ドイツ連邦食料・農業省プレス公告 Bundesministerium für Ernährung und Landwirtschaft NO 11 NO 11 2014・3・15 1 2014年度ドイツ連邦食料・農業省の予算草案を閣議決定 ー将来的に強固な農業ー食料政策のための路線を定めるー 連邦食料・農業省の財政(個別プラン 10)に関して、2014 年の予算は 53 億 1 000 万ユーロ(約 7 434 億円)計画されている。連邦閣議は、2014 年 3 月 12 日に 2014 年度連邦予算案を決定した。 農業社会福祉政策 個別プラン10の根幹部分は、総額 36 億 8 000 万ユーロ(約 5 152 億円)の 予算を伴なった、農業社会福祉政策である。農業社会福祉政策は、農業におけ る構造改革推進のための社会福祉政策に、役立つものである。この政策は、福 祉を守る際に、自立した農業者の特別な利害配慮のための基礎を創り出す。農 業健康保険に関して、2014 年と 2015 年に総額 6 200 万ユーロ(約 86 億 8 000 万円)の追加した補助金額を認可した。これは、健康基金に対して減少しつつ ある連邦補助金を、補充するものである。この財源無しには、農業者が唯一の 職能集団として存在し得ない。高額の健康保険組合の負担金によって、各州の 財政安定のために独自に寄与する。 健康上の消費者保護と栄養 このために、連邦農業省の財政に 1 億ユーロ(約 140 億円)が、査定された。 重点は連邦リスク評価研究所への支出と並んで、健康と栄養のテーマについ ての消費者へ情報提供、透明な商品表示そして食料残さの回避である。連邦消 費者センター連盟と、商品テスト基金への補助金約 1 490 万ユーロ(約 20 億 8 600 万円)は、今後、経済的、法的な消費者保護を担っている連邦司法・消費 者保護省(BMJV)の個別プランに計上される。 -1- 共同課題・農業構造と海岸保全の改善(GAK) この共同課題は、過去 2 年間において 6 億ユーロ(約 840 億円)を、効率的 に提供した。連邦農業省は、この奨励でもって競争力を持ち、将来的に社会的 要請に適応した農―林業、活力ある農村地域並びに海岸保全改善のために、重 要な貢献を果たす。この財源でもって各州の洪水防護のために、大きな貢献を し、有機農法と環境のための多くのさらなる政策を奨励する。 持続性、研究と革新 これは、高い位置価値をもっている。4 つの資源研究施設を含めて、総額約 5 億 1 000 万ユーロ(約 714 億円)の支出を計画している。主要な目的は、持続 的な農業生産、気象ー資源保護、食料の安全性、家畜の幸せそして健全な栄養 である。 国際政策 連邦農業省の国際政策は、さらに強化された。これには、5 900 万ユーロ(約 82 億 6 000 万円)が計上された。食料と農業分野での 2 国間の共同活動は、新興 工業国ー発展途上国の、飢餓と栄養不足に対する闘いを奨励している(EU-食 料・農業組織 FAOt と共に)。これへの参画はでもって連邦農業省は、世帯規 模でのあらゆる人々のために、食料に権利実現のために貢献する。特に重要な パートナー国の1つである中国との共同活動は、補充財源によってさらに強化 される。 外国貿易関係改善のために、2010 年以来実施されているプログラムは、さら に 300 万ユーロ(約 4 億 2 000 万円)でもって継続される。ここで優先される 小ー中規模経営が、利益を得るために働く場の創設と、確保のための新しい販 売市場の開拓と現状の確保に役立つ。 -2- 2014年度連邦食料・農業省財政草案 基本的な支出分野 目 的 設 定(要約) 2014 2013 農業社会福祉政策 内訳ー高齢者保険 ー事故保険 ー農地引き渡し年金 ー健康保険 100 万 € 100 万 € 100 万 € % 3680.0 3662.0 18.0 0.5 2 147.0 2 142.0 5.0 0.2 125.0 150.0 -25.0 -16.7 30.0 34.0 -4.0 -11.8 42.0 3.2 1 347.0 ー補完的な高齢者年金 2013/2014 対比 1 305.0 29.0 29.0 0.0 0.0 99.6 110.0 -10.4 -9.5 0.0 9.4 -9.4 -100.0 0.0 5.5 -5.5 -100.0 ー消費者情報 16.8 25.0 -8.2 -32.8 ー連邦リスク評価研究所 79.2 66.7 12.5 18.8 0.0 0.0 健康上の消費者保護政策 内訳ー連邦消費者センター連盟 ー商品検査基金 共同課題 農業構造と海岸保全の改善 600.0 持続性、研究そして革新 600.0 184.4 178.8 5.6 3.2 16.0 14.0 2.0 14.3 ー有機農業/持続的な農業 17.0 17.0 0.0 0.0 ー再生可能な原料 60.0 60.0 0.0 0.0 2.5 2.0 0.5 25.0 