「アジアの風・中東の嵐」 第 7 回 北アフリカのアルカイダ

「アジアの風・中東の嵐」
第7回
北アフリカのアルカイダ
アルジェリアでの日本人 10 人の人質殺害事件は、アフガン戦争のもらい公害、海外
法人 2 万 4000 社・海外在留邦人 118 万人の安全をどう守る?
1 月 16 日にアルジェリア南部で起きた日本人 10 人の死者を出した外国人人質事件は、
イスラム過激派アルカイダ系武装組織の犯行だった。アルジェリアからマリに軍事拠点
を移して人質・テロ事件を敢行、アフリカ北部 4 カ国で外国人への人質・誘拐・殺人な
どのテロ拡散の懸念が広がっている。仏軍のマリ軍事介入で、さらなる報復テロ誘発の
危険性が高まり、北アフリカでの対テロ戦争拡大を招いている。アベノミクスにより日
本企業の海外進出数は回復基調にあり、日本企業の海外現地法人 2 万 3858 社、海外在
留邦人 118 万 2557 人の安全をどのように守るかが焦眉の課題として浮上してきた。
◎日本人を標的にしたアルカイダ
1 月 16 日朝、アルジェリア南東部イナメナス(リビアとの国境地帯)の石油関連施
設を、イスラム過激派アルカイダ系武装組織が急襲、日本人を含む外国人を人質に取っ
て立てこもり、日本人人質 10 人が殺害された。殺害された日本人は、プラント建設会
社「日揮」関係者。犯行を行ったのは、
「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQMI)」
の分派である「覆面部隊」(または「血判部隊」)だった。
この人質事件は、本年(2013 年)1 月中旬の仏軍によるマリ軍事介入の直後に起きて
おり、2つの事件は連動していた。
AQMI はリビア、アルジェリア国内でテロ活動を展開、アルジェリア政府軍に追われ
る形で隣国マリ北部ガオに軍事拠点を移し、アルジェリア南部に越境して外国人誘拐事
件を繰り返していた。AQIM の武装兵力は、数百人程度と見られている。事件を起こし
た「覆面部隊」リーダーは、AQIM から脱会したモフタル・ベルモフタル容疑者だ。
今回の事件を現場で指揮したムハンマド・ベンシェネブ容疑者(掃討作戦で死亡、ア
ルジェリア人)は、使用した武器をリビア国内で調達。カラシニコフ自動小銃、ロケッ
ト砲をそれぞれ 500 ドルー800 ドルで購入して、犯行時に使用したと報じられた。
◎サハラの海賊王
犯行を計画・立案した「覆面部隊」最高幹部・モフタル・ベルモフタル容疑者(逃走
中)は、「ハレド・アブル・アッバス」の別名があり、「サハラの海賊王」の異名をとる
アルジェリア人だ。
1972 年生まれの 40 歳。1980 年代にアフガニスタンでムジャヒディン(アラブ義勇兵)
として旧ソ連軍を標的にしたゲリラ活動に加わり、幾多の戦闘に参加して、片目を失っ
た。
1994 年にアルジェリアに帰国、反政府政治組織「イスラム救国戦線」(FIS)軍事部門
である地下組織「武装イスラム集団」
(GIA)の戦闘工作員となり、政府軍との間で死闘
を演じた。
GIA 衰退後には、
「宣教と戦闘のためのサラフィー集団」
(GSPC)に加わった。2006 年、
GSPC がオサマ・ビン・ラディンへの忠誠を誓って「イスラム・マグレブ諸国のアルカ
イダ」(AQIM)」に名前を変えて再結成された際には、AQIM に参加。2013 年後半に、AQIM
から分離独立して、ベルモフタル容疑者のイニシアチブで「覆面部隊」が結成され、こ
れを指揮した。
「覆面部隊」と名乗ったのは、アルカイダの「覆面部隊」、アルカイダの北アフリカ
における別働隊という意味が込められていた。
