日本における第1次分権改革後の地方分権改革の動き

アップ・ツー・デートな自治関係の動きに関する資料No.8
アップ・ツー・デートな自治関係の動きに関する資料
No.8
日本における第1次分権改革後の地方分権改革の動き
横道 清孝
政策研究大学院大学教授
財団法人 自治体国際化協会(CLAIR
財団法人 自治体国際化協会(
CLAIR)
政策研究大学院大学 比較地方自治研究センター(COSLOG
政策研究大学院大学 比較地方自治研究センター(
COSLOG)
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問い合わせ先
財団法人 自治体国際化協会(総務部企画調査課)
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序
(財)自治体国際化協会及び政策研究大学院大学では、平成 17 年度より「自治制度及び
運用実態情報海外紹介等支援事業」を実施しています。同事業は、現在、海外に対する我
が国の自治制度とその運用の実態に関する情報提供が必ずしも十分でないとの認識の下、
我が国の自治制度とその運用の実態に関する外国語による資料作成を行うとともに、国内
外の地方自治に関する文献・資料の収集などを行うものです。
平成22年度には、前年に引き続き、
『自治関係の主要な統計資料の英訳』、
『アップ・ツー・
デートな自治関係の動きに関する資料』、
『分野別自治制度及びその運用に関する説明資料』
『我が国の地方自治の成立・発展』の作成などを行うとともに、比較地方自治研究センタ
ーに収蔵すべき国内外の地方自治関係文献・資料の調査を行うこととしました。
本事業にご尽力頂いた研究委員会の委員各位、またご意見、ご協力頂いた方々に心より
感謝申し上げます。
平成 23 年 3 月
財団法人自治体国際化協会
理事長
木村
陽子
政策研究大学院大学
学長
八田
達夫
はしがき
本冊子は、平成 17 年度より、政策研究大学院大学比較地方自治研究センターが財団法人
自治体国際化協会と連携して実施している、日本の地方自治に関する研究・紹介事業にお
ける平成 22 年度の成果の一つをとりまとめたものです。
同事業の一環として、平成 17 年度より作成してきた『アップ・ツー・デートな自治関係
の動きに関する資料』では、地方自治に関する最新の動向についてのテーマを扱ってきま
した。地方分権改革の動向や市町村合併の進展など、我が国の地方自治における最新の問
題を取り上げ、平成 21 年度までに以下の 7 本の冊子を刊行致しました。
平成 18 年度
「日本における市町村合併の進展」
「最近における地方税財政改革(三位一体の改革)について」
平成 19 年度
「日本における道州制の導入論議」
「日本の地方分権改革 15 年の歩み」
平成 20 年度
「日本における最近のコミュニティ政策」
平成 21 年度
「日本における新しい広域政策」
「日本における新しい地方財政健全化制度」
本冊子「日本における第1次分権改革後の地方分権改革の動き」は、
『アップ・ツー・デ
ートな自治関係の動きに関する資料』の No.8 として、主査である横道清孝委員(政策研究
大学院大学教授)によって執筆されたものです。
日本においては、現在、2009 年の政権交代により誕生した民主党政権が、
「地域主権改革」
という名の下に、新しい地方分権改革に取り組んでいます。本稿では、2000 年から実施さ
れた第1次地方分権改革以降の地方分権に関する動きとともに、この新しい「地域主権改
革」の取り組みとその課題について紹介しています。
ご執筆いただいた横道委員をはじめ、貴重なご意見、ご助言をいただいた研究会の委員
各位に、心から感謝申し上げます。
平成 23 年 3 月
「自治制度及び運用実態情報海外紹介等支援事業に関する研究委員会」座長
政策研究大学院大学教授
井川
博
日本における第 1 次分権改革後の地方分権改革の動き
政策研究大学院大学教授
横道清孝
はじめに
2009 年 8 月に行われた衆議院議員総選挙において民主党が大勝し、自由民主党・公明党の
連立政権から、民主党を中心とする連立政権へと政権交代が行われた。自由民主党は、1993
年以来 16 年振りに政権を失い、民主党は初めて政権の座に就くことになり、2009 年 9 月鳩山
由紀夫民主党代表を首班とする鳩山内閣が発足した。
地方分権を進めていくという点においては、新しい民主党政権も前政権と変わりはない。し
かしながら、その新しいキーワードとして「地域主権改革」という言葉を掲げている。
本稿は、その新しい民主党政権の新しい地方分権政策(地域主権改革)を含め、日本におけ
る第 1 次分権改革後の地方分権改革の動きについて解説しようとするものである。
その構成は、以下のとおりである。
第 1 章では、第 1 次地方分権改革の成果と残された課題について述べる。
第 2 章では、残された課題に対応するために始められた第 2 次地方分権改革について述べる。
第 3 章では、マニフェスト等に基づき民主党の地方分権政策(地域主権改革)について述べ
る。
第 4 章では、新しい推進体制づくり等地域主権改革に向けた動きについて述べる。
第 5 章では、地域主権戦略の工程表を始め地域主権改革の内容について述べる。
第 6 章では、地域主権改革の今後の見通しとその課題について述べる。
1 第 1 次地方分権改革の成果と残された課題(注 1)
1.1 第 1 次地方分権改革の成果
第 1 次地方分権改革は、国と地方自治体の役割分担を明確し、地方自治体の自主性・自立性
を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを目指して行われた。1995 年 5
月に地方分権推進法が制定され、同年 7 月には同法に基づき地方分権推進委員会が発足した。
同委員会は地方分権を推進するための数次にわたる勧告を行った。それらの勧告を受けた国は、
地方分権推進計画を策定し、その集大成として、1999 年 7 月に地方分権一括法(地方分権の
推進を図るための関係法律の整備等に関する法律)が成立し、2000 年 4 月から施行された。
この第 1 次地方分権改革の主な内容は、次のとおりである。
(1) 国と地方の役割分担の明確化
地方自治体は、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うとされ
た。一方、国は、次のような役割を重点的に担うとされた。
(ア) 国際社会における国家としての存立にかかわる事務
(イ) 全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な
準則に関する事務
(ウ) 全国的な規模で又は全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業
(エ) その他の国が本来果たすべき役割
1
(2) 国機関委任事務制度の廃止
機関委任事務制度とは、地方自治体に国の事務を実施させるための制度である。その事
務を行う限りにおいて、地方自治体の長である知事・市町村長は国の出先機関として位置
付けられ、当該事務を所管する国の省庁の包括的な指揮監督の下に、当該事務を執行して
きた。機関委任事務制度は、これまでの中央集権型行政システムの中核に位置してきたも
のであり、都道府県が処理する事務の 7 割から 8 割、市町村が処理する事務の 3 割から 4
割を機関委任事務が占めていたとされる。
その機関委任事務制度が廃止されたことが、第 1 次地方分権改革の最も大きな成果であ
る。これに伴い、従来の機関委任事務は、国の直接執行事務とされたものや廃止されたも
のを除き、自治事務と法定受託事務という新たな事務区分に整理された。これらは、いず
れも地方自治体の事務である。観念的にではあるが、国から地方自治体へ大幅な事務移譲
が行われたことになる。地方自治体は、上下関係を前提とした国の各省庁の包括的指揮監
督の外に出て、法令の範囲内であれば、自主的な行政運営ができるようになったのである。
(3) 国国の行政的関与についての新たなルール設定
国の各省庁は、これまで地方自治体の行政運営に関して濃密な関与を行ってきた。機関
