技 術 資 料 内装タイル張り乾式下地壁の 設計施工について せんい強化セメント板協会(SKC協会) 〒108-0014 東京都港区芝 5-15-5(泉ビル3階) TEL03-5445-4829 FAX03-5445-4756 URL http://www.skc-kyoukai.org/ 2014.12 1. 適用範囲 (1) 本資料は、建築物または工作物の内壁に用いられる乾式下地壁に、接着剤を用いてタイルを張り付 ける工事に適用する。適用範囲は、タイル、下地ボード材、ボード下地材、下地工法、タイルの接着 剤及びタイル接着剤張工法の選定までとする。 (2) 本資料では、タイルを張る仕上げ高さは、5m以下とする。 (3) 本資料では、タイル張りの下地ボードは2枚張りを推奨する。ただし適用部位や使い勝手等により1 枚張りで問題ないと設計者または監理者が判断した場合はこの限りではない。 (4) 本資料に示されていない事項については、公共建築工事標準仕様書(国交省大臣官房官庁営繕 部監修)及び日本建築学会編 建築工事標準仕様書 同解説の うち、「JASS 26 内装工事」及び 「JASS 19 陶磁器質タイル張り工事」による。 (1) 乾式下地壁とは、本資料においては、軽量鉄骨壁下地及び木下地に当協会で扱うけい酸カルシウム 板、フレキシブル板 A を留め付けて2次元の面を構成する壁を示すものとする。また、参考のために下 地ボードとしてせっこうボード、シージングせっこうボード、繊維混入せっこう板、ガラス繊維クロス入りセ メント板、普通合板及び耐水合板を用いる場合についても示している。 タイルに用いる接着剤は、各接着剤メーカーより商品化されているが、その性能は千差万別であるた め、本資料では後述する接着剤を推奨している。推奨以外の接着剤の仕様を選択する場合は、その性 能や施工実績を確認する必要がある。接着剤の仕様に関する技術は日進月歩であるため、仕様選定 時に再確認や見直しする必要がある。 (2) 内装壁であっても建物用途や部屋の空間利用の関係で、その高さが5mを超える場合があるが、本資 料においては、内装壁下地の地震時における追従性に対する技術が確立されていない現状では、安 全上の観点から、タイル接着張りの仕上げ高さを5m以下としている。またJISにおける軽鉄間仕切り下 地において、スタッドの高さ対応の最大が5m であることにも勘案し上限としている。 尚、1.5mを超えるものについては、タイルの大きさにより何らかの機械的な(物理的な)落下防止対 策を施すことが望ましい。この仕様の詳細要領については、後述する。 (3) 下地ボードにタイルを施工する場合、地震時にはその下地ボードの継ぎ目部分は異なる動きをし、大き なせん断力が生じるので下地ボードは、異なる動きを押えるため2枚張りを推奨した。ただし、タイル張り の目地をボードの継ぎ目に合わせてタイル割付けを施す場合は、ボード下地を1枚張りとしてよいものと している。2枚張りを推奨とした点については、過去の不具合事例より施工性と経済性を考慮し、複数の 専門技術者の知見及び経験値により判断した。そのため、適用部位や使い勝手等により1枚張りで問題 ないと設計者または監理者が判断した場合は、この限りではない。 尚、下地ボードは、本資料 3-3-2)による。また下地ボードを2枚張りとする場合は、けい酸カルシウム 板 6 ㎜以上の採用を推奨とする。 2 2. 設計上の基本留意点 (1) 壁面の地震時の追従性について 追従性変位値及び接着剤のせん断強度については、設計者が確認する。 (2) 耐火性能等の確認・対応について 耐火性能等の確認・対応は、設計者の確認を必ずおこなうものとする。 (3) 耐風圧への配慮について 内壁が対象であり、耐風圧は考慮しない。 (4) 湿気のある空間への配慮について 湿気のある空間や水掛りになる部位のタイル下地は、乾式下地壁を避け湿式下地壁(躯体等)を 原則とする。 (5) メンテナンスへの対応について 乾式ボード下地へタイルを接着張りした場合におけるメンテナンスの対応は、必ず発注者及び建物 管理者に書面にて、その方法を案内するものとする。 (1)壁面の地震時の追従性は、鋼製壁下地及び木製下地等の仕様・構造で決定される。地震時におけ る壁下地の追従性についての考え方及び選定については、建物用途や空間の使われ方にもよるた め、設計者による確認を必ずおこなうものとした。 基本的にはタイルを接着剤張りする場合の地震時の追従性は、ボード類のスタッド等への留め付 け強度や壁下地の層間変位に対する追従性に頼ることになる。接着剤は下地ボードに変形が生じ ても追従できるように弾性系仕様を選択するものとしている。 (2)耐火性能についても、建物用途や避難計画によるところが大きいため、必ず設計者及び監理者の確 認をおこなうものとした。 (3)耐風圧への配慮に関しては、本資料では内壁を対象としているため、特に耐風圧への考慮はしない としているが、建物用途や部位によって、検討を必要とする場合もある。