日本家政学会誌 Vo l .39 No.7 6 9 9 7 1 0( 1 9 8 8 ) 日本人成人女子にみられる身体形質の近代化と 衣生活意識との関連性 岡田宣子 (文化女子大学家政学部) 昭和 62年 9月 298受 理 The Relationship between the Modernization of Physical Characteristics Japanese Adult Women and Clothing Preferences in. Nobuko OKADA F a c u l t yザ HomeE c o n o m i c s,Bunka Women's U n i v e r s i t y ,S h i b u y a ・ k u,Tokyo 1 5 1 Theaimo ft h i sstudy i st omakec l e a rt h er e l a t i o n s h i pbetweent h em o d e r n i z a t i o no fp h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c sandc l o t h i n gp r e f e r e n c e s . 1 ) Valuesofbody measurements o fa d u l t women were analyzed byp r i n c i p a lcomponent 一-onei sYanagisawa'sd a t a( 19 5 1 )and t h eo t h e r a n a l y s i s . Thed i f f e r e n c ebetweeng e n e r a t i o n s i sOkada'sd a t a( 1983-1984)一-wass i g n i f i c a n t( 0 .1%l e v e l )i na l lt h r e ecomponents; namely, t h ef i r s tcomponent: s i z ef a c t o r, t h es e c o n d component: s h a p ef a c t o r, and t h et h i r d comp o n e n t :l i m b st otrunk f a c t o r . Thus, t h emodernization o fp h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c swasc o n s i d e r e dt oadvanceu n t i lt o d a y . 2 ) Ther e s u l t so b t a i n e dby t h eq u e s t i o n n a i r eonc l o t h i n gp r e f e r e n c e sr e l a t e dt oeverydaywear d e s i r e d body t y p e "i n weresummarized. The r e s u l t so ff a c t o ra n a l y s i si n d i c a t e dt h a tt h e“ c l o t h i n gp r e f e r e n c e swasi n t e r e s t e dthroughg e n e r a t i o n s . I twas madec l e a rt h a tt h eyounger t h eg e n e r a t i o nwast h es t r o n g e rt h e ywerec o n s c i o u so ft h e i rown physiquei nc o n n e c t i o nwith c l o t h i n gp r e f e r e n c e s . Youngwomennowwearunderwearc o n s i d e r i n gf i t n e s sw h i l et h eo l d e s t g e n e r a t i o nd o e sn o twears o . f Iuenceo ft h ec o n s c i o u s 3 )H a y a s h i ' sQ u a n t i f i c a t i o nM e t h o d T I I wasa p p l i e dt oa n a l y z et h ei n: t wasmadec l e a rt h a tt h eimpacto ft h e o fo n e ' sphysiqueupono n e ' ss e l e c t i o no fc l o t h i n g . I modernizationo fp h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c swasr e c o g n i z e di nc l o t h i n gp r e f e r e n c e so fb o t ht h e m o t h e r ' sandd a u g h t e r ' sg r o u p s . ,1 9 8 7 ) ( R e c e i v e dSeptember29 l o t h i n gp r e f e r e n c e s Keywords: m o d e r n i z a t i o no fp h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c s 身体形質の近代化, c 衣生活意識, everydaywear 日常着. 1 . 緒 言 ていると思われる.また,顕著な性差として著者がすで 現代人は自然環境や人為環境に適応し生活しているが, 最近の数世代の聞の身体形質に変化が生じてきている. に指摘したように尺男性から外見の良さで判断される 現代女性にとって,衣生活は自己を向上させる一手段と 9 5 7年に長谷部が「身体 このような形質の変化に対 L,1 して重要な部分を占めると考えられる.そこで本報は衣 形質の近代化」と定義している1) また,最近の著しい 生活に関心の深い現代女性に着目し,身体形質の近代化 形質の変化は全国資料によっても指摘されているところ という生物現象を着装の意味を考えながら,衣生活の観 である D ーの. 点からとらえようと意図したものである.すなわち,形 着装し生活を営む現代人にとって,最近の身体形質の 著 Lい変化はその影響を文化としての衣生活に生じさせ 質の近代化の現状を把握し 3世代にわたる衣生活意識 に関する調査を解析し,衣生活行動の背景を世代別に観 (699) 53 Vo .39 No.7 ( l 1 9 8 8 ) 日本家政学会誌 Table 1 . Questionnaireonc l o t h i n gp r e f e r e n c e sf o ra d u l t~omen ' 0 . I 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 1! 3 19 20 21 22 23 24 25 質問内容 回答内容 外出着としてスラックスを着用しますか 外出着と Lてワンピースを着用しますか 外出着としてスカ}トを着用しますか 外出着として和服を着用しますか 外出着を着用する際、フラシャ}を着用しますか 外出着を着用する際、スリップを着用しますか 外出着を着用する際、ガートルを着用しますか 外出着としてウエスト〈胴囲〉部分のゆるみ量に ついてはとのようなものを着用しますか 外出着の装いを考える際、涜行が気になりますか 外出着として申し分のない被服が庖頭に並んでいたと Lます、気に入った場合どの様な価格であれば賭入しますか 外出着として注文服〈手作り服も含む〉を利用しますが 外出着として既製服を賜入する場合、既製服サイズで 自分の体に適合するものがありますか 外出着を選ふ場合自分の体つきや個性に合ったデザイン であるように配慮しますか 外出着のデサインを考える場合、背の高さが気になりますか 外出着のデザインを考える場合、醸の太さが気になりますか 外出蓄のデサインを考える場合、脚の長さか気になりますか 外出着のデザインを考える場合、胴の太さか気:こなりますか 外出着として格好か良〈気に入ったデザイシてあるなら、 着用時:こ動きにくいデザインであっても着用 Lますか 外出着を選A、場合、手入れしやすいということを考慮しますか 外出着のデザインを考える場合、涜行 l こ左右されず、飽きの こない長〈着用できるデサイシであるよう配慮しますか 外出着を選ふ場合、着心地か良いということを考慮しますか 家の中で動きやすい衣服としてスラックス0;1:づウ17 も含む〉 を着用しますか 家の中で動きやすい衣服としてワンピース ( I J . O : 'ドはも含む) を着用しますか 家の中で動きやすい衣服としてスカ}トを着用しますか 家の中で動きやすい衣服として和服を着用しますか 着用しない 着用しない 着用しない 着用しない 着用しない 着用しない 着用しない かなりゆるめ のもの 気にならない 安価であれば たまに着用する たまに着用する たまに着用する たまに着用する たまに着用する たまに着用する たまに着用する ややゆるめのもの いつも着用する いつも着用する いつも着用する いつも着用する いつも着用する いつも着用する いつも着用する ややきつめのもの 利用しない 適合するものが ない 配lf.