高等学校地理学習における世界遺産の指導の実践

高等学校地理学習における世界遺産の指導の実践
神野 浩
(大阪明星学園 明星中・高等学校)
淡野明彦
(奈良教育大学社会科教育講座(地理学))
Practice of study of geography on World Heritage in Senior high school
Hiroshi JINNO
(Osaka Meisei Junior & Senior High School)
Akihiko TANNO
(Department of Geography, Nara University of Education)
要旨:高等学校地理学習における世界遺産の指導のための教材化について考察をした。高等学校において世界遺産
を学習指導において十分に扱えていないという実態があり、その理由として三点を指摘した。このような状況で
「地理教育で世界遺産を教える」という発想から、「地理教育を世界遺産で教える」という発想へ転換し、授業形態
をより現実的なものとして展開することを提示した。授業で傍用として使用されている資料集に記載されている世
界遺産に関する内容を、地理教育の本質的な内容と合致させて整理し、具体的な取り扱いを提示した。数多くの世
界遺産をこうした方法で整理して扱うことができる可能性を見出すことができた。
キーワード:世界遺産 World Heritage
授業実践 Practice of Study,
地理学習 Geographical Study
高等学校 Senior high school
1.はじめに
講習において淡野は二度にわたって世界遺産について
の講義を担当したが、受講に当たって事前に行った受
筆者らは先に中学校社会科学習(地理的分野)にお
講の意向に関するアンケートにおいて、各学校段階の
ける世界遺産の指導のための教材化を試みた(神野・
教員から世界遺産の取り扱いが難しいという意見が多
淡野 2009)
。教師の恣意的な指導に陥らないために、
くみられ、こうした実情からも学校教育における世界
中学校学習指導要領に示された「目標」及び「内容」の
遺産の教育についての実践的な研究が求められている
記述に照らして、世界遺産を取り扱うことが可能であ
ことを強く感じた。
なお、本稿は淡野が研究の枠組みの設定を担い、こ
るかについて検討し、「屋久島」など日本の各世界遺
の設定に基づいた具体的な教材化を神野が担った。
産について教材としての具体的な取り扱いについて提
示した。
2.高等学校地理学習(地理B)における
今回は高等学校地理学習における世界遺産の指導の
世界遺産の扱いの実態
ための教材化について考察を試みた。この研究に先立
って、淡野は高等学校地理学習における世界遺産の学
習は世界遺産の登録基準と学習指導要領に示された
先述のように淡野は世界遺産を高等学校の地理学習
「目標」や「内容」と有機的な関連をもたせることに
(地理A・地理B)で扱うことの可能性を明確にした
よって、世界遺産の真の価値を理解できる教材化が可
が、実態としては高等学校において世界遺産を学習指
能であることを示した(淡野 2009)。この成果を高
導において十分に扱えていないことは否めない事実で
等学校の授業において実践する研究へと発展させるこ
ある。その理由として以下の三点を指摘することがで
とを意図したものである。
きる。
第一点は淡野がすでに指摘したように(淡野
2009年夏から秋にかけて実施された教員免許状更新
11
神野 浩・淡野 明彦
2009)、教科書ならびに学習指導要領における世界遺
世界遺産の紹介をする機会はほとんどなく、生徒で興
産の扱いが極めて不安定な扱いである点である。淡野
味関心がある者が、自主的に調べたりする程度でしか
は二宮書店の「詳解地理B」(平成18年検定済)につ
ない。端的にいえば、地図帳の表記のように、世界の
いて分析をしたが、これは、教科書の目次を用いれば
さまざまな地理的事象のなかに「世界遺産」という目
