国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 4.1 教育に関わる法令 憲法 33 条、34 条で「芸術、科学は自由であり、その教育は自由に行われる」「学 校は万人に開かれる」として、自由な学校教育、金銭的に不自由であっても能力さ えあれば高等教育を受ける権利を有するとして、奨学金制度制定を保障する。 個人の家庭教師、教会が行ってきた師弟教育体制に、18 世紀から公共教育の考えが 導入された。1812 年には無料での初等教育が義務付けられ、サボイア王朝下、 1848 年には公共教育省が設けられる。また、1859 年には体系的な教育法が制定さ れ、教会から国家へと教育義務が引き継がれた。しかし、事実上教育の経済的負担 はコムーネ (市)が被っていた。1877 年には義務教育年齢が 9 歳と設定され、1911 年には文盲率 25%以下を目標とする法律ができて、同率は 1871 年の 68.8%から 1921 年には 27.3%へと減少する。19 世紀終わりにおいて大学は国立 15 校、私立 4 校あった。学生数は 1901 年時点で、26,600 人と 1871 年の 12,450 人からおよそ倍 増した。しかし、北部、中部、南部、島部の格差は激しく、また、工業の発展によ り、児童の工場生産従事などにより、学校離れが進んだ。ファシズム政権下の 1923 年、当時の教育大臣、ジョバンニ・ジェンティーレの改革により現在の教育法の主 幹となる法律が誕生し、複数の教育サイクル、学習への国家試験などが規定された。 近年では、地方分権に伴い教育権限の地方自治体移行、労働社会との直結化、他の ヨーロッパ諸国制度への適合などを目的として、いくつかの教育制度改革が提示さ れたが、基本的制度への変更はなかった。現教育大臣レティツィア・モラッティ改 革 (2003 年委任法 53 号)は、1920 年代から続く制度への大きな変更をもたらすもの として注目される。 *出典:Bibliolab Website, http://www.bibliolab.it/ モラッティ改革では、学校教育に関する権限地方移行、教育サイクルの見直し、初 等教育 1 年目からの外国語 (特に英語)、コンピュータ教育導入、労働社会に直結し た学校教育、教育の自由化などを柱としている。 参考 ・ Ministero dell’ Istruzione (教育/大学/研究省)Website, http://www.istruzione.it/ ・ Parlamento Italiano Website, http://www.parlamento.it/ ・ Conferenza dei Rettori delle Universita Italiane Website, http://www.crui.it/ 4.2 学校教育制度 モラッティ改革で、教育義務は 12 年間で満 18 歳まで継続するが、15 歳以上は就労 をしながら見習いの形で職業教育を受ける可能性 (Scuola-Lavoro)も見込まれる。 学校制度としては国立学校と非国立学校 (私立、地方団体設立)とに分かれる。非国 立学校は国立学校との対等性が認可された場合 (Scuole Paritarie)、国庫より援助金 を得る。 1 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 学年 年齢 26 20 25 19 24 18 23 17 22 16 21 15 20 14 19 13 18 12 17 11 16 10 15 9 14 8 13 7 12 6 11 5 10 4 9 3 8 2 7 1 6 大学院 芸術アカデミー 高 等 教 大 学 普通高校 (文科高校・ 理科高校) 育 社会・教 員養成系 技術高校 高校 中 芸術 美術 職業学校 高校 学校 等 特 殊 教 育 中学校 学 校 初 等 小学校 教 育 就 学 前 教 育 5 幼児学校 4 3 ( 部分は義務教育) *出典:文部省編、「諸外国の初等中等教育」、114 ページの表を一部修正、2002 年 3 月。 図 4‑1 学校教育制度 サイクルは大きく 4 段階に分かれる。 ・ Scuola dell’ Infanzia (幼児教育学校) 3 年間 ・ Primo Ciclo (第 1 サイクル) (1) Scuola Primaria (初等学校) 5 年間 (2) Scuola Secondario di Primo Grado (第 1 等級の中等学校) 3 年間 ・ Secondo Ciclo (第 2 サイクル) 2 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 (1) Liceo (高等学校) 5 年間 (a) Classico (文科系高等学校) (b) Scientifico (科学系高等学校) (c) Artistico (芸術高等学校) (d) Economico (経済高等学校) (e) Linguistico (語学高等学校) (f) Musicale e Coreutico (音楽/舞踏高等学校) (g) Tecnologico (技術高等学校) (h) Scienze Umane (人文科学高等学校) (2) Istruzione Professionale (職業教育専門学校) (a) 15 歳までの基礎学習を修了後、学校教育と職場での修行とを交互に行 うことができる。 (b) 4 年のコースを修了後、1 年間の準備期間を経て大学入学資格を得るた めの国家試験を受けることができる。 (c) 国家試験を受けない場合には、そのまま高等教育の高度職業訓練を受 講できる。 ・ Istruzione e Formazione Superiore (高等教育) (1) 大学 (a) 2000 年 8 月 4 日、11 月 28 日付け省令により大学は、3+2 年制度に改 正された。 (b) 大学教育課程 1 段階目である 3 年間の講座修了による大学卒業資格は、 就職の手掛かりになると同時に後続 2 年間の専門課程受講につながる。 (c) 同課程 2 段階目である 2 年間の講座受講により、専門課程は修了する。 (d) 医学部は 6 年間継続する。 (e) その後、修士課程が設定される。 (2) 高度職業訓練 12 年間の義務教育は満 6 歳の年の 9 月から始まるが、入学年の 4 月 30 日以内に 6 歳になる児童も登録できる。 参考 Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 4.3 学校外教育制度 成人教育は以下の規定、合意に基づき保障される。 ・ 2001 年 2 月 6 日付け労働/社会政策省指針 22 号 (2002 年 3 月 2 日付け国家/ 州/地方団体統一会議 (Conferenza Unificata)合意の実施に関する方針) ・ 2000 年 6 月 28 日付け労働/社会政策省指針 175 号 (1997 年 12 月 18 日付け法 律 440 号 2 条に規定する、予算配分に対する優先的作業および一般基準特定、 同作業モニタリング、支援、評価への指示) ・ 成人の生涯教育再整備、強化に関する 2000 年 3 月 2 日付け国家、州、県、市お よび山岳共同体間合意 ・ 開発、雇用に関する 1998 年 12 月 22 日付け社会的合意 3 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 ・ 1998 年 5 月 29 日付け労働/社会政策省指針 252 号 (1997 年 12 月 18 日付け法 律 440 号で規定する基金の 1998 年度活用) ・ 1997 年 12 月 18 日付け法律 440 号 (教育活動向上、拡張およびその平準化に向 けた基金の制定) ・ 1997 年 7 月 29 日付け労働省省令 445 号 (成人教育) ・ 1997 年 7 月付けハンブルグ成人教育宣言 1997 年省令 445 号に従い、EDA (成人教育)計画実施は全国に所在する CTP (地域 センター)が行う。CTP は州と地方団体、地域の教育施設との合意に基づいて設置 場所、管理者が決定される。企画される講座は大きく以下のように分けられる。 ・ 小学校教育課程修了講座 ・ 中学校教育課程修了講座 ・ 各種基礎教育講座 ・ 特殊教育講座 ・ 特殊教育パイロットプロジェクト ・ 外国人のための語学講座 CTP が組織する講座への参加は無料だが、主に義務教育修了を目指す人が優先され る。2000〜01 年における教育省調査で以下の状況が報告された。 ・ 教師は約 4,000 人 (うち 28.46%が小学校、71.54%が中学校教員) ・ 開催された講座は 17,068 ・ 講座参加者総数は約 40 万人でうち 70%が短期基礎教育を受講 ・ 短期受講者の 64.22%は 25〜40 歳の女性、54.97%が就労者、60.73%が高校卒 業資格もしくは大学卒業資格所持者 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 4.4 教育機関の組織 学校教育に関する権限は、国家に属するものと地方行政に属するものとに分けられ る。 ・ 国家権限 (1) 教育期間の終始決定 (2) 学校制度の規定 (3) 職業教育の評価 (4) 一般教育、職業教育修了資格 (5) 基礎的教育計画 (6) 国家試験 (7) 教員資格の考査、教育 (8) 専門職業への資格基準、一般教育と職業教育コース間での行き来を認める基 準 ・ 地方行政権限 (州、県、コムーネの単位) (1) 職業教育制度の規定 (2) 学校設備の整備 (3) 教育支援 4 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 (4) 教育計画の一部 (5) 職業教育制度施行、管理 (6) そのほか国が関与しない部分での法制定 (7) 教育指導計画調整、学校網整備、地域内教員配属、私立学校への援助など ・ 各学校 学校の自主独立性保障に関する法律 (1999 年 3 月 8 日付け大統領令 275 号)によ り、教育方針、カリキュラム、規定範囲内での授業時間 (時間割、年間総授業時 間など)を独自に決定する。 各州には Ufficio Scolastico Regionale (州教育局)が設置され、そこに Centri Servizi Amministrativi (各県地域教育センター)が置かれる。Centri Servizi Amministrativi の役割は以下のとおりである。 (1) 自主独立性を有する学校制度への支援活動計画 (2) 統合的教育指導を実施するための州、地方団体との関係構築 (3) 州単位での財源、人材配分調整 (4) 管轄地域内での資源モニタリング、評価 ・ 政治組織の 3 レベルにおいて、教育諮問会議が設置される (1) Consiglio Nazionale dell’Istruzione e della Formazione (全国教育諮問会議) 諮問会議は 55 人から構成され、うち 45 人は全国の学校 (公私立)代表、10 人は教育省大臣の任命による。 教育問題での国家諮問機関として、国家権限である機能および、各法案に対 する意見を述べる。 (2) Consigli Scolastici Regionali (州学校評議会) 各州教育局に設置され、州内の学校、地方学校評議会、生徒、地方団体代表 から構成される。 (3) Consigli Scolastici Locali (地方学校評議会) 学校管理職、教師、職員 (教師以外)、生徒、両親、地方団体の代表から構成 され、校舎などの学校施設建築、教育指導計画、生涯教育、職業教育、身障 者の入学にかかわる問題および、文化/スポーツ活動など地域に密接した問 題に関する意見を表明する。 教育効果の評価機関として INVASI (Istituto Nazionale per la Valutazione del Sistema di Istruzione:全国教育制度評価機関)が設立され、第 1、2 サイクル修了 時、全国統一試験を実施する。 5 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 表 4‑1 国立学校制度 (2003/04 年) (単位:校) 地域別 教育 サークル*1 複合学校*2 北西部 542 750 295 460 183 2,230 北東部 315 536 183 332 146 1,512 中部 472 593 253 467 183 1,968 南部 948 880 656 731 253 3,468 島部 390 582 188 310 140 1,610 2,667 3,341 1,575 2,300 905 10,788 合 計 中等学校 高等教育 機関 高等学校 *1 :幼児教育学校と初等教育学校の複合組織。 *2 :幼児教育学校、初等教育学校、中等教育学校の複合組織。 合 計 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 表 4‑2 地域別 幼児学校 国立学校数 (2003/04 年) (単位:校) 初等学校 中等学校 高等学校 合 計 北西部 2,557 4,081 1,651 975 9,264 北東部 1,502 2,816 1,107 749 6,174 中部 2,743 2,912 1,189 982 7,826 南部 4,649 4,306 2,069 1,503 12,527 島部 2,120 2,068 1,007 718 5,913 13,571 16,183 7,023 4,927 41,704 合 計 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 表 4‑3 地域別 幼児学校 非国立学校数 (2001/02 年) (単位:校) 初等学校 中等学校 高等学校 合 計 北西部 2,734 398 269 484 3,885 北東部 2,196 190 121 218 2,725 中部 1,545 391 151 287 2,374 南部 2,500 484 80 339 3,403 島部 1,354 218 60 311 1,943 10,329 1,681 681 1,639 14,330 合 計 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 6 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 表 4‑4 地域別 北西部 北東部 中部 南部 島部 合 計 1 幼児学校 2 40.78 56.69 53.91 37.56 37.88 44.97 30.29 21.40 12.43 49.72 32.50 30.72 非国立学校内訳 (2001/02 年) (単位:%) 3 1 28.93 21.91 33.66 12.72 29.62 24.34 初等学校 2 77.64 74.21 86.96 54.96 61.01 70.73 20.60 25.79 12.53 44.01 36.24 28.08 中等学校 1 2 3 1.76 0.00 0.51 1.03 2.75 1.19 77.70 80.17 91.39 85.00 73.33 81.64 1 22.30 19.83 8.61 15.00 26.67 18.36 高等学校 2 43.80 54.13 44.25 32.74 21.22 38.68 52.69 39.45 54.36 66.08 72.03 57.66 3 3.51 6.42 1.39 1.18 6.75 3.66 1:宗教関係私立学校 2:一般私立学校 3:州、地方自治体設立公立学校 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 参考 CINECA (Consorzio Interuniversitario) Website, http://sito.cineca.it/ 4.5 教育関係予算 表 4‑5 教育関係国家予算 