事 業 報 告 - NHKグローバルメディアサービス

第 29期
事
業
自
至
報
告
平 成 27年 4月
1日
平 成 28年 3月 31日
株式会社 NHKグローバルメディアサービス
1.会 社 の 現 況 に 関 す る 事 項
(1)事業の経過および成果
当社は、平成27年度、次のような基本方針のもと事業に取り組みました。
・2020年に向けたNHKビジョン、およびその「第一ステップ」と位置づけられるNH
K新3か年経営計画の初年度にあたり、NHKグループの一員として計画の重点施策の支
援に全力で臨み、その達成に貢献する。
・NHKの基幹的な使命である報道・スポーツ・国際部門を支える子会社として、いかなる
緊急時にも対応できるよう体制を強化し、迅速で正確なニュースや質の高い番組を制作す
る。国際放送を通じた海外への情報発信強化にも寄与する。
・自主事業の「NHKニュース&スポーツ」のさらなる会員増加と利益の確保に努める。
デジタルサイネージも積極的に展開するなど、さまざまな媒体で広くニュースや情報を伝
え、業績の向上を図るとともに副次収入の増大に貢献する。
・2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて事務局体制を確立し、中長期的
な支援体制作りと事業展開を図る。多角的に関連番組を制作するほか、8Kについても、
スポーツ番組で試験放送に向けた取り組みを進める。
・放送法改正に伴うインターネットを活用したサービスなど、「情報の社会基盤の整備」に
ついて、グループ経営の観点から連携して効果的な推進を図る。
ハイブリッドキャストなど、新サービスの企画・制作力を強化する。
・内部監査室の新設などを通じてガバナンスの強化、
コンプライアンスの徹底を推し進める。
競争契約の推進や構造改革によるコスト削減など、効率的な業務運営に努め、財政基盤の
一層の強化を図る。
・社員の能力が正しく評価され、多様な働き方ができる職場作りを推進するため、新たな社
員制度の定着を図る。NHKとの委託契約の抜本的な見直しなど、健全なグループ経営が
長期的・安定的に継続できる基盤作りを推進する。
などを基本方針に事業を展開しました。その結果、これらの基本方針に沿った事業運営を
着実に進めることができました。
次に、平成27年度の決算の概要です。
平成27年度決算の売上高は、223億2千2百万円、前年度に比べ、4億1千7百万円
の減収となりました。これは、PGA権料のNHK移行や、サッカーワールドカップ、アジ
ア大会終了などの大幅な減収によるもので、随時・特集番組の受託増や、NHKニュース&
スポーツの会員増加など、収益の上積みに取り組んだ結果、全体では4億 1 千 7 百万円の減
収となりました。
一方、売上原価は、188億1千8百万円となりました。減収に伴う費用の減少や、効果
的な業務運営によるコスト削減等に取り組んだ結果、前年度に比べ3億3百万円の減少とな
りました。販売費及び一般管理費は17億1千7百万円であり、前年度に比べ5千2百万円
1
の減少となりました。
「NHKニュース&スポーツ」
の販売促進費などの減少によるものです。
この結果、営業利益は17億8千6百万円で、前年度に比べ6千2百万円の減益となりま
した。また、経常利益は19億3千6百万円、当期純利益は12億8千5百万円となりまし
た。当期純利益は、税率の変更などで前年度に比べ1千3百万円の増益となりました。
平成27年度に実施した各部・室・センター・支社の主な個別事業は次のとおりです。
〔報道番組部〕
○売上・営業利益
年度後半になって、日本人選手の低迷などからBS1の「ワールドスポーツMLB」の視
聴率が伸び悩み、編成の要請で週7日の放送が3日となり、売上の減少が予想されました。
その対策として、特集番組を積極的に提案してまいりました。その結果、売上高は、前年度
から1億7千万円増の45億9千万円、営業利益は、予算・経費管理の徹底により1億2千
万円を確保し、利益率は2.6%となりました。
○番組制作の状況
【定時番組】総合テレビで火曜日の夜に移設された「めざせ!2020年のオリンピアン」
、
BSプレミアム「ニッポンぶらり鉄道旅」
「にっぽん百名山」、BS1「スポーツ酒場」「ラン
×スマ」
「チャリダー」など、幅広い放送波で質の高い放送を出すことができました。特に、
「めざせ!2020年のオリンピアン/パラリンピアン」は、27年度から本数も増え(当
社制作は14→22本)
、体育の日には特番も放送し高い視聴率(8.1%)を獲得しました。
BSでは「ニッポンぶらり鉄道旅」
「にっぽん百名山」は両番組とも毎週高視聴率で、BSの
新たな視聴者獲得に貢献しています。
【特集番組】今年で100年を迎えた高校野球の特集番組(総合テレビ・BS1 全都道府
県のベストゲームなど)や独自のホームページ制作でも高い評価を得ました。NHKスペシ
ャルでは、テニスの錦織選手を追った「勝てない相手はいない」
(ABU テレビ・スポーツ
番組部門 奨励賞)など、タイムリーで質の高い番組を担当しました。また、BS1スペシ
ャルで日本人の若い起業家を追った「シリコンバレー戦国時代」やプラハの春など激動の時
代を生き抜いた「チャスラフスカ 失われた自伝を求めて」など、優れたドキュメンタリー
を数多く放送することができました。
【ニュース・報道番組】
「おはよう日本」の「まちかど情報室」などの企画、
「シブ5時」
「首
都圏ネットワーク」
「NEWS WEB」
「視点・論点」などの解説番組と、数多くのニュー
ス・報道番組の制作に貢献しました。
「クローズアップ現代」では、プロパー社員の提案によ
る、知られざる海洋汚染の実態を追う番組を制作しました。東日本大震災から5年の関連で
は、特集番組やテレソン中継などを担当しました。さらに、頻発した台風や水害などの災害
報道に関しても積極的に参加し、役割を果たすことができました。
【スポーツ番組】2016年のリオデジャネイロ、そして2020年の東京オリンピックを
見据えて、スポーツ番組の制作にも力を入れました。前述の「めざせ!2020年のオリン
ピアン」や、BS1のスポーツドキュメンタリー「アスリートの魂」をはじめ、選手自らが
名試合を語る「追体験ドキュメント」
、トラッキングデータなど最新のデータ技術を駆使した
「スポーツ・データ・イノベーション」
、日本水泳界の1964年の東京オリンピックから
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今をドキュメンタリーとドラマで描く「水泳王国ニッポンへの道」など、多彩な番組を視聴
者に届けました。
〔国際番組部〕
国際放送「NHKワールドTV」では、27年度の大幅改定に合わせ、ワイドニュース
「NEWSROOM TOKYO」のほか、日本車情報番組「SAMURAI WHEELS」、医療情報番
組「Medical Frontiers」
、鉄道情報番組「Japan Railway Journal」を立ち上げました。
3番組とも海外モニターから高い評価を得て、28年度から制作本数を増やし、さらなる充
実・強化を図ることになりました。このほか、日本映画を紹介する「J-FLICKS」や、自転
車で日本各地を巡る特集「CYCLE AROUND JAPAN」など、日本についての多彩な情報を
世界に発信しています。
BS1では、
「キャッチ!世界の視点」と「国際報道2015」ともに特集企画を強化する
など改善に努め、国際情勢を独自の視点で伝え、高い評価を得ています。特に「キャッチ!