「第Ⅱ編:現代世界を地域から考える」の「第3章:
印(マーク)がついているものがいくつかある、とい
州・大陸規模の地誌」の「第3節:東南アジア−飛躍
う認識程度でしかないのが現状である。場合によって
的な経済の発展」の「7.深まる日本との関係」とい
は、個別の世界遺産は教養として理解するべきもので、
う見出しがついた項での記述である。これを、学習指
どちらかといえば大学入試には関わりのないもの、つ
導要領に照らし合わせると、地理Bのs「現代社会の
まり覚えるべきものではないもの、と考えているのは
地誌的考察」の「ウ.州・大陸規模の地域」の項目に
生徒のみならず、指導する側の教師にも、意識として
該当する。
あるのではないかと思われる。
これとは別の教科書で帝国書院の「新詳地理B・初
第三点としては、あまりにも世界中には多くの数の
訂版」(平成18年検定済)では、世界遺産という語句
世界遺産が存在しており、すべての内容を把握できて
の記述は2箇所に見られるが、いずれも本文中ではな
いない指導者が大多数である中で、指導者の目線でど
く、掲載の主題図中の凡例に書かれているのみである。
れをどう選択すればいいのかが判断し難い点である。
まず1箇所は、「第Ⅱ部:世界の諸地域」の「1章:
淡野も指摘するように、世界遺産を網羅的に取り扱う
市町村規模の地域の調査」の「1節:身近な地域の調
こと自体が不可能かつ無意味である以上、相当な精査
査」の部分である。ここでは、奈良市を事例にした地
をする必要があり、指導者側にはその精査する力量が
域調査のまとめの項において、奈良市の市街地の拡大
必要となってしまう。
と歴史的風土保存地域にかかわる主題図中に世界遺産
以上の3点が、実際に高等学校において世界遺産を
の登録地域が図示されている。これを学習指導要領に
授業で取り上げる際の指導における大きなハードルで
照らし合わせてみると、地理Bのs「現代社会の地誌
あると考える。
的考察」の「ア.市町村規模の地域」の項目に該当す
3.
「世界遺産を教える」から「世界遺産で教える」
る。
への発想の転換
もう1箇所は、「第Ⅳ部:地球的な課題」の「2
章:都市・居住問題」の「4節:都市・居住問題への
取り組み」の部分である。ここでは、先進国の都市問
前項で述べたように、現状は世界遺産に関して体系
題解決の項の欄外コラムで、日本の伝統的な町並みの
的に学習する機会がない、また時間的制約がある以上、
保存について白川郷の写真とともに日本の世界遺産と
指導計画の中に、強引かつ唐突に「世界遺産を学ぼう」
歴史的な町並みの保存地域にかかわる主題図中に、世
のような単元を設定することは、可能ではあるかもし
界自然遺産と世界文化遺産を区分して図示されてい
れないが極めてトピカル的な色彩が強く、高等学校の
る。これも学習指導要領に照らし合わせてみると、地
地理教育全体の中から特異的なものとして位置づけし
理Bのd「現代社会の諸課題の地理的考察」の「キ.
まうことは否めない。
そこで神野は、現実的な方法として、指導上のハー
居住・都市問題の地域性」の項目に該当する。
この2社の教科書を見てもわかるように、扱いはま
ドル少しでも低くして、なおかつ世界遺産の事例をな
ちまちで、世界遺産を高校教材の中でどのように位置
るべく多くあげ、その登録基準などにも目を向けるこ
づけることができるのかが明確になっていないことを
とができるような授業展開を作り出すことのほうがよ
示している。すなわち現行の指導では世界遺産に関し
いと考えた。
現在、世界には多種多様な世界遺産が存在する。こ
て体系立てて学習する機会は存在しないと考えてよい
ことになる。世界遺産について学習するのであれば、
れら各々を検討していくと、現行の地理Bの授業で展
その意義や分類・選定基準・登録までのプロセスなど
第二点は世界遺産に対する認知や理解が指導者にも
開してきた地理的な事象の具体例になりうるものが多
.
く存在することがわかる。そこで、「地理教育で世界
.
.
遺産を教える」という発想から「地理教育を世界遺産
.
