QGIS によるジオリファレンス(幾何補正について) 紙地図を GIS に取り込もう 文責:株式会社 調査部 緑生研究所 後藤和郎 1.幾何補正とは? 「幾何補正」とは、電子化されているが、位置情報を持たないデータに対して、位置情報を与える こと。 ・主にラスター形式のデータに対して行われる(ベクターデータでも可) 例:スキャナーで読み込んだ紙地図とか、航空写真など 2.幾何補正の「2 通り」の方法 ①位置情報が与えられている GIS データを参照する(GIS データに重ね合わせる) ②画像上に記載されている地理的位置情報を利用する(地理的位置情報を入力する) 3.幾何補正を行う「①GIS データに重ね合わせる手法」 3-1.QGIS の設定の確認 QGIS を起動し、 「設定」→「オプション」→「CRS」 の「既定の空間参照システム」の部分から「CRS を 確認する」にチェックが入っていることを確認しま す。 3-2.基盤地図情報の表示 「レイヤー」→「WMS レイヤの追加」で、 「サー バからレイヤを追加」する 今回は、 「基盤地図情報 25000WMS」を追加しま す。(既に追加してある場合には、接続の作成終了 まで飛ばして先に進んでください。 ) 「新規」をクリックし、 「新規 WMS 接続を作成」 します。 「新規 WMS 接続を作成」する場合には、 「名称」 に任意の WMS サーバ名、 「URL」に WMS サーバの アドレスを入力します。今回は、 「名称」に「基盤地図 情 報 25000WMS 」 、 ア ド レ ス に 「http://www.finds.jp/ws/kiban25000wms.cgi?」を入 力します。通常、 「ユーザ名」と「パスワード」の入力 は必要ありません。 接続の作成が終了したら、「サーバからレイヤを追 加」に戻って、「サーバ」タブから「基盤地図情報 25000WMS」を選択し、「接続」。レイヤが表示され るので、選択し、「追加」する。今回は全てのレイヤ を選択します。 他の WMS サーバを利用する際には、表示させるレ イヤを選択する必要があります。 今回は神奈川県藤沢市周辺の 1 / 25000 の彩色地図 を幾何補正しようと思いますので、 空間参照を WGS84 から JGD2000 / UTM zone 54N に変更しま す。そこで、「空間参照システム」の「変更」ボタン をクリックします。 「座標参照系選択」ウインドウが表示されるので、 「EPSG ID」に「3100」を入力し、 「Find」ボタンを クリック。すると、空間参照が、JGD2000 / UTM zone 54N に 設 定 さ れ ま し た 。「 +proj=utm +zone=54 +ellps=GRS80 +towgs84=0,0,0,0,0,0,0 +units=m +no_defs」と表示が変更されたことを確認して、 「OK」 ボタンをクリック。 「サーバからレイヤを追加」ウインドウに戻って、 「空 間参照システム」が「JGD2000 / UTM zone 54N」 に変更されているのを確認し、レイヤを全て選択し、 「追加」ボタンをクリック。 追加が完了すれば、日本地図が表示されます。この 時点で、画面右下の「CRS ステータス」をクリック して、 「プロジェクトのステータス」を表示。 「’オンザフライ’CRS 変換を有効にする」にチェック をいれて、OK ボタンをクリック。この設定により、 これ以降に追加されるベクタレイヤは全て定義され た CRS(座標系)にオンザフライで自動的に投影変 換され、表示されます。 3-3.GCP の入力 「GCP」とは Ground Control Point の略で、画像上の位置と地理的な位置を対応させる点のこと。こ の点に基づき、変換計算を行います。最低 4 点必要ですが、たくさんの点を入力したからといって精 度が上がるわけではないので、注意が必要です。今回は 6 点入力します。 3-4.ジオリファレンスを行う 「 プ ラ グ イ ン 」 → 「 Georeferencer 」 か ら 「Georeferencer」を起動し、「参照点」ウインドウ を開きます。 「ラスタファイル」の参照ボタンをクリ ックし、取り込みたいラスタファイルを選択します。 今回は㈶日本地図センターの「彩色地形図 25000」 アドレス「http://net.jmc.or.jp/saishiki/index.asp」 から「藤沢」の地図画像を入手して、ジオリファレ ンスを行います。 