OC 0.概要 ・OCはCN、CS、CA、CRと同類で、催涙剤に分類される。暴徒鎮圧用 あるいは護身用スプレーとして使用されている。 ・一般名オレオレシンカプシカムで、トウガラシ抽出液である。主要成分はトウ ガラシの辛み成分のカプサイシン(結晶性アルカロイド)で、焼けるような味 がある。 ・ O C 5 ∼13% を 溶 剤 に 溶 か し 、 充 填 し た 製 品 が 日 本 に 輸 入 さ れ て い る こ と が 確 認されている。ペパーメイス(R)、ファーストディフェンス(R)、MK(R)シリー ズ、ガーディアン(R)などが知られ、口紅型、ペン型、ライター型、警棒型など 種々の形があり、容器に 「OC」と表示されているものもある。 ・暴露直後より、眼の灼熱感、疼痛、流涙が生じる。 密閉された場所で暴露されると、気管支痙攣、気管支肺炎、肺水腫などが出現 することがある。 ・特異的解毒剤・拮抗剤はないので、治療は対症的に行う。 通常、暴露場所を離れるだけで、治療を必要としない。 [毒 性 ] カプサイシン 刺激感受性は個人差が大きく、表皮角質層の厚さに依存する。 10( − 4 ) モ ル 以 下 の 濃 度 で 舌 に 焼 け る よ う な 感 覚 を 生 じ る 。 ヒ ト 鼻 粘 膜 に 75 μ gを 塗 布 す る と 、 灼 熱 感 、 く し ゃ み 、 鼻 汁 を 生 じる。 経 口 ヒ ト 推 定 致 死 量 :0.5-5g/kg [中 毒 学 的 薬 理 作 用] 皮膚・粘膜刺激作用 カプサイシンは脂溶性のフェノール類で、強い皮膚・粘膜刺激作用がある。 神経に作用してサブスタンスPを遊離し、神経の脱分極を引き起こして 血管拡張、平滑筋の興奮、知覚神経末端の活性化をもたらす。 化学物質による痛覚、温覚の閾値を高める。 [中 毒 症 状] 暴露後、直ちに眼の灼熱感、疼痛、流涙などが生じる。 高濃度では角膜剥離を引き起こすことがある。眼症状に加えて、鼻刺激感、 鼻漏、くしゃみ、咳、息切れ、喘鳴、呼吸困難、舌・口腔の灼熱感、嘔気、嘔 吐がみられることが多い。 密閉された場所で暴露されると、気管支痙攣、気管支肺炎、肺水腫などが出 現し、まれに死亡することもある。 皮膚に付くと、灼熱感、疼痛、紅斑が一般的にみられるが、水疱は伴わない。 長期暴露では水疱、皮疹を引き起こすことがある。 経口摂取すると、灼熱感が口腔内、食道、胃、腸など消化管全体に及び、 排便時には肛門の灼熱感もある。下痢がみられることもある。 [検 査 ] 呼吸器症状がある患者では、動脈血液ガスモニター、胸部X線検査、肺機能 検査を行う。 [治 療 ] ・呼吸循環管理 ・洗浄 眼暴露時:大量の水で洗浄する。 皮 膚 暴 露 時:O C は 温 水 に 溶 け や す い の で 、 刺 激 の 少 な い 石 け ん と 温 水 で 洗 浄する。 OCはアルコールにもよく溶けるので、十分洗浄できない場合、 損傷のない皮膚に対してはアルコールを少量用いるのもよい。 植物油や食酢に手を浸漬すると、疼痛の緩和は水よりも効果的。 ・特異的な解毒剤や拮抗剤はないので、対症療法を行う。 咳嗽などの軽度の呼吸器刺激症状のみがみられる患者は暴露場所を離れる だけで、通常、治療を必要としない。 以下の症状がみられる場合、酸素投与、その他の補助的治療を行う。 気管支痙攣、喘鳴:気管支拡張薬、β2刺激薬を使用。 肺炎・肺水腫対策 疼痛対策 [観 察 期 間 ま た は 治 療 終 了 時 期] 皮膚暴露の重篤例では、疼痛は長時間持続することがある。 症状が続く場合、1∼2日間観察する。 1.