労働力の国外送出についてのPDFファイル

国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
【スリランカにおける外国雇用関連労働法の起源】
外国で雇用されるためのスリランカ人の移住は、20 世紀の初頭に数人がマレーシアに移住
したことで始まった。1950 年代の後半にはオランダ系入植者の子孫の多くが、雇用及び定
住のためにオーストラリア及びニュージーランドへ移住した。1960 年代になり移民の形態
が変化し、専門的な資格を持つ人々が先進諸国、特に欧米に移住するという頭脳流出を招
く結果となった。
石油輸出による中東経済の拡大に伴って、スリランカを含むアジア地域の国々が、中東諸
国でのインフラ開発事業のために労働者及び熟練技能者を供給し始めた。熟練度の低い者
及び高い者の両方とも、さまざまな業種の労働者が短期契約に基づいてその移動の流れに
加わった。元々はインフラ開発のための需要であったが、サービス及び保守分野の人材、
未熟練労働者の家庭内雇用の需要も加わった。外国人雇用分野のこのような拡大に伴って、
何らかの法規的仕組の採択が必要となり、海外採用規則に関連する最初の法律である「外
国人雇用斡旋法 32 号、1980 年」が施行された。この最初の法律の発布後に続く数年間に
わたって外国人雇用のための移動は増大し、スリランカの主要な経済活動となった。それ
は、必然的に海外雇用戦略に関する制度的な進展及び同法律の範疇、目的の拡幅を余儀な
くさせた。その結果、新しい法律、すなわち「スリランカ外国雇用庁法 21 号、1985 年」
が制定された。この新法令の規定によって海外業務の求職者の雇用、保護及び福祉のため
の別の行政庁が設立され、関係省大臣の任命する理事会及び議長の下で、「SLBFE(Sri
Lanka Bureau of Foreign Employment:スリランカ外国雇用庁)」と称された。同法令は、
「スリランカ外国雇用庁(改訂)法 4 号、1994 年」に改正された。
5.1
関係法令及び制度の概要
SLBFE は、
「スリランカ外国雇用庁法 21 号、1985 年」の下に制定された「外国人
雇用法」を実施し、施行する国家的統治権を持つ。SLBFE は、外国人雇用活動を
規正するために、法規及び規則の明確な系統化及び強制施行する権限を持つ。
(1)
促進及び進展
この目的を達成するために、SLBFE は外国人の雇用主及び代理業者と契約し、
外国での雇用及び外交業務を担当する大臣の認可を得た上で外国政府と契約
する。雇用機会、雇用支援、促進活動における業務許可証発給による援助等の
多様化及びスリランカ人が雇用される諸国に対する SLBFE 代行機関に対す
る指名行為は、被雇用者の福祉を後援し、雇用者との紛争を解決することが目
的であり、それらは国外のスリランカ人の雇用の促進及び開発に努め る
SLBFE が担うその他の役割である。
(2)
業務許可証の発給
SLBFE は、外国人雇用の代行者として機能し、独自の採用プログラムを請負
うように、同法令によって権限が与えられている。SLBFE 以外で、外国人雇
用を業務として行う者は、個人及び代理業者であれ、SLBFE から業務許可証
を取得しなければならない。業務許可証は、SLBFE の規定に基づき、規定料
金支払いの上申請し、発行される。また、業務許可証は SLBFE に保証金を積
1
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
み立て、2 年間有効の銀行保証を具備することが要求される。業務許可証は
12 カ月間有効であり、その後更新できる。なお、SLBFE は法律の条項に違
反があれば、業務許可証を取消す場合がある。
(3)
雇用契約の承認
すべての業務許可証は、それぞれの採用ごとに要件及び条件を特定し、承認を
得るように進めなければならない。雇用契約は、外国の雇用主又はその代理人、
及びその雇用のために採用された者との間で締結され、同契約はその複本を査
定する SLBFE へ送付され、一部はその国で雇用契約が実施される同国の労働
省に送付されるものとする。
現在、家事労働者の雇用契約の登録に関する特別な手続が実施されており、そ
の事情ですべての採用代理業者又は雇用主は、関係各国におけるスリランカ大
使館又は領事館で登録されなければならない。採用担当者は、国内の業務許可
証所有の雇用代理店とサービス契約を結び、業務依頼書、サービス契約書、特