たとえば駅舎内の大きな広 場的な空間や半外部的なロビーなどである。いずれにしても特殊な場合であるため、検討を要する 場合は、各個別の条件を踏まえた上で、設計者による検討をおこなうこととした。 (4)水洗い及び直接水掛りとなる使い勝手の空間には下地として、せっこうボードやけい酸カルシウム板 を採用しないこととした。そのような場合は、鉄筋コンクリート造またはコンクリートブロック造壁とし、湿 式下地が濡れたとしても物性値の変化が小さい、しっかりとした下地選定をすることが重要である。浴 室、サウナ、ミストサウナなど特に湿気の多い空間や高温となる空間において乾式工法壁で使用で きる面材仕様は、その物性値より、ガラス繊維クロス入りセメント板のみとした。(後述の材料:ボード 材を参照) 従来、けい酸カルシウム板は湿気の多い部位に使われていることもあるが、湿度の高い空間にけ い酸カルシウム板を使用することによる不具合事例の報告も少なくない。湿気の多い部位は、その空 間の使い勝手も含めて検討し、材料を選定する必要がある。参考までに、下記にけい酸カルシウム板 が湿気を帯びた状態時の物性値を示しておく。 3 【参考】けい酸カルシウム板の特性(吸水による性能変化) 曲げ強さ(N/mm 2) 種類 (JISA5430の区分) 0.8けいカル板 6mm品 1.0けいカル板 6mm品 試験体の状態 試験時の 含水率 (%) 繊維の流れ方向に直角 繊維の流れ方向に平行 JISA5430 規格値 測定値 *2) 参考値 *1) 測定値 *2) 層間剥離強度 測定値 *2) (N/mm 2) ビス頭抜け強度 *3) 測定値 *2) (N) 乾燥状態 (60℃-24hrs.) 約2 10.0以上 12.3 6 7.0 0.9 401 飽水状態 (水中-24hrs.) 約80 - 6.8 - 3.9 0.4 223 乾燥状態 (60℃-24hrs.) 約1 13.0以上 19.2 7.8 12.4 2.0 741 飽水状態 (水中-24hrs.) 約50 - 12.4 - 7.3 1.3 404 *1):JIS A 5430による参考値(規格値の60%程度) *2):測定の平均値を示し、規格値を示すものではない *3):使用ビスは皿頭、ビス径φ3.5ユニクロ仕上げ (5)建物が完成してしまうと、その壁の下地がどのような仕様で造られているか識別しづらくなるのが一 般的である。従って、湿気を帯びたときの対応方法や日常の清掃等の手入れ方法などメンテナンス 対応を発注者及び建物管理者に書面にて、案内する必要があるとした。 乾式壁の場合で、ボード類にけい酸カルシウム板やせっこうボードを採用している場合は、タイル 面の水洗いは禁止するように案内することが必要である。 3. 使用材料及び工法 3-1) タイル (1) 内装タイル後張りに使用するタイルは、原則として JIS A 5209:2010(陶磁器質タイル)の内装壁タイル と内装壁モザイクタイルに適合したものとする。 (2) タイルの大きさは、最大 300mm 角とする。 (3) タイル1枚あたりの重量は、2.2kgfを越えないものとする。 (4) タイルの厚みが 15 ㎜以上あり、40mm 角以下のモザイクタイル及び短冊積層形状のタイルについて は、裏面にガラスクロスメッシュをエポキシ系接着剤にて張り付けてタイル同士を連結するなどし、 2.2kgf 以下の一体化したものとして扱うことが可能とした。 (5) タイルの裏面形状は裏足高さが 2.0 ㎜以下のものとする。 (2)有機系接着剤のみを用いた場合の施工方法については、「有機系接着剤を利用した外装タイル・石 張りシステムの開発」(官民連帯共同研究)において公称 300mm 角以下かつその厚さは 10 ㎜未満の タイルとしている。この資料では、市場ニーズを勘案し、厚さが 10mm を超え 15mm までのタイルにつ いても脱落防止の措置を施せば施工可とした。また公称 300 ㎜角未満のタイルについては、高さ 1.5m 以下であれば接着剤張りのみの施工でよいとした。これは一枚あたりの単位重量が小さいためである。 ただし、1.5mを超える高さで施工する場合は、機械的な脱落防止策を設けることを推奨する。 (3)タイル1枚あたりの重量 2.2kgf 以下の根拠については、300mm 角のタイルで厚さが 10 ㎜、タイル比 重を 2.4 と想定し、1枚あたり 2.16kgf を算出し、2.2kgf 以下とした。 (4)近年デザイン性の高いタイルが内装で選択されることが多くなってきている。タイルの厚みが 15 ㎜以 上あり、40mm 角以下のモザイクタイル及び短冊積層形状のタイルがその代表例である。これらの仕様 については、裏面にガラスクロスメッシュ等で補強し、一体化するなどの処理を施すことにより、乾式ボー 4 ド下地においても施工可とした。ただし、この様な仕様においては機械的な脱落防止策を施すことを推 奨する。 芸術工芸品等のような大型陶板タイルなど、300mm 角を越える大きさや 15 ㎜を超える厚みとなる仕 様もあるが、これらは乾式ボード下地壁には不向きと考え本資料では対象外とした。