レイヤの空間参照を求められるので、 「EPSG ID」 に「3100」を入力し、「JGD2000 / UTM zone 54N」 を選択。別の座標系を選択する場合には、任意に選 択してください。 ちなみに座標系を検索する場合には、 「EPSG ID」 をチェックし、 任意の EPSG コードを入力し、 「Find」 ボタンをクリック。 表3-4-1に頻繁に利用すると思われる「EPSG ID」を表に示しておきます。 表3-4-1.主な測地系と投影座標系 測地成果 測地系 日本測地系 TOKYO 旧成果 測地成果 世界測地系 JGD2000(ITRF 系) 楕円体 ベッセル楕円体 GRS80 楕円体 2000 WGS84 系 WGS84 楕円体 では、ついに「GCP」を入力していきます。 「参照点」ウイ ンドウの「+虫眼鏡」ボタンをクリックし、地図の左上部分 を拡大します。 同様に「QGIS」のウインドウ画面でも読み込んだ「基盤地 図情報 25000WMS」から同様の部分を「+虫眼鏡」で拡大し ます。 投影座標系 EPSG コード 緯度経度 4301 UTM 座標系 102151~102156 平面直角座標系 30161~30179 緯度経度 4612 UTM 座標系 3097~3101 平面直角座標系 2443~2461 緯度経度 4326 UTM 座標系 32651~32656 同じ範囲を表示出来たら、「参照点」ウインドウの「ポイント追 加」をクリックし、「参照点」ウインドウの地図上でクリック。 「地図座標を入力」ウインドウがたちあがるので、 「地図キャンバスから」ボタンをクリックして、 QGIS のウインドウに移動します。 QGIS 上の対応する地点をクリックすると、自動的 に X 座標・Y 座標に数値が入るので、 「OK」をク リック。 すると、 「参照点」ウインドウ内に「GCP」が作成され た状況が表示されます。 では、次の GCP を入力しましょう。 「参照点」ウイ ンドウ内の「レイヤ領域にズーム」をクリックし、地 図全体を表示します。 今度は、地図の右下部分を拡大するため「+虫眼鏡」 ボタンをクリックし、同様に点を入力。これを順番に (左上→右下→左下→右上→中央左→中央右)繰り返 す。 6 点の入力がすんだら、 変換タイプを 「Polynomial 2」 に、 「変更されたラスタ」と「ワールドファイル」に任 意の名前を設定し、 「作成」ボタンをクリックする。 画像の上書きに関する「警告」が表示されるが、「OK」 をクリック。 「ワープ設定」が表示されるので、 「リサンプリング方 法」と「圧縮」について設定する。 GCP について詳しく理解している場合には、 「リサンプ リング方法」は「衛星画像」は「最近傍」、 「スキャン画 像」は「キュービック」を利用するなど変更する。 GCP について不明な場合には、 「リサンプリング方法」 は「最近傍」 、「圧縮」については「NONE」のままで「OK」 。 今回は、 「キュービック」と「NONE」を設定し、「OK」をクリック。 これで位置情報を持った地図画像が出来上がったので、 「参照点」ウインドウを閉じて、QGIS に地図 画像を取り込む。 「レイヤ」→「ラスタレイヤの追加」をクリック。 「GDAL のサポートするラスター データソースを開く」ウインドウがたちあがるので、ジオリファレンスした画像を選択して開く。レ イヤの空間参照を求められるので、 「EPSG ID」に「3100」を入力し、「JGD2000 / UTM zone 54N」 を選択して、 「OK」 。 レイヤに画像が追加されるので、画像のプロパティから「全体の透過率」を変更して、重なり状況を 確認。多少はずれていると思うので、図面によって、「参照点」の「変換タイプ」の変更や「GCP の 数を増やす」など試行錯誤してください。 4-4.ArcGIS との互換性 ArcGIS との互換性に関しては、問題ないレベルであると考えています。ArcMap での作業では、 各 GCP の誤差が分かるため、作業がしやすいかな。と思う程度です。 以上 ********************************** (株)緑生研究所 後藤 和郎 E-mail:[email protected] **********************************
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