委任事務はそもそも国の事務であったため、その実施に当たって各省庁が通達等により細
かな指示を出すのは当然であるともいえたが、それ以外の地方自治体の事務についても、
各省庁は通知等によって細かな関与を行ってきた。
機関委任事務制度の廃止に伴い、従来国の各省庁が行ってきたこのような関与のあり方
について大幅な見直しが行われ、国(各省庁)と地方自治体の関係について新たなルール
が設定された。
新たなルールは、以下の 4 つの柱から成っている。
(ア) 国の関与の一般原則
国の行政機関が地方自治体に対して行う関与については、法定主義の原則、一般法主
義の原則及び公正・透明の原則という 3 つの原則に従うとされた。
(イ) 国の関与の基本類型
国の行政機関が地方自治体に対して行う関与の形態について、基本類型が定められた。
自治事務については、助言・勧告、資料の提出要求、協議及び是正の要求という 4 つ
の類型である。また、法定受託事務については、助言・勧告、資料の提出要求、協議、
同意、許可・認可・承認、指示及び代執行という 7 つの類型である。そして、これら
の形態以外の関与については、一定の場合に限定するか、できる限り行わないとされ
た。
(ウ) 国の関与の手続ルール
国の行政機関が地方自治体に対して関与を行う場合には、書面主義の原則、手続の公
正・透明性の確保及び事務処理の迅速性の確保が求められた。なお、これらのルール
は、一般私人に対する行政手続を定めた行政手続法(1993 年制定)が定めるルールに
準じたものといえる。
(エ) 国の関与に関する係争処理の仕組み
国の行政機関が行う関与に関する争いを処理するため、新たに国地方係争処理委員会
が設置された。地方自治体は、国の行政機関が行った関与に不服がある場合には、こ
の委員会に審査の申出をすることができるとされた。
2
(4) 権限移譲の推進
国から都道府県への権限移譲(民有林に係る保安林の指定・解除など)、都道府県から
市町村への権限移譲(犬の登録・鑑札の交付など)が進められた。また、市町村の規模に
応じて一括して権限を移譲するという観点から、人口 20 万以上の市にまとめて権限を移
譲する特例市の制度が設けられた。さらには、都道府県から市町村への権限移譲について、
地域の実情に応じた形で行うことができるよう条例による事務処理の特例制度も設けら
れた。
(5) 必置規制の見直し
必置規制とは、国が地方自治体に対して、特定の職や組織を必ず置かなければならない
と義務づけていることをいう。地方自治体の自主組織権を尊重する観点から、農業委員会
の農地主事の必置規制の廃止など、この必置規制の見直しが行われた。
(6) その他
地方分権改革に対応した地方行政体制の整備・確立を図るために、市町村合併の推進や
地方議会の活性化に向けた制度改正等が行われた。
以上のように、多方面にわたる改革が実現したが、その中心は、何といっても上記(2)
及び(3)に係る部分であった。すなわち、第 1 次地方分権改革というのは、機関委任事務
も含めて地方自治体が既に実施している事務について、国(各省庁)からの行政的関与を
廃止・削減し、地方自治体の行政運営の自由度を拡大しようとしたものであった。
1.2 第 1 次地方分権改革の残された課題
第 1 次地方分権改革をリードしてきた地方分権推進委員会は、その役割を終えるに当たって、
2001 年 6 月に「最終報告」をまとめた。
その最終報告は、地方分権改革の残された課題として以下の 6 項目を挙げている(注 2)。
(1) 地方財政秩序の再構築
地方財政秩序を分権型社会にふさわしい姿に再構築すること。地方自治体の財政運営の
自由度を高めるとともに、住民にとって受益と負担の関係が分かりやすい税財政構造に改
めること。
(2) 地方自治体の事務に対する法令による義務付け・枠付け等の緩和
地方自治体に対する国の個別法令による事務の義務付け、事務事業の執行方法や執行体
制に対する枠づけ等を大幅に緩和すること。
(3) 地方分権や市町村合併の推進を踏まえた新たな地方自治の仕組みに関する検討
都道府県及び市町村の 2 層制から成る現行制度を改める観点からなされている新たな
地方自治制度に関する様々な提言の当否について検討を深めること。
(4) 事務事業の移譲
「補完性の原理」を参考にしながら、市区町村、都道府県、国の相互間の事務事業の分
担関係を見直し、事務事業の移譲を更に推進すること。
(5) 制度規制の緩和と住民自治の拡充方策
住民自治の拡充方策として、地方自治体の組織形態に対する地方自治法等による画一的
な制度規制をどの程度まで緩和することが妥当なのか真剣に議論すること。
3
(6) 「地方自治の本旨」の具体化
憲法第 8 章第 92 条の「地方自治の本旨」の内容を具体化し、分権型社会の制度保障を
確固たるものにする方策を構想すること。
これらの課題は、いずれも地方分権を進めるための重要な事項であり、その後の地方分権改
革に向けた取り組みにおいて継承されていった。
1.3 地方分権改革推進会議
2001 年 7 月、地方分権推進委員会の後継組織として地方分権改革推進会議が発足した。
しかしながら、同会議は、地方財政制度のあり方をめぐって委員間に意見対立が生じるなど、
地方分権改革に対して影響力を持つことができないままで終わった。
2 第 2 次地方分権改革への動き
2.1 地方分権改革推進法の成立
第 2 次地方分権改革に向けた本格的な動きは、2006 年 12 月の地方分権改革推進法の成立か
ら始まった。同法は、地方分権推進法に基づき行われた地方分権推進の成果を踏まえ、さらに
地方分権改革を進めようとしたものである。
法全体のスキームは、地方分権推進法と同様である。すなわち、まず委員会を立ち上げ、そ
の委員会から地方分権改革に関する勧告を受け、その勧告を受けた政府が地方分権改革推進計
画を作成し、最終的には、新地方分権一括法の制定を目指すというものであった。ただし、地
方分権推進法の下では 5 年をかけて行った上記作業を、よりスピード感を持って行うとして、
3 年間の時限立法とされた。
2.2 地方分権改革推進委員会の発足
2007 年 4 月、地方分権改革推進法に基づく地方分権改革推進委員会(以下、この章では単
に「委員会」という)が発足した。同委員会は、まず、2007 年 5 月に、地方分権改革推進に
あたっての基本的な考え方として、以下のようなものを提示した(注 3)。
(1) 地方が主役の国づくり
・中央政府と対等・協力の関係にある地方政府の確立
・自治行政権のみならず自治財政権、自治立法権を有する完全自治体を目指す。
(2) 目指すべき方向性
・分権型社会への転換
・地方の活力を高め、強い地方を創出
・地方の税財政基盤の確立
・簡素で効率的な筋肉質の行財政システム
・自己決定・自己責任、受益と負担の明確化により地方を主役に
(3) 基本原則
・基礎自治体優先
・明快、簡素・効率
・自由と責任、自立と連帯
・受益と負担の明確化
・透明性の向上と住民本位
4
その後、地方分権改革推進委員会は、2008 年 5 月から翌 2009 年 11 月にかけて、4 回にわた
る勧告を政府に提出した。
2.3 地方分権改革推進委員会の勧告内容
2.3.1 第 1 次勧告
委員会は、2008 年 5 月に「第 1 次勧告〜生活者の視点に立つ「地方政府」の確立〜」を出
した。この勧告の柱は、
「重点行政分野の抜本的見直し」と「基礎自治体への権限移譲の推進」
の 2 つであった。
その概要は、以下のとおりである(注 4)。
(1) 重点行政分野の抜本的見直し
2 つの個別行政分野において、以下のような抜本的見直しを求めた。
(ア) くらしづくり分野
・保育所入所要件の見直し
・福祉施設の整備基準、公営住宅の整備基準は条例により決定できるように
・保健所長の資格要件の緩和
など
(イ) まちづくり分野
・都市計画に係る国の関与の廃止・縮小
・都道府県内で完結する一般国道、一級河川の都道府県移管
(2) 基礎自治体への権限移譲の推進
64 法律、359 の事務権限について、都道府県から市町村への移譲を求めた。
(主な例)
・宅地開発や商業施設等の開発行為の許可権限を市に移譲
