受変電設備の診断は - JEMA 一般社団法人 日本電機工業会

たの
な
あ
受変電設備の診断は お済みですか
設備診断と保守点検のおすすめ
一般社団法人日本電機工業会
The Japan Electrical Manufacturers’Association
1
はじめに
近年、工場などの設備は、高度に情報化され、これら設備への電力供給源である受変電設備の信頼性向上、即ち、
電力の安定供給・電気の質の向上はますます重要となってきています。このため、運用期間中に適切な保全処置が
施されるとともに、その寿命の終期には適切に更新され、電力の供給面で確実な連続性が要求されます。
実際に受変電設備が運用に入ると、その使用状況、環境条件、保全状況、稼動年数によりその信頼性や寿命は大きく
変わってきます。
一方、設備の保全においては、事後保全から、設備機器の寿命分布に基づいた時間計画保全に変わってきており、
さらに設備機器の故障進展メカニズムに基づいた状態監視保全の考え方が実用化されつつあります。この考え方に
おいては、機器ごとの劣化状態を把握し、設備全体の更新時期を的確に判断すること、即ち、設備診断が重要な意味を
持ってまいります。
受変電設備の長期稼動化が進む中、
「設備診断」を設備の安全と信頼性の向上にお役立ていただきたく、特別高圧・高
圧の主な機器を中心に本資料を纏めました。
本資料を日常の保守・保全、設備診断および、延命化とリニューアルに活用を推奨します。
目 次
1 はじめに
2
2 事故・障害事例
3
3 保守点検の目的と内容
3.1 保守点検の目的
3.2 保守点検の内容
3.3 ライフサイクルにおける延命化と更新の概念
4
4 電気設備保全の基本パターン
5
5 設備診断の目的と内容
5.1 設備診断の目的
5.2 設備診断の内容
6
6 電気設備機器診断技術
6.1 電気設備機器の診断法
6.2 GIS/C-GIS の診断技術
6.3 油入変圧器の診断技術
6.4 真空遮断器の診断技術
6.5 気中スイッチギヤの診断技術
7 延命化のポイント
7.1 延命化の目的
7.2 延命化の判断ポイント
7.3 延命化処置判断時に考慮すべき事項
7.4 機器の更新による延命化の効果
7.5 部品交換による延命化
16、17
8 設備更新のポイント
8.1 更新に向けての検討事項
8.2 設備更新による効果
18
9 設備診断の実施時期と保守点検周期および更新推奨時期
19
関係資料の紹介
2
7∼15
(裏表紙)
2
事故・障害事例
電気設備の保全現場における、設備の老朽化、保全費の削減、保全技術力の低下などに伴い、事故・故障の発生リスクが
増大してきています。特に設備の老朽化については、客観的なデータなどに基づく計画的な点検・部品交換・更新の
実施による信頼性の確保が必要です。これを怠ると事故・障害に至るケースがあります。
油入変圧器の放熱板より漏油
絶縁劣化による短絡焼損した VCB
(盤標準化協議会、キュービクル技術部会より)
(盤標準化協議会、キュービクル技術部会より)
屋内の電気室に設置され、多湿な雰囲気で経年劣化による
も重なり、溶接部から漏油に至ったと考えられる。
(設置場所:屋内、設置後 27 年経過)
屋外のキュービクルに設置され、塵埃堆積と多湿の影響を
うけて絶縁劣化を起こし短絡焼損事故に至ったと考えられる。
(設置場所:屋外のキュビークル、設置後 15 年以上経過)
MCCB 電源側絶縁低下による焼損
拡大写真
(盤標準化協議会、キュービクル技術部会より)
MCCB 電源端子部に堆積した粉塵などが吸湿したことによる絶縁劣化により、焼損に至ったものと考えられる。
(設置場所:屋外、設置後 15 年以上経過)
電気設備における事故・故障の要因
平成 17∼ 18 年にかけて実施された、産業事故における電気設備の影響に関するアンケート結果によると、「設備的
要因」で事故・故障に至るケースが多く見られ、その中でも突出しているのが設備の老朽化です。
「設備の老朽化」及び「部品・機器の劣化・摩耗」に対しては、保守点検や設備診断を実施し、更新・延命化を含めた
適切な保全を行うことが望まれます。
事故・故障発生要因分析
設備的要因
設備的要因の詳細分析
マネジメント要因
外的要因
112
207
人的要因
455
設備的要因の詳細
設計ミス
部品・機器の劣化・摩耗
9
12
25
67
誤作動
製造・加工ミス
219
60
297
設定ミス
その他
63
(件数)
(要因は複数回答あり)
設備の老朽化
(件数)
(N=670)
(N=455)
(平成17∼18 年にかけて実施された、産業事故における電気設備の影響に関する
調査研究(財団法人産業研究所)による顧客アンケートの結果より)
3
3
保守点検の目的と内容
3.1 保守点検の目的
受変電設備に不測の事態が発生すると、プラントの停止やビルの停電など大きな影響があります。さらに波及事故
などの社会的な問題に発展する場合もあり、定期的に点検を実施して事故の未然防止に努めることが重要です。
設備の信頼性を維持
電力の安定供給
定期的に点検を実施
事故・故障の未然防止
(経営に寄与)
・ 劣化兆候の早期発見
・ 手入れあるいは修理の計画的導入
・ 老朽設備の改修・更新の実施時期判断
3.2 保守点検の内容
種 類