名称 O C( 略名) [一 般 名 ] オ レ オ レ シ ン カ プ シ カ ム Oleoresin Capsicum [ 化 学 名 ](E)-N-[(4-Hydroxy-3-methoxyphenyl)-methyl]-8-methyl-6nonenamide [ 別 名 ] カ プ サ イ シ ン Capsaicin trans-8-methyl-N-vanillyl-6-nonenamide pepper gas [ 構 造 式 ][図 ] [ 商 品 名 ] 護 身 用 ス プ レ ー : ペ パ ー メ イ ス ( R ) 、 フ ァ ー ス ト デ ィ フ ェ ン ス( R ) 、 ガ ー デ ィ ア ン(R)、MK(R)シ リ ー ズ [CAS No]404-86-4 1 、2 、 3 ) 2.分類コード 7-75-9101-980 OC 3.成分 ・組成 OC(カ プ サ イ シ ン)は ト ウ ガ ラ シ の 辛 み 成 分 で 、 結 晶 性 ア ル カ ロ イ ド 護 身 用 ス プ レ ー : 1 9 9 6 年 時 点 で 、 日 本 へ の 輸 入 が 確 認 さ れ て い る の は 、O C を 5∼ 13%含 む 商 品 で 、 ア セ ト ン 、 酢 酸 エ チ ル 、 メ チ ル ア ル コ ー ルなどの溶剤に溶かし、充填したもの。噴射剤には二酸化炭 素 、 L P G 、 ダ イ フ ロ ン1 3 4 a な ど が 使 用 さ れ て い る 。 4.製造会社及び連絡先 護身用スプレー: 輸 入 販 売:リ ス ク コ ン ト ロ ー ル 0424-80-1044 (株 ) 東 亜 セ キ ュ リ テ ィ 03-3205-8236 カギ屋・ロックサービス 0272-31-8986 等 多 数 製 造:米 国 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 台 湾 、 カ ナ ダ 、 ス イ ス 、 オ ー ス ト ラ リ ア 等 販 売:大 半 は 通 信 販 売 や 限 定 さ れ た 店 舗 で の 販 売 で あ る 。 5.性状 ・外観 焼けるような味 [溶 解 度 ]冷 水 に は ほ と ん ど 不 溶 、 ア ル コ ー ル 、 エ ー テ ル 、 ベ ン ゼ ン 、 ク ロ ロ ホ ルムによく溶ける。 二硫化炭素、濃塩酸にわずかに溶ける。石油エーテルに溶ける。 [分 子 式 ]C 18H 27N O 3 [融 点 ]65℃ [沸 点 ]210-220℃ [分 子 量 ]305.42 [オ ク タ ノ ー ル / 水 分 配 係 数 ]=LogKow=3.04 3、6) 護身用スプレー: 剤 形:口 紅 型 、 ペ ン 型 、 ラ イ タ ー 型 、 ピ ス ト ル 型 、 警 棒 型 な ど 種 々 の 形 が あ る 。 容 量 : 携 帯 用 に 2 0 ∼ 7 5 m L の 小 型 の も の が 多 い が 、 事 務 所 ・ 店 舗 用 に4 0 0 m L 、 520gと 大 型 の も の も あ る 。 表 示:容 器 に "OC"と 表 示 さ れ て い る も の も あ る が 、 日 本 で は 表 示 基 準 は 定められていない。 6.用途 化 学 兵 器 ( 催 涙 ガ ス ) 、 暴 徒 鎮 圧 ス プ レ ー ・ 護 身 用 ス プ レ ー 1 、 8 ) その他医薬品として、 カ プ サ イ シ ン ; 帯 状 疱 疹 後 に 生 ず る 疼 痛( 疱 疹 後 神 経 痛)の 緩 和 に 使 用 が 認 め ら れ て い る 。 4) ト ウ ガ ラ シ チ ン キ;局 所 刺 激 薬 と し て 、 筋 肉 痛 な ど に プ ラ ス タ ま た は 外用の液剤、軟膏などに配合して用いる。本品を そ の ま ま 用 い て は な ら な い 。 5) 7.法的規制事項 ジ ュ ネ ー ブ 議 定 書(1925年 )で 戦 争 使 用 の 禁 止 (日 本 は 1970年 批 准) 12) 暴 徒 鎮 圧 ス プ レ ー ・ 護 身 用 ス プ レ ー: な し 8.毒性 ・ 強 い 皮 膚 粘 膜 刺 激 作 用 1 ) ・カプサイシンの皮膚刺激感受性は個人差が大きく、表皮角質層の厚さに依存 す る 。 