欧州プラスチック産業NEWS 2016年1号

2016 年 1 号(新涼)
2016 年夏、英国以外のヨーロッパ各国では、同国の EU 離脱について、活発な議論が行われて
います。欧州、そして英国経済への影響は、どうなるのでしょうか。あまり問題ないのでは、
との声もありますが、特に為替レート、つまりはポンド安によって、英国へ輸出する製品が割
高になり、輸出依存度が高いドイツや日本にとって、大きな打撃となる可能性があります。ま
た、対英国投資が、以前予想した規模を 15%程度下回る、とコンサルティング会社 Fitch が予
想しています。EU 離脱によって、英国の将来の雲行きはどうなるのでしょう。
さて、お待たせしておりました、欧州プラスチック産業 NEWS・2016 年 1 号ですが、今回は、
* トレンド
プラスチックと環境保護
* 業界・企業ニュース BREXIT が業界に与える影響、業界再編の動き
* メッセ情報
interplastica & Chinaplas の総括、K 2016 ジャパン・デー紹介
などを取り上げました。ぜひ、最後までご覧ください。
第 1 部: トレンド
最近、よく議論にあがるトピックは、環境保護です。これについて、プラスチック業界にも関
係する話題を、2 点ほど取り上げたいと思います。
トレンド 1: 好評な Nespresso のカプセルが、生分解性素材へ
ドイツをはじめ、欧米においてコーヒーが好まれているのは、ご存知のことと思います。最も
おいしいのは淹れたてのコーヒー、ということで、Nestlé 社の『Nespresso』をはじめ、数多く
のカプセル式コーヒーメーカーが急速に普及してきました。このマシンの利点は、淹れたての
おいしいコーヒーが飲めるだけではなく、作り方も簡便であることですが、他方では、環境に
かなりの負担をかけることも事実です。2014 年に発表された記事によれば、ドイツにおいて、
コーヒー・カプセルのごみだけで、年間 4,000 トンにものぼったとのこと。また、Nestlé 社は
年間に 80 億個のコーヒー・カプセルを販売し、それによって 800 万 kg のアルミがゴミとなっ
たそうです。コーヒーの粉が充填された、主にアルミとプラスチックからなるカプセルは、リ
サイクルが難しく、結果として、環境に相当の負荷をかけています。
その問題の解決策として、南独のフライブルクに拠点がある Original Foods 社は、今年の
BIOFACH 展で、アルミを一切使わない、バイオプラスチックのみからなるコーヒー・カプセル
を展示紹介しました。
同社の情報によると、Nespresso 向けのこのカプセルは、素材の 90%以上が、12 週間で二酸化
炭素と水に分解されます。これがさらに普及すれば、おいしいコーヒーを楽しめながら、環境
への悪影響を最小限に抑えることができるようです。
画像:Original Food 社プレス・リリース
出展:2016 年 2 月 10 日付 www.packaktuell.ch 内記事、2014 年 1 月 8 日付 Welt 紙
トレンド 2: 海洋漂流プラスチックごみ(マイクロプラスチック)削減への取り組み
海洋漂流ごみ、なかでもプラスチック由来のものは、残念ながら毎年増加傾向にあります。ド
イツの専門誌 Verpackungs-Rundschau によると、年間およそ 800~1,000 万トンものプラス
チックごみが、新たに海を汚染しています。ご存知のように、太陽光、紫外線、風や波などに
より、プラスチックは次第に劣化・崩壊して、マイクロプラスチックと呼ばれる状態となりま
す。なかでも、5 ミリ以下のものは、魚が誤食することがあり、結果として、魚を食す人間にも
影響が及ぶのです。上述の雑誌によれば、海に漂うプラスチックの量は、海で泳ぐ魚のすでに
1/3 に相当するそうです。
プラスチックごみ減少は、早急に対応策を練るべき最も重要な課題のひとつです。欧州では、
すでに取り組みがスタートしています。具体例を挙げますと、ドイツでは、環境省と流通業界
が、これから先 10 年間でビニール袋の使用を半分にまで減少させる、という合意書を締結しま
した。これを実現するひとつの方法は、店舗などのレジで渡されるビニール袋を有料とするこ
とです。料金は、わずか 0.05 ユーロ(6 円相当)からですが、有料化することで、無駄な利用
を減少させる効果が見込めます。実際、衣類販売大手 C&A の店舗では、ビニール袋の利用を
50%以上も削減させることに成功しました。これは、環境に対する非常に良いメッセージです。
出展:2016 年 4 月 27 日付 FAZ 紙、2016 年 1 月 28 日付 Verpackungs-Rundschau 誌