で教える」という発想へ転換して、現行の学習項目の
十分ではない点がある。平易にいえば、世界遺産の何
具体的事例として授業で紹介することを通して、世界
をどう教えればいいのかが不明瞭な点があるというこ
遺産に対する興味関心と認識を深めていくという授業
とである。実際、神野が指導の現場において世界遺産
形態が、より現実的なものとして提言できると考えた。
を教える機会は、
「観光(余暇行動)
」の学習と「環境
ただ、現在900近くに及ぶ世界遺産を全部扱うことな
問題」の学習で扱うだけであり、世界遺産の例を提示
ど到底不可能であり、どれを扱うかを限定することが
するのもせいぜい日本のものに限られ、諸外国にある
必要になる。これは授業者の主観的な視点に頼らざる
も含めて学ぶべきであるが、これらを含めて学習する
機会は学習指導要領で見つけることができない。
12
高等学校地理学習における世界遺産の指導の実践
を得ない。そこで、世界遺産を紹介する際には、写真
で最初の国立公園に指定した。よって、
「世界の地形」
などの図版を利用することが望ましいという観点か
の「火山地形」の項目で扱うことが可能である。
②は火山群島で、固有生物相がみられる。赤道上に
ら、授業用の資料集に写真などが掲載されているもの
あるが寒流の影響を大きく受ける。よって、「世界の
を取り上げていくのが、最適だと判断した。
気候」の「気候因子(海流)」の項目で扱うことが可
ここでは、神野が勤務する学校で授業傍用として使
能である。
用している資料集「最新地理図表GEO」(第一学習
③はリヴィングストンが発見したヴィクトリア滝を
社)を用い、神野がこれまでの実践してきた授業を踏
中心とするサバナ気候下の動植物の宝庫である。よっ
まえて、授業展開例を提示してみた。
て「世界の気候」の「気候帯と気候区」の項目、およ
4.具体的な授業展開例
び「地理的視野の拡大」の項目で扱うことが可能であ
る。
④はオーストラリア大陸中央の乾燥地域にある世界
「最新地理図表GEO」のページを順に追っていく
と、まず巻頭の特集に「世界遺産から学ぶ」という項
最大級の一枚岩で、先住民アボリジニの聖地である。
がある。ここでは以下の物件が取り上げられている。
よって、
「世界の地形」の「大地形」の項目、
「世界の
①イエローストーン
気候」の「気候帯と気候区」の項目、「人種・民族」
の「世界の人種」の項目で扱うことが可能である。
(自然遺産・アメリカ、1987年登録)
⑤はヨーロッパとアジアの境界に位置し、イスラム
②ガラパゴス諸島
都市として発展したことから、「人種・民族」の「世
(自然遺産・エクアドル、1978年登録)
界の宗教」の項目で扱うことが可能である。
③ヴィクトリアの滝(モシ・オア・トゥニャ)
⑥は潟湖・砂州上に位置する中世の港湾都市の色彩
(自然遺産・サンビア,ジンバブエ、1989年登録)
を色濃く残す都市で、近年の地盤沈下と温暖化に伴う
④ウルル−カタ・ジュンタ国立公園
海面上昇による浸水被害が深刻になっている。よって
(複合遺産・オーストラリア、1987,94年登録)
「世界の地形」の「海岸地形」の項目、「村落と都市」
⑤イスタンブール歴史地区
の「都市の歴史と機能」の項目、それと「世界の環境
(文化遺産・トルコ、1985年登録)
問題」の「地球温暖化」の項目で扱うことが可能であ
⑥ヴェネツィアとその潟
る。
(文化遺産・イタリア、1987年登録)
⑦はギリシャ建築の傑作パルテノン神殿を中心とし
⑦アテネのアクロポリス
て古代に栄えた都市の遺構で、近年は酸性雨の影響で
(文化遺産・ギリシャ、1987年登録)
歴史的建造物の損傷が深刻になっている。よって、
⑧アンコール
「村落と都市」の「都市の歴史と機能」の項目、
「世界
(文化遺産・カンボジア、1992年登録)
⑨アウシュヴィッツ・ビルケナウー ナチス・ドイツ
の環境問題」の「酸性雨」の項目で扱うことが可能で
の強制・絶滅収容所
ある。
⑧は中世にヒンドゥー教寺院として建設され、後に
(文化遺産・ポーランド、1979年登録)
仏教寺院となったアンコール=ワットが代表的な建造
