高齢化社会を見据えた旅行業界 グループ 1部 3年24組54番 木全 正人 1部 3年 9組34番 富沢 孝太 1部 3年23組37番 藤川 広志 他2名 【目次】 はじめに 第一章 バリアフリー旅行の必要性 1 高齢化社会におけるバリアフリー旅行 2 個人旅行とバリアフリー旅行の関係 3 バリアフリー旅行の必要性 第二章 海外のバリアフリーとの比較 1 日本のバリアフリーに対する遅れ 2 アメリカと日本の比較 第三章 企業におけるバリアフリー対応 企業のバリアフリーに対する取り組み 第四章 結論 観光地におけるバリアフリー 要旨 現在の日本は高齢化が進んでおり、13年後の2020年には高齢者の人 口がピークに達する。現在、この高齢化社会に対応する社会への転換が迫られ ている。その中で、旅行業界では高齢者またはハンディキャップスをターゲッ トにしたバリアフリー旅行が今後の重要な課題である。日本の高齢化は急速に 進んでしまっているために、海外の国と比較した場合、バリアフリー化の面で 遅れをとってしまっている。世界で最もバリアフリーが進んでいる国の一つで あるアメリカと比較すると、バリアフリーに対する取り組みに大きな違いがあ ることがわかる。ハンディを持つ人も自分となんら変わりのない一人の人間で ある、という考えをまず認識し、その上で、一緒に生活するためにより行動し やすい環境をつくるということがバリアフリー化の本質であると考えられる。 高 齢 化 社 会 に お い て 、旅 行 会 社 は 様 々 な 取 り 組 み を 行 っ て い る 。我 々 は JTB のバリアフリープラザでのインタビューにより、バリアフリー旅行商品がどの ようにつくられ、消費者に提供されるかを考察した。バリアフリー旅行はまだ まだ一般的であるとは言えない。企業側もバリアフリー旅行から収益を得るの が厳しい中で、様々な工夫と努力をしている。この取り組みがバリアフリーの 浸透を促進すると考えられる。 企業側のバリアフリーに対する取り組みが高齢化社会に大きな影響を及ぼす ことと同様に、観光地でのバリアフリー化も高齢化社会において重要な課題で ある。観光地のバリアフリー促進によって、日本のバリアフリーの遅れを取り 戻 し 、地 域 復 興 及 び バ リ ア フ リ ー 対 応 の 社 会 に す る こ と が で き る と 考 え ら れ る 。 はじめに 高齢化社会が進んでいる昨今の日本において、我々は高齢化社会に対応した 旅行について考察していく。 日本は1970年に高齢化社会(1)となり、急激な速さで進行している。そ して、2020年頃には65歳以上の高齢者人口が約3300万人とピークに 達し、その後、数十年間は少子高齢化社会が続くと考えられる。この拡大する 老齢人口に対しては、福祉・介護マーケットなど多方面に及ぶビジネスチャン スが拡大しているが、旅行業界にとっても、この市場の動向によって大きな転 換が迫られており、今後拡大していく市場であるので、様々な取り組みが必要 で あ る 。実 際 、近 年 で は 多 く の 旅 行 会 社 が「 バ リ ア フ リ ー 旅 行 ( 2 )」に 力 を 入 れ 始めている。バリアフリー旅行を専門に取り扱う新しい旅行会社もできてきて い る 。( 3 ) 交 通 バ リ ア フ リ ー 法 ( 4 )、ハ ー ト ビ ル 法 ( 5 ) な ど 法 的 整 備 が 行 わ れ た こ と も あ り 、ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ ツ や 高 齢 者 が 旅 行 に 出 か け る 気 運 も 高 ま っ て い る 。 高齢化社会において、バリアフリー旅行は必要不可欠であると我々は考えてい る。 尚 、本 稿 は 主 要 参 考 文 献 な ら び に 新 丸 ビ ル 1 階 JTB バ リ ア フ リ ー プ ラ ザ で の 今西正義副支店長へのインタビュー(2003年8月12日午後2時から午後 3時20分)を参考に考察していく。 第一章 1 バリアフリー旅行の必要性 高齢化社会におけるバリアフリー旅行 近年、 「 バ リ ア フ リ ー 」と い う 言 葉 を 多 く 聞 く よ う に な っ て き て い る 。日 本 は 現在、高齢社会(6)である。時代の変化に対応し、様々な変化を余儀なくされ る旅行業界にとって、この高齢化社会とは旅行業界が少なからず変化する重大 な時であると我々は考える。 これまで、旅行会社が一番に力を注ぎ込み、販売促進を行ってきた旅行商品 は、パッケージ・ツアー(7)である。パッケージ・ツアーは、個人から旅行に 参加することができる事前手配型の旅行商品であり、旅行会社はこのパッケー ジ・ツアーにそれぞれのブランド名(8)を付けて、積極的な販売活動を展開し てきた。パッケージ・ツアーが誕生した時は、旅行業界に重大な転機をもたら した。パッケージ・ツアーは旅行業界の主役となり、企業を支える旅行商品と して認知された。しかし、高齢化社会においては、パッケージ・ツアーはバリ アフリー旅行ではそのままでは使えない。