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House Dust Experiment Report
現代住宅における
ハウスダストの実態
House Dust Experiment Report
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House Dust Experiment Report
“ アレルゲンを科学する。
”
現在、日本人の約3人に1人が
アレルギー疾患を持っていると言われています。
そのため、生活環境改善で行えるアレルゲン回避の方法と
その対策が注目されています。
近年の住環境や人々の生活スタイルの変化と共に、
特に首都圏では高断熱高気密住宅が主流になるなどの原因で、
1年を通じて、アレルギーの主な原因である
ダニ、昆虫、
カビなどが繁殖しやすい環境にあります。
しかし、ハウスダストのアレルゲン分布の研究報告は
1990年代以前のものが多く、また報告書によっては
ハウスダストの存在する住宅環境や、調査に使用される掃除機も異なるなど、
近年、新たな室内環境での調査が必要だと感じていました。
本調査報告書は、近年の住環境38ケースの
ハウスダストサンプルを可能な限りきちんと採取するために、
高い集塵力のダイソン製サイクロン式掃除機を使用しました。
この報告書は、アレルギー疾患回避のための価値ある
基礎データになると確信しています。
エフシージー総合研究所 暮らしの科学部 部長
農学博士
川上 裕司
1982年 日本大学大学院農学研究科
(昆虫病理学)博士前期課程修了。
1995年博士(農学)取得。
(株)エフシージー総合研究所 暮らしの科学部 部長。環境科学研究室&美容・健康科学研究室統括責任
者。東京家政大学大学院 非常勤講師。都市有害生物管理学会 前会長。室内環境学会 微生物分科会 幹事。
専門は環境生物学、昆虫病理学。生活環境に関わる有害生物(真菌・ダニ・昆虫)が研究テーマ。新聞、雑誌
への生活衛生学情報の執筆、科学番組の制作協力やコメンテーターとしても活躍中。
「博物館・美術館の生
物学 -カビ・害虫対策のためのIPMの実践 - など著書8冊。
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アレルゲンが含まれるハウスダストの脅威
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状は、
「免疫」が持つ2つの側面、
「生体防御(良い面)」と
「生体を攻撃(悪い面)」のうち後者が働いて起きる症状で、
アレルゲン
(原因となる抗原)
に感作して過剰な反応が誘発されることにより発症する。
アレルギ ーというと「スギ 花 粉 」を 思 い 浮 か べる方 も多 い か もしれ な い が 、
アレルギー疾患の一番の原因には「ハウスダウト」が挙げられる。ハウスダストには
一般的に知られている室内塵性ダニ類だけではなく、
ダニのフンや死骸、
カビ胞子、
微細な昆虫類などが含まれる。
ハウスダストと
アレルギー疾患の因果性
HOUSE DUST 01
HOUSE DUST 02
カビ
小形昆虫類
あまり知られていないが、住宅環境
に普通に発生するクロカビや、耐乾性
コウジカビ
(アスペルギルス)
などアレ
ルゲン性を持つカビがハウスダストの
中に多く見られる。
る
昆 虫 類 や 死 骸と破 片などの 微 細 塵
からなるハウスダスト。中でもダニや
カビと異なる新規アレルゲンと判明した
ヒラタチャタテは、全世界に分布し、
ほぼ全ての住宅に生息している。
ß HUMAN à
HOUSE DUST 03
室内塵性
室内塵性ダニ類
内塵性
内塵性ダニ類
内塵
塵性ダ
塵
性ダニ類
性
ダ
ハウスダストアレルギーの主な原因
ギーの主な原
で あ るヒョウヒダ ニ 類 は、 布 団、
ソファー、
絨毯など布製品に多く生息。
く生息。
く生
主に、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒ
ダニの 2 種類が重要なアレルゲンと
して知られる。
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アレルギー疾患回避のための基礎データ調査
