甲南大学経営学部長坂ゼミ 経営戦略の比較研究 5GR 小道奈音 藤井久美子 森直彦 横山裕子 第一章 はじめに 横山裕子 1 ITが利用される理由 政府は安心してIT革命を唱えている なぜか 90年代 アメリカがIT革命によって経済が復活 したため IT革命で何が変わるか? ①生産性の向上 ②景気変動が少なくなる ③企業格差が拡大する ④家庭生活がかわる 2 景気変動が少なくなるとは? ITを利用し、販売量と同じだけ生産を行う 在庫の変動が少なくなる 景気変動も少なくなる 各業界をみていこう! このような利点をもたらすITは電気機器業 界、金融業界、流通業界、サービス業界で どのように取り入れられているか? 今後どのような経営戦略が望ましいか考え よう! 3 第二章 電気機器業界 (森) 電気機器業界では、企業はどのようにして そのシェアを獲得しているのだろうか? ここではその戦略のうち、デファクトスタン ダードに関連した戦略について考えていく デファクトスタンダードとは? 1.デファクトスタンダードとは? 市場競争の結果として生まれた事実上の結果のこと。 (例) 家庭用VTR市場におけるVICTORのVHS規格 パソコン市場におけるWINDOWS など →ではデファクトスタンダードになるとどのような利点が あるのだろうか? 4 デファクトスタンダード獲得の利点 獲得した企業が市場を独占的に支配でき、 競争に敗退した企業には市場がほとんど 残されていない。 電気機器の場合、関連商品や周辺機器 が多いので、その市場においても有利に立 てる。 →消費者にとってのスタンダードの利点とは? 消費者にとってのスタンダードの利点 規格が複数乱立しているよりも 単一の規格にまとめられているほうが 購買の際にも、その後にも便益が高い。 5 デファクトスタンダードを獲得した商品と、 その経緯 SONYのベータマックスと、VictorのVHS 1976年、SONYがベータマックス規格で 家庭用VTRを開発。 同年、送れてVictorがVHS規格を発表し、 追撃を開始。 ベータ規格とVHS規格の比較 VHS規格はベータ規格の二倍である二時 間記録ができる。 カセットの大きさがまったく違うため、 互換性が全くない。 VHS規格のほうが部品数が少なく、 部品点数が少ない。 →では他のメーカーはどちらの規格で発売をするのか? 6 後発のメーカーの選ぶ規格 ・VHS規格 松下電器・日立製作所・三菱電機・シャー プ・赤井電機 ・ベータ規格 東芝・三洋電機・日本電気・アイワ・パイオ ニア VTR規格の結果 結果的に「VHS」がデファクトスタンダード になっているが、その理由は、 規格自体が有利であった。 部品点数が少なく、コストが安く抑えられた。 先発のソニーに対抗する派手な宣伝活動 などがあげられる。 7 小型記録メディアをめぐる市場 最も一般的に使用されているのは ・スマートメディア・SDメモリーカード ・メモリースティック であるが、 いずれも最大容量は128MBで、 他のメディアとの互換性はない。 小型記録メディアをめぐる市場 現在はまだスタンダードと呼べるメディアは ないが、消費者側は規格の乱立を嫌うの で、 ITに関連した商品が増えるにつれて デファクトスタンダードとなる商品が決まっ てくるかもしれない。 8 まとめ 業界の中でも電気機器業界では、 ひとつの規格に対する周辺機器の量が 非常に多いので、デファクトスタンダードの 戦略に負けると莫大なコストが無駄になる。 しかし、戦略に勝つとその後の市場競争を 有利に進めることができる 第三章 金融機関 小道 奈音 9 1.IT戦略が求められた背景① 1−1.IT革命 ・1995年以降にインターネットの世帯普及率が 加速。 ・急激なボーダーレス化。 1−2.金融ビッグバン ・日本の市場を国際金融市場とするためにフリー、 フェア、グローバルの三原則のもとに金融制度 の改正・規制緩和を進めるもの。 ・株式、証券、保険の垣根が取り払われた。 1.IT戦略が求められた背景② 規制の多い金融市場 インターネットの普及 金融ビッグバン ボーダーレス化 IT戦略の必要性の拡大 顧客獲得の新たな可能性 10 2.銀行 2−1.インターネットバンキング 残高照会や資金振込み等の取引サービス を中心とする。 2−2.デビットカード 使用の時点で本人の口座から利用額が自 動的に引き落とされる即時決済機能をもつ サービス。 2−1.インターネットバンキング ネットでのデータ管理 人件費の削減・時間と場所を選ばないサービス いまや何処の銀行でも行われている 「差別化されないための戦略」 11 2−2.デビットカード 商品・サービスの購入 デビットカード 自分の銀行口座から支払い その場で支払いは終了 クレジットカード クレジットカード会社の立替 後にクレジット会社に支払う 3.証券 3−1.オンライン証券取引 オンラインブローカーによるインターネット 上での証券取引。 ・時間と場所を選ばない。 ・人件費の削減を反映させて手数料を安く出来る。 ・それぞれの顧客に応じてサービスを提供。 新規顧客⇒手軽で解り易いサービス 得意先顧客⇒既存のサービスの向上 12 4.保険① 4−1.情報開示のホームページ 保険商品は内容が多岐にわたり、また内 容も複雑である。それぞれの商品の特徴 をホームページ場で公開し、顧客に情報を 手に入れる機会を与えるサービス。 4.保険② ネット環境を利用した保険商品の情報開 示。 ケース・バイ・ケースの対応。 情報社会に対応した新たな保険商品の開 発(データ自体に対する損害保険など) 13 5.まとめ 銀行:使用頻度に関係する利便性の追求 証券:新規顧客獲得のための新たなサービスと 得意先向けのサービス向上 保険:新たな保険商品の開発とケース・バイ・ケー スの対応 すでに所有するアナログ面での資源と新たなデジタル面 での資源をそれぞれのメリットを見極めて融合することが 大切。 第四章 流通業界 藤井久美子 14 流通業とは 消費財の製造業から卸売、小売へと商品を 流す取引/物流の仕組みそのもの 「流通業とは変化適応業である」 1.百貨店 百貨店各社の取組み(1) 伊勢丹 ・きちんと科学的なデータを集め、そのデータ ベースに基づいて品揃えをしている。 ・回転率をベースにして品揃えを考え、スペー ス、粗利益、在庫の数なども含めて、効率 的に運営していこうとしている。 ・通信販売の中止。 15 百貨店各社の取組み(2) 西武百貨店 ・外商をやめ、コンピュータで顧客管理する 仕組みを作った。 小田急 ・通信販売の中止。 通信販売のメリット・デメリット メリット 店舗の場所に関係なく全国的に販売でき、 365日、24時間営業できる。 デメリット 通販用の品揃えは店舗と全く別の仕組み を作らなければならないのでシステム投資 が莫大になる。 カタログ制作費や配布費がかかる。 16 ネットショップの特徴(1) ①時間と空間を越える 顧客は電話とパソコンさえあればいつでもどこで もネットショップに入店し買い物ができる。 ②即時性 新製品、品切れ、値下げなどが即時に発表できる。 ③参入が低価格で パソコン、インターネットへの接続料、通信料の低 下により店舗開設よりもはるかに低額での営業 が可能。 ネットショップの特徴(2) ④双方向性 その存在を知られるならば、顧客からアクセスし、 メールによる双方向の通信ができる。 ⑤データはすべて記録される 買物記録はすべて電子記録として残る。 フロントオフィスだけでなくバックオフィスも必要 17 2.コンビニエンスストア コンビニエンスストアとは ・その名の通り、便利さ(コンビニエンス)を販売す る。 ・店は小さいが必要なものは一通り揃っている。 ・レジを待たされないで買物できる。 ・POSシステムなどの情報システムを最もよく 使いこなせている。 POS(販売時点情報管理)システム レジで商品のバーコードをスキャンし年齢、性別が 区分されたキーを入力する。 消費者が商品を購入した時点で、データ化が可能 になる。 レジ業務の省力化や商品管理、発注作業管理など、 店舗運営のあらゆる部分が合理化する。 店舗と流通センター、店舗と本部との情報共有化 が進む。 18 セブンイレブンの情報システム 1982年 EOBの導入 商品のデータ確認を発注作業と同時にできるよう にした。 1986年 双方向POSレジの導入 1991年 ISDN(サービス総合デジタル通信網)の 導入 1992年 GOTの導入 ①情報分類時間帯別売上分析、②時間帯別客層 別販売実績、③情報分類別単品分析、④商品廃 棄分析などのデータを読み取れる。 これからの流通業界 これから流通に影響を及ぼすもの インターネット 企業にとって、これをいかに活用してビジネ スを発展させるかが重要な課題である。 19 第五章 サービス業界 横山裕子 サービス業界って何? 1. 社会基盤型産業 2. 生活基盤型産業 3. 余暇基盤型産業 20 社会基盤型産業の 宅配個数の上昇! 91年度からの伸び率 % 80 70 60 50 40 30 20 10 0 伸び率 91 92 93 94 95 年度 96 97 98 99 宅配個数が伸びる理由 不況の中で在庫を抱えるのを嫌う小売店 や押し売り業者 + 物流費削減の企業 利用する 21 ヤマト運輸 (成功例) 顧客が地域を気にしないで配送を依 頼できるシステム 全国へのお届け 日曜日営業 産地直送便 ヤマト運輸 (成功例のつづき) 通販の配達・決算代行 時間指定便 エクスクローサービス ドコモIモードにる荷物の「追跡」 22 新しい社会基盤型産業 タクシー会社 ナビゲーションシステムの導入 警備保障会社 人の警備からネットワークの警備にきり る かえ 生活基盤型産業 ①雇用不安や所得の減少 ②店舗が飽和状態 低迷している 23 成長している企業 徹底したマニュアル化 低価格化 または 個別のニーズを満たす本物志向 のお店 新しい生活基盤型産業 家庭学習ビジネス 不登校の高校生を対象にする 医療代行サービス 診察場と薬配布を別々にする 24 余暇開発型産業 これまで 航空業界がホテル業やレストラン業など 事業を拡大してきた しかし 事業領域を収縮 「本物の部分」の見直しが必要な時代 JTBのサービス MMS(マルチメディアステーション) JTBINFCREW カーナビへの情報提供 Iモードへの情報提供 GPS(衛星による全地球測位システム)を 利用した携帯用のナビ 25 その他の余暇開発型サ−ビス 旅館やホテルでは・・ 宿泊客の利用状況や要望 データベース化する 人件費 部屋の稼働率を高めた 新しいビジネス① 人材派遣 仕事に応じた能力 人員 募集採用 人事労務管理 大幅効率化 経費削減 手間なし 26 新しいビジネス② コンサルティング ソリューション(問題解決能力) 他社に負けない優位性 企業体質の健康度 効率的な組織の達成度 まとめ 注目するのは・・・ 社会基盤型産業 新しいビジネスも誕生 人材派遣やコンサルティング 27 サービス業界のカギ (情報技術)がポイント 第六章 あとがき 小道奈音 28 各章の重要点 電気機器業界:デファクトスタンダードを巡 る戦略 金融機関:現在行われている主なIT戦略 流通業界:「売買」「輸送」「保管」を円滑に 行うための「情報」戦略 サービス業界:社会型・生活型・余暇型の それぞれで行われ、成功しているIT戦略 まとめ どの業界でも共通していること ・インターネットの普及 ・消費者のニーズの多様化と複雑化 ネットはあくまで新たな戦略の一手段にすぎ ない。 29
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