設備の状況
内 容
周 期
初年度点検
停電
設備使用開始から1年目くらいの安定した時期に、初期値データを
得るための点検(停電して初年度点検)を実施する(対象項目は
絶縁油特性試験、主回路抵抗測定、漏洩電流測定、絶縁抵抗測定など)
巡視点検
活線
設備異常の有無を、外観・計測表示及び五感(視覚、聴覚、臭覚
など)により点検
普通点検
停電
設備異常の有無を、外観・特性測定で検査。
機器を分解せずに点検整備(清掃、給油)
精密点検
停電
設備異常の有無を、機器内部の検査・特性測定にて確認。
機器を分解して点検整備(清掃、部品交換、調整)
臨時点検
停電
巡視点検などで異常を発見した場合や事故発生時などに継続使用・
部品交換・更新などの判断と回復処置のため点検整備
使用開始から
1年目を目途
1回/日、週、月
1回/1∼3年
1回/6年
随時
3.3 ライフサイクルにおける延命化と更新の概念
故障
モード
初期故障期
設備の
ライフ
サイクル
初期データ
収集期
保全
初年度点検
偶発故障期
摩耗故障期
更新期
保守点検期
部品・機器交換による延命化
巡視点検・普通点検・精密点検・寿命部品交換
同左+設備診断、延命化、更新
更 新 推 奨 領 域
(高)
故障率︵リスク︶
設備診断
初年度点検
部品交換
(低)
初期トラブル
4
摩耗故障期
安定期
部分更新
全体更新
部品・機器がトラブル
4
電気設備保全の基本パターン
設備診断の基本パターン
(例)
点検整備の基本パターン
*1
運転開始
*1
普通点検 年1回程度
診断対象機器選定
(実施主体は設置者・保安管理者)
実施者
初年度点検
巡視点検 週1回程度
初期の特性値収集
設置者・保安管理者
と製造者などが協議
一次診断の実施
*1
実施者
3年目 普通点検
普通点検、整備
・運転状況調査
・老朽度評価ステップ1
設置者・保安管理者
が主体、製造者など
が協力
*2 運転状況調査表、
老朽度評価表
*1
実施者
6年目 精密点検
寿命部品交換、精密点検、整備
二次診断の実施
・老朽度評価ステップ2
(特性確認、分解点検)
製造者などへ
委託
*1
普通点検、整備
実施者
9年目 普通点検
*2 老朽度評価表
設置者・保安管理者
が主体、
製造者などが協力
設備システム
総合診断実施
・設備システム評価法
*1
寿命部品交換、精密点検、整備
製造者などへ
委託
実施者
15 年目 普通点検
普通点検、整備
設置者・保安管理者
が主体、
製造者などが協力
*1
寿命部品交換、精密点検、整備
実施者
18 年目 精密点検
製造者などへ
委託
延命化
総合評価
*1
*2 設備システム
評価表
設備診断実施時期
実施者
12 年目 精密点検
全体
更新
設備診断実施時期は
更新推奨時期の
5年程度前が望ましい。
*2 報告書「長期使用受変電設備の信頼性の考察」
による。
5
5
設備診断の目的と内容
5.1 設備診断の目的
設備診断の目的は、長期稼動した設備・機器の劣化状態を把握し、設備システムについて、総合評価することです。
さらに、プラント設備などとの寿命協調を図りながら、部分更新等の延命化処置や、更新時期を明確にすることが必要です。
長期稼動設備
設備診断
・個別機器の診断
一次診断
二次診断
・設備システム
総合診断
継続使用(延命化)
総合評価
・部品交換
・機器更新(部分更新)
・保全周期の見直し
・更新時期の見直し
設備全体更新
・更新範囲決定
・電源システム見直し
・環境調和
・省エネルギー、省力化
5.2 設備診断の内容
種 類
診断方法
内 容
一次診断
活線
物理的要因*1と社会的要因*2及び、
日常点検レベルの診断と計測可能な調査で
評価を行い、延命化処置や更新の要否を
判定する
二次診断
停電
分解点検や電気設備機器の診断(本冊子7ページ) 製造者などの専門
技術員が望ましい
で評価を行い、延命化や更新の要否を判定する
設備システム
総合診断
−
各機器の一次・二次評価結果と、設備システムに
ついての信頼度及び老朽度評価を総合的に行う
*1 物理的要因:経過年数や不具合履歴など
*2 社会的要因:廃型やモデルチェンジなど
6
実施者
設置者・保安管理者
(または製造者など)
製造者などの専門
技術員が望ましい
6
電気設備機器診断技術
6.1 電気設備機器の診断法
機器の診断技術は「活線診断」と「停電診断」に分けることができます。設備に合わせた最適な方法により、実施する
ことで得られる情報は有益であり、積極的に診断を実施することを推奨します。
○ 活線診断 ◎ 活線及び停電診断 ● 停電診断
ガス絶縁開閉装置
○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
(GIS / C−GIS)
● ● ● ● ●
◎
●
断路器
○ ○ ○
真空遮断器
(VCB)
○ ○ ○
ガス遮断器
(GCB)
○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ●
● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
●
● ● ● ● ●
●
●
●
●
○
●
●
○ ○ ○
○
●
●
○ ○ ○
○
●
●
○ ○
○ ●
●
電力用コンデンサ ○ ○ ○