その理由として、バリアフリー旅行 は利用者のニーズが多様であることがあげられる。バリアフリー旅行は利用者 ひとりひとりの体の状態や、年齢に合わせてそれぞれの人に適した旅行商品を 提供することがベストである。それにはパッケージ・ツアーのようにあらかじ め旅行の計画が立てられていて、そこに申し込んで旅行に行くという形態は適 していないと言える。これまで旅行商品の代表的存在で旅行会社を支えてきた パッケージ・ツアーだが、高齢化社会においてはパッケージ・ツアーの新たな 形が要求されると考えられる。高齢化社会において、バリアフリー旅行を希望 する人のために、柔軟で臨機応変に対応できるパッケージ・ツアー製作が必要 とされる。実際、高齢化社会に対応すべく、バリアフリーパッケージ・ツアー に 力 を 入 れ 始 め て い る 旅 行 会 社 も 出 て き て い る 。例 を あ げ る と 、JTB の「 バ リ ア フ リ ー プ ラ ザ 」( 9 ) は 独 立 し た 一 つ の 部 署 と し て 高 齢 者 、ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ ス のための旅行商品を提供している。高齢化社会とは言っても、全ての旅行がバ リアフリー旅行になるわけではもちろんない。しかし、バリアフリー旅行の需 要は確実に伸びると考えられる。旅行とは誰もが行きたいと思い、誰もが行け るものでなければならない。バリアフリー旅行の需要が一般の旅行の需要に比 べてまだ小さいとしても、バリアフリー旅行を望む人が一人でもいるならば、 バリアフリー旅行の商品を作る意味はあると考えられる。まして、高齢化社会 ともなればその必要性は非常に大きいものとなるはずである。 2 個人旅行とバリアフリー旅行の関係 従 来 の 日 本 の 旅 行 は 団 体 旅 行 ( 1 0 ) が ほ と ん ど で あ っ た が 、近 年 で は 個 人 旅 行 (11) が 主 流 と な っ た 。そ の 要 因 に は 、景 気 の 低 迷 に よ る 企 業 関 連 の 旅 行 需 要 が 激減したこと、また現代の高度に発達した情報化社会では個人で旅行に申し込 むことがより容易になったことがあげられる。この個人旅行が主流になったと いうことは、バリアフリー旅行にとって良い傾向であると考えられる。前節で 述べたように、バリアフリー旅行は利用者ひとりひとりのニーズに合わせた旅 行商品の提供が必要である。個人旅行ならばこの条件を満たすことのできる旅 行商品をつくり易いと考えられる。 旅 行 業 界 で は 、 個 人 あ る い は 少 人 数 の 旅 行 を FIT ( Foreign Independent Travel)( 1 2 ) と 呼 ぶ 。 ま た 、 旅 行 業 界 の FIT 化 と と も に 近 年 目 立 っ て き て い る 傾向として、特別なテーマを持った旅行の増加があげられる。例をあげると、 音 楽 や ス ポ ー ツ な ど を 旅 行 の 目 的 に し た も の や 、特 別 な 地 域 を 訪 れ る も の な ど 、 旅行会社の経験とノウハウを背景とした、付加価値の高い旅行商品である。こ れ ら を 総 称 し て 、 SIT( Special Interest Travel)( 1 3 ) と 呼 ぶ 。 バ リ ア フ リ ー 旅 行の需要は近年伸びてきている。しかし、まだ旅行に行きたくてもなかなか旅 行に踏み切ることのできない高齢者やハンディキャップスは数多くいる。そこ で SIT 旅 行 は そ の 足 枷 を 外 す も の と な り 得 る と 考 え ら れ る 。た だ 観 光 目 的 の 旅 行や、気分転換のための旅行だと、足の重いタイプの消費者は旅行に出ない。 し か し 、 SIT 旅 行 と な れ ば 、 特 別 な テ ー マ が あ り 、 付 加 価 値 の 高 い も の で あ る ため、旅行に出てみようとする気が起きるはずである。もちろん、バリアフリ ー希望で旅行好きな消費者にとっても非常に価値のある旅行商品である。この FIT、 SIT 旅 行 の 発 達 が バ リ ア フ リ ー 旅 行 に 大 き な 影 響 を 与 え る こ と が で き 、 この二つの要素を取り入れた旅行商品の開発がバリアフリー旅行の需要と供給 を伸ばすことができる一つの形だと考えられる。 3 バリアフリー旅行の必要性 高齢者の旅行と聞くとどうしてもいろいろな面で不自由が目立ち、気構えて しまう傾向にあるが、消費者本人と話をし、体がどの程度動くのかということ だけでなく、本人が不安に感じていることや旅に対しての考え方などを実際に 聞いてみて、無理のないように旅行を企画すれば高齢者の旅もまったく難しい こ と で は な い の で あ る 。( イ ン タ ビ ュ ー よ り ) 高齢化社会が進んでいる日本において、国内・海外を問わず旅行したいと考 える高齢者が増加していくことは間違いない。旅行業界にとってはこうした高 齢者をいかに消費者として取り込んでいくかが重要となってくる。