10) [中 毒 量 ] ・ ヒ ト 鼻 粘 膜 に カ プ サ イ シ ン 75 μ gを 塗 布 す る と 、 灼 熱 感 、 く し ゃ み 、 鼻 か ら 漿 粘 液 分 泌 を 生 じ る 。 1) ・10(-4)モ ル 以 下 の 濃 度 で 舌 に 灼 熱 感 を 生 じ る 。 1) [致 死 量 ] カ プ サ イ シ ン:ヒ ト 経 口 推 定 致 死 量:0.5-5g/kg 6) [動 物 急 性 毒 性] ・カプサイシン溶液をモルモット、ラットに数回局所適用または皮下投与する と、化学物質で引き起こされる痛みに対する局所的または全身知覚鈍麻をも たらし、麻酔イヌ、ネコ静脈内投与によって無呼吸、徐脈、血圧下降が現れる。 5) ・ ラ ッ ト 眼 に5 0 μ g / m L を 投 与 す る と 、 明 ら か な 疼 痛 と 眼 瞼 痙 攣 を 生 じ る 。 6 ) 経 口 マ ウ ス;LD50:47.2mg/kg 2) 腹 腔 内 ラ ッ ト ; L D 5 0 : 9 5 0 0 μ g / k g 痙 攣 、 痙 攣 閾 値 へ の 影 響 2 ) 腹 腔 内 マ ウ ス;LD50:6500μ g/kg 2) 腹 腔 内 モ ル モ ッ ト ; L D 5 0 : 1 1 0 0 μ g / k g 痙 攣 、 痙 攣 閾 値 へ の 影 響 2 ) モルモットはハムスター、ウサギに比べ、カプサイシンに対して 最も敏感。死因はおそらく呼吸麻痺。 静 注 ネ コ ;LCLo:1600μ g/kg 6) 2) 静 注 マ ウ ス;LD50:400μ g/kg 2) 皮 下 マ ウ ス;LD50:9000μ g/kg 痙 攣 、 痙 攣 閾 値 へ の 影 響 2) 経 皮 マ ウ ス;LD50:>512mg/kg 2) [そ の 他 の 毒 性] 発がん性:ヒ ト で の 発 が ん 性 は 現 在 論 議 の 対 象 と な っ て い る 。 ト ウ ガ ラ シ 摂取と口蓋・口峡の結合組織の肥厚を伴う前がん症状、口腔粘膜 線 維 症 は 強 い 相 関 性 が あ る 。 1) 催 腫 瘍 性 : 経 口 マ ウ ス ;3318mg/kg/5W-C:催 腫 瘍 性 あ り 2) 遺 伝 毒 性 :DNA阻 害 (腹 腔 内 マ ウ ス ):1800μ g/kg 2) 変 異 原 性:あ り 2) 妊 娠 に 対 す る 作 用 ; ラ ッ ト で 成 長 遅 延 、 交 配 ・ 妊 娠 数 の 減 少 1) (参 考 ) 治 療 量 : ト ウ ガ ラ シ ; 成 人 、 蠕 動 運 動 の 促 進 に 約60mg 1) 多 く の 熱 帯 の 国 々 の 成 人 は 食 品 と し て 約 3g/日 摂 取 し ている。 1) 許 容 濃 度:TLV-TWA:0.05ppm(約 0.32mg/m(3)) OSHA PEK-L-TWA一 過 性 限 界 値 : 0 . 0 5 p p m ( 約 0 . 3 m g / m ( 3 ) ) IDLH(生 命 に 直 ち に 危 険 ま た は 死 亡):100mg/m(3) 1) 9.中毒学的薬理作用 ・カプサイシンは脂溶性のフェノール類で、強い粘膜刺激作用がある。 1、7) ヒ ド ロ キ シ フ ェ ニ ル 基 、 特 に 水 酸 基 が 強 い 辛 味 の 原 因 と 考 え ら れ て い る 。10) ・神経に作用してサブスタンスPを遊離し、神経の脱分極を引き起こして血管 拡 張 、 平 滑 筋 の 興 奮 、 知 覚 神 経 末 端 の 活 性 化 を も た ら す 。 1 、 5 、 7 ) ・ 化 学 物 質 に よ る 痛 覚 、 温 覚 の 閾 値 を 高 め る 。 1、4、5) ・ 気 管 支 収 縮 作 用: カ プ サ イ シ ン は in vitroで ヒ ト 気 管 支 を 収 縮 さ せ る 。 