●
●
気中スイッチギヤ ○ ○ ○
●
●
計器用変成器
○ ○ ○
油入変圧器
○ ○ ○
○
ガス絶縁変圧器
○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎
モールド変圧器
乾式変圧器
避雷器
有機絶縁物劣化診断
機器名
保護継電器単体特性試験
静電容量測定
平均重合度診断
コイル抵抗測定
ストローク測定
*2
真空チェック
グリース分析
接触抵抗測定
汚損度測定
開閉動作特性
絶縁抵抗測定
漏れ電流測定
2
油中フルフラール診断
油中CO+CO 診断
油中ガス分析
超音波探傷
絶縁油特性試験
騒音測定
X線透視外部診断
ガス中水分量測定
ガス漏れ測定
ガス密度測定
*1
ガス成分分析
環境測定
局部過熱測定
部分放電測定
設備診断
項目
◎
◎ ◎ ◎ ◎
●
●
●
● ●
以下の機器については生産中止機種につき、他機種へ更新されることをおすすめします
油遮断器
○ ○ ○
空気遮断器
磁気遮断器
●
● ● ● ● ●
●
○ ○ ○
● ● ● ● ●
●
○ ○ ○
● ● ● ● ●
●
(注1) 設備診断、予防保全アイテムについては、各メーカにお問合せください。
(注2) tanδ測定は殆ど実施されていない。
*1 環境測定:温・湿度、腐食性ガス測定
*2 汚損度測定:等価塩分付着量測定など
7
6.2 GIS/C-GIS の診断技術
◆劣化進展パターンと診断方法
劣化形態
劣化進展パターン
劣化形態
要 因
対 象
タンク
スペーサ
パッキン
絶縁耐力
低下
経年劣化
診断方法
原 因(1)
変形
亀裂
破損
原 因(2)
停電
活線
ガス圧監視
ガス圧
低下
ガス漏れ
診断方法
事 象
開閉不能
○
○
余寿命推定
余寿命推定
する方法は
まだ確立さ
れていない。
動作特性試験
○
機器固定部
エポキシ碍子
FRP、鉄鋼
アルミ合金
固定部
機構部
異常
動作不良
変形・磨耗
○
亀裂・破損
○
接触抵抗
増大
─
部分過熱
アーク熱
電流開閉
SF6 ガス
○
接触抵抗測定
○
SF6 ガス
純度低下
○
局部過熱測定
締付部
ゆるみ
メッキ層の
磨耗・剥離
導体接続部
○
超音波探傷法
開閉動作
による振動
導体
接触異常
─
X 線透視外部診断
分解ガス
増加
部分放電
─
部分放電測定
短絡・地絡
─
○
ガス成分分析
遮断部は
遮断器を
参照(本冊子
12ページ)
○
○
設備の据付現場にて SF6 ガス回収し、装置内部作業後に SF6 ガスを再充填する際は、ガス水分測定、
ガス純度測定、ガス成分分析を実施する。
なお、操作(リンク)機構部、電装品、補助開閉器については「6.4 真空遮断器の診断技術」
(本冊子 12 ページ)の劣化進展パターンと診断方法をご参照下さい。
◆特別高圧受変電設備の変遷
▲京都議定書(地球温暖化防止)
▲RoHs 指令
用地事情の悪化(縮小化)
安全性向上(不燃化)
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
密閉縮小化(SF6)<GIS 形>
形態
種類
屋外開放形
屋外/室内閉鎖形
C-GIS(SF6 ガス絶縁)
C-GIS
(ドライエア複合絶縁)
(固体絶縁)
GIS
C-GIS
(SF6 ガス絶縁)
C-GIS
(ドライエア複合絶縁)(固体絶縁)
気中絶縁機器を
大形閉鎖盤内に配置
圧縮した絶縁ガス(SF6)を
封入したタンク内に各機器を
収納
キュービクル内に機器を収納して低い
圧力の絶縁ガス(SF6)を封入
キュービクル内に機器を収納した低い
圧力の絶縁ガス(ドライエア)を封入、
又は固体絶縁によるガスレス化
・屋外開放形に比べ
環境性に優れる
・縮小化
・縮小化
・耐汚損性に優れる
・耐汚損性に優れる
・駆動部閉鎖化(安全性向上)
・駆動部閉鎖化(安全性向上)
・不燃性
・不燃性
・ガス圧が低く圧力容器とならない
GIS / C-GIS 以前
(屋外/室内閉鎖形)
代表例
仕様
構造
特長
使用
遮断器
8
油遮断器、空気遮断器、
ガス遮断器
ガス遮断器
ガス遮断器、真空遮断器
・縮小化
・耐汚損性に優れる
・駆動部閉鎖化(安全性向上)
・不燃性,難燃性
・ガス圧が低く圧力容器とならない
・ドライエア使用もしくはガスレス化
による環境負荷低減
真空遮断器
◆GIS/C-GIS 設備診断方法の紹介
GIS/C-GIS の設備診断は、劣化進展原因から
①ガス圧低下 ②機構部の変形・磨耗・劣化 ③導体接続部の劣化 ④SF6 ガス の純度低下 の診断に分けられます。
①ガス圧低下
診断項目
磨耗・劣化
部の劣化
②機構部の変形・ ③導体接続
ガス密度測定
ガス密度スイッチ(温度補正付)により規定値以下でアラームを出す。
ガス漏れ測定
SF6 ガスリークディテクタにより、ガスシール部、タンク溶接個所をトレースし
ガス漏れを検出する。
動作特性試験
遮断器の開極時間、閉極時間、三相不ぞろい時間、ストローク特性などを測定し
動作時間、電圧の変化から異常を発見する。
X線透視外部診断
外部よりX線を照射し撮影した画像(内部投影画像)により、接触子や
接続ボルト・ナット等 機構部の状態を診断する。
超音波探傷法
探触子から超音波を発信させ、その反射波(エコー)の時間差やその有無により
