過熱水蒸気とは?熱放射性ガス

過熱水蒸気とは?熱放射性ガス
(1)水の状態と過熱水蒸気について
(水)
(水+蒸発)
(過熱水蒸気)
水蒸気
飽和水
蒸発
過熱度
100℃
飽和蒸気
0℃
419.1KJ
(100kcal)
2,256.9KJ
(539.1kcal)
419.1Mpa
(100.1℃)
KJ/㎏
kcal/㎏
2676Mpa
(639.2℃)
100℃で蒸発した飽和水蒸気を常圧のまま
温度(℃)
100
160
240
300
400
容積(?/㎏)
1,729 2,025 2,406 2,691 3,164
熱量(kcal/㎏) 638.9 667.9 705.7 734.3 782.8
更に高温度に加熱した無色透明のH
2Oガス
過熱度=過熱蒸気温度−飽和蒸気温度
過熱水蒸気による加熱パワーの特長
過熱水蒸気による加熱パワーの特長
熱風加熱
過熱水蒸気
過熱水蒸気
(0.48cal/g/℃)
放射率:0.22
輻射伝熱 対流伝熱
凝縮水
(539cal/g)
凝縮伝熱
加熱空気(熱風)
(0.24cal/g/℃)
放射率:0
対流伝熱
空気がないから、これらの熱を直接伝えることがポイントとなる
過熱水蒸気の熱効率特性(I−1.(2) 無酸素、対流、放射、凝縮の
複合伝熱(3つのパワー)、正確な制御性がある、常圧下で可能
過熱水蒸気の歴史
• 過熱水蒸気そのものの発見は、Hausbra
nd,E.1912年、Drying by Means of
Air and Steam.
• Lane A.M and S.Stern. Application of
Superheated Vapor Atmospheres to drying.,
Mechanical Engineering, 78, 423, 1956.
• 第34回Int.Conf.Environ.Systems.,
USA,2004-01-2354(論文番号) 閉鎖系
での過熱水蒸気の多目的利用
共同研究開発のきっかけ
大阪府立大学
環境浄化技術のひとつとして
過熱水蒸気を研究
シャープ
環境、健康に貢献できる商品開発
・業務用過熱水蒸気調理器に注目
・家庭用調理機として利用を検討
過熱水蒸気技術を加熱、調理へ応用
新規な出口で両方のマッチングが可能で、産学連携のモデルとなった。
エネルギー・環境総合フォーラム2005
過熱水蒸気で実用化してきたもの
用途
内容および研究形態
適用温度と用いた特徴
脱臭処理
悪臭ガスの分解
200−900 度
(醤油粕)
A,B,C
食品残渣および廃棄物の乾
500−800 度
食品残渣処理
燥・炭化(企業との共同研究) A,B,C
調理器
有機性廃棄物処理
用途別炭化
有害物質の分解
有害物質の抽出除去
小型・家庭用調理器開発
250−300 度
(企業との共同研究)
A,B
有機性廃棄物の乾燥・減容処
400−600 度
理(企業との共同研究)
B,C
廃木材・竹の炭化、燃料への
300−800 度
転用
A,C
ダイオキシン類の分解(企業
400−500 度
との共同研究)
A,D
土壌中のダイオキシンの抽
200−400 度
出、青果物からの農薬除去
D
(企業との共同研究)
殺菌
米糠等の資源化有効化のた
130−300 度
めの殺菌(企業との共同研
究)
青果物の安全・安心ロジステ
140−230 度
ィクスのための殺菌(企業と
前処理・工程改変
の共同研究)
A,B,D
剪定枝などの殺菌と生物変
100−160 度
換促進(企業との共同研究) B,D
加工法
ロープ熱加工による品質向
それぞれの融点より 10 度低
上(企業との共同研究)
い温度を採用
B,D,E
A:無酸素
B:対流・放射・凝縮の複合伝熱
C:過熱度
D:制御性
E:常圧下利用
過熱水蒸気の作り方
間接加熱法
直接(電気)加熱方式
①オイル燃焼法
②ガス燃焼法
シャープ方式
ヒーターの表面積を大きくする
小型化
熱媒体(PCMなど)、圧縮方式、高温
廃熱利用、その他については省略
高効率
制御容易
I−3
過熱水蒸気発生装置全体
写真ーB
殺菌、焙煎
写真−C
抽出、分解
写真−D
炭化、分解
写真−A 全体
健康・おいしさを基本にした高品位調理メカニズム
高温部分での低酸素、無
酸素条件による
ビタミンCの分解抑制や
不飽和脂肪酸の酸化抑制