7) 10.体内動態 ・ 吸 収 カ プ サ イ シ ン は ラ ッ ト 空 腸 か ら 非 能 動 輸 送 で 吸 収 さ れ る 。 1、5) カ プ サ イ シ ン の 85%が ラ ッ ト 消 化 管 か ら 3 時 間 以 内 に 吸 収 さ れ る 。 1) ・分布 ジ ヒ ド ロ カ プ サ イ シ ン は 肝 ミ ク ロ ゾ ー ム 蛋 白 と 非 可 逆 的 に 結 合 す る(エ ポ キ シ ド 代 謝 ) が 、 中 枢 神 経 系 に は 結 合 し な い 。 1) カ プ サ イ シ ン は 血 液 脳 関 門 を 通 過 す る 。 7) (代 謝 ) 主 に 肝 臓 の チ ト ク ロ ー ムP-450系 で 加 水 分 解 さ れ る 。 1、5) 11.中毒症状 ・皮膚粘膜刺激作用があり、眼、鼻、肺、皮膚に灼熱感が生じる。 ・経口摂取すると、灼熱感が口腔内、食道、胃、腸など消化管全体に及び、排便時には 肛 門 の 灼 熱 感 も あ る 。 下 痢 が み ら れ る こ と も あ る 。1、7、8) ・ O C ス プ レ ー 吸 入 後 、 重 篤 な 肺 損 傷 を 起 こ し た 例 や 死 亡 し た 例 も あ る 。 8 ) ( 1 ) 循 環 器 系 : ( 吸 入 ) 生 後 4 週 児 で 血 圧 低 下 、 心 拍 数1 7 0 が み ら れ た 。 9 ) (ラ ッ ト 、 注 射 ) 初 め 血 圧 低 下 、 一 過 性 に 血 圧 上 昇 、 つ い で 再 び 血 圧 低下が認められた(アドレナリン受容体またはコリン 受 容 体 い ず れ に 対 す る 処 置 も 無 効 で あ っ っ た)。1) (2)呼 吸 器 系:(吸 入 )灼 熱 感 、 肺 刺 激 、 咳 1) 息 切 れ 、 喘 鳴 、 呼 吸 困 難 1) 気 管 支 痙 攣 、 肺 水 腫 が 出 現 す る こ と が あ る 。 1、7) 生 後4週 児 で 無 呼 吸 が み ら れ た 。 9) (慢 性 吸 入 )慢 性 気 管 支 炎(気 管 支 拡 張 症 に な る こ と が あ る) 6) (3)神 経 系 : 疼 痛 刺 激 閾 値 の 増 大;種 々 の 化 学 的 疼 痛 刺 激 に 感 じ に く く な る 。 1) (4)消 化 器 系:嘔 気 、 嘔 吐 、 下 痢 、 肛 門 の 灼 熱 感 1、7) カプサイシン含有植物を噛むと、唇、舌、口腔粘膜に強い刺すような 痛みを引き起こす。上皮細胞の腐肉形成、または軽度の粘膜出血が 起 こ る こ と が あ る 。 1) (慢 性 )消 化 管 上 皮 の 損 傷 ・ 破 壊 、 粘 膜 表 面 は 軽 度 紅 斑 ∼ 浮 腫 、 微 小 出 血 を示す。 1) (7)そ の 他 : * 眼 : 眼 に 入 る と 、 刺 激 感 、 流 涙 、 刺 痛 、 結 膜 炎 、 紅 斑 、 角 膜 剥 離 1 ) ・OCス プ レ ー 暴 露 を 受 け た81名 中 、45名 (56%)は 眼 の 灼 熱 感 、36名 (44%)は 結 膜 の 充 血 、3 2 名 ( 4 0 % ) は 紅 斑 、 1 3 名 ( 1 6 % ) は 流 涙 、 7 名 ( 9 % ) は 角 膜 剥 離 を 生 じ た 。 1 ) ・ OC ス プ レ ー 暴 露 後 、 3 0 名 中 7 名 ( 2 3 % ) に フ ル オ レ ス セ イ ン 染 色 で 角 膜 剥 離 が 確 認された。 1) ( 動 物 ) 眼 瞼 痙 攣 、 疼 痛; 5 0 μ g / m L を 滴 下 し た ラ ッ ト 眼 で み ら れ た 。 1 ) マ ウ ス お よ び ラ ッ ト の 角 膜 に カ プ サ イ シ ン12.5、25、50mg/kgを 単 回 皮 下 注 時 、 角 膜 上 皮 の 神 経 軸 索 喪 失 を 特 徴 と す る 組 織 学 的 変 化 を 生 じ た 。 