欠陥の有無を判定する。(スペーサ部のクラック/碍管吸湿等が対象)
局部過熱測定
赤外線放射温度計によりタンクの温度分布を測定する。
接触抵抗測定
主回路に一定電流を流し、電圧降下法により接触抵抗値を測定する。
ガスの純度低下
部分放電測定
④
SF6
内容
*1
部分放電センサ
部分放電により外部に漏れる電磁波を、外部に設置したセンサで検出する。
絶縁スペーサ法
部分放電により発生する電磁波を、絶縁スペーサの埋め込み電極にて検出する。
加速度,
超音波センサ法
部分放電により発生するタンク外の機械的振動や異物が衝突する際の振動を検出する。
タンク内部の分解ガスをセンサで検出する。
ガス成分分析
(注) 気中機器(制御機器)については「6.5 気中スイッチギヤ(本冊子 14 ページ)」の劣化形態となる。
*1 部分放電や VCB 駆動電流を常時監視することにより機器の状態変化に応じたメンテナンス(CBM:Condition Based
Maintenance)も実用化されつつある。
◆GIS/C-GIS 主回路事故のイメージ
GIS/C-GIS の事故のうち、導体接触異常に伴う部分過熱などにより発生する分解ガスの増加は部分放電に進展し、
短絡・地絡等の大事故につながる恐れがあります。
部分放電信号の伝搬
ガス検知管式測定器
タンク内部イメージ
導体接触異常の発生
絶縁スペーサ
導体
HF 検知管
SO2 検知管
接触抵抗大
↓ 部分過熱
↓ 部分放電
分解ガス
(HF、SO2)
の発生
活線中に診断する部分放電測定とタンクから
SF6 ガスを採取し分解ガスの濃度を測定する
ことでタンク内部の異常の有無を把握出来る。
AE
センサ
電磁波の発生
埋め込み電極
地絡
短絡
振動の発生
タンク
漏れ電磁波
アンテナ
部分放電
測定装置
9
6.3 油入変圧器の診断技術
◆劣化進展パターンと診断方法
劣化形態
対 象
要 因
絶縁物の
平均重合度
低下
絶縁紙
プレスボード
長期運転
過負荷運転
大電流浸入
異常電圧
侵入
油温上昇
熱分解進行
高調波流入
直流の偏磁
鉄心の共振
締付部の緩み
外気侵入
水分量増加
巻線
鉄心
導体
油中の可燃性
ガス増加
騒音
絶縁油
特性低下
絶縁耐力低下
診断方法 *1
劣化進展パターン
劣化形態
原 因(1)
絶縁物・媒体
の吸湿、汚損
絶縁油
碍管
ブッシング
重合度低下
絶縁低下
ヤセの発生
可燃性ガス増
鉄心過熱
巻線過熱
電磁力作用
腐食性
不純物溶解
熱分解進行
表面汚損
絶縁低下
事 象
原 因(2)
内部圧力上昇
巻線変形・移動
緩み発生
振動増加
鉄心過熱
電磁機械力
によるコイル
保持物破損
診断方法
停電
活線
平均重合度法
○
ー
フルフラール法
○
○
部分
放電
巻線断線
○
○
CO+CO2 法
○
○
油中ガス分析
○
○
絶縁油特性試
○
○
絶縁破壊
放圧噴油
○
部分放電測定
ー
○
油温上昇
内部圧力上昇
スラッジの生成
放熱悪化
全酸価値増大
耐電圧低下
余寿命
推定
絶縁低下
油温上昇
絶縁抵抗測定
○
ー
部分放電
気中沿面閃絡
騒音測定
ー
○
地絡・短絡
本体のほかにも付属機器であるコンサベータ、冷却装置、無電圧タップ切換装置、負過時タップ切換装置、計器、保護装置類に
ついても診断が必要です。
*1 tanδ測定は殆ど実施されていない。
◆変圧器の変遷
1950
1960
社会のニーズ
・設備増強
1970
・安定性向上⇒ 不燃化
・用地事情悪化⇒縮小化
1980
2000
・労働力の不足⇒ 省力化
高度成長期
電力増強期
1990
2010
・地球温暖化防止
・電力の安定供給⇒高信頼化
環境保護
高度情報化期
油入変圧器
変圧器
SF6 ガス絶縁変圧器
液体シリコーン液入変圧器
菜種油入変圧器
乾式変圧器
モールド変圧器
PCB 使用禁止
◆油入変圧器の事故事例
低損失ニーズ
省エネ法改正
(トップランナー変圧器)
推定原因
特高油入変圧器コイル絶縁紙劣化による焼損
長 期 間 の 使 用 に よ り、
経年劣化で絶縁紙が強度
低下をおこし、変圧器二
次外部短絡事故の電磁機
械力で内部短絡が発生し
たものと推定されます。
経年により絶縁紙の劣化、コイル保持物
の痩せ・枯れが発生していた
二次母線の外部至近端で
三相短絡が発生
電磁機械力発生
コイル保持物変形破損・内部短絡
10
◆油入変圧器の余寿命推定概念図
変圧器
試料採取
停電
絶縁紙
測定・分析
判定・推定
絶縁紙の重合度
実測値で判定
重合度測定
油中 CO、CO2
を分析
活線
絶縁油
*1
ホットスポット推定
温度の
最も高い
コイル絶縁紙の
平均重合度を
推定
絶縁紙の
平均重合度を推定
油中フルフラール
を分析
寿命
推定
*1 平均重合度の推定には油中フルフラール分析を実施せず、油中 CO+CO2 分析で実施するケースもある。
◆油入変圧器の事故未然防止事例
油中ガス分析結果の可燃性ガス発生量のトレンドから変圧器の内部異常を見つけた事例
(表1∼3参照)
1200
内部点検の実施
:可燃性ガス総量
:水素
1000
:メタン
:エタン
:一酸化炭素
800
(ppm)
危険状態になったので、
測定周期を短くして状況を監視
:エチレン
:アセチレン
600
分析結果から、内部異常の
可能性があるので、内部点検を推奨
400