高齢者は年 齢による体力の衰えから健康や生活に不安を持ち、体の自由が利かないなど、 障害をもつ人も増えてくる。このような高齢者の人たちの意識を旅行に向けさ せるためには、旅行商品の価格を単に安く設定するよりことよりも、旅行を通 して快適かつ安心して過ごせるような配慮をすることが重要となってくる。そ うした中で、バリアフリー旅行は高齢者、ハンディキャップスが安心して参加 できる旅行商品といえるだろう。 バリアフリー化を必要とする旅行には、車椅子に代表される移動面、視覚や 聴覚などの情報面、人工透析や持病などの医療面などといったさまざまな障害 (バリア)がある。そのため利用者のニーズも複雑で多様である。そうしたニ ーズのきめ細かい調査、また利用者の立場を理解したコンサルティングがバリ アフリー旅行には求められてくる。日本は諸外国に例を見ないスピードで高齢 化社会に突入してしまったためバリアフリーに対するアクションが遅れている が、バリアフリー旅行の需要がこれから増えていくのは想定できるので、旅行 業界は10年、20年後を見据えて高齢者のシェア、リピーターを増やすため に、施設・設備などのハード面だけでなく、利用者のニーズを踏まえ、システ ムやサービスなどのソフト面も充実させていかなければならない。 第二章 1 海外のバリアフリーとの比較 日本のバリアフリーに対する遅れ 日本はバリアフリーに対し先進各国に比べ、遅れをとっている。第一章でバ リアフリー旅行の必要性について述べたが、実際にはその必要性に対応しきれ ていないのが現状である。海外の国々と比較してみてもその遅れは大きいもの である。海外では30年以上の歴史があるバリアフリーだが、日本で本格的に バリアフリーに対する取り組みが始まったのは10年位前のことである。アメ リ カ で は 、 全 米 建 築 基 準 協 会 ANSI ( 1 4 ) が 1 9 6 1 年 に 世 界 で 最 も 早 く 「 身 体 障害者にアクセスしやすく、使用しやすい建築、施設設備に関するアメリカ基 準仕様書」を作成した。その後、1974年に国連専門会議報告書「バリアフ 「 バ リ ア フ リ ー 」と い う 言 葉 が 一 般 的 に リ ー デ ザ イ ン 」( 1 5 ) が 出 版 さ れ て か ら 、 使われるようになった。では、どうして日本はバリアフリーに対し遅れをとっ ているのだろうか。それは、日本の高齢化のスピードが他の国に比べて非常に 速いからであると言える。 ( 表 1 )日 本 は 1 9 7 0 年 に 高 齢 化 社 会 と な り 、2 4 年後の1994年に高齢社会へと移行した。アメリカでは2015年に高齢社 会になる見込みで、70年かかることになる。この他国と比べて圧倒的に短い 期間で進んでしまった高齢化が、日本のバリアフリー対応の遅れの原因の一つ であると言える。もう一つの原因として、1950年の時点では、日本は他国 に比べて高齢化が進んでいなかったことがあげられる。 ( 表 2 )こ の 突 然 の 高 齢 化と、その進行スピードの速さによって、日本はバリアフリー化が遅れてしま ったと考えられる。そして、2020年には65歳以上の人口の割合が日本は 25.2%となる見込みで海外の国と比較しても非常に高い割合となってしま う。対応が遅れていることに加え、その7年後にはピークの高齢社会になって しまうことを考えれば、早急にバリアフリーに対応した社会にしなければなら ないことがわかる。 表1 人口高齢化速度の国際比率(65歳以上人口比率の到達年次) 国名 7% 14% 所要年数 表2 65歳以上人口割合の国際比率 (単位 %) 30 25 1950年 1985年 2000年 2020年 20 15 10 5 0 日本 アメリカ イギリス 旧西ドイツ フランス スウェーデン ( 資 料 http://www.chitanet.or.jp/users/10010005/pcshakai.html) 2 アメリカと日本の比較 アメリカでは、空港はバリアフリーが完璧で容易に行動することができる。 鉄道に関してはサンフランシスコの地下鉄はエレベーターがあり、車椅子でも 問題なく利用できる。ロサンゼルスでは本数が少ないという不便さがあるが、 バリアフリーには対応している。バスは全米でほぼ全てのバスにリフトがつい ており、車椅子で自由に乗ることができる。レンタカーも、申し込めばハンド コ ン ト ロ ー ル( 手 動 装 置 )( 1 6 ) を つ け て く れ る 。町 で は シ ョ ッ ピ ン グ セ ン タ ー 、 レ ジ ャ ー 施 設 、各 種 建 物 と 問 題 な く 移 動 で き る よ う バ リ ア フ リ ー 化 さ れ て い る 。 ハンディキャップス用の駐車スペースの数が非常に多い。商店や建物の出入り 口は段差がないように配慮されていて、しかも、とってつけたようなスロープ ではなく自然な形で造られている。トイレは、ほぼ全ての公共トイレに 子でも使えるトイレ 車椅 がある。トイレが一つしかない場合、それが車椅子でも 使えるトイレになっている。アメリカは世界で最もバリアフリー化が進んでい る 国 の 一 つ で あ る 。