「覆面部隊」は、外国人誘拐による身代金獲得を主な活動とし、「イスラムの正義」か
ら逸脱して、単なる極悪非道なテロ集団に特化しているが、これは浅間山荘事件と集団
リンチ殺人事件を起こして衰退していった日本赤軍の末路と酷似しているとの指摘も
ある。
欧米メディアの報道によれば、ベルモフタル容疑者は北アフリカにおける幾多の外国
人誘拐事件や密輸事件に関与、北アフリカにおけるアルカイダの資金調達役という汚れ
役を演じていた。フランス情報機関から「拘束不可能な人物」と呼ばれ、2012 年にア
ルジェリアなどで複数のテロ事件に関わったとして、アルジェリアの裁判所から欠席裁
判で死刑判決を受けている。
ベルモフタル容疑者は、AQIM 内部でも危険人物とみなされるようになった。
米ニューヨーク・タイムズ紙は、アルジェリア政府高官の話として、米外交官 4 人が
死亡したベンガジ事件の容疑者の一部が、今回の人質事件の襲撃部隊に加わったと報じ
ている。
◎国際テロ・ネットワーク
今回の人質監禁事件の背景には、アフリカ北部のアルジェリア、マリ、モーリタニア、
ニジェールの 4 カ国に広がる国際テロ・ネットワークの影が尾を引いている。仏軍マリ
軍事介入は、これらの 4 カ国で、さらなる外国人誘拐事件を誘発する懸念が持たれてい
る。
「覆面部隊」32 人の実行部隊は、迫撃砲、対戦車砲、対空ミサイルなどで武装して
いた。犯行実行部隊は、マリの軍事拠点から出撃、砂漠に広がる3つの国境線を越境し
て、大きく迂回しての犯行だった。犯行グループはマリの軍事拠点を出発、東進して隣
国ニジェールに入り、さらに北進してリビアに入り、そこから西進してアルジェリアに
潜入、事件が起きたサイトに向かった。
使用した武器はカダフィ政権崩壊後にリビアからアルジェリアを経てマリに持ち込
み、その数も大量だ。犯人グループは、砂漠の国境線をまるで隣家の庭に入るかのよう
に易々と越えて往来、国境をまたいだヒット・エンド・ランの人質誘拐事件を得意とし
ていた。こうしたテロ専門の「砂漠の海賊」をスパイ衛星や監視カメラを使用してどう
補足して追尾し、事件を未然に防止するのかが、今後の大きな治安上の課題として浮上
している。
◎マリでの仏軍軍事介入がテロ誘発か?
マリでは 1960 年の独立後から北部で遊牧民トゥアレグ族による反政府闘争が続けら
れている。この部族はリビア内戦にリビア政府軍傭兵となって参戦したことで、軍事力
を向上させており、カダフィ大佐死亡後にはマリに帰国して、マリに大量の武器を持ち
込んだ。2012 年 1 月から、「アザワド解放民族戦線」(MNLA)を組織して独立を求めて
蜂起した。
マリは人口 1330 万人。GNIは 90 億ドル、
1 人当りGNIは 680 ドルと極貧である。
2007 年の大統領選挙でトゥーレ大統領が再選されたが、トゥアレグ族の武装蜂起に誘
発されて 2012 年 3 月に国軍兵士の一部がハマコ騒乱を引き起こし、同大統領は辞任し
てセネガルに出国。後任の暫定大統領にトラオレ国会議長が就任している。
2013 年 1 月、アルカイダとつながるトゥアレグ族イスラム武装組織が蜂起、マリ全
土の 3 の 2 を制圧して、南部への進行を開始、政府軍は一時総崩れの状態にあった。
このため、マリ政府は旧宗主国のフランス政府に軍事介入を依頼、仏軍は 2013 年 1
月中旬から軍事介入に踏み切り、マリ北部主要都市ガオ、ギダルへの空爆を開始、イス
ラム武装組織「アンサル・デイーン」の南下を阻み、北部地域をほぼ奪還した。
この動きに、隣国のナイジェリア、ベナン、ガーナが兵力派遣を表明、米国政府はマ
リ政府支援を表明した。
仏政府が軍事介入に踏み切ったのは、マリへの権益を守るためだった。仏人はマリに