200
0
1995
1996
1997
(表1)異常の種類と発生ガスの関係
異常の種類
絶縁油の
過熱
主なガス
H2、CH4、C2H6、
C2H4、C2H2*2
油浸固体
絶縁物の過熱
H2、CH4、C2H6、
C2H4、C2H2*2、
CO、CO2
絶縁油中の
放電
H2、CH4、
C2H4、C2H2
油浸固体
絶縁物の放電
H2、CH4、C2H4、
C2H2、CO、CO2
*2 高温時発生
1998
1999
2000
2001
判定基準(いずれか一つでも適合する場合)
要注意Ⅰ
H2 ≧400ppm
CH4 ≧100ppm
C2H2 ≧0.5ppm*3
C2H4 ≧10ppm
要注意Ⅱ
C2H2 ≧0.5ppm
C2H4 ≧10ppm かつ
異常
C2H2 ≧5ppm
C2H4 ≧100ppm かつ
C2H4 ≧100ppm かつ
2003
(表3)ガスの種類
(表2)油中ガス分析の判定レベル
判定
レベル
2002
C2H6≧150ppm
CO≧300ppm
TCG≧500ppm
H2:水素
CH4:メタン
C2H2:アセチレン
C2H4:エチレン
C2H6:エタン
CO:一酸化炭素
CO2:二酸化炭素
TCG:可燃性ガス総量
TCG≧500ppm
TCG≧700ppm
TCG 増加≧70ppm /月
*3 C 2 H 2 が検出される場合は、追跡調査を実施することが
望ましいため、可能な限り低く設定し、要注意Ⅱレベルと
同じ定量下限値の 0.5ppm とする。
(電気協同研究 第 54 巻 第 5 号(その 1)平成 11 年 2 月)
11
6.4 真空遮断器の診断技術
◆劣化進展パターンと診断方法
劣化形態
劣化形態
診断方法
劣化進展パターン
対 象
要 因
原 因(1)
原 因(2)
事 象
診断方法
停電
絶縁耐力
低下
絶縁支持部
汚損・吸湿
経年劣化
繰返し疲労
トラッキング発生
機械強度低下
絶縁破壊
折損
クラック
地絡・短絡
活線
部分放電測定
−
余寿命推定
余寿命推定
する方法は
まだ確立さ
れていない。
○
真空チェック
遮断性能
低下
通電性能
低下
機械的
開閉不能
電気的
開閉不能
真空バルブ
・フランジ
・ガラス
・セラミック
・ベローズ
・接点
断路部
導体
リード線
リンク機構
電装品
モータ・コイル
配線・端子
端子台
結露
残留応力
繰返し
動作疲労
腐食・孔食
クラック発生
疲労破壊
真空不良
電流の開閉
事故負荷電流
接点消耗
遮断不良
○
接点消耗量測定
○
過熱
焼損
グリース劣化
結露・腐食
動作繰返し
結露
絶縁被覆劣化
銅地金露出
接触抵抗増加
素線切れ
過熱
−
短絡・溶着
開閉動作失敗
動作特性試験
腐食
断線
クラック発生
制御回路・地絡
開閉動作
不能
○
−
コイル抵抗測定
銀移行
−
接点接触抵抗測定
導通不良
絶縁性被膜生成
−
開閉動作
異常
○
補助開閉器
(接点)
○
グリース分析
○
開閉速度低下
疲労破壊
−
局部過熱測定
焼損(発弧)
固渋
−
接触抵抗測定
○
銀メッキ摩耗
被膜生成
グリース劣化
締付緩み
腐食
−
○
−
◆国内の各遮断器の変遷
1950
1960
1970
1980
1990
油遮断器(OCB)
磁気遮断器(MBB)
空気遮断器(ABB)
ガス遮断器(GCB)
真空遮断器(VCB)
生産期間
保守対応期間
(注) 遮断器の廃止機種保守対応期間については、各メーカに問い合わせください。
12
2000
2010
◆事故事例 汚損・吸湿による沿面コロナ放電発生
推定原因
汚損・吸湿等により絶縁物が絶縁低下、沿面コロナ放電 ( 黒色変色部 ) が発生
絶縁物の汚損・吸湿等
絶縁抵抗低下
沿面放電発生
→相間短絡への進展
ツリー状に黒変している部分がトラッキング*1発生箇所
*1 トラッキング…トラッキング現象(絶縁低下による沿面放電現象)
部分放電、コロナ放電現象の主な診断、検出方法
・AE センサー法
・スーパーフォン
・電磁波法
・目視
・放電発生部位の付着イオン分析
硝酸イオンの検出
注油・グリースの交換時期
項 目
内 容
注 油
グリースの固化防止のため
基油の補充
グリース
交換
ちょう度低下したグリースを
取り除き、新しいグリースに交換
経過年数とちょう度
新品時
使用可能な
ちょう度範囲
定期的注油を実施した場合の
グリース交換推奨時期
ちょう度
高圧真空遮断器において、グリースの劣化(固化、固渋)が
原因で遮断不良、投入不良といった問題が引き起こされます。
よって、設置場所や使用環境により、かなり差が出ますが
1 ∼ 3 年毎のグリース固化防止のための注油、及び 6 年毎の
グリース交換の実施が必要です。
右図はグリース塗布後の経過年数とちょう度 *2 の関係を
示しています。
*2 グリースの硬さを表す尺度。硬いほど数値が小さい
固渋発生時期
周 期
1∼3年毎
6年毎
6年
年 数(年)
給油箇所:リンク機構部、
主回路断路部(本体及び盤側)
13
6.5 気中スイッチギヤの診断技術
◆劣化進展パターンと診断方法
劣化形態
劣化進展パターン
劣化形態
対 象
診断方法
原 因(1)
要 因
原 因(2)
事 象
診断方法
停電
筐体部
絶縁破壊
動作不能
絶縁支持物
碍子・外観
カバー類
保護継電器
制御開閉器
補助開閉器
接触子
端子台