しない やや気になる 適度の価格で あれば たまに利用する たまに適合する ものがある やや配慮する かなり着用する かなり着用する かなり着用する かなり着用する かなり着用する かなり着用する かなり着用する ゆるめでもきつめ でもないもの かなり気になる やや高価でも かなり利用する かなり適合する ものがある かなり配慮する いつも利用する いつも適合する ものがある 非常に配慮する 気にならない 気にならない 気にならない 気にならない 着用しない やや気になる やや気になる やや気になる やや気になる たまに着用する かなり気になる かなり気になる かなり気になる かなり気になる かなり着用する 非常に気になる 非常に気になる 非常に気になる 非常に気になる いつも着用する 考慮しない 配慮しない やや考慮する やや配慮する かなり考慮する かなり配慮する 非常に考慮する 非常に配慮する 考慮しない 着用しない やや考慮する たまに着用する かなり考慮する かなり着用する 非常に考慮する いつも着用する 着用しない たまに着用する かなり着用する いつも着用する 着用しない 着用しない たまに着用する たまに着用する かなり着用する かなり着用する いつも着用する いつも着用する │ 非常に気になる かなり高価でも 察する.さらに,身体形質の近代化と衣生活意識とのか である.これを日本人の体格調査報告書の全国値 lDと比 かわりを数量化阻類により把握しようと試みた. 較したところ,身長・胸囲・体重では有意な差はみられ 形質の近代化に関する従来の研究 ωゅは"、ずれも項目 ないことから全国値のサンプルとみなしうると考えた. ごとの検討にとどまっており,本報のように衣生活との 柳沢資料とは,柳沢が 1 9 5 1年に女子学生 1 5 0名 に つ い かかわりから多変量解析を適用し総合的に検討を加えた て計測した調査原票の計測値を用い,著者が解析したも ものは見られない. ので 1 9 3 0年前後生まれの者である.形質の近代化を単 項目ごとに観察し,さらに新たな試みとして多変量解析 2 . 資料ならびに研究方法 により検討を行った. 2 ) 衣生活意識について 1 ) 成人女子の身体形質の近代化 20歳前後の女子学生の横断的資料すなわち,老年女 3世代にわたる成人女子を対象とした衣生活意識に関 子世代〈祖母世代が約 20歳であった当時の計測資料で する質問紙調査 ( T a b l e1 ) により,衣生活意識を背景 以後足立資料とよぶ)・中年女子世代(母親世代が 20歳 とした衣生活行動の現状の把握を試みた.調査実施期間 前後であった当時の計測資料で以後柳沢資料とよぶ)・ は1 9 8 4年 6 9月である.質問項目の回答すべてに評 若年女子世代(娘世代に相当し以後岡田資料とよぶ〉の 定尺度値“ 1" . “ 4"を与えた.たとえば Table1に 検討から,被服寸法に直接かかわる項目により,最近の 示す No.8の「ウエストのゆるみ」の項目では「かなり 第一世代 ゆるめのもの」に評定尺度値“ 1"を, 第三世代の形質の著しい変化を把握しようと 試みた.岡田資料を約 30年前の柳沢資料 50年前の足 r ややゆるめの r ゆるめでもきつめでもないもの」 r ややきつめのもの」に評定尺度値“ 4" , もの」に“ 2"を 立資料9) (足立の報告値〉と比較した.岡田資料とは に“ 3"を , 1 8 2 0歳の 1 5 0名の女子学生を対象とし著者が 1 9 8 3年 を与えた.因子分析により世代ごとに検討し,人が着装 主として Martin法 10) および日 する意味について,また衣生活行動における体つきの意 本人の体格調査で設定された衣服寸法設定のための身体 識の位置づけについて把握しようと試みた.本報でいう 計測法山により計測したもので, 1 9 6 5年前後生まれの者 衣生活とは,最も使用頻度の高い日常着に着目 L,日常 5月1 9 8 4年 6月に, 54 (700) 日本人成人女子にみられる身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 Table2 .Q u e s t i o n n a i r eonc l o t h i n gp r e f e r e n c e so fa d u l t women, a sar e s u l to f t h ec o n s c i o u so ft h e i rp h y s i q u e s 回答内容 質問内容 No. { 体重 〈 ご自身の身長・体重をお書き下さい 身長 2 ご自身の背の高さについてどうお思いですが、いずれかを Oで因んで下さい 非常に高い やや高い どちらとも言えない ややほい 非常に低い 3 ご自身の御の長さについてどうお思いですが、いずれかを Oで図んで下さい 非常に長い やや長い どちらとも言えない やや短い 非常に短い 4 こ自身の体つきについてどうお思いですが、いずれかを Oで囲んで下さい j ド宇吉に太り気味やや太り気味 どちらとも言えない やや痩せ気味 非常に痩せ気味 5 事{j;を務人する崎、智の局さと靴のヒー)~の高さとを関連づけて 背の高さが高いのでヒールの高さは l~めのものを選ぶ c m ) Kg) 宵の高さがi 医いのでヒールの高さは高めのものをii!iぶ 背の高さとヒールの高さは関連つけて考えない いますがいずれかに Oをつけて下さい 6-) ご自身の布団の長さについて、各問の回答摘がら後当するいずれかを 0で図んで下さい 短いと思う ・ 短くはないと思う 短いと思う . I iくはないと思う 短いと思う ・ . I i i <はないと思う 背の高さが高いので長めの布団を窃人している f 寺t こ背の高さに関しては配慮していない 敷布団〈またはマットレス)の長さは 掛け布団の長さは 毛布の長さは 6-2 布団購入時に習の高さを配慮していますが、いずれかに Oをつけて下さい 7-) 着用しない スラヴヲスを着用しますが()年間全般を考えて下さい〉 いずれかを Oて図んで下さい たまに着用す吊 0をつけて下さい いつも着用する かなり着用する l 自分の i 本にスラッヲスは合わないと思うので 3 体の絡がは勺きり出るのか恥ずか Lいので 7-2 着用しないと答えた方!;t,その理由のいずれかに()つ以上〉 2 脚か組くスタイルに自 l ;sがないので 4 座也氏の生活なので膝がぬけ、着崩れる のて 7-3 ] 5 その他(理由を下にお脅さ下さい) [ l 動きやすいので 2 自分の体にスラックスが合うと思うので 3 体がおおい隠され恥ずかし〈ないので 4 脚か長く^?-()~に自信があるので 5 流行なので 6 防主主用として便利なので 〈たまに・かなり・いつも)着用すると答えた万~;t .その J I由のいずれかに (Jつ以上)()をつけて下さい 7 その他{理由を下にお脅さ下さい) [ 8-) 被服を騒人〈または製作、注文〉する総ご自身の背の高さに関して 考慮しない やや考慮する ] 非常に考慮する デザインを考慮していますか 8-2 〈やや・非常に〉考慮すると答えた方は、考階、している内容を具体的に 考慮内容[ 奮いて下さい の外出着を主とし家庭着を含めて 1年 聞 を 通 し た 衣 生 身体形質の近代化と衣生活意識との関連性について検討 活行動をとらえようとした. 