世界の視点」は視聴率的にも好調で、26年度のリニューアル以来、個人視聴率調査の平均
視聴率が上昇を続けており、視聴年層拡大も達成しています。また、北朝鮮の核実験実施や
アメリカ大統領選挙の関連特集など、特集番組の制作にも迅速に対応しました。
総合テレビの新番組「これでわかった!世界のいま」では、スタジオセットを教室とし、
これまでの報道番組にはない斬新な手法で国際ニュースを解説しました。女性10代の視聴
者を獲得しており、NHKの国際情報番組の充実・強化に貢献しました。
〔字幕制作センター〕
27年度の委託業務では、完プロ番組の字幕制作がEテレやBSプレミアムを中心に増加
しました。その結果、年間の完プロ字幕の制作時間は、前年度から5.4%増え、初めて5
000時間の大台を超えました。一方で番組の生字幕制作については、受託していた定時番
組の一部が27年度改定により廃止されたため、減少しました。しかし特集番組への生字幕
付与に積極的に対応することで、定時番組の生字幕制作の減少を補うように努めました。2
7年度から夏の全国高校野球選手権大会や春の選抜高校野球大会での全試合への字幕付与が
始まり、テニスのATPツアー中継への字幕付与などの新たな業務も受託することができま
した。その結果、生字幕制作の売上は前年度より減少したものの、事業計画を大幅に上回る
ことができました。
27年度については、完プロ字幕は制作単価が引き下げられ、生字幕についてもPD費の
単価引き下げが行なわれました。しかし、こうした業務増に対応したことで、字幕制作セン
ター全体として前年度を上回る売上を達成することができました。一方で営業利益は前年度
と比べて5千万円あまりの減益になりました。
ニュース字幕では、27年度に「Sportsプラス」
「NEWS WEB」を除く、朝7
時から深夜0時までの総合テレビのすべての定時ニュースに字幕が付くことになりました。
特設ニュースに対する字幕付与も大幅に増えており、27年度1年間で119日間の特設ニ
ュースに字幕を付与しました。とくに8月から9月の台風報道では、スピードワープロによ
る手動入力と音声認識技術を使った字幕入力を適宜切り替えて運用し、長時間の字幕放送を
安定して送出しました。
自主事業については、
これまで社内で培ってきた生放送に字幕をつけるスキルを生かして、
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講演やセミナーをリアルタイムでテキスト配信するライブテキスト事業に力を入れました。
27年度は取り引き先が10社ほどに拡がり、売上は目標を上回る1千2百万円を達成しま
した。
〔ニュース制作部〕
27年度は、総合演出の「全中」と「首都圏」を一体化し、要員の効率的な運用を進める
とともに、
各グループの業務費の平準化を行い、8業務グループ全てで黒字を達成しました。
部全体では、増収減益で、売上・利益とも事業計画を上回る業績を確保しました。
口永良部島、箱根山の噴火、台風と関東・東北豪雨などの災害報道や、統一地方選挙、大
阪の住民投票と選挙では、BSニュースなどの体制を強化して報道支援にあたりました。特
に気象情報は、新番組「シブ5時」の気象コーナー新設や、大雨時の臨時のキャスター解説
を年間255回、延べ11時間半放送し、減災に役立つ情報提供を目指しました。
業務を支える質の高い人材の確保と育成に努め、特に、入れ替わりが激しくなっている派
遣スタッフについては、現場での業務研修を充実するとともに、マニュアルの作成によるス
キルの共有化に取り組みました。また、派遣スタッフの勤務管理や入館証となるADカード
管理を点検強化するなど、リスク管理を徹底しました。
〔アーカイブス部〕
映像アーカイブスでは、特設ニュースについて、今年度から仕様外業務としての位置付け
を明確にし、通常枠のニュース映像と合わせて8万項目余りの映像データベースを制作しま
した。
原稿データベースでも、日々のニュース原稿5万9000件近くを選択処理する一方、2
6年度にスタートさせた「閲覧限定原稿の再チェック」を進め、27年度で3万5000件
余り、2年間で合わせて6万5000件近い閲覧限定原稿に対し、人権プライバシー保護措
置などの処理を終えました。
統合アーカイブスでは、
「ニュース総合検索」の基盤となるデータとして、12万件近いニ
ュース項目を制作しました。また、これまでに制作済みのデータの内、1983年7月から
1988年末までの1万余番組、19万9000余件の項目をアーカイブスシステムに移行
しました。
今後、
詳細な点検を経て28年夏か秋頃には局内向けにオープンされる運びです。
〔デジタルニュース部〕
27年度も、NHKニュースのデジタル展開業務と、データ放送やホームページのコンテ
ンツ制作・更新業務の 2 つの分野を中心に業務を堅実に推進しました。
ニュース分野では、前年度から受託している関東甲信越9局のデジタルニュースの制作・
編責業務のうち、動画の貼り付けについて27年度は出稿が集中する昼と夕方の時間帯には
動画担当の外部プロ要員を配置して、より迅速な動画の公開と専門委員の負担緩和を実現し
ました。9月の「関東・東北豪雨」などの緊急報道では、臨時の徹宵勤務を含め態勢を強化
して対応しました。
コンテンツ分野では、業務の柱である首都圏放送センターのホームページの毎日の更新と
内容の充実に引き続き尽力しました。また、ネクストメディア室との連携の下に、千葉局に
続いて新たに受託したさいたま局のホームページの更新業務にもあたり地域局を支援しまし
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た。さらに、広島局の「被爆70年」サイトの5か国版制作や、「高校野球100年」サイト
の制作などにも参加し、好評を得ました。
前年度の後期から受託しているBS1「経済フロントライン」のハイブリッドキャスト制
作業務では、サービス開始から1年の秋に全面リニューアルに取り組み、内容の充実を図り
ました。
今後については、28年度新規受託の「ニュース防災アプリ管理・運用」業務の事前準備
を進めています。また、首都圏ホームページ「防災企画コーナー」の素材集めから公開まで
の一貫制作など業務内容の高度化にも取り組んでいきます。
〔映像取材部〕
27年度もNHK報道を全力で支援し、国内外の事件・事故、災害取材をはじめ、選挙報