・農地の転用許可権限(2ha まで)を市に移譲
・特別養護老人ホーム、保育所等の設置認可権限を市に移譲
・小中学校の教職員の任命権を中核市に移譲
・花火など火工品等の火薬類製造の許可権限を市町村に移譲
2.3.2 第 2 次勧告
委員会は、2008 年 12 月に「第 2 次勧告〜「地方政府」の確立に向けた地方の役割と自主
性の拡大〜」を出した。この勧告の柱は、「義務付け・枠付けの見直し」と「国の出先機関
の見直し」の 2 つであった。
その概要は、以下のとおりである(注 5)。
(1) 義務付け・枠付けの見直し
法制的な観点から、地方自治体の自主性を強化し自由度を拡大するために、義務付け・
枠付けの見直しを求めた。なお、「義務付け」とは、一定の課題に対処すべく地方自治体
に一定種類の活動を義務付けることをいい、「枠付け」とは、地方自治体の活動について
手続・判断基準等の枠付けを行うことをいうとされている。
(ア)見直しの方針
・見直しの対象
地方自治体の自治事務のうち、国の法令によって義務付け・枠付けをし、条例で自主的
に定める余地を認めていないものを対象とする(482 法律、約 1 万条項)。
5
・メルクマールの設定
存置を許容する場合等のメルクマール(判断基準)を設定し、それに該当しない条項は
見直しを行うべきとした。
・見直しの方法
見直しは、次のいずれかの方法で行い、その際、(ⅰ)から(ⅲ)の順序で見直すべき
とした。
(ⅰ)廃止(単なる奨励にとどめることを含む)
(ⅱ)全部の条例委任又は条例補正(「上書き」)の許容
(ⅲ)一部の条例委任又は条例補正(「上書き」)の許容
(イ) メルクマールによる判断
対象条項のうち、約 4000 条項はメルクマールに該当しないとした。
(ウ) 今後の進め方
・上記メルクマールに該当しない条項については見直しを行うべきとした。
・委員会として、第 3 次勧告に向けて具体的に講ずべき措置を調査審議するとした。
(2) 国の出先機関の見直し
国と地方の役割分担の見直し、「二重行政」の弊害の排除、国と地方を通じた行政の簡
素化・効率化等の観点から、国の出先機関の見直しを求めた。
(ア) 事務・権限の見直し
・見直しの対象
8 府省 15 系統の国の出先機関の事務・権限を対象とした(約 400 項目)
・見直しの方法
出先機関の事務を、①重複型、②分担型、③関与型、④国専担型を基本に分類し、そ
れぞれの類型ごとに仕分けの考え方を提示した。
・見直しの結果
上記考え方に基づき、116 項目の事務・権限について地方移譲等の見直しを行うべきと
した。
(イ) 組織の見直し
上記事務・権限の見直しに伴い、組織の見直しについて提案している。
・二重行政の弊害是正の観点から、次のような組織の見直しを行う。
・府省を超えた総合的な出先機関への統廃合
・同一府省における出先機関の統廃合
・府県単位機関のブロック単位機関への統廃合
・地域との連携やガバナンス確保のために、総合的な出先機関と地元自治体との協議機
関を設置する。
(ウ) 出先機関の人員削減
出先機関の改革により、3 万 5,000 人程度の出先機関職員の削減を目指すべきである
とした。
2.3.3 第 3 次勧告
委員会は、2009 年 10 月に「第 3 次勧告〜自治立法権の拡大による「地方政府」の実現へ〜」
を出した。この勧告の中心は「義務付け・枠付けの見直し」であったが、それに加えて「国と
6
地方の協議の場の法制化」なども求めていた。
その概要は、以下のとおりである(注 6)。
(1) 義務付け・枠付けの見直し
第 2 次勧告においてメルクマールに該当しないとされた約 4000 条項のうち、特に問題
のある以下の 3 つの重点事項(合計 892 条項)について、個別の条項ごとに具体的に講ず
べき見直し措置を提示した。
(ア) 地方自治体の施設・公物に対する国の設置管理基準
➝廃止又は条例への委任へ
(イ) 地方自治体の事務に対する国の関与(協議、同意、許可・認可・承認)
➝廃止又はより弱い形態の関与へ
(ウ) 計画の策定及びその手続の地方自治体への義務付け
➝廃止又は単なる奨励へ
(2) 地方自治関係法制の見直し
教育委員会及び農業委員会について、必置規制を見直して選択制にすることを求めた。
(3) 国と地方の協議の場の法制化
国と地方の協議の場の法制化を目指すべきであるとして、試案を示した。
2.3.4 第 4 次勧告
委員会は、2009 年 11 月に、最後の勧告として「第 4 次勧告〜自治財政権の強化による「地
方政府」の実現へ〜」を出した。この勧告は、地方自治体が分権型社会にふさわしい自治財政
権を確立するための諸課題について、当面の課題と中長期の課題の 2 つに区分した上で、それ
ぞれあるべき地方税財政制度の再構築に向けた提言を行っている。
その概要は、以下のとおりである(注 7)。
(1) 当面の課題
・地方交付税の総額の確保及び法定率の引上げ
・直轄事業負担金制度の改革
・地方自治体への事務・権限の移譲と必要な財源等の確保
・国庫補助負担金の一括交付金化
・自動車関係諸税の暫定税率の見直し
・国と地方の事実上の協議の開始
(2) 中長期の課題
・地方税制改革
・地方税の充実と望ましい地方税体系の構築
・課税自主権の拡充
・国庫補助負担金の整理
・地方交付税
・財政調整機能の充実
・財源保障機能の再検討
・地方自治体にとっての予見可能性・説明責任の向上
・地方債
・地方債発行に係る国の関与の見直し
7
・財政規律の確保
2.3.5 勧告のまとめ
委員会の勧告は、主として以下の 4 つについて行われた。
(1) 都道府県から市町村への権限移譲
(2) 地方自治体に対する義務付け・枠付けの緩和
(3) 国の出先機関の見直し
(4) 地方税財政制度の再構築
これらのうち、(1)、(2)及び(4)は、2001 年 6 月の地方分権推進委員会の「最終報告」にお
いて、地方分権改革の残された課題として指摘されていたものである。
それらの中で委員会が最も力を注いだのは、(2) の地方自治体に対する義務付け・枠付けの
緩和であった。第 2 次及び第 3 次と 2 回にわたって勧告を行い、膨大な作業を行った上で、892
の条項について個別の条項ごとに具体的に講ずべき措置を勧告した。
先に述べたように、第 1 次地方分権改革は、機関委任事務制度の廃止等により、国の行政機
関(各省庁)が行ってきた行政的関与の廃止・縮減を目指した。これに対して、第 2 次地方分
権改革は、義務付け・枠付けの緩和という形で、国の立法的関与の廃止・縮減を目指したので
ある。
地方自治体の自由度を拡大するためには、国(各省庁)からの行政的関与を減らすだけでは
不十分である。地方自治体は、国の法令(法律、政令及び省令)に従って行政を行っている。
もし国の法令により地方自治体が行う行政運営の方法等について細かく決められていれば、た
とえ国からの行政的関与が減ったとしても、地方自治体の自由度の拡大にはつながらない。そ
こで、国の法令による立法的関与を見直し、地方自治体に対する義務付け・枠付けを緩和する
ことにより、地方自治体の自由度を拡大しようとしたのである。
その次に重要な項目は、(1)の都道府県から市町村への権限移譲である。
「補完性の原理」の
考え方に基づけば、都道府県ではなく基礎自治体である市町村が処理したほうがよい事務がま
だ少なからずある。実際に、平成の大合併により市町村の規模が拡大する中で、多くの都道府
県おいて、多くの事務が「条例による事務処理特例制度」を活用して市町村に移譲されている
(注 8)
。このため、委員会は、個別・具体的な 64 法律、359 の事務権限について、都道府県か
ら市町村への移譲を求めた。
これに対して、(3)の国の出先機関の見直しに関する勧告は、その最終的な姿が不透明であ
る。特に、府省を超えた総合的な出先機関として、地域ブロック単位に「地方振興局(仮称)
」
と「地方工務局(仮称)」
(国の直轄公共事業実施を担当)という 2 つの組織を創設するとして
いるが、このような総合的な出先機関を創設することが、地方分権や国の行政改革につながる
のかという疑問がわく提言となっている。
また、(4)の地方税財政制度の再構築に関する勧告も、具体性を欠いている。特に、
「中長期