配線接続部
塵埃・雨水浸入
塵埃堆積、吸湿
塵埃噛み込み
通電不能
保護ヒューズ
絶縁低下
接触抵抗増大
(接触不安定)
接触不良
トラッキング
(炭化物生成)
部分
放電
寿命
推定
絶縁抵抗測定
絶縁破壊
○
ー
部分放電測定
ー
過熱(変色)
溶損
(気中放電)
○
異常の
確認
地絡・短絡
接触抵抗測定
多頻度開閉
腐食性ガス発生
誤・不動作
リセット機構不良
引っかかり
摩擦・摩耗の増大
グリス固化
塵埃堆積、吸湿
導体接続部
接触部
断路部
汚損の進行
吸湿の進行
熱分解の進行
腐食の進行
活線
酸化・硫化進行
腐食進行
機械的振動
通電振動
締め付け部
緩み発生
経年劣化
腐食の進行
(変質・ヤセ)
亀裂・破損発生
操作・制御不能
動作特性の狂い
動作不能
○
ー
局部過熱測定
ー
○
接触抵抗増大
(接触不安定)
ヒューズ
筒破損
アーク放電
(断線)
不要動作
不動作
(制御ヒューズ)
停電
(全停)
絶縁支持物等の余寿命診断も実施され始めている。
◆気中スイッチギヤの変遷 (スイッチギヤは盤内に収納される遮断器とともに進歩してきた)
1950
油遮断器
1960
1970
1980
小油量形油遮断器/磁気遮断器
開放形盤
1990
2000
2010
真空・ガス遮断器
金属閉鎖形盤
集中制御盤導入
多段積化・小型化
多機能化
◆スイッチギヤ内の機器・部品の局部過熱測定事例
コンデンサの過熱測定
切換スイッチの過熱測定
低圧コンデンサの過熱測定事例
電流計測用相切換スイッチの過熱測定事例
同じ回路に接続されているコンデンサで
左側のコンデンサの異常過熱を示す。
14
白色部分が高温を示す。(スイッチの接点)
◆気中スイッチギヤの劣化要因と劣化形態
気中スイッチギヤの劣化は、スイッチギヤを構成する遮断器、開閉器、母線、補助継電器などの劣化であり、これらが
重畳して寿命となります。
影響を及ぼす要因
電気的要因
劣化要因
劣化形態
運転電圧、過電圧(開閉サージ、雷サージなど)
部分放電
熱的要因
過負荷、過電流、高調波電流、周囲温度
ヒートサイクルなど
膨張収縮、変形
ひずみ
弾性低下
機械的要因
多頻度動作、外部応力、振動、衝撃など
疲労、摩擦
ひずみ
接触不良
環境的要因
塵埃、汚損、湿気、温度
腐食性ガス、紫外線など
絶縁不良、接触不良
グリース固化
金属腐食、絶縁物変質
◆気中スイッチギヤの機器・部品の劣化事例
機器・部品
劣化・故障写真
推定原因
接点
汚損・吸湿の繰り返しに、通電による
熱も加わり接点が酸化し、接触抵抗が
増大し導通不良に至った。
MCCB
(制御用)
拡大
放電痕
盤内
高圧ケーブル
(3.3kV)
30 年以上の長期使用により、相間接
触部が経年劣化し放電に至った。
切換スイッチ
接点焼損
電流計
切換スイッチ
周囲の雰囲気の影響をうけ、経年劣化
が進み(接触面の汚損、腐食)接触抵
抗増大⇒過熱焼損に至った。
電力用
ヒューズ
長期間の使用でエレメントが劣化、通
常の負荷電流で溶断し消弧できずに
アークで持続⇒内圧上昇⇒破裂・地絡
に至った。
15
7
延命化のポイント
7.1 延命化の目的
延命化の目的は、あくまで更新時までの信頼性維持を確保するための手段であり、寿命に近いものをある限定された
期間だけ何がしかの対策を実施し寿命を延ばすものです。
7.2 延命化の判断ポイント
老朽化機器の延命化を実施する場合、非修理系の機器は機器の更新、修理系の機器は部品交換による延命化が基本と
なります。しかし、修理系の機器であっても、機器更新とのコストなどの比較をおこない、必要に応じて延命化を
行うことが必要です。
延命する機器
機器更新・部品交換の判断ポイント
部品交換
が有利
・コストの比較
修理系
(修理可能)
・部品交換後の
故障発生頻度検討
延命化実施
劣化部品交換
による延命化
・社会的要因の判断
(技術者確保困難、生産終了など)
機器更新
が有利
非修理系
(修理不可)
機器更新
による延命化
7.3 延命化処置判断時に考慮すべき事項
修理系の電気機器で部品交換により延命化する場合、処置の最終判断は下記に示す諸事項についても検討し、総合的に
判断することが重要です。
延命要素
機能的要素
事象的要素
16
信頼性
システムとしての信頼性は、最新の要求に対して
基準をみたしているか
安全性
システムとしての安全性は、最新の要求に対して
基準をみたしているか
保守性
保守、メンテナンス性に改善の必要性はないか
機能性
設備・機器に機能向上の必要はないか、
運用管理上の機能向上の必要はないか
環境性
周囲環境条件に対応できているか
物理的
放置しておくと他の機器へ波及する恐れはないか
経済的
維持管理上かなりの経費を必要としないか
製品的
代替品または補修は可能か
7.4 機器の更新による延命化の効果
機器更新による延命化においては、「現在供給中の標準機器により更新する。」また、「機器の故障によるトラブルを最
小限に抑えるために機器が摩耗故障期に達する前に更新する。」など、総合的にみて得策となる方法を、選択することが
必要です。
以下に、機器更新による効果をご紹介します。
更新により期待される効果
既設対象機器
更新推奨機器
高信頼化
高機能化
高性能化
縮小化
省スペース化
○
省力化
省人化
環境調和
特別高圧
GIS
GIS、
