ウェストバージニア州

WEST VIRGINIA
ウエストバージニア州
I.
II.
III.
IV.
I.
保護命令
離婚
親権・面会交流権
養育費
....... 1 ~ 5 ページ
....... 6 ~ 8 ページ
....... 8 ~ 12 ページ
....... 13 ページ
保護命令
保護命令とは?
保護命令とは、DV 行為や犯罪行為の被害者が、加害者から、身体的、又は、精
神的な危害を受け続ける恐れのあるとき、裁判所が発行する法的措置のことを指
します。ウエストバージニア州では保護命令は、Domestic Violence Protective Order
と呼ばれています。
家庭裁判所と刑事裁判所の違いについて
法律制度は、大きく民事法と刑事法の 2 つに分けられます。それぞれ、どの裁判
所が管轄を持つか決められています。DV のケースでは、家庭裁判所(民事法)
と刑事裁判所(刑事法)という二つの性質の違う裁判所から、同じ DV 行為に対
しての法的措置を同時に求めることも可能です。DV の危険から最大限に身の安
全を守るため、状況によっては、両方の裁判所から、保護命令の発行を求めるこ
とが最善策というケースもあるでしょう。 民事法と刑事法の一番大きな違いは、
各法的措置の申立人の違いにあります。
➣ 家庭裁判所 Family Court(民事法)のシステム
民事法のシステムでは、申立人は、被害者、又は、先に申し立てを行った申請者
です。よって、民事法上の保護命令(Domestic Violence Protective Order)取得のた
めには、被害者が直接裁判所へ出向き、保護命令の申し立てを行う必要がありま
す。保護命令発令後、加害者が命令内容に違反した場合には、加害者が逮捕され
ることもありますが、基本的に、民事法制度では、申立人は、DV の行為に及ん
だ加害者の逮捕、又は、懲役などの刑罰を与えることを裁判所に求めるわけでは
ありません。
➣ 刑事裁判所(刑事法)のシステム
一方、刑事法のシステムでは、検察局 (District Attorney’s Office) が申立人となり
ます。刑事裁判所では、ハラスメント、暴行、殺人、強盗等の刑法に違反する犯
1
罪行為が扱われます。刑事告訴の中では、加害者の処罰も求められます。刑事法
制度では、検察官 (Prosecutor、又は、地方検事 District Attorney とも呼ばれる)が
ケースの進行に関する主導権・決定権を持ち、刑事裁判を続行するかどうかの判
断権も持ちます。刑事裁判では、州・地方自治体が、加害者に対する刑事裁判の
申し立てを行います。もし、被害者が、加害者の告発 (press charges) を希望しな
い場合、検察官は、刑事告訴を取り下げる判断をする可能性もありますが、かな
らずしもそうではありません。検察官は、被害者がそう希望しない場合でも、加
害者に対する刑事告訴を取り下げず、裁判を続行することもあります。また、そ
の際、被害者に対して召喚状 (Summons = 特定の人に対し、裁判所へ出頭し、
証言することを命じる裁判所の命令書)を発し、証言人として出廷させる可能性
もあります。
家庭裁判所 Family Court のシステムを利用して保護命令を申請する場合
加害者(abuser) が、あなたと下記の関係にある場合、家庭裁判所にて、保護命令
Domestic Violence Protective Order を求めることが可能です。















配偶者または、元配偶者
配偶者として同じ家に住んでいた同居者、または、同じ家に住む同居人
お付き合いをしている、又は、過去に交際のあった相手
性的関係をもった相手
共通の子供がいる相手(結婚の有無は問わない)、申請者の親、養父・養母
兄弟、姉妹、異母・異父兄弟・姉妹、義兄弟・姉妹
義母、義父、養父の義母・義父、養母の義母・義父
子供、養子、あなたの配偶者の子供
義理の娘、息子
祖父・祖母、義理の祖父・祖母
叔母、義理の叔母
叔父、義理の叔父
姪、甥
従兄弟
又従兄弟
*W. Va. Code§ 48-27-204
家庭裁判所で保護命令の発行時に適用されている DV 行為の定義:



身体に危害を加えようとする行為 (武器の使用があった場合も含む)
意図的に、またはむやみに、身体に危害を加える行為(武器の使用があった場
合も含む)
身体に危害を加えられると被害者に恐怖心を持たせる行為で、そのような恐怖
心を与えるに値する行為
2




ハラスメント行為、ストーキング、心理的暴力や脅しなどを使用し、身体に危