どうしてもそのような タイルを用いる場合には高額製品であるため、設計者及び監理者との確認を確実におこない、下地種 類、接着方法、取り付け金物及び落下防止対策等の仕様を検討することが望ましい。 (5)タイルの裏面形状の裏足高さ 2.0 ㎜以下を推奨としたのは、官民連帯共同研究の報告書に基づいて いる。基本的には裏足形状が大きくなりすぎると、施工中に有機系接着剤のダレが生じやすくなり、剥 離・脱落のリスクが高くなる傾向であると認識されている。 5 3-2) 下地ボード材 (1)下地ボード材については、JIS 規格品及び同等品質品とする。 (2)使用可能なボード類は、当協会で扱うけい酸カルシウム板、フレキシブル板 A の他、合板、石膏ボ ード、シージング石膏ボード、繊維混入せっこう板、ガラス繊維クロス入りセメント板とする。 (3)いずれの仕様の場合も下地ボードは2枚張りを推奨する。 (2)下地ボードは使用するタイルの厚さによって、下記の表より選択すること。 タイル 下地ボード ・けい酸カルシウム板 かさ密度※10.8 及び 1.0、6.0 ㎜厚以上 ※ただし1枚張りとする場合は、8.0 ㎜厚以上 (後述のシーラー処理を施すこと) 厚さ 10 ㎜未満 ・フレキシブル板 A 6.0 ㎜厚以上 ・せっこうボード 9.5 ㎜厚以上(タイルの大きさ 300mm角以下) ・合板 1類以上 9.5 ㎜厚以上 ・繊維混入せっこう板 6.0 ㎜厚以上 ・ガラス繊維クロス入りセメント板 12.5 ㎜厚以上 ・けい酸カルシウム板 かさ密度※10.8 及び 1.0、6.0 ㎜厚以上 ※ただし1枚張りとする場合は、8.0 ㎜厚以上 厚さ 10 ㎜以上 15 ㎜未満 (落下防止対策が必要) (後述のシーラー処理を施すこと) ・フレキシブル板 A 6.0 ㎜厚以上 ・合板 1類以上 9.5 ㎜厚以上 ・ガラス繊維クロス入りセメント板 12.5 ㎜厚以上 ・繊維混入せっこう板 6.0 ㎜厚以上 ・けい酸カルシウム板 かさ密度※10.8 及び 1.0、8.0 ㎜厚以上 厚さ 15 ㎜以上 (下地種類、接着方法、取り 付け金物及び落下防止対 策等の仕様を検討が必要) ※ただし1枚張りとする場合は、8.0 ㎜厚以上 (後述のシーラー処理を施すこと) ・フレキシブル板 A 6.0 ㎜厚以上 ・合板 1類以上 12.0 ㎜厚以上 ・ガラス繊維クロス入りセメント板 12.5 ㎜厚以上 ・繊維混入せっこう板 6.0 ㎜厚以上 また用途と標準的な下地ボードとの関係を下記の表に示す。表は代表的の事例を示しており、実際の 水がかりの程度を考慮してボードの選定を行う必要がある。尚、適用とタイル仕様・施工条件との組み合 わせによる下地ボード類の選択については、施工の項にて詳細を記述する。 6 用 途 下地ボード 非水廻り諸室 けい酸カルシウム板 トイレ、湯沸し室 フレキシブル板 A せっこうボード、シージングせっこうボード 耐水合板、繊維混入せっこう板 業務用キッチン けい酸カルシウム板 洗面脱衣室 フレキシブル板 A シージングせっこうボード、耐水合板 繊維混入せっこう板 浴室・シャワー室 (常時水掛りとなる部位を除く) ガラス繊維クロス入りセメント板 3-3) ボード下地材 ボード下地材については、鋼製壁下地及び木製壁下地とする。 3-3-1) 軽量鉄骨壁下地材 使用可能なスタッド仕様および部材の種類とスタッドの高さとの関係を表に示す。 ここではJIS認定品以外に廉価な普及品についても使用の範囲とした。普及品はJIS認定品に比較し、 厚みが薄いのが特徴であるが、各メーカーの材料の厚みについては各社共に明らかにしていないのが 実際である。次表については、主要軽量鉄骨壁下地建材メーカーの資料より整理している。したがって 普及品材の厚みについては、次表の数値は参考数値である。 ※太文字(上段)はJIS規格による 単位:mm 部材 種類 50 形 65 形 スタッド ランナー 振れ止め スタッドの 高さによる区分 記号 寸法 記号 寸法 記号 寸法 WS-50 50×45×0.8 WR-50 52×40×0.8 WB-19 19×10×1.2 50ST 50×45×0.5 50RN 52×40×0.6 C-19 19×10×1.0 WS-65 65×45×0.8 WR-65 67×40×0.8 65ST 65×45×0.5 65RN 67×40×0.6 WS-75 75×45×0.8 WR-75 77×40×0.8 75ST 75×45×0.5 75RN 77×40×0.6 WB-25 25×10×1.2 WS-90 90×45×0.8 WR-90 92×40×0.8 C-25 25×10×1.0 90ST 90×45×0.5 90RN 92×40×0.6 4.5m 以下 WS-100 100×45×0.8 WR-100 102×40×0.8 4.5m を超え 100RN 100×45×0.5 100RN 102×40×0.6 5m以下 2.7m以下 4m以下 75 形 90 形 100 形 4mを超え (日本建築学会 JASS26 及びメーカーカタログより抜粋編集) 7 3-3-2) 木製下地 木製壁下地材の種類、寸法、取り付け間隔を表に示す。 