現在におけるヒートポンプの進化について

現在におけるヒートポンプの進化について
EVF 会員 安藤 登
平成 20 年6月27日作成
ヒートポンプとは
ヒートポンプは低い低熱源から、フロンガスを熱媒として、高温熱まで汲み上げて暖房・冷房・
給湯に利用するもので、現在の生活には欠かせない装置である。
又冷凍機類(冷蔵庫や冷凍機)も基本構造は同じで、冷媒としてフロンガスが使われている。
フロンガスの歴史
従来使われてきたフロンガス(正式には“フルオロカーボン”といいます)R−11、12系統は
オゾン破壊係数が高いので、日本他先進国では現在製造されておりません(1995 年末に生産中止)
又、R−22(正式名ハイドロクロロフルオロカーボン)は(1996 年から生産規制)で今後生産中止
になります。
現在の主流フロンガス(ハイドロフルオロカーボン)は、R−134a、R−407,R−410a
・・これらはオゾン破壊係数が0であるが温室効果ガスとして地球温暖化に影響がある。
車両等のエアコンにはR−134a が使われている、エアコン類はR−407a、410a が多い
今まで使われてきたフロンガスR―11,12,22系統のガスは回収の上適切に処理することが
必要となります。
また最近ではアンモニア冷凍機も、フロンガスを使わない冷凍機として見直されてきております。
ヒートポンプの性能
ヒートポンプの性能を現す値として、COP(成績係数)という文字で表示されますが、この値が
高いと性能が良いと言われていますが、少し前まではこの値が冷房時では 2.5 程度、
暖房時では 3.0 が普通であった、現在ではインバーターとモーターの改良が進み、冷房時では 5.0
以上、暖房時でも 5.0 以上の高性能の機種が多くなってきております。
COP5.0 とは、電気1kWのエネルギーの投入で、5kW(熱換算kW 数値)取り出せるという事です。
つまり電気代に置き換える
以前の機種では 10,000 円/月かかっていた電気代が、約 5,000 円月になると同時に、消費電力も
約半分になり、現在問題となっている CO2削減効果にも期待されております。
ヒートポンプの熱源として、代表的なものとして、空冷方式と水冷方式の2種類
空冷式とは
現在のエアコンのは空冷式が90%以上で、その熱源は外気の空気温度を利用しております。
従って冬季外気温度の低下したときに暖房するため、外気温度5℃で室内温度は 20℃であれば
温度差は単純に15℃であるが、室内機の吹出し温度は40℃以上なので実際の温度差は35℃
以上である。又冷房運転についても同様で室内の熱を外気に放出して室内を冷房します、つまり
冬季と夏季では運転が逆になります。(冷媒回路内のガスが逆に流れるように四方弁が
付いております)従って空冷エアコンでは、外気温度と室内温度の差が大きいと、
暖房能力が低下し又、冷房運転では、外気温度が35℃以上になると冷房能力が低下します。
又積雪地域や寒冷地域では、夏季の冷房は問題ありませんが、冬季の暖房では著しく能力が
低下するため、ガスヒートポンプエアコンの設置が多い。現在では寒冷地用エアコンも各メーカー
で生産されております。
水冷式とは
空気熱交換器の代わりに、水熱交換器を使用したエアコンである。
以前はクーリングタワーを使っておりましたが、水熱交換器の腐食対策の為、水質管理に
維持費が掛かりますので最近は殆ど使われなくなりました。
井戸等の地下水(地熱)を利用したエアコンでは、地下水の温度は年間一定の為、夏季冷房
運転時及び、冬季暖房運転時にも外気温度の影響を受けないので、積雪地方で使われ始め
ている。又温暖地域でも夏季外気温度が 40℃以上になる場合でも地下水温度は約 15℃前後
なので冷房能力は高くなり又、同時に消費も空冷エアコンに比べて約 50%UP となる。
但し地下水の出る場所で尚且つ水質が良好な場所と限定される欠点がある。
又地域によっては地下水くみ上げ規制のある地域は設置できません。
最後に
古いエアコンを、現在生産されているエアコンにおきかえることで、省エネ及び CO2 削減効果に
対して多大なる効果がある、以下概算で計算してみます。
今では一般家庭でも2台以上のエアコンを設置しているケースが多いので、200 万軒の家庭で1台
づつ交換しても約 100 万kWh の電気が削減出来き又、100 万kWh とは原発1基分に相当しま
す。
しかし業務用大型エアコンやビルマルチエアコンの性能は現在 COP 表示で平均 3.5 前後であり
旧型に比較して約 25%性能 UP で、大型圧縮機のモーター改善にはまだ至っていないのが現状で
あるが、近い将来 COP 5 以上の機種が生産されるであろう。
以上