2002 年 2003 年 2004 年 教育省 (千ユーロ) 35,297,172 35,721,730 44,141,218 省全体 (千ユーロ) 71,767,817 72,819,228 297,785,470 49.18 49.06 14.82 407,408,351 390,220,801 349,260,357 8.66 9.15 12.64 年度 割合 (%) 予算総額 (千ユーロ) 割合 (%) *出典: Ragioneria Generale Dello Stato Website, http://www.rgs.mef.gov.it/ 7 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 4.6 奨学制度 表 4‑6 国立学校登録費用控除条件 (2004/05 年度) 家族構成人数 (人) 収入申告基本額 (ユーロ) 2002 年度 2003 年度 1 4,400 4,475 2 7,301 7,425 3 9,386 9,546 4 11,210 11,401 5 13,033 13,255 6 14,772 15,023 7〜 16,508 16,789 備考:2004 年 1 月 17 日付け教育省通達 5 号。 2003 年 9 月 3 日付け教育省、経済/財政省省令により、対等化された私立学校に子 供を入学させる場合、学費の一部が国庫より援助される。この援助総額は 2003〜05 年まで毎年 3,000 万ユーロで、申請者の間で配分される。配分に際し、所得制限は 設定されていない。 参考 ・ Consiglio Nazionale delle Ricerche Website, http://www.cnr.it/ ・ Ministry of Forieign Affairs Website, http://www.esteri.it/ ・ L’ Informagiovani Website, http://www.informagiovani.it/ ・ Fulbright Website, http://www.fulbright.it/ ・ Ancitel Website, http://www.ancitel.it/ ・ CINECA Website, http://sito.cineca.it/ 4.7 実施状況 4.7.1 就学率 表 4‑7 幼児学校 生徒数 (人) 学級数 (学級) 就学者数 (2003/04 年) 初等学校 中等学校 高等学校 合 計 963,912 2,511,372 1,706,015 2,506,373 7,687,672 41,348 137,151 80,627 113,313 372,439 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 8 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 初等学校における退学率* (単位:%) 表 4‑8 年度 91/92 92/93 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 98/99 99/00 00/01 01/02 北部 0.06 0.06 0.03 0.04 0.02 0.04 0.04 0.04 0.03 0.05 0.07 中部 0.11 0.06 0.06 0.04 0.04 0.05 0.07 0.09 0.11 0.10 0.15 南部 0.20 0.17 0.19 0.14 0.14 0.12 0.08 0.05 0.07 0.08 0.06 島部 0.30 0.23 0.17 0.10 0.06 0.08 0.09 0.08 0.09 0.09 0.09 全体 0.15 0.11 0.10 0.08 0.06 0.07 0.07 0.06 0.07 0.07 0.08 * :入学登録はしたが、通学しない生徒の割合。 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 中等学校における退学率* (単位:%) 表 4‑9 年度 91/92 92/93 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 98/99 99/00 00/01 01/02 北部 0.28 0.20 0.21 0.13 0.17 0.16 0.11 0.11 0.08 0.09 0.11 中部 0.38 0.35 0.32 0.21 0.21 0.22 0.24 0.16 0.19 0.13 0.17 南部 2.09 1.70 1.18 1.24 1.06 0.96 0.74 0.79 0.62 0.55 0.59 島部 3.13 2.56 2.19 2.00 2.28 1.69 0.97 0.91 0.81 0.67 0.57 全体 1.30 1.07 0.82 0.75 0.75 0.62 0.48 0.48 0.39 0.31 0.33 * :入学登録はしたが、通学しない生徒の割合。 