JP 2005-34152 A 2005.2.10 (57) 【 要 約 】 【課題】 厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物などに含まれる難分解性蛋白質を分解可能 な、ストレプトミセス属微生物、難分解性蛋白質分解プロテアーゼ、難分解性蛋白質分解 用組成物等を提供すること。 【解決手段】 プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合 に溶解することがない難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産生能を有するストレ プトミセス属微生物。前記ストレプトミセス属微生物を培養することにより得られ、前記 難分解性蛋白質を分解可能であり、至適pHが9∼12でありかつ至適温度が60∼70 ℃である難分解性蛋白質分解プロテアーゼ。前記ストレプトミセス属微生物を培養するこ とにより得られ、前記難分解性蛋白質を分解可能である難分解性蛋白質分解用組成物。 【選択図】 なし 10 (2) JP 2005-34152 A 2005.2.10 【特許請求の範囲】 【請求項1】 プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解するこ とがない難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産生能を有することを特徴とするス トレプトミセス属微生物。 【請求項2】 ストレプトミセス・エスピーである請求項1に記載のストレプトミセス属微生物。 【請求項3】 ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)及 びその誘導菌株である請求項1から2のいずれかに記載のストレプトミセス属微生物。 10 【請求項4】 下記A∼Cの菌学的性質を有する請求項1から3のいずれかに記載のストレプトミセス 属微生物。 A.形態的性質 (1)分枝した基生菌糸より、比較的長い波状の気菌糸を伸長し、稀にかぎ状あるいはル ープ状を呈する。 ( 2 ) 成 熟 し た 胞 子 鎖 は 1 0 ∼ 5 0 個 の 卵 円 形 の 胞 子 を 連 鎖 し 、 胞 子 の 大 き さ は 約 0 .6 ∼ 0 .7 × 0 .8 ∼ 1 .0 μ m で あ る 。 (3)胞子の表面は平滑である。 (4)輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。 20 B.細胞壁組成としてLL型の2,6−ジアミノピメリン酸を含有する。 C.16SリボゾームRNA遺伝子の部分塩基配列(400∼500bp)によるストレ プトミセス属放線菌に対する相同性が90%以上である。 【請求項5】 更に下記Dの菌学的性質を有する請求項4に記載のストレプトミセス属微生物。 D.各種培地における生育状態 ( 1 ) イ − ス ト ・ 麦 芽 寒 天 培 地 ( I S P − 培 地 2 、 2 7 ℃ 培 養 ) 、 う す 黄 [ 2 e a ,L t W h e a t ] の 発 育 上 に 、 灰 白 [ 1 d c ,P u t t y ] ∼ 明 る い オ リ ー ブ 灰 [1 1 / 2 g e , L t O l i v e G r a y ]の 気 菌 糸 を 僅 か に 着 生 し 、 可 溶 性 色 素 は 認 め ら れ な い 。 (2)オ−トミ−ル寒天培地(ISP−培地3、27℃培養)、無色∼うす黄[11/2 30 c a ,C r e a m ] の 発 育 上 に 、 白 の 気 菌 糸 を 僅 か に 着 生 し 、 可 溶 性 色 素 は 認 め ら れ な い 。 (3)スタ−チ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27℃培養)、無色の発育上に、白 の気菌糸を僅かに着生し、可溶性色素は認められない。 (4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、27℃培養)、発育は無色 、気菌糸は着生せず、可溶性色素は認められない。 (5)シュクロ−ス・硝酸塩寒天培地(27℃培養)、無色の発育上に、白の気菌糸をう っすらと着生し、可溶性色素は認められない。 【請求項6】 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質、異常プリオン蛋白質、及びケラチンから選 40 択される請求項1から5のいずれかに記載のストレプトミセス属微生物。 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載のストレプトミセス属微生物を培養することにより得 られ、プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解す ることがない難分解性蛋白質を分解可能であり、至適pHが9∼12でありかつ至適温度 が60∼70℃であることを特徴とする難分解性蛋白質分解プロテアーゼ。 【請求項8】 N末端のアミノ酸配列が、YDLVGGDAYYIG、で表される請求項7に記載の難 分解性蛋白質分解プロテアーゼ。 【請求項9】 50 (3) JP 2005-34152 A 2005.2.10 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質、異常プリオン蛋白質、及びケラチンから選 択される請求項7から8のいずれかに記載の難分解性蛋白質分解プロテアーゼ。 【請求項10】 請求項1から6のいずれかに記載のストレプトミセス属微生物を培養することにより得 られ、プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解す ることがない難分解性蛋白質を分解可能であることを特徴とする難分解性蛋白質分解用組 成物。 【請求項11】 難分解性蛋白質を分解可能であり、至適pHが9∼12でありかつ至適温度が60∼7 0℃である難分解性蛋白質分解プロテアーゼを含む請求項10に記載の難分解性蛋白質分 10 解用組成物。 【請求項12】 難分解性蛋白質分解プロテアーゼのN末端のアミノ酸配列が、YDLVGGDAYYI G、で表される請求項11に記載の難分解性蛋白質分解用組成物。 【請求項13】 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質、異常プリオン蛋白質、及びケラチンから選 択される請求項10から12のいずれかに記載の難分解性蛋白質分解用組成物。 【請求項14】 請求項1から6に記載のストレプトミセス属微生物を培養し、プロテイナーゼKを0. 1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解することがない難分解性蛋白質を 20 分解可能であり、至適pHが9∼12でありかつ至適温度が60∼70℃である難分解性 蛋白質分解プロテアーゼを産生させることを特徴とする難分解性蛋白質分解プロテアーゼ の製造方法。 【請求項15】 請求項7∼9のいずれか記載の難分解性蛋白質プロテアーゼ及び請求項10∼13のい ずれかに記載の難分解性蛋白質分解用組成物の少なくともいずれかを用いて、プロテイナ ーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解することがない難分 解性蛋白質を分解させることを特徴とする難分解性蛋白質の分解方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 30 【0001】 本発明は、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン、ケラチン等の難分解性蛋 白質を分解可能なプロテアーゼ産生能を有するストレプトミセス属微生物、該ストレプト ミセス属微生物により生産され、前記難分解性蛋白質分解を分解可能な難分解性蛋白質分 解プロテアーゼ及び難分解性蛋白質分解用組成物、並びに、これらを用いて前記難分解性 蛋白質を分解する難分解性蛋白質の分解方法に関する。 【背景技術】 【0002】 各種の蛋白質をペプチド乃至アミノ酸に分解する技術は、例えば、医薬品や食品等の製 造業をはじめとする広い分野で利用されている。前記蛋白質を分解する方法としては、化 40 学的分解方法と、酵素的分解方法とが知られている。 