用途 部材の種類 寸法(mm) 間隔(mm) 柱、間柱 105×105, 30×105 455 胴縁 (15, 20, 24)×90/2 310 間柱 30×(45, 60, 65) 455 耐力壁 一 真壁 般 (17.5, 25)×100/2, 胴縁 コンクリート壁添え 455 45×100 壁 木ずり、下地板 (12, 20)×80 たて枠 455 650 以内 枠組壁工法 38×89, 38×140 上枠、下枠 - (日本建築学会 せっこうボードドライウォール指針・施工指針・同解説より) 3-4) 乾式ボード下地壁の下地工法 (1)乾式ボード下地壁の下地工法については、次の2つの仕様とする。 1) 軽量鉄骨壁下地工法 2) 木製壁下地工法 (2)鋼製壁下地工法、木製壁下地工法については、公共建築工事標準仕様書(国交省大臣官房官庁 営繕部監修)及び日本建築学会編 建築工事標準仕様書 同解説の うち、「JASS 26 内装工事」、 「JASS 19 陶磁器質タイル張り工事」に準拠するものとする。 軽量鉄骨壁下地工法のスタッドの間隔は、ボードの種類、枚数によって下記を原則とする。 ・ ボード 1 枚張りの場合(ガラス繊維クロス入りセメント板以外)・・・300mm程度 ・ ボード 2 枚張りの場合およびガラス繊維クロス入りセメント板・・・450mm程度 0 45 程度 300 スタッド間隔 300mm ピッチ、ボード 1 枚張りの例 程 度 スタッド間隔 450mm ピッチ、ボード 2 枚張りの例 8 455 310 455 木製下地壁の例 木製下地壁に横胴縁を取り付けた例 近年乾式ボード下地としてけい酸カルシウム板が多用されているが、けい酸カルシウム板を用いた施工要 領は、様々な方法が採用されているのが実情である。そのため、けい酸カルシウム板を用いた場合で汎用と されている施工要領について統一しておく必要があるため、次に特記しておく。 【けい酸カルシウム板を用いた場合の施工要領】 ① 主構成材料 (1) 下地材:鋼製、木製 (2) 2枚張りの場合の面材 ・ 下張り面材:石こうボード、または けい酸カルシウム板 ・ 上張り面材:けい酸カルシウム板 (3) 1 枚張りの場合の面材 ・ けい酸カルシウム板 ② 副構成材料 (1) 下地固定用留付け金具 ・ 設計図書または公共建築工事標準仕様書(国交省大臣官房官庁営繕部監修)による。 (2) 面材取り付け用留付け金具 ⅰ)ドリリングタッピンねじ ・ 規 格:JIS B 1115、1122、1123、1125 ・ 寸 法:φ3.5×25mm以上 ⅱ)小ねじおよび釘(木下地の場合のみ) ・設計図書仕様書または国交省大臣官房官庁営繕部監修:公共工事標準仕様書による。 ⅲ)ステープル(壁上張りで接着剤併用の留付けの場合のみ) ・ 規 格:JIS A 5556 ・ 寸 法: 4.0×16mm 以上 (3) 面材用接着剤(壁上張りで接着剤併用の留付けの場合のみ) ・ 酢酸ビニル樹脂系接着剤 9 【けい酸カルシウム板剥離防止のための施工要領ポイント】 (1)下 地 ・ ボードの割付に合わせた位置に必ず下地材がくる様に配置し、ボードジョイント部とな る下地の材幅は 45mm 以上とする。 (表1&図1:下地材幅 A) (2)下 張 り ・ 留付けは軽量鉄骨壁下地の場合はドリリングタッピンねじを、木製下地の場合は小ねじ または釘を用い、留付け要領は、表1及び図1による。 ・ ドリリングタッピンねじの軽量鉄骨壁下地への留付けは、裏面に 10mm以上の余長が 得られるものを使用し、釘の長さは、板厚の 3~4 倍以上で十分な取り付け強度の得ら れる長さのものを用いる。 (3)上 張 り ・ 張り方は、①留付け金物による留付け、②接着剤と留付け金物の併用とする。 ・ 留付け要領の原則は、表1及び図1による。 ・ 留付け金具と接着剤併用の場合に限り、留付け金物の留付け間隔をボード周辺部・中央 部共に 300~455mmとしてよい。(図2-1 参照) ・ 上張りは下張りのボードのジョイントを必ずまたぐ様にして張り、留付け金具は下地に 縫い付ける。 (図2-1&2-2 参照) ⅱ)壁 ・ 壁への施工で、接着剤併用する場合に限りタッカーによるステープルの留付けとしてよ い。ただしその場合は、接着剤を 250g/㎡以上塗布し、ステープルのピッチを 300m mピッチ以下とする。 (4)1 枚 張 り ・ けい酸カルシウム板を下地材に 1 枚張りする場合は、下張りの施工要領による。 