道にミスなく対応しました。
業務委託は、報道局、水戸局、前橋局、宇都宮局、ロサンゼルス支局、シンガポール支局
の映像取材業務および機材管理業務で、4K8K対応などにより年度当初より2人多い47
人分を受託しました。「関東・東北豪雨」では水戸局を中心に北関東各局のカメラマンが取材・
中継に対応、長野県軽井沢町の深夜バス事故では、前橋局駐在カメラマンが第一報を取材し
ました。
また、
歴史的な中台首脳会談やチリ地震などで海外に駐在する社員が的確に取材し、
国際報道にも貢献しました。
業務委託以外では、キャスター撮影に加え、デジタルサイネージの新規コンテンツの制作
や字幕制作センターの完プロ業務などの社内事業を支援しました。
前年度に比べ、東北被災地支援業務が減少したことに加え、駐在社員の不定期異動に伴う
経費が発生しましたが、売上は増加、利益も前年同規模で、売上・利益ともに事業計画を上回
る業績を確保しました。
〔映像制作部〕
映像制作力を強化し「質の高い報道支援」を目標に業務を進め、災害・緊急報道ではミス
のない支援を行いました。特に、9月に発生した「関東・東北豪雨」では、大雨特別警報発
令の直後から自主的に出勤して特設ニュースに対応したほか、鬼怒川決壊の報を受け、宇都
宮局と首都圏放送センターから社員が水戸局応援に入るなど、社員一丸となって長時間にわ
たる災害報道を不眠不休で支援しました。
また、番組編集でも映像制作の専門能力を発揮しました。テニスの錦織選手の強さの秘密
に迫る「NHKスペシャル」
、サッカー女子ワールドカップで連覇に挑んだ「なでしこジャパ
ン」の活躍と苦悩を描いた番組、
「にっぽん紀行」や「クローズアップ現代」など多くの番組
編集を担当し、高い評価を得ました。
さらに、首都圏ニュースの映像制作デスクに初めて社員が抜擢されたほか、サーバー管理
デスク業務でもIP伝送やファイル転送など複雑化する伝送技術の知識習得に励み、安定運
用の実現に貢献しました。
事業収支は、映像制作の委託業務でNHKからの委託費を社員の人件費が上回る赤字構造
が続いていますが、OBや外部パワー活用によるコスト削減を推し進めた結果、計画を上回
る利益を確保しました。
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〔国際映像部〕
27年度は、ネパール地震、中国・長江の客船転覆、バンコク爆弾テロ、パリ同時テロ事
件などの海外緊急報道が相次ぎ、現地からの生中継や映像素材伝送に迅速かつ的確に対応し
ました。戦後70年の歴史的な天皇皇后両陛下のパラオ訪問およびフィリピン訪問では、極
めて難度が高い中継・伝送オペレーションを成功させたほか、トルコでのG20、フィリピ
ンでのAPEC首脳会議など、安倍首相が出席する国際会議のプール伝送とユニ伝送も的確
に遂行しました。
ニュースの映像伝送では、小型IP伝送装置にカメラを直結して取材現場からインターネ
ットで直接つなぐIP中継が増え、素材伝送もインターネットとサーバーを使った映像ファ
イル交換が主流になってきました。このため、デジタルスキルの強化に取り組むとともに、
IP伝送に効率的に対応できるワークフローを構築し、伝送経費の節減にも貢献しました。
スポーツ中継では、
ウィンブルドンや全豪オープンテニス、
サッカー女子ワールドカップ、
男子ラグビーワールドカップなど、国民の関心が高い大型イベントの中継・伝送オペレーシ
ョンをミスなく遂行したほか、年間250試合のMLBもシーズンを通じて国際回線の安定
運用を実現しました。また、海外メディアへの映像素材提供では、アジアビジョンへ年間1,
000項目を超える素材を提供したほか、ユーロビジョンや外国通信社などにも積極的に素
材提供し、NHKの国際発信強化に貢献しました。
海外発信事業では、28年7月の次期発信回線への移行に伴い、インテルサット衛星3基
の基幹回線が全面ハイビジョン化され、より質の高い国際放送を全世界に届ける体制が整い
ます。また、全面ハイビジョン化に合わせて、発信回線の伝送方式も変更されます。それを
前に、27年度は、KDDIの送信設備を更新するとともに、伝送テストを綿密に実施し、
円滑な移行に向けた作業を着実に進めました。
〔バイリンガルセンター〕
27年度の売上高は、NHKの海外発信強化に伴う翻訳業務の受託増や自主事業の外部通
訳の売上増などにより、前年度に比べ4千万円増の24億2千1百万円となり、過去最高を
記録しました。また、営業利益も8百万円増の3億1千2百万円となり、前年度に続いて3
億円台を確保しました。
NHKからの受託事業では、BS1の「ワールドニュース」などの定時番組の通訳・翻訳業
務に加えて、
パリ同時テロ事件やネパール大地震などの海外緊急報道に迅速に対応したほか、
「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代」などの海外取材番組の通訳・翻訳にも的確に
応えました。また、国際放送では、NHKワールドの新番組「NEWSROOM TOKYO」に、
ライター、リライター、ナレーターを新たに配置して番組をサポートするなど、海外発信強
化に貢献しました。
ニュースや番組以外でも、NHKがホストを務めた「INPUT(世界公共放送)東京会議
2015」の会議通訳部門を担当して大会を成功に導いたほか、NHKの国際放送80年史の
英語版の翻訳を担当し、高い評価を受けました。
自主事業のうち、NHK以外を取引先とする通訳・翻訳サービスは、同業他社との激しい競
争の中で、新規顧客の開拓と受注活動に積極的に取り組み、過去最高の1億8千万円の売上
を達成しました。
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また、国際研修室は、募集活動を強化して受講生の減少傾向に歯止めをかける一方、クラ
ス編成の見直しや業務の効率化によるコスト削減に徹底して取り組んだ結果、初めて赤字を
解消し、原価調整前の営業利益で2百万円の黒字を計上することができました。
〔スポーツ事業部〕
27年度は収益の最大の柱だったPGAゴルフの放送権販売・運用管理業務を前年に失っ
た影響から、営業利益が赤字の事業計画でスタートしましたが、新たに5年間の新規契約を
結んだウィンブルドンテニスの放送権ビジネスや自転車関連の新規事業展開などで収益を伸
ばして赤字幅を大幅に圧縮し、ほぼ収支均衡の決算が実現しました。