25の質問項目の内容は, を行った.すなわち,神奈川県内に居住する健康な母親 「外出着を選択・着用するさいの外出着の形態」・「ファ とその娘 (150 家族〉を対象として 1984 年 7~ 1 0月に ウンデーション」・「体つきへの配慮」・「着心地の考慮」・ 調査を実施した.質問内容は Table2に示すとおりで 「被服の社会的機能の考慮」・「経済性」などの衣生活に ある.有効総数は母親 (39~57 歳) 138 名,娘(1 9~20 関する多方面からの項目,さらに「家庭着の形態」を含 歳) 1 4 5名である. 質問紙票に記入された身長・体重の んでいる.調査は神奈川県内に居住している健康な老年 記入値を用いて Rohrer示数を算出した.これら身長・ 女子世代 (1890~1926 年生まれの 150 名)・中年女子世 体重・ Rohrer示数の平均値を全国資料 11>と比較したと 2 6~ 1 9 4 4年 生 ま れ の 250名 ) ・ 若 年 女 子 世 代 代(19 ころ,娘集団では 3項目とともに有意差はみられなかっ (I 964~1966 年生まれの 250 名〉について行った. 有効 た.母親集団では体重は有意差がみられずやや身長が高 総数は老年女子世代 1 0 4名〈平均年齢 69歳)・中年女子 いことから,背がやや高く痩せ型の体型をもっ集団であ 世代 1 7 1名〈平均年齢 47歳)・若年女子世代 244名(平 る.質問紙調査で得られた身長・体重は記入値であるの 均年齢 1 9歳〉であり,対象者の生活程度はほぼ中程度 で,記入値と実測値との相違について把握しておく必要 である.各項目の平均値を世代別に求め考察し,因子分 がある.そこで,計測資料の得られた娘の身長と体重に 析を各世代について行い検討した.さらに,各世代の人 ついて検討したところ,記入値との相関係数は身長: 数を比例抽出することにより 1 0 3~ 1 0 4名に人数調整し 0 . 9 8 7,体重:0 . 9 8 3 であり,記入値と実測値との食い て 3世代の一括集団〈以後,老年・中年・若年一括女子 違いはあまりみられず,本報の記入値は実測値すなわち 世代とよぶ〉を構成して因子分析を行った.得られた各 実際値とみなしてさしっかえないと考えた.形質の近代 因子について世代ごとに因子得点の平均値を求め考察を 化のみられる自己の体つきに対する意識が,衣生活の選 進めた. 択傾向にどのようにかかわっているかを検討するので, 3 ) 身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 近代化が著しく認められ,かつ体格を表す代表項目でも 母親とその娘の 2世代を対象に質問紙調査を実施し, ある身長に基づいて集団の分類を行った.また,母親集 (701) 55 Vo l .39 No.7 ( 1 9 8 8 ) 日本家政学会誌 t emsshowingt h ec o n s c i o u so fo n e ' sownphysique,ands e 1 e c t i o nt r e n d Table3 .I i nc l o t h i n gp r e f e r e n c e s C o n t e n t s C o n s c i o u so f 2 Height o n e ' sown physique Answer No. Question 3 Legl e n g t h 4 Physique S e 1 e c t i o nt r e n d 5 Heighto f i nc l o t h i n g h e e l si n p r e f e r e n c e s s h o e s Very l o n g Verys h o r t Al i t t l ef a t S u i t a b 1 e Very f a t Very t h i n Al i t t l es h o r t (a) (b) Un c o n s c i o u s (c) (d) C o n s c i o u s Al i t t l et h i n Unconscious (e) C o n s c i o u s (f) S e l e c t i o no fs h o e si sn o ti nf 1uenced by o n e ' s ownh e i g h t Unconscious (g) Asmyh e i g h ti st a l l( s h o r t ),1u s u a l l ys e1 e c t s h o e swith1 0 w e r( h i g h e r )h e e l s C o n s c i o u s (h) S e l e c t i o no f a Futon i sn o ti nf 1uenced by o n e ' sownh e i g h t Unconscious Asmyh e i g h ti st a l l,1u s u a l l ys e l e c ta Futon o fl o n g e rl e n g t h,1t h i n ksomethingo ft h e r f o l l o w i n gi st o os h o r t : b l a n k e t,mat,o Futon C o n s c i o u s My physiqueo r1 e gs h a p ed o e sn o ti nf 1uence whether1wears l a c k so rn o t UnconsCIous 1d o n ' twears l a c k sb e c a u s et h e yd o n ' t五tmy own physiqueo rl e gs h a p e C o n s c i o u s ( d o n ' twear) (1) 1wears l a c k sb e c a u s et h e y五tmy ownphye gs h a p e s i q u eo r1 C o n s c i o u s ( w e a r ) (m) o n ' tt a k e my h e i g h ti n t o Ford e s i g n, 1 d c o n s i d e r a t i o n Unconscious 1t a k emyh e i g h ti n t oc o n s i d e r a t i o ns l i g h t 1 y C o n s c i o u s J 、、,,, J' 'K ﹄ 、 、 〆,‘、 f n 、、,ノ 、 ‘ c l o t h i n g S u i t a b l e Un c o n s c i o u s C o n s c i o u s ・噌 Ed 8 Designo f Al i t t l e1 0 n g Al i t t l es h o r t 〆,‘、 7 S l a c k s Verys h o r t ・噌EA Futon S u i t a b l e Very t a l l Symbol , 、 〆,,、 6 Lengtho f Al i t t l et a l l I n t e r p r e t a t i o n (0) 1t a k e my h e i g h ti n t oc o n s i d e r a t i o n very much 団と娘集団とを比較するために,両集団に適用可能な基 に背の高さの意識がかかわっている場合は“H心月とし 準を用いる必要がある.このことから,日本人の体格調 (h) で表す.選択に背の高さの意識がかかわっていな 4 5 " ' 4 9歳値, 1 9歳値〉を基準に 査報告書の全国値11> ( い場合は“H・UNCη とし (g) で表す. Table3 に示 用いることとした.すなわち,この全国値の平均値・標 す解析項目を用いて身長(“ STつの尺度別,母親集団・ 準偏差を用いて各個人について偏差値を求めた.これは 娘集団別に数量化 E類により解析を行った.母親集団, 母親・娘両集団の各個人が全国値平均とどれくらい離れ 2 2名 , 1 2 6名 , ST.5 は両 娘集団の ST.3 はそれぞれ 1 ているかを数値で表したことになる.さらにこの身長の 6名である.