前記化学的分解方法は、塩酸等を用いて前記蛋白質を化学的に分解する方法であり、分 解効率に優れてはいるものの、環境汚染や過酷な分解条件により、好ましくない副産物を 生成する懸念がある。一方、前記酵素的分解方法は、土壌乃至生物性汚泥など単離した微 生物が産生するプロテアーゼ等の酵素を用いて前記蛋白質を酵素分解する方法であり、前 記化学的分解方法における前記懸念がないため、医薬品や食品等の製造分野などをはじめ として広く利用されている(特許文献1から2参照)。 【0003】 ところが、前記蛋白質の中には、厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物などに含まれ、公 知のプロテアーゼでは完全に分解することができない難分解性蛋白質が存在しており、該 50 (4) JP 2005-34152 A 2005.2.10 難分解性蛋白質としては、近時話題のBSE(狂牛病)の原因タンパク質である異常プリ オンなどが知られている。また、該異常プリオン以外にも、該異常プリオンと類似の構造 を持ち、動物から原核生物に至るまで保存され、環境中に広く存在し、本発明者らによっ て発見され、過塩素酸によって肝臓細胞質画分より抽出され、蛋白質合成阻害活性を有す る過塩素酸可溶性蛋白質(以下「PSP」と称することがある)なども知られている(非 特許文献1から2参照)。 【0004】 そこで、前記異常プリオン等の難分解性蛋白質を酵素的に分解可能な各種の組成物が提 案されてきている。例えば、中∼高温度以上の温度域での熱安定性と優れた蛋白質低分子 化能力とを併せ持ち、難分解性蛋白質を効率よく分解可能なバチルス・ズブチリスに由来 10 する酵素組成物(特許文献3参照)や、難分解性蛋白質の汚れ成分に対して優れた洗浄力 を持つ、ピロコッカス属細菌に由来する超耐熱性プロテアーゼを含む蛋白質分解洗剤用組 成物(特許文献4参照)などが知られている。 前記異常プリオン等の難分解性蛋白質を分解するには、これらの組成物以外に新規な組 成物の提供が望まれており、各種の前記難分解性蛋白質を容易に効率良く、しかも完全に 分解可能な酵素的分解方法に関する技術の開発が望まれているのが現状である。 【0005】 【特許文献1】特公平7−53106号公報 【特許文献2】特開平11−75765号公報 【特許文献3】特開2001−037474号公報 20 【特許文献4】国際公開第00/61711号パンフレット 【非特許文献1】J.Biol.Chem.,270,30060,1995 【非特許文献2】バイオサイエンスとインダストリー,58,17−22(2000) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、従来における問題を解決し、前記要望に応え、厨芥、排水、有機廃液、産業 廃棄物などに含まれる、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン、ケラチン等の 難分解性蛋白質を効率良く分解可能なプロテアーゼ産生能を有するストレプトミセス属微 生物、該ストレプトミセス属微生物により生産され、前記難分解性蛋白質分解を効率良く 30 分解可能な難分解性蛋白質分解プロテアーゼ及び難分解性蛋白質分解用組成物、並びに、 これらを用いて前記難分解性蛋白質を効率良く分解する難分解性蛋白質の分解方法を提供 することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、土壌中からスクリーニング した新規なストレプトミセス属微生物が産生するプロテアーゼが難分解性蛋白質を分解可 能であること見出した。本発明は、本発明者らによるかかる知見に基づくものであり、前 記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、 <1> プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解 40 することがない難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産生能を有することを特徴と するストレプトミセス属微生物である。 <2> ストレプトミセス・エスピーである前記<1>に記載のストレプトミセス属微生 物である。 <3> ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−1933 6)及びその誘導菌株である前記<1>から<2>のいずれかに記載のストレプトミセス 属微生物である。 <4> 下記A∼Cの菌学的性質を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のスト レプトミセス属微生物である。 A.形態的性質 50 (5) JP 2005-34152 A 2005.2.10 (1)分枝した基生菌糸より、比較的長い波状の気菌糸を伸長し、稀にかぎ状あるいはル ープ状を呈する。 ( 2 ) 成 熟 し た 胞 子 鎖 は 1 0 ∼ 5 0 個 の 卵 円 形 の 胞 子 を 連 鎖 し 、 胞 子 の 大 き さ は 約 0 .6 ∼ 0 .7 × 0 .8 ∼ 1 .0 μ m で あ る 。 (3)胞子の表面は平滑である。 (4)輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。 B.細胞壁組成としてLL型の2,6−ジアミノピメリン酸を含有する。 C.16SリボゾームRNA遺伝子の部分塩基配列(400∼500bp)によるストレ プトミセス属放線菌に対する相同性が90%以上である。 <5> 更に下記Dの菌学的性質を有する前記<4>に記載のストレプトミセス属微生物 10 である。 D.各種培地における生育状態 ( 1 ) イ − ス ト ・ 麦 芽 寒 天 培 地 ( I S P − 培 地 2 、 2 7 ℃ 培 養 ) 、 う す 黄 [ 2 e a ,L t W h e a t ] の 発 育 上 に 、 灰 白 [ 1 d c ,P u t t y ] ∼ 明 る い オ リ ー ブ 灰 [1 1 / 2 g e , L t O l i v e G r a y ]の 気 菌 糸 を 僅 か に 着 生 し 、 可 溶 性 色 素 は 認 め ら れ な い 。 (2)オ−トミ−ル寒天培地(ISP−培地3、27℃培養)、無色∼うす黄[11/2 c a ,C r e a m ] の 発 育 上 に 、 白 の 気 菌 糸 を 僅 か に 着 生 し 、 可 溶 性 色 素 は 認 め ら れ な い 。 (3)スタ−チ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27℃培養)、無色の発育上に、白 の気菌糸を僅かに着生し、可溶性色素は認められない。 20 (4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、27℃培養)、発育は無色 、気菌糸は着生せず、可溶性色素は認められない。 (5)シュクロ−ス・硝酸塩寒天培地(27℃培養)、無色の発育上に、白の気菌糸をう っすらと着生し、可溶性色素は認められない。 <6> 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン蛋白質、及 びケラチンから選択される前記<1>から<5>のいずれかに記載のストレプトミセス属 微生物である。 <7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のストレプトミセス属微生物を培養する ことにより得られ、プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた 場合に溶解することがない難分解性蛋白質を分解可能であり、至適pHが9∼12であり 30 かつ至適温度が60∼70℃であることを特徴とする難分解性蛋白質分解プロテアーゼで ある。 <8> N末端のアミノ酸配列が、YDLVGGDAYYIG、で表される前記<7>に 記載の難分解性蛋白質分解プロテアーゼである。 <9> 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン蛋白質、及 びケラチンから選択される前記<7>から<8>のいずれかに記載の難分解性蛋白質分解 プロテアーゼである。 <10> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のストレプトミセス属微生物を培養す ることにより得られ、プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させ た場合に溶解することがない難分解性蛋白質を分解可能であることを特徴とする難分解性 40 蛋白質分解用組成物である。 <11> 難分解性蛋白質を分解可能であり、至適pHが9∼12でありかつ至適温度が 60∼70℃である難分解性蛋白質分解プロテアーゼを含む前記<10>に記載の難分解 性蛋白質分解用組成物である。 <12> 難分解性蛋白質分解プロテアーゼのN末端のアミノ酸配列が、YDLVGGD AYYIG、で表される前記<11>に記載の難分解性蛋白質分解用組成物である。 <13> 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン蛋白質、 及びケラチンから選択される前記<10>から<12>のいずれかに記載の難分解性蛋白 質分解用組成物である。 <14> 前記<1>から<6>に記載のストレプトミセス属微生物を培養し、プロテイ 50 (6) JP 2005-34152 A 2005.2.10 ナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合に溶解することがない難 分解性蛋白質を分解可能であり、至適pHが9∼12でありかつ至適温度が60∼70℃ である難分解性蛋白質分解プロテアーゼを産生させることを特徴とする難分解性蛋白質分 解プロテアーゼの製造方法である。 <15> 難分解性蛋白質分解プロテアーゼを産生させたストレプトミセス属微生物の培 養物から、該ストレプトミセス属微生物を除去する前記<14>に記載の難分解性蛋白質 分解プロテアーゼの製造方法である。 <16> 前記<7>から<9>のいずれか記載の難分解性蛋白質プロテアーゼ及び前記 <10>から<13>のいずれかに記載の難分解性蛋白質分解用組成物の少なくともいず れかを用いて、プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作用させた場合 10 に溶解することがない難分解性蛋白質を分解させることを特徴とする難分解性蛋白質の分 解方法である。 <17> 難分解性蛋白質が、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン蛋白質、 及びケラチンから選択される前記<16>に記載の難分解性蛋白質の分解方法である。 【発明の効果】 【0008】 本発明によると、従来における問題を解決することができ、厨芥、排水、有機廃液、産 業廃棄物などに含まれる、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン、ケラチン等 の難分解性蛋白質を効率良く分解可能なプロテアーゼ産生能を有するストレプトミセス属 微生物、該ストレプトミセス属微生物により生産され、前記難分解性蛋白質分解を効率良 20 く分解可能な難分解性蛋白質分解プロテアーゼ及び難分解性蛋白質分解用組成物、並びに 、これらを用いて前記難分解性蛋白質を効率良く分解する難分解性蛋白質の分解方法を提 供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 (ストレプトミセス属微生物) 本発明のストレプトミセス属微生物は、難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産 生能を有するストレプトミセス属である限り、その種や株等については特に制限はなく、 目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記A∼Cの菌学的性質を有するも のが好適に挙げられ、下記A∼Dの菌学的性質を有するものがより好適に挙げられる。な 30 お、本発明においては、前記A∼C又は前記A∼Dの菌学的性質を有するものの中で、後 述する、前記難分解性蛋白質の分解能が互いに異なるものは、互いに異なる菌株であるが 、これらは、いずれも本発明の前記ストレプトミセス属微生物であることに変わりがない 。 【0010】 A.形態的性質 (1)分枝した基生菌糸より、比較的長い波状の気菌糸を伸長し、稀にかぎ状あるいはル ープ状を呈する。 ( 2 ) 成 熟 し た 胞 子 鎖 は 1 0 ∼ 5 0 個 の 卵 円 形 の 胞 子 を 連 鎖 し 、 胞 子 の 大 き さ は 約 0 .6 ∼ 0 .7 × 0 .8 ∼ 1 .0 μ m で あ る 。 40 (3)胞子の表面は平滑である。 (4)輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。 B.細胞壁組成としてLL型の2,6−ジアミノピメリン酸を含有する。 C.16SリボゾームRNA遺伝子の部分塩基配列(400∼500bp)によるストレ プトミセス属放線菌に対する相同性が90%以上である。 【0011】 なお、前記形態的性質は、前記ストレプトミセス属微生物を、例えば、以下の組成を有 するコロイダル・キチン寒天培地等に接種して培養することにより、好適に調べることが できる。 [コロイダル・キチン寒天培地(pH7.0)組成] 50 (7) JP 2005-34152 A 2005.2.10 コロイダル・キチン 2g K2 HPO4 0.7g KH2 PO4 0.3g MgSO4 ・5H2 O 0.5g FeSO4 ・7H2 O 0.01g ZnSO4 0.001g MnCl2 0.001g 寒天 20g 脱イオン水 1000ml (なお、上記コロイダル・キチンは、微生物実験マニュアル(講談社、協和発酵東京研究 10 所編、1986)記載の方法に従って作製した。即ち、粗キチン(和光純薬工業社製)を 苛性ソーダ、1N塩酸で24時間洗浄した。これを5回ずつ行った後、95%エタノール で4回洗浄した。こうして得られた白色キチン(15g)を濃塩酸100ml中に入れ、 氷で冷やし撹拌した。ガラスウールでろ過したろ液を氷冷水中に注ぎ、キチンの沈殿を形 成させた。なお、グラスウール上のものは更に塩酸で処理し、同様な操作を繰り返してキ チンを回収した。キチン溶液は一晩放置した後、苛性ソーダでpH7.0に調整し、遠沈 で分離、洗浄することによりキチンを回収した。) 【0012】 D.各種培地における生育状態 ( 1 ) イ − ス ト ・ 麦 芽 寒 天 培 地 ( I S P − 培 地 2 、 2 7 ℃ 培 養 ) 、 う す 黄 [ 2 e a ,L t 20 W h e a t ] の 発 育 上 に 、 灰 白 [ 1 d c ,P u t t y ] ∼ 明 る い オ リ ー ブ 灰 [1 1 / 2 g e , L t O l i v e G r a y ]の 気 菌 糸 を 僅 か に 着 生 し 、 可 溶 性 色 素 は 認 め ら れ な い 。 (2)オ−トミ−ル寒天培地(ISP−培地3、27℃培養)、無色∼うす黄[11/2 c a ,C r e a m ] の 発 育 上 に 、 白 の 気 菌 糸 を 僅 か に 着 生 し 、 可 溶 性 色 素 は 認 め ら れ な い 。 (3)スタ−チ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27℃培養)、無色の発育上に、白 の気菌糸を僅かに着生し、可溶性色素は認められない。 (4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、27℃培養)、発育は無色 、気菌糸は着生せず、可溶性色素は認められない。 (5)シュクロ−ス・硝酸塩寒天培地(27℃培養)、無色の発育上に、白の気菌糸をう 30 っすらと着生し、可溶性色素は認められない。 【0013】 これらのストレプトミセス属微生物の中でも、難分解性蛋白質を分解可能なプロテアー ゼ産生能に優れる点で、ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp ) が 好 ま し い 。 該 ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ エ ス ピ ー ( S t r e p t o m y c e s s p .) は 、土壌に多く存在し、病原性は確認されていない。 