『イエスの聖テレサによってはじめられた跣足カルメル修道会の始めであるアヴィラ の聖ヨゼフ修道院創立450周年記念に向けての教皇ベネディクト十六世からアヴィラ の司教ヘスス・ガルシア・ブリリョ猊下へのメッセージ』 教皇ベネディクト十六世が聖テレサの最初の創立聖ヨゼフ修道院450周年を記念して、 全免償をスペインのアヴィラ司教区に与えました (創立は1562年8月24日)。期間は 2012年5月24日から2013年5月24日まで、アヴィラの聖ヨゼフ修道院へ巡礼する人 で、―ゆるしの秘跡、聖体拝領、教皇の意向による祈りを捧げること―以上の条件で 全免償を希望する人に与えられます。もちろん、重大な理由により、巡礼できないカル メリットたちにも得ることができるでしょうということです<para vos naci のニュースより > 。 さて、このイベントに合わせて、教皇ベネディクト十六世がアヴィラの司教にメッセージ を送りました。その全訳を以下に紹介します。 親愛なる兄弟、アヴィラの司教ヘスス・ガルシア・ブリリョ猊下へ 1. 星の輝き。「偉大な光輝を放つ星」(自叙伝32:11)。この言葉と共に、アヴィラに跣 足カルメル修道会の最初の修道院である聖ヨゼフ修道院(サン・ホセ修道院)を創 立するように、御主はテレサを勇気づけました。この修道院は8月24日に創立450 周年を迎えます。この幸いな時を迎えるにあたって、アヴィラの司教区、跣足カル メル修道会とスペインのこの修道院に巡礼する神の民と一致して、喜びを共にす ることを望みます。また全教会の中で、キリストによって自分の生活を刷新しようと テレサ的霊性に出会った人々と共にも、この喜びを分かち合いたいと思います。御 主を愛している尊敬すべきこの女性は、御主を切望するだけでなく、御主を喜ば せようとしました。実際、聖人は人間の本来の素晴らしさに基盤を置いた偉業の実 現者でなく、霊魂の深みに入り込んだキリストの謙遜と深く一致する者です。そし て、その人を通して御主が働かれ、各瞬間において沈黙を保ちながら主役となら れることです。 2. この手段でキリストに導かれることのみが、祈りの生活を持つ人にとってすべてが 可能になりうる方法です。テレサによりますと「自分が神から愛されていると知りつ つ、その神と、ただ二人だけで語り合う、友情の親密な交換」(自叙伝8:5)から成り 立って生まれ祈りへ広がっていきます。緩和会則から原始会則への回帰のとき、 テレサは御主とのパーソナルな出会いに集中する生活形態を目指しました。それ は「孤独になって、自分のうちに現存なさる彼を見さえすればよい」ですし、「この 賓客と疎遠になってはいけません」(完徳の道28:2)。聖ヨゼフ修道院は、姉妹た ちは神を見出すためにより良い条件を持つことから生まれましたし、神との親密な 関係から始めるために創立されました。 3. テレサは新しい世界の中においてもカルメル人となる新しいスタイルを提起しまし た。それは「難しい時代」(自叙伝33:5)でもあったのです。この時代の中で聖女が 言うには、「今日では特に、神の友は弱いものを支えるために強くなければなりま せん」(自叙伝15:5)。テレサは主張します。「キリストを再び処刑したいのです。キ リストの教会を地に打倒したいのです。いいえ姉妹たちよ、今はくだらないことを神 にお願いする時ではありません」(完徳の道1:5)。4世紀以上も前に生きていた聖 女の言葉は、わたしたちの時代にも光を与える言葉ではないでしょうか。 霊的価値の過小評価の世の中で、テレサの改革の目的と修道院創立の目的は、 祈りと共に使徒的従事を抱くことです。これは完徳の道を探している人にとってモ デルとなる福音的生活の大切なことです。個人的・教会的刷新がわたしたちのう ちにキリストが形成される確信から、このことが大切です。彼女の切望はこの他のも のでもなければ、娘たちも同じです。カルメル会士も同じことが言えます。「完徳に 進もうとする」(自叙伝31:18)以外にはありえないのです。この感性のうちにテレサ は次のように言います。「主の憐みに助けられて、何らかの手段や祈りによって主 のもとに引き寄せる一人の人のほうを、わたしたちがなしうるすべての奉仕よりも、 御主は高く評価されると、わたしには思われます」(創立史1:7)。神の忘却の前に、 聖女はキリストの御名を宣言し、教会の必要のために嘆願し、すべての人たちの 叫びを救い主の御心に運ぶ人たちを擁護し、祈りの共同体を元気づけます。 4. 