ア メ リ カ と 比 較 す る と 日 本 が い か に 遅 れ て い る か が わ か る 。 日本は生活する上でいたるところにバリアが存在している。日本はハンディキ ャップスとそうでない人の間には、あきらかな生活の「違い」がある。アメリ カではハンディキャップスに対し、特別な目で見るようなことはなく、そのハ ン デ ィ を 一 つ の 個 性 と し て そ の 人 を 見 て 、接 し て い る 。日 本 で は ど う だ ろ う か 。 ハンディを持つ人に対し、あきらかに自分とは違う人として対応し、自分達の 生活空間では同じように行動はできないと思っているのではないだろうか。ア メリカではできる限り自然で、ハンディキャップスもそうでない人も一緒に生 活できるような環境を作ろうとしている。ハンディを持つ人も自分となんら変 わりのない一人の人間である、という考えをまず認識し、その上で、一緒に生 活するためにより行動しやすい環境をつくるということがバリアフリー化の本 質であると考えられる。そのようにバリアフリー化を進めるべきである。 第三章 企業におけるバリアフリー対応 企業のバリアフリーに対する取り組み 高齢化社会の影響を受け、旅行会社はバリアフリーに対応した旅行商品の開 発 に 力 を 注 い で い る 。 我 々 は JTB の バ リ ア フ リ ー プ ラ ザ で の イ ン タ ビ ュ ー で 、 高齢化社会におけるバリアフリー旅行について、どのような取り組みを行い、 また、どのように旅行商品を提供しているのか話を伺った。 JTB で は 、 全 て の 人 に 旅 行 を 楽 し ん で も ら う た め に 、「 Tourism of all」 を キ ャッチフレーズに様々なサービスを提供している。ハンディキャップスや高齢 者 な ど 、何 ら か の 介 助 が 必 要 な 客 へ の サ ー ビ ス も 同 様 で あ る 。こ れ ま で JTB が 蓄 積 し た 旅 行 に 関 す る 情 報 に 加 え 、 JTB が 持 つ 福 祉 専 門 セ ク シ ョ ン JTB ト ラ ベ ル ネ ッ ト ( 1 7 ) の ノ ウ ハ ウ を 生 か し た 、全 て の 顧 客 へ の サ ー ビ ス の 一 貫 と し て 「バリアフリープラザ」を設けている。また、顧客の要望によって、旅行サポ ー タ ー の 同 行 、 移 送 サ ー ビ ス ( 1 8 )、 民 間 介 護 サ ー ビ ス 、 企 業 ボ ラ ン テ ィ ア な ど の手配を行っている。このバリアフリープラザでは、海外安心簡単プラン(19) としてハンディを持たない友達や家族と一緒に最少2名より出発することがで きる旅行を掲載している。空港までの移動と現地での交通移動はリフト付きバ ンを手配し、ハンディキャップス・高齢者でも安心して使える宿泊施設を提供 している。海外安心充実プランは、初めて海外旅行に行く場合、介助が必要な 場 合 で も 安 心 し て ゆ っ た り と し た 旅 行 を 楽 し め 、添 乗 員 と 介 助 者 1 名 が 同 行 し 、 現 地 で の 移 動 は リ フ ト 付 き バ ン が 手 配 で き る と こ ろ を 案 内 し て い る 。JTB で は ホームページ上で旅行を申し込むことができる。この形式で注目すべき点は簡 潔さである。また、インターネット上で申し込みをすることで、メールを利用 し、旅行の連絡や質問などを気軽にできるようにしている。これらの取り組み はまだ一般的ではないが、ハンディキャップスにとって、情報の障壁の除去と なっている。 現 在 、バ リ ア フ リ ー 旅 行 は ま だ ま だ 一 般 的 で は な い 。JTB の ソ レ イ ユ ク ラ ブ (20) に は 3 0 0 0 人 近 い 会 員 者 が い る 。し か し 、そ の 中 の 7 割 の 会 員 は パ ン フ レットが欲しいという問い合わせだけで、実際に旅行に申し込むのは3割程度 である。中には10回以上参加している会員もいるが、ごくわずかである。し かし、このバリアフリー旅行の潜在需要が大きいことを考えれば、現在は利用 者 が 少 な く て も 将 来 的 に は 増 え る こ と が 考 え ら れ る 。JTB は 他 社 と の 差 別 化 を 図るために、料金よりも旅行の内容、企画力に重点を置いている。しかし、利 用 者 か ら の 意 見 で は「 料 金 が 高 い 、も っ と 安 く し て 欲 し い 」と い う 要 望 も 多 い 。 バリアフリー旅行は、普通の旅行に比べて、移動手段の確保や、介助者の同行 など、コストがかかってしまうため、どうしても高めな料金になってしまう。 利用者の要望に応えるために料金の設定は今後の課題といえよう。しかし、現 状のバリアフリー旅行の収益はおよそ5%から7%である。バリアフリープラ ザは利益を得るのが厳しい中で消費者のために様々な工夫をし、要望に応える 旅行商品をつくっている。