の課題」の部分は、勧告の時期が政権交代後となってしまったこともあって、議論の方向性を
提示しただけのものとなった。
2.4 勧告を受けた政府の対応
政府は、地方分権改革の推進を図るため、2007 年 5 月に、内閣総理大臣を本部長とし全閣
僚を本部員とする地方分権改革推進本部を設置した。
8
同本部は、2008 年 6 月には、第 1 次勧告を受けて「地方分権改革推進要綱(第 1 次)」を決
定し、第 1 次勧告を最大限に尊重し地方分権改革の推進に強力に取り組むとした。また、2009
年 3 月には、第 2 次勧告を受けて、出先機関改革に関する今後おおむね 3 年間の主な工程を示
す計画として「出先機関改革に係る工程表」を決定した。
しかしながら、関係する省庁側の抵抗は激しかった。2009 年 8 月時点でみると、第 1 次勧
告が求めた都道府県から市町村への移譲に関しては、「移譲可能」あるいは「移譲の方向で検
討」と答えたものは、わずかに 6 法律、22 事務にとどまった。また、義務付け・枠付けの緩
和についても、「要請どおり見直す」としたものはわずか 29 項目、「要請通りではないが何ら
かの見直しを行う」としたものを含めても 36 項目に過ぎなかった(注 9)。
その後、2009 年 9 月に政権交代が起こった。そのため、前政権時代の地方分権改革推進本
部は、地方分権改革推進計画の策定や新地方分権一括法案をまとめることなく廃止された。地
方分権改革は、新しい民主党政権の下で、新しい形で取り組まれることとなったのである。
3 民主党の地方分権政策
3.1 地方分権改革から地域主権改革へ
民主党は、従来から地方分権推進のための政治的スローガンとして、
「地方分権」ではなく
「地域主権」という言葉を用いてきた。これは、地域のことは地域が決めるべきであるという
思いを託した言葉である。このため、新政権における地方分権改革は、「地域主権改革」とい
う新しいスローガンの名の下に、新しい体制で進められていくことになった。
(注 10)
3.2 民主党の「マニフェスト 2009」
2009 年 8 月の衆議院選挙で用いられた民主党の「マニフェスト 2009」では、
「中央集権から、
地域主権へ」を政権構想の 5 原則の 1 つとして位置付けた。また、5 つの約束の 1 つとして「地
域主権」を掲げ、
「地域のことは、地域が決める。活気に満ちた地域社会をつくります。
」、
「「地
域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします。」としていた。
また、これを受けたマニフェストの政策各論では、地方分権改革に関して以下のように述べ
られていた。
(1) 霞が関を解体・再編し、地域主権を確立する
(ア) 政策目的
・明治維新以来続いた中央集権体制を抜本的に改め、「地域主権国家」へと転換する。
・中央政府は国レベルの仕事に専念し、国と地方自治体の関係を、上下・主従の関係から
対等・協力の関係へ改める。地方政府が地域の実情にあった行政サービスを提供できる
ようにする。
・地域の産業を再生し、雇用を拡大することによって地域を活性化する。
(イ) 具体策
・新たに設立する「行政刷新会議(仮称)」で全ての事務事業を整理し、基礎的自治体が
対応可能な事務事業の権限と財源を大幅に移譲する。
・国と地方の協議の場を法律に基づいて設置する。
・国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交
付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。
・「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が
9
不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する。
(2) 国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する
(ア) 政策目的
・国と地方の二重行政は排し、地方にできることは地方に委ねる。
・地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるように
する。
(イ) 具体策
・国の出先機関を原則廃止する。
・道路・河川・ダム等の全ての国直轄事業における負担金制度を廃止し、地方の約 1 兆
円の負担をなくす。それに伴う地方交付税の減額は行わない。
また、2009 年 7 月時点での民主党における政策論議の到達点をまとめた「民主党政策集
INDEX2009」では、地方分権改革に関し、上記マニフェストの内容に加えて、以下の事柄
についても触れられていた(注 11)。
・広域自治体については当分の間、現行の都道府県の枠組みを基本とする。
・法律や政省令による義務付け・枠付け等の見直し
・新たな地方財政調整・財源保障制度の創設
・住民投票による民意のくみ上げ
・住民自らによるガバナンス形態の決定
・自治体の監査機能の充実強化
これらをみると、民主党の地方分権政策(「地域主権改革」
)は、前政権よりも思い切った地
方分権を目指していることが分かる。法令による義務付け・枠付けの緩和や基礎自治体への権
限移譲など地方分権改革推進委員会の勧告と同様のものもあるが、補助金の一括交付金化や国
の出先機関の原則廃止など同委員会の勧告よりも踏み込んだ方針を示していた。
4.地域主権改革へ向けた動き
4.1 新たな推進体制
4.1.1 地域主権戦略会議の発足
2009 年 11 月、新政権は、閣議決定により、内閣総理大臣を議長とし関係閣僚及び有識者で
構成する「地域主権戦略会議」を設置した。これは、前政権が設けた地方分権改革推進本部に
代わるものであり、今後この地域主権戦略会議を中心に、地方分権改革(地域主権改革)が進
められていくことになった。
4.1.2 地方行財政検討会議の設置
2010 年 1 月、総務省は、総務大臣を議長とし、総務副大臣や有識者を構成員とする地方行
財政検討会議を設置した。これは、従来の地方制度調査会に代わる役割を果たす組織であり、
地域主権改革の重要な一環とされる地方自治法の抜本的な見直しについては、この地方行財政
検討会議でその検討が行われることとなった。
4.2 地方分権改革推進計画の決定
地域主権戦略会議は、2009 年 12 月に初会合を開き、そこでの議を経て、同月に地方分権改
革推進計画が閣議決定された。同計画は、地域主権改革の第一弾であるとされたが、その内容
10
は、以下のとおりである(注 12)。
(1) 義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大
地方分権改革推進委員会の第 3 次勧告を尊重して、地方自治体から要望のあった事項を
中心に、まず 63 項目(121 条項)について必要な法制上の措置を講ずるとした。
(2) 国と地方の協議の場の法制化
国と地方の協議の場については、法制化に向けて、地方とも協議・連携しつつ、成案を
得て法案を提出するとした。
(3) 今後の地域主権改革の推進体制
地域主権戦略会議について、内閣を助ける明確な権限と責任とを備えた体制とするため、
必要な法制上の措置を講ずるとした。
この地方分権改革推進計画は、地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえた義務付け・枠
付けの緩和が中心であり、前政権からの地方分権改革の流れを引き継いだ過渡的な計画で
あるといえる。ただし、新政権の地方分権改革にかける意気込みが反映される形で見直し
項目が増加している。
5.地域主権改革の目指すもの
5.1
地域主権戦略の工程表(原口プラン)
2009 年 12 月の地域主権戦略会議において、原口一博総務大臣(当時)が「地域主権戦略の
工程表(案)
」
(以下、この章では「工程表」という)を提出した。これが「原口プラン」と呼
ばれるものであり、民主党政権下での地方分権改革(地域主権改革)についての大きな見取り
図となっている。
「工程表」の概要は、以下のとおりである(注 13、図参照)。
まず、基本的なスタンスとして、次の 2 つの考え方を示した。