6000 人、周辺国を含めると 6 万人が住み、隣国ニジェールでは仏原子力会社アレバが
ウランを採掘している。
マリへの仏軍駐留は長期化する懸念が持たれている。アフリカ連合(AU)はマリに
5000 万ドルの供出を表明、各国・地域から合計 4 億 5000 万ドルの資金がマリ政府に寄
せられる見通しだ。仏軍部隊の移動に対して、米国、英国、ドイツなどは輸送機を派遣
して支援している。また、近隣国ナイジェリアなど 15 カ国が加盟する西アフリカ諸国
経済共同体(ECOWAS)とチャドは、すでに 6000 人規模の派兵を約束、マリ周辺国が加
盟するアフリカ国際マリ支援部隊(AFISMA)の軍事介入を認める決議を採択している。
仏軍の掃討作戦はおおむね順調に推移しているものの、トンブクトゥなどではイスラ
ム過激派は戦闘を回避して砂漠地帯に逃走し、今後のゲリラ活動による巻き返しの恐れ
も捨てきれない情勢だ。
◎アルジェリアはテロの温床
アルジェリアはテロの温床として悪名高い。アルジェリア政府軍は当初から、犯人側
の事件の最大の狙いは誘拐による身代金要求とみて、最初から「テロリストとは交渉し
ない」との作戦を貫いた。犯人側が外国人人質をプラント施設内のサイトに縛りつける
などして監禁の上で殺害したと報じられた。複数の人質を鉄の鎖でつないでサイトに括
(くく)りつけたまま、体にグルグル巻きにした爆弾を爆発させて殺害したという目撃
談もあった。
政府軍の救出作戦は失敗に終わったが、犯人側の誘拐による身代金獲得の目的も空振
りに終わった形である。
アルジェリア政府軍は、ロシア治安部隊からテロ事件の鎮圧作戦を学んだという。作
戦も使用武器もロシアのものだった。
アルジェリアは人口 3650 万人、国民 1 人当たりのGDPは 5660 ドル、失業率 9・7%、
インフレ率 8・4%と中堅国である。
記者(牛久保)は 1990 年の総選挙で、首都アルジェを現地取材した。イスラム原理主
義組織「イスラム救国戦線」(FIS)が選挙で過半数を獲得して勝利したが、当時の軍部が
選挙に不満を抱いてクーデターを敢行、FIS を非合法とした。記者は総選挙直前に、対
仏ゲリラ闘争「アルジェの闘い」の主要舞台となった首都アルジェの下町カスバを訪れ
たが、家と家が迷路となっている町並みの風景に驚かされた記憶がある。地元紙記者か
ら「ゲリラ兵士は迷路となっている路地を巧みに逃げ回り、家に匿(かくま)われて、出
撃していた」と説明を受けた。
FIS は政府庁舎、軍施設などに無差別爆破テロを敢行、ジャーナリスト多数を殺害し
て、軍との間で血みどろの内戦が展開された。クーデターが起きた 1990 年から、大統
領選挙で外相から当選したブーテフリア大統領の恩赦が出た 1999 年まで、双方の死者
は 16 万―20 万人、行方不明の国民 6000 人を数えた。記者はカイロからアルジェリア
での血の内戦の取材を続けたが、これほどの残酷な報復の泥仕合は他には知らない。
◎「覆面部隊」はアルカイダの別働隊
「覆面部隊」の主力ゲリラ戦闘員は、過去数年間、マリ、アルジェリア、モーリタニア、
ニジェール各国で活発に活動していたイスラム武装組織による外国人誘拐事件・襲撃事
件の中心的な役割を演じてきた。
こうした歴史を振り返りつつ今回のアルジェリアでの日本人人質 10 人殺害事件を総
括すると、次の 6 点が浮かび上がる。
①事件の計画・立案・指揮は、「覆面部隊」最高指導者モフタル・ベルモフタル容疑者
②実行部隊 32 人全員が、死を覚悟した決死隊③作戦の目的は、一人でも多くの外国人