この取り組みがバリアフリー旅行の浸透を大きく促 進 す る だ ろ う と 我 々 は 考 え て い る 。( イ ン タ ビ ュ ー よ り ) 第四章 観光地におけるバリアフリー 日本のバリアフリー対応が遅れている理由としてその突然の高齢化と、進行 スピードの速さをあげた。ではその遅れを取り戻し、バリアフリーに対応した 旅行をどうつくるべきかを考える。我々はバリアフリー旅行で最も大事なのは 観光地におけるバリアフリーであると考えた。いかにバリアフリー旅行の需要 が 伸 び た と し て も 、旅 行 先 で あ る 観 光 地 が バ リ ア フ リ ー に 対 応 し て い な け れ ば 、 旅行は成り立たない。そこで我々は次のような仮説を構築した。 仮説 バリアフリー旅行には観光地となっている地域全体のバリアフリー化 が必要不可欠である。 この仮説を実際の観光地のバリアフリー対応を例にあげながら実証していく。 1 日本国内のバリアフリー化したホテル・旅館 日 本 国 内 に も バ リ ア フ リ ー に 対 応 し た 、観 光 地 や ホ テ ル・旅 館 は あ る 。 「アー トホテルズ札幌」はハートビル法の国内認定ホテル第一号になった。その後、 次々とハートビル法に認定される建築物が出来始めた。しかし、ハートビル法 に 完 全 に 対 応 し き れ て い な い 部 分 が ま だ ま だ あ る 。あ る ホ テ ル の 例 を 挙 げ る と 、 設計段階では、ハンディキャップスの意見を受け入れ、調査や設計に携わって もらい、完璧なバリアフリー化したホテルを目指すはずであったが、最後の最 後にハンディキャップの知識のない健常者が建ててしまったため、車椅子が通 れなかったことがあった。また、あるホテルでは、ルームは広々しているが、 調度品が大きすぎて車椅子に乗ったままだとベッドまでたどり着かないことも あ っ た 。( イ ン タ ビ ュ ー よ り ) 2 日本国内のバリアフリー化した観光地 高齢者が旅行する時の楽しみは、 「 風 景・ 自 然 に 親 し む こ と 」や「 史 跡・建 造 物 を 巡 る こ と 」で あ る 。 ( 表 3 )し か し 、世 界 文 化 遺 産 に 登 録 さ れ た 日 光 東 照 宮 はバリアフリー化されておらず、車椅子に乗った人が参拝拒否された。介助す る職員がいなく、通路が狭くて車椅子は通れないのが理由である。陽明門だけ でもみられる方法があるのに、前例ができてしまい改善を要求されるからとの 理由で、神社側はそこに至る門をあけなかった。それに対して数々の世界文化 遺産のある京都においては、清水寺にはスロープがあり、金閣寺は車椅子の貸 し出しをしてくれる。この違いは、地域のバリアフリーに対する取り組み方が 違うからである。 日 本 有 数 の 温 泉 観 光 地 で あ る 大 分 県 別 府 温 泉 は 、古 く か ら 湯 治 場 と し て 栄 え 、 高度成長期には団体客が大挙して訪れた。そのため、多くのホテル・旅館は近 年の少人数の家族旅行や高齢者グループの旅行に対応した大浴場・大広間の設 備の整備はやや遅れているのが現状である。そのため、1996年以降、観光 客 は 減 少 し 続 け て い る 。( 2 1 ) 旅 行 傾 向 が 高 齢 者 の 少 人 数 旅 行 に 変 化 し て い る こ とを感じ取った旅館ホテル組合は、1997年からバリアフリー観光整備に取 り組むため、行政との話し合いを続けている。観光振興は別府市全体の振興に なるものであるという認識では両者一致するものの、現状ではまだうまく連携 しているとはいえない。しかし、福祉分野からの働きかけは活発で、業界では 別府観光に対するハンディキャップスの期待の現れととらえ、独自に施設整備 に取り組んでいる。大広間・宴会つきの団体旅行が減り、高齢の少人数旅行客 が大きなマーケットを占めるようになってきたことから、別府市に働きかけて 2001年3月バリアフリーガイドマップを作成し、7月には市内のホテル・ 旅 館 の ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン ( 2 2 ) を 進 め る た め 、ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 特 別 委 員会を発足、宿泊施設のバリアフリーの充実を図っている。高齢者対応の改装 や車椅子対応の改装だけでなく、料理の工夫なども含めて積極的にバリアフリ ー化を進めている。その例を挙げると、ホテル竹の井では玄関に車椅子用リフ トを設置し、トイレを車椅子で使えるよう改造した。また、床を完全フラット にして、手すりを多くつけた家族風呂を新たに作った。車椅子客の利用だけで なく、高齢者や幼児のいる家族に喜ばれている。しかし、風呂の設計について の活発な意見交換、いろいろな試みがなされているが、浴室と脱衣所の段差を なくして完全フラットにした結果、脱衣所に湯が流れてくるなどの失敗例も多 い。 