害を加えられると被害者に恐怖心を持たせる行為
性的虐待、または、性的暴力行為
誘拐行為
被害者の意思に反し、監禁行為をすること
☞豆知識:もし、DV 行為を目撃したり、DV 行為を警察に連絡したために、
加害者から暴力を受けたり、脅迫行為にさらされることになった場合にも、
Domestic Violence Protective Order の取得が可能です。
*W. Va. Code§ 48-27-403(a)
*W. Va. Code§ 48-27-403(b), (g)
*W. Va. Code§ 48-27-402
*W. Va. Code§ 48-5-505(a), (b)
保護命令の種類と有効期間について
ウエストバージニア州で発行される保護命令の種類と有効期限は、下記の通りで
す。裁判官が、被害者の状況を吟味する中で、どの保護命令の発令が適当か裁断
を下します。
➣ 緊急保護命令 Emergency Protective Order
行政裁判所 Magistrate Court で発行されます。裁判官が、申請者とその家族を法
的に保護することが必要と判断した場合、直ちに緊急保護命令(Emergency
Protective Order)が発行されます。緊急保護命令は、裁判官が、申請者自身、又
は、申請者の家族が、加害者からの暴力を直ちに受ける可能性が高いと判断した
際に発行されます。病院の診断書(DV により怪我を負い、その治療を受けてい
る場合)やその他、DV を実証する証拠などを裁判官に提出し、DV の状況を説明
しましょう。緊急保護命令は、"ex parte" で発行される命令書です。"ex parte" と
は、裁判官が申請者(被害者)の証言のみを基に、保護命令の発行を判断するこ
とを指します。通常、裁判は、相対する当事者間の間で行われるものであり、裁
判官の判断も、当事者双方の話を聞いてから判決が下されますが、緊急保護命令
の場合、被害者の証言のみを聞いて、裁判官が保護命令発行の有無を決めます。
裁判官には、どうして加害者の出廷を申請者のあなたが望まないのか、伝える必
要があります。
(相手に申請をしていることが分かると、危険、など)緊急保護命
令は、通常、次の出廷日まで有効です。次の出廷日には、加害者にも裁判官の前
へ出廷し、裁判官の前で証言し、証拠を提出する機会が与えられます。この出廷
日は、緊急保護命令が発行されてから 10 日以内(延長される場合もある)の日時
に設定されることになっています。
3
☞
豆知識:もし、申請者が配偶者に対しての緊急保護命令を求めている場合
で、家庭裁判所から、一時的な離婚命令、結婚の取り消し、または別居命令が
発行されている場合、Magistrate Court(行政裁判所)からは、暫定的緊急保護
命 Temporary Emergency Protective Order が発行されることになっています。
➣ 最終保護命令 Final Protective Order
家庭裁判所 Family Court で発行されます。最終保護命令の発行は、担当の裁判官
が被害者と加害者双方からの証言や目撃者の証言を聞き、各証拠を吟味した後に
行われます。最終保護命令は、90 日、180 日、または1年までの有効期限が明記
されています。
☞
豆知識:最終保護命令の有効期限が 1 年までとなったのは、2010 年 6 月
に新法が施行されてからです。被害者のケースの情状の中に、下記の
“aggravating factors” と定義付けされている行為がある場合、申立人は、裁判
官に、保護命令の有効期限を最長の 1 年と定めるよう、求めることが可能です。
“aggravating circumstances”と定義付けされているケース





過去に、加害者が保護命令に従わなかった経歴がある。
過去 5 年の間に、2 つ以上の保護命令が加害者に対して申請されている。
加害者に被害者に対する暴力の前科があり、その内容が、身体的な DV、
暴行、または重罪(Felony)にあたる行為の場合
加害者に対し、ストーキングやハラスメント行為を行った他の被害者から、
現在保護命令が発行されている
申請者の現状を裁判官が考察する中で、有効期限が一年間の保護命令の発
行が適切であると裁判官が判断した場合
*W. Va. Code§ 48-27-402(a, (b)
*W. Va. Code§ 48-27-402(e)(1)
*W. Va. Code§ 48-27-402(c)
*W. Va. Code§ 48-5-505(d)
緊急保護命令 Emergency Protective Order に明記できる事柄:
 被害者や被害者の子供に対しての暴力行為やハラスメント、ストーキング行為
等の禁止
 被害者や被害者の子供に対し、身体的な危害や外傷を与えることをほのめかす
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行為の禁止
 加害者が所持する銃器、並びに銃弾の押収命令(銃器所持許可書を所持してい
る場合でも可)
最終保護命令 Final Protective Order に明記できる事柄:
 被害者が加害者と住居を共にしている場合、加害者に退去を命じ、被害者が家
に住み続けられるよう命令
 被害者の自宅や自宅周辺への接近を禁止
 暫定的親権を被害者に与え、保護命令期間中の面会訪問日の取り決めや、面会
の監督プログラムが必要な際は、そのスケジュールや場所の取り決め
 暫定的な養育費、配偶者扶養料の設定
 被害者や被害者の家族の学校や職場へ立ち入ることを禁止
 加害者更正プログラムへ通うことを義務付け
 被害者に電話をしたり、他の方法で連絡を取り、脅したり、言葉の暴力をあび
せることを禁止
 家を退去する側(加害者、又は被害者のどちらでも)に、警察官が家まで同行
し、身の回りの必需品をまとめたり、車を取りにいく機会を提供するよう命令
 当事者双方に、共同で所有している所有物を破損したり、隠匿したり、売却す
ることを禁止
 家族または、共同で飼っているペットを被害者に預け、加害者には、ペットを
傷つけたり、殺傷したり、ペットに会いに行くことを禁止
 加害者に対し、所持品の買い替え費用、怪我の治療費等、交通費、シェルター
費用など、DV 被害で被害者が被った出費の支払い命令
この他にも、裁判官が適当と判断された事項が記載されます。
*W. Va. Code§ 48-5-502(a), (b)
*W. Va. Code§ 48-5-502(a), (b), 48-27-503
保護命令の申請はどこの家庭裁判所へ行けば良いですか?
陳述書は、被害者、又は、加害者の居住地(一時的または永住)、または、DV 事件
の発生地のいずれかを管轄に持つ裁判所で申請できます。離婚申請中であれば、
離婚申請をしている裁判所がある郡の裁判所でも申請が可能です。申請のサポー
トが必要な際は、ウエストバージニア州の無料弁護相談団体へのご相談をお勧め
致します。
*W. Va. Code§ 48-27-302
5
II.
離婚
離婚とは?
離婚とは、結婚を解消するための法的措置です。下記の流れが、ウエストバージ
ニア州での一般的な離婚プロセスです。家庭裁判所 Family Court が管轄を持ちま
す。
↓
↓ステップ 1: 居住条件を満たしている
↓
ステップ 2: 離婚理由 grounds がある
↓
ステップ 3: 離婚嘆願書を申請した側が、第三者を通して、離婚申請
書類を相手に手渡す(service of process)
↓
ステップ 4: 相手側が書類内容に同意できない事項がある場合、相手
側にも裁判所に異議申し立てを行う機会が与えられます。相手側の
同意が得られない場合、その離婚は、“contested divorce”と呼ばれます。
この際、双方が法廷へ出向き、裁判官の前で、双方が申し立て内容
を争うことになります。もし、相手側が離婚の嘆願書の内容に特に
異議がなく、離婚書類に署名し、同意した場合は、“uncontested divorce”
と呼ばれます。相手側に離婚書類を届けた後、一定期間中に、相手
側が離婚書類に署名をしない、または、異議申し立ての書類を裁判
所に申請しない場合もまた、“uncontested divorce”として、裁判所での
離婚のケースを進めていくことが可能です。いずれのケースも、離
婚専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。
↓
ステップ 5: 財産分与や配偶者扶養料を相手に求める場合、裁判所の
外での交渉によりこれらの点についての取り決めを行うか、又は、
法廷での争いの中で取り決められてからでないと離婚の最終判決が
下りません。また、離婚の嘆願書が申請される前に、親権や養育費
の件が前もって決定されていない場合、離婚裁判の中に親権と養育
費の内容も取り込まれ、初等裁判所での離婚裁判の中で、これらの
点についても同時に取り決められる可能性があります。
6
*W. Va. Code§ 48-5-102, 48-5-402, 48-5-403, 48-6-201, 48-7-201, 48-7-203
*W.Va. RCPR: Rule 80
居住条件とは?
