Page 1 Page 2 研究会報告 23. 鉄基アモルフ ァス合金のスピングラス

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
23. 鉄基アモルファス合金のスピングラス(基研短期研究
会「スピングラスを中心とした新しい秩序相」報告,研究
会報告)
後藤, 恒昭
物性研究 (1988), 49(4): 394-394
1988-01-20
http://hdl.handle.net/2433/92888
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
研究会報告
23.鉄 基 アモ ル フ ァス 合 金 の ス ピ ン グ ラ ス
東大
鉄 基 アモル フ ァス合 金 F eト
X
物性研
後藤恒昭
E ax (E a= Z r, L .
・
1,C e,I
Ju等 ) で は
鉄 の 濃 度 が増 す と F e ㍗ ㍗ o相 が 出 現 す る が , こ の 相 は 単 純 な F e ㍗ ㍗ o相 で は な
く、 低 温 で リエ ン トラ ン トス ピ ン グ ラ ス 相 (R SG) に転 移 す る 。 F e ㍗ ㍗
o相の
T cは F e濃 度 と共 に増 加 す る が 、 ピ ー ク を つ く り、 そ の 後 減 少 し、 F eが 9 0%
近 傍 で F e ㍗ ㍗ o相 は消 失 、 ス ピ ン グ ラ ス 相 (SG) が 出 現 す る 。 F eが 9 0% 以
上 の アモ ル フ ァス 合 金 の SG 載 移 温 度 は
110K近 傍 に あ る こ と か ら アモ ル フ ァス
純 鉄 は、 TsG- 1 10K の ス ピン グ ラ ス と想 像 さ れ る 。 R SG お よ び SG 相 にお け
る Fe ト X
Eax アモル フ ァス 合 金 の 磁 気 的 な 性 質 は 、 カ ノ ニ カ ル SGお よ び R S
G と 同様 で あ る 。
メ スバ ウ ァ- 効 果 の 測 定 は、 典 型 的 な R SG お よ び SG の 性 質 を示 す 二 つ の 試 料
.5L a17. 5で は、 T c (2 6 5K) 以 下 で 急 激 に 内 部 磁
につ い て 行 な っ た 。 F e82
場 が 出現 し増 加 す る が、 80K以 下 で ス ピ ン の 横 成 分 の 凍 結 に よ る と思 わ れ る 異 常
な増 加 が観 測 され たQ ま た F e9 1.5L a8
.5 で は 、 P a r
・a- SG 転 移 に伴 っ て 内
部 磁 葛 の 出現 が観 測 され 、 ミク ロな 測 定 手 段 か らも R SG , SG 相 の 存 在 が 確 認 さ
れ たO
鉄 基 アモル フ ァス 合 金 の 磁 気 的 な 性 質 は 、 圧 力 に特 に敏 感 で 、 た と え ば R SG の
.5L a1
2.5で は 、 高 圧 を加 え る と T cは 急 激 に減 少 、 T RS。 は 増
性 質 を示 す F e87
㍗ ㍗ o相 が消 失 して SG 相 が 出 現 す る 。 こ の 結 束 は 、 原 子 間 距 離 の 減 少
加 し、 F e.
によっ て 最 近 接 の F e- F e間 に働 くプ ラ ス の 相 互 作 用 が 減 少 す る と共 に、 マ イ ナ
ス の相 互 作 用 が増 大 す る こ と に よ っ て 、 SG 相 が 出現 した こ と を示 して い る 。
鉄 基 アモル フ ァス合 金 は遍 歴 電 子 磁 性 体 で あ り, F e- F e間 に働 く相 互 作 用 の
符 号 と大 き さ は F eの 回 りに あ る F eの 配 位 数 と そ の 間 の 距 離 に依 存 す る 。 これ が
R SG ,SG相 出現 の原 因 で あ り、 鉄 基 アモ ル フ ァス 合 金 は 新 しい タ イ プ の ス ピ ン
グ ラ ス と考 え る こ と がで き る O
-394-