【妊娠についてのインフォメーション】 お母さんになる

【妊娠についてのインフォメーション】
お母さんになるあなたとパートナーへ
妊娠して色々な想いや考えが頭をよぎることでしょう。希望や楽しみの他に不
安な気持ちもあるかもしれません。
お腹の子は健康かしら?
子供に何をしてあげたらいいのかしら?
私達はあなたが望む妊娠・出産を尊重し、サポートします。
妊娠や出産について役に立つ情報はインターネットサイト www.swissmom.ch か
ら得ることもできます。
続いてのページで、いくつかの情報についてお知らせしますのでお読み下さい。
出産までのワクワクする道のりにご一緒させて下さいね。
ギノセンス
チーム
病院名 Gynosense (Bankstrasse 8, 8610 Uster)
医師
Maki Kashiwagi
翻訳
Kana Shingaki
原則として妊婦検診は4~6週ごとに行い、母体と胎児の状態をチェックしま
す。
【妊娠中の健康保険はどうなってるの?】
妊娠中と妊娠後の健診で合わせて 7 回まで保険でカバーされます。
12 週と 20 週の超音波検査と 13 週以降に医師の判断で行われる超音波も保険で
カバーされます。
妊娠期間中に最低 4 回は超音波検査を行うことをお勧めします。
超音波は妊娠のいずれの時期にも胎児の状態を調べるのに役立ち、妊娠 12 週
以前にも行います。
分娩に何かの合併症があった場合、治療にかかる費用は産後 56 日まで、妊娠
に関わる保険としてカバーされます。
妊娠中の仕事(※)
スイスでは分娩直前まで働くことができます。
妊娠中に疾病が起きた場合は休職が必要な場合があります。
勤務中は休憩をとり、危険な仕事は避けるようにして下さい。
妊娠中の仕事に関する情報は以下の HP を参照して下さい。
SECO
www.seco.admin.ch.
なるべく早く、雇用主とあなたの勤務状況や勤務場所の危険要因について話し
あいましょう。
※スイスは産前の産休制度がありません。産後は12週の休みが法律で決めら
れています。
【妊娠中のワクチン】
・インフルエンザ
妊娠中にインフルエンザに罹患すると重篤な合併症が起こる危険があります。
インフルエンザウイルスは母体から胎児に移行して、早産を起こす可能性があ
ります。そのため、インフルエンザワクチンは妊娠 12 週以降の方全員におす
すめします。
・百日咳
BAG(スイスの厚生省)は妊婦とそのパートナーに、妊娠後期に百日咳ワクチ
ンを接種するように勧めています。これは出生後に児への百日咳感染を防ぐた
めです。もしあなた自身がワクチンを受けたのが 5 年以上前、パートナーは 10
年以上前なら主治医に伝えて下さい。
【妊娠中の重要な検査など】
~妊娠初期の管理(約 8 週頃)~
超音波を用いて妊娠部位の確認、妊娠週数と予定日を決定します。
食事や栄養の取り方、個々の既往歴によって妊娠中に起こりうるリスクについ
てお話します。
基本事項についての血液検査(血液型など)と子宮頸がん検査を行います。
※補足:クラミジア・トラコマティスの検査もこの時期に行います
.妊娠中に注意すべき感染症
感染症の中には、感染しても母体に目立った症状がないにもかかわらず胎児に
影響を及ぼすものがあります。
重要な感染症とその感染予防について簡単に述べます。
・サイトメガロウイルス
サイトメガロウイルスは感染すると風邪やインフルエンザに似た症状が出る
ことがありますが、多くの方(約8割)は感染に気がつきません。
妊婦が妊娠初期に感染するとウイルスは胎盤を通して胎児に感染し、胎児に重
篤な合併症を引き起こすことがあります。
あなたが既にサイトメガロウイルス感染して免疫を持っていたとしても再感
染する可能性がありますが、その場合は胎児への影響は少ないと考えられてい
ます。ウイルスは唾液や尿に排出されます。手洗いをし、手を清潔に保つこと
が感染予防に重要です。
・トキソプラズマ
トキソプラズマは通常は人にあまり害のない寄生虫です。実際、多くの人が既
に感染していますが特別な症状は感じていません。
しかし妊娠初期に妊婦がトキソプラズマに感染すると、病原体は胎盤を通して
胎児に感染し重大な疾患を児に引き起こすことがあります。
寄生虫の感染源は猫の糞や、食物です。
感染予防のためには十分に加熱していない食材(カルパッチョ、乾燥牛肉、サ