ウエストバージニア州で離婚を申請する為には、離婚の申請時点で、夫婦のどち
らかが、1 年間継続してウエストバージニア州に住んでいる必要があります。し
かし、夫婦がウエストバージニア州で結婚している場合、双方共に、一年間ウエ
ストバージニア州に住んでいなくても、離婚申請が可能です。
*W. Va. Code§ 48-5-201
離婚理由とは?
離婚理由は、英語で Grounds と呼ばれ、法的に認められている離婚理由のことを
指します。
➣ 夫婦のどちらか、または双方に、結婚関係を破綻させた理由がある場合
(Fault-based)









夫婦間に身体的な暴力の懸念がある Reasonable apprehension of bodily harm
配偶者から、不義があった、又は、同性愛者だと、誤った言いがかりを受けた
配偶者の身体的・精神的健康を害する、または、害する可能性の高い行為や態
度が夫婦間に存在する場合
不義
重罪の実刑判決を受けた
回復の見込みの無い精神病がある
薬物への依存 Addiction to drugs や習慣的な飲酒 Habitual drunkenness
故意に、配偶者や子供への養育義務を怠った場合
配偶者や子供への暴力
➣ 夫婦のどちらにも結婚関係を破綻させた非がない場合(No-Fault)


過去一年間に住まいを別にし、別居生活を送っている。別居は、片方の配偶者
が自主的に共同の住まいから退去した別居、または、双方の合意の下での別居
のどちらでも可
夫婦間の関係が、修復の見込みがみられない状態である Irreconcilable
Differences
*W. Va. Code§ 48-5-202
*W. Va. Code§ 48-5-209
7
ウエストバージニア州-離婚についての法律資料、弁護士情報リスト
(英語のみ)
Legal Aid of West Virginia
1-866-255-4370
http://www.lawv.net/legalassistance
West Virginia State Bar Association
Lawyer Referral Service Line Directly
(304) 558-7991
Divorce Support - West Virginia
http://www.divorcesupport.com/divorce/West-Virginia-Divorce-2525.html
Provides a professional directory of divorce lawyers, mediators, counselors, financial
planners and other divorce professionals as well as articles on child custody, visitation,
child support, alimony, and property and debt division. You will also find access to
other state specific resources, products and services.
West Virginia Divorce Legal Information Center
http://www.divorcelawinfo.com/states/wva/westvirginia.htm
A resource on divorce and family law in the State of WV for non-lawyers and pro se
litigants.
III. 親権
親権とは?
親権とは、未成年の子(18 歳以下)を養育するため、子を監護・教育する、親の
法的権利義務と法的責任のことです。ウエストバージニア州では、家庭裁判所の
裁判官が下記の 2 つの親権要素について判決を下します。
➣ 日々、子供と共に暮し、養育していく義務と権利
➣ 子の養育に関して重要な物事を決定する権利。例えば、どこの学校へ通わせる
か、どの宗教を信仰するか等を決めたり、また、病気にかかったり、怪我を負っ
た際には、医療手段を決める権利
ウエストバージニア州では、離婚前に、夫婦間で実行されていた子供の養育スタ
イルをそのまま離婚後の状態に当てはめる方法が取られています。つまり、裁判
官は、夫婦が結婚していた期間中、どちらが子供の養育を担当してきたか、親権
判決の中で重要視します。両親が、大体同じ割合で子供の面倒を見てきたのであ
8
れば、平等に親権の権利を与え、また、片方の親だけが、主に子供の面倒を見て
きたのであれば、その親が子供の親権を持つ可能性が多くなります。片親が子供
の面倒を主にみてきた場合、また、両親が一緒に住んだことが無く、片親が子供
と暮らしてきた場合、裁判官は、どれだけもう一方の親が、親としての養育義務
(parental duties) を果たして来たか、親権裁判の中で吟味します。養育義務(parental
duties) は、例えば、片親が子供を養育している反面、もう一方の親が生活費のた
め仕事をして経済的に家庭を支えてきた、または、住んでいる住居の整備や修理
を行ってきた、等の点が含まれます。
また、片方の親に親権を与えることで、もう一方の親や子供に危険が及ぶ可能性
がある場合、裁判官は、親と子供が法的に身の安全を確保されるまで、片親に親
権を与えることを保留する可能性があります。その際、裁判官は、面会交流時の
子供の引き渡し場所の設定や、カウンセリングへの通院命令等、いろいろな法的
安全措置を計らい、親と子供の安全が法的に守られるよう命令します。
2 点目の、子の養育に関して重要な物事を決定する権利については、原則的に、
双方の親が共同で決定する権利を持っています。例えば、どこの学校へ通わせる
か、どの宗教を信仰するか等を決めたり、また、病気にかかったり、怪我を負っ
た際には、医療手段を決める決定権ですが、この点については、離婚成立後も、
双方の親が、お互いに情報交換をしあいながら、決定する必要があります。
*W. Va. Code§ 48-9-101, 48-9-102
裁判官は、どのようにどちらの親に親権を与えるのか裁断を下すのですか?