の写真が掲載されている。
物である。よって、「人種・民族」の「世界の宗教」
このほか写真の掲載はないが、負の遺産の例として
の項目で扱うことが可能である。
挙げられているアウシュビッツ強制収容所のキャプシ
ョン文中には、原爆ドーム(日本)、ゴレ島(セネガ
⑨は第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダ
ル)、ロベン島(南アフリカ共和国)の記述も見られ
ヤ人迫害の舞台となった。よって「人種・民族」の
「世界の民族」・「世界の宗教」ならびに「世界の民
る。
これらをどの単元で扱うことが可能なのかを検討し
族問題」で扱うことが可能である。なお、少し発展さ
てみる。当然、世界遺産は人類共通の「財宝」として
せてシオニズム運動やイスラエル建国までを範疇に含
保護、保全していく観点で登録されているわけである
めるとすれば「国家と国家群」の「世界の国境・領土
から、「世界の環境問題」の「環境保全」の項目で取
問題」でも扱うことが可能である。
り扱うことは可能であることは明白である。また、世
ゴレ島はセネガルの奴隷貿易基地であるので、「人
界の各地域および各国の特徴を説明する際にも事例と
種・民族」の「世界の人種問題」または「世界の人口」
して提示できるわけであるから、「現代世界の地誌的
の「人口の移動」の項目で扱うことが可能である。ロ
ベン島はアパルトヘイト時代の監獄島であるので、
考察」でも当然扱うことができる。これらの物件を教
「人種・民族」の「世界の人種問題」で扱うことが可
科書の単元に照らし合わせると、次のように整理でき
能であると判断した。
る。
次に、本文中の写真を逐次拾い上げていくと以下の
①は火山や間欠泉がみられ、アメリカ合衆国が世界
13
神野 浩・淡野 明彦
ものがあり、それぞれがどの単元の事例として取り上
気候地域が野生動物の宝庫であることを示したもので
げられるのかを整理していく。
ある。よって、「世界の地形」の「火山地形」や「世
○エルサレムの旧市街と城壁(文化遺産・イスラエル、
界の気候」の「気候帯と気候区」で扱うことが可能で
1981年)
ある。ただし、東アフリカの動物の楽園として知られ
パレスチナ問題の説明で、地図とともに岩のドーム
るタンザニアなどの国立公園などは複数、世界遺産に
と嘆きの壁に祈りをささげているユダヤ教徒の写真が
登録されているので、これらを用いることも可能であ
掲載されている。よって「人種・民族」の「世界の民
る。
族」・「世界の宗教」ならびに「世界の民族問題」と、
○キンデルダイク・エルスハウトの風車(文化遺産・
オランダ、1997年)
「国家と国家群」の「世界の国境・領土問題」でも扱
西岸海洋性気候の説明でオランダの風車の写真が掲
うことが可能である。
○シングヴェトリル国立公園(文化遺産・アイスラン
載されている。偏西風を利用し風車を回し、干拓地ポ
ド、2004年)
ルダーの排水にも利用され、牧草地が広がる。よって
「世界の気候」の「気候要素」と「気候帯と気候区」、
世界初の近代民主議会が開かれた地として知られる
ならびに「世界の農牧業」の「農業形態の分類」と
が、この国立公園は大陸プレートが移動してできた地
「世界の農業地域」で扱うことが可能である。
球の裂け目であるギャオが見られることでも知られ
る。資料集では海底の地形とプレートの動きに関する
○サガルマータ国立公園(自然遺産・ネパール、1979
模式図にギャオの写真が掲載されている。この写真が
年)
山岳氷河の見られる世界最高峰のエベレスト山のあ
国立公園のものであるかは不明であるが、「世界の地
形」の「大地形」で扱うことが可能である。
る場所で、チベット仏教の僧院や集落もあるところと
○ハワイ火山国立公園(自然遺産・アメリカ合衆国、
して知られる。資料集では高山気候の説明で、家畜の
1987年)
ヤクが写りこんだ写真が掲載されている。よって「世
界の地形」の「大地形」と「氷河地形」
、
「世界の気候」
火山の種類の説明でハワイ島のマウナロアが楯状火
山(アスピーテ)の例として山体断面模式図とともに