・地域主権の実現に向け、期限を限って集中的かつスピーディに取り組む。
・段階を区切り、明確な目標を設定して、戦略的かつ効果的に実現していく。
次に、そのプロセスを 2 段階に分けて、地域主権改革に関連した項目に対する取り組みを提
示している。
(1) 地域主権戦略フェーズⅠ(概ね 2010 年夏まで)
フェーズⅠにおける大方針として、推進体制を確立し、
「地域主権戦略大綱(仮称)」を
策定するとした。
各項目に対する主な取り組みついては、以下のとおりである。
(ア) 地域主権戦略会議
・地域主権戦略会議の法制化
(イ) 規制関連
・法令による地方自治体への義務付け・枠付けの見直しについて、地方分権改革推進委員
会の第 3 次勧告のうち地方分権改革推進計画に盛り込んだものを法制化する。また、同
勧告の残りの部分について大綱に計画として盛り込む。
・都道府県から市町村への権限移譲について、地方分権改革推進委員会第 1 次勧告の内容
を大綱に計画として盛り込む。
(ウ) 予算関連
・補助金を廃止して一括交付金化を図るための検討を行い、論点を整理した上で基本的考
11
え方を大綱に盛り込む。
・地方自主財源の充実強化
・直轄事業負担金のうち維持管理費分は、2010 年度から廃止する。
・緑の分権改革を推進する。
(エ) 法制関連
・地方自治法の抜本改正の検討を行う。その前倒し分について法案を提出する。
・自治体間連携の自発的な形成等
・国の出先機関改革について検討を行い、論点を整理した上で基本的考え方を大綱に
盛り込む。
・国と地方の協議の場の法制化
(2) 地域主権戦略フェーズⅡ(概ね 2010 年夏から 2013 年夏まで)
フェーズⅡにおける大方針として、大綱を通じて民主党がマニフェストで示した事項を
実現し、「地域主権推進基本法」を制定するとした。
各項目に対する主な取り組みついては、以下のとおりである。
(ア) 規制関連
・法令による地方自治体への義務付け・枠付けの見直しについて、残った事項の処理・法
制化を行う。
・都道府県から市町村への権限移譲を行う。
(イ) 予算関連
・補助金の一括交付金化を、2011 年度から段階的に実施していく。
・地方の自主財源の充実強化
・直轄事業負担金のうち建設費分について検討を行う。
・緑の分権改革を推進する。
(ウ) 法制関連
・地方自治法の抜本改正を行い、「地方政府基本法」を制定する。
・自治体間連携の自発的な形成等
・国の出先機関改革について、人員の地方移管、組織のあり方を含め検討を進める。
また、3 年後には関連改革を総レビューし、2013 年夏に「地域主権推進大綱(仮称)
」を策
定して更なる展開を図るとしていた(注 14)。
5.2 地域主権改革関連 2 法案と地方自治法改正案の提出
2010 年 3 月、工程表に基づき、内閣は地域主権改革関連の 2 つの法案と地方自治法改正案
を国会に提出した。
5.2.1 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案
この法案は、大きく 2 つの内容を含んでいる。1 つは、地域主権戦略会議の法制化、すなわ
ち、2009 年 11 月に閣議決定により設置された地域主権戦略会議を法律に基づくものとするこ
とである(内閣府設置法の改正)。もう 1 つは、2009 年 12 月に決定された地方分権改革推進
計画に基づき、地方自治体に対する義務付け・枠付けの見直しを行うことである(関係 41 法
律の改正)。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準や公営住宅の整備基準を地方自治体の
条例へ委任することなどがその主な内容となっている。
12
なお、この法案で重要なのは、「地域主権改革」について法的な定義を明らかにしたことで
ある。すなわち、「地域主権改革」とは「日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地
方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任
において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革」と定義した。
ここで「地域主権」ではなく「地域主権改革」という用語で定義したのは、「地域主権」と
いう言葉を政治的なスローガンとして用いるのはよいとしても、連邦国家ではない我が国にお
いて「地域主権」を法制的に定義することは困難であったためである。
5.2.2 国と地方の協議の場に関する法律案
この法案は、国と地方の協議の場を設置するための法案である。その概要は、以下のとおり
である。
(ア) 組織構成
・国側は、内閣官房長官、地域主権改革担当大臣、総務大臣、財務大臣、内閣総理大臣が
指定する国務大臣が議員となる。地方側は、地方六団体(全国知事会、全国市長会、全
国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会)の代表
が議員となる。臨時の議員を加えることもできる。内閣総理大臣は、いつでも出席し発
言できる。
・議長は、国側のメンバーの中から内閣総理大臣が指定する。副議長は、地方側のメンバ
ーが互選する。
・内閣総理大臣が招集し、毎年度一定回数開催する。
(イ) 協議
・協議の対象は、以下に掲げる事項のうち重要なものとする。
・国と地方自治体との役割分担に関する事項
・地方行政、地方財政、地方税制その他の地方自治に関する事項
・経済財政政策、社会保障に関する政策、教育に関する政策、社会資本整備に関する政
策その他の国の政策に関する事項のうち、地方自治に影響を及ぼすと考えられるもの
・議長は、分科会を開催し、特定の事項に関する調査・検討を行わせることができる。
・議長は、協議の場の終了後遅滞なく、協議の概要を記載した報告書を国会に提出する。
・協議が整った事項については、議員及び臨時の議員は協議結果を尊重しなければなら
ない。
5.2.3 地方自治法の一部を改正する法律案
この法案は、2009 年 6 月に出された第 29 次地方制度調査会の答申(注 15)も踏まえ、地方
自治体の組織及び運営において、その自由度の拡大を図ることを主眼とするものである。
その概要は、以下のとおりである。
・地方自治体議会の議員定数の法定上限の撤廃
・地方自治体議会の議決事件の範囲の拡大(法定受託事務に係る事件についても、条例で
議会の議決事件とすることができる)
・行政機関等(長の内部組織、委員会の事務局等)について、その共同設置ができるとす
ること
・特別地方公共団体のうち、全部事務組合、役場事務組合、地方開発事業団を廃止するこ
13
と
・地方分権改革推進計画に基づき、地方自治体に対する義務付けの撤廃すること
(市町村基本構想の策定義務、予算・決算の報告義務、条例の制定改廃の報告義務等)
・直接請求制度の改正(直接請求代表者の資格制限の創設等)
これら 3 法案は、いずれも 2010 年 3 月に第 174 回国会に提出されたが、同国会の会期末で
ある 2010 年 6 月までには成立せず、なお継続審議中となっている(2010 年 12 月現在)。
5.3 地域主権戦略大綱の制定
2010 年 6 月、工程表に基づき、内閣は「地域主権戦略大綱」を決定した。その概要は、
以下のとおりである(注 16)。
(1) 地域主権改革の全体像
・地域主権改革は、明治以来の中央集権体質から脱却し、この国のあり方を大きく転
換する改革である。
・地域主権改革は、「住民主体」の発想に基づいて推進されるものであり、「国民主
権」の内容を豊かにするものであり、
「依存と分配」の仕組みを「自立と創造」の
仕組みに転換していくものである。また、地域の住民が自らの地域を自らの責任
でつくっていくという「責任の改革」でもある。
・国のかたちについては、国と地方が対等なパートナーシップの関係にあることを踏
まえ、国が一方的に決めて地方に押し付けるのではなく、地域の自主的判断を尊重
しながら、国と地方が協働してつくっていく。
・「補完性の原理」に基づき、住民に身近な行政はできる限り地方自治体にゆだねる
ことを基本とする。特に、基礎自治体を重視し、基礎自治体を地域における行政の