裁判官は、子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) を基準にして親権
の取り決めを吟味します。
子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) とはどのようなことですか?


今まで、主たる養育者として養育してきた親と住み続けること。
子供の養育にふさわしい養育者であること(下記の点等が考慮されます)。
*安定した生活様式と家庭を提供できる。
*適切な判断力を持っている。
*安定した仕事に就いている。
*薬物乱用がない。
*アルコール乱用がない。
*身体的・精神的に健全である。

子供の生活に関心を持っている。
9
面会交流 Visitation とは何ですか?
なぜ、離婚した後も子供を相手親に会わせないといけないのですか?
アメリカで認識されている、子供にとっての最良の環境(Best Interest of the Child)
という法的概念の中には、両親が離婚後も子供の養育・監護に関わる、という考
え方も含まれます。そのため、片方の親に単独親権が命じられた場合、非親権者
も、子供と定期的に会い、子供の人生に関わっていけるよう、面会交流権
(Visitation)が与えられます。
親権は必ず裁判所で取り決めなければいけないのですか?
すでに両親間で話し合い、面会日時などの取り決めがあり、特に問題なく面会も
実行している、という理由から、裁判所での親権申請をされない方もいらっしゃ
います。また、裁判所へ行き、親権などの法的措置を求めると、相手側を怒らせ
てしまう、申請者や子供に危害が及ぶという可能性がある場合、無理に裁判所で
の親権取り決めを申し立てる必要はないかもしれません。このような状況にいら
っしゃる方は、まず、最寄の無料弁護士相談機関や、専門の弁護士にご相談下さ
い。裁判所で親権が取り決められるまでは、子供の両親(結婚している夫婦、ま
たは未婚)が、親権の権利を同等に有しています。両親が同等に有する親権を片
親だけが保有するには、裁判所にて親権命令を取得する必要があります。
夫に子供を預ける際、顔を合わせるのが怖く、2人きりで会うと、子供の前で口
論にならないか心配です。何か方法はありますか?
ウエストバージニア州では、限られた地域になりますが、面会交流モニター・セ
ンター Monitored Visitation Centers と呼ばれる機関からのサービスを受けられま
す。このセンターを通して子供の引き渡しを行うことで、両親は顔を合わせずに
すみ、2人きりで子供の引渡しを行うことによる、子供の前での口論、または、
DV 行為の発生などが防げます。また、過去に DV やストーキングがあった夫婦間
では、被害者が相手に後をつけられる、という心配も軽減するでしょう。裁判官
が、親権判決の中で、面会モニター・センターの利用を義務付けることもありま
すが、このセンターのサービスを利用するには、裁判所の命令書は必要なく、誰
でも利用することができます。センターの連絡先は、下記の通りです。
Certified Monitored Parenting Exchange Programs in West Virginia
Beckley
Women’s Resource Center Family Visitation Center
(304)255-2559
Charleston
Resolve Family Abuse Program Monitored Visitation and Exchange Program
(304)340-3554
10
Fayetteville
Women’s Resource Center Family Visitation Center
(304)255-2559
Harrisville
Family Crisis Intervention Center Kids First Program
(304)428-1467
Lewisburg
Family Refuge Center-The Family Visitation Center
(304)645-6334
Martinsburg
Shenandoah Women’s Center Monitored Visitation Center of the Eastern Panhandle
(304)263-8292
Moundsville
YWCA of Wheeling – Family Violence Prevention Program Visitation Center
(304)232-2748
New Martinsville
YWCA of Wheeling– Family Violence Prevention Program Visitation Center
(304)232-2748
Parkersburg
Family Crisis Intervention Center Kids First Program
(304)428-1467
Princeton
The Children’s Home Society of West Virginia– Princeton Family Visitation Center
(304)425-8428
Spencer
Family Crisis Intervention Center Kids First Program
(304)428-1467
Wheeling
YWCA of Wheeling– Family Violence Prevention Program Visitation Center
(304)232-2748
Union
Family Refuge Center-The Family Visitation Center
(304)645-6334
http://www.lawv.net/node/1211
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親権の申請をするための居住条件は?