59.1 60.2 -1.1 -1.8 3.0 3.0 0.0 0.0 ー 2ケ国間国間の技術共同活動 12.3 10.0 2.3 22.7 ー FAO との共同活動 13.9 13.5 0.4 2.6 ー国際組織の負担金 29.0 32.8 -3.8 -11.6 -23.0 -25.0 2.0 -8.0 連邦省 96.7 93.2 3.6 3.8 所管分野 487.8 465.8 22.0 4.7 81.9 80.5 1.5 1.8 119.6 109.9 9.7 8.8 ーマックス ルーバー研究所 49.4 47.9 1.6 3.3 ーヨハン ハインリッヒ チュウネン研究所 73.0 77.1 -4.1 -5.4 ー連邦消費者保護局 35.7 33.1 2.6 8.0 ー連邦品種局 24.5 21.5 3.0 13.9 103.7 95.9 7.8 8.1 135.5 134.2 1.3 1.0 5 310.2 5 269.2 41.0 0.8 内訳ーモデル・デモンストレーション計画 ー世界食料のための共同研究 国際政策 内訳ー対外貿易関連の強化 相対的な支出削減 内訳ーユリウスキューン研究所 ーフリードリッヒ ローフェル研究所 ー連邦農業・食料局 その他 個別プラン 合計 -3- 各分野の予算配分率 政 策 分 野 予 算 額 割 合 ユーロ % 1 農業社会福祉政策 36 億 8 000m 万 69.0 2 共同課題:農業構造と海岸保全の改善 6億 11.0 3 持続性、研究、革新 1 億 8 440 万 3.0 4 消費者政策 9 960 万 2.0 5 国際政策 5 910 万 1.0 6 億 8 710 万 13.0 6 その他の政策 ・市場管理 2 830 万 ・省庁、研究所経費 5 億 8 380 万 ・その他 5 960 万 2 今週の数字:連邦農業省は、2カ国間信託基金のために国連食料ー農業組 織 ( FAO)とももに、830万ユーロ(約11億6 200万円)を 支出している。 この基金でもって、世界規模での飢餓と栄養不足克服のため投資される。こ れには、特に土地と他の自然資源の取り扱いのために、自主的な指針のような 世界的な規準が属している。これは、2012 年に FAO で世界食料委員会の分野 で決定された。ドイツ連邦農業省は信託基金で 2002 以来、1 億 200 万ユーロ 約 142 億 8 000 万円)で支援している。資金の大きな部分は、政府と民間団体 が支援するプロジェクトに投入されている。 それは、食料確保と低栄養ー栄養不足に対する独自の戦略を、発展させるプ ロジェクトである。信託基金の投資は、特に国連の発展目標の達成に向けて、 連邦政府の任意の負担金である。このプロジェクトは、FAOと共同で計画さ れ、そして連邦政府のアフリカ―構想と調整して構成されている。包括的な課 題上の計画と並んで、アフガニスタン、アフリカ諸国地域的な重点課題にも参 画する。 -4- 3 ドイツの森林現況はさらに改善されている ー 2013 年度森林現況調査:カシワ、ブナ、トウヒが回復ー ドイツにおける森林の現況は、2013 年にさらに改善されている。これは、連 邦食糧・農業省が月曜日にベルリンで公表した、最近の森林現況調査の結果で ある。カシワ、ブナそしてトウヒは、樹木の「健全さ」の改善が確認された。 しかし、最も強い「損傷」は、依然としてカシワにみられる。一方、カシワ の現況は昨年最も大きく改善された。この森林現況調査でもって、毎年ドイツ の森林を調査している。 森林現況の指標としての「樹冠」の評価が、林務官庁に役立っている。針葉 樹と広葉樹の全樹種の「健全さ」の差異は、「樹冠劣化」として示され、そし て数段階にランクづけされる。 「樹冠損傷」段階2,3,4は、カテゴリー「明 らかな樹冠損傷」に分類される。それは、25%以上の樹冠損傷に相当する。 11~25%の損傷は、「警告段階」である。損傷ゼロは、樹冠劣化 10%までの全樹 木を包括している。 全体的に樹木の樹冠に対して、損傷の無いのは森林面積の 38%である。樹木 の 39%は軽い損傷を示しており、そして明らかな樹冠損傷の樹木割合は、2012 年の 25%から 23%に減少した。ドイツに多く植生している樹木種に関して、 個々の進展は以下のとおりである。 トウヒ:「明らかな損傷」の割合は、24%で 2012 年対比で 3%改善されている。 警告段階にあるのは、38%(2012 年:35%)、損傷なしは 38%で変化なかった。 「中位の樹冠損傷」は、19.3%から 18.8%に減少した。 マツ:「明らかな樹冠劣化」の割合は、11%と変化無かった。 「警告段階」は 42% (2012 年:39%)である。損傷無しは 47%であった(2012 年 50%)。中位の樹 冠劣化は、14.5%から 15.1%に増加した。それにも拘わらず、マツの現況は他 の樹種よりも良好である。 ブナ:ブナの回復が続いている。勿論、2011 年から 2012 年のような