16世紀と同様、今日も信頼を込めた祈りが使徒的精神であることが必要ですし、 イエス・キリストの贖いのメッセージがきわめて明確に響き渡るダイナミックさを必要 とします。生命の御言葉が調和のとれた霊魂の中で魅力的に響き渡る必要に迫ら れています。 この情熱的な任務の中で、アヴィラの聖テレサの判例は、わたしたちに大きな助 けを与えます。聖女は生ぬるさを持たずに彼女の時代を福音化したと確信できま すし、消えることない情熱と共に、惰性から離脱すると共に、(神の慈しみの)光輝 を放ちながら行ったと言えます 。これは現在のジレンマの中で福音の新鮮さを保 持しますし、洗礼を受けた人々が個人的祈りを通して自分たちの心を刷新するた めに緊急であると感じています。これはアヴィラの神秘家に従いますと、神の栄光 を見出すためにイエス・キリストの聖なる人間性への観想を中心に据えることを通 しての刷新であるということです(自叙伝22:1、霊魂の城:第六の住居7章参照)。 ここから真のキリスト教共同体を形成することができますし、福音の中の生ける炎 を見出すことも、隅の親石として据えられるキリストに基盤を置くことも、加えて兄弟 姉妹への寛大な奉仕の生活への切望も持つこともできます。また、教会に帰属す る宝石である聖別奉献生活の素晴らしさを強調しながら、絶え間ない祈りが召命 促進にも繋がっていくでしょうし、観想的次元と同様に活動的次元にも広がること が望ましいです。 キリストの力が神の民を力づけるためにご自分の主導権を強化するように導くでし ょう。わたしたちの内面に主イエスと同じ思いを持ちながら(フィリピ2:5参照)。すべ ての状況の中で福音の根本的な生き方を探しながら。すなわち、聖霊の導きにし たがってわたしたちを御主の友人に造りかえながら御主の姿にあやかることに、わ たしたちが同意することです。また、すべての指示を受け入れ、わたしたちのうち に品行の謙遜と同じような判断を受け入れ、不必要なことを退け、他人に無礼を 働かず、単純に振る舞い、心の柔和を保つことを意味します。このようにわたした ちを取り囲む人々は、わたしたちが御主と一致することから生じる喜びを感じ取る ことでしょう。彼の愛に優先させるものは何もなく、常にわたしたちの希望のしるしを 示す用意をすることです(第一ペトロの手紙5:15参照)。そしてテレサが母なる教 会に娘として従って生きたように生きることです。 5. この徹底的な忠実へ、アヴィラ教区のこの輝かしい娘がわたしたちを招いておりま す。彼女の素晴らしい遺産を受け取りながら、歴史的現在において、教皇はこの 教区のすべてのメンバーを招集しますが、特に青年たちに親しみを込めて呼びか けます。聖性への召命を受け入れるように。イエスのテレサの跡に従って、将来を 持っている人々に言わせていただきたい。あなた方のすべてがイエスのものになる ように切望しなさい。唯一イエスのもの、常にイエスのものとなるように。我らの御主 に次の言葉を言うことに恐れを抱かないでください。「わたしはあなたのもの、あな たのために生まれた。わたしに何を要求しますか」(詩2)。そして神の恵みによって 照らされた呼びかけに応えることができるように、御主に頼みなさい。「決心された 決心」と共にあなた方がするべき「小さなこと」を提供できるように。そして神がご自 分の栄光のためにすべてを捨てた人を決して見捨てないことに信頼しなさい(完 徳の道21:2参照)。 6. 聖テレサは聖母マリアへの大きな信心と共に、称賛することを知っていました。カ ルメルの甘美な花の下に庇護を求めながら。聖母の庇護のもとに、アヴィラの教会 の使徒的熱意をわたしは置きます。それは聖霊によって若返らせながら、福音を 伝えるための良い機会を見出すためです。福音の星としてマリアがいますが、同 時に聖ヨゼフにも、キリストの真理と愛がすべての人に輝き続けるように執り成しを します。そして、親愛なる兄弟ヘスス司教、このメッセージを送ると共に、あなたの 司牧的配慮に委託している信徒の集団をよく知ることを祈り、特にアヴィラの聖ヨ ゼフ修道院のカルメリットのために配慮をお願いします。彼女たちは創立者の精神 に生きている人たちであり、ペトロの後継者たちのために、特別に祈りを捧げてい る人たちです。彼女たちとあなたと、そしてアヴィラのすべての信者に使徒的祝福 を与えると共に、天の豊かな恵みを受け取ってください。 2012年7月16日、ヴァチカンより 教皇ベネディクト十六世
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