中心的な役割を担うものと位置付ける。
・本大綱は、地域主権改革の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るた
め、当面講ずべき必要な法制上の措置その他の措置を定めるほか、今後おおむね
2〜3 年を見据えた改革の諸課題に関する取組方針を明らかにするものである。
・2012 年夏を目途に「地域主権推進大綱(仮称)
」を策定する。
(2) 地域主権改革の主な課題
地域主権改革の主な課題として、以下の 9 項目を上げている。
(ア) 義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大
・地方分権改革推進計画以降の第 2 次見直し分(308 項目、528 条項)について必要
な法制上その他の措置を講じる。
・今後も引き続き見直しを進める。
(イ) 基礎自治体への権限移譲
・地方分権改革推進委員会第 1 次勧告で示された事務のうち 68 項目(251 条項)につ
いて必要な法制上その他の措置を講じる。
・今後も継続的に基礎自治体への権限移譲を行っていく。
(ウ) 国の出先機関の原則廃止(抜本的な改革)
・「原則廃止」の姿勢の下、ゼロベースで見直す。
・国の出先機関の事務・権限については、原則地方自治体に移譲することとし、その
仕分け(事務・権限仕分け)を行う。
14
・各府省は、自らが所管する出先機関の事務・権限仕分け(自己仕分け)を行い、
2010 年 8 月末までに地域主権戦略会議に報告する。
・地域主権戦略会議は、各府省の仕分け内容を精査し、同会議としての事務・権限
仕分けを行う。
・上記の仕分け結果を踏まえ、個々の出先機関の事務・権限の地方移譲等の取扱方
針、その実現に向けた工程及び組織のあり方等について明らかにした「アクショ
ン・プラン(仮称)」を 2010 年内目途に策定する。
(エ) ひもつき補助金の一括交付金化
・一括交付金化する「ひもつき補助金」の対象範囲は、最大限広くとる。
・各府省の枠にとらわれずに使えるよう、できる限り大きいブロックに括る。ブロッ
クごとの使途は自由にする。
・配分については、国の関与をできる限り縮小する。また、現行の条件不利地域等に
配慮した仕組みを踏まえた配分とする。
・総額は、一括交付金の対象となる補助金・交付金等の必要額により設定する。
・投資に係る補助金・交付金等の一括交付金化は、2011 年度以降段階的に実施する。
経常に係る補助金・交付金等の一括交付金化は、2012 年度以降段階的に実施する。
・一括交付金の制度設計については、地域主権戦略会議を中心に関係府省と共に検討
し、予算編成過程を通じてその内容を決定する。また、国と地方の協議の場等にお
いて地方と協議する。
(オ) 地方税財源の充実確保
・地域主権改革の工程に沿って、地方税財源の充実確保を推進する。
(カ) 直轄事業負担金の廃止
・2013 年度までに、現行の直轄事業負担金制度の廃止とその後のあり方について結論
を得る。
(キ) 地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本見直し)
・総務省の地方行財政検討会議において検討を進め、成案が得られた事項から順次国
会に提出する。
・現時点における基本的な考え方は、以下のとおりである。
・法律で定める基本的な仕組みの中で選択肢を用意し、地域住民が自らの判断と責
任によって地方自治体の基本構造を選択する仕組みについて検討を進める。
・地方自治体の基本構造について、伝統的な解釈に沿った二元代表制を前提とし
つつ、地方自治法が一律に定める現行制度とは異なるどのような組織形態があ
り得るかを検討していく。
・議会のあり方について今後広く検討する。
・現行の監査委員・外部監査制度について、廃止を含め抜本的に再構築する。
・地方自治法の財務規定のあり方について、国の財務会計制度との整合性を踏まえ
つつ検討を進める。
(ク) 自治体間連携・道州制
・地方自治体間の連携等の形成に対する支援のあり方を検討していく。
・いわゆる「道州制」についての検討も射程に入れていく。
(ケ) 緑の分権改革の推進
15
・地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会の構築を目指し、緑の分権改革を推
進していく。
なお、大綱の決定と同日に、総務省が地方行財政検討会議における議論を踏まえて「地
方自治法抜本改正に向けての基本的考え方」をとりまとめた(注 17)。上記課題のうち(キ)
の地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本見直し)に関しては、そこに示された考え方
が反映されている。
6 地域主権改革の今後の見通しと課題
6.1 新しいエンジンによる地方分権改革の推進
2009 年 9 月の政権交代により、地方分権改革は新しいエンジンを獲得した。新政権は分権
改革に前政権よりも熱心であり、「地域主権改革」という新しい旗印の下に分権改革を進める
こととなった。その推進体制も一新され、中心となる組織が従来の地方分権改革推進委員会か
ら地域主権戦略会議へと移った。また、地方自治法の見直しを検討する組織も、従来の地方制
度調査会から地方行財政検討会議へと代わった。国と地方の協議の場が法制化されれば、これ
も分権改革を推進するための重要な組織となるであろう。
地方分権改革の見取り図となる「地域主権戦略の工程表」
(原口プラン)が作成され、それ
に基づく「地域主権戦略大綱」も決定された。
新しい旗印、新しい体制及び新しいプランの下で、地方分権改革が進められることになった
のである。このような新しい推進力を得た分権改革は、前政権の時代よりも進むことが期待さ
れる。
実際に、一部成果も出ている。義務付け・枠付けの見直しは「地方分権改革推進計画」に盛
り込まれたもの(第 1 次見直し)が 63 項目(121 条項)、第 2 次見直し分が 308 項目(528 条
項)であるが、政権交代がなければ、これほどの数にはならなかったと思われる。このことは、
大綱が示した基礎自治体への権限移譲の 68 項目についても同様である。また、
「地方分権改革
推進計画」を受けた地域主権改革関連 2 法案と地方自治体の自由度を拡大する地方自治法改正
案も国会に提出された。
しかしながら、上記 3 法案はまだ成立していない。これら法案が成立しなければ、分権改革
の推進体制は強力なものとならず、地方自治体の自由度も拡大しない。これら法案の早期成立
が望まれるところである。
また、新政権になっても、関係する省庁の抵抗は相変わらず強い。国の出先機関改革で「自
己仕分け」を求められた各府省からその回答がなされたが、地方への移譲を認めるとの回答は
全体の事務・権限の 1 割弱にとどまった(注 18)。分権改革を進めるためには、新政権におい
ても強力な政治的リーダーシップが必要とされている。
しかしながら、その政治は不安定である。沖縄の普天間基地移設問題や政治資金を巡る問題
で、鳩山内閣は 2010 年 6 月に 1 年も持たずに総辞職し、同じ民主党政権ではあるが、新たに
党代表となった管直人を首班とする管内閣が発足した。また、同年 7 月の参議院選挙で民主党
は大敗を喫し、衆議院は与党多数であるが参議院は与党少数という、いわゆる「ねじれ国会」
の状況となってしまった。その後、2010 年 9 月に管総理が内閣改造を行ったため、地域主権
改革の担当大臣も新たに任命された片山善博総務大臣へと代わった。
1 年のうちに、総理や担当大臣が代わり、国会も大きく変化してしまった。地方分権改革(地
域主権改革)がどこまで進むかは、新しい内閣の政治的リーダーシップにかかっているが、そ
16
れは容易な道ではないと思われる。
6.2 今後の地方分権改革(地域主権改革)の課題
今後の地方分権改革(地域主権改革)の課題は、「地域主権戦略の工程表」及び「地域主権
戦略大綱」で示されたことが果たしてどこまで実現できるかである。
まず、義務付け・枠付けの見直しについては、第 1 次見直しと第 2 次見直しと合わせて 649
条項の見直しを行った。しかしながら、地方分権改革推進委員会の第 3 次勧告では 892 条項の