大型スポーツイベントでは、カナダで開かれたサッカー女子ワールドカップやリオデジャ
ネイロオリンピックの出場権をかけた男女サッカーのアジア最終予選等でウェブ専用サイト
の構築と運営を担当し試合経過・結果、応援メッセージの更新などで実績を重ねました。
また、こうした国際大会の外国選手名を作成する業務は上記の大会をはじめ、日本が歴史
的な勝利を上げたラグビーワールドカップイングランド大会や、日本が男女とも出場権を獲
得した7人制ラグビーのアジア予選などを受注しました。アルファベットを日本語のカタカ
ナ表記に翻訳しチームごとに名簿化する作業の正確性が発注元の信頼を集め、
「表記作成業務
はGメディア」との評価を不動のものにしています。
スポーツ中継の生字幕事業のうち、夏の全国高校野球選手権と春の選抜高校野球大会はこ
れまで準々決勝から字幕をつけていましたが、27年度は1回戦から決勝まで全試合の字幕
付与を達成し、視聴者に優しいスポーツ放送の実現に貢献しました。
自主事業の「大相撲ジャーナル」は隔月で発行してきましたが、7月の名古屋場所から毎
月発行に踏み切り、場所前の展望号と場所後の決算号が相撲ファンの期待と支持を集めてい
ます。赤字額も前年度より減少しましたが、赤字体質からの脱却を目指してさらなる経費削
減をすすめ、出版社の見直しを検討するなど、さまざまな対策を講じています。
〔スポーツ制作部〕
NHKから受託した海外・国内スポーツ中継及び関連番組の制作を中心に事業を展開し、
全体として事業計画を上回る売上と営業利益を確保しました。
上半期は継続ソフトに加え、6・7月のサッカー女子ワールドカップの放送に総力を挙げ
て取り組みました。コメンタリークルー、日本戦ユニ中継、SHV制作のため、11名を派
遣しました。国内での制作業務では外部プロダクションの協力も得て約100名の体制で制
作し、現地との時差が12時間以上ある中で日本戦全試合を含む25試合をBS1でライブ
放送し、録画(再放送含む)でも16試合を制作するなど、放送時間は前回大会の1.6倍
の104時間に及びました。大会前後の特集番組も数多く手がけ、番組内容も好評で、注目
カードは試合開始1時間前から放送枠を切り、工夫を凝らした演出で日本戦の視聴率は地上
波民放と並列でありながら5%を記録するなど、視聴者から「女子ワールドカップはNHK」
という大きな信頼を得ると同時に、売上も事業計画を大幅に上回ることができました。
さらに、テニスの錦織選手の活躍でウィンブルドン・全豪に加え、当初の事業計画にはな
かった「ATPワールドツアーマスターズ1000」の年間シリーズを受託しました。これ
に伴い、MLBの本数は減少したものの、PGA、NBA、NFL、海外サッカーは概ね順
調に推移したため、海外スポーツ全体の売上増につながりました。
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下半期はラグビーワールドカップの日本戦をすべてライブまたは録画で放送しました。繁
忙期と重なりましたが、活躍に伴う演出拡大にも効率的な運用で対応し、ラグビーブームを
牽引する役割を担いました。
国内スポーツでは、大相撲で若手の台頭や新大関の誕生、横綱への挑戦等もあり人気がさ
らに上昇し、放送内容の充実とあいまって、一昨年の7月の名古屋場所4日目以降、2ケタ
以上の視聴率が2年以上続いています。また、28年度のリオデジャネイロオリンピック・
パラリンピックに向けた新規番組の放送にも対応し、10月にはNHKとして初めて障害者
スポーツの中継となった車椅子バスケットリオデジャネイロパラリンピック最終予選を制作
しました。当部だけでなく、NHKの文化・福祉番組部やスポーツ番組部と連携し放送を成
功させました。
リオデジャネイロオリンピックでは、
7人制ラグビーの男女アジア最終予選、
ハンドボールアジア予選等をライブで、1月から3月には、男女のサッカーオリンピック予
選をカタールと大阪で制作しました。また、冬季スポーツの華・NHK杯フィギュアスケー
トでは、国際信号やユニ中継を担当し、20%を超える視聴率を獲得し、3月の世界女子カ
ーリング選手権では史上初のメダル獲得の瞬間をライブで伝えるなど臨機応変に対応しまし
た。
8Kスーパーハイビジョンでは、海外メジャースポーツの収録を中心に行いました。6月
のサッカー女子ワールドカップ、テニスのウィンブルドン、7月のMLBのヤンキース戦、
2月にはアメリカンフットボウルのスーパーボウルを現地制作し認知度を高める一方、国内
向けPV用にハイライト編集を受託するなど業務が拡大しました。
また、BS1のリーチ向上のために、MLBやプロ野球、J リーグなどで副音声やサブチ
ャンネル(BS102ch)を活用した実験的放送にも取り組みました。従来の中継放送は
残しつつ、独自のカメラ・分析データを駆使し、これまでにない視点から野球やサッカーを
切り取り、視聴者に新たなスポーツの楽しみ方をプレゼンするなど、年間を通じてNHKの
スポーツ放送に大きく貢献しました。
〔8K推進室〕
8K推進室設置の初年度は、NHKが行う8Kパブリックビューイングのコーディネート
業務を中心に業務にあたり、NHKが推進する8Kの周知広報活動に力を注ぎました。紅白
歌合戦8KPVなど例年行っていた8KPVのほか、
「ねぶた&スポーツ」
のPVを積極的に
企画提案して実現させました。
また、28年4月にアメリカ・ラスベガスで行われる放送機器展「NAB」での展示用と
して、最先端技術による8KHDRコンテンツ制作のPD業務をNHKから受託し、ロケ・
編集を担当するとともに、28年度事業として引き続き、会場での立ち会い業務にあたって
います。今後はさらに、オリンピックなどを見据えて、スポーツを中心としたコンテンツ制
作にも取り組んでいきます。
〔企画事業部〕
ニュース提供事業のうちサイネージ事業は、従来の「ピックアップニュース」に「空中散
歩」などの新たなコンテンツも加わり、厳しい価格競争の中、JR大阪駅や羽田空港の待合
室、ターミナル駅の大型画面への展開など、大口契約を含めて販路を広げています。27年
度の売り上げは前年度の2倍以上の大幅な増収を実現しました。
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インフライト事業では、国内の航空会社へのニュース提供に加えて、海外の航空会社への