足腰の弱い高齢者が観光する場合、特に段差の多い観光地にはスロープのよ うな足に負担がかからない設備が必要であると考えられており、バリアフリー 旅行のパンフレットや広告には段差の有無や多目的トイレの有無が明記されて いる。 施 設 整 備 の 遅 れ 、対 応 の 難 し さ は 、シ ル バ ー ス タ ー 登 録 ( 2 3 ) の 状 況 に も 現 れ ている。全国のシルバースター登録の宿として、既に800を超える施設が登 録している。近年の旅行ニーズの変化は明らかにシルバースター登録を求める 方向に向いている。今後は、高齢者やハンディキャップスが、あらかじめシル バースター登録などを確認し、宿泊施設を選んで旅行するという変化が確実に 生じるだろう。 岐 阜 県 高 山 市 は 、人 口 が 6 万 人 規 模 な が ら 、観 光 客 が 年 間 3 0 0 万 人 も 訪 れ 、 観光が地域の主要産業である。高山市では65歳以上の高齢者の人口割合が、 1995年は16.7%、2000年は19.6%と地域住民の高齢化が進ん でいる。このことから、地域住民のバリアフリー化に努めてきた。また、この 住民のためのバリアフリーを活かして1995年からバリアフリー観光にも取 り組んできた。高山市のバリアフリー観光の取り組みは公的施設・設備のバリ アフリー化といったことからはじまり、これまでにバリアフリーに対応した公 衆 ト イ レ 、視 覚 障 害 者 用 ブ ロ ッ ク ( 2 4 ) な ど を 行 っ た 。こ の よ う な 地 域 の バ リ ア フリー化を実施するたびに地域での説明会を開催し、住民への意識向上を図っ ており、さらに東京から高齢者やハンディキャップスをチャーターバスでモニ ターツアーとして連れて来て、ツアー後のアンケートを、設備の整備に反映さ せるように取り組んでいる。その他に、福祉バスの運行や多目的トイレマップ の発行を行っている。民間施設、タクシー車両のバリアフリー化に市から一定 の補助を行い、民間へのバリアフリー化を支援し、地域の社会福祉協議会や、 各観光施設・宿泊施設のほか観光協会との連携を図ってバリアフリー観光へ取 り組んでいる。高山市の観光客数の推移をみると、2001年は321万80 0 人 で 前 年 比 2 0 . 0 % の 増 加 と な っ た 。( 表 4 ) よ っ て 、 高 山 市 に お い て は 、 バリアフリーへの積極的な取り組みが観光客増加につながったといえる。 表3 高齢者が希望する旅行のタイプ 1位 : 風 景 や自 然 に親 しむ旅 行 66.5% 2位 : 史 跡 や建 造 物 を巡 る旅 行 58.8% 3位 : 美 術 館 や博 物 館 を訪 れる旅 行 42.9% 4位 : 料 理 ・味 覚 を楽 しむ旅 行 34.7% 5位 : 異 国 の生 活 や文 化 を体 験 する旅 行 26.5% 5位 : 保 養 ・休 養 をする旅 行 26.5% 7位 : 買 い物 を楽 しむ旅 行 17.1% 大都市圏(首都圏、京阪神圏)の60歳以上の男女 資 料 :( 社 ) 日 本 旅 行 業 協 会 ( JATA) 「シルバー世代と旅行」調査(1999年9月) 表4 高山市を訪れる観光客の推移 (単位:千人) 観光客数 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 1995年 資料: その他 北陸 関西 関東 中部 県内 1997年 1999年 2001年 高山市観光資料課 ( http://www.city.takayama.gifu.jp/KIKAKU/aramashi/kankou.htm) 結論 日本は高齢化への階段を急速に昇っているため全国各地の宿泊施設や観光名 所の多くは、バリアフリー化されておらず、高齢化という新しい時代にはやく 対応しようと設備のバリアフリー化を試みるも、そういったノウハウが少ない た め 、第 四 章 で 挙 げ た 札 幌 の ホ テ ル や 別 府 温 泉 の 失 敗 例 も あ る の が 現 状 で あ る 。 それだけではなく、第二章で取り上げたように日本は、体の不自由な高齢者や ハンディキャップスに対する捉え方がアメリカとは違い閉鎖的であるためバリ ア フ リ ー 化 の 進 展 が 遅 い 。 JTB の イ ン タ ビ ュ ー に よ る と 、 昨 今 で は 盛 ん に 「 バ リ ア フ リ ー 」と い う 言 葉 が も て は や さ れ て い る が 、旅 に つ い て の 情 報 が 少 な く 、 旅をあきらめている高齢者やハンディキャップスがいる。そこで、今求められ ているのは、旅行会社側の魅力あるパッケージングや企画よりもむしろ、高山 市 に と っ て み え る よ う な 、地 域 住 民 に 高 齢 者 が 多 い か ら と い う 理 由 で は あ る が 、 地域全体にバリアフリー化を進展させ、それを高齢の観光客やハンディを持っ た観光客にも受け入れてもらえるように、宿泊施設や観光スポットにもバリア フリー化を試みる観光地になることである。 よって、バリアフリー旅行には観光地となっている地域全体のバリアフリー 化が必要不可欠である、と我々は考える。 