前 記 ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ エ ス ピ ー ( S t r e p t o m y c e s s p .) の 中 で も 、 ス トレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)、スト レプトミセス・エスピー99−GP−2D−3株、これらの誘導菌株などがより好ましく 、ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)及 40 びその誘導菌株が特に好ましい。 【0014】 なお、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株は、独立行政法人産業 技術総合研究所に寄託されており(受託番号:FERM P−19336)、入手可能で ある。該ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株及びストレプトミセス・エ スピー99−GP−2D−3株は、例えば、以下のようにして、土壌から分離することが できる。即ち、例えば、採取した土壌1gを滅菌した9mlの脱イオン水で希釈し、それ を更に10 2 、10 3 倍 に 希 釈 す る 。 次 に 、 各 希 釈 液 の 0 .1 m l を 後 述 の Colloidal chi tin agar培 地 の 寒 天 平 面 に 撒 き 、 2 7 ℃ で 培 養 す る 。 そ し て 、 微 生 物 の 識 別 は コ ロ ニ ー の 形状、微生物菌体の顕微鏡観察及び生化学試験により、また、複数の菌株が混じっている 50 (8) JP 2005-34152 A 2005.2.10 ときは更に希釈法によって、上述したA∼Dの菌学的性質を有する菌株を分離することに より、土壌から分離することができる。 【0015】 前記誘導菌株としては、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産生能を有す る限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ストレプト ミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)等の子孫、変異 株、などが挙げられる。 前記子孫としては、例えば、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼ産生能を有 する前記ストレプトミセス属微生物を系代培養することにより得られた菌株、などが挙げ られる。 10 前記変異株としては、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産生能を有する 前記ストレプトミセス属微生物の変異株であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択 することができ、変異の原因としては、人工的であってもよいし、自然発生的であっても よく、前者の原因による変異株を人工変異株(人工変異体)を称し、後者の原因による変 異株を自然変異株(自然変異体)と称することがある。前記変異の原因の具体例としては 、紫外線、エックス線等の電離放射線、薬剤、遺伝子組換え、などが挙げられる。前記変 異の原因は、1種単独である場合もあれば、2種以上の組合せによる場合もある。 なお、前記ストレプトミセス属微生物、特に、前記前記ストレプトミセス・エスピー9 9−GP−2D−5株(FERM P−19336)等の菌株は、その性状が変化し易く 、例えば、紫外線、エックス線、薬剤等により、容易に変異し、変異株(変異体)となる 20 。 【0016】 前記難分解性蛋白質とは、プロテイナーゼKを0.1w/v%、30℃で120分間作 用させた場合にも溶解しない蛋白質を意味し、特に制限はなく、公知のものが挙げられ、 例えば、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン蛋白質、ケラチン、などが挙げ られる。 なお、これらの難分解性蛋白質は、例えば、厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物などに 含まれている。 【0017】 本発明において、前記難分解性蛋白質を「分解可能」とは、ブタ肝臓由来の過塩素酸可 30 溶 性 蛋 白 質 ( P S P ) 0 . 6 m g /m l と 、 前 記 ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ エ ス ピ ー 9 9 − G P −2D−5株(FERM P−19336)の培養液中のプロテアーゼ0.003mg/ mlとを混合し、37℃で60分間反応させた後、SDS−PAGE法によって、前記P SPバンドの消失乃至残存を観察する蛋白質分解試験において該PSPバンドが消失した ことを意味する(なお、前記PSPバンドの消失乃至残存については、前記SDS−PA GE法で電気泳動させたサンプルをウエスタン・ブロティングしたものを目視にて観察す ることができる)。 【0018】 また、本発明において、前記過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)を「分解可能」とは、ブ タ 肝 臓 由 来 の 過 塩 素 酸 可 溶 性 蛋 白 質 ( P S P ) 0 . 6 m g /m l と 、 前 記 ス ト レ プ ト ミ セ 40 ス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)の培養液中のプロテ ア ー ゼ 0 . 0 0 3 m g /m l と を 混 合 し 、 3 7 ℃ で 6 0 分 間 反 応 さ せ た 後 、 S D S − P A GE法によって、前記PSPバンドの消失乃至残存を観察する蛋白質分解試験において該 PSPバンドが消失したことを意味し、また、前記異常プリオン蛋白質を「分解可能」と は、クロイツフェルト・ヤコブ病由来又はスクレイピー由来の異常プリオン蛋白質0.6 m g /m l と 、 前 記 ス ト レ プ ト ミ セ ス ・ エ ス ピ ー 9 9 − G P − 2 D − 5 株 ( F E R M P − 1 9 3 3 6 ) の 培 養 液 中 の プ ロ テ ア ー ゼ 0 . 0 0 3 m g /m l と を 混 合 し 、 3 7 ℃ で 6 0分間反応させた後、SDS−PAGE法によって、前記異常プリオン蛋白質バンドの消 失乃至残存を観察する蛋白質分解試験において該異常プリオン蛋白質バンドが消失したこ と を 意 味 し 、 ま た 、 前 記 ケ ラ チ ン を 「 分 解 可 能 」 と は 、 ケ ラ チ ン 0 . 6 m g /m l と 、 前 50 (9) JP 2005-34152 A 2005.2.10 記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)の 培 養 液 中 の プ ロ テ ア ー ゼ 0 . 0 0 3 m g /m l と を 混 合 し 、 3 7 ℃ で 6 0 分 間 反 応 さ せ た 後、SDS−PAGE法によって、ケラチンバンドの消失乃至残存を観察する蛋白質分解 試験において該ケラチンバンドが消失したことを意味する。なお、前記PSPバンド、前 記異常プリオンバンド、又は前記ケラチンバンドの消失乃至残存については、前記SDS −PAGE法で電気泳動させたサンプルをウエスタン・ブロティングしたものを目視にて 観察することができる。 【0019】 な お 、 前 記 培 養 液 に お け る 培 地 組 成 は 、 S A 培 地 ( p H 7 .0 ) < 肉 エ キ ス ( 極 東 製 薬 工業社製):0.3g、トリプトース(Difco社製):0.5g、酵母エキス(Di 10 fco社製):0.5g、グルコース(和光純薬工業社製):0.1g、溶性でんぷん( 和光純薬工業社製):2.4g、CaCO3 :0.2g、脱イオン水:100ml>であ り、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−1933 6)の接種量は、1∼2質量%であり、培養条件は、三角フラスコ内で20℃∼40℃、 4∼6日間、180rpmの液体振とう培養である。 