定委任状を査証及び登録のために関連するスリランカ大使館又は領事館へ提
出する義務がある。SLBFE は、就職見込みのある求職者に対し、出国前に
SLBFE に登録するために、職務同意書(業務契約書)に署名することを要請
する。
(a)
就職見込みのある就業申請者が、男性労働者、非中東諸国向け家事労働
者又は熟練女性労働者である場合は、彼らはスリランカの採用代理店と
契約を結ぶ義務がある。
(b)
中東諸国へ赴く予定の家事労働者は、それぞれの関係国の大使館で同意
書に署名しなくてはならない。下記の署名及び裏書は、この同意書にお
いて有効である。
(i)
(ii)
(iii)
採用が代理店によって行われる場合。
1)
雇用主の署名。
2)
外国代理店の署名。
3)
大使館又は領事館の署名。
4)
国内代理店の署名。
5)
家事労働者の署名。
友人又は親類によって送られた査証で渡航する場合。
1)
雇用主の署名。
2)
大使館/領事の署名。
3)
家事労働者の署名。
就業見込みの申請者は、契約書面で下記のガイドラインを使うこ
とができる。
1)
賃金。
2)
給与控除。
3)
休日。
4)
年次休暇及び臨時休暇。
5)
医療給付。
2
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(4)
6)
職務又は義務。
7)
福祉。
8)
契約の終止。
9)
争議の解決。
10)
雇用の移転又は移譲。
11)
本国への送還。
12)
航空運賃。
苦情
スリランカ国外での雇用で採用されたいかなる個人又はその代理人の苦情は、
SLBFE に持ち込まれ、裁定は裁判所による執行力のある適切な事件において
行われる。
(5)
労働者福祉基金、その公課又は賦課金
労働者福祉基金は、国外で雇用されるスリランカ人の恩典又は保障のために
SLBFE によって創設された。同基金からの資金は、外国人雇用で採用された
スリランカ人の職業訓練及び適応指導のような福祉活動のために使われ、外国
人雇用のスリランカ人への援助を提供し、彼らの家族への指導、情報、支援を
供与し、帰国したスリランカ人に対する社会復帰支援をする。
SLBFE は、外国人雇用の各被雇用者によって支払われる額を外国人雇用の給
与に応じて固定してきた。SLBFE は、その徴収額のうち、ある割合を業務許
可証取得者に、ある割合を労働者福祉基金に再配分する。5%で計算される公
課は、SLBFE によって業務許可証取得者又は代理店が外国本部から受取る手
数料に対して徴収される。
(6)
違反及び罰則
何人も、次の者は法の下で有罪であり、治安判事による略式裁判で有罪となれ
ば罰金及び懲役を科せられる。
(a)
SLBFE の権限を与えられた役人による登録、検査、尋問を妨害又は抵
抗する者。
(b)
違法な採用を営み、移民関係文書及び法令条項に反する料金費用を捏造、
模造する者。
5.2
(c)
報告又は回答書を提出しない者。
(d)
SLBFE の要請があった場合、正当な理由なく問合せに応じない者。
送り出しの所管機関
(1)
外国人雇用を担当する省
労働省は、最初に外国雇用の促進及び規則に関連する活動に着手した。既存の
労働法が外国人雇用に焦点を合わせていなかったので、労働省は「スリランカ
外国人雇用法 21 号、1985 年」を立法化するために行動を起こし、SLBFE を
創設した。現在では、別の省、外国雇用促進・福祉省が、外国雇用促進プログ
ラムの政策体系化、企画、監視及び金融を担当している。
3
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SLBFE は、外国雇用促進・福祉省の権限の下で運営されている。また、若年
層を外国雇用へ指導する目的で設立された「スリランカ外国人雇用株式会社」
も SLBFE の系列に入ってきた。
(2)
SLBFE
SLBFE は、次のような目的で「スリランカ外国人雇用法 21 号、1985 年」に
基づき創設された。
(a)
スリランカ人のためのスリランカ国外での雇用機会の促進及び開発。
(b)
外国人雇用の商売での代理店業務許可証の発給。
(c)
業務許可証取得済み代理店に対する援助及び支援。
(d)
雇用契約の交渉又は協定。
(e)
外国人雇用のために行う出発前の職業訓練及び適応指導。
(f)
詐欺的な取引からスリランカ人をより安全に保護するための予防手段。
(g)
認定外の採用及び認定外の賦課金の排除。
(h)
国外で雇用されているスリランカ人の保護及び福祉の確証。
(i)
外国での雇用後の帰国者に対する社会復帰支援。