なお, ST.l は例数が少ない 集団ともに 1 偏差値を:t1.5 σ で区切り,母親集団では 1 , 447,,-, 1 , 589 ためにここでは考察から除いた. rnm,娘集団では 1 , 486,,-, 1 ,638m m の範囲を ST.3に , ST.3 の範囲より小さい値を ST.1 に , ST.3 の範囲よ 3 . 研究結果ならびに考察 り大きい値を ST.5 に設定した.質問紙調査の回答内 1 ) 成人女子の身体形質の近代化 容により Table3 のように解析項目を分類設定した Table4 は,計測 1 9項目と示数 9項目について,老 たとえば,背の高さの意識についてみると,非常に低 年女子・中年女子・若年女子の世代別に平均値の差の有 い・非常に高いと意識する者を“ ST-C"とし (b) で表 意性の検定結果を示したものである.なお老年女子世代 す.その他の回答をした場合は“ ST-UNC" とし (a) では解析項目が限られている. Table4によると 50年 で表す.靴のヒールの高さの選択についてみると,選択 聞に身長は 55mmの増加を示すが,足立資料と柳沢資 56 (702) 日本人成人女子にみられる身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 Table4 .I t emsont h ep h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c so fa d u l twomen 19 3 3 1 9 3 5 ) Adachi( l t e m x S.D. Yanagisawa ( 19 5 1 ) x N S.D. Okada ( 19 8 3 1 9 8 4 ) x N S.D. N Measurement (mm) S t a t u r e Acromionh e i g h t W a i s th e i g h t S i t t i n gh e i g h t , 520.0 45.6 1 7 6 4 * * * 1 , 5 3 3 . 1 44.5 40.0 938.5 32.9 827.9 27.8 , 12 2 9 .8 844.0 26.0 7 5 6 * * * * 1 5 0 * * * * 1 , 575.4 43.8 * * * * , 12 74.2 41 .2 * * * * 977.4 3 6 .0 * * * * 850.2 2 2 . 8 Trunkl e n g t h * 1 4 9 8 .1 2 5 . 3 * * * * 507.8 I l i o s p i n a lh e i g h t * 2 8 0 8 .8 3 1 .7 ネ*** 836.9 34.5 655.6 2 2 4 . 4 2 4 . 6 8.6 ホ*** 683.2 2 5 . 3 * * * * .4 91 4.4 2 2 8 . 4 9 0 . 7 7 . 3 3.9 1 6 7 . 5 362.2 7 . 3 1 3 . 9 1 5 . 1 11 .9 Upperlimbl e n g t h * 3 659.0 F o o tl e n g t h F o o tb r e a d t h 26.0 758 Handl e n g t h料 B i a c r o m i a lb r e a d t h 334.0 Maximumh i pb r e a d t h 1 5 . 2 7 6 3 * * * * Neckg i r t h 800.0 50.8 7 6 1 J 49.5 6.10 7 6 4 ネ*** 2 2 .5 1 6 4 . 3 7.8 * * * * 342.4 3 0 8 . 7 1 3 . 9 1 1 . 5 * キ * キ * * * * 357.9 1 1 .0 * * * ネ 316.2 373.9 642.4 3 5 . 1 877.6 3 4 . 4 500.8 3 2 . 1 **ネ* 809.5 50.2 6 0 3 . 1 35.9 863.9 38.2 47.7 4.4 **ネ* 8 1 0 .7 38.2 LH VA a L V ι ub h gk th ls th 、 K L h g f, K 45 凶 g M t 向 tght 噌 山 p -Mもお i 一h ω h hu w-H TBL B u s tg i r t h * * * * * * * * 1 5 0 907.4 39.7 507.2 3 5 . 6 907.2 42.4 51.5 5 . 1 53.98 32.23 1 .2 1 5 3 .1 1 1 .1 9 4 3 . 3 7 1 .0 4 I n d e x R e l a t i v es i t t i n gh e i g h t 5 5 . 3 R e l a t i v et r u n kl e n g t h R e l a t i v ei l i o s p i n a l h e i g h t R e l a t i v eupperlimb l e n g t h R e l a t i v ef o o tl e n g t h R e l a t i v ehandl e n g t h R e l a t i v eb i a c r o m i a l b r e a d t h R e l a t i v emaximum h i pb r e a d t h R o h r e ri n d e x 4 3 .1 1 .3 3 7 5 3 1 .1 1 7 5 7 本*** 申*** 54.00 3 2 . 5 1 1 .2 7 1 . 1 4 1 5 0 5 2 . 7 5 1 .3 8 42.76 1 .0 0 1 4 . 6 4 0.42 1 0 . 7 2 0.39 21.8 0 . 9 7 759 * * * * * * * * * * ネ * * 1 . 1 3 1 5 0 1 4 . 5 0 0.38 1 0 . 6 4 0.49 22.34 0 . 7 9 2 0 .1 4 O .7 7 20.08 0.89 1 3 2 . 5 9 1 3 .1 7 .7 3 1 2 . 7 4 1 31 * * * * 23.00 0.85 *Pく0.05, **ρ く 0 . 0 1, * 料 ρくO .005, * * * *T く0 .001 . * 1 Trunk length=stature-( t o t a lhead height+ i l i o s p i n a lh e i g h t ) . * 2I l i o s p i n a lh e i g h ti st r e a t e da ss i m i l a rt ol o w e re x t r e m i t yl e n g t h . * 3 Upper limb l e n g t h=acrumionh e i g h t-d a c t yl i o nh e i g h t . ネ4 Hand l e n g t h=d a c t y l i o nh e i g h t-s t y 1 i onh e i g h t . 料開では 1 0年間に 7mm, 柳沢資料と岡田資料聞では 田資料は柳沢資料に比べ身長では 42mm, 下肢長およ 1 0年間に 14mm と近年のほうが増加量は大きい.下 び上肢長ではそれぞれ 28mm大きな値を示し,いずれ 0年聞に 28mm の増加を示し, 肢長は 3 1 0年間の増加 もO .1%で、有意差がみられ長身化が認められる.比座高 量は 9mmである.足立資料では身長・肩峰幅は柳沢 では岡田資料と柳沢資料聞で有意な差がみられないこと 資料より小さい値を示し,背が低く肩幅の狭い小型の体 は,身長の増加が下肢長の増加によるところが大きいと つきを示しているが,座高は足立資料の値が大きい.岡 いうことであり,長脚化の傾向が明らかとなった. (703) 5 7 Vo l .39 NO.7 ( 19 8 8 ) 日本家政学会誌 Tablc5 .R e s u l t so fcomponenta n a l y s i sf o rOkada'ss e r i e sonp h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c s F a c t o r 工 F a c t o r l o a d i n g I t em もγ e i g h t 0 . 