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 表 4‑10 学年 1 年目 高等学校における退学率* (単位:%) 2 年目 3 年目 4 年目 全体 年度 00/01 01/02 00/01 01/02 00/01 01/02 00/01 01/02 00/01 01/02 北部 5.15 5.29 3.84 4.43 2.63 3.21 4.05 3.85 4.09 4.35 中部 5.00 4.25 3.36 3.07 2.64 3.00 3.06 3.08 3.66 3.42 南部 8.55 7.45 3.41 3.55 3.05 3.25 3.31 3.16 4.97 4.64 島部 9.60 10.21 4.90 6.56 4.45 5.29 5.00 4.95 6.38 7.14 全体 6.66 3.75 4.17 2.99 3.44 3.74 3.63 4.54 4.62 6.40 * :入学登録はしたが、通学しない生徒の割合。 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 4.7.2 カリキュラム 幼児、初等、中等学校に対しては国で Indicazioni Nazionali per i Piani di Studio Personalizzati (基本教育要綱)が定められる。同要綱に従い、各学校は Piano di Offerta Formativa (独自教育計画)および、個人 (各生徒、またはグー プ)に適した Piani di Studio Personalizzati (教育カリキュラム)を作成する。た だし、INVASI による全国試験が実施されるため、その内容に適切な授業計画と なり、ある程度の全国的な統制は可能である。高等学校に関しては、同様の制 度導入が予定されているが、現状はモラッティ改革前同様、教育省がすべての カリキュラムを決定する。 9 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 −初等教育 ・幼児学校 子供が周囲の環境との関係を持ちつつ、自主的に行動できることを目的と する。 幼児学校卒業時、各児童の進展状況を記す「ポートフォリオ」が作成され る。 表 4‑11 年間 (35 週)授業時間数 (単位:時間) 最小時間数 1 年当たり 最大時間数 875 1,680 25 48 1 週間当たり *出典:Ministero dell’ Istruzione, 省令 29 号 3 条, March 5, 2004. Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ ・初等教育学校 表 4‑12 年間 (33 週)基本的時間数 (単位:時間) 授業時間* 義 任 意 (最大時間) 務 1 年当たり 1 週間当たり 延長時間 (昼食および 午後) 合 計 891 99 330 1,320 27 3 10 40 *:昼食時間 (不規則)を付加することも可能である。 *出典:Ministero dell’ Istruzione, 省令 29 号 3 条, March 5, 2004. Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 表 4‑13 最低義務授業時間 (単位:時間/週) 教育科目 時間数 イタリア語 4 外国語 3 数学 3 科学 2 歴史/地理/社会 3 芸術 2 音楽 2 体育 2 キリスト教 2 備考:3、5 年目に学校内評価試験が実施される。 *出典:Ministero dell’ Istruzione, 省令 29 号 3 条, March 5, 2004. Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 10 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 ・中等教育学校 基本的に最低義務授業時間は週 27 時間、任意は週 6 時間、最長時間数は週 33 時間+昼食時間である。 表 4‑14 教育科目 年間授業時間数 (単位:時間/年) 最低 平 均 最大 203 イタリア語 307 歴史 60 313 319 245 251 120 126 50 地理 数学 127 239 IT 英語 118*1 54 114 第 2 外国語*2 66 芸術 54 60 66 音楽 54 60 66 体育 54 60 66 宗教 33 33 33 855 891 927 合 計 *1 :うち 33 時間は技術である。 *2 :ヨーロッパ言語である。 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 2 年目に学内評価試験、3 年目修了時に全国試験が実施される。また、3 年 目は学習と同時に、各児童の進路指導が行われ、高等学校への進学または、 職業訓練を選択する。 ・高等教育学校 カリキュラムの時間配分で 85%は担当省が決定し、残り 15%は各学校の独 自性に任される。また、教育修了時に実施される全国統一試験に従い、カ リキュラムの内容作成は各学校が独自に行う。以上はモラッティ改革で規 定されているが、いまだ実現されていないため、現状ではジェンティーレ 改革に従い、教育省がカリキュラムを全面的に決定する。 