1 ) *皮 膚 :皮 膚 に 付 く と 、 灼 熱 感 、 疼 痛 、 紅 斑 が 一 般 的 に み ら れ る が 、 水 疱 は 伴 わ な い 。 (慢 性 ・ 長 期 暴 露) 水 疱 、 皮 疹 1) Hunan hands;ト ウ ガ ラ シ 加 工 労 働 者 に み ら れ る 手 の 皮 膚 炎 で、大半の症例は焼けるような感覚と軽度の紅 斑を示すのみで、通常、熱傷はみられない。 1) ・ カ プ サ イ シ ン 処 理 し た 皮 膚 は 発 赤 拡 張( 血 管 拡 張 ) 、 熱 感 受 性 が 低 下 す る 。 特 に 慢 性 暴 露 で は 損 傷 が 長 く 続 く こ と が あ る 。 1) *鼻 :鼻 刺 激 感 、 鼻 漏 、 疼 痛 1) *内 分 泌 :( 動 物 ) 低 血 糖 症 の 可 能 性 あ り 1) グ ル コ ー ス 濃 度 ・ 代 謝 に 関 す る ヒ ト で の デ ー タ は 明 ら か で は な い 。 1) *免 疫 :脱 感 作 ; カ プ サ イ シ ン75μ g 塗 布 に よ っ て 灼 熱 感 、 鼻 漏 に 脱 感 作 を 生 じ る が 、 4-5回 投 与 す る と こ れ ら の 作 用 は 完 全 に 消 失 す る 。 1) *血 液 :(慢 性 )血 小 板 凝 固 阻 害 1) トウガラシを毎日食べるタイの人々では、線維素融解性の増大、 血 液 凝 固 能 の 低 下 が み ら れ る 。 7) 12.治療法 1)除 染 ・ 直 ち に 眼 、 皮 膚 を 十 分 洗 浄 し 、 暴 露 部 位 の 疼 痛 軽 減 を 行 う 。 1 ) 眼 は 大 量 の 流 水 で 1 5 分 以 上 洗 浄 、 皮 膚 は 温 水 と 石 け ん で 数 回 洗 う 。 1 ) 2)治 療 ・呼吸・循環管理 *経 口 の 場 合 1) (1)基 本 的 処 置 A . 催 吐 : 通 常 、 不 要( 刺 激 性 が あ り 、 自 然 嘔 吐 、 下 痢 を 起 こ す こ と が あ る) 。 B.活 性 炭 投 与:但 し 、 有 効 性 は 明 ら か で な い C.下 剤 投 与 : 不 要 ( 蠕 動 運 動 を 引 き 起 こ す た め ) (2)対 症 的 治 療 ・必要に応じて対症療法を行う。 *吸 入 の 場 合 (1)基 本 的 処 置 1) ・ 新 鮮 な 空 気 の 下 に 移 動 ・呼吸不全をきたしていないかチェック (2)対 症 的 治 療 1) 1) ・必要に応じて気道確保、酸素投与等を行う。 ・全身症状の出現について注意深く観察し、必要に応じて対症療法を行う。 ・咳; 麻 薬 、 局 所 麻 酔 薬 で 軽 減 さ れ る 可 能 性 が あ る 。 コ デ イ ン ; 6 0 m g 、 デ キ ス ト ロ メ ト ル フ ァ ン; 3 0 m g ・気道抵抗の増大;抗コリン薬で拮抗できる。 ・ 粉 末 を 大 量 吸 入 し 、 重 症 の 場 合; 気 管 内 挿 管 を 行 い 、 洗 浄 や 吸 引 を 行 う 。 11) *眼 に 入 っ た 場 合 (1)基 本 的 処 置 1) ・ 直 ち に 大 量 の 流 水 で15 分 以 上 洗 眼 す る 。 眼はこすらない。 (2)対 症 的 治 療 ・刺激感、疼痛、腫脹、流涙、羞明が続く場合は、眼科的診察が必要。 1) ・ 疼 痛 コ ン ト ロ ー ル の た め に 局 所 麻 酔 薬 が 必 要 と な る こ と も あ る 。 7 ) カ プ サ イ シ ン 50μ g/L に 暴 露 し た 動 物 の 眼 を 局 所 麻 酔 薬 で 治 療 す る と 、 疼 痛 は 軽 減 し た が 紅 斑 は 変 わ ら な か っ た 。 