8 5 7 S t a t u r e O .795 O .782 O .781 O .754 Waisth e i g h t Acromionh e i g h t I l io s p i n a lh e i g h t E E Thighg i r t h -0.647 Botht h i g h sg i r t h -0.597 B u s tg i r t h -0.590 Hipg i r t h 0 . 5 7 2 Waistg i r t h S t a t u r e -0.532 v E a i g l u e e n P e r c e n t 8.10 42.6 42.6 S i z e 3 .7 4 1 9 .7 62.3 Shape 1 .55 8.2 7 0 . 5 Limbst otrunk ( % ) Cumulative p e r c e n t( % ) I nt e r p r e t a t i o n 0.559 Acromionh e i g h t Waisth e i g h t 0.537 0.512 Trunk l e n g t h S i t t i n gh e i g h t O .759 I l i o s p i n a lh e i g h t 0.597 -0.361 Up p e r1imbl e n g t h Hand l e n g t h -0.343 -0.340 主成分に関係の深いものは体幹長・座高・下肢長・上肢 COl v ¥P.2 5 長などの項目を含んでおり,第 3主成分は体幹に対する i m b st otrunkf a c t o r と考えられる. 四肢の関係を示す l 主成分の解釈は柳沢資料も岡田資料の結果と同様であ るが,両資料聞には次のような相違がみられる.第 1主 成分に負荷の高い項目に柳沢資料では足長が,岡田資料 では下肢長が含まれ,岡田資料では長脚化の影響が現れ ていると思、われる.また第 2主成分に負荷の高い項目に 柳沢資料では胴囲が,岡田資料では両腿囲が含まれてい 。Okada'5 s e r i e s(1983-1984)~-6 ・ Y a n a g i s a w a ' ss e r i e s(1951) る. 先に述べたように,柳沢・岡田の両世代の主成分の解 .B i v a r i a t ed i s t r i b u t i o ndiagramso ft h ef i r s t F i g .1 and t h es e c o n dp r i n c i p a lcomponents c o r e s 釈がほぼ一致したので,次に,中年女子世代・若年女子 次に, Table4に示した計測 1 9項目を用いて岡田資 世代別主成分スコアにより形質の近代化の様相を詳しく 料と柳沢資料に主成分分析を行った. Table5は,岡田 把握しようと試みた. F i g . l は,両集団各 1 5 0名につい 世代を一括した 300名の集団について主成分分析を行い, 資料について行った主成分分析の結果を示したものであ ての第 l主成分スコアを横軸に,第 2主成分スコアを縦 る.これによると,第 l主 成 分 に 関 係 の 深 い も の は 体 軸にプロットしたものである.この図から明らかなよう 重・身長・胴高・肩蜂高・下肢長などの項目であること に,成人女子の身体形質は約 30年の聞に柳沢資料の集 i z ef a c t o r と考えられる. 第 2主成 から第 l主成分は s 団が占める位置から岡田資料の集団の占める位置へ移行 分に関係の深いものは大腿最大囲・両腿囲・胸囲・腰固 している.第 1~ 第 3 主成分について各集団の主成分ス などの周径項目と身長・肩峰高などの高径項目であるこ コアの平均値を求め,平均値聞の有意性の検定を行った h a p ef a c t o r と考えられる.第 3 とから第 2主成分は s 結果 ( T a b l e6 ),柳沢資料と岡田資料との聞には 58 (704) 3主 日本人成人女子にみられる身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 Table6 . Meano fcomponents c o r eo fa d u l t women'sp h y s i c a lc h a r a c t e r i s t i c s Comp.1 S e r i e s Yanagisawa Okada Z S.D. -1.4 86 2.596 1 . 4 8 6 Comp.3 Comp.2 S.D. Z 0.383 1 .8 4 3 ド= ド ネ ホ * * * * 1 .1 3 8 0.245 * * , ド * 3 -0.383 2.592 S.D. 3 -0.245 1 . 9 0 1 1 .1 0 7 * * * *jう<0.001 . Table 7 . Meano ft h ev a l u eo fr a t i n gs c a l eona d u l twomen'sc l o t h i n gp r e f e r e n c e s G e n e r a t i o n N o . Item 恥1 i d d l e aged Old women women J I (N: 1 71 ) 0 4 ) 1 (N:1 1S l a c k s( s t r e e t ) 2 D r e s s( s t r e e t ) 3 S k i r t( s t r e e t ) 4 Kimono ( s t r e e t ) 5 B r a s s i e r e 6 S l i p 7 G i r d l e 8 9 1 0 1 1 1 2 F i taroundw a i s t F a s h i o n Buyas u i t Madet oo r d e r Ready-made五t 3 . 3 2 1 .0 6 3 . 9 4 O .7 4 0.54 0.66 0.29 O .2 7 1 .9 3 2 . 0 7 2.98 1 .5 2 3 . 1 1 0.86 O .7 0 0.80 O .7 9 0.90 1 .6 6 0.68 1 .3 0 2 . 8 7 1 .0 3 2.69 2.49 0.56 0.68 0.66 2.83 2.35 2 .3 4 0.49 0.64 0 . 5 5 2.58 2.08 2 . 3 2 0.86 O .7 6 1 .4 8 3 . 2 4 0 . 6 3 O .7 8 1 .7 1 2.99 3.14 O .7 5 3 . 0 3 1 .8 7 0.92 1 .7 6 2 .' 1 5 2 . 0 0 2 . 2 4 2.30 2.39 2 .7 4 0.99 2 .1 3 1 .0 0 0 . 8 7 O .9 3 0.68 0 . 7 1 1 .7 7 2 . 0 7 1 .7 5 0 . 8 2 0.96 O .7 6 2.64 2.96 0.85 0 . 8 5 3 . 2 3 2 .7 9 O .7 2 S .D. 1 .9 7 2 . 3 2 2 . 6 7 2.15 0 . 8 8 O .7 5 1 .9 8 2 . 2 2 0.89 0 . 9 4 1 .2 4 3 . 0 1 1 .3 5 3 . 6 2 0.92 0 . 6 5 0 . 8 2 0 . 5 1 0 . 8 7 1 .1 7 3 . 4 1 1 .7 9 1 .1 8 2 .1 5 0 . 8 1 0.64 O .7 5 2.88 2 . 7 7 2.30 1 .8 7 2.64 1 .0 2 0 . 9 8 2.04 2.28 1 .7 1 3 . 1 6 1 3 Design 2.84 0.90 3 . 2 8 1 4 Height 1 .7 7 0 . 9 1 1 .7 2 O .7 7 0 . 8 1 1 5 Hipg i r t h 1 6 Legl e n g t h 1 .8 2 0 . 9 5 2.19 O .9 9 1 .6 0 1 .7 3 0.80 0.93 O .7 6 1 7 もV a i s tg i r t h 1 8 S t y l i s h n e s s 1 .9 5 1 .3 7 1 9 Care 2 0 P e r s o n a ls a t i s f a c t i o n 2 .7 8 3 . 0 7 0.88 0 . 8 7 2 1 Comfort 3 . 3 6 2.24 2 . 0 3 2 .7 1 1 .6 7 O .6 7 1 .1 5 1 .0 0 0 . 