(j)
福祉基金の維持。
(k)
雇用されるスリランカ人の動向の監視及び海外雇用分野における調査の
実施。
(3)
SLBFE の管理体系
SLBFE は、外国雇用促進・福祉省によって指名される 11 人の役員から成る
委員会が管理する。SLBFE の主要部門は、下記のとおりである。
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
福祉及び広報
(i)
行動意識プログラムの実施及び調整。
(ii)
移住者及びその家族に対する福祉の世話。
(ii)
回復又は復帰プログラムの導入。
企画、調査、情報化技術
(i)
集合的及び戦略的企画への参画。
(ii)
品性の調査。
(iii)
ICT インフラの維持。
訓練、マーケティング、採用
(i)
新しい市場の認証及び促進活動への従事。
(ii)
訓練プログラムの実施及び調整。
(iii)
海外業務へのスリランカ人の採用。
外国との関係、調停及び承認
(i)
スリランカ海外使節の労働部門の活動の管理及び監視。
(ii)
移住労働者及びその家族からの苦情への対応。
(iii)
登録手続の監視。
法規、取調、調停
(i)
代理業者の活動規制。
(ii)
雇用者、被雇用者、採用代理店間の紛争解決。
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(iii)
(f)
法的行為又は活動における組織の代行。
行政管理及び人的資源の開発
(i)
(g)
行政職務及び職員の向上に従事。
財務
(i)
財務計画。
(ii)
支払、領収、経費の記録、予算及び監査手続を管理するすべての
財務諸表の監督。
(4)
スリランカ外国人雇用代理株式会社
これは、若年層を海外雇用へ導く目的で 1996 年に設立された。同社は、スリ
ランカ政府に所属する雇用代理店であり、SLBFE の系列会社である。同社は
また、移住労働者の自己、福祉、警護に関連する特定方法の創案、実施に責任
を付与されている。
(5)
スリランカ採用代理店又は代行機関
スリランカは、民間の外国雇用代理店のネットワークを持っている。その中に
は、中東、アジアの最大規模の企業の何社かで、世界中の国々から人材を受入
れている何社かに人材提供を行っている。これらすべての業務許可証取得済み
の外国雇用代理店は、業務許可証外国雇用代理店協会の加盟店である。それら
の活動は、SLBFE によって監督され、監視されている。現在、スリランカに
は、587 社の業務許可証外国雇用代理店がある。
表 5-1
年
登録済み代理店数(1985~2006 年)(単位:件)
登録機関数
年
登録機関数
年
登録機関数
1985 年
139
1992 年
273
1999 年
431
1986 年
124
1993 年
250
2000 年
445
1987 年
115
1994 年
322
2001 年
528
1988 年
182
1995 年
477
2002 年
538
1989 年
192
1996 年
464
2004 年
524
1990 年
220
1997 年
520
2005 年
581
1991 年
237
1998 年
385 2006*1 年
*1
582
:暫定数字
*出典:SLBFE
参考
SLBFE ウェブサイト<http://www.slbfe.lk>
5.3
送出労働力の属性
5.3.1
受入国
SLBFE の統計によれば、現在の外国人雇用の流出は年間 20 万人を超えており、
5
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海外で働く人の総計は、現在 120 万人である。外国人雇用の割合は、2005 年に
8.2%成長しており、230,963 人となっている。表 5-2 は、国別の外国人雇用の
ための出国人数を示している。出国数最高記録はサウジアラビア向けであり、
2004~05 年に 3 万人以上の被雇用者がクウェート、アラブ首長国連合、カター
ルに出稼ぎのため出国した。また、同統計によれば、中東諸国は、80%以上の就
業者率をもってスリランカの労働者の主要市場とみなされる。しかしながら、
韓国、マレーシア、モーリシャスが、スリランカ人労働者の外国人雇用国とし
て成長してきている。
表 5-2
外国人雇用のための国別出国人数(2003~05 年)(単位:人)
赴任国
2003 年
2004 年
2005 年
サウジアラビア
76,095
71,297
76,113