1) *皮 膚 に つ い た 場 合 (1)基 本 的 処 置 1) ・カプサイシンは冷水よりも温水に溶けやすいので、刺激の少ない石けんと 温水で暴露部位を数回洗う。 ・カプサイシンはアルコールにもよく溶けるので、十分洗浄できない場合、 損傷のない皮膚に対しては少量のアルコールを用いるのもよい。 ・冷水洗浄は勧められるが、緩解が長続きしない。 (2)対 症 的 治 療 ・ 食 酢 洗 浄 ・ 浸 漬 (5%酢 酸 水 溶 液): 1、10、11) 皮 膚 (特 に 手) の 刺 激 が 緩 解 す る 。 手 を 30 分 以 上 浸 す 。 重 篤 例 で は 数 時 間 の 浸 漬 が 必 要 と な る こ と が あ る 。 10) ・ 植 物 油 浸 漬: 1 、 1 1 ) 冷たい水道水に浸すと疼痛は速やかに軽減されるが、植物油浸漬 で は 疼 痛 の 軽 減 が 長 く 持 続 す る 。 1) ・ 局 所 麻 酔 薬: リ ド カ イ ン ゼ リ ー が 有 効 と の 報 告 が あ る 。 1 、 1 1 ) リ ド カ イ ン ・ プ リ ロ カ イ ン エ マ ル ジ ョ ン 塗 布 後 約1 時 間 で 疼 痛 が 軽 減 さ れ た 。 1) 13.中毒症例 生 後4 週 男 児 護 身 用 ス プ レ ー (OC5%)を 誤 っ て 顔 に 噴 射 さ れ た 直 後 よ り 、 あ え ぎ 呼 吸 、 鼻 血 、 低 血 圧 、 無 呼 吸 、 チ ア ノ ー ゼ と な っ た 。2 0 分 後 来 院 し 、 気 管 内 挿 管 し 酸 素 投 与 を行った。喘鳴、胸部X線検査で両肺実質の浸潤を認め、肺ガス交換能は悪化、 大量の気道分泌、貧血、血尿、一過性の高カリウム血症を示した。 ECMO( extracorporeal membrane oxygenation)を 1 3 8 時 間 実 施 後 、 肺 症 状 は 改 善 し 、 自 発 呼 吸 が 安 定 し た 。 9) 14.分析法 1) 検 出 法 GC/HPLC 6) 15.その他 未ファイル [参 考 資 料 ] 1 ) P OISINDEX:PLANTS-CAPSAICIN:VOL.93,1 9 9 7 2)NIOSH:Registry Toxic Effects of Chemical Substance,VOL.33,1997 3)Martha Windholz et al:The Merck Index,11th edition,Merck & Co.,1989 4 ) グ ッ ド マ ン ・ ギ ル マ ン 薬 理 書( 下 ) , 第 8 版 , 廣 川 書 店 , 1 9 9 0 5)日 本 公 定 書 協 会:第 13 改 正 日 本 薬 局 方 解 説 書 , 廣 川 書 店,1996 6)Hazardous Substance Data Bank:CAPSAICIN,VOL.33,1997 7)Tominack,R.L. & Spyker,D.A.:Clin.Toxicol.,25(7):591-601,1987 8 ) M a t t h e w J . E . & D o n a l d G.B.:Medical Toxicology,2nd edition,Elsevier,1997 9)Wiley,J. et al:Clin.Toxicol.,33:475-486(Abstracts 86),1995 10)Vogl,T.P.:N.Engl.J.Med.,306(3):178,1982 11)内 藤 裕 史:中 外 医 薬 ,VOL.49(3):103-104,1996 12)宮 田 親 平:毒 ガ ス と 科 学 者- 化 学 兵 器 は い か に 造 ら れ た か,光 人 社 ,1991 IDO41300 16.作成日 200004
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