を誘拐してマリに連行し、交渉により、出来うる限りの多額の身代金を獲得する④襲撃
日が、BP副社長と日揮最高顧問がイナメナスの石油関連施設内で会談予定の 1 月 16
日に急遽、変更された。施設内の最高機密情報が、犯人側に筒抜け状態であり、日揮の
下で働いていたアルジェリア人労働者がレポ役となり、情報を犯人側に漏らしていた疑
いが極めて強い⑤作戦は決行の 4-5 週間前から周到に準備の上に、実行に移された⑥
犯行声明の中で、とくに日本人を名指しで攻撃目標にはしていないが、「仏軍マリ介入
に参加した国及び欧米施設」を攻撃対象と宣言しており、日本は巻き添えを食った形だ
――などである。
◎日本の権益を標的にしたテロ
このような過去の壮絶な対テロ戦争の歴史から、アルジェリアはテロの温床となり、
今回のようなアルジェリア治安部隊の強硬作戦が当たり前のこととなった。2007 年 1
月、イスラム武装勢力がアルカイダと連動し、同年 12 月、首都アルジェの国連施設を
標的にした爆弾テロにより数十人が死亡している。
アルジェリアに進出している企業は、日揮(天然ガス関連プラントの建設)▽IHI(L
PGプラントの建設)▽コマツ(道路向け建設機械の販売)をはじめ、鹿島、丸紅、伊
藤忠、NECなど 15 社に及び、テロ拡大が懸念される。とくにエネルギー関連プラン
ト、高速道路の建設が事業の中心だ。同国の東西を走る高速道路の建設は、工事請負額
が 5400 億円(担当工区 400 キロメートル)と大きいだけに、同様のテロ再発が最も心配
される。
北アフリカに潜伏するイスラム武装勢力は、過去 5 年間で、
その数を 1500 人から 3000
人に急拡大させている。欧米のテロ問題専門家は、犯行グループへの身代金支払い禁止、
国境管理の徹底による武器・資金・人員の供給を根絶することが急務だと指摘している。
北アフリカでのイスラム武装勢力の急成長の影には、アフガン戦争とイラク戦争、リ
ビア内戦が存在する。アフガンで対ソ連と対米ゲリラ戦争を戦ったアルカイダは、イラ
クに逃れ、さらには、その一部がリビアに逃れ、西進を続け、アルジェリア、マリに到
達した。
北アフリカの治安ウオッチャーは「アルカイダは嘗てはアフガニスタンで最も勢いが
ありましたが、今やマグレブのアルカイダが最も活発に活動し、その数も集めた資金も
あなどれないほどの大きさになっています。今回のアルジェリアでの人質監禁事件は、
アフガン戦争、イラク戦争、リビア内戦のドミノ倒しの後遺症、いわば‘もらい公害’
です。イスラム武装テロ組織が国境線を越えて自由に往来し、複数の国でフランチャズ
のように勝手にアルカイダを名乗っています。手口も人質・誘拐・爆弾テロと残酷を極
めており、アフガン戦争よりも、ずっとたちが悪く、したたかであり、情報収集と兵站
にも長(た)け、手ごわい存在です」と指摘した。
◎日本のアキレス腱
アルジェリアでの日本人 10 人殺害の人質事件は、海外に進出した日本企業の進出現
場で日本人労働者多数がテロ被害者となった初めての事件である。記者は事件を報じる
英BBC放送の映像を見ながら、思い出したのは、1980 年 9 月にイラン・バンダル・
シャプールで起きたIJPC(イラン・ジャパン石油化学)へのイラク軍機による爆撃・
破壊事件だった。この事件を契機に日本でも「カントリーリスク」という言葉が使われ
出した。同事件は、海外進出した日本企業(三井物産が中心)の「施設」が戦争により破
壊され、建設費 7400 億円の事業から全面撤退を余儀なくされた事件である。
一方、アルジェリア人質事件は、海外進出した日本企業の進出現場がテロの舞台とな
り、多数の「日本人」が人質になって標的にされた事件であり、破壊された「施設」より
