ACQUITY QDa 検出器および ACQUITY UPLC H-Class

ACQUITY QDa 検出器および
ACQUITY UPLC H-Class システムを用いた
不純物分析のためのメソッド開発
Margaret Maziarz
目的
ACQUITY QDa 検出器の役割は、個別の標準品を分析して
ACQUITY ® QDaTM 検出器の役割は、個別の標準品
得られるピークの保持時間で同定確認を行う必要性を
を分析して得られるピークの保持時間による
同定確認を行う必要性を最小限に抑え、効果的
で堅牢なスクリーニングメソッドを開発する
最小限に抑え、効果的で堅牢なスクリーニングメソッドを
開発することです。
ことです。
背景
ここでは、pH の異なる移動相を用いた一連の分析について、ジプラシドン塩酸塩
と USP で指定されている類縁化合物の溶出位置を確認するために、ACQUITY QDa
メソッド開発は通常、カラム、有機溶媒、バッ
検出器で測定したマススペクトルによる定性情報を活用しました。このメソッド
ファーの種類、グラジエント勾配、流速および
開発の手順は、pH を調整するための Auto•Blend Plus™ テクノロジーを搭載した
温度などスクリーニングのクロマトグラフィー
ACQUITY UPLC ® H-Class を用いることでスムーズに実施することができます。
パラメーターを含んでいます。このパラメー
ターは、いずれも分析に必要な品質を確保する
ため、分離の調整を目的に変更されます。
逆相分析では pH の微調整によって、化合物の
相対保持時間(溶出位置)を調整することがよく
あります。このように分離パターンを検討する
ソリューション
今回使用した ACQUITY UPLC H-Class システムの機能である Auto•Blend Plus は、
有機溶媒と水に酸とアルカリを混合するプログラムによって、一定の pH の移
動相を送液します。ジプラシドン塩酸塩および類縁化合物の同定については、
場合、各サンプル中の成分ごとにクロマトグラ
ACQUITY QDa 検出器を用いました。
フィーの挙動を追跡することは意味のあるこ
pH スクリーニング分析では、125 mM ギ酸およびギ酸アンモニウムのストック
とで、それと同時に共溶出する成分の確認も
必要です。
精度が高く完全なピークトラッキングが行わ
れない場合、メソッド開発に要する時間が長く
なり、重要な不純物を見逃す可能性が考えられ
ます。さらに、誤同定や不純物の見逃しによって、
医薬品の最終製品の安全性や有効性が犠牲にな
るリスクもあります。MS 検出器を用いてマス
スペクトル情報を得ることができると、分析ラ
ボは、ピークの保持時間を正しくモニターする
ことができるようになります。
溶液を使用し、アセトニトリルおよび水をクォータナリーポンプで混合し、pH
3.1、4.0 および 5.0 の移動相が送液されるようプログラムしました。表 1 の
Auto•Blend Plus のメソッドは、pH 3.1 となっています。ジプラシドン塩酸塩
および類縁化合物の分離は、pH の影響によって図 1 に示したようになっています。
pH 3.1
pH 4.0
pH 5.0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
5.5 min
図 1. ACQUITY UPLC H-Class シ ス テ ム お よ び ACQUITY UPLC CSH C 18 2.1 x 50 mm、
1.7 µm カラムを用いて、メソッド開発の pH スクリーニングで得られた UV 254
nm のデータ。この時の注入量は 0.5 µL、カラムは 30 ℃、流速は 0.8 mL/min
表 1. メソッド開発中に、Auto•Blend Plus を用いて pH 3.1 の移動相を供給する
ためのグラジエントプログラム
図 1 から、pH が高くなるほど、全てのピークの保持時間が遅くなることがわかります。また、移動相の pH が 3.1 または 5.0 と比べて、
pH 4.0
では検出されるピークの本数が少なくなりました。メソッド開発中のピークのトラッキングや同定には、
ACQUITY QDa 検出器を用いました。
MS による溶出ピークのトラッキングについては、図 2 に示しました。マススペクトルでピークのトラッキングを行うことで、UV データ
でのピーク 2 の溶出順序の確認を行うことができます。
413
427
3
1
pH 3.1
5
Peak 2
Peak 3
2
4
0
1
2
3
4
5 min
350
420
490 m/z 350
2/3
420
490 m/z
413
1
pH 4.0
5
Peaks 2/3
415
427
4
0
1
2
3
4
5 min
420
413
3
1
350
pH 5.0
427
Peak 3
5
2
490 m/z
Peak 2
4
0
1
2
3
4
5 min
350
420
490 m/z 350
420
490 m/z
図 2. ACQUITY QDa Detector によるピークトラッキング。異なる pH でクロマトグラフィー分析を行った時のピーク 2 および 3 の溶出位置を確認するための TIC および
マススペクトルによる分子量の確認。
Peak 1:類縁化合物 A
Peak 2:類縁化合物 B(MW:426.92)
Peak 3:ジプラシドン塩酸塩(遊離体 MW: 412.94)
Peak 4:類縁化合物 C
Peak 5:類縁化合物 D
ACQUITY QDa は、ハイエンドの質量分析計がなくても、分析担当者が素早くマススペクトルによる分子量
関連の情報を得ることができるため、クロマトグラフィーシステムとの相乗効果を得られる検出器です。個別
の標準品を分析して得た保持時間によって同定確認を行う必要性を最小限に抑えることで、効率的で堅牢な
メソッド開発を合理的に行うことができます。
Empower® 3 ソフトウェアでは、光学検出データと MS データを統合し、ACQUITY UPLC PDA 検出器のデータ
測定と同じ流れでマススペクトルデータを扱うことができます。
まとめ
ACQUITY QDa 検出器を、ジプラシドン塩酸塩および USP で指定された不純物を分離する UPLC ® メソッド
の開発をしながら、サンプル中の成分のトラッキングを行うために用いました。 ACQUITY QDa 検出器は、
光学検出器と原理の異なる技術を用いて化合物の同定確認を行うため、マススペクトルの定性データに
よって光学検出データを補完できるよう設計されています。
ACQUITY UPLC H-Class システムに ACQUITY QDa 検出器を接続し、さらに Auto•Blend Plus テクノロジーを
用いることで、ラボの医薬品分析の流れを合理化し、完全で迅速なクロマトグラフィー分離および化合物
の同定を行うことができます。
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©2013 Waters Corporation. Printed in Japan. 2013 年12月 720004801JA