9 3 1 .1 0 2 2 2 3 2 4 2 5 S l a c k s (home) D r e s s (home) S k i r t (home) Kimono (home) 2 . 1 2 1 .6 6 2 . 9 7 3 . 2 5 3 . 4 6 2 . 8 1 1 .6 5 2 .6 4 1 .0 5 成分ともに 0 . 1%で有意な時代差が認められる.すなわ ち S.D. Z O .7 7 1 .0 5 0.58 0 . 8 6 0.83 Z 1 .7 9 1 .7 0 O .7 5 0.64 2 . 9 2 O .7 0 1 .0 9 3 . 2 1 1 .2 8 2 . 2 2 0.88 0.49 O .7 6 0.99 0 . 2 1 1 .0 1 0.96 O .1 3 1 .6 6 2.48 1 .2 5 1 .2 8 1 .1 9 1 .2 8 O .7 1 O .7 1 0.64 0.85 0.88 0.83 0.86 1 .1 0 0 . 8 7 0 . 9 7 O .7 2 代化が認められると考えてよいと思う. s i z ef a c t o r についてみると長身化の傾向へ, s h a p e 2 ) 衣生活意識について f a c t o rについてみると細長化の傾向へ, l i m b st ot r u n k i ) 平均値による検討 f a c t o rについてみると体幹に対して四肢が長くなってい る長脚化の傾向へ移行していることから,身体形質の近 1,J I,m (N:311) Z S.D. 1 .7 7 m (N:244) S.D. Z 1 .8 7 2.90 Threeg e n e r a t i o n s Youngwomen Table7は,衣生活に関する意識調査の各回答につい て老年女子世代,中年女子世代,若年女子世代,老年・ (705) 5 9 Vo l .39 NO.7 ( 1 9 8 8 ) 日本家政学会誌 Table8 .R e s u l t so ff a c t o ra n a l y s i sf o rt h eyoungwomeng e n e r a t i o nonc l o t h i n gp r e f e r e n c e s I t em F a c t o r Waistg i r t h Hipg i r t h 2 3 4 F a c t o r l o a d i n g -0.249 D r e s s( s t r e e t ) -0.239 Ready-madef i t -0.239 S k i r t (home) 0.684 S k i r t( s t r e e t ) 0.435 -0.714 -0.370 Comfort P e r s o n a ls a t i s f a c t i o n Care F a s h i o n S t yl i s h n e s s 0.420 0.406 Buyas u i t 0.366 21 .0 21 .0 D e s i r e dbody t y p e 1 .7 2 1 8 . 5 39.6 R ( s e l a g c u k l s a rc l o t h e s o rs k i r t ) 1 .3 2 1 4 . 2 53.8 D e s i r e dcomfort 1 .1 6 1 2 . 5 66.3 D e s i r e de 汀e c to f c l o t h i n g 0.365 -0.272 ( 2 )着用服種に関する項目について 中年・若年一括女子世代の世代別に平均値・標準偏差を 示したものである. (1)下着に関する項目について I n t e r p r e t a t i o n 0.639 S t yl i s h n e s s Kimono (home) Cumulative p e r c e n t( % ) 1 .95 0.624 0.483 -0.207 D e s i g n ( % ) O .803 O .700 Kimono ( s t r e e t ) S I a c k s (home) S l a c k s( s t r e e t ) P e r c e n t v E a i g l u e e n NO.4 の「外出 着としての和服の着用」は,老年女子世代で最も使用頻 NO.6 の「スリップ 度が高く,各世代の相互間に 0 . 1%で有意差がみられる. の着用」は中年女子世代で最も着用頻度が高く,老年女 中年女子・若年女子世代では,和服をあまり着用してい 子,若年女子世代の順で続いており,各世代の相互間に ない. 0 . 1%で有意差がみられる.すなわち,若年女子世代の ( 3 ) 体つきの意識に関する項目について No.14の 「スリップの着用」は1.66でわずかなのに対し,中年女 「背の高さ」は 3世代ともほぼ同じ値を示すが,その他 子世代では 3 . 4 1で多く着用する傾向がみられ,若年女 6 の「脚の長さ」・ No. の No.15の「腰の太さ j.No.1 子世代ではほとんどの者がスリップを用いないという衣 1 7の「胴の太さ」の項目ではいずれも若年女子世代が 生活行動を示している. No.5の「ブラジャーの着用」 最も気にしており,若い世代ほど体つきに対する意識が は世代差が最も著しい項目である.すなわち,若い世代 強く,体つきを配慮した衣生活行動を示している. ほど着用頻度が高く,各世代の相互間に 0 . 1%で有意差 ( 4 ) No.19の「手入れのしやすさ j,No.20の「飽き がみられる. NO.7の「ガードルの着用」は,老年女子 のこない j, No.21 の「着心地 Jについて:これらは他 世代ではあまり着用していない. No.8の「ウエストの の項目に比べ 3世代ともに大きな値を示し,どの世代で ゆるみ Jは老年女子世代ではゆるめを選ぶ傾向がみられ, もかなり配慮している.そのなかでも老年および中年女 老年女子世代と他の世代との聞には O .1%で有意差がみ 子世代のほうが若年女子世代より大きい値を示し,若年 られる.老年女子世代が整容のためのガードルやブラジ 女子世代と他の世代聞では 0 . 1%で有意差がみられる. ャーをあまり着用していない点,また体を締めつけない ( 5 ) NO.18の「格好の良さ j,No.9の「流行を気に よう配慮する点で他の世代と衣生活行動に大きな相違が する」について: r 格好の良さ」は老年女子世代が1.37, みられる.これに対し,若年女子世代ではブラジャー・ 中年女子世代が1.66,若年女子世代が 2.30であり, ガードルをともに着用しており,整容のための配慮が衣 「流行を気にする」は老年女子世代が1.7 7,中年女子世 生活行動に現れている. 代が 2.04 ,若年女子世代が 2.35で両項目ともに各世代 60 (706) 日本人成人女子にみられる身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 Table9 .R e s u l t so ff a c t o ra n a l y s i sf o rt h eyoung,middleaged, ando l d women g e n e r a t i o n s onc l o t h i n gp r e f e r e n c e s F a c t o r I tem B r a s s i e r e G i r d l e S k i r t( s t問 e t ) 2 3 4 F a c t o r l o a d i n g Kimono (home) Kimono ( s t r e e t ) -0.702 Waistg i r t h Hipg i r t h Legl e n g t h Height Ready-madef i t O .798 O .749 0.619 S k i r t (home) S k i r t( s t r e e t ) P e r c e n t (%) Cumulative p e r c e n t (%) 3 . 6 7 29.8 29.8 2 . 4 7 2 0 .1 49.9 D e s i r e dbody t y p e 1 .7 3 1 4 . 0 63.9 D e s i r e dc o m f o r t 1 .4 5 1 1 .8 75.8 R ( s e k g i r u t l a o r rc l o t h e s s l a c k s ) O .7 3 3 0.530 0 . 