11 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 表 4‑15 人文系高等学校における授業時間数の一例 (単位:時間/週) 教育科目 1〜2 年 3年 4年 5年 宗教 1 1 イタリア語 5 4 ラテン語 5 4 ギリシャ語 4 3 外国語 3 3 歴史 2 3 哲学 - 3 地理 2 - 数学 2 3 2 2 物理 - - 2 3 自然科学 - 4 3 2 芸術史 - 1 1 2 体育 2 2 *出典:Liceo Classico Website, http://www.liceo-classico.arezzo.it/ 表 4‑16 科学系高等学校における授業時間数の一例 (単位:時間/週) 教育科目 2年 1年 3年 4年 5年 イタリア語 4 4 4 3 4 ラテン語 4 5 4 4 3 英語 3 4 3 3 4 歴史 3 2 2 2 3 地理 2 - - - - 哲学 - - 2 3 3 科学 - 2 3 3 2 数学 5 4 3 3 3 物理 - - 2 3 3 製図 2 2 2 2 2 体育 2 2 2 2 2 宗教 1 1 1 1 1 *出典:Liceo Scientifico Statale Website, http://www.liceo-newton.com/ 参考 Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 12 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 ・大学 各科目に取得可能なクレジット数が付けられ、出席日数および試験点数を 加味して同クレジットが取得できる。 表 4‑17 教育課程 1 段階目 (3 年間)における必要クレジット数 教育科目 クレジット数 基礎 20 専門 108 関連 24 随意 28 合 表 4‑18 180 計 専門課程 (2 年間)における必要クレジット数 教育科目 クレジット数 基礎 18 専門 54 関連 18 随意 9 卒業試験 9 10 外国語・コンピュータ知識/実習 合 4.7.3 表 4‑19 118 計 専攻分野別卒業生数 大学教育課程 1 段階目 (3 年間)卒業者数 (2004 年 1 月 31 日現在) (単位:人) 学 部 卒業者数 名 合 計 うち女性 バイオテクノロジー 636 434 法学 239 117 実用言語学 504 443 1,577 751 355 261 2,091 1,910 都市、地域、環境計画 161 54 土木、環境工学 992 282 コンピュータ工学 4,573 687 工業工学 3,450 586 近代言語、文化 500 420 生物学 642 471 建築、建設工学 文学 社会サービス学 13 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 学 部 卒業者数 名 合 計 うち女性 637 505 1,558 1,113 政治科学、国際関係 488 243 地質学 134 52 経済、企業管理科学 4,422 1,674 教育学 1,147 990 経営学 306 171 農業、食品、森林科学 855 342 化学 334 116 芸術、音楽、演劇、ファッション 425 305 薬品科学 378 243 物理学 447 127 1,532 275 403 236 1,090 594 209 109 地理学 20 3 法科学 260 145 数学 221 131 運動科学 965 454 1,264 1,098 28 21 社会科学 373 228 統計学 666 337 歴史学 214 133 観光科学 298 190 畜産科学 115 54 18 15 工業デザイン 944 502 防衛、保安学 3,060 10 医療関連、看護学、助産 6,123 4,823 リハビリテーション 4,807 3,491 医療技術 2,957 2,005 335 103 52,753 27,254 文化遺産科学 通信科学 情報科学 環境、自然科学 経済学 哲学 心理学 連帯、開発、平和社会学 文化財保護、修復技術 医療予防技師 合 計 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 14 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 表 4‑20 大学教育専門課程 (上記+2 年間)卒業者数 (2004 年 1 月 31 日現在) (単位:人) 学 部 卒業者数 名 合 計 うち女性 考古学 32 24 建築、建設技術 14 3 図書館学 11 8 バイオロジー 10 7 2 2 22 16 1 1 15 12 古代文学、言語学 1 1 近代言語学 2 2 理論、モラル、政治哲学 3 2 物理学 96 24 情報学 471 114 人文関係情報学 1 1 土木学 5 0 ロボット工学 1 0 46 7 電気工学 3 0 電子工学 18 0 5 1 管理工学 96 21 情報工学 11 0 機械工学 15 1 環境、地域工学 12 5 会議通訳 3 3 欧米近代言語、文学 3 2 言語学 2 2 複合機構評価分析方法 3 0 12 10 教育計画管理 6 6 社会政策、サービス計画/管理 1 1 172 150 3 0 バイオテクノロジー コンピュータ社会における技術、メソ ッド 文学翻訳、技術/科学翻訳 出版業、マルチメディア・コミュニケ ーション、ジャーナリズム テレコミュニケーション工学 エネルギー、原子力工学 音楽、楽器 心理学 化学 15 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 学 部 卒業者数 名 合 計 うち女性 経済学 8 7 成人教育、生涯教育 4 4 社会/制度的コミュニケーション学 2 2 栄養学 9 3 公共行政学 8 3 100 40 農村、森林資源管理 25 7 農業学 21 5 農畜産学 4 3 工業化学 9 6 15 12 企業経済学 2 0 地質学 5 0 教育学 4 4 社会学 4 1 経済/財政/応用統計 1 0 古代史 5 4 近代史 3 2 芸術史 35 29 哲学史 1 1 中世史 2 2 欧州学 1 1 1,842 0 3,208 562 スペクタクル、マルチメディア政策 環境、地域科学 防衛、保安学 合 計 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 表 4‑21 大学教育専門一環課程 (5/6 年間)卒業者数 (2004 年 1 月 31 日現在) (単位:人) 学 部 卒業者数 名 合 計 うち女性 建築、建設工学 504 270 薬学、薬品工学 1,218 898 医学、外科学 3,319 2,002 獣医学 262 172 歯科学 95 29 5,398 3,371 合 計 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 16 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 表 4‑22 旧制度大学教育卒業者数 (2004 年 1 月 31 日現在) (単位:人) 旧 制 卒業者数 度 合 通常大学 期間短縮大学 合 計 計 うち女性 164,057 95,334 7,866 4,016 171,923 99,350 *出典:Ministero dell’ Istruzione Website, http://www.istruzione.it/ 4.8 外国語能力 4.8.1 日本語能力 以下は、日本語学科を設置する大学、教育機関である。 Università di Bergamo Università di Catania Università Cattaneo Castellanza Università di Firenze Università di Milano Università di Milano Bicocca Università di Napoli Orientale Università di Pavia Università di Roma Università di Torino Università di Venezia Istituto Italiano per l’Africa e l’Oriente Istituo Giapponese di Cultura in Roma 4.8.2 英語能力 近年、英語教育の必要性への注目が高まっているが、現状ではそれほど充実し ていない。 【参考文献】 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. Ancitel Website, http://www.ancitel.it/ Bibliolab Website, http://www.bibliolab.it/ CINECA (Consorzio Interuniversitario)Website, http://sito.cineca.it/ Conferenza dei Rettori delle Università Italiane Website, http://www.crui.it/ Consiglio Nazionale delle Ricerche Website, http://www.cnr.it/ Fulbright Website, http://www.fulbright.it/ Liceo Classico Website, http://www.liceo-classico.arezzo.it/ Liceo Scientifico Statale Website, http://www.liceo-newton.com/ L’ Informagiovani Website, http://www.informagiovani.it/ 17 国名:イタリア (調査項目 4:教育事情) 作成年月日:2004 年 11 月 24 日 10. Ministero dell’ Istruzione (教育/大学/研究省)Website, http://www.istruzione.it/ 11. Ministero dell’ Istruzione, 省令 29 号 3 条, March 5, 2004. 12. 13. 14. 15. Ministry of Forieign Affairs Website, http://www.esteri.it/ Parlamento Italiano Website, http://www.parlamento.it/ Ragioneria Generale Dello Stato Website, http://www.rgs.mef.gov.it/ 文部省編、「諸外国の初等中等教育」、114 ページの表を一部修正、2002 年 3 月。 18
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