の「気候帯と気候区」
、
「世界の農牧業」の「世界の農
写真が掲載されている。
「世界の地形」の「火山地形」
業地域」
、
「人種・民族」の「世界の宗教」で扱うこと
で扱うことが可能である。
が可能である。
○西ノルウェーのフィヨルド(自然遺産・ノルウェー、
○白神山地(自然遺産・日本、1993年)
森林の保水能力の項目で、ブナが含水率の高い樹種
2005年)
フィヨルドの形成の説明で、U字谷の沈水の模式図
として紹介されている説明文の横に白神山地のブナ林
とともにガイランゲルフィヨルドの写真が掲載されて
の写真が掲載されている。よって、「世界の林業」で
いる。全長150km、水深の最深部は500mという典型
扱うことが可能である。
的なフィヨルドである。
「世界の地形」の「海岸地形」
○白川郷と五箇山の合掌造り集落(文化遺産・日本、
で扱うことが可能である。
1995年)
豪雪地帯の合掌造りの家屋がある集落として知られ
○ユングフラウ、アレッチュ、ビーチホルン(自然遺
る。資料集では、おもな隠田集落の分布を示した地図
産・スイス、2001年,07年)
の横にその例として、白川郷の写真が掲載されている。
ヨーロッパ屈指の褶曲地形と氷河地形が見られる。
資料集では氷河地形の例として、ゴルナー氷河などの
よって、「世界の気候」の「気候帯と気候区」ならび
他の地区の写真が掲載されているが、U字谷・カー
に「村落・都市」の「村落の立地と発達」で扱うこと
ル・ホーン・モレーン・山岳氷河などの氷河地形を確
が可能である。
認する際には最適な事例である。「世界の地形」の
○パリのセーヌ河岸(文化遺産・フランス、1991年)
「山地地形」ならびに「氷河地形」で扱えるほか、
「世
シテ島を中心とするパリの市街地が年をおってどの
界の気候」の「水の循環」での扱いも可能である。ま
ように拡大していったのかを示した主題図の横に、凱
た、アルプスの山ろくに見られる農業形態の移牧の説
旋門を中心とする放射状の道路の写真が掲載されてい
明にも利用ができるので「世界の農牧業」の「世界の
る。19世紀以降、エッフェル塔・ルーブル美術館のガ
農業地域」でも扱うことができると判断した。
ラスのピラミッドなどの斬新な建物が建設される一方
○キリマンジャロ国立公園(自然遺産・タンザニア、
で、フェゾー規制のような歴史的景観を守るための規
1987年)
制も進む場所である。世界遺産の登録範囲からは少し
アフリカ最高峰の火山として知られる。資料集では
離れるが、マレ地区では伝統的な建物の修復保全がす
サバナ気候の説明として、キリマンジャロ山のふもと
すんでいる。よって、「村落・都市」の「都市の立地
の写真で雨季と乾季を比較できるようにした掲載があ
と発達」・「都市の歴史と機能」・「都市の再開発と
り、ともにキリンが写っている。東アフリカのサバナ
都市計画」で扱うことが可能である。
14
高等学校地理学習における世界遺産の指導の実践
ロシアと周辺諸国の概観の項目で、ペトロパヴロフ
○ラサのポタラ宮歴史地区(文化遺産・中国、1994,
スク要塞の写真が冬季に凍結するネバ川の写真ととも
2000,01年)
東アジアの民族分布の項目で、チベット仏教の五体
に掲載されている。サンクトペテルブルクはバルト海
投地礼の写真とあわせてポタラ宮の写真が掲載されて
に通じるネバ川河口のデルタ地帯にあり、帝政ロシア
いる。標高3,600m超のチベット高原に建てられた歴
の首都として栄えた。以後、ロシア革命を経て現在の
代ダライ=ラマの宮殿は、木と石で造られたチベット
独立国家共同体の時代まで2度都市名を改めながら、
最大の建造物で、チベット動乱の舞台ともなったこと
歴史の舞台となった。また、冬季に凍結するネバ川に
で知られる。よって、「世界の気候」の「気候帯と気
ついて、資料集では北大西洋海流の影響を受ける北極
圏の不凍港ムルマンスクと対比させている。よって、
候区」ならびに「人種・民族」の「世界の民族」・
「世界の気候」の「気候因子」、「国家と国家群」の
「世界の宗教」・「世界の民族問題」で扱うことが可
「国家群」で扱うことが可能である。