展開にも力を入れてきました。日本語のニュース提供だけではなく、国際放送の英語の情報
番組や自主開発のソフトテレビコンテンツの提供にも力を入れ、新たに10社との契約に成
功しました。
ソフト開発事業は、外務省の海外向け広報動画制作や警視庁の広報映像制作、戦後70周
年講演会など大型の案件を受注するなど、計画を大幅に上回る新規事業獲得に成功し、部全
体の売上増に大きく寄与しました。
〔メディア事業部〕
部門業績は、各事業とも引き続き黒字を確保し、基幹の「NHKニュース&スポーツ」の
大幅な売上増を軸に、前年度決算に比べ大幅な増収増益の業績で、自主事業を牽引推進しま
した。
「NHKニュース&スポーツ」は、関東・東北豪雨や相次いだ台風上陸など災害・防災情報
をきめ細かく発信するとともに、地震メールの改善や気象情報の拡大充実を実施し、NHK
緊急報道の一端としての役割の強化に努めました。
また、リニューアルによる操作性の向上、
「SIMロック」解除の義務化にあわせたSIMフリー端末の入会導線の新設、クレジット
カード決済の導入といった機能整備を図り、多様化する市場でさらなる事業展開を目指す取
り組みも進めました。
音楽系サイトは、フィーチャーフォン会員の減少を、スマートフォン会員で十分にカバー
する状況ではありませんが、制作体制の見直しなどで原価抑制に努め、「NHKメロディ」
「NHK SOUND」ともに、事業計画を上回る営業利益を確保しました。NHKの番組制
作側との連携を深化させ、放送開始とほぼ同時の配信などサービスの向上も進めました。
〔人材開発センター〕
社員育成の一環として、初めて外部の社員研修プログラムを導入し、ビジネススキルや知
識を習得する新たな場を設けました。新入社員育成のためNHK地域放送局での実務研修を
継続して実施しました。NHKや外部講師を招いた「Gメディア研修会」を毎月行うなど、
社員の自己啓発やコンプライアンス向上に結びつける取り組みを行っています。
〔著作権・契約センター〕
著作権・契約センターでは、コンプライアンスおよびリスクコントロールの高まりに合わ
せ、より注意を払って適正・的確な契約書の作成や著作権処理に取り組みました。また関係
法令の改正や社外の問題事例、是正勧告などを速やかに把握し、特に「下請法」
、「労働者派
遣法」
、
「著作権法」について専門知識の習得に努め実務に反映させました。さらにリスクが
高い案件については、顧問弁護士に相談しリスクの低減と回避に取り組み貢献しました。自
主事業の企画案件では、
NHKとの折衝に同行し、
円滑な展開ができるように支援しました。
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〔広報〕
公式ホームページを全面的にリニューアルし、NHKからの委託事業などGメディアの業
務をより分かりやすく紹介するとともに、自主事業の営業を支援する内容を充実しました。
その結果、デジタルサイネージや通訳などの事業に多数の照会が寄せられるなど、事業展開
に貢献しています。
〔ネクストメディア室〕
委託業務では、報道番組部のホームページ運用支援、拠点局の特集ページの開発受注、
「らじる★らじる」の新たな機能の開発運用支援などを行いました。この他、独自に開発し
た画像合成ソフトを千葉局などに提供しています。
ライブテキスト事業では、これまでと同様に、システム開発・改修や要員派遣を含めた支
援を行いました。さらに、ライブテキストの仕組みを活用した新たなサービスを提案し、
システム、アプリの開発を行いました。これは、28年度以降の新規顧客獲得につながるも
のと考えています。
〔システム企画室〕
システム企画室は発足して3年目を迎え、イントラネット関連、自主事業系ともに業務
の幅が広がりました。27年度は第六共同ビルへのオフィス集約化やバイリンガルセンター
の移転に伴うLANなどの設備整備を進めました。
関連団体のシステム統合については、27年度から出退勤・給与や会議費・交際費伺など
で運用が始まりましたが、Gメディアとしての全面移行のめどがたつ前に9月で導入に向け
た開発・整備のフェーズが終了し、10月からは保守運用管理体制に切り替わりました。引
き続き関連部門と連携して、より利用しやすいシステムになるよう対応を進めていきます。
情報セキュリティの分野では、夏以降、コンピューターウイルス対策で社内のすべての端
末の使用状況の調査を実施し、NHKからの要請を受けたITリスク調査の対応にも力を入
れました。
当社の公式ホームページのリニューアルにあたっては、前年度に刷新したバイリンガルセ
ンターのホームページの運用にも配慮した構成とする一方、セキュリティ面での脆弱性につ
いての調査を実施するなどシステム面から支援をしました。
自主事業系では、26年度後半以降、NHK側のシステムトラブルにより「NHKニュー
ス&スポーツ」のニュースの更新やデジタルサイネージ向けの映像配信サービスがたびたび
影響を受け、そのつど対応しました。
また、
「NHKニュース&スポーツ」は3月に大幅なリニューアルを実施し、クレジットカ
ードでの支払いにも対応できるようになりました。これらの改修に当たってもシステム面か
ら全面的に支援しました。
デジタルサイネージ向けの映像配信サービスは電車内、店舗、会社内などさまざまな場所
に展開するようになり、個別のケースごとにシステム対応を行いました。
〔西日本支社〕
本部代替機能として、大阪局から2ヶ国語放送を出すため、関西在住の通訳を対象に、震
災や大雨・土砂災害などのニュースを英語で放送する訓練を2回実施しました。
訓練に加え、
10
11月には国際放送の番組を大阪局から2ヶ国語で送出したほか、同時通訳ブースを使った
番組の事前制作も2回行いました。
7月から映像制作を担当する社員が新たに加わり、テレビニュース制作と映像制作で
あわせて4人の社員が、大阪局の機能強化を支援しています。
ニュース番組の生字幕付与は、開始から3年目に入り、字幕付与率を上げながら安定した
放送を実施しました。生字幕に加えて経済情報番組や上方落語などのローカル番組にも字幕
を制作し、地域サービスに貢献しました。
大阪局管内6局と松江局の委託を受けて、イベントや自治体のお知らせ、防災情報などを
紹介するデータ放送のコンテンツを制作し、きめ細かい情報を提供しました。