10 [けい酸カルシウム板の施工要領] 表1【留付け間隔および下地間隔の標準仕様】 (単位:mm) 壁 部位 イ:繊維方向と下地が直交 ロ:繊維方向と下地が平行 (横胴縁) (間柱) 6、8 6、8、10、12 45 以上 45 以上 25 以上 40 以上 板厚 A (ジョイント部) 下地材幅 B (一般部) 1 枚張り : C 15 以上 2枚張り: 下張り 50 以上 1 枚張り : 2枚張り: 下張り 50 以上 上張り 15 以上 留付け間隔 E (周辺部) F (中央部) G 下地間隔 上張り 30 以上 15 以上 D 30 以上 15 以上 1枚張り :150~200 程度 1枚張り : 150~200 以下 2枚張り:下張り 455 以下 2枚張り:下張り 455 以下 上張り 150~200 程度 1枚張り : 300 以下 上張り 300 以下 1枚張り : 300 以下 2枚張り:下張り 455 以下 2枚張り:下張り 455 以下 上張り 300 以下 上張り 300 以下 1枚張り : 2枚張り: 303 以下 455 以下 1枚張り 2枚張り: 455 以下 (注) けい酸カルシウム板 厚 6mm 品を使用する場合は 2 枚張りを推奨する。 ロ イ 図1:壁留付け図 11 : 303 以下 軽量鉄骨下地 ドリリングタッピンねじ ※接着剤併用の場合に限り ドリリングタッピンねじの ピッチを 300~455mm以内 としてよい 【2枚張りの場合】 ・下地間隔:455mmピッチ以下 ・見付け寸法:45mm以上 ※ 2枚張りの場合でも、必ず留付け金具は下地材に縫い付けること。 図2-1 【壁上張り仕様:接着剤併用ドリリングタッピンねじ留めの場合】 軽量鉄骨下地 ステープル ※ステープルは接着剤との 併用に限り使用可(壁のみ) またステープルのピッチは 300mm以内とする ※接着剤の塗布量は 250g/㎡以上とする。 【2枚張りの場合】 ・下地間隔:455mmピッチ以下 ・見付け寸法:45mm以上 図2-2 【壁上張り仕様:接着剤併用ステープル留めの場合】 12 ※注意事項 防火構造認定等個別認定仕様の施工要領 1)国土交通省告示仕様、2)防火構造仕様、3)準耐火構造仕様(外壁・軒裏・間仕切壁 とも) 、4)耐火構造仕様(外壁・間仕切り壁とも)5)遮音構造認定仕様、においては、 それぞれ個別に施工要領が定められているため、各仕様の認定内容を確認し施工すること。 3-5) 軽量鉄骨壁下地工法における開口部周囲の施工 鋼製壁下地工法における開口部周囲の施工については、建築工事監理指針(国交省大臣官房官庁 営繕部監修)に準拠する。 ① 軽量鉄骨壁下地材壁の施工 軽量鉄骨壁下地は、施工場所のコンクリート床から上階のコンクリート床または梁までを支持点と して施工する。 ② 下地ボードの張り方について 下地ボード類の張り方としては、本資料では、ボード2枚張りを推奨しているため基本的にタイル 目地とボードの継ぎ目目地とは合致させなくてもよいものとしている。 理想論的には下地ボード材の目地位置とタイル目地の位置は同一の位置に来るべきであるが、 現実問題として、そのような意匠設計がなされていない場合や周到な施工計画において目地位置を 合致させても施工誤差等によりなかなか計画通りに施工できない場合が多い。冒頭の「適用範囲」に おいて下地ボード張り2枚張りを推奨しているのは、施工誤差の他にもボード面にある程度の剛性を 保持させる理由もある。 一方、乾式下地壁においてタイル張りをする場合、開口部周囲やタイル表面にもひび割れが入る 不具合が生じていることも事実である。こうした不具合をできる限り回避するために、当資料では、下 図のように開口部両脇に必ず継ぎ目地を設けるようにして下地ボードを張り付けるものとする。 さらには開口部の両脇については、継ぎ目目地のみではなく伸縮目地を設け、タイル面にも伸縮 目地を設けることを推奨する。 また前項でも述べた様に、ボード下地は開口補強材に留め付けてはならない。 【開口部周囲の下地ボードの張り方について】 13 3-6) タイル張り付け用接着剤 (1) 内装タイル現場接着剤張りに使用する接着剤は、原則として JIS A 5548:2003(陶磁器質タイル用接 着剤)及び JIS A 5557:2010(外装タイル張り用有機系接着剤)に適合したものする。 (2) JIS A 5548:2009(陶磁器質タイル用接着剤)においては、タイプⅡ及びⅢを適用とする。 (1)JIS A 5557:2006(外装タイル張り用有機系接着剤)については、フレキシブル板 A 及びガラス繊維クロス 入りセメント板に適用する。外装タイル張り用有機系接着剤については、セメント系建材との接着力は確 認されているが、その他の下地建材との接着力は不明確であるためである。 接着剤は、使用する部位の水がかりの程度やタイルの大きさ・施工法を考慮し、各タイルメーカーのカ タログにて推奨している張り付け材を優先して選定することを推奨する。 (2)乾式ボード下地であるため下地そのものが湿っていることは基本的にないため、JIS A 5548:2009(陶磁 器質タイル用接着剤)のうちタイプⅡ及びⅢを適用するものとし、原則タイプⅠは適用から外した。 参考までに JIS A 5548 の用途による区分を示しておく。 