C−GIS
○
○
断路器
断路器
○
○
○
○
○
○
○
油遮断器
ガス遮断器
真空遮断器
空気遮断器
真空遮断器
GIS
C−GIS
○
油入変成器
油入変成器
○
○
○
○
○
避雷器
酸化亜鉛形避雷器
○
○
○
○
○
油入変圧器
○
○
○
ガス変圧器
○
○
真空遮断器
ガス遮断器
○
○
モールド変圧器(高効率形)
油入変圧器(高効率形)
○
○
乾式コンデンサ
○
油入変圧器
真空遮断器
磁気遮断器
油遮断器
高圧
乾式変圧器
油入変圧器
モールド変圧器
コンデンサ
○
○
○
○
○
○
○
○
監視制御
油入コンデンサ
○
気中スイッチギヤ
高機能配電盤
○
○
○
誘導形保護継電器
デジタル形保護継電器
○
○
○
○
指示計器
多機能複合計器
○
○
○
○
監視・制御装置
多機能監視制御装置
○
○
○
○
○
○
○
7.5 部品交換による延命化
主な対象機器
内部
気中スイッチギヤ
気密
油密
変成器
変圧器
表示
記録部
断路器
遮断器
制御部
交換の判断要素
C G
̶IS
GIS
交換部品
部位
交換
推奨時期
(年)
操作・制御部品類
接触不良、消耗、破損、絶縁抵抗値
計器類(温度)
破損、経過年、動作状況
表示器・警報器
破損、経過年、動作状況
○
15
指示計器
破損、経過年、指示誤差
○
15
記録計器・T/ D
破損、経過年、動作状況
○
15
気密・油密ガスケット
漏油、ガス漏、変形、損傷、動作回数
○
圧力計・圧力開閉器
腐食、損傷、経過年
○
絶縁媒体
色調、水分量、全酸価値
○
コンサベータの隔膜
経過年、ガス分析(N2)、破損(油面確認)
○
○
○
10∼15
○
○
10∼15
10∼15
12
○
○
20
○
15
(注) 記載の年数は目安でございますので、詳細は機器の製造メーカーにお問合せ下さい。
17
8
設備更新のポイント
8.1 更新に向けての検討事項
設備更新では、寿命に達した機器の機能や安全性・信頼性を、初期レベルに回復させるだけでなく、環境への配慮、
省エネ・省スペース、工事・メンテナンスコストの低減など、これまで以上に、付加価値を高めた設備にすることが
必要です。
信頼性と機能性
設置環境と環境保全
・受電方式・受電変圧器容量と
バンク数および将来増設
・設置場所、周囲の雰囲気
自然環境への対応
・UPS、非常用発電機容量
・低損失、高リサイクル率
機器採用
安全性と保全性
・充電露出部のない機器、
防災性仕様機器採用
・密閉化機器などの導入により
保守省力化とコスト低減
・瞬低・電圧変動・フリッカー・
高調波対策
・電気使用量の平準化と力率改善
・保護リレーシステム
・PCB 管理対象品(既設)への対応
・保守が容易な設備構成、配置と
巡視点検ルート、避難ルート確保
・受電点の位置と引き込み方式と
既設設備への配線ルート
・工事可能時期・期間と必要な停電
範囲と時間、作業ステップ毎の手順
・将来増設スペースの確保
・搬出入口の位置・寸法・安全スペースの
確認とクレーン車などの作業制限
・コンパクト化による
空きスペース活用
・新技術設備の採用による
信頼性向上
・保全スペースの確保
・設備投資優遇政策の調査・適用
・重機使用・仮設スペースの確保
最新技術と優遇策の適用
レイアウト制約条件
・電気事業法・消防法・建築基準法
などに基づく申請・届出
工事仕様の検討
8.2 設備更新による効果
期待される効果
内 容
・系統の二重化などによる電力供給信頼性の向上
・保守点検時・事故時の電力供給確保
電力供給の信頼性
・増設時の停電時間の短縮
・サブ変の統廃合による配電系統の簡素化・健全化
信頼性
・発電設備の設置による重要負荷への停電回避
・密閉化機器(GISなど)採用により設置場所の雰囲気による影響削減
設備の信頼性
・耐震性の向上
・保護継電器、制御装置のデジタル化による信頼性の向上
機能性
安全性
メンテナンス区分の明確化
・受電系統、設備二重化などによりメンテナンス不可部分の解消
遠隔集中監視
・分散した負荷設備・エネルギーの使用状況などを一元管理
環境調和
・GIS・低騒音TR
(防音壁不要)の採用による美観の確保
充電部分の密封化
・密閉化機器の採用による安全性の向上
操作性
・手動操作機器削減による安全性の向上
防災性
・オイルレス機器の採用による不燃化・難燃化
・最新技術適用機器の採用による、点検周期の延長と点検項目削減
保全費の削減
経済性
18
・オイルレス機器の採用による油交換、清掃などの削減
・電気操作式の機器採用による空気圧縮機の分解点検削減
省スペース
・機器の縮小化による敷地・空きスペースの活用
省エネルギー
・電気使用量平準化、力率改善、高効率機器採用によるランニングコスト削減
9
設備診断の実施時期と保守点検周期および更新推奨時期
診断推奨時期は更新推奨時期の5年前としているが、精密点検時期に合わせるなど配慮が必要です。
設備区分
特高
受変電設備
高圧
受変電設備
配電設備
監視・
保護設備
普通点検周期
精密点検周期
(年)
(年)
診断実施
推奨時期
(年)
GIS
1∼3
6
20
C−GIS
1∼3
6
断路器
1∼3
6
真空遮断器
1∼3
ガス遮断器
機器名称
更新推奨時期
(年)
使用者の平均
更新期待年数
*1、*2 (年)
25
28.