クウェート
38,623
36,782
36,099
アラブ首長国連合
32,334
32,890
36,306
カタール
23,798
30,015
35,932
レバノン
13,207
17,852
16,389
ヨルダン
7,082
8,907
8,275
オマーン
4,131
3,474
3,521
バーレン
3,731
3,827
3,743
モルディブ
3,193
2,532
2,719
キプロス
3,043
3,138
2,227
韓国
2,036
1,304
4,849
シンガポール
1,069
990
1,018
マレーシア
239
241
1,167
香港
228
163
167
モーリシャス
185
353
1,057
セイシェル
128
52
596
エジプト
118
161
176
リビア
58
35
37
イスラエル
58
106
174
ギリシャ
55
85
25
北イエメン
16
6
8
南イエメン
38
14
5
英国
32
29
24
6
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2003 年
赴任国
2004 年
2005 年
アイルランド
31
10
15
パキスタン
27
41
25
シリア
27
38
22
ケニヤ
24
11
4
南アフリカ共和国
23
29
28
マダガスカル
13
2
5
中国
11
6
3
イタリア
6
16
64
ブルネイ
10
5
4
米国
3
5
1
タイ
2
3
1
日本
1
3
-
スペイン
-
1
-
ボツワナ
7
2
8
スイス
1
12
-
ベトナム
12
-
-
ウガンダ
22
-
-
129
272
156
209,856
214,709
230,963
その他
合
計
*出典:SLBFE、外国雇用の年次統計報告書、2005 年
5.3.2
職種
表 5-3 は、高い需要によって受理された職種を示す。スリランカでは、雇用のた
めの国外移住はすべての分野の職業に及んでいる。しかしながら、大多数の移
民労働は未熟練及び家事労働者の分野に属している。
表 5-3
海外雇用主から受理した職種別求人数(2006 年)(単位:人)
職
家事労働者
種
求人数
職
237,636 工場作業員
種
求人数
1,014
運転手
68,156 事務員
953
家事労働者
35,284 一般監督
948
一般労働者
25,145 最終検査員
934
7
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職
種
求人数
職
種
求人数
料理人
22,854 重機械設備操作員
904
仕立人
18,759 アイロン掛け職人
817
清掃員
12,443 鉄筋工
811
ベビーシッター
12,010 美容師
808
機械操作員
11,561 加工組立工
799
電気工
6,765 生産作業員
783
一般石工
6,456 調理場下働き
768
一般助手工
6,135 倉庫番
721
配管工
5,709 衣服制作助手
687
大工・建具工
4,400 石工、タイル張仕上工
671
一般溶接工
3,571 鋳掛・修理工
670
建設機械操作員
2,991 家具木工
642
鋼製物品修理工
2,892 洗濯工
634
家事助手
2,869 給仕又は見習料理人
633
事務員・事務関連職員
2,751 デイーゼル機関設備機械工
632
警備・防火労務員
2,696 門衛
619
販売員
2,638 アルミ加工工員
604
一般的給仕
2,208 コンピュータ操作員
600
一般機械工
2,108 品質管理員
591
型枠大工
1,913 一般任務の看護師
569
一般塗装工
1,520 土木技術者
558
その他操作員
1,406 エアコン・冷蔵庫機械工
538
エアコン・冷蔵庫技術員
1,360 パン職人
526
会計士
1,128 その他の技術者
520
一般技術者
1,119 クレーン・ホイスト操作員
516
スプレー塗装工
1,019
*出典:SLBFE
5.3.3
年齢
スリランカでは、海外雇用の最低年齢は 18 歳である。大半の外国被雇用者の年
齢群は、20~40 歳に属する。表 5-4 が、外国人雇用の大半を女性が占めている
ことを示す。
8
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作成年月日:2008 年 1 月 31 日
表 5-4
年
年齢及び性別の外国雇用出国人数(2003~05 年)(単位:人)