見直しを求めており、なお引き続き見直し作業が必要である。さらに同委員会の第 2 次勧告に
対応しようとすれば、約 4000 条項の見直しが必要となる。これらをどのような形でどこまで
行うかは大きな課題である。
都道府県から市町村への権限移譲についても、68 項目 251 条項の見直しを行ったが、なお
同委員会の第 1 次勧告に掲げられた条項の半数近くが残されている。これらの見直しを進める
ことが課題となっている。
しかし、これらは既にある程度進んでおり、今後も進んでいくものと思われる。
問題は、国の出先機関改革と補助金の一括交付金化である。前者は、2010 年内に出先機関
改革のための「アクション・プラン」を策定するとしている。しかしながら、各府省の「自己
仕分け」では出先機関の事務・権限の約 1 割しか地方に移譲できないとされた。これは、大綱
で示した「国の出先機関の原則廃止」という方針とは大きく食い違う結果である。この結果を
受けて、地域主権戦略会議がどう対応するか、どこまで踏み込んだ「アクション・プラン」を
策定することができるかが大きな課題である。
後者は、投資に係る一括交付金化は 2011 年度から、経常に係る一括交付金化は、2012
年度から実施するとしている。この一括交付金の制度設計が大問題である。一括交付金と
は名ばかりで、実際には補助金と変わらないものとなってしまっては意味がない。一方で、
狙い通りの一括交付金ができた暁には、この一括交付金と地方交付税との関係が問題とな
ってくるであろう。
この 2 つは、民主党の「マニフェスト 2009」でも大きく掲げられていた。民主党政権の地
域主権改革の目玉として、その帰趨が注目される。
地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本見直し)については、選択制も含めて地方自治体
の自由度を高める方向での法改正を進めることになろうが、具体的な制度改正については、ま
だまだ議論を深めていく段階にあるように思われる。
【注】
1 第 1 次地方分権改革の内容と残された課題ついては、井川博『日本の地方分権改革 15 年の
歩み(アップ・ツー・デートな自治関係の動きに関する資料
No. 6)
』
(政策研究大学院大
学比較地方自治研究センター、2008 年)を参照されたい。
2
地方分権推進委員会「地方分権推進委員会最終報告―分権型社会の創造:その道筋」(2001
年 6 月 14 日)pp27―30 参照。
3
地方分権改革推進委員会「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方―地方が主役の
国づくり」(2007 年 5 月 30 日)pp1-3 参照。
4
同「第 1 次勧告〜生活者の視点に立つ「地方政府」の確立〜」(2008 年 5 月 28 日)参照。
17
5 同「第 2 次勧告〜「地方政府」の確立に向けた地方の役割と自主性の拡大〜」(2008 年 12
月 8 日)参照。
6 同「第 3 次勧告〜自治立法権の拡大による「地方政府」の実現へ〜」(2009 年 10 月 7 日)
参照。
7 同「第 4 次勧告〜自治財政権の強化による「地方政府」の実現へ〜」(2009 年 11 月 7 日)
参照。
8 「条例による事務処理特例制度」の活用状況については、 上記 4 の「第 1 次勧告〜生活
者の視点に立つ「地方政府」の確立〜」
(2008 年 5 月 28 日)の資料(「別紙 1 の参考」)を
参照。
9 時事通信「官庁速報(電子版)」
(2009 年 8 月 18 日)
10
民主党本部「民主党政権政策
Manifesto」
(2009 年 7 月 27 日)
11 民主党「民主党政策集 INDEX2009」
(2009 年 7 月 23 日)
12
「地方分権改革推進計画」(2009 年 12 月 15 日
閣議決定)
13 「地域主権戦略の工程表(案)[原口プラン]」
(2009 年 12 月 14 日第 1 回地域主権戦略会
議配布資料)
14
2010 年 3 月の第 2 回地域主権戦略会議に提出された工程表(修正版)では、地域主権推
進大綱の策定時期は、2012 年に前倒しされている。
15
第 29 次地方制度調査会「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」
(2009 年 6 月 16 日)
16
「地域主権戦略大綱」(2010 年 6 月 22 日 閣議決定)
17
地方行財政検討会議「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」(2010 年 6 月 22
日)
18
時事通信「官庁速報(電子版)
」(2010 年 9 月 7 日)
【参考文献】
上記【注】で引用したもののほか、以下のような文献がある。
・西尾
勝「地方分権改革」(東京大学出版会、2007 年)
・地方分権推進本部「スタート!地方分権」(2000 年 3 月)
18
地方分権改革(地域主権改革)の経緯
1995 年
5月
地方分権推進法成立
7月
地方分権推進委員会発足
1996 年
12 月
1997 年
7月
同
第 2 次勧告
9月
同
第 3 次勧告
10 月
同
第 4 次勧告
1998 年
1999 年
地方分権推進委員会第 1 次勧告
5月
「地方分権推進計画」閣議決定
11 月
地方分権推進委員会第 5 次勧告
3月
「第 2 次地方分権推進計画」閣議決定
7月
地方分権一括法成立
2000 年
4月
地方分権一括法施行
2001 年
6月
地方分権推進委員会最終報告
7月
地方分権改革推進会議発足
2004 年
5月
地方分権改革推進会議最終意見
2006 年
12 月
2007 年
4月
地方分権改革推進委員会発足
5月
地方分権改革推進本部設置
5月
地方分権改革推進委員会第 1 次勧告
6月
「地方分権改革推進要綱(第 1 次)
」
12 月
地方分権改革推進委員会第 2 次勧告
2008 年
2009 年
地方分権改革推進法成立
3月
「出先機関改革に係る工程表」
9月
鳩山内閣成立(民主党政権)
10 月
11 月
地方分権改革推進委員会第 3 次勧告
同
第 4 次勧告
地域主権戦略会議設置
12 月
2010 年
1月
「地方分権改革推進計画」閣議決定
地方行財政検討会議設置
「地域主権戦略の工程表(案)」(原口プラン)
3月
地域主権改革関連 2 法案、地方自治法改正案国会提出
6月
総務省「地方自治法抜本改正に向けての基本的考え方」
「地域主権戦略大綱」閣議決定
鳩山内閣退陣、管内閣成立
9月
第 2 次管内閣発足
19
〈規制〉関連
〈予算〉関連
〈法制〉関連
初会合
11/16
自治体間連携の自発的な形成等
基本的考え方の検討
法案
法制化実務検討Gでの検討
※行政刷新会議との役割
の調整
【総務省】前倒し実施分
【総務省】地方自治法の抜本改正の検討
随時開催
⇒ 「地方政府基本法」の制定へ
積極的推進(規制緩和等の支援、広報・啓発)
【関係府省】 建設費分の検討
更なる検討・具体化
事務・権限の見直し、一括交付金化、自治体間連携の自発的な形成等を踏ま
えた改革の検討(人員の地方移管、組織の在り方を含む。)
先行的・総合的に取り組む市町村による調査
ほか改革推進のための研究等
上
同
国・地方の協議の場
の法制化
出先機関改革
自治体間連携
(地方自治法の抜本見直し)
地方政府基本法の制定
クリーンエネルギー調査、
関連法案
【総務省】先行実証調査
(補正予算成立後速やかに)
(維持管理費は 22 年度から全廃)
【施行】
緑の分権改革の推進
地方分権改革推進計画
関係政務官WTでの検討
【関係府省】
基本的考
え方・論
点の整理
直轄事業負担金の廃止
24年度
積み残し分 + 2次勧告分を順次具体化
戦略大綱に沿った以下の取組み等の推進
関連法案
地方の自主財源の充実強化
予算化
23年度
随時会議開催
【施行】
地方税財源の充実確保
基本的考え方の検討
大綱中に計画を盛込み
一括交付金化
1次勧告を具体化
3次勧告残り分
【法律設置】
夏
22年度
【見直し期限】
夏
25年度 .....