スポーツでは、関西で行われるプロ野球、Jリーグ、大相撲春場所、春・夏の高校野球、
駅伝、マラソンなどの中継番組を中心に、NHKからの委託番組や企画の制作を行いました。
〔中部支社〕
名古屋局発の地域ニュース「ほっとイブニング」
(610)
、
「ニュース845東海」
(84
5)の生字幕付与業務は3年目を迎えました。今年度の610の年間字幕付与率は83.9%
で、初めて80%台に乗りました。編責、オペレーターが習熟したことや、リスピーク方式
の試行を月に1週行ったことが寄与し、26年度に比べ5.5ポイント付与率が上昇しまし
た。845については100%に近い付与率でした。
映像制作支援業務では、契約社員1名が引き続き業務にあたりました。名古屋局は映像制
作の「フェーズ3」のパイロット局ですが、ノンリニア編集にいち早く適応し、項目ニュー
スだけでなく610の特集企画なども数多く担当し、映像制作の中核として高い評価を得ま
した。
〔九州支社〕
九州支社の事業は、福岡局のニュース生字幕の字幕付与で、午後6時台の610「ロクい
ち!福岡」と午後8時台の845「ニュース845福岡」のニュース生字幕の制作と送出を
行っています。3年目の27年度は、610の年間字幕付与率が84%、845は100%
に達しました。また年度上半期には、大雨・台風関連の特設ニュース対応(午後8時前の2
分~3分・管中)が4回、5月20日には鹿児島県口永良部島で噴火の特設ニュース(午後
4時10分~午後4時50分・管中)の字幕付与を行いました。
九州・沖縄では、台風や大雨などの災害報道や沖縄の基地問題など、6時台を中心に管中
の特設ニュースを組むことが多く、その対応でも高い評価を得ています。
〔東北支社〕
仙台放送局発の地域ニュース「てれまさむね」と「ニュースみやぎ845」の生字幕放送
は2年余りが経過しました。
編責とオペレーターが習熟したことや、去年6月から月に1週、
リスピーク方式による生字幕付与を始めたことなどから、「てれまさむね」
の平成27年度の
生字幕付与率は平均で94.
9%となりました。「ニュースみやぎ845」
は、業務開始以来、
付与率は100%となっています。
映像制作支援業務では、専門委員2名が昼のローカルニュースと「てれまさむね」でデイ
リーニュースや企画などの編集にあたりました。
11
(2)対処すべき課題
・
「NHKアプリ」への対応
NHKでは28年度から、
「ニュース・防災」情報のモバイル向けアプリサービスを開始す
る計画です。無料のこのサービスが、当社の自主事業の中核をなしている「NHKニュー
ス&スポーツ」にどのように影響するかが大きな課題です。会員減少による大幅な減収減
益を想定した上で、独自の付加サービスなどで利益の確保に努める必要があります。
あわせて、新たな可能性を秘めた「デジタルサイネージ事業」や「ライブテキスト事業」
などの自主事業の黒字化を目指します。
・8K・4Kへの積極的取り組み
28年8月から8K・4Kの試験放送が始まります。リオデジャネイロオリンピック・パ
ラリンピックで8K・4Kの送出業務にあたるほか、国内外で展開されるパブリックビュ
ーイングの運営にあたります。
積極的な提案などを通じて、
新たな可能性を開くサービスに積極的に取り組んでいきます。
・コンプライアンスの徹底
コンプライアンスの徹底が一層求められています。内部監査室やリスクマネジメント委員
会の機能を強化し、諸課題の改善とリスク管理の徹底を図っていきます。また、サイバー
攻撃による情報漏えいなど、新たなITリスクも増加しており、情報セキュリティーにも
万全を期します。
・働き方改革の推進
多様で生産的な働き方ができる職場作りなどを通じ、仕事と生活の調和が実現するよう働
き方改革を積極的に推進して行く必要があります。
このテーマを社の重点課題に掲げ、実効ある成果をあげていきます。
(3)設備投資の状況
当期において実施した設備投資の総額は、2億3千2百万円で、前年度2億8百万円に
比べて2千3百万円の増となりました。投資額の主な内訳としましては、第六共同ビルへ
の集約化に伴う建物整備などで9千万円、ニッポンレンタカービルへの移転に伴う建物整
備などで3千2百万円、財務システムの更新で3千4百万円、このほか複合機やサーバー
の更新などであります。
(4)事業譲渡・吸収分割または新設分割の状況
該当事項はありません。
(5)事業譲受の状況
該当事項はありません。
(6)他の会社の株式その他持分または新株予約権等の取得の状況
該当事項はありません。
12
(7)財産および損益の状況の推移
(単位未満切り捨て)
項
第 26 期
目
第 27 期
第 28 期
第 29 期
(25 年 3 月期) (26 年 3 月期) (27 年 3 月期) (28 年 3 月期)
( 千 円 )
21,230,021
22,752,570
22,740,202
22,322,645
営 業 利 益 ( 千 円 )
1,231,514
1,900,101
1,848,805
1,786,755
経 常 利 益 (千 円 )
1,360,174
2,040,690
2,013,637
1,936,993
当 期 純 利 益 (千 円 )
844,886
1,249,646
1,271,931
1,285,172
1株当たり
当 期 純 利 益
129,187
196,670
212,697
214,911
売
上
高
( 円 )
総
資
産
( 千 円 )
12,406,692
13,126,527
13,569,709
14,064,198
純
資
産
( 千 円 )
9,100,886
9,136,035
9,802,054
10,584,959
(8)主要な事業内容
①日本放送協会の委託等により、ニュース、スポーツ、および情報にかかわる番組等の開
発、企画、制作、購入、頒布。
②日本放送協会の委託等により、
放送番組の編集に必要なニュース、および情報を収集し、
またはこれを日本放送協会以外の者と交換する業務。
③日本放送協会の委託等による、放送番組を補完するための字幕やデータ等の制作。
④日本放送協会の委託等による、衛星等の利用による映像情報等の伝達・集配信、および
翻訳・同時通訳、関連業務の開発、調査、企画、実施。
⑤ニュース、スポーツ、および情報にかかわる番組等の開発、企画、制作、購入、ならび
にこれに関連する社会的に意義のある催物の企画、実施。