最 後 に 、本 稿 を 書 く に あ た り 、快 く イ ン タ ビ ュ ー を 受 け て く だ さ っ た JTB バ リアフリープラザの今西氏、並びに協力してくださった方々に深く感謝の意を 示したい。 【注】 (1)高齢化社会 全 人 口 の 中 に 占 め る 6 5 歳 以 上 の 人 口 が 7% を 超 え た 社 会 の こ と を 指 す 。 (2)バリアフリー旅行 高 齢 者・ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ ス な ど 体 が 不 自 由 な 人 た ち を 対 象 に し た 旅 行 。 (3)バリアフリー旅行会社 ハンディキャップス・高齢者の旅創りを応援するバリアフリー旅行会社 は急速に高齢化が進む日本の中で注目を集めている。サービスも個々の 会社によって様々であるが、例としては、バリアフリーの旅館、ホテル の手配からリフト付きバスによる送迎などがあげられる。 (4)交通バリアフリー法 平成12年11月に施行された「高齢者、ハンディキャップス等の公共 交 通 機 関 を 利 用 し た 移 動 の 円 滑 化 の 促 進 に 関 す る 法 律 」の 通 称 。高 齢 者 、 ハンディキャップス、そのほか妊婦などの公共交通機関を利用した移動 の利便性及び安全性の向上を促進することを目標としている。 (5)ハートビル法 「高齢者、ハンディキャップス等が円滑に利用できる特定建築物の建築 の促進に関する法律」 ( 平 成 6 年 9 月 2 6 日 施 行 )で あ り 、デ パ ー ト 、ホ テルなど、不特定かつ多数の人が利用する建築物(特定建築物)の建築 主に、出入口、廊下、階段、便所等を、高齢者が円滑に利用できるよう にするための措置を求めた法律。 (6)高齢社会 全 人 口 の 中 に 占 め る 65 歳 以 上 の 人 口 が 14% を 超 え た 社 会 の こ と を 指 す 。 (7)パッケージツアー パッケージツアーとは航空券と現地の旅行素材(ホテル、トランスポー テーション、ガイド等)がセットされている旅行商品のことを言う。 (8)旅行のブランド 代 表 的 な も の と し て 、JAL パ ッ ク( 現 在 、JAL パ ッ ク は 社 名 )や ル ッ ク ( 現 在 は ル ッ ク JTB と ル ッ ク ワ ー ル ド に 分 か れ て い る )、 あ る い は ホ リ デイツアー、ジェットツアーといったブランド。 (9)バリアフリープラザ JTB バ リ ア フ リ ー プ ラ ザ と は 、車 椅 子 利 用 、視 聴 覚 障 害 の 方 な ど 、さ ま ざまなハンディを持つ方や、高齢で足元が不自由な方などを対象に、国 内・海外の個人旅行(手配、主催旅行)取り扱いの強化を目的に、20 01年10月に設立された。以来、首都圏におけるバリアフリーツアー 専門店として着実に業績を上げている。 (10)団体旅行 団体型の旅行を指す。修学旅行、職場旅行、招待旅行、あるいは医師会 や老人会といった各種団体旅行。 (11)個人旅行 旅行需要の個性化、多様化によって、画一的なグループ旅行が敬遠さ れるようになり、自分で旅行を組み立てる個人旅行が登場した。 ( 1 2 )宮 内 順 著『 旅 行 業 界 早 わ か り マ ッ プ 』こ う 書 房 、1 9 9 6 年 、4 5 頁 。 個 人 旅 行 の 人 気 を 背 景 に 、1 9 8 0 年 代 後 半 か ら 1 9 9 0 年 代 に か け て F IT 型 の 旅 行 が 急 激 に 増 加 し た 。 FIT と は も と も と 航 空 運 賃 用 語 で Foreign Independent Travel の 略 称 で あ り 、添 乗 員 の つ か な い 独 立 型 の 旅 行 の こ と を FIT と 呼 ん だ が 、最 近 で は 、グ ル ー プ 旅 行 に 対 比 し て 、 個 人 或 い は 少 人 数 の 旅 行 を FIT と 呼 ぶ よ う に な っ て い る 。 (13)同上書、45頁。 旅 行 業 界 で は FIT 旅 行 化 が 進 ん で い る が 、複 雑 化 、ま た 細 分 化 さ れ た 旅 行 者 の 要 望 に 対 応 で き る よ う に 作 ら れ た 旅 行 商 品 の こ と 。 Special Interest tour の 略 称 。 ( 1 4 ) 全 米 建 築 基 準 協 会 ( ANSI) ハンディキャップスにアクセスしやすく使用しやすい建築・施設設備 に関するアメリカ基準仕様書。 (15)バリアフリーデザイン めいめいのデザイン。個性が尊重されるデザイン。性による違い、貧 富による違い、肌の色、言葉、民族や人種、身体による違いなど、人 と人との間にある違いが壁(バリア)であるが、この違いを認識する ことで理解は深まり、それぞれの個性の尊重が考えられるようになる。 そこに「バリアフリー」な状況が生まれる。格差や偏見をなくすため に自分を理解してもらい、また相手を理解することが重要となる。