5 2 7 -0.714 Comfort P e r s o n a is a t i s f a c t i o n Care S t y1 i s h n e s s v E a i g l u e e n I n t e r p r e t a t i o n もγ e s t e r no r] a p a n e s e s t y l e 0 . 4 3 1 -0.196 0.710 0 . 6 7 1 0.599 -0.457 S l a c k s (home) 0 . 5 8 4 0.425 -0.687 S l a c k s( s t r e e t ) -0.630 の相互間に 0 . 1%で有意差がみられる.すなわち,若年 装のどちらか一方を主体とした衣生活態度は,日本人 女子世代が最も流行を配慮しており,中年女子世代,老 の衣生活行動のなかで大きな特徴となっている.第 2因 年女子世代がこれに続いている.若年女子世代は他の世 子は,衣服選択において体つきに配慮する傾向を示すも 代と比べ格好の良さや流行を気にし,より見ばえを良く のとして解釈された.なお老年女子世代についても,第 3 ・第 4の因子番号は前後するがほぼ同じ因子が選ばれ することを配慮した衣生活行動を示している. T ふ i i ) 因子分析による検討 Table8 は,若年女子世代について因子分析結果を示 Table 1 0は老年・中年・若年一括女子世代について したものである.これによると第 1""第 4因子は,衣服 得られた四つの因子の各個人の因子得点を用いて,因子 選択に体つきを配慮する傾向,日常よく着用する服種の 得点の世代別平均値および平均値閣の差の有意性の検定 傾向,着心地に対する配慮傾向,自己の被服が他人に与 結果を示したものである.衣服選択に体つきを配慮する える効果を考慮する傾向と解釈された.中年女子世代に 傾向と解釈された因子についてみると,若年女子世代で ついても若年女子世代とほぼ同じ因子が選ばれているが, 配慮する傾向が最も強いことが認められた. Table 1 0 第 1と第 2因子の番号は前後している.すなわち,若年 によると,老年女子世代と若年女子世代聞では四つの因 女子世代は中年女子世代よりも衣服選択に体つきを配慮 子いずれにおいても有意差が,また中年女子世代と若年 する傾向が強く,自己を良く見せることに重点を置いた 女子世代閣では第 4因子を除くすべての因子において有 r 衣服選択に体つきを 意差がみられ,衣生活行動に著しい相違が認められた. 衣生活行動を示している.なお, 配慮する傾向」の因子において,中年女子世代では脚の さらに,老年女子世代と中年女子世代闘では第 1因子の 長さにいちばん負荷が高いことは,衣生活行動に形質の みに 0.1% で有意差がみられるほかは衣生活に関する意 近代化がかかわっていることを示している. 識の差はあまり大きくなく,両世代は類似した衣生活行 Table9は,老年・中年・若年一括女子世代について 動を示すことが統計的に裏付けられた.そこで,次に 因子分析結果を示したものである.第 l因子の和装・洋 「体つきの意識に影響される衣生活の選択傾向」の調査 (707) 6 1 Vo . 139 NO.7 ( 19 8 8 ) 日本家政学会誌 Tab!e 1 0 . Comparisonon f a c t o rs c o r e si ne a c hg e n e r a t i o nonc l o t h i n gp r e f e r e n c e s もV e s t e r n01" japaneses t y l e F a c t o r1 Generation Oldwomen (1) Z S .D . (N:1 0 4 ) D e s i r e dbodyt y p e D e s i r e d comf o r t F a c t o r2 F a c t o r3 Regularc l o t h e s ( s l a c k so rs k i r t ) F a c t o r4 -0.858 -0.] 4 2 0.226 O .179 1 . 0 2 7 0.956 0.810 0 . 9 2 1 0.376 O .788 -0.018 -0.599 -0.161 0.694 0.686 * * ネ *ネ** *ネ* * * キ ネ宇** Middleaged Z 0 . 3 4 7 -0.1 1 1 women ( 1 I ) S .D . 0 . 5 1 1 0.830 x 0.515 S .D. 0.353 0.252 0.860 0.947 (N:1 0 3 ) Youngwomen( J [ ) (N:1 0 4 ) T e s t 1 .1 I * * * ネ 1 .J [ 1I.J[ * * * * * * * *tく0.01, * ネ* tく0 .005, * * キ* ρ く0.001 . Table3の衣生活の選択〈問 5" ' 8 ) において体つき 5 . 4 を意識する者に,得点を各 l点 ず つ 与 え , そ の 総 得 点 4 . 5 ( 0 ,1 ,2 ,3,4 ) 別に度数の百分率を求め,母親集団と L-Cω) 3 . 6 娘集団とを比較してみた.その結果,両集団は類似した ↑的︼)ベ︽ 2 . 7 傾向を示している.すなわち,衣生活の選択において体 1 .8 つきをまったく考慮、しない人が 30%弱であることから, 残りの 70%以上の人は自己の体つきを意識しながら衣 0 . 9 生活の選択を行っていることが明白である. i ) 数量化 E類による検討 0 . 0 解析 1 5項目のカテゴリーウエイトの散布図を用いて -0.9 軸の解釈を行った.なお,ここで用いる略号は Table3 -1.8 Lムー 3 . 6 2 . 7 ー 1 .8 0 . 9 0 . 0 0 . 9 AXIS 2 1 .8 3 . 6 のとおりである. ( 1 ) ST.3 の母親集団 ( F i g .2 ) : 累積寄与率は解 Iで F i g . 2 . Categoryw e i g h t so f1 5q u e s t i o n a r yi t e m s f o rt h emotherg e n e r a t i o non t h e impact o fp e o p l e ' sc o n s c i o u so ft h e i rp h y s i q u e upont h e i rs e l e c t i o no fc l o t h i n g( S T .3 ) .5%である.一つの軸は ( b ),( h ),( 0 ), 24.8%,解 2で 41 ( j ),( n ),( g ),( a ) により特徴づけられ,背の高さの意識 に基づいていると判断される高さの意識であって,靴の ヒールの高さの選択と衣服のデザインの選定にかかわる を,中年女子世代である母親集団と若年女子世代である 娘集団を対象として行うこととした. d ),( 1 ) , ( り , (m),( c ), ものと解釈した. もう一つの軸は ( ( e ) により特徴づけられ,脚の長さと体つきの意識にか mass の意識を含めて解釈すべき軸である. こ 3 ) 身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 かわり 形質の近代化の検討において,現代日本人女子の長身 の意識はズボンを着用するか否かの選択に関与する. ( 2 ) ST.5の母親集団:累積寄与率は解 1で 31 .1タ ふ 化,長脚化が確認されたので,これらにかかわる衣生活 における 4項目,すなわち,①衣服デザインの選定, 解 2で 54.6%である. この集団はやや身長が高いにも ②ズボンを着用するか否かの選択,③靴のヒールの高 かかわらず,背が高く脚が長いと意識しておらず ( a ), さの選択B ④ふとんのサイズの選定,をとりあげ,形 ( b ),( c ),( d ) の項目は影響していない.一つの軸は(り, 質の近代化が生じた体つきに対する意識と,衣生活にお ( g ),(m),( h ),( e ) により特徴づけられ, massの意識を ける被服・類被服の選択傾向とのかかわりを検討した. 含めた体つきの意識で,靴のヒールの高さの選択とズボ 62 (708) 日本人成人女子にみられる身体形質の近代化と衣生活意識との関連性 いている高さの意識で,靴のヒールの高さの選定,ズボ 4 . 