ラミ※)や洗っていない生野菜・サラダを避けること。ガーデニングや猫の糞
を片付ける時はゴム手袋を履くことが大切です。
※サラミについて:サラミを避けるべきと記載されていますが、先生ご自身は
サラミは恐らく感染源にはならず食べても良いと話していました。
・リステリア
リステリアは細菌で、生乳から感染します。妊娠中に感染すると高熱が出て流
産にいたることがあります。妊娠中は生乳は避ける方がよいでしょう。
(補足:リステリア症はチーズや食肉加工品(生ハムなど)、野菜サラダ、ス
モークサーモンで感染例が報告されています。妊娠中はリステリア症への免疫
が低下し感染しやすくなります)
~妊娠11-16週の管理~
この時期はダウン症などの染色体異常について、個別の希望に応じて検査が行
われます。
超音波では NT(胎児の首のむくみ)や重大な奇形の有無をチェックします。
胎児に染色体異常(ダウン症など)のリスクが上がる35歳以上の方や、その
年令以下でも希望される方は、NT の他に母体の血液検査(PAPP-A、freeβhCG)
を追加することができます。
(NT と血液検査を組み合わせると染色体異常の検出率が高くなります)
また希望に応じて NIPT(無侵襲的出生前遺伝子検査)を行うことも可能です。
NIPT とは母体血液の中に存在する胎児の細胞から染色体を調べる検査で、妊娠
10週以降に行います。
胎児の細胞を直接採取して染色体異常を調べる検査には絨毛検査と羊水検査
があります。
絨毛検査は妊娠11~14週に行われます。胎盤に針をさし、絨毛細胞を採取
します。
羊水検査は妊娠約16週以降に行われます。
絨毛検査と羊水検査ではより詳しく正確な診断をすることが出来ます。
~妊娠20~24週の管理~
超音波で胎児の体の各臓器(脳、心臓、腎臓など)に形態異常がないか、発育
が正常か、羊水量や胎盤の位置に異常がないか等のチェックを行います。
~それ以降は妊娠週数に応じて、以下の検査を行います。
母体の糖尿病検査
糖負荷検査(空腹時血糖と、甘い砂糖水を飲んだ後の血糖値を測ります。所要
時間:2時間)
血液型が RH マイナスの場合、抗 D 免疫グロブリンを投与します
超音波で胎児の成長をチェックします
分娩施設を検討します
B 型肝炎検査
おりもの検査による GBS(B 群レンサ球菌)検査
出産を希望される病院や周産期センターへの分娩登録
分娩日は羊水量や CTG(胎児心音や子宮収縮のモニター)の所見を合わせて検
討します。
分娩予定日から14日を過ぎると胎児の合併症が増えてきますので、分娩予定
日を大体10日過ぎた辺りで分娩誘発を検討します
【超音波検査や出生前診断について】
出生前診断とは?
出生前診断とは出生する前に行われる胎児診断のことで、胎児染色体検査、障
害や奇形の有無のチェック、胎児の発育が順調かなどを調べることです。
.
妊娠初期に胎児の首のむくみ(NT)を超音波で測定しますが、これは健康保険
で支払われます。
それ以外の検査は染色体異常のリスクが高い場合(母体が35歳異常、超音波
検査で異常があるなど)のみ保険で支払われます。
主治医は出生前診断についての情報をあなたに伝える義務があります。
40年以上にわたり、超音波は胎児や母体に安全に使用されています。
超音波は多くの親に、我が子が異常なく育っているという安心感を与えてくれ
る有用な検査です。
もし超音波で何らかの問題が見つかった場合には、胎児が抱える障害や病気に
対して出産前に準備をすることができます。分娩に最適な病院を考えることが
できますし、妊娠中に胎児治療を行うことさえあり得ます。
しかし、超音波検査にも限界があります。超音波で全ての奇形が診断できるの
ではなく、一部の奇形は発見できません。
反対に超音波検査で異常な所見があっても、児には全然問題がないこともあり
ます。超音波で異常が見つかっても、多くの子が健康に生まれてきます。
出生前超音波検査は、胎児に重大な問題が見つかった場合にあなたとパートナ
ーに難しい倫理的な結論を迫ることがあるかもしれません:「妊娠を継続すべ
きか中絶すべきか?」
どのカップルにも自分たちのお子さんがどのような状態にあるのか知る権利
があります。しかし全てを知りたくない場合は申し出て下さい。
知らないでいる、という権利もあるのです。
以下に出生前診断に含まれる検査を記載します。