親権の申請時の前までに、子供がウエストバージニア州に継続して 6 ヶ月住んで
いることが居住条件です。
配偶者が、子供を連れてウエストバージニア州、あるいは、アメリカを出て行く
と言っており、心配です。なにか対処方法はありますか?
配偶者の同意なしに、夫婦のどちらかが子供を連れて、ウエストバージニア州ま
たはアメリカを出て行く可能性がある場合、裁判官に緊急親権命令 (Emergency
Custody Order) の発行を求めることができます。この際、子供を州外に連れ出
さないという項目を付け加えて貰ったり、一時的に、面会交流監督プログラムを
通してのみの子供との面会を相手に求めることができます。
子供がすでにパスポートを所持している場合、親権の係争期間中、子供のパスポ
ートを裁判所で保管してもらうように求めることも可能です。
子供のパスポートがまだ発行されていない場合で、配偶者がパスポートを取得し、
国外へ子供を連れ去ってしまう可能性がある場合、米国国務省の子供のパスポー
ト発行通知プログラム “The Children's Passport Issuance Alert Program
(CPIAP)” の利用が可能です。
アメリカ市民権を有する 18 歳未満の子供を CPIAP に登録するためには、指定登
録書を記入する必要があります。登録後、相手親が子供のパスポートを取得する
ための書類を提出した際、CPIAP が通知してくれます。登録書は下記のウェブサ
イト(英文)をご覧下さい。
http://travel.state.gov/abduction/prevention/passportissuance/passportissuanc
e_554.html
詳細は、下記の連絡先にご連絡下さい。
☎ U.S. Department of State
Passport Services, Charleston Passport Center
Attn: Children's Passport Issuance Alert
Program
1269 Holland Street, Building D
Charleston, SC 29405
E-mail: [email protected]
Phone: 843-202-3863
Fax: 843-746-1827
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IV. 養育費
養育費とは?
原則的に、養育費の金額は、子供の人数により金額が変化します。ウエストバー
ジニア州では、州の養育費の計算ガイドラインに沿って、金額が計算されます。
しかし、子供の生活水準が、両親の離婚により低下してしまう場合(例:父親が
高収入で、子供は低収入の母親と生活をしている場合等)は、子供に離婚前まで
の生活水準を提供するため、裁判官が、父親に対し、養育費の上乗せを命じるこ
ともあります。また、子供に持病があり、特別な医療経費がかかる場合や、子供
の人数が 6 人以上の場合など、特別な状況の場合にも、養育費の上乗せを命じる
可能性があります。
*W. Va. Code§ 48-5-603, 48-13-201, 48-13-702
http://www.wvdhhr.org/bcse/service_app.cfm
http://www.divorcesupport.com/divorce/West-Virginia-Divorce-Laws-788.html
<おことわり>
ここに記載されている各法的措置の資料内容は、下記のウェブサイトに記載されている法
律情報の概要をまとめ、日本語に翻訳されたものであり、法律のアドバイスではありませ
ん。また、将来、法の改正により、法的オプションやシステムが変化する可能性も予想さ
れますので、それぞれのケースは専門の弁護士にご相談下さい。
参考ウェブサイト:
http://www.womenslaw.org
http://www.divorcesupport.com/
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