【0020】 前記蛋白質分解試験においては、37℃で60分間反応させた後における前記PSPバ ンドの消失を確認することにより、前記難分解性蛋白質が「分解可能」であると判定する が、このことは、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)の培養液が、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼ活性を有す 20 ることを意味し、前記PSPバンドの消失に要する時間が短い程、前記ストレプトミセス ・エスピー99−GP−2D−5株(FERM P−19336)の培養液における、前 記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼ活性が高いことを意味する(例えば、前記P SPバンドの消失までに要する時間が60分間よりも20分間の方が前記プロテアーゼ活 性が高く、20分間よりも5分間の方が前記プロテアーゼ活性が高い)。なお、本発明に おいては、前記プロテアーゼ活性が異なる菌株どうしは、互いに異なる菌株であるが、該 プロテアーゼ活性を有する限り、前記難分解性蛋白質を「分解可能」であることに変わり がない。 【0021】 前記ストレプトミセス属微生物は培養することにより、前記難分解性蛋白質を分解可能 30 なプロテアーゼを産生するが、該培養としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択 することができる。 前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例 えば、液体培養法、寒天培養法、固体培養法、などが挙げられる。これらは、1種単独で 採用してもよいし、2種以上組合せて採用してもよい。 前記液体培養法としては、例えば、振とう培養、静置培養、などが挙げられる。 前記寒天培養法としては、例えば、スラント培養、プレート培養、などが挙げられる。 前記固体培養法としては、例えば、前記寒天培地以外の培地上で培養する方法などが挙 げられる。 これらの中でも、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼが培養液中に分泌され 40 、該プロテアーゼが効率的に得られる点で、液体培養が好ましく、その中でも、振とう培 養がより好ましい。 【0022】 前記培養の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例 えば、その温度としては、20℃∼40℃が好ましく、そのpHとしては、弱酸性乃至ア ルカリ性(具体的にはpH6∼11)が好ましく、その培養日数としては、前記プロテア ーゼの産生量に応じて適宜決定すればよいが、例えば液体培養の場合には4∼6日間が好 ましい。通常は、この程度の期間の培養で、培養液中に前記プロテアーゼの十分な量が生 成蓄積される。 【0023】 50 (10) JP 2005-34152 A 2005.2.10 前記培養のための培地としては、特に制限はなく、公知の放線菌培養培地、ストレプト ミセス属微生物の培養培地として使用されているものなどが挙げられる。 前記培地の炭素源としては、例えば、グルコ−ス、ポテトスタ−チ、デキストリンなど が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前 記培地の無機窒素源及び有機窒素源としては、例えば、酵母エキス、トリプトース、コー ン・スチープ・リカー、大豆粉、肉エキス、トマトピューレなどが挙げられる。これらは 、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記培地には、その他必要 に応じて、食塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸亜鉛、塩化 マンガン、塩化コバルト、燐酸塩などの無機塩類を添加してもよいし、アミノ酸類、ビタ ミン類、核酸類などの有機物などを添加してもよい。 10 【0024】 例えば、前記ストレプトミセス属微生物を、前記SA培地100mlに1∼2mlだけ 接種し、30℃で5日間、振とう培養(180rpm)すると、その培養液中には、前記 難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼが産生される。 前記ストレプトミセス属微生物の前記培養液は、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロ テアーゼを含有しているので、そのままで又は前記ストレプトミセス属微生物をろ別乃至 除去することにより、後述する本発明の難分解性蛋白質分解用組成物が得られ、また、該 培養液から前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼを分離することにより、後述す る本発明の難分解性蛋白質分解プロテアーゼが得られる。 【0025】 20 本発明のストレプトミセス属微生物は、培養することにより、後述する、本発明の難分 解性蛋白質分解用組成物又は本発明の難分解性蛋白質分解プロテアーゼの製造に好適に使 用することができ、また、厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物等に含まれる前記難分解性 蛋白質を効率的に分解する目的で、これらに直接付与されて使用することができる。 後者の場合には、本発明の前記ストレプトミセス属微生物をそのまま付与してもよいし 、その培養物(培養液等)を付与してもよく、該培養物(培養液等)を付与する場合には 、該培養物(培養液等)をそのまま散布してもよいし、常法により製剤化、粉末化等して から付与してもよい。 【0026】 (難分解性蛋白質分解用組成物及び難分解性蛋白質分解プロテアーゼ) 30 本発明の難分解性蛋白質分解用組成物は、本発明の前記ストレプトミセス属微生物を培 養することにより得られる。該難分解性蛋白質分解用組成物としては、例えば、前記スト レプトミセス属微生物の培養物(培養液など)をそのまま使用してもよいし、該培養物か ら前記ストレプトミセス属微生物を除去(例えば、ろ別等)して得た培養上清を使用して もよい。なお、前記培養上清に対しては、更に不純物等の除去等を行い、精製処理等を行 ってもよい。 なお、前記ストレプトミセス属微生物の培養等の詳細にについては、上述した通りであ る。 【0027】 前記難分解性蛋白質分解用組成物としては、プロテイナーゼKを0.1質量%、30℃ 40 で120分間作用させた場合に溶解することがない難分解性蛋白質を分解可能であれば、 その組成等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記 難分解性蛋白質を分解可能な本発明の難分解性蛋白質分解プロテアーゼを含有するものが 好適に挙げられる。 【0028】 前記難分解性蛋白質分解用組成物における前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼの含有 量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該難分解 性蛋白質分解用組成物が前記難分解性蛋白質を分解可能な程度であればよく、0.02∼ 0.3w/v%などが挙げられる。 【0029】 50 (11) JP 2005-34152 A 2005.2.10 本発明の前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼは、例えば、前記難分解性蛋白質分解用 組成物を精製することにより好適に得られ、また、本発明の前記ストレプトミセス属微生 物を上述のように培養し、難分解性蛋白質分解プロテアーゼを産生させること、好ましく は更に産生した該難分解性蛋白質分解プロテアーゼを分離乃至精製することにより得られ る。 【0030】 前記精製の方法、前記分離乃至精製の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適 宜選択することができ、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール沈殿、酸抽出、透析 、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー 、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキ 10 シアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラ フィー(HPLC)、などの方法が好適に挙げられる。これらは、単独で行ってもよいし 、2以上を併用してもよい。