断面1次モーメントが0
断面1次モーメント Σ(部分の断面積×距離)
断面2次モーメント
Σ(部分の断面積×距離2)+部分の断面2次モーメント
A
断面係数
断面2次モーメント/中立軸から縁までの距離
部分和では求められない
間違えないこと
例題
その他の断面係数
100
40 20 40
x
x
62.5
25
y
①
③
③
断面極2次モーメント
①
y
解1
Ix=2I①+ 2A①
解2
Ix=Iall -2I③
I
A
i
②
25
150
100
断面2次半径i
Ip 
×62.52+
I②
 r dA   ( x
2
A
2
 y 2 )dA
A
 Ix  Iy
7
曲げとせん断を受ける部材
断面内の応力度の変化
曲げモーメント
P
断面
b
M+dM
M
+
dx
せん断変形
曲げ変形
( M  dM )

y
I
切り出し
拡大
N左=N+dN
y
切り出し
拡大
M

y
I
M=P・x
+P
M+dM
( M  dM )
y
I

h
x

M
y
I
N右=N
τ
dx
M
x
dx
曲げモーメント
せん断力
例題
せん断応力度の分布
b
力の釣合いより、
  b  dx = N左-N右
これより、
1

b

=
y
h/2
 d dA
d
dA
dx
y
x
QS

b I
S  Ae
τ
h/2
y
h/2
I  bh 3 / 12
x
 b(h / 2  y )y  (h / 2  y ) / 2
 b( h 2 / 4  y 2 ) / 2
h/2
一方
d
d  M  y  dM y
y

Q


dx dx  I  dx I
I
Q

b I

h/2
y dA
y
p66
せん断変形
δ
D

6Q  h 2
6Q  h 2
2
  max  3 

y

bh  4
bh 3  4

 3 Q 3Q 3
 

  mean
 2 bh 2 A 2
せん断応力と垂直応力
p56
B
τ =Q/(BD)
γ
γ
Q
τ=Gγ
τ
単位ユニット
8
p57
主応力 (Ⅰ)
主応力 (Ⅱ)
B
P
P
h
P
P
P
σ =P/(Bh)
45°
P
P/
 2 Bh (N/mm2)
P/
σx= P/(Bh)
σx= P/(Bh)
(N/mm2)
P
(N/mm2)
Pv
P
P

cos 2  
(1  cos 2 )
Bh / cos  Bh
2 Bh
u 
Pu
P
P

sin  cos  
sin 2
Bh / cos  Bh
2 Bh
 
 

2
 v  x    u   x 
2
 2 


2
x y
tan 2 
τ
0  II
σ
0 x 
,0

2

 I ,  II 
2
τ
2θ x ,0
Pu
P
P
主応力 (Ⅳ)
x
2θ
x y
2
τ
y  I
 x  y
2
 x  y
 
2

2

  2


2
 x  y
σ
2
 x  y 
2



 
2


 v , u 
曲率と変形
鋼材の引張試験とコンクリートの圧縮試験
教科書 Ⅰ pp.88
dy    dx
dx
-dy
v 
θ Pv
Pv=P・cosθ
Pu=P・sinθ
x
主応力 (Ⅲ:モールの応力円)
2
 2 Bh (N/mm2)
 
d

 dx
1
h
θ
dy
dx

Mx
EI
M x d
d  dy 
d2y

   2
EI
dx
dx  dx 
dx
dθ
ρ=dx/d θ
d2y
dx 2

Mx
EI
 M 
y 
dx dx  C1 x  C 2
 EI 

上端引張なのでモーメントがマイナス
9
例題1
例題3
上端引張なのでモーメントがマイナス
P
h
dx 2
x
x
M=P(l-x)
x

dy
P
x2

(lx  )
dx
EI
2
y
x
x=l
P lx 2 x 3
 )
(
EI 2
6
 
Pl 2
2 EI
Y  0
Q  wx  Q  Q  0 
MA  0
M  Q  x  wx 
微小区間での
力のつり合い
y
Pl 3
3EI
Q
 w
x
x
 M  M   0
2
M
wx

Q
x
2
x  0
dQ
 w
dx
dM
Q
dx
P
B
Q
境界条件は、x=lの固定端で、
θ=dx/dy=0、y=0
dy
    M A x  M A
  M A
dx
x=0
y
M Ax2
M 2
 M A x  A
2
2
モールの定理
y
M A 2
2
教科書 Ⅰ pp.130-132
分布荷重wとせん断力Q、曲げモーメントMの関係
d 2M

dx 2
dQ
 w
dx
曲げモーメントMと変形θ、yの関係
d2y
d
M


仮想荷重(曲率)
dx 2
dx
EI
M
2
d M
dQ


 w
dx
dx2
EI を荷重と思えば
dQ
dx
境界条件
-
M= ーMA
曲げモーメント
せん断力とモーメントの関係
+
l
y
境界条件は、x=0の固定端で、
θ=dx/dy=0、y=0
曲げモーメント
A
上端引張なのでモーメントがマイナス
d2y
 M A
dx 2
dy
  M A x  C1
dx
M x2
y   A  C1 x  C2
2
ーMA
dy
P
x2

(lx  )  C1
dx
EI
2
P lx 2 x 3
y
(
 )  C1 x  C 2
EI 2
6
l
y
M
P
 x 
(l  x )
EI
EI
h
d2y

d
dx

d2y
d 2M

dx 2
dx 2
例題
単純梁
P
生じる力両端とも Q≠0、M=0
変形 両端とも θ≠0、y=0
x
l
M=Pl
仮想荷重を重心位置の集
中荷重Wに置き換え
W
Pl 2
2 EI
M
(a) 単純梁
+
+
曲げモーメント
片持ち梁
P
Q
M
生じる力固定端 Q≠0、M≠0
自由端 Q=0、M=0
変形 固定端 θ=0、y=0
自由端 θ≠0、y≠0
w=M/EI=Pl/EI
W=Pl2/2EI
l/3
2 l/3
 Q 
yM 
Pl 2
2 EI
Pl 2 2l Pl 3
 
2 EI 3 3EI
仮想荷重
(b) 片持ち梁
10
単純梁モーメント荷重と回転角
E, I
A
材端回転角 τA
B
MA
モーメント分布
A
MA
仮想荷重

モーメント分布が直線の時
(集中荷重、モーメント荷重)
材端モーメントMAによる仮想荷重
を集中荷重に置き換える
F
F
B
M A
3EI
仮想荷重によるせん断力
M A
3EI
A
モールの定理を使う
B
MA
EI
A
τB
変形計算のポイント
M A
6EI
B
M A
3EI
M A
6EI
 A1
 B1
MA
1 M 
  A
EI
2 2 EI
M A 2 M A

 
2 EI 3 3EI
M  1
M 
 A   A
2 EI 3
6 EI
モールの定理を使うと簡単
(モーメントの式が変わるので積分は面倒)
モーメント分布が曲線の時(分布荷重)
モールの定理は困難
積分
質問
骨組みの力学Ⅱの単位を履修すると、建築設
計のうちで、何ができるようになるのか。
11