「可搬媒体の取り扱いの現状と問題点」 郡上市民病院 放射線科 村瀬裕信 【はじめに】 近年、放射線画像を含む医療画像のデジタル化が急速に進み、フィルムなどで行われて きた紹介用画像は、CD-R などの可搬媒体で提供されるようになってきた。 今回、当院における紹介用画像の取り扱い方法、取り扱いにおける問題点、および実際に 経験したトラブルなどを紹介する。 【PACS】 イメージワン社製 POP-Net Web server。負荷分散型サーバで、ストレージは3T。 平成19年10月導入、同11月よりフィルムレス運用を開始。 【遠隔読影】 当院の僻地遠隔読影は県の情報ハイウェイを利用し、岐阜県総合医療センターと VPN で ネットワーク化し、総合医療センターの放射線科医に画像の読影を依頼している。月平均 15件程度の読影依頼があり、読影レポートは DICOM PDF 形式にて返信される。 【紹介用 CD-R】 各科より依頼のあった画像を口頭もしくは画像データ出力依頼書で確認し、放射線技師 が CD-R を作成する。CD-R の作成履歴は、画像出力オーダーを立てることによりオーダー 情報として管理している。 【可搬媒体からの画像取り込み】 地域連携室スタッフがマニュアルに従い、取り込みを行う。何かしらの原因で取り込み が出来なかった場合は、放射線技師がマニュアルとは異なる方法で取り込みを行う。 【持ち込みフィルム】 放射線科にて放射線技師がデジタイザーでスキャンしサーバに送信する。 【可搬媒体による病診連携】 市内の診療所と画像診断装置の有効利用を目的に可搬媒体による病診連携を行っている。 【実際のトラブル】 地域連携スタッフが紹介用画像の取り込みを行ったが1検査分で画像枚数が1000枚 を超えていたため外来端末で画像を表示しようとしたら端末がフリーズした事例や、持ち 込まれた可搬媒体から画像を取り込む際に、可搬媒体に記載されていた患者名と実際にパ ソコン画面に表示された患者名、および画像が異なるなどのトラブルを経験した。 【問題点】 受け取り側の問題点として、なるべく診察前に画像が閲覧できるよう病院の体制を整え ておくことが望ましい。また、事務系スタッフが取り込みを行う場合は、画像枚数やスタ ディーが多くあると、重要な画像、スタディーを選択して取り込むことは困難である。結 果、全てを取り込む事でサーバ容量を圧迫したり、画像表示端末のフリーズが発生する。 送り側の問題として、不特定の医療機関に送る場合、どの画像を選択して収録したらよ いのか、ルーティンスライスだけでいいのかシンスライスも必要なのか、迷う場面が少な くない。 規格の問題として、DICOM だけでなく病理画像や紹介状、サマリなどの医療情報の規格 の標準化が早急に望まれる。
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