⑥映像、音声、データ等の各種コンテンツの開発、企画、制作、およびモバイル、インタ
ーネット等、各種メディアを通じての提供、販売。
⑦情報・メディアの利用に関する調査・研究およびコンサルティング。
⑧前各号に関連する著作権等の取得、管理、販売。
⑨日本放送協会その他の用に供するための電気通信事業。
⑩前各号に関連する一切の業務。
13
(9)主要な事業所
本社…東京都渋谷区神山町9番2号 第六共同ビル
西日本支社…大阪府大阪市中央区大手前四丁目1番20号 NHK大阪放送局内
中部支社…愛知県名古屋市東区東桜一丁目13番3号 NHK名古屋放送局内
九州支社…福岡県福岡市中央区六本松一丁目1番10号 NHK福岡放送局内
東北支社…宮城県仙台市青葉区錦町一丁目11番1号 NHK仙台放送局内
(10)従業員の状況
(平成28年3月31日現在)
従業員数
前期末比増減数
385 名
5 名増
<内訳>
区分
NHK
出向者
社員
転籍・嘱託
社員
契約社員
計
平均年齢
男
83 名
111 名
118 名
9名
321 名
48.6 歳
女
7名
1名
54 名
2名
64 名
41.5 歳
計
90 名
112 名
172 名
11 名
385 名
47.4 歳
(このほか、他団体への出向者 計 6 名)
(11)重要な親会社の状況
当社の親会社はNHKであり、当社の株式4,350株(議決権比率72.7%)を保
有しております。当社は親会社に対し、主にニュース・情報番組の制作、スポーツの中継、
番組制作、放送番組を補完する字幕やデータなどの制作を行っております。
(12)親会社との間の取引に関する事項
当社と親会社であるNHKとの取引にあたっては、独立した第三者との間の取引と
同等の条件であることなど、一般に妥当と認められる取引慣行で行われることに留意
し、取締役会において、当社の利益を害するものではないことを確認したうえで適正
性、妥当性を判断しております。
(13)主要な借入先
(短期借入金)
借 入 先
借 入 額
㈱みずほ銀行
10,000 千円
14
2.会 社 の 株 式 に 関 す る 事 項
(1)発行可能株式総数
16,000株
(2)発行済株式総数
5,980株
(3)株主数
8名
(4)株主の状況
当社への出資状況
株 主 名
所有株式数
議決権比率
4,350 株
72.7%
㈱NHKエンタープライズ
540 株
㈱NHK出版
日本放送協会
当社の株主への出資状況
所有株式数
出資比率
-
-
9.0%
168 株
2.9%
340 株
5.7%
58,320 株
4.5%
㈱NHKメディアテクノロジー
294 株
4.9%
294 株
4.2%
㈱NHKアート
172 株
2.9%
15,000 株
3.9%
㈱NHKエデュケーショナル
132 株
2.2%
90 株
4.5%
㈱NHK文化センター
80 株
1.3%
19,600 株
4.9%
㈱NHKアイテック
72 株
1.2%
-
-
15
3.会 社 の 役 員 に 関 す る 事 項
(1)取締役および監査役
(平成28年3月31日現在)
地 位
氏 名
担 当
重要な兼職の状況
代表取締役社長
石田 研一
専務取締役
島津 敏雄
経営企画担当
常務取締役
正野 元也
番組制作担当
取締役
磯部 成夫
企画事業担当
取締役
熊谷 雅宣
ニュース制作担当
取締役
田中 孝紀
スポーツ担当
取締役(非常勤)
荒木 裕志
NHK報道局長
取締役(非常勤)
根本 佳則
NHK国際放送局長
取締役(非常勤)
舘谷 徹
取締役(非常勤)
吉田 哲彦
監査役
壱岐 哲平
監査役(非常勤)
古椀 裕章
監査役(非常勤)
山本 浩
NHK Cosmomedia (Europe)Limited 取締役(非常勤)
㈱Jリーグメディアプロモーション取締役(非常勤)
NHK Cosmomedia America,inc.取締役(非常勤)
NHK編成局編成センター長
㈱NHKエンタープライズ取締役
㈱みずほ銀行営業第十八部次長
NHK関連事業局専任部長
(注 1)就任
平成27年6月24日付で、石田研一が代表取締役社長に、島津敏雄が専務取締役に、
正野元也が常務取締役に、磯部成夫、熊谷雅宣、田中孝紀、荒木裕志、根本佳則、
舘谷徹、吉田哲彦が取締役に就任しました。また、監査役には、古椀裕章、山本浩が
就任しました。
(注 2)退任
平成27年6月24日付で、藤森隆行が代表取締役を、江口義孝が常務取締役を、山﨑
秋一郎、秋山秀樹が取締役を退任しました。また宇野和照、須田俊明が監査役を退任し
ました。
16
(2)取締役および監査役に支払った報酬等の額
当事業年度に係る取締役および監査役に対する報酬などの内容は、以下のとおりです。
対象者
人 数
報酬の額
取締役
8名
107,873 千円
監査役
1名
13,500 千円
(注 1)上記の人数は、支給対象人数を記載。
(注 2)非常勤の取締役6名、非常勤の監査役4名には、報酬は支払っておりません。
4.業務の適 正を確保するための 体 制
(1)取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するた
めの体制
①当社は取締役、社員を含めた行動規範として、
「NHKグローバルメディアサービス
倫理・行動憲章」と「行動指針」を定め、これらの遵守を図っている。取締役、社
員のコンプライアンスの徹底を図るため、「コンプライアンス通報制度規程」「通報
窓口」などを社内に効果的に周知し、適宜、法令等の遵守状況をモニタリングして
いる。また、
「インサイダー取引防止規程」を定め、取締役、社員等によるインサイ
ダー取引の禁止を規定している。
②取締役会については、
「NHKグローバルメディアサービス取締役会規則」に基づき、
適切な運営を確保し、定例で開催するほか、必要に応じて随時開催し、取締役間の
意思疎通を図るとともに、相互に業務執行を監督し、法令・定款違反行為を未然に
防止する。万一、取締役が他の取締役の法令・定款違反行為を発見した場合は直ち
に監査役および取締役会に報告するなどして、その徹底を図る。
③同様に、社長、常勤取締役等で構成する役員会については「役員規程」
、執行役員に
ついては「執行役員規程」を遵守し、職務執行の法令・定款への適合を確保する。
また、監査役は、取締役の職務執行、経営機能に対する監督強化を図る。
④コンプライアンスに関する研修や、社内報等による啓発、社員代表会議等を通じて、
