参考資料 ロシュ社が開発中の免疫チェックポイント阻害剤 atezolizumab

参考資料
2015 年 8 月 19 日
当参考資料は、F. ホフマン・ラ・ロシュが 2015 年 8 月 17 日(スイス現地時間)に発表し
た英文プレスリリースを、戦略的アライアンスを締結している中外製薬が翻訳版として、
報道関係者の皆様に提供させていただくものです。
従いまして、日本国内と状況が異なる場合があること、また、正式言語が英語であるため、
表現や内容につきましては英文リリースが優先されますことをご留意下さい。
英文プレスリリースは、下記 URL よりご参照下さい。
http://www.roche.com/media/store/releases/med-cor-2015-08-17.htm
Atezolizumab(RG7446)について
・国内では、非小細胞肺がんを対象とした第 II 相国際共同治験および第 III 相国際共同治
験、膀胱がんを対象とした第 III 相国際共同治験、腎細胞がんを対象とした第 III 相国際
共同治験に参加しています。
2015 年 8 月 17 日
バーゼル発
ロシュ社が開発中の免疫チェックポイント阻害剤 atezolizumab
(抗 PD-L1 抗体)が PD-L1 陽性の非小細胞肺がんを対象とした
第 II 相国際共同治験において腫瘍の縮小を示す
肺がんの適応においても atezolizumab の画期的治療薬指定のもとで、結果につ
いて FDA と協議予定
ロシュ社は本日、主要な大規模第 II 相国際共同治験である BIRCH 試験において、開発中の
免疫チェックポイント阻害剤である atezolizumab(MPDL3280A;抗 PD-L1 抗体)が、PDL1(Programmed Death-Ligand 1)陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)
患者さんの腫瘍を縮小し、主要評価項目(objective response rate;ORR)を達成したことを
発表しました。また本試験では、患者さんの PD-L1 発現量と抗腫瘍効果に、相関性があるこ
とを示しました。副作用は、これまでに行われた試験で観察されたものと同様でした。
ロシュ社の最高医学責任者兼国際開発責任者の Sandra Horning 博士は、「本試験期間中に
atezolizumab による効果が現れ、その効果が持続した患者さんの数に、我々は励まされまし
た。この事実は、すでに複数の治療歴がある患者さんにとって、特に意義のあるものです」
と述べるとともに、
「詳細な結果は今後開催される医学会で発表する予定であり、本剤をでき
るだけ早く患者さんへ届けるために、規制当局と本試験成績だけでなく他に行われた肺がん
の試験成績も含めて議論していきます」と語っています。
本年初めに、FDA は atezolizumab に対し、標準化学療法(白金製剤ベースの化学療法、EGFR
遺伝子変異陽性または ALK 陽性肺がんに対しては適切な分子標的療法)施行中または施行後に
病勢が進行した PD-L1 陽性 NSCLC 患者さんへの投与について画期的治療薬の指定を行いまし
た。本指定は、重篤または致命的な疾患や症状を治療する薬の開発および審査の促進を目的とし
て導入された制度です。ロシュは現在、早期~進行ステージの NSCLC 患者さんにおける新たな
治療薬として、atezolizumab 単剤もしくは他剤との併用における有用性を検証するために七つの
第 III 相臨床試験を実施しています。
BIRCH 試験について
BIRCH 試験は、多施設共同非盲検シングルアームの第 II 相国際共同治験であり、PD-L1 の発現
が認められた局所進行または転移性の NSCLC 患者さん 667 名を対象として atezolizumab の有
効性および安全性を検証した試験です。PD-L1 の発現については、腫瘍細胞(TC)および腫瘍浸
潤免疫細胞(IC)での発現の有無を、ロシュ社の診断薬部門が開発中の免疫組織化学染色法(IHC)
により判定を行いました。上記診断に基づき、IHC スコアが TC2/3 もしくは IC2/3 の患者さん
を PD-L1 陽性としました。本試験では、3 週間毎に atezolizumab 1,200mg の静脈内投与を行い、
主要評価項目である ORR の検討を行いました。また、副次的評価項目には、奏効期間(DoR)、
全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)と安全性が含まれていました。
非小細胞肺がんについて