能である。
○アルタイ山脈(自然遺産・ロシア、1998年)
○マラケシュ旧市街(文化遺産・モロッコ、1985年)
これも、ロシアとその周辺の概観の項目に写真が掲
資料集では、西アジア・北アフリカの節に、“フナ
広場”と“迷路状のカスバ”の写真2つが並べて掲載
載されている。古期造山帯に属するアルタイ山脈には、
されている。マラケシュは隊商路の拠点で商業都市と
大河と呼ばれる針葉樹林の原生林が広がり、土壌はポ
して栄えたとともに、マグレブの文化・学術の中心地
ドゾルで、その下に厚い永久凍土層が広がる。よって、
「世界の地形」の「大地形」、「世界の気候」の「気候
の役割を果たした。市内中央にあるフナ広場とはかつ
区と気候帯」、「植生と土壌」および、「世界の林業」
て公開処刑場であった広場で、北に隣接するスーク
(市場)はモロッコ最大である。これを中心に旧市街
で扱うことが可能である。
(カスバ)が広がり、迷路状の狭い街路と中庭を持つ
○キジ島の木造聖堂(文化遺産・ロシア、1990年)
中層のレンガ造りの建物を特徴としている。よって、
資料集では、ロシア正教の項目でオネガ湖のキジ島
「世界の気候」の「気候帯と気候区」、「村落・都市」
にある伝統木造建築野外博物館の写真とイコン(聖画
の「都市の立地と発達」・「都市の歴史と機能」、な
像)の写真が並べられている。釘1本も使わずに複雑
らびに「人種・民族」の「世界の民族」・「世界の宗
な木組みによって建築されたプレオブラジェンスカヤ
教」で扱うことが可能である。
聖堂など、ロシア北部の伝統的な木造建築が移築され
○セレンゲティ国立公園(自然遺産・タンザニア、
て博物館となり、キジ島全体が景観保存地区になって
1981年)
いる。よって「人種・民族」の「世界の宗教」で扱う
ことが可能である。
資料集では、キリマンジャロ国立公園・ンゴロンゴ
ロ自然保護区・セレンゲティ国立公園(いずれも世界
○グランドキャニオン国立公園(自然遺産・アメリカ
自然遺産、タンザニア)の3か所が示されたケニアと
合衆国、1979年)
の国境付近の地図とともにセレンゲティ国立公園のヌ
コロラド川が形成した大峡谷は典型的な幼年期地形
ーの大群の写真が掲載されている。地図には動物の移
である。資料集では北アメリカの概観の項目に写真が
動ルートが図示されているが、ヌーの大群は隣国ケニ
掲載され、コロラド川の下流にあるパーカーダムから
アのマサイマラ国立公園にまで水と草を求め大移動を
ロサンゼルスに向かって伸びるコロラド水道について
することで知られる。セレンゲティ国立公園は1万
の記述までがキャプションに含まれている。よって
5,000平方キロメートルにも及ぶサバナに多種の動植
「世界の地形」の「山地地形」、「世界の農牧業」の
物が保護されている。よって、「世界の気候」の「気
「世界の農業地域」および「世界の地域開発」で扱う
候帯と気候区」と「環境問題」の「砂漠化」で扱うこ
ことが可能である。
とが可能である。
○マチュピチュ(複合遺産・ペルー、1983年)
○バチカン市国(文化遺産・バチカン市国、1984年)
中央・南アメリカの概観の項目に写真が掲載されて
ヨーロッパのミニ国家という項目でバチカン市国・
いる。アンデス山中にあるインカ帝国の遺跡マチュピ
モナコ・サンマリノ・リヒテンシュタイン・マルタ・
チュは山裾からは見えないことから空中都市と呼ばれ
る。よって、「世界の気候」の「気候帯と気候区」、
アンドラの6か国の面積と人口を東京都のそれと比較
した図の隣にバチカン市国のサン=ピエトロ大聖堂と
「村落・都市」の「都市の立地と発達」、「都市の歴史
バチカン宮殿の写真が掲載されている。バチカン市国
と機能」ならびに「人種・民族」の「世界の民族」で
は世界最小の独立国で、カトリックの総本山である。
扱うことが可能である。
よって、「国家と国家群」の「国家の分類」、「人種・
○クスコ(文化遺産・ペルー、1983年)
標高3400mほどの標高に位置するインカ帝国の首都
民族」の「世界の宗教」で扱うことが可能である。
○サンクトペテルブルク歴史地区(文化遺産・ロシア、