フェーズ 2
「戦略大綱」を通じたマニフェスト事項の実現から「地域主権推進基本法」の制定へ
地域主権推進一括法案
(第2次)
(ひもつき補助金の廃止)
工程表(骨格)提示
3次勧告中
地方要望分
3月
地域主権推進一括法案(第1次)
(戦略会議の設置)
(義務付・枠付の見
直し)
基礎自治体への
権限移譲
戦略会議発足
11/17
随時会議
開催
21年度
地域主権戦略大綱
(仮称)
法令による自治体へ
の義務付け・枠付け
の見直し
地域主権戦略会議
12 月
フェーズ 1
推進体制の確立から「戦略大綱」の策定へ
地域主権戦略の工程表(案) 【原口プラン】
地域主権推進大綱
(仮称)
【施行】
法制化
第二回
索
*
引
下記の単語、句(表現)の記載箇所に関する表示の意味は、次の通りです。
○○○.
...
..11(7、8、表 5、19×3)との表示は、○○○の用語が 11 頁の 7 行目、
8 行目、表 5 にそれぞれ 1 箇所、19 行目に 3 個所あることを示しています。
なお、行数の数え方は、上段から空行、図表タイトル、図表、注記を含んでいません。
あ
一括交付金 .................................
15、16、17×2、19、23、25、27、28、31、32)、
12(11、13、28、30、31、33、34、35)、13(1、
2、5×3、7、12)、14(7、8、10、11、13、23、
7(27)、9(37、39)、10(22)、11(40)、12(20)、
26、27、28)、15(2、3、17、21)、16(1、7、
15(8、9、14、15、16、17)、17(14、20×2、
10、12、15、16、24、37、39)、17(2、3×3、
21×2、23×2)、20(表×2)
18、25)、18(14×2、16×2、20)、19(1、26、
上書き .............................. 6(8、9)
か
29、30、32)、20(表×7)
地域主権改革 ...............................
はしがき(19、21)、1(10、11、16、18、19、
機関委任事務制度 ... 2(1、2、5、8、19)、8(13)
20)、9(14、17)、10(20、24、29、34、38)、
義務付け・枠付けの見直し ...................
11(8、15、19、25)、12(30、31、33)、13(1、
5(28、31、32)、6(40)、7(3)、11(2、34)、12(16、
2、5、12)、14(10、11、13、23、27、28)、15(21)、
37)、14(29)、16(20)、17(5)、20(表)
16(7、10、24、37、39)、17(2、3、25)、19(1、
国地方係争処理委員会 .................. 1(39)
国と地方の協議の場 .........................
30)
地域主権型社会 ........................ 16(1)
7(15、16)、9(36)、11(5、6)、12(10)、13(8、
地域主権国家 .......................... 9(28)
9)、15(18)、16(13)
地域主権推進大綱(仮称) ...................
さ
12(28)、14(26)、18(16)、20(表)
地域主権戦略会議 ...........................
自治体間連携 ... 12(7、26)、15(38)、20(表×3)
10(26、28、29、37)、11(9、17、31、32)、12(34、
条例による事務処理特例制度 ..... 8(26)、18(7)
35)、15(2、3、17)、16(12)、17(18)、18(14、
た
第1次地方分権改革 .........................
はしがき(21)、1(14、21、22、23、29)、2(8)、
3(16、19、20)、8(13)、17(31)
16)、19(26)、20(表)
地域主権戦略大綱 ...........................
11(28)、14(7、8)、16(16)、17(3)、18(20)、
19(32)
地域主権戦略の工程表(案) .................
地域主権 ...................................
はしがき(19、21)、1(10、11×2、16、18、19、
11(17)、18(14)、19(29)、20(表)
地方行財政検討会議 .........................
20)、9(14、16、17、21×2、22、26、28)、10(20、
10(31、32、34)、15(26)、16(3、13)、18(21)、
24、26、28、29×2、34、37、38)、11(8、9、
19(28)
地方政府基本法 .............................
12(25)、15(25)、16(5)、17(27)、20(表×2)
地方分権 ...................................
地方分権推進委員会 .........................
1(25)、3(20)、4(7)、8(8)、17(34×2)、19(3、
4、5、6、7、9、13)
はしがき(7、12、16、20、21×2)、1(1、9、
地方分権推進計画 ........... 1(27)、19(8、10)
11、12、14、15、16、21、22、23、25×2、26、
地方分権推進法 .. 1(25)、4(13、15、17)、19(2)
27×3、29)、2(8)、3(13、16、19、20×2、22、
直轄事業負担金 .............................
30)、4(4×2、6、7×2、9、10、11、12×2、
13×2、14、15、16×2、17×2、20、21×2、
22)、5(1、3)、8(8、9、13、14、32、38、39)、
9(1、2、10、11×3、13、14、15×2、17、24)、
7(25)、12(3、22)、15(22、23)、20(表)
道州制 ............. はしがき(11)、15(38、40)
な
10(12、20×2、22、28、29、36、37)、11(3、
二元代表制 ........................... 15(31)
11×2、12、13、19、34、35、37)、12(36)、
二重行政 ................... 6(16、29)、10(4)
14(2、30、34)、16(8、9、11、15、17、20、
23、39)、17(2、3、6、31×2、34×2、36×2)、
18(13、26、27×2)、19(1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、
19、20、21、24、25、27)、20(表)
地方分権一括法 .............................
1(27)、4(17)、9(11)、19(11、12)
地方分権改革 ...............................
は
原口プラン .................................
11(16、18)、16(15)、18(14)、19(29)、20(表)
ひもつき補助金 ...... 9(37)、15(8、9)、20(表)
補完性の原理 ........... 3(34)、8(23)、14(20)
ま
はしがき(7、12、16、20、21)、1(1、11、12、
マニフェスト2009 ...... 9(19、20)、17(25)
14、21、22、23、29)、2(8)、3(13、16、19、
緑の分権改革 ...............................
20、22)、4(4、6、7、9、10、11、12×2、14、
16×2、20、21×2、22)、5(1、3)、8(9、13、
14、38、39)、9(1、2、10、11×2、14、17、
24)、10(12、22、28、29、37、38)、11(3、
11×2、12、13、19、34、35、37)、12(36)、
14(2、30、34)、16(8、9、11、15、17、20、
23、39)、17(2、3、6、31×2、36×2)、18(13、
26)、19(1、14、15、16、17、18、19、20、21、
24、25、27)、20(表)
地方分権改革推進会議 .... 4(6、7)、19(14、15)
地方分権改革推進計画 .......................
4(16)、9(11)、10(36、37)、11(11、35)、12(36)、
14(2、30)、16(20、24)、18(13)、19(27)、20(表)
地方分権改革推進法 .... 4(11、12、21)、19(16)
12(4、23)、15(41)、16(1)、20(表)