2014 大阪医科大学 後期 化学 Ⅰ【解答】 問1 2H2O2 → 2H2O+O2 問2 反応⑴ 酸化剤:MnO2 還元剤:H2O2 反応⑵ 酸化剤:H2O2 還元剤:MnO 反応⑴ knK1[H2O2] 反応⑵ knK2b[H2O2] 問3 knK1[H2O2]=knK2b[H2O2]より b= 問4 K1 となる。したがって,b は[H2O2]の K2 値によって変化しない。 問5 n を大きくすれば反応速度が大きくなるので,酸化マンガン(Ⅳ)の粒を 細かく砕いて表面積を大きくすればよい。 【解説】 問1 反応中間体を省略すると, MnO2+H2O2 → MnO+H2O+O2 …⑴' MnO+H2O2 → MnO2+H2O …⑵' ⑴'+⑵'より, 2H2O2 → 2H2O+O2 +4 問2 0 +2 MnO2 + H2 O 2 → MnO+H2O+O2 酸化剤 還元剤 反応⑵ MnO + H2 O 2 → MnO2+H2 O 還元剤 酸化剤 +2 問3 -1 反応⑴ -1 +4 -2 触媒表面に存在する Mn 原子の物質量は n で,そのうち MnO(OH)(OOH)の割合 が a であるから,MnO(OH)(OOH)の物質量は na である。 反応⑴の反応速度は,MnO(OH)(OOH)の物質量 na に比例し,比例定数は k, a=K1[H2O2]であるから, 反応⑴の反応速度=k・na=knK1[H2O2] 1 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 また,Mn(OH)(OOH)の割合が c であるから,Mn(OH)(OOH)の物質量は nc であ る。 反応⑵の反応速度は Mn(OH)(OOH)の物質量 nc に比例し,比例定数は k, c=K2b[H2O2]であるから, 反応⑵の反応速度=k・nc=knK2b[H2O2] 問4 反応⑴の反応速度=反応⑵の反応速度のとき, knK1[H2O2]=knK2b[H2O2] よって, b= K1 (一定) K2 となる。したがって,b は[H2O2]の値によって変化しない。 問5 触媒と H2O2 の量,温度を変えることなく反応速度 knK1[H2O2]や knK2b[H2O2]を大 きくするには,触媒を細かく砕いて表面積を大きくし,n の値を大きくすればよい。 2 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 Ⅱ【解答】 問1 58.5 mL 問2 水の蒸気圧を考慮すると,CO2 の分圧が 1.013×105Pa より小さいので,水に 溶解している CO2 の物質量は小さく,気体の CO2 の物質量は大きい。さらに, 気体の H2O も存在するので,気体の総物質量が大きいため,注射器内容積も大 きくなる。 問3 (ウ) ・温度が高くなることによる気体の体積増加。 ・温度が高くなると CO2 の水への溶解度が小さくなる。 ・温度が高くなると水蒸気圧が大きくなる。 問4 106.4-2a+10-a〔mol/L〕 問5 (ア) CO2 と NaOH が中和反応して水中の CO2 が減少するので,気体の CO2 が さらに溶解して,気体の物質量が小さくなるから。 【解説】 問1 水に溶ける CO2 の体積は 0.83×50=41.5〔mL〕← CO2 の圧力=1.013×105 と考えている。 なので,注射器内容積は, 50+(50-41.5)=58.5〔mL〕 問2 水の蒸気圧を考慮すると, CO2 の分圧=1.013×105-水蒸気圧<1.013×105 ヘンリーの法則より,水に溶解する気体の物質量はその気体の分圧に比例するので, 水に溶解している CO2 の物質量は,水の蒸気圧を無視した場合(CO2 の圧力=1.013 ×105 と考えた場合)に比べて小さくなる。 したがって,水の蒸気圧を考慮すると,気体の CO2 の物質量は,水の蒸気圧を無 視した場合に比べて大きくなる。さらに気体の H2O も存在するので,気体の物質量 はさらに大きくなる。 同温・同圧で,気体の体積は物質量に比例するので,水の蒸気圧を考慮すると,気 体の体積が大きくなるため,注射器内容積は大きくなる。 3 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 次のようなことが起因する。解答欄は各項目 1 行なので,簡潔に書けばよい。 問3 ・ 温度が高くなると,体積が増加する(シャルルの法則)。 ・ 温度が高くなると,水蒸気圧が大きくなり,水蒸気の物質量が増加する。 ・ 温度が高くなると,同じ圧力での CO2 の溶解度が小さくなる。また,水蒸気圧 が大きくなったことで,CO2 の分圧も小さくなるので,さらに CO2 の溶解度は小 さくなる。 - + CO2+H2O → ← HCO3 +H 問4 …(*) (*)式の平衡定数を K とすると, K= [HCO3 ][H ] [CO2 ] pH=6.4 すなわち[H+]=10-6.4 のとき,[CO2]=[HCO3-]すなわち [HCO3 ] =1 な [CO2 ] ので, K= [HCO3 ] ×[H+]=1×10-6.4=10-6.4 [CO2 ] CO2 水溶液の pH が a なので [H+]=10-a (*)式より, [H+]=[HCO3-]=10-a K= [HCO3 ][H ] より, [CO2 ] 10 a 10 a = 10 6.4 [CO2 ] よって, [CO2 ] =106.4-2a 水に溶けた CO2 の総モル濃度を[CO2]T とすると,水に溶けた CO2 は,CO2 または HCO3-の形で存在しているので, [CO2]T=[CO2]+[HCO3-]=106.4-2a+10-a〔mol/L〕 問5 水に溶けた CO2 が NaOH と次のように反応して,さらに CO2 が溶け込んでくる ので[CO2]T が大きくなり,気体の CO2 の物質量が小さくなる。 2NaOH+CO2 → Na2CO3+H2O 4 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 Ⅲ【解答】 ア 問1 (C) イ (A) ウ (C) エ (C) オ 問2 HCl が還元剤として KMnO4 と反応するので,塩酸は使用できない。 問3 MnO4-+8H++5e- → Mn2++4H2O (E) O2+4H++4e- → 2H2O 分数: 5 mol 4 問4 1.25×10-5 mol 問5 25.0 mg/L 【解説】 問1 ア,ウ,エは,定量関係の計算に関わる溶液の体積を量り取るので,正確に量り 取る必要があるため,ホールピペットを用いる。 塩酸中の Cl-は MnO4-により酸化されて Cl2 となる。このため,MnO4-が余分に 問2 消費されて,COD の測定値が大きくなってしまう。 MnO4-+8H++5e- → Mn2++4H2O 問3 より,MnO4- 1 mol は 5 mol の電子を受け取る。 O2+4H++4e- → 2H2O より,5 mol の電子を受け取るには,O2 問4 5 mol を必要とする。 4 KMnO4 と Na2C2O4 は,次のように反応する。 MnO4-+8H++5e- → Mn2++4H2O …⑴ C2O42- → 2CO2+2e- …⑵ ⑴×2+⑵×5 より, 2MnO4-+16H++5C2O42- → 2Mn2++8H2O+10CO2 両辺に 2K+,8SO42-,10Na+を加えて, 2KMnO4+8H2SO4+5Na2C2O4 → 2MnSO4+8H2O+10CO2+K2SO4+5Na2SO4 …⑶ 5 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 試料水 20.0 mL 中の有機物と反応した KMnO4 の物質量を x〔mol〕とすると, Na2C2O4 と KMnO4 の物質量は, 10.0 2.50 +5.00×10-3× -x 1000 1000 12.5 -x〔mol〕 =5.00×10-3× 1000 5.00×10-3× である。⑶式より,KMnO4 1mol と反応する Na2C2O4 は 5 mol であるから, 2 10.0 12.5 5 3 x =1.25×10-2× 5.00 10 1000 1000 2 これを解いて, x=1.25×10-5〔mol〕 問5 試料水 20.0 mL で実験していることに注意して, COD=1.25×10-5× 5 1000 ×32.0×103× =25.0〔mg/L〕 4 20.0 6 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 Ⅳ【解答】 問1 A: F: CH3 CH2 CH CH CH2 OH CH3 CH2 CH CH C O CH3 O 問2 気体 X: 水素 気体 Y: 二酸化炭素 問3 9.68 g 問4 ① R-CHO+2Cu2++5OH- → R-COO-+Cu2O+3H2O ② R-CHO+2[Ag(NH3)2]++3OH- → R-COO-+2Ag+2H2O+4NH3 問5 5 種類 【解説】 【実験 1】 化合物 A 4.30g の燃焼で生じた H2O(塩化カルシウム管で吸収される)は 4.50 g, CO2(ソーダ石灰管で吸収される)は 11.0g なので,化合物 A 中の炭素・水素・酸素の質 量をそれぞれ求めると, 12.0 =3.00〔mg〕 44.0 2.00 =0.500〔mg〕 H の質量: 4.50× 18.0 C の質量: 11.0× O の質量: 4.30-(3.00+0.500)=0.80〔mg〕 化合物 A の組成式を CxHyOz とすると, x:y:z= 3.00 0.500 0.80 : : =5:10:1 12.0 1.00 16 よって,組成式は C5H10O 【実験 2】 化合物 A を金属ナトリウムと反応させると気体 X(問2水素)が発生したので,化合物 A はヒドロキシ基をもつ。 