JIS A 5548 陶磁器質タイル用接着剤 「用途により区分」表の抜粋 種類 タイプⅡ タイプⅢ 用途 ほぼ乾燥している下地に張り付け後、間欠的に水及び温水の影響を 受ける箇所に用いるもの ほぼ乾燥している下地に張り付け後、水及び温水の影響を受けない 箇所に用いるもの ※タイプⅠは、本指針の適用外とする。 3-7) シーラー材(シーラー処理) (1) シーラー材は、けい酸カルシウム板を下地とする場合に適用する。 (2) シーラー材は、水性系シーラーとする。 (3) シーラーはタイル張り付け用接着剤との接着性を確認したものを採用する。 (1)けい酸カルシウム板は、抄造という方法により製造されるため、製品表面にけい酸カルシウムの粉が ついていることが多い。またけい酸カルシウム板には、かさ密度:1.0 と 0.8 があるが、0.8 の製品に比 較的粉が付きやすい。したがって、タイルを張る場合はこの粉を十分に取る必要がある。しかし粉を完 全にとり去ることは困難なため、けい酸カルシウム板表面にシーラー処理を施すものとする。 (2)シーラー処理とは、下地からのアルカリ分の浸出によるアク止めと下地への水分の過分な吸 収をなくすために行うもので、シーラーには水溶性(PVA)系と、耐水性のエマルジョン系、樹脂系の 溶剤タイプなどがある。環境配慮の観点と、現場での危険物取り扱いや有機溶剤中毒のリスク軽減の 観点から、水性系浸透性シーラーを使用することを原則とする。 (3) 、 (4)シーラー材には JIS 規格がないため、タイル張り付け用接着剤との接着性については十 分に確認する必要がある。当資料ではけい酸カルシウム板を下地ボードとした場合について接 14 着剤とシーラー材の組み合わせで接着強度を確認した基礎試験を実施しているので、その結果 の概要を下記に示す(詳細は参考文献 8、9 参照) 。 (注)この試験データはあくまで試験結果であり、性能を保証する数値ではない なお実験に使用したシーラー材及び接着剤の種類は以下の通りである。: 【シーラー材の種類】 エマルション形 エマルション系カチオン エポキシ系カチオン 【接着剤の種類】 アクリルエマルション 2 種類 変性シリコーン樹脂 2 種類 【標準養生】 【湿潤乾燥繰り返し試験】 15 【温水浸漬養生】 以上のグラフより、シーラー材と接着剤との組み合わせにより接着強度に差があることがわかる。 標準養生の場合にほとんどがJIS規定値を満たしていない点については、規定値の 0.588N/mm2 そ のものが乾式ボード下地を想定していないためであり(コンクリート下地を想定)、内装工事においては緩 和された基準が必要であると判断している。そのため本資料では問題視しない。 一方、温水浸漬の場合にシーラー材を施している場合においても、接着強さが大きく低下していること が確認されている。ひとつは合成樹脂エマルション形接着剤が水に弱い点があげられるが、下地である けい酸カルシウム板が低い引っ張り強さで凝集破壊をしている点が確認されている。これより常時多湿環 境である空間や水掛りとなる環境下では、タイル下地建材としてけい酸カルシウム板は不適である点と、 タイル張り付け用接着剤として合成樹脂エマルション形接着剤が不適である点が改めて確認された。 次に水性系浸透性シーラーの施工上の諸注意事項を示す。 【水性系シーラーの施工上の留意点】 (ア) けい酸カルシウム板素地を十分に乾燥しておくこと。 (イ) 5℃以下、湿度 85%以上、または降雨、降雪、降霧、結露などが懸念される場合は、シーラー塗装 を避ける。 (ウ) シーラー塗材を十分攪拌してから使用する。 (エ) 希釈する仕様とそうでない仕様があるため、十分確認する。 (オ) かすれや塗り残しのない様に均一に塗装する。 (カ) 塗装後は十分な換気をおこなう。 (キ) 2回以上の塗布をおこなう仕様がほとんどであるため、塗装間隔は各塗料メーカーの取り扱い説明 書に従い施工をおこなう。塗布量は各社異なるが、けい酸カルシウム板下地の場合は概ね 0.16~ 0.20kg/㎡程度である。 ボード材の乾燥度については、水分計を用いて測定可能であるが、測定誤差が大きく正確に知ること が困難である。そのため施工時において、下地を濡らさない様にかつ湿気にさらさない様に配慮し、十 分乾燥していることを目視や手触りにて確認する等の管理が主体となる。十分乾燥していないと、シーラ ー処理が的確に施されず、タイル剥離の原因となるため留意する。 16 シーラー材の選定については、カチオン材料を添加した合成樹脂エマルション形シーラーが塗料メー カー各社で近年開発・改良されており、先に紹介した基礎試験結果からも接着強度の観点で優位であ ることがわかっているため、カチオン系を積極的に採用することを推奨する。 4. 施工上の留意点 4-1) タイル張り工法 タイル張り工法は下記の3種類とする。 ① 全面接着剤張り ② 両面塗布全面接着剤張り ③ 部分接着剤張り 共通の留意点 ・ 下地が乾燥している状態であることを確認してからタイル張りをおこなうこと。 ・ 下地面は、ほこりや汚れがないことを確認してからタイル張りをおこなうこと。 ・ タイルがずれる場合は、下から積み上げて施工するか自重受け金物等を設ける仕様と併用する。 ・ クシ目はしっかりと立てて塗り付けること。 ・ 接着剤は各メーカーの仕様に基づき、張り付け工法に適応したものを選択すること。 ・ 他建材との取合いは、シーリング目地とし、目地幅は10mm 以上確保すること。 ・ キッチン等のある程度水がかかるような部位に使用する場合の目地材はシリコーン系シーリング材 を選択すること。 ・ 床との納まりは、床にのみ込ませない納まりとする。 ・ ボードの継ぎ目をまたいでタイルを原則張り付けないこと。ただし、公称300mm角に満たないタイ ルを張り付ける仕様でボードを2重に張るなど挙動を抑える仕様を施す場合に限り、関連部署との 協議によりボードの継ぎ目をまたぐ施工を許容する。 ・ 設備、電気機器、看板等を取り付ける場合は、軽量鉄骨壁下地へ取り付け、タイルに荷重をかけ ないようにする。 ・ 出隅や取り付け金物などの力が加わりやすい部分では、両面塗布全面接着剤張りとし、タイル裏 面にすき間ができないように施工すること。 ・ タイルの大きさが300mm 角以上の場合は、下地種類、接着方法、取り付け金物及び落下防止対 策等の仕様を検討する。 ① 全面接着剤張り 平坦な下地に張り付け用接着剤をクシ目コテ(5mm または3mm 高さ)で塗布し、タイルをしっかりと揉み 込むように叩き押さえをして張り付ける工法。 【施工のポイント】 ・ タイルの裏足高さが1.0mm 未満の場合は、3mm のクシ目コテ、1.0mm 以上2.0mm 以下の場合は 5mm のクシ目コテを使用する。 ・ くし目の高さが3mm 以上になるように塗り付けること。 (下地精度が良い場合には、くし目の高さが2mm 以上(3mmクシ目コテ使用)でも施工可能。) 17 ・ 必要に応じて、タイル 1 枚ごとに目地部にスペーサーを取付けて張り付けること。 ・ タイル裏面への接着剤の接着面積が 60%以上になるように塗り厚を調整のこと。 下地ボード 有機系接着剤 タイル 下地ボード 目地材 有機系接着剤 タイル 標準施工概要図 縦断面詳細図 【全面接着剤張り工法】 ② 両面塗布全面接着剤張り タイル裏面に接着剤を十分に塗り込み、クシ目塗布された下地にしっかりと揉み込みようにして張り 付ける工法。 【施工のポイント】 ・ タイル裏足に十分に接着剤が充填する様にする。 下地ボード 有機系接着剤 有機系接着剤 タイル 下地ボード 目地材 有機系接着剤 タイル 標準施工概要図 縦断面詳細図 【両面塗布全面接着剤張り工法】 ③ 部分接着剤張り 接着剤をタイル裏面の周辺部とその内側に150mm 以下のピッチでビード状に塗布し、下地面にし 18 っかりと揉むように押さえつけて張り付ける工法。張り付ける際には、スペーサーを取付けて張り付け る。 【施工のポイント】 ・ 張り付ける高さが 1.5mを超える場合には、1.5mごとにタイル受け金物を併用して張り付ける。 ・ 接着剤のビードは5本以上とする。 タイル 下地ボード 下地ボード アルミ押出し材 (タイル受け金物) ボードテクスビス 目地材 タイル 有機系接着剤 有機系接着剤 目地材 アルミ押出し材 2~3mm (タイル受け金物) 標準施工概要図 縦断面詳細図 【部分接着剤張り工法】 各工法において共通事項であり、1.適用範囲においても記述したが、内装タイル張り乾式下地壁とす るボードは、2枚張りを推奨している。 ただし、タイル張りの目地をボードの継ぎ目に合わせてタイル割付けを施す場合は、ボード下地を1枚 張りとしてよいものとした。またけい酸カルシウム板で 1 枚張りとする場合は、厚さ 8.0 ㎜以上の仕様を用 いるものとした。 タイル張り工事において最も重要な点は、タイルを脱落させないことである。近年タイルの仕様が多様 化しており、本資料に適用されえない場合も生じる可能性がある。その場合においては、関係部署と十 分に工法と対策について検討し、施工をおこなう。 4-2) タイル目地 (1) タイル目地はすべてあと目地とする。 (2) 空目地、深目地としてもよいものとする。ただし、水洗い水掛りの部位はシーリングをおこなう。 (3) 目地を設ける場合は、タイル目地幅は設計図書による。 内装タイル張りを前提とした指針であるため、空目地、深目地としてもよいものとした。目地を設ける場 合は、設計図書によるものとしたが、タイルメーカー推奨の目地幅を大きく逸脱しないこととする。 19 4-3) 伸縮目地 (1) 伸縮目地は、縦目地は 6m以内に設けることが望ましく、水平目地はなくてもよい。 (2) 伸縮目地に囲まれた面積は概ね 30 ㎡程度とする。 (3) 下地ボード面に伸縮を設けた場合は、その上部の同一位置に必ず伸縮目地を設けること。 本資料では、内装乾式壁下地における有機系接着剤の施工であるため、室温の高低差が緩和される 点と有機系接着剤に追従性能がある程度期待されることから、経験値的に縦目地の間隔を 6m以内とし ている。