最後のページにある用紙に、あなたがどの程度の情報提供を希望されるか記載
して提出して下さい。
・妊娠初期の超音波検査
妊娠12~14週の超音波検査では、胎児の重大な奇形が見つかる可能性があ
ります。さらに、いわゆる NT(首の後ろのむくみ)を測定します。NT が厚い場
合にはダウン症や心奇形等のリスクが高くなります。ダウン症(最も多い染色
体異常)の70%が NT 検査から見つかります。
・妊娠初期の検査
ダウン症などの染色体異常を検出する血液検査を行いますが、検査を受けない
という選択もできます。この検査では NT 測定の他に 2 つのホルモン(PAPP-A,
freeβhCG)を測定し、それらの結果を合わせてダウン症などの確率を検討し
ます。
この組み合わせテストでダウン症の 90%以上が検出できます。
検査費用:約120フラン (保険でカバーされることがほとんどです)
・絨毛検査(胎盤穿刺)
絨毛検査は胎盤に針を刺して絨毛を採取し、胎児の染色体異常を調べる検査で
す。
妊娠11~14週に行われます。細い針をお腹から刺します。
迅速検査の結果は大体48時間以内に判明します。
嚢胞性線維症のような構造的な遺伝子異常も調べる事ができます(※嚢胞性線
維症は白人に多い常染色体劣性遺伝の病気ですが、日本では稀です)
絨毛検査では胎盤限局性モザイク(※)が検出されることがあります。
絨毛採取による流産率は約1%です(補足:施設によります)。
検査費用:約1500フラン
※胎盤(絨毛)限局性モザイク
絨毛採取では約 1%に染色体モザイクが検出されますが,そのほとんどは染色体
異常が絨毛組織・胎盤に限局した胎盤限局性モザイクで,胎児の染色体は正常
です。
(このような場合は羊水検査による胎児染色体の再確認が必要です)
(日
本産婦人科学会 HP より)
・羊水穿刺
羊水穿刺は妊娠16週以降に行うことが出来ます。
腹部から細い針を指して羊水腔から羊水を採取します。
採取した胎児の細胞を培養するため、結果が得られるまでは通常約14日かか
ります。
しかし PCR や FISH 法という迅速な検査では48時間で主な染色体異常を検出
することができます。
検査による流産率は0.5~1%です。
検査費用:約1050フラン、迅速検査の場合は追加費用約250フラン
・母体血液中の胎児 DNA 分析(無侵襲的出生前遺伝子検査:NIPT)
2012年秋から胎児染色体異常を検出する非侵襲的な検査が始まりました。
これは母体血液から胎児の遺伝子を分離して直接調べる検査です。
検査には Panorama、Praena、Prendia の3種類があります(表)。
どの検査も多くの場合、保険でカバーされません。
もし胎児の異常が疑われた場合は、羊水検査による確定診断をおすすめします。
表
検査方法
Panorama
Praena
Prendia
妊娠週数
9週~
9週~
10週~
検査に要す
る日数
10営業日
10営業日
(迅速検査は
7日)
2週間
検査できる
疾患
21トリソミー
13トリソミー
18トリソミー
21トリソミ
ー
13トリソミ
ー
18トリソミ
ー
全ての数的異常
X0モノソミー
(ターナー症候
群)
3倍体
料金
950フラン
一部の構造的異
常
双胎、胚移植後
でも検査可能
800フラン
(1200フ
ラン)
1350フラン
これらの検査は比較的新しいものなので、検査方法や料金が変動します。
この表の内容は現在の内容とは異なる可能性があります。詳細は主治医にお尋
ねください。
・妊娠中期の超音波(胎児スクリーニング)
妊娠20~24週頃に胎児の成長、羊水の量、胎盤の位置や臓器(心臓、腎臓、
脳、四肢、脊椎など)をチェックします。
もし何らかの異常が疑われた場合、専門施設でより詳しく検査を行う必要があ
ります。
同意書(直訳では患者宣言)
◯私は出生前に行われる超音波や出生前診断について理解し、これ以上の質問
はありません。
◯私は胎児へ行われる超音波検査に同意します
◯私は超音波検査の限界について了解しました
◯私は超音波検査のみ希望し、他の出生前診断(妊娠初期の検査、絨毛検査、
羊水検査、NIPT)を拒否します
◯私は超音波検査を拒否します
◯その他
もし胎児に奇形や染色体異常が疑われた場合、追加の検査についてその都度主
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