石狩・空知・後志地方の地震活動図

石狩・空知・後志地方の地震活動図
2016年5月1日∼2016年5月31日
震央分布図
0
札幌管区気象台
50km
総数=83
44N
M
8.0
7.0
深さ
0
6.0 30
5.0 80
43N
4.0
150
3.0
300
2.0
1.0 600
0.0 km
139E
140E
141E
142E
※ これは暫定値であり、データは後日変更することがある。
記号Mはマグニチュードを表す。
図中橙色の線は地震調査研究推進本部による活断層を表す。
過去の地震活動と比較するため、前3ヶ月(今期間を含まない)の震央を灰色のシンボルで表す。
地震概況(2016年5月)
・石狩・空知・後志地方の震度観測点で震度1以上を観測した地震は2回(先月1回)
※震源は図の範囲外 (「震度1以上を観測した震度の表」参照)
<防災メモ>
[石狩・空知・後志地方の活断層]
この活動図は、札幌管区気象台のホームページに掲載しておりますのでご利用ください。
ホームページのアドレスは、「http://www.jma-net.go.jp/sapporo/jishin/earthquake_report/earthquake_report.html」です。
震度1以上を観測した地震の表(2016年5月)
年 月 日 時 分 震央地名 北緯(N) 東経(E) 深さ(km) 規模(M)
地方 震度 震度観測点名
2016年 5月 3日 09時00分 北海道東方沖 43°29.4′N 147°36.0′E 44km M5.9
石狩地方 震度1 新千歳空港(06) 千歳市若草*(08) 千歳市支笏湖温泉*(08)
2016年 5月25日 14時22分 青森県東方沖 41°01.5′N 142°24.6′E 34km M4.8
石狩地方 震度1 新千歳空港(06) 千歳市若草*(12)
各地の震度は、石狩・空知・後志地方のみを扱っている。
*のついている地点は地方公共団体または国立研究開発法人防災科学技術研究所の震度観測点である。
震源の緯度、経度、深さ、規模は暫定値であり、データは後日変更することがある。
( )内の数値は計測震度の値を10倍にしたもので、計測震度の値を下表に当てはめて換算したものが気象庁の震度
階級である。
計測震度と震度階級の関係
計測震度
震度階級
∼0.4
0
0.5∼1.4 1.5∼2.4 2.5∼3.4 3.5∼4.4 4.5∼4.9 5.0∼5.4 5.5∼5.9 6.0∼6.4
1
2
3
4
5弱
5強
6弱
6強
6.5∼
7
本資料は、国立研究開発法人防災科学技術研究所、北海道大学、弘前大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大
学、高知大学、九州大学、鹿児島大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国土地理院、国立研究開発法人海洋研究
開発機構、青森県、東京都、静岡県及び神奈川県温泉地学研究所、気象庁のデータを用いて作成している。また、
2016年熊本地震緊急観測グループのオンライン臨時観測点(河原、熊野座)、IRIS の観測点(台北、玉峰、寧安橋、玉
里、台東)のデータを用いて作成している。
防災メモ
石狩・空知・後志地方の活断層
今 年4 月に 熊 本県 で最 大 震度 7を 観 測す る地 震 活動 「平 成 28年 (2016年 ) 熊本 地 震」 が発
生 し 、 大きな 被 害 が生じ ま し た。地 震 調 査研究 推 進 本部に よ る と、こ の 地 震活動 は 活 断 層 に
よって引き起こされたと見られています。
活 断 層 とは、 地 表 に現れ て い る断層 と 認 められ る 地 形のう ち 、 最近の 地 質 時代( 約 170~ 2
00万 年 前)に 活 動 し、今 後 も 地震を 発 生 させる こ と が推定 さ れ る断層 で す 。内陸 の 都 市部 等
の 直 下 で地震 が 発 生した 場 合 、震源 が 浅 く、人 間 の 居住区 等 に 近いた め 、 局所的 に 大 き な 被
害が生じることがあります。
地 震 調 査研究 推 進 本部で は 、 北海道 内 の 9つの 活 断 層を主 要 な 活断層 帯 ( 図1) と し て 、
長 期 的 な評価 を 実 施して い ま す。石 狩 ・ 空知地 方 と その周 辺 に は、増 毛 山 地東縁 断 層 帯 ( 図
1 の ⑤ )や石 狩 低 地東縁 断 層 帯(図 1 の ⑦)な ど が ありま す 。 後志地 方 に は、黒 松 内 低 地 断
層 帯 ( 図1の ⑧ ) があり ま す 。これ ら の 活断層 が 活 動した 場 合 には、 石 狩 ・空知 ・ 後 志 地 方
でも熊本地震のようなマグニチュード7程度の地震が発生すると評価されており、震源近傍で震 度
6強以上の大きな被害をもたらす揺れとなることが予測されています(図2)。
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
:サロベツ断層帯
:標津断層帯
:十勝平野断層帯
:富良野断層帯
:増毛山地東縁断層帯
:当別断層
:石狩低地東縁断層帯
:黒松内低地断層帯
:函館平野西縁断層帯
図1:地震調査研究推進本部による北海道の
主要活断層(地震調査研究推進本部 HP より)
図2:石狩低地東縁断層帯の地震による予測震
度分布の1例(地震調査研究推進本部 HP より)
一 方 、札幌 市 で は、市 内 直 下の地 下 の 地盤構 造 の 調査等 を 行 い、地 表 面 で確認 で き て い な
い が 、 地震を 引 き 起こす 可 能 性があ る 「 伏在活 断 層 」を推 定 し (図3 ) 、 その断 層 に よ る 地
震の被害予測をまとめています。それによると、札幌市直下でマグニチュード7程度の地震が発 生
し 、 震 源近傍 で は 震度7 の 揺 れとな る こ とを予 測 し ていま す 。 また、 市 街 地の大 部 分 で は 、
震度6弱以上の揺れを想定し(図4)、大きな被害を予測しています。
図3:札幌市が想定した3つの伏在活断層(札幌市
HP より)
図4:月寒背斜(図3の薄いオレンジ色の伏在活断
層)の地震による予測震度分布(札幌市 HP より)
活断層は活動間隔が千年~数万年と非常に長いため、発生時期を予測することは困難です。
ま た 、「 平成 20年 ( 2008年 )岩 手・ 宮 城内 陸地 震 」の よう に 、知 られ て いな い活 断 層に よる
地 震 で、 大き な 被害 が生 じ るこ とが あ りま す。 石 狩地 方で も 、 2010年 の 石狩 地方 中 部の 地震
(現地調査により、震央付近で震度5弱相当の揺れを推測)等で被害が生じています(図5)。
大 地 震はい つ ど こで発 生 す るかわ か り ません 。 被 害を最 小 限 にする た め に、家 具 の 耐 震 固
定 や 非 常用持 ち 出 しの点 検 ・ 準備、 避 難 経路の 確 認 等、日 頃 か ら地震 に 対 する備 え を 行 う こ
とが重要となります。
図5:2010 年の石狩地方中部の地震による被害(左:北広島市の小学校の窓ガラスの破損、落下、右:札幌市清田区
にあるゴルフ場の斜面崩壊)出典:気象庁