0
20
25
28.
0
15
20
27.
1
6
15
20
25.
5
1∼3
6
15
20
25.
7
油入計器用変成器
1∼3
6
15
20
26.
5
避雷器
1∼3
6
15
20
25.
8
油入変圧器
1∼3
6
20
25
27.
6
ガス絶縁変圧器
1∼3
6
20
25
気中スイッチギヤ
1
6
15
20
断路器
1∼3
6
15
20
25.
2
真空遮断器
1∼3
6
15
20
25.
5
ガス遮断器
1∼3
6
15
20
26.
8
モールド計器用変成器
1∼3
6
12
15
26.
3
避雷器
1∼3
12
15
油入変圧器
1∼3
6
15
20
気中スイッチギヤ
1
6
15
20
25.
8
高圧受電設備
に同じ
高圧受電設備
に同じ
高圧受電設備
に同じ
屋内 15 屋外 10
屋内24.
9
27.
6
断路器、遮断器
計器用変成器
1∼3
6
負荷開閉器
1
2 *3
ACB、
MCCB
1
6
6∼12
15
電磁接触器
1∼3
6
12
15
真空25.
5
限流ヒューズ
1
6∼12
屋内 15 屋外 10
16.
2
電力用コンデンサ
(高圧)
1
3
12
15
23.
2
油入変圧器
1∼3
6
15
20
27.
6
モールド変圧器
1∼3
6
15
20
27.
1
スイッチギヤ
コントロールギヤ
1
6
15
20
監視盤
1
6
15
20
デジタル形保護継電器
1∼3
6
12
15
18.
2
以下の機器については生産中止機種につき、他機種へ更新されることをおすすめします
特高
受変電設備
油遮断器
1∼3
6
15
20
26.
1
空気遮断器
1∼3
6
15
20
26.
0
26.
1
高圧
受変電設備
油遮断器
1∼3
6
15
20
磁気遮断器
1∼3
6
15
20
配電設備
乾式変圧器
1∼3
6
15
20
26.
9
監視・
保護設備
誘導形保護継電器
1∼3
6
15
20
23.
9
*1 一般社団法人日本電機工業会「受変電設備の保全に関するアンケート調査」報告書 平成 15 年 3 月
*2 使用者の平均更新期待年数は更新までの平均期待稼動年数
*3 分解をともなわない点検
*4 更新推奨時期の詳細については巻末「関係資料の紹介」に記載されている JEM-TR をご参照下さい
19
関係資料の紹介
本資料に関係する「一般社団法人 日本電機工業会」発行の資料を下記に示します。
● 報告書
「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書 ……………………………… 発行
1989 年 9 月
「受変電設備の保全に関するアンケート調査」報告書 ……………………………… 発行
2003 年 4 月
受変電設備保守点検の要点(第 3 版) ……………………………………………… 発行
2007 年 6 月
長期使用受変電設備の信頼性の考察 ………………………………………………… 発行
1999 年 1 月
『受変電設備の適切な保全業務について』技術講習会アンケート調査報告(第 2 回)
̶保守・保全担当者の生の声̶ ……………………………………………………… 発行
2007 年 10 月
● PR パンフレット
汎用高圧機器の保守点検のおすすめ ………………………………………………… 最新版 2008 年 9 月
汎用高圧機器の更新のおすすめ ……………………………………………………… 最新版 2005 年 1 月
● 技術資料
JEM-TR122:金属閉鎖形スイッチギヤ及びコントロールギヤの保守・点検指針
改正
2008 年 7 月
JEM-TR156:保護継電器の保守・点検指針 ……………………………………… 改正
2008 年 1 月
JEM-TR164:計器用変成器の保守・点検指針 …………………………………… 制定
1988 年 8 月
JEM-TR168:高圧限流ヒューズの保守・点検指針 ……………………………… 改正
2011 年 7 月
JEM-TR171:配電用 6 kV 油入変圧器の保守・点検指針 ……………………… 改正
2010 年 1 月
JEM-TR172:高圧交流電磁接触器の保守・点検指針 …………………………… 制定
1991 年 4 月
JEM-TR173:高圧交流負荷開閉器の選定及び保守・点検指針 ………………… 改正
2012 年 8 月
JEM-TR174:高圧交流遮断器の保守・点検指針 ………………………………… 改正
2012 年 3 月
JEM-TR178:高圧断路器の保守・点検指針 ……………………………………… 制定
1991 年 7 月
JEM-TR179:高圧避雷器の保守・点検指針 ……………………………………… 改正
2011 年 7 月
JEM-TR182:電力用コンデンサの選定,設置及び保守指針 …………………… 改正
2003 年 3 月
人と社会と技術の調和
一般社団法人 日本電機工業会 重電保全専門委員会
〒102-0082 東京都千代田区一番町17-4 TEL.(03)3556-5885
URL http://www.jema-net.or.jp
重 201208 11.5K(2013.09)
産 5233