第 2 部: 業界・企業ニュース
プラスチック利用が増加傾向
メッセ・デュッセルドルフが委託し、2016 年 6 月に発表した調査によれば、プラスチックの消
費が、1950 年から 2015 年にかけて、毎年 8.5%程度増加し、今世紀に入ってからも、利用増加
率が 4~5%で推移するなど、プラスチックが不可欠な素材であることを示しています。もちろ
ん、今でもプラスチック利用が拡大傾向にあるのは、欧州ではなく、中国や東南アジア諸国が
牽引しているからです。ドイツのプラスチック産業が、将来を楽観視しているのは、このよう
な統計・動向が後押ししているためでしょう。今秋開催される『K 2016』の展示スペースが完
売となっていることも、その見通しが反映されてのこと、かも知れません。
出展:2016 年 7 月 4 日付 Maschinenmarkt 誌、
2016 年 6 月 28 日付 www.canplastics.com 内記事
英国の EU 離脱~BREXIT~が、プラスチック産業に与える影響
本年 6 月の国民投票の結果、英国が EU から離脱することになり、以降、その決定が欧州と英
国の経済にどういう影響を与えるのか、について熱心な議論がなされてきました。もちろん、
長期的には誰も判断できませんが、近い将来に関して、ドイツ機械工業連盟(VDMA)プラス
チック・ゴム加工機械工業会のキューマン(T. Kühmann)専務理事は、
『英国は、輸出先として
7 番目ということもあり、独プラスチック・ゴム加工機械業界にとって、今回の離脱がすぐさま
≪悲劇≫を引き起こすとは考えにくい』と、述べています。とあるインタビューにおいて、独
化学大手 Henkel 社のファン・バイレン(H. Van Bylen)CEO も、離脱の影響について、
『弊社
にとって、対応可能なもの』と、同じような見解を示しました。
一方、米国プラスチック工業会(SPI)で国際・貿易を統括するテーラー(M. Taylor)氏は、
『米
英の経済関係を鑑みると、英国の EU 離脱決定は、わが国のプラスチック産業に大きな影響を
及ぼすだろう』と、見ています。
出展:2016 年 7 月 1 日付 www.plasticstoday.com 内記事、2016 年 6 月 25 日付 FAZ 誌
合併・買収により、プラスチック・化学産業にも変化が
合併・買収が業界を大きく変えることは、世界の共通認識です。日本における『銀行再編』は、
その一例です。そして、化学産業も例外ではありません。Bayer 社から分離・独立した Lanxess
のツァハート(M. Zachert)社長は、あるインタビューで、
『まず、注目すべきポイントは全体
的なトレンドだ』と、語っています。現在、同氏が注視しているのは、
① 原料の価格変動
② 中近東など、今まで石油をはじめとした原料を提供していた企業が、利益マージンが
高い加工に注力
③ 中国企業による輸出増、外国企業の買収など、国際ビジネス活動の強化
の 3 点とのこと。中近東に関しては、同社の合成ゴム事業を、Saudi Aramco 社との合弁会社に
譲渡したこともあり、サウジアラビアの企業を将来的に売却する可能性は、完全には否定され
ませんでした。
一方、178 年の歴史を持つ、ドイツの KraussMaffei 社が、中国の国営企業 ChemChina に買収
されたことが明らかになりました。ChemChina にとっては、
『イタリアのタイヤメーカーPirelli
を 70 億ユーロ(8,050 億円相当)で買収』に次ぐ、有名欧州企業の事例となります。423 億ユー
ロ(4.86 兆円相当)の売り上げを実現する中国企業にとって、9 億ユーロ(1,035 億円相当)は
その 2%ぐらいしかありませんが、欧州企業の優れた研究開発と技術へのアクセスがカギであ
ることは、間違いありません。
出展:2016 年 7 月 28 日付 China Daily 紙、
2016 年 6 月 1 日付、2016 年 1 月 12 日付 Handelsblatt 紙
独 Covestro 社は、Bayer から分離後も順調に成長
上記の Lanxess と同様に、Bayer から分離した Covestro 社(2015 年 8 月 31 日までは、Bayer
Material Science として活動)は、できるだけ早く独立しようとしています。現時点で、Bayer
が Covestro 社株式の 64%を所有していますが、遅くとも 2018 年までに、残り全てを売却する
意向を発表しました。Covestro 社は、Bayer からの『のれん分け』にあたり発生した、21 億ユー