これらの中でも、前記高速液体クロマトグラフィー、アフィ ニティークロマトグラフィーなどが好ましく、該アフィニティークロマトグラフィーに用 いるカラムとしては、例えば、本発明の前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼに対するモ ノクローナル抗体等の抗体を結合させたカラムや、本発明の前記難分解性蛋白質分解プロ テアーゼに通常のペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質 を結合したカラム、などが好適に挙げられる。 【0031】 前記難分解性蛋白質分解プロテーゼの純度としては、特に制限はなく、目的に応じて適 20 宜選択することができ、例えば、0.3質量%以上が好ましく、純品(100%)である のが特に好ましい。 【0032】 前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて 適宜選択することができ、例えば、そのpHとしては、例えば、9∼12であるのが好ま しく、その至適温度としては、60∼70℃であるのが好ましい。 前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼの中でも、N末端のアミノ酸配列が、YDLVG GDAYYIG、で表されるアミノ酸配列(後掲のアミノ酸配列表リスト参照)を有する ものが、前記難分解性蛋白質の分解活性等の点で、特に好ましい。 なお、前記難分解性蛋白質としては、上述した通りであり、過塩素酸可溶性蛋白質(P 30 SP)、異常プリオン蛋白質、ケラチン、などが挙げられる。これらの難分解性蛋白質は 、例えば、厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物などに含まれている。 【0033】 本発明の前記難分解性蛋白質分解用組成物及び前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼは 、前記難分解性蛋白質の分解に使用することができ、後述する本発明の難分解性蛋白質の 分解方法に特に好適に使用することができる。前記難分解性蛋白質又はそれを含む対象に 対し、本発明の前記難分解性蛋白質分解用組成物及び前記難分解性蛋白質分解プロテアー ゼの少なくともいずれかを作用させると、前記難分解性蛋白質を確実に分解させることが できる点で有利である。 【0034】 40 (難分解性蛋白質の分解方法) 本発明の難分解性蛋白質の分解方法は、上述した、本発明の前記難分解性蛋白質プロテ アーゼ及び本発明の前記難分解性蛋白質分解用組成物の少なくともいずれかを用いて、前 記難分解性蛋白質を分解させることを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理 を含む。 前記難分解性蛋白質の分解の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択す ることができ、例えば、pHとしては9∼12などが好ましく、温度としては60∼70 ℃が好ましい。 なお、前記分解の際には、反応を効率的にすることができる点で、攪拌等を行うのが好 ましい。 50 (12) JP 2005-34152 A 2005.2.10 また、前記難分解性蛋白質に対し、作用させる前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼの 量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.02∼0 .3w/v%が好ましく、0.6w/v%以上がより好ましい。 【0035】 前記難分解性蛋白質としては、上述した通りであり、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP) 、異常プリオン蛋白質、ケラチン、などが挙げられる。これらの難分解性蛋白質は、例え ば、厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物などに含まれている。 本発明の前記難分解性蛋白質の分解方法は、前記難分解性蛋白質の分解に特に好適に使 用することができる。 【実施例】 10 【0036】 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定され るものではない。 【0037】 (実施例1) −ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株の単離− 採取した土壌1gを滅菌した9mlの脱イオン水で希釈し、それを更に10 2 、10 3 倍 に 希 釈 し た 。 次 に 、 各 希 釈 液 の 0 .1 m l を 後 述 の コ ロ イ ダ ル ・ キ チ ン 寒 天 培 地 ( Collo idal chitin agar 培 地 ) の プ レ ー ト に 撒 き 、 2 7 ℃ で 培 養 し た 。 な お 、 微 生 物 の 識 別 は コロニーの形状、微生物菌体の顕微鏡観察及び生化学試験により、また、複数の菌株が混 20 じっているときは更に希釈法によって、上述したA∼Dの菌学的性質を有する菌株を分離 した。なお、上述したA.形態的性質を観察した際の電子顕微鏡写真を図1に示し、上述 したD.生育状態を観察した際の電子顕微鏡写真を図2に示した。前記電子顕微鏡写真は 、常法に従い、試料を臨界点で乾燥後に金蒸着してから走査型顕微鏡を用いて撮影したも のである。 分離した微生物菌株の諸性質は、ストレプトミセス属微生物が所有する諸性質とよく対 応したが、従来公知のストレプトミセス属微生物とは、その16Sリボゾーム遺伝子の部 分塩基配列(459bp)による相同性が95%であり、完全に一致しなかったので、こ の分離微生物菌株を新規微生物と判断し、ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D −5株と命名した。得られたストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株は、平 30 成15年5月7日に本出願人によって独立行政法人産業技術総合研究所にて寄託され、受 託番号FERM P−19336が付与された。 【0038】 [コロイダル・キチン寒天培地(pH7.0)組成] コロイダル・キチン 2g K2 HPO4 0.7g KH2 PO4 0.3g MgSO4 ・5H2 O 0.5g FeSO4 ・7H2 O 0.01g ZnSO4 0.001g 40 MnCl2 0.001g 寒天 20g 脱イオン水 1000ml (なお、上記コロイダル・キチンは、微生物実験マニュアル(講談社、協和発酵東京研究 所編、1986)記載の方法に従って作製した。即ち、粗キチン(和光純薬工業社製)を 苛性ソーダ、1N塩酸で24時間洗浄した。これを5回ずつ行った後、95%エタノール で4回洗浄した。こうして得られた白色キチン(15g)を濃塩酸100ml中に入れ、 氷で冷やし撹拌した。ガラスウールでろ過したろ液を氷冷水中に注ぎ、キチンの沈殿を形 成させた。なお、グラスウール上のものは更に塩酸で処理し、同様な操作を繰り返してキ チンを回収した。キチン溶液は一晩放置した後、苛性ソーダでpH7.0に調整し、遠沈 50 (13) JP 2005-34152 A 2005.2.10 で分離、洗浄することによりキチンを回収した。) 【0039】 (実施例2) −難分解性蛋白質分解用組成物の調製及び難分解性蛋白質の分解− ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株を以下のSA培地で27℃、5日 間、液体振とう培養(180rpm)した。 [ S A 培 地 ( p H 7 .0 ) 組 成 ] 肉エキス(極東製薬工業社製) 0.3g トリプトース(Difco社製) 0.5g 酵母エキス(Difco社製) 0.5g 10 グルコース(和光純薬工業社製) 0.1g 溶性でんぷん(和光純薬工業社製) 2.4g CaCO3 0.2g 脱イオン水 100ml 【0040】 培養終了後、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株の菌体を遠心分 離により除いた後、培養上清を55℃で1時間加熱し、前記プロテアーゼ以外の蛋白質を 失活させた。こうしてストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株の培養液によ る本発明の難分解性蛋白質分解用組成物を調製した。 ここで、調製した難分解性蛋白質分解用組成物の、前記難分解性蛋白質の分解活性を以 20 下のようにして調べた。即ち、前記難分解性蛋白質分解用組成物としての、ストレプトミ セ ス ・ エ ス ピ ー 9 9 − G P − 2 D − 5 株 の 培 養 液 2 0 μ l ( 0 . 0 0 3 m g /m l ) と 、 前 記 難 分 解 性 蛋 白 質 と し て 、 文 献 ( J. Biol. Chem., 270, 30060, 1995) 記 載 の 方 法 に 準 じ て 調 製 し た ブ タ 肝 臓 由 来 蛋 白 質 P S P 2 0 μ l ( 0 . 6 m g /m l ) と を 混 合 し 、 3 7 ℃で60分間反応させた後、SDS−PAGE法によって、SDS−PAGE法によって 、前記PSPバンドの消失乃至残存を観察する蛋白質分解試験において該PSPバンドが 消失したかどうかを観察した(なお、前記PSPバンドの消失乃至残存については、前記 SDS−PAGE法で電気泳動させたサンプルをウエスタン・ブロティングしたものを目 視にて観察した)。 【0041】 30 結果を図3(右)に示した。また、対照として、既知のプロテアーゼであるプロテイナ ーゼK(和光純薬工業社製)を用いて同様の蛋白質分解試験を行った結果を図3(左)に 示した。図3に示す結果からも明らかなように、前記難分解性蛋白質分解用組成物として の、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株の培養液の場合、PSPバ ンドが反応開始から5分間で完全に消失し、該ストレプトミセス・エスピー99−GP− 2D−5株が前記難分解性蛋白質である前記PSPに対して優れた分解能を有し、難分解 性蛋白質分解プロテアーゼの産生能に優れた菌株であることが判った。なお、このことは 、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株が、前記難分解性蛋白質を分 解可能なプロテアーゼの産生能を有していたことを意味する。 一方、対照である前記プロテイナーゼKの場合では、37℃で60分間反応させた場合 40 にはBSA(牛血清アルブミン;シグマ社製)は分解できたものの前記PSPについては 分解することができなかった。 【0042】 上記同様に、前記難分解性蛋白質分解用組成物としての、ストレプトミセス・エスピー 9 9 − G P − 2 D − 5 株 の 培 養 液 2 0 μ l ( 0 . 0 0 3 m g /m l ) と 、 前 記 難 分 解 性 蛋 白質として、クロイツフェルト・ヤコブ病由来異常プリオン蛋白質(CJD)若しくはス ク レ イ ピ ー 由 来 異 常 プ リ オ ン 蛋 白 質 2 0 μ l ( 3 m g /m l ) 又 は 4 0 μ l ( 3 m g / m l)とを混合し、37℃で60分間反応させた後、SDS−PAGE法によって、前記異 常プリオン蛋白質バンドの消失乃至残存を観察する蛋白質分解試験において該異常プリオ ン蛋白質バンドが消失したかどうかを観察した(なお、前記異常プリオン蛋白質バンドの 50 (14) JP 2005-34152 A 2005.2.10 消失乃至残存については、前記SDS−PAGE法で電気泳動させたサンプルをウエスタ ン・ブロティングしたものを目視にて観察した)。 【0043】 結果を4(右)に示した。また、対照として、既知のプロテアーゼであるプロテイナー ゼK(和光純薬工業社製)を、濃度を変更して(2μg/20μl、4μg/20μl、 1 0 μ g /2 0 μ l ) 用 い て 同 様 の 蛋 白 質 分 解 試 験 を 行 っ た 結 果 を 図 4 ( 左 ) に 示 し た 。 図4に示す結果からも明らかなように、前記難分解性蛋白質分解用組成物としての、前記 ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株の培養液の場合、前記異常プリオン 蛋白質バンドが反応開始から5分間で完全に消失し、該ストレプトミセス・エスピー99 −GP−2D−5株が前記難分解性蛋白質である前記異常プリオン蛋白質に対して優れた 10 分解能を有し、難分解性蛋白質分解プロテアーゼの産生能に優れた菌株であることが判っ た。なお、このことは、前記ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株が、前 記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼの産生能を有していたことを意味する。 一方、対照である前記プロテイナーゼKの場合では、37℃で60分間反応させても異 常プリオン蛋白質を分解することができなかった。 【0044】 上記同様に、前記難分解性蛋白質分解用組成物としての、ストレプトミセス・エスピー 9 9 − G P − 2 D − 5 株 の 培 養 液 2 0 μ l ( 0 . 0 0 3 m g /m l ) と 、 前 記 難 分 解 性 蛋 白 質 と し て 、 ケ ラ チ ン 2 0 μ l ( 0 . 6 m g /m l ) と を 混 合 し 、 3 7 ℃ で 6 0 分 間 反 応 させた後、SDS−PAGE法によって、前記ケラチンバンドの消失乃至残存を観察する 20 蛋白質分解試験において該ケラチンバンドが消失したかどうかを観察した(なお、前記ケ ラチンバンドの消失乃至残存については、前記SDS−PAGE法で電気泳動させたサン プルをウエスタン・ブロティングしたものを目視にて観察した)。 【0045】 結果としては、前記難分解性蛋白質分解用組成物としての、前記ストレプトミセス・エ スピー99−GP−2D−5株の培養液の場合、前記ケラチンバンドが反応開始から5分 間で完全に消失し、該ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株が前記難分解 性蛋白質である前記ケラチンに対して優れた分解能を有し、難分解性蛋白質分解プロテア ーゼの産生能に優れた菌株であることが判った。なお、このことは、前記ストレプトミセ ス・エスピー99−GP−2D−5株が、前記難分解性蛋白質を分解可能なプロテアーゼ 30 の産生能を有していたことを意味する。 一方、対照である前記プロテイナーゼKの場合では、37℃で60分間反応させてもケ ラチンを分解することができなかった。 【0046】 (実施例3) −難分解性蛋白質分解プロテアーゼの調製− 実施例2で調製した難分解性蛋白質分解用組成物に対し、20%硫酸アンモニウム沈殿 を行い、その沈殿物を除去し、残りの上清に対し、80%硫酸アンモニウムで飽和し、遠 心分離により粗精製酵素を得た。この粗精製酵素を0.05Mリン酸緩衝液(pH6.8 )に対し透析し、透析内液をSephadex−SPイオン交換により精製した。以上に 40 より、実施例2で調製した難分解性蛋白質分解用組成物から難分性蛋白質分解プロテアー ゼを得た。 【0047】 得られた前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼについて、SDS−PAGE法によって 、前記PSP、前記異常プリオン蛋白質、又は前記ケラチンの各バンドの消失乃至残存を 観察する蛋白質分解試験を実施例2において、前記難分解性蛋白質分解用組成物としての 、ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5株の培養液に代えて、得られた前記 難分解性蛋白質分解プロテアーゼに代えた以外は、実施例2と同様にして行ったところ、 実施例2における前記難分解性蛋白質分解用組成物と同様に、実施例3の難分解性蛋白質 分解プロテアーゼも前記難分解性蛋白質の分解活性を有していることが判った。 50 (15) JP 2005-34152 A 2005.2.10 【0048】 (実施例4) −難分解性蛋白質分解プロテアーゼの理化学的性質− 実施例3で調製した難分解性蛋白質分解プロテアーゼの至適pH、至適温度、分子量、 末端アミノ酸配列について、以下のようにして調べた。 即ち、実施例3で得られた難分解性蛋白質分解プロテアーゼの至適温度は、pH11. 