も失われた「人命」の方が、より打撃が大きい。
事件は、海外進出企業の‘アキレス腱’ともいえる「日本人」の安全をどのように確保
したら良いのか、という深刻な問題を突きつけている。
世界に進出している日本企業の現地法人数は、2 万 3858 社。雑誌・東洋経済が 2012
年 10 月に発表したもので、新規進出企業数は、2004 年の 1065 件をピークに一旦減少
したものの、2009 年を底に再び上昇し始め、2011 年 10 月時点の集計で 662 件と前年の
639 件を上回った。
04 年と 11 年を比較すると、中東を除くアジアがともに 7 割を超えたが、04 年は中国
本土が 5 割を占めていたのが、11 年には 3 分の1まで低下。代わってタイ(8%)、イン
ド(6・6%)、インドネシア(6・5%)と、進出先が分散し多様化しているのが特徴だ。
一方、海外に在住する邦人は 118 万 2557 人(2012 年 10 月 1 日現在)、このうち、永
住者は 39 万 9907 人。また、海外の邦人数は平成 3 年に 66 万 3049 人、平成 13 年に 83
万 3744 人と、増え続けている。
アベノミクスの好調さにより、日本の景気が回復基調にあり、このトレンドが続くと
今後、さらなる海外企業進出増が継続すると見られ、その分だけ日本人がテロ事件に巻
き込まれる危険性が増大する。
◎アラブの冬
「アラブの春」と欧米メディアでもてはやされたチュニジア、リビア、イエメン、エ
ジプトでの革命は、
「2 年たって見れば、アラブの春ではなく、アラブの冬だった」
(カ
イロの消息筋)というお寒い現実がある。
チュニジアでは改革が頓挫し、1 月にエジプトではイスラム原理主義「ムスリム同胞
団」系のモルシー大統領を批判する民衆暴動が発生、リビア、イエメンでも改革に手が
つけられていない。
中東地域は、騒乱とテロの多発地帯であり続けている。6 万人の死者、60 万人の難民
を出して今も続いているシリア騒乱は、収拾のメドが全く立たず、傷口を広げるばかり
だ。そこへ、北アフリカ・マグレブ 4 カ国へのアルカイダの浸透とテロ事件が起き、米
国政府も手詰まりの状態である。
アフリカ北部 4 カ国は「テロリストの天国」になってしまった。マリへの仏軍軍事介
入が引金となり、アルカイダ系武装テロ組織掃討を目的とした対テロ戦争が拡大する勢
いで、これに反発した武装テロ組織による欧米人(日本人を含める)人質・誘拐と石油プ
ラント爆破などの報復テロ拡散が深刻に懸念される。
◎米国のシェールガス革命で、中東不安定化の懸念
カイロの消息筋は「米国のシェールガス革命により、5 年後には米国産原油の産出量
がサウジアラビアを上回り、世界 1 位となるでしょう。そうなると、サウジアラビア、
クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、イラン、イラクなどの中東産油国の原油
収入が減り、これらの国々では政権不安定化の危険性が高まると心配されます。とくに、
サウジは膨大な石油収入の一部を国民にばら撒いて民衆を懐柔、綱渡りで政権を維持し
てきました。石油収入が激減すれば、国民の不満が爆発して、政権の屋台骨を揺るがし
かねない。北アフリカのアルカイダは、そこに目をつけて、中東とアフリア北部一帯で、
さらなる人質・誘拐・爆弾テロ事件を起こす危険性があります。日本人にとって他人事
ではすまされない、テロとの戦いの時代を、どう生きるかが、真剣に問われているので
す」と指摘した。
〈終わり〉
(JaLSA主任研究員、元産経新聞カイロ支局長、埼玉県参与、牛久保順一)