ただし、空目地や深目地の仕様によっては、さらに緩和してよいものとする。事前に設計者や監 理者と再確認し、伸縮目地の位置・間隔を決定し、施工計画のこと。 壁が曲面である場合や複雑な形状である場合、要所に伸縮目地を設ける必要があり、やはり上記に記 載した仕様の限りではないため、設計者や監理者と協議・確認し、伸縮目地の位置や間隔を決定し、施 工のこと。 また本資料では、タイルを張る仕上げ高さを最高5mまでとしているため、水平目地はなくてもよいとし た。さらには内装タイル張り工事であるため、伸縮目地には必ずしもシーリングの施工は必要ないものと している。 以上、内装タイル張り乾式下地壁についての方針を述べてきたが、最後にタイルの仕様と施工する箇 所の適用条件より、下地材料や工法を容易に選択できる整理表を用意した。要点のみをまとめたものであ るが、参考にとすること。 【参考文献】 1. 公共建築工事標準仕様書(国交省大臣官房官庁営繕部監修)(平成 22 年度版) 2. JIS A 6517 建築用鋼製下地材(壁・天井) 3. JIS A 5548 陶磁器質タイル用接着剤 4. JASS19 (日本建築学会) 陶磁器質タイル張り工事 5. JASS26 (日本建築学会) 内装工事 6. せんい強化セメント板協会 技術資料けい酸カルシウム板 タイプ2 7. INAX タイルの知識 8. 2012 年日本建築学会大会学術講演梗概集 No.1528 大成建設 橋爪慶介 9. 2012 年日本建築学会大会学術講演梗概集 No.1529 大成建設 久保田浩 10. 建設省 官民連帯共同研究報告書 「有機系接着剤を利用した外装タイル・石張りシステムの開発」 20 ■内装タイル乾式下地壁 仕様適用表 適用タイル (裏足高さが2㎜以下) 適用下地(上張り等の表面材) 乾式下地壁 への適用 形状及び大きさ等 けい酸カルシウム板 厚み10㎜未満 公称300mm角 以下 かさ密度:0.8及び1.0 かつ t=6.0㎜以上 ○ 厚み10㎜以上 15㎜未満 (脱落防止対策が必 要) 下地ボードの 適用条件等 合板 石膏ボード シージング 石膏ボード t=9.5㎜以上 ○ ○ ○ 公称300mm角以上 (下地種類、接着方法、取り付け金物及 び落下防止対策が必要) フレキシブル板A 適用工法 繊維混入せっこう 板 ガラス繊維クロス 入りセメント板 ○ ○ 1類以上 かつ t=9.0㎜以上 ○ ○ × ○ ○ 1類以上 かつ t=9.0㎜以上 ○ × ○ ○ 下地1枚張りのみの仕様 (ボード継ぎ目にタイル目地割を 合わせる場合に限る) ○ ○ × ○ ○ ○ 湿潤・乾燥を繰り返す 空間への適用 (乾燥中心) ○ ○ × × ○ ○ 水掛り及び湿潤時が多い 空間での適用 × ○ × × × ○ 注意1) 内装制限のある部位に使用する際は(避難通路の廊下壁など)、建築主事あるいは確認申請審査期間等に有機系接着剤の 可否を確認する必要がある。 (ただしタイル張りをする場合は、概ね有機系接着剤を使用しても問題ないとしている場合が多い。) 注意2) 内装タイル張りの工法で団子張り工法(点付け施工)があるが、施工ムラが生じやすく剥離・脱落の事故例もあるため 推奨しない。 注意3) シージング石膏ボードは、時折水拭き清掃やタイル面に水しぶきを受けるが、常時乾燥状態の空間の部位に適用とする。 注意4) けい酸カルシウム板に用いる接着剤及びシーラー材に関しては別表を参照のこと。 備 考 全面接着張り 両面塗布 部分接着張り 全面接着張り (金物併用) 0~1.5m 以下まで ○ ○ ○ 1.5mを超え 5.0m以下 まで タイルの寸法に より落下防止 策が必要 ○ ○ ○ 0~1.5m 以下まで ○ ○ ○ 1.5mを超え 5.0m以下 まで ○ ○ ○ ○ かさ密度:0.8及び1.0 かつ t=6.0㎜以上 ○ ○ 張り付け高さ への制限 0~5.0m 以下まで 基本的にタイルの仕様は厚さ10mm未満、 公称300mm角以下を考えており、それを 超える仕様については下地種類、接着方 法、取付け金物及び落下防止対策等を検 討すること ○ けい酸カルシウム板に施すシーラー仕様 【別表】 常時乾燥状態である 空間への適用 適 適 応 用 条 条 件 湿潤・乾燥を繰り返す 件 空間への適用 (乾燥中心) 【凡例】 ○ ・・・ 採用可とする。 × ・・・ 採用不可 水掛り及び湿潤時が 多い空間での適用 エマルション系 エマルション系 エポキシ樹脂系 カチオン カチオン × ○ ○ 合成樹脂系エマルション形1 ○ ○ ○ 合成樹脂系エマルション形2 ○ ○ ○ 変性シリコーン樹脂系1 ○ ○ ○ 変性シリコーン樹脂系2 ○ ○ × 合成樹脂系エマルション形1 × × ○ 合成樹脂系エマルション形2 ○ ○ ○ 変性シリコーン樹脂系1 ○ ○ ○ 変性シリコーン樹脂系2 × (ガラス繊維クロス入りセメント板 またはフレキシブル板A下地とする) 接 着 剤 仕 様
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