5の緩衝液に、前記PSPと、前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼとを加えて50μl とし(前記PSPの濃度は0.6mg/ml、前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼの濃 度は0.003mg/ml)、種々の温度で10分間インキュベートした後、フェニルメ タンスルホニルフルオリド(PMSF:1mM)を含む2倍希釈のサンプルバッファーを 10 加えて100℃で5分間加熱し、SDS−PAGEとウエスタンブロットとを行い、イメ ージアナライザー(富士写真フィルム社製)を用いて得られたバンドをスキャンすること により調べた。結果を図5(左)示した。 【0049】 また、実施例3で得られた難分解性蛋白質分解プロテアーゼの至適pHは、pH3∼1 2までの緩衝液に、前記PSPと、前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼとを加えて50 μlとし(前記PSPの濃度は0.6mg/ml、前記難分解性蛋白質分解プロテアーゼ の濃度は0.003mg/ml)、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF:1 mM)を含む2倍希釈のサンプルバッファーを加えて100℃で5分間加熱し、SDS− PAGEとウエスタンブロットとを行い、イメージアナライザー(富士写真フィルム社製 20 )を用いて得られたバンドをスキャンすることにより調べた。結果を図5(右)に示した 。 【0050】 また、実施例3で得られた難分解性蛋白質分解プロテアーゼの分子量は、マススペクト ル分析器(日本電子社製)を用いた質量分析により測定したところ、19,327であっ た。 また、実施例3で得られた難分解性蛋白質分解プロテアーゼのN末端のアミノ酸配列は 、HP G1005A プロテイン・シークエンシング・システム(ヒューレット・パッ カード社製)を用いたエドマン分解法により測定したところ、YDLVGGDAYYIG 、で表されるアミノ酸配列(後掲のアミノ酸配列表リスト参照)を有していることが判っ 30 た。 【0051】 実 施 例 3 で 調 製 し た 難 分 解 性 蛋 白 質 分 解 プ ロ テ ア ー ゼ は 、 N 末 端 の ア ミ ノ 酸 配 列 が 、 Ty r Asp Leu Val Gly Gly Asp Ala Tyr Tyr Ile Gly ( Y D L V G G D A Y Y I G ) ( 配 列 番 号 1 ) で 表 さ れ る 点 で 、 S t r e p t o m y c e s s p . Y S A − 1 30により産生され、CM−セファデックス・カラムクロマトグラフィー及び結晶化によ り均一に精製された細胞外アルカリ性セリンプロテアーゼであり、N末端アミノ酸配列が 、 Tyr Asp Leu Val Gly Gly Asp Ala Tyr Tyr Met Gly Gly Gly Asp( Y DLVGGDAYYMGGGD)(配列番号2)で表される既知のSAPとは異なること が判った。 40 なお、前記SAPは、分子量が19,000(SDS−PAGE及びゲル濾過で測定) の単量体タンパク質であり、そのアミノ産組成物及びN末端配列は、例えば、Strep tomyces griseusプロテアーゼA及びB、Lysobacter enx ymogenes α−溶解プロテアーゼ、及びNocardiopsis dasso nvillei subsp. prasina OPC−210 アルカリ性セリンプ ロテアーゼNDP−Iなどのその他の細菌性セリンプロテアーゼのアミノ産組成物及びN 末端配列に酷似し、その至適温度及び至適pHは60℃及びpH11.5であり、温度5 0℃までpH4∼12の間で安定的であり、その活性は、Ag + 、Hg + 、Co 2 + 、ド デ シ ル 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 、 N − ブ ロ モ こ は く 酸 イ ミ ド 、 D F P ( diisopropyl N-ethylmale imide) 、 D T N B ( 2,3-ブ タ ン ジ オ ン , 5,5'-ジ チ オ ビ ス -(2 -nitrobenzonic acid)) 50 (16) JP 2005-34152 A 2005.2.10 、ヨード酢酸、N−エチルマレイミド(NEM)、フェニルメタンスルフォニルフルオラ イド(PMSF)及びフェニルグリオキサールにより阻害されることが報告されている( Biosci. Biotech. Biochem., 58(3), 470-474, 1994参 照 ) 。 【産業上の利用可能性】 【0052】 本発明のストレプトミセス属微生物、難分解性蛋白質分解プロテアーゼ、難分解性蛋白 質分解用組成物、及び難分解性蛋白質の分解方法は、厨芥、排水、有機廃液、産業廃棄物 などに含まれる、過塩素酸可溶性蛋白質(PSP)、異常プリオン、ケラチン等の難分解 性蛋白質を効率良く分解し、発生する残渣の発生量を大幅に低減させるのに好適に使用す ることができる。 10 【図面の簡単な説明】 【0053】 【図1】図1は、上述したA.形態的性質を観察した際の電子顕微鏡写真である。 【図2】図2は、上述したD.生育状態を観察した際の電子顕微鏡写真である。 【図3】図3は、本発明のストレプトミセス属微生物であるストレプトミセス・エスピー 99−GP−2D−5株の優れた難分解性蛋白質PSP分解プロテアーゼ活性を示す実験 データであり、右図は、ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5の培養液とP SPとを37℃で、0、1、5、15分間それぞれ反応させたときのSDS−PAGE像 であり、左図は、既知プロテアーゼであるプロテイナーゼKを、BSA又はPSPと37 ℃で0分間又は60分間反応させたときのSDS−PAGE像である。 20 【図4】図4は、本発明のストレプトミセス属微生物であるストレプトミセス・エスピー 99−GP−2D−5株の優れた難分解性蛋白質異常プリオン分解プロテアーゼ活性を示 す実験データであり、右図は、ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5の培養 液20μl若しくは40μl、又は、既知プロテアーゼであるプロテイナーゼK2μg/ 2 0 μ l 、 4 μ g / 2 0 μ l 、 1 0 μ g /2 0 μ l と 、 ク ロ イ ツ フ ェ ル ト ・ ヤ コ ブ 病 由 来 異常プリオン蛋白質(CJD)を37℃で60分反応させたときのSDS−PAGE像で あり、左図は、ストレプトミセス・エスピー99−GP−2D−5の培養液20μl若し くは40μl、又は、既知プロテアーゼであるプロテイナーゼK2μg/20μl、4μ g / 2 0 μ l 、 1 0 μ g /2 0 μ l と 、 ス ク レ イ ピ ー 由 来 異 常 プ リ オ ン 蛋 白 質 を 3 7 ℃ で 60分間反応させたときのSDS−PAGE像である。 【図5】図5の左図は、本発明の難分解性蛋白質分解プロテアーゼの至適温度を表す実験 データのグラフであり、右図は、本発明の難分解性蛋白質分解プロテアーゼの至適pHを 表す実験データのグラフである。 30 (17) 【図1】 【図2】 JP 2005-34152 A 2005.2.10 (18) 【図3】 JP 2005-34152 A 2005.2.10 (19) 【図4】 JP 2005-34152 A 2005.2.10 (20) 【図5】 【配列表】 2005034152000001.app JP 2005-34152 A 2005.2.10 (21) JP 2005-34152 A 2005.2.10 フロントページの続き 7 (51)Int.Cl. C12N FI 9/52 テーマコード(参考) B09B 3/00 D B09B 3/00 304Z (72)発明者 岡 達三 鹿児島県鹿児島市西伊敷7−21−5−32 (72)発明者 趙 卉 鹿児島県鹿児島市郡元2−10−18 米森アパート202 Fターム(参考) 4B050 CC01 CC07 DD02 FF05 FF11 LL05 4B065 AA50X AC20 BA23 BB19 CA33 CA54 4D004 AA03 CA20 CC07 4D040 DD03 DD11
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