2R-OH+2Na → 2R-ONa+H2 7 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 【実験 3】~【実験 5】 化合物 B はフェーリング液を還元し,銀鏡反応陽性なのでアルデヒド,化合物 C は 炭酸水素ナトリウム水溶液に気体 Y(問2二酸化炭素)を発生しながら溶けたのでカルボ ン酸化合物 A は第一級アルコール,化合物 B はアルデヒド,化合物 C はカルボン酸と 考えられる。 R-CH2-OH 酸化 R-CHO 酸化 R-COOH フェーリング液を還元する反応は,次のように構成できる。 R-CHO+3OH- → R-COO-+2H2O+2e- …⑴ 2Cu2++2OH-+2e- → Cu2O+H2O …⑵ ⑴+⑵より, 2++5OH- 問4①R-CHO+2Cu → R-COO-+Cu2O+3H2O 銀鏡反応は,次のように構成できる。 [Ag(NH3)2]++e- → Ag+2NH3 …⑶ ⑴+⑶×2 より, 問4②R-CHO+2[Ag(NH3)2] +3OH- → R-COO-+2Ag+2H2O+4NH3 + 【実験6】 化合物 A は臭素 Br2 と 0.10× 10.0 10.0 :0.10× =1:1 1000 1000 の物質量比で反応したので,炭素間二重結合 C=C を 1 個もつと考えられる。 化合物 A の分子式を(C5H10O)n(分子量 86.0n)とすると,Br2 が付加した生成物は, (C5H10O)nBr2(分子量 86.0n+159.8)なので, 86.0n×3≒86.0n+159.8 より,n=1 よって,化合物 A の分子式は C5H10O 8 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 化合物 A は ・分子式は C5H10O ・不斉炭素原子をもつ ・第一級アルコール(-CH2-OH) ・炭素間二重結合 C=C をもつ ことより,次の構造に確定する。 A: CH3 CH2 CH CH CH2 OH 問1 化合物 B,C,D,E,F は,次の構造に確定する。 B: A 酸化 CH3 CH2 CH CH C H O B 酸化 C: CH3 CH2 CH CH C OH O Br 2 D: A CH3 CH2 CH Br Br H 2 E: C CH CH2 OH CH3 CH3 CH2 CH C OH O CH OH C 3 F: CH3 CH2 CH CH C O O CH3 問1 9 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 大阪医科大学 後期 化学 問3 Cr2O72-が酸化剤としてはたらく反応は, Cr2O72-+14H++6e- → 2Cr3++7H2O …⑷ A が B に酸化される反応は, C4H7CH2OH → C4H7CHO+2H++2e- …⑸ A が C に酸化される反応は, C4H7CH2OH+H2O → C4H7COOH+4H++4e- …⑹ ⑷+⑸×3 より, Cr2O72-+…… → ……+3C4H8CHO ⑷+⑹× …⑺ 3 より, 2 Cr2O72-+…… → ……+ 3 C4H8COOH 2 …⑻ ⑺式で生成した C4H7CHO(分子量 84.0)が 6.30 g なので,反応した Cr2O72-は, 6.30 1 × mol 84.0 3 ⑻式で生成した C4H7COOH を x〔mol〕とすると,反応した Cr2O72-は, 2 x mol 3 K2Cr2O7(式量 294)の物質量について, 6.30 1 2 14.7 × + x= 84.0 3 3 294 これを解いて, x=0.0375〔mol〕 A の物質量は,生成した B の物質量と C の物質量の和に等しいので,用いた A(分 子量 86.0)の質量は, 6.30 0.0375 ×86.0=9.675≒9.68〔g〕 84.0 問3 H2 を付加すると E を生じる化合物は, CH3 CH2 CH *CH CH3 C OH CH3 CH C CH2 C O O 光学異性体 シス・トランス 2 + 2 OH CH3 CH2 C C OH O + 1 = 5 種類 10 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。
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