であったクスコは、スペイン人の侵略で滅ぼされた。
1990年)
インカ帝国時代に太陽の祭礼が行われた神聖な広場の
15
神野 浩・淡野 明彦
跡に当たるアルマス広場から伸びるロレト通りに残さ
授業展開例を列記した。しかし、例示以外にも扱える
れた精巧な石組みの壁の写真が、先のマチュピチュの
単元があるはずである。また、取り上げた以外の世界
写真と並べて掲載されている。よって「世界の気候」
遺産でも、単元学習に最適な世界遺産を見出すことが
の「気候区と気候帯」
、
「村落・都市」の「都市の立地
できるかもしれない。今後も世界遺産一つ一つを詳細
と発達」
、
「都市の歴史と機能」ならびに「人種・民族」
に考察することにより、単元との関連性を探る努力を
の「世界の民族」で扱うことが可能である。
し、積極的な教材化を図っていかなければならない。
○ロス・グラシアレス(自然遺産・アルゼンチン、
参考文献
1981年)
これも、中央・南アメリカの概観の項目に写真が掲
小 学 館 2 0 0 7 .『 2 1 世 紀 世 界 遺 産 の 旅 』. 小 学
載されている。南アメリカ最南端、チリとの国境近く
館.383p.
に広がるロス・グラシアレス国立公園は、巨大な氷塊
神野 浩・淡野明彦 2009.「中学校における世界遺
が轟音とともに崩落する豪快な大氷河として知られ
る。この氷河は動きが活発で、アルヘンティノ湖に流
産の指導の実践と生徒の認知」
.
『奈良教育大学教
れ込むペリト・モレノ氷河は1日あたり2mも動く。
育実践総合センター研究紀要』
.18.17-22.
よって、「世界の地形」の「氷河地形」で扱うことが
第一学習社編集部 2008『最新地理図表GEO』.第一
学習社.
可能である。
淡野明彦 2009.
「高等学校地理歴史(地理A、地理B)
○ブラジリア(文化遺産・ブラジル、1987年)
における世界遺産の教材化」.『奈良教育大学紀
資料集ではブラジルの計画都市として写真が掲載さ
要』
.58-1(人文・社会)
.101-106.
れている。内陸部の開発を目的に、1960年にリオデジ
ャネイロから遷都した。ブラジリアには斬新なデザイ
帝国書院編集部 2006『新詳地理B』
.帝国書院.
ンのビル群と立体交差を多用した街路があり、上空か
二宮書店編集部 2005『詳解地理B』
.二宮書店.
ら見ると飛行機の形をしている。なお、資料集ではリ
オデジャネイロのスラムであるファベーラの写真と対
比させている。よって「村落と都市」の「都市問題」
、
「都市の再開発と都市計画」で扱うことが可能である。
○グレートバリアリーフ(自然遺産・オーストラリア、
1981年)
オーストラリア北東部に広がる長さ2,000kmにも及
ぶさんご礁は陸地とさんご礁の間に礁湖(ラグーン)
を持つ堡礁の好例である。資料集ではオセアニアの概
観の項目に写真が掲載されている。よって「世界の地
形」の「その他の地形」で扱うことが可能である。
4.まとめ
以上、資料集に掲載されている写真だけを抽出して、
授業でどのように扱うことができるかを見てみたが、
これを表でまとめて示した。
取り上げたものだけについて見てみると、やはり世
界遺産が自然的なもの文化的なものである以上、資源、
工業、交通・通信、貿易などの項目で扱うものはなか
った。しかし、資料集には写真の掲載がなかったが、
日本の石見銀山遺跡とその文化的景観(文化遺産、
2007年)は資源、産業の分野で扱えるし、フランスの
ミディ運河(文化遺産、1996年)は産業、交通の分野
で扱かえるはずで、900近くもの世界遺産を一つひと
つ確認していけば、何某かの単元で派生的にでも扱う
ことのできる世界遺産はあると考えられる。
今回は、実際の授業で使用している資料集を通して、
視覚的に確認ができる写真を用いることを前提にした
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高等学校地理学習における世界遺産の指導の実践
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