こ のことを意識したバリアフリーの原点であるデザイン。 (16)ハンドコントロールの車 足の不自由な人は、足がつかえないので手だけで運転操作する。右手 でハンドルを操作して左手でアクセル、ブレーキレバーを操作するこ とのできる車。 (17)JTBトラベルネット ハンディをもつ人たちのための旅行会社「株式会社トラベルネット」 を 1 9 9 6 年 に 設 立 し た 。( ゼ ン コ ロ 、 三 菱 商 事 、 J T B の 共 同 出 資 で あ る 。) 専 門 旅 行 会 社 と し て は 業 界 初 。 (18)移送サービス ハンディキャップスや高齢者など一人では移動が困難な人を対象とし て、基本的にはリフト付きの車両、介助員と運転員が付いて、安心か つ安全な移動の手助けをしてくれる。サービスや料金、運行時間も企 業によって異なる。 ( 1 9 ) JTB 海 外 安 心 ・ 簡 単 プ ラ ン ハンディキャップス・高齢者などの体に不自由を持った人も自分自身 のプラン(出発日、日程、利用交通機関、宿泊施設)で旅行ができる JTB・ソレイユの旅行プラン。現地のホテルの「アクセシブルルー ム 」(車 イ ス 用 の 部 屋 )や 移 動 で の「 リ フ ト 付 き バ ン 」の 手 配 も で き る 。 (20)ソレイユクラブ JTB バ リ ア フ リ ー プ ラ ザ に お け る 利 用 者 と の ネ ッ ト ワ ー ク を 広 げ る ため、また旅と交通のために作られた会員制のクラブのこと。 (21)温泉地からの観光客離れ 日本最高の湧出量を誇る大分の別府温泉を筆頭に日本のあちらこちら に点在する温泉スポット、観光地はそのほとんどが観光客の減少に悩 まされているのが現状である。これまでの団体旅行に対応した旅館、 ホテルのやり方は時代遅れのものとなりつつあり、個人旅行や高齢者 の旅行をどのようにして呼び込んでいくかが重要となってきている。 (22)ユニバーサルデザイン ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン の 提 唱 者 は ノ ー ス カ ロ ラ イ ナ 州 立 大 学 (米 )の ロ ナルド・メイスである。自身も身体にハンディを持つ彼は1980年 代 、 そ れ ま で の バ リ ア フ リ ー の 概 念 に 代 わ っ て 、「 で き る だ け 多 く の 人が利用可能であるように製品、建物、空間をデザインすること」を ユニバーサルデザインとして定義した。ユニバーサルデザインは べての人が人生のある時点で何らかのハンディをもつ す ということを 発想の機転としている点で、それまでのバリアフリーデザインと大き く異なる。 (23)シルバースター登録 高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者が利用しやすい宿泊施設の整備 を図る必要から、厚生労働省並びに関係機関の協力を得て、設備・サ ービス・料理面で一定の基準を充足する旅館・ホテルを対象に、全国 旅館生活衛星同業組合連合会が認定登録する制度のことを言う。 (24)視覚障害者誘導用ブロック 視覚障害者誘導用ブロックは視覚障害者が通常の歩行状態において主 に足の裏の触感覚でその存在及びその大まかな形状を確認できるよ うな突起を表面につけたブロックであり、道路及び沿道に関してある 程度の情報をもって道路を歩行中の視覚障害者に、より正確な歩行位 置と歩行方向を案内するための施設である。このブロックは人通りの 多い道路や公共交通機関の駅など、視覚障害者の多く利用する場所に 設置される。 参考資料 〔参考文献〕 高萩徳宗著『バリアフリーの旅を創る』実業之日本社 『21世紀 2000年 新たなるツーリズムの創造へ』日本旅行業協会 宮内順著『旅行業界早わかりマップ』こう書房 中村正人著『トラベル・航空』産学社 2001年 1998年 2002年 〔 参 考 URL〕 JTB バ リ ア フ リ ー プ ラ ザ 、 http://www.jtb.co.jp/bfplaza/ ベ ル テ ン ポ ・ ト ラ ベ ル ・ ア ン ド コ ン サ ル タ ン ツ 、 http://www.beltempo.jp/ H・ I・ S ホ ー ム ペ ー ジ 、 http://www.his-j.com/ 高 山 市 役 所 の ホ ー ム ペ ー ジ 、 http://www.hida.jp/ ア ー ト ホ テ ル ズ 札 幌 、 http://www.arthotels.co.jp/sapporo.files/s_top.htm 別府温泉 竹 の 井 ホ テ ル 、 http://www.takenoi.jp/ 藍 観 光 京 都 サ ー ビ ス 、 http://w w w .ne.jp/asahi/aikankou/kyoto/ バリアフリー観光への取り組みにむけて、 http://www.fsinet.or.jp/~sri-01/randi/images/pdf/CHZ0305.pdf
© Copyright 2024 Paperzz