アレルギー疾患回避のための
基礎データ調査の実施
ハウスダストと呼ばれるチリ・ホコリの中には、ダニ、カビ、小さな昆虫類などが
含まれており、これらは国民の3人に1人が悩まされているアレルギー性疾患の
最大の原因(アレルゲン)となっている。
そこで、室内環境のアレルゲン生物を研究している㈱エフシージー総合研究所
暮らしの科学部長の川上 裕司博士をはじめとする
「環境科学研究室・橋本 一浩博士と
小田 尚幸博士」ら専門家チームは、現代の住空間におけるハウスダストの実態
調査を実施、38名の被験者の方にダイソンのハンディークリーナーDC61と
キャニスター掃除機 DC63を使用し、寝具と寝室の床から取り除いたゴミの中に
含まれるハウスダストを調査。
春・夏・秋と年間を通して実施する事で、高断熱高気密の住宅が主流となった
現代社会の住宅におけるアレルゲン生物相を検査、論文を投稿中。
調査の概要
調査期間
2014年 2 月∼11月(春季:2 月∼3 月 夏季:7 月∼8 月 秋季:10 月∼11月)
被験者
38 名
掃除機
dyson DC61
モーターヘッド(寝具)
dyson DC63
モーターヘッド(寝室の床)
調査方法
寝具:dyson DC61を使い自宅の寝具の一定面積を 90 秒かけ掃除。
床 :dyson DC63 を使い寝室の床の一定面積を 90 秒かけ掃除。
検査・分析内容
アレルゲンの原因生物の検査(ダニ・昆虫類分析・同定検査)
アレルギー・アトピーなどの因子(ダニ抗原量分析)
アレルゲンの原因となるカビの検査(真菌分析・培養検査)
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N o: # 00 1
アレルギー疾患回避のための基礎データ調 査
アレルギー疾患回避のための基礎データ調査
#001
現代住宅アレルゲン生物の実態
被験者全員の寝具・床にダニが生息
現状のアレルゲン生物の実態を調査するため、38名の寝具と寝室の床から吸い取ったハウスダストを分析。
被験者全員の寝具と寝室の床からダニが検出された。
そのほとんどがアレルギーを引き起こすコナヒョウヒダニだった。
寝具のダニの内訳
寝室の床ダニの内訳
ヤケヒョウヒダニ 4.6%
1%未満
その他ダニ
ヤケヒョウヒダニ 1.6%
2.5%
その他ダニ
コナヒョウヒダニ
コナヒョウヒダニ
94.8%
95.8%
現代住宅におけるコナヒョウヒダニの増加
コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニはアレルギーを引き起こす最大の原因といわれている。高度経済成長期のころに
実施された調査に比べると、現代住宅では、
アレルゲンでもあるコナヒョウヒダニが、
ヤケヒョウヒダニよりも占める割合が
非常に高くなっていることが判っている。
また近年、
ダニや他の昆虫とは異なる新規のアレルゲンであることが判明したヒラタチャタテについては、今回の調査を
通じ、全ての被験者宅において見つかっている。加えて数々のカビ胞子も見つかった。
本調査で発見されたコナヒョウヒダニとヒラタチャタテは、国立病院機構相模原病院で実施された「アトピー型喘息患者
における各種アレルゲンの皮内テスト陽性率
(2012年発表)
」の試験においてもアレルゲン抗原量が極めて高いという結果
が出ており、
ダニではコナヒョウヒダニが55%と圧倒的に多く、
昆虫類ではヒラタチャタテが40%以上と圧倒的に多かった*。
コナヒョウヒダニ
ヒラタチャタテ
カビ類
FCG総研環境科学研究室 提供
*Fukutomi, Yuma, et al. "Allergenicity and cross-reactivity of booklice (Liposcelis
bostrichophila): A common household insect pest in Japan." International archives of allergy and immunology 157.4 (2012): 339.
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問い合わせ先
ダイソン株式会社
コミュニケーションズ部 山崎
電 話 : 03-3238-8928
メール : [email protected]
発行日:2015年5月