0 ンを着用するか否かの選択,衣服のデザインの選定にか ト I U N C 匂) 3 . 0 かわるものと解釈した.この集団は背を高いと意識して 5C Y { (m) 2 . 0 いるので,背が目立たないように四つの項目すべてにお 圃 いて配慮している. ( b ),( h ),( 0 ),( d ) の解 lはマイナ 1 .0 スの値を示すのに対して ST.3の娘集団におけるそれは V】 0 . 0 符号が逆転している.これは,背の高さの意識と脚の長 x 《ー1. 0 さの意識の相違に起因する.すなわち, ST.3 の娘集団 -2, 0 では靴のヒールは高いものを,衣服のデザインは背がよ り高く見えるものを選定し,背の高さをより高く見せよ 3 . 0 4 . 0 5 . 0 うとの配慮が衣生活行動の傾向に現れているのに対し, 4 . 0 3 . 0 2 . 0 1 .0 0 . 0 1 . 0 2 . 0 娘集団の約 11%を占める ST.5では逆に背の高さをよ 3 . 0 り低く見せようとの配慮をもっ衣生活行動を示している. AXIS 2 F i g . 3 . Categoryw e i g h t so f1 5q u e s t i o n a r yi t e m s f o rt h edaughterg e n e r a t i o nont h eimpact o fp e o p l e ' s c c n s c i o u so ft h e i r p h y s i q u e upont h e i rs e l e c t i o no fc l o t h i n g( S T .5 ) 4 . 要 約 現代日本人成人女子について身体形質の近代化の現状 に着目し,衣生活に関する意識を背景とした衣生活行動 をとらえ,身体形質の近代化がどのように衣生活の選択 ンを着用するか否かの着用判断にかかわるものと解釈し 傾向にかかわっているかということについて検討を行っ た. (h) の解 1はマイナス,解 2はプラスの値を示す た. のに対して, ST.3の母親集団 ( F i g . 2 )におけるそれは 1 ) 横断的な 3世代にわたる 20歳前後値資料により 符号が逆転している.これは,靴のヒールの高さの選択 被服寸法にかかわる項目についてみると, に関する意識が大きく異なっていることを示している. 50年間に 55mm,下肢長は 30年間に 28mmの増加が 身長では約 すなわち, ST.3の母親集団では背の高さを高く見せよ みられた ( T a b l e4 ) . 柳沢資料と 30年隔てた岡田資料 うとの衣生活行動の傾向を示し, ヒールの高いものを選 に主成分分析を行ったところ s i z ef a c t o r (長身化傾向), 定している. s h a p ef a c t o r (細長化傾向), l i m b st ot r u n kf a c t o r( 長 ( 3 ) ST.3の娘集団:累積寄与率は解 lで 17.8%, 脚化傾向〉の主成分が解釈され,これら 3主成分いずれ 解 2で 35.0%である,一つの軸は ( b ),( h ),( 0 ),( n), も両集団聞には 0 . 1%で有意な時代差がみられたことか ( g ),( a )により特徴づけられ,背の高さの意識に基づい ら ( T a b l e6 ),身体形質の近代化が確認された. 2 ) 日常着を対象とした年聞を通じての衣生活に関す ていると判断される高さの意識であって,靴のヒールの 高さの選択と衣服のデザインの選定にかかわるものと解 る意識調査から, 釈した.この解釈は ST.3の母親集団と類似している. 体つきを強く意識しており,体つきを配慮し,整容のた j ),( 1 ) , ( d ),( f ),(m),( c ),( i ),( e )に もう一つの軸は ( めの下着を着用し,流行を気にし,格好の良さや見ばえ より特徴づけられ,脚の長さと体つきの意識にかかわり, の良さを配慮する衣生活行動の現状がとらえられた.自 3世代のなかで世代が若いほど自己の massの意識を含めて解釈すべき軸である.この意識は 己をより良く見せたいとする女性の着装への配慮から, ズボンを着用するか否かの選択に関与する点で ST.3の 現代人にとって文化としての衣生活は,社会生活を営む 母親集団と一致するが,ふとんのサイズの選定にかかわ うえで大きな役割を演じていることが明白である.因子 分析の検討から 3世代はともに因子として「体つきを配 る点で母親集団とは異なっている. ( 4 ) ST.5 の娘集団 ( F i g .3 ) : 累積寄与率は,解 lで 慮する傾向 J( T a b l e8, 9 ) が解釈され,これが衣生活の d ), 32.6% ,解 2で 50.8%である. 一つの軸は 0),( なかで重要な要因として働いていることが明らかになっ ( i ),( c ) により特徴づけられ,脚の長さの意識に基づい た.また,老年女子世代は中年女子世代の衣生活行動 ている長さの意識で,ふとんのサイズの決定にかかわる とかなり類似していることが統計的に裏付けられた ( m ),(g),( a ),( n ), ( T a b l e1 0 )ので,次の「身体形質の近代化と衣生活意 ( b ),( h ),( 0 ),( k )により特徴づけられ,背の高さに基づ 識との関連性」では老年女子世代を省いて検討すること ものと解釈した. もう一つの軸は (709) 63 Vo l .39 NO.7 ( 19 8 8 ) 日本家政学会誌 した大妻 k子大学人間生活科学研究所近藤四郎教授,同 とした. 3 ) r 身体形質の近代化と衣生活意識との関連性」を 大学家政学部柳 j 畢澄子教授に心から感謝の意を表します. とらえるために,体つきに対する意識と衣生活の選択傾 さらに,貴重な資料をご貸与くださった柳津澄子先生に 向との関係について数量化 E類により検討した.その結 謹んでお礼を申し上げます.また,有意義なご助言をい 果,体つきの意識において母親,娘集団はともに形質の ただいた同研究所真家和生博士に心からお礼を申し上げ F i g . 2 ) および 近代化の影響を受け, ST.3の母親集団 ( ます. 娘集団では,靴のヒールの高さの選定・衣服デザインの 引用文献 選定は,高さの意識を基にして考慮しているとする高さ の軸が解釈された.すなわち,背の高さをより高く見せ ようとの配慮を示している. また,娘集団の約 11%を占める, 背が高く形質の近 F i g . 3 )においては,長 代化の顕著な ST.5の娘集団 ( さに関するこつの軸,背の高さの意識の軸と脚の長さの 意識の軸が認められ,ふとん・靴・衣服のデザイン・ズ ボンに関するすべての項目で,背の高さを低く見せよう との配慮を示している. 以上のことから,生物現象としての身体形質の近代化 が,文化としての衣生活における選択傾向に,強く影響 を及ぼしていることが明らかになった. 稿を終えるにあたり,終始ご懇篤なご指導を賜わりま 64 1)長谷部言・人:民族学研究, 2 1,6 ( 19 5 7 ) 2 )保志宏:遺伝, 1 2, 9 ( 1 9 7 7 ) 3 ) 生 山 匡 , 荒 尾 孝 : 体 力 研 究 , 45,4 7( 19 8 0 ) 1( 19 8 4 ) 4 ) 木村邦彦:姿勢研究, 4,2 5 ) 岡田宣子:関東学院女短大・短大論叢, 78, 47 ( 19 8 7 ) 6 ) 近藤四郎:人類誌, 59 ,1 0 0( I9 4 4 ) 7 )S .Kondo: J .Fac.S c i .U n i v .Tokyo ,2,256 ( 19 6 0 ) .HumanErgol., 2, 8 )S .Yanagisawa andS .Kondo: J 1 0 7( 19 7 3 ) 9 ) 足立智恵子:東京医学誌, 56, 1 3 9( 19 4 2 ) 1 0 )R .MartinandK.S a l l e r : Lehrbuch d e rA n t h r o p o l o g i e , Gustav F i s h e r Verlag, S t u t t g a r t, 3 3 1 ( 1 9 5 7 ) 1 1 ) 日本規格協会編:日本人の体格調査報告書,日本規 3( 19 8 4 ) 格協会,東京, 1 (710)
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