ロ(2,415 億円に相当)程度の借金を完済できた、と言われています。これが実現できた主な要
因は、中国での好調なビジネスだったそうです。考えてみると、業界再編は合併・買収だけで
はなく、ビジネス分担と分離も重要なポイントかも知れません。もちろん、Covestro 社は K 2016
において、6 号館で大きなブースを設け、皆さまのご来場をお待ちしています。
出展:2016 年 7 月 27 日付、2016 年 6 月 25 日付 www.rp-online.de 内記事
第 3 部: メッセ情報
ロシア経済情勢が厳しくなる中、モスクワ開催 interplastica が成功裡に終了
メッセ・デュッセルドルフのモスクワ支店が主催した『interplastica - ロシ
ア国際プラスチック・ゴム産業展』が、本年 1 月 26 日~29 日に行われ、
取り巻く経済環境が厳しくなる中においても、成功裡に終了することがで
きました。具体的には、35 か国から 616 社(うち、ドイツから 143 社)
が、実質面積 11,500 ㎡に出展、ロシア+周辺諸国を中心に、63 か国から
およそ 20,900(同時開催の包装展を含む)もの関係者が来場しています。現在、記念の第 20 回
開催となる interplastica 2017 への出展お申し込みを受け付けています(9 月 30 日締切)
。
出展:2016 年 1 月 14 日付 AUMA Compact 誌
Chinaplas がさらに拡充
第 30 回目を迎えた Chinaplas – 中国国際プラスチック・ゴム産業展(主催:Adsale 社、共催:
メッセ・デュッセルドルフ・上海)が、本年 4 月 25 日~28 日に上海で行われ、出展・来場数、
そして展示規模において、過去最高を記録しました。
『アジア最大、世界では 2 番目』の規模と
実績を誇る同展は、メッセ・デュッセルドルフ・グループが協力していることもあり、国際色
も豊かです。事実、3,000 を超える出展者のうち 35%が、そしておよそ 15 万にのぼった来場者
のうち 26%は、中国国外からの参加です。
出展:2016 年 5 月 23 日付 www.industrysourcing.com 内記事
業界 No. 1 メッセ『K 2016』を、より効果的に視察する≪ジャパン・デー≫
業界世界最高峰のメッセ『K 2016 - 国際プラスチック・ゴム産業展』
が、いよいよ本年 10 月 19 日(水)から 8 日間にわたり、独・デュッ
セルドルフにて開催されます。世界 60 か国からおよそ 3,200(日本企
業は 57 社 = 7 月末時点)もの国際色豊かな出展者が、最新製品・技
術・ソリューションを披露します。
弊社では、会期中の 10 月 24 日(月)に、≪ジャパン・デー≫と題し、日本からご参加の皆さ
まに、以下の特別プログラム(有料)をご用意しております。効果的なご視察の一助として、
ご活用いただければ幸いです。
会場巡回ハイライトツアー
10 時 30 分~13 時 00 分
日本語通訳付き
A コース 素材
BASF、Bayer、Lanxess など
B コース 機械
ARBURG、Reifenhäuser、Windmöller & Hölscher など
※上記は、訪問想定企業であり、実際と異なる場合がございます
15 時 00 分~17 時 30 分
セミナー
日本語通訳付き
『ドイツ・欧州プラスチック・ゴム産業の実情&トレンド(仮題)』
※ドイツ・欧州を代表する業界団体・企業・メディアによる、
『市場』
、そして『新技術』を
テーマとした発表を、各 2 本程度予定しています
懇親会(レセプション)
18 時 30 分~20 時 30 分
なお、弊社での前売入場券販売方法が、今回から変わりました。詳しくは、新たな販売方法、
伴って変更となるお客さまが行うお手続き(入場券入手方法)をご確認いただき、弊社にてご
購入いただける場合には、前売入場券販売ページからご注文下さいますよう、ご理解ならびに
ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
欧州プラスチック産業 NEWS・2016 年 1 号は、いかがだったでしょうか?ご意見やご要望を
お聞かせいただければ幸いです。
【発行】㈱メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン
【編集担当】メルケ・橋木
【メッセ担当】橋木
http://www.messe-dus.co.jp ・ http://k.messe-dus.co.jp
本ニュースレターの掲載情報は発行日現在のものであり、予告なく変更される場合がございま
す。あらかじめご了承ください。