全社的な法令遵守の推進を図るとともに、「組織および職務権限規程」「経理規程」
等により、取締役および社員の職務執行の透明性を向上させる。
(2)取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
①「文書管理規程」の整備によって、職務の執行に係る文書・情報の扱いを明文化し、
取締役の職務の執行に係る文書・情報の適切な保存および管理を図る。
17
②「株主総会議事録」
「取締役会議事録」
「役員会議事録」については、
「文書管理規程」
に基づいて適切かつ確実に保存・保管し、取締役および監査役が常に閲覧可能な状
態に置く。
③「情報セキュリティの確保に関する規程」を設け、情報システムの安全かつ適正な
管理・運営を行う。
④個人情報については、法令および「個人情報保護規程」に基づいて厳重に管理する。
(3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
①「リスクマネジメント規程」
「リスクマネジメント委員会運営に関する規程」を定め、
社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、全社的にリスク管理
体制の整備・運用にあたる。
②投資的リスク、下請法等法令違反につながるリスク、不正アクセスや情報漏洩等、
情報セキュリティに関するリスクに対して、信用調査や対応マニュアルの整備等を
通じて対策を図る。また、公共放送グループの一員として、金銭、情報等の取り扱
いについては特に厳正を期す。
③内部監査室を設置し、各部門のリスク管理状況を監査し、定期的に取締役会および
監査役に報告する。
④危機管理と予防的管理についての体制を充実させ、研修等を含め、損失の危険の管
理について全社的な認識向上を図る。
(4)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
①職務分掌に関する諸規程を定め、取締役および各部門の所管と権限を明確にし、経
営に関する意思決定および職務執行を効率的かつ適正に行う。
②重要な意思決定については、常勤取締役等による役員会などにより多面的に検討し、
慎重に決定する仕組みを設けている。
(5)当社ならびにNHKグループにおける業務の適正を確保するための体制
①当社の親会社にあたるNHKは、子会社等の事業が適切に行われることを目的とし
て、
「関連団体運営基準」により、子会社等の事業運営およびこれに対するNHKの
指導・監督等に関する基本的事項を定めており、当社もその適用を受ける。
②NHKは、
「関連団体運営基準」に規定する事項およびNHKが指定する事項につい
て、監査法人等に委嘱して子会社等の業務運営状況調査を実施し、監査法人等の報
告に基づき、子会社等に対し必要な指導・監督を行っており、当社もその適用を受
ける。
③NHKの監査委員会が当社に対し事業の報告を求め、または業務および財産の状況
を調査する場合には、適切な対応を行う。
④NHKの「リスクマネジメント規程」に基づき、リスクの発生防止に係る管理体制
を整備し、NHKおよびNHKグループの業務の円滑な運営の確保を図る。
18
⑤「NHKグループ通報制度規程」に規定された「NHKグループ通報制度」
「関連団
体コンプライアンス通報制度」に基づき法令違反・内部規程違反等の不正行為等に
ついての通報制度を整備するとともに、NHKグループに係るリスクについては、
リスクマネジメント責任者は直ちにNHKの総合リスク管理組織に対して通報の内
容等を報告する。
(6)監査役の職務を補助すべき使用人に関する事項および当該使用人の取締役からの
独立性に関する事項
①監査役からの求めがあった場合には、監査役の職務を補助すべき使用人として、
当社社員から監査役補助者を任命する。監査役補助者の任命、解任、人事異動、
賃金等については監査役の同意を得たうえで、取締役会で決定する。
②監査役補助者は、当社業務を兼務することができるが、監査役より監査業務に必要
な命令を受けた場合は、その命令に関して、取締役等の指揮命令を受けないものと
する。
③監査役の職務を補助する部署を総務部とする。監査役より監査業務に必要な命令を
受けた社員は、その命令に関して取締役等の指揮命令を受けないものとする。
(7)監査役への報告に関する体制
①取締役または使用人は、法定の事項に加え、当社に重大な影響を及ぼす事項やコ
ンプライアンス違反等の事実が生じた場合には、速やかに監査役に報告するものとす
る。
②監査役は、いつでも必要に応じて、取締役および使用人に対して報告を求めるこ
とができる。
③当社は、監査役に報告をした者に対して、その報告を行ったことを理由として不
利益な扱いを行うことを禁止し、これを周知徹底する。
(8)その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
①監査役は、重要な会議に出席するとともに、議事録が作成された場合は、その事務局
はこれを監査役に送付する。
②内部監査室の行う監査の結果とその改善状況は、監査役にも報告されるものとし、監
査役と内部監査室の間で定期的な情報交換を行う。
③監査役の職務の執行について生じる費用等を支弁するため、一定の予算を設ける。監
査役がその職務の執行につき、費用の前払い等を請求したときは、係る費用または債
務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、速やかに当該
費用または債務を処理する。
19
5.業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要
当社は、会社法及び会社法施行規則の改正に基づき、平成28年2月23日開催の取
締役会において、業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)の整備に関す
る決議を見直し、①取締役をはじめとする業務の執行者が法令や定款に適合する業務を
実施するための体制、②当社ならびにNHKグループにおける業務が適正に行われるこ
とを確保するための体制、③監査役による監査を実効性あるものとするための体制等の
整備を進めるとともに、平成27年度に内部監査室を設置し、経営や業務執行の監視・
監督機能を強化しています。
20