肺がんは、世界中でがんによる死亡原因の第 1 位となっています。毎年、159 万人が肺がんで死
亡しており、これは世界中で毎日 4,350 人以上が死亡していることを意味しています。肺がんは
主に、NSCLC と小細胞肺がんの二つのタイプに分けることができます。NSCLC は最も患者さ
んの数が多く、全ての肺がんの中で 85%を占めています。
ロシュ社における肺がん領域について
肺がんは、ロシュ社が注力し資源を投入している主要な領域であり、この重篤な疾患に罹患して
いる患者さんを助けることができる新しい治療法、医薬品および診断薬を開発することにコミッ
トしています。我々の目標は、肺がんと診断されたすべての患者さんに有効な治療オプションを
提供することです。現在、我々は特定の種類の肺がんに対する三つの治療薬を有しており、また
我々は、肺がんにおいて最も一般的なドライバー遺伝子を標的とした薬剤または免疫システムを
増強することで治療する薬剤を 10 種類以上開発しています。
Atezolizumab について
Atezolizumab(抗 PD-L1 抗体/MPDL3280A)は、PD-L1 と呼ばれるタンパク質を阻害するよ
うに設計された開発中のモノクローナル抗体です。Atezolizumab は、TC および IC に発現して
いる PD-L1 を標的とし、T 細胞表面上の PD-1 および B7.1 との結合を阻害するように設計され
ています。Atezolizumab による PD-L1 阻害により、T 細胞が活性化されることで抗腫瘍効果を
発揮します。
全ての atezolizumab の試験において、TC および IC における PD-L1 の発現を測定するために、
診断薬として開発中の SP142 抗体を用いた IHC 診断による評価を行っています。バイオマー
カーとしての PD-L1 の検討目的は、atezolizumab 単剤もしくは他剤との併用治療により、最も
恩恵を受けることが可能な患者さんを特定することです。特定のタイプの肺がん、腎臓がん、乳
がんおよび膀胱がんを対象とした 11 の atezolizumab の第 III 相臨床試験が現在実施中もしくは
計画されています。
ロシュ社におけるがん免疫療法について
30 年以上にわたり、ロシュ社は、がん領域における治療法の刷新を目標として医薬品の開発を
行ってきました。今日、我々は個別化がん免疫療法(Personalized cancer immunotherapy;PCI)
の研究開発に一層の投資を行っています。PCI の目標は各個人の免疫システムを利用してがんを
攻撃するオーダーメイド医療を提供することです。ロシュ社の有するがん免疫療法の研究と開発
プログラムには 20 種類以上の研究段階の候補品があり、そのうち 7 種類で現在、臨床試験を行っ
ています。これら全ての試験で、それぞれの薬剤がどのような患者さんに適しているかを評価す
るために、バイオマーカーの検討も実施しています。
ロシュ社について
ロシュ社は、スイスのバーゼルに本社を置く医薬品ならびに診断薬事業の双方に強みを持つ研究
開発型の世界的ヘルスケア企業です。ロシュ社は、がん、感染症、免疫疾患、眼科ならびに中枢
神経系領域において他社と一線を画した薬剤を保有する世界最大のバイオテクノロジー企業で
す。さらに、ロシュ社は体外診断薬と、がんの組織学的診断における世界的リーダーであり、ま
た、糖尿病管理の先駆者です。ロシュ社では、パーソナライズド・ヘルスケア(PHC)戦略を駆
使し、患者さんの健康、QOL、延命を明確に改善する薬剤や診断薬の提供を目指しています。1896
年の創立以来、1 世紀以上にわたって世界の医療に多大な貢献を果たしてきており、世界保健機
関が策定した必須医薬品リストには、人の生命を救うための抗生物質、抗マラリア薬および化学
療法剤など、ロシュ社が創製した 29 の薬剤が記載されています。
2014 年、ロシュ社は世界各国に 88,500 人の社員を擁し、研究開発費に 89 億スイスフランの投
資をしています。ロシュ・グループの 2014 年の売上げは 475 億スイスフランでした。ジェネン
テック社(米国)は、100%子会社としてロシュ・グループのメンバーとなっています。また、ロ
シュ社は中外製薬(日本)の株式の過半数を保有する株主です。さらに詳しい情報は
www.roche.com をご覧下さい。
本プレスリリースに使用された商標等はすべて法律で保護されています。
追加情報
Roche in oncology:
www.roche.com/media/media_backgrounder/media_oncology.htm