脱油:過熱水蒸気の誘電率
の低下よる油脂の溶かしこ
みと凝縮熱による食品中の
油の融解、さらに粘度の低
下により食品の表面に染み
出し、凝縮水と融合して、
油敵となり落下あるいは洗
い落とされる。
塩表面への凝縮水の付着、
これにより表面にある塩分
の洗い流し、塩分濃度が生
じる。さらに加熱による食
品のより、拡散速度の上昇
により、内から外への塩分
の移動が起り、凝縮水の滴
りにより塩分が除去
II−1
高品位に仕上がる
高品位に仕上がる
・表面はパリット、内部はジューシーに仕上がる
+
−
0 食品の水分変化量
スチーム
過熱水蒸気 凝 縮
熱風加熱
凝 縮
復 元
乾 燥
乾 燥
表面
内部
内部
表面
内部
太線:食品表
面
破線:食品内
部
スチーム
内外とも
ベタツキ
過熱水蒸気
表面パリッ
中部ジューシー
表面
加熱時間
熱風加熱
内外とも
乾燥しすぎ
・内部の細胞組織が崩れ難い
鶏肉の組織写真(表面から5mm程度内部の部分)
過熱水蒸気加熱
加熱前
(生)
筋原繊維は
分解してい
るが、構造
は保持して
いる。
500n
m
500n
m
筋原繊維
熱風加熱
細胞液
グリコー
ゲン
500n
m
アクチン・ミオシン(蛋白質)
筋原繊維が
分解し凝集
して、構造
が完全に破
壊されてい
る。
撮影:花市電子顕微鏡 技術
研究所
過熱水蒸気の今後の展開
• 低温部分:食品・野菜の殺菌、果実の剥離、
果実の表面殺菌・鮮度保持、食品加工プロ
セス、閉鎖系(宇宙空間など)の総合利用、
調理への安全・安心、LOHAS、おいしさ、ス
ローフーズへの利用
• 中温部分:有害物質の抽出、分解
• 高温部分:脱臭、機能性炭化、新素材開発
• 発熱体の開発、過熱水蒸気の性質(特化)
大学側から見た産学連携の現
状と今後の課題
• 大学の現状:運営から経営への切替ある
いは大学の役割の交替ができていない
• 大学教育の変革:基礎と応用の連携、自
己のアイデアをロジカルに、人の話をコン
パクト化(100字にまとめる)、リーダーシッ
プの涵養
• 3つのきょうそうの導入:民(競争)、学(協創
知識から智恵への変換)、官(協奏:コンダ
クターとしての役割)
技術シーズの概要:温故知新
• 常圧でどこでも使える •
• 使用した過熱水蒸気 •
は水に戻る
• 水に戻った状態で不 •
純物を除くか、あるい
は途中で除く
• 過熱水蒸気の中で分 •
解できる
資源循環型である
過熱水蒸気をいかに
効率的に作るか
過熱水蒸気を以下に
効率的に利用できる
か
再生可能エネルギー
を利用すれば、環境
負荷は限りなく小さい
産学協同成果:家庭用調理器ウォターオーブン「ヘルシオ」
の商品開発
過熱水蒸気の特性を利用した健康調理技術と技術のイビ
デンス実証と究極のものづくり
調理における加熱方法の特色
一般(直接)加熱
調理
電子レンジ(誘電加熱)
水蒸気
直接(外部と内部)
食品
火力(熱源):ガ
ス、電機(ヒー
ター)、炭、蒔き
直接加熱‐焼く間
接加熱‐鍋、釜、I
H加熱
電機(マイクロウエー
ブ(2,450Mhz)
P=E2・f・tanδε
直接自己発熱、
加熱ムラ(こげ、
炭化、燃焼)
食品(誘電体)も性質(電磁波
受けて発熱)を利用するので
不均一、導電性の容器は使
用不可
歩留まり低い
アルミホイル使用不可
酸素あり
過熱水蒸気(誘導加熱)
酸素あり
3つの力を持つ放射性ガス:
凝縮伝熱、対流伝熱、輻射伝
熱
電子レンジと直接加熱効果を
持つ
無(低)酸素、高品位、健康、
歩留まり効果(大)
国・自治体の研究開発支援制度の
活用:産学新しいビジネスチャンス
LOHAS(
Lifestyles of
Health and
Sustainabilityの
略)とは、健康と
環境を志向する
新しいライフスタイ
ル
•
•
ポール・レイ博士は、1986年から15年
間にわたり15万人を対象に調査をし
た結果、全米の大人の26%(5000万
人)が、ある明確な志向を持った層で
あることを発見。それは、40年前には
ほとんど見られなかった新しい価値
観、世界観、ライフスタイル
オーガニック食品、代替医療、ハーブ、
ヨガ、太極拳、メディテーション、エコ
ロジカルな住宅や製品、ガーデニン
グなど、LOHASに関連するさまざま
な産業は全米で2268億ドル(2000年
度)という巨大な市場