第 11 回

第 11 回
2010 年
関西学院大学
2/7,A 方式
社会
法 人間福祉
◆解答◆
A.d,e,i
B.(1)一 b (2)一 c (3)-d (4)-a(5)一 c (6)一d (7)一 b (8)一a
C.電動自転車産業がバッテリーにかかるコストを下げ,その技術をテス
トし,市場にそれを出す手助けができれば,それは2輪以上の電動自動車
のさらなる開発へとつながっていくかもしれない。
◆全訳◆
≪電動自転車の現状と展望≫
ここ 30 年にわたって中国で変化してきたあらゆるものの中で,交通は最もはっきりした
形で変化したもののひとつである。かつて自転車であふれていた街の通りは,今や自動車
でいっぱいになっている。交差点や高速道路は車で麻痺している。車から出る排気ガスは
空を曇らせ,クラクションの音がそこら中で響いている。しかし,交通渋滞を抜けて迅速
に移動することがもうひとつの交通革命の最も重要なことであり,その革命とはガソリン
を全く使わず,排気ガスを全く出さず,歩行者を驚かすほど静かな乗り物のことである。
中国では,電動自転車が自動車をはるかに凌駕している。昨年,940 万台の車に比べ,2100
万台の電動自転車が売れた。中国国内には現在,およそ 2500 万台の車があるが,電動自転
車はその4倍である。政府が奨励策を出し,また人々も仕事場へは2輪で通うのに慣れて
いたため,中国は低価格で,環境に優しい乗り物の世界一の市場となっており,中国の自
動車ブームがもたらす有害な影響のいくつかを補う手助けとなっている。実際,世界中の
技術者たちが競い合って環境に優しいコンセントに差し込めるタイプの電動自動車を作っ
ているが,中国はすでにこれをリードしている。中国の現状は未来像の鍵となるものであ
る。
目下のところ,未来はゆっくりとしたペースで動いている。政府の規制により,電動自転
車の最高速度はおよそ時速 12 マイルに制限されている。しかし,生産者はますます大型の
機械を作っており,そのスピード調節器は簡単に取りはずせるようになっている。電動ブ
ーストのついたペダルで発電する機械を基本とする電動自転車は北京や上海のような都市
でよく見られるものだが,もっと重いモーターをもぢ,最高速度が時速 30 マイルくらいに
なる電動スクーターが人気を呼んでいる。
昨年,世界で売られている 2300 万台の電動自転車のおよそ 90%が中国で購入された。
専門家によると,電動自転車を歓迎しそうな次なる地域は,ガソリンで動くスクーターが
人気の東南アジアと,給料が上がって何億もの人々が個々に乗り物を手に入れ始めたイン
ドである。日本では,数年にわたり毎年約 30 万台が安定して売れており,自転車熱の高い
オランダでは,電動自転車の売り上げが急激に増え始めている。アメリカ合衆国では,自
転車は移動手段というより娯楽のために使われることがいまだに圧倒的であるが,電動自
転車の売り上げは今年 20 万台を突破すると予想されている。しかし,これは中国の売り上
げのおよそ1%に過ぎない。
電動自転車は中国で必ずしも人気のあるものではなかった。初期のものは今のものより
ずっと遅かったし,1回の燃料補給で移動できる距離も限られており,1年もしないうち
にバッテリーはだめになった。現在では,完全に充電した状態でおよそ 60 マイルも移動で
き,1日動くには十分過ぎるほどだ。しかしながら,バッテリーは依然弱点のままである。
大部分の電動自転車は鉛酸蓄電池で動くが,毎日の通勤に使われることがますます求めら
れるには不似合いな,1世紀も前の粗末な技術である。バッテリーが鍵を握る制限因子な
のだ。鉛酸蓄電池が改良される一方,電動自転車はより広汎なリチウムイオン電池の市場
を作り出すだろう。これはより新しくて軽い技術で,この発展が電気自動車の未来を決め
る鍵となる。電動自転車産業がバッテリーにかかるコストを下げ,その技術をテストし,
市場にそれを出す手助けができれば,それは2輪以上の電動自動車のさらなる開発へとつ
ながっていくかもしれない。