2003 年
齢
男
性
女
性
2004 年
合
計
男
性
女
性
2005*1 年
合
計
男
性
女
性
合
計
19 歳以下
891
2,958
3,849
1,310
3,375
4,685
1,665
2,924
4,589
20~24 歳
13,588
21,425
35,013
15,537
21,973
37,510
19,228
22,354
41,582
25~29 歳
16,127
28,436
44,563
17,263
28,187
45,450
22,145
26,713
48,858
30~34 歳
13,133
24,594
37,727
13,209
23,043
36,252
15,116
21,828
36,944
35~39 歳
9,915
26,460
36,375
10,196
24,942
35,138
11,411
24,586
35,997
40~44 歳
7,665
18,866
26,531
7,662
18,564
26,226
8,173
20,731
28,904
45~49 歳
4,346
7,476
11,822
4,593
8,000
12,593
5,158
10,802
15,960
50 歳以上
8,830
5,091
13,921
2,884
2,108
4,992
3,174
3,280
6,454
13
32
45
8,045
3,818
11,863
7,895
3,780
11,675
*1
不
詳
合
計
74,508 135,338 209,846
80,699 134,010 214,709
93,965 136,998 230,963
:暫定
*出典:SLBFE、情報技術部
5.3.4
技能水準
スリランカでは、雇用のための国外移住はすべての分野の職業に及んでいる。
これらの職業は、表 5-5 の詳細のとおりで、専門職レベル、中間レベル、事務職
関連、熟練、未熟練、家事労働者に分類される。全送出労働の 20%のみが、熟
練レベルの分野である。家事労働者及び未熟練労働は合計で 72%に達する。こ
れらの生産性の低い分野は、外貨送金で貢献があるものの、後に残された地域
社会及び家族に多大な社会問題もおびやかしている。その問題は、犯罪の増加、
自殺、アルコール中毒、麻薬等である。そのため、犯罪防止、健康関連分野に
おいて、政府の社会福祉コストが増大する。
表 5-5
人材技能レベル別外国雇用出国人数(2003~06 年)(単位:人)
年
専門職
中間レベル
事務関連
熟練
未熟練
家事労働者
合
計
2003 年
1,541
6,561
6,779
47,744
44,264
102,011
210,903
2004 年
1,827
8,042
6,679
45,926
43,204
110,512
218,194
2005 年
1,421
8,040
7,731
46,688
41,904
125,493
233,282
2006 年
1,619
6,665
7,979
45,307
41,143
101,128
203,841
*出典:SLBFE
9
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
表 5-6 は、外国人雇用における異なった分類での選別職種の月間平均収入の詳細
を示している。実際、月収は国によって変動するが、同平均値は外国人雇用の
給与傾向を表わしている。
表 5-6
職
選別された職種の平均月収(2007 年 1~6 月)(単位:米ドル)
種
月
収
職
種
月
収
商業マネージャー
8,168 顧客サービス員
538
監査会社マネージャー
5,948 会計アシスタント、事務員
534
進展・企画部マネージャー
3,616 サービス部門次長アシスタント
533
監査の監修官
3,500 菓子類加工員
533
運輸会社マネージャー
3,119 食品・飲料専門技術者
533
衛生設備技術者
3,000 秘書
531
運用管理者
2,978 動力電気技術員
529
自動車技術者
2,881 会計事務員
527
会計監査員
2,765 給仕長
522
油圧機器技術者
2,723 見習料理人
521
製造アシスタント
2,679 分析員
520
マーケティング・マネージャー
2,592 職長(全般)
519
翻訳者
2,430 基礎杭打ち機運転手
517
財務マネージャー
2,368 自動車塗装工
511
プロジェクトマネージャー
2,264 アルミ加工職人
495
保守・営繕技術者
2,230 パン職人
492
屋根修理工
2,182 公衆衛生士
490
電気通信技術者
2,129 マーケティング事務員
485
住宅管理者
2,122 クレーン操作員
484
建設管理者
2,103 船舶仕上工
483
品質保証マネージャー
2,005 文書事務員
482
工場長
1,923 機械操作・作業員
481
情報技術マネージャー
1,906 清掃監督
481
特殊部門アシスタント
1,887 専属秘書
480
企画部技術者
1,862 燃焼ポンプ、機械技術員
371
観光・旅行管理職
1,849 土砂移動・関連機器操作員
369
加工工場長
1,800 電気工事技術員
369
システム管理者
1,800 テレコム技術員
368
10
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
職
種
月
収
職
種
月
収
幹部助手
1,780 水力発電所操作員
368
購買マネージャー
1,770 制御操作員(空輸)
367
プロジェクト管理職
1,770 ホテル、接客係
366
秘書
1,767 自動エアコン機械技術員
363
営業専任
1,735 ブルドーザー運転、作業員
359
システム分析員
1,588 バーテンダー
358
農業アドバイザー
1,585 サラダ調理人
357
医師
1,574 庭師
357
インテリア装飾デザイナー
1,543 一般事務員
357
社内会計監査役
1,526 屠殺作業員
354
電気配線接続工
1,500 車両電気工
354
旅行代理店
1,498 溶接工
353
旅行・観光ガイド
1,498 エアコン・冷蔵設備、機械技術員
351
旅行・観光マネージャー
1,486 ウェブページ製作者
350
品質管理検査員
1,430 造園家
347
材料技術者
1,425 料理人助手
343
システム監督
1,400 地均しローラー作業員
340
ソフトウェア開発者
1,400 調理場労務者
340
土木技術者
1,381 重量トラック運転手
336
工業機械ツール技術者
1,361 ネットワーク操作員
332
機械技術者助手
1,361 事務員(一般)
331
電気技術者助手
1,361 電気工
330
住宅・現場マネージャー
1,343 コンクリート・ミキサー車運転手
330
現場技術者
1,314 修理・保全技術員(電子)
330
研究所助手
1,303 修理・保全技術員(電気)
330
企画事務職
1,299 ガス溶断工
330
品質管理マネージャー
1,297 旋盤工
327
保守・営繕監修員
1,267 事務所助手
327
品質管理員
1,257 船舶エンジン取付け、組立工
327
数量検査員
1,253 賓客関係 事務職、助手、実務員
327
総務部マネージャー
1,249 絶縁工事技術員
326
技術サービス部マネージャー
1,241 品質検査員
325
11
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
職
種
月
収
職
種
月
収
品質保証技術者
1,233 地図製作員
320
電気技術者
1,190 楽器製作員
320
品質管理官、助手、実務者
1,185 溶接工(ガス・電気)
320
事務所調整係
1,178 ボイラー操作員
320
その他の機械技術者
1,175 削岩機捜査員
320
微生物学者
1,170 洗濯機作業員
320
保険外交員
1,170 オートバイ熟練者
320
販売マネージャー
1,165 大工(全般)
320
その他の産業技術者
1,140 ホテル家事労働者
315
工業技能者
1,139 工芸職人
314
データベース管理者
1,113 機械工
312
機械技術者
1,113 販売助手
310
プログラマー解析員
1,099 その他の軽自動車運転手
308
販売調整員
1,079 工業電気工
306
測量・調査監修者助手
1,070 配管工
303
技術販売員
1,070 メーター読取員
253
輸出入事務職、実務アシスタント
1,068 自動車の運転助手、労働者
253
チーム・リーダー
1,066 ビル電気工事関係
252
食料・飲料会社マネージャー
1,061 衣服の品質管理
250
営業部門部長
1,061 生産ライン監督
250
アドバイザー
1,060 衣服製造監督
250
ネットワーク管理者
1,058 製茶(茶園)
250
医療事務官
1,053 大理石組付工
247
会計検査員
1,021 ダンプ車運転手
247
発電プラント作業員(蒸気)
1,018 鋳造機作業員
245
購買部員
1,016 スクリーン印刷工
245
その他の特殊部門のマネージャー
1,012 タイピスト
245
プロジェクト調整者
1,011 ガソリンスタンド給油係
245
財務管理員
1,000 アイロン掛け(手動)
244
生産技術者
983 鋼製品又は鋼構造取付け
244
情報技術実務員
974 機械による刺繍
243
建築士
973 木製品のスプレー塗装
243
12
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
職
種
月
収
職
種
月
収
医療窓口
961 有刺鉄線加工
241
学校副校長
955 ドライ・クリーニング(手作業)
240
人資(人事)事務職、助手、実務者
955 水圧ポンプ作業員
240
与信調査員
953 鍵職人
240
会計士
934 機械製作工場メンテナンス
240
化学技術者
933 室内装飾職人
240
料理人
928 家事労働者
237
ホテル・レストラン経営者
925 冷暖房換気工事技術員
237
配管工事職長
618 倉庫労働者
234
宝石職人
618 ガラス加工
234
宝飾品加工
618 パンチカード操作員
234
コンピュータ技術員
617 給仕
233
測量・検地員
617 建築大工
232
工場監督
610 パイプ製仮設足場作業員
226
画家(印刷)
598 木彫大工
223
運送事務係
591 鋼構造建屋棟上作業員
220
化学者
587 見本製作作業員
220
その他の小学校講師
585 その他の給仕・バーテンダー
219
保守・営繕事務職
582 料理助手
217
販売代表
577 木彫機械操作員
212
土木工事(全般)技術員
575 洗濯屋
209
動力バス運転手
568 肉体労働者(NEC)
208
受付係
561 清掃員
207
薬剤師
556 理髪店
204
歯科医
549 補佐(NEC)
202
布地専門技術者
549 見本室作業員
200
就学前教育の教師
546 製茶労働者
200
モンテッソーリ児童教育法教師
546 家事労働者(女性)
189
執事
545 工業用ミシン作業員
181
排水工事
545 事務所補助員
180
広報部員
545 庭園労働者
180
埠頭荷捌職
545 家事労働者(男性)
176
13
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
職
種
月
収
職
種
月
収
救命ボート乗組員
542 見張員
162
サービス部員
540 繊維製品生産労働者、助手
123
機械現場主任
539
*出典:TVEC、新聞広告通覧、2007 年 1~7月
5.4
送出労働力の技能水準の評価制度
技術者及び建築士のような専門職は、その学位の資格又は卒業後の資格に基づいて
外国人雇用に選ばれる。スリランカには学位及び卒後の等級を授与する大学のネッ
トワークがあり、専門職分野での適性を査定するのに問題はない。さらに、スリラ
ンカには技術者学会、スリランカ会計士協会、建築士協会のような専門職協会のネ
ットワークがあり、公許レベルで正式な専門資格を授与し、臨機応変に同専門職の
適性を査定することもある。中間レベルのエンジニアリング、農業、会計分野の技
能者においては、管理者レベルの適性査定がそれぞれのデイプロマ(技能修了証)
プログラムに基づいて常に評価されている。スリランカには多数の国家デイプロマ
教科がエンジニアリング、農業、会計用にあり、それらの技能修了証を提示する免
状保持者は、雇用機会が高く、外国人雇用にも関心が高い。
専門職及び職のレベルでは、一般に普及している制度以外に個別の評価制度はない。
工芸(工業)能等級では、職業訓練機関が工芸職の技能レベルを評価する制度を開
発し、実施してきた。1990 年発布の「高等及び職業教育法 20 号」によって、NAI
TA(National Apprentice and Industrial Training Authority:国立実習生及び
産業訓練局)は、職業試験を実施する国家指令を有し、1985 年以来国家職業試験を
実施してきている。約 84%のスリランカの労働力は、単に技能を OJT(On-the Jo
b Training:実地訓練)を通じてのみで修得しており、正式な職業訓練プログラム
には従っていない。そのため NAITA の職業国家試験は、産業で働く正式に訓練さ
れていない技能者を評価し、査定することに焦点を合わせてきた。多数の外国人雇
用代理店は、雇用のために NAITA の国家職業試験を正当なものとして認知してい
る。何社かの外国雇用代理店は、外国人雇用のため雇用申請者の技能を評価させる
のに民間のテスト代理業者に頼むが、その代理業者は職業試験を行う法的権威を有
していない。NAITA に加えて、公認機関であるスリランカ職業訓練局もまた、技
能レベルの職業試験を実施し、多くの外国雇用代理店はその証明が外国雇用にも正
当であることを認知している。
スリランカの NVQ(National Vocational Qualification:国家職業資格)枠組みの
技能・職業訓練セクターのおける最近の変革によって、枠組が異なったレベルでの
技能を正当に認知するよう導入された。これは、表 5-7 で説明されるとおり、職業
適性規準に基づいて開発された 7 段階の資格制度である。NVQ の枠組は、その訓
練方法を問わず、職業適性の査定を容易にしている。誰でも現行の訓練プログラム
課程で得た現在の適性を過去の学習で得た適性同様に評価できる。これは、RPL
14
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
(Recognition of Prior Learning:事前学習認知)と呼称される。実際のところ RPL
は、労働経験を通じて体得した適性を評価し、査定するのを容易にする。PRL は、
職業試験のために NVQ の査定を実施することが NAITA より委託されている。
NAITA は、レベル 2 及び 3 の職業試験を TVEC に NVQ 課程を行うよう委任され
ているいくつかの訓練センターに委託してきた。SLBFE は、技能査定に加えて家
事労働者のために多くの語学コース及び技能向上コースを行う国際的な手配をし
てきた。
表 5-7
レベル
1
2
3
4
5
6
7
資
NVQ 枠組みによる資格制度
格
内
国家技能修了証
(Certificates)
容
入門の基礎レベル技能が認知されること。
国家技能修了証
(Certificates)
国家技能修了証
(Certificates)
職業適性の増強が認知されること。レベル 4 は、技能を独自
で適用する能力をもつマスターレベルの手職技能者。
国家技能修了証
(Certificates)
国家技能免
(Diploma)
技能者から管理者レベルに適性の増強が認知されること。
国家技能免
(Diploma)
学位又は関連学位
(Bachelors)
企画、方策、工程の管理レベルでの適正認知。
NVQ
NVQ
NVQ
NVQ
NVQ
NVQ
NVQ
1 段階
2 段階
3 段階
6 段階
5 段階
4 段階
管理者
監督者
(他者に依存しない)独立職人
一般的な監督を必要とする者
継続的な監督を必要とする者
基本的・基礎的な技能を有する者
図 5-1
7 段階
NQV レベルの内容
15
設計者
国名:スリランカ (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2008 年 1 月 31 日
5.5
労働力送出・受入に関する二国間・多国間協定
2004 年、SLBFE は、韓国政府と労働派遣協定を結んだ。それ以来、1 万人以上の
未熟又は半熟練の労働者が韓国へ渡った。さらに、二国間協定は、カタール、ヨル
ダン、アラブ首長国連合との間で締結された。
5.6
送出労働力の技能水準二国間・多国間協定
調査中
【参考文献】
1.
ILO Website “About Migrant” <http://www.ilo.org/public/english/protection/migr
ant/about/index.htm> accessed on 3 March 2008.
2.
Ministry of Foreign Employment Promotion and Welfare Website <http://www.
minfep.gov.lk/> accessed on 3 March 2008.
3.
SLBFE ウェブサイト<http://www.slbfe.lk> accessed on 3 March 2008.
4.
SLBFE、外国雇用の年次統計報告書、2005 年
5.
SLBFE、情報技術部
6.
TVEC、新聞広告通覧 2007 年 1~7 月
7.
国際移住機関 (IOM) 、アジアの労働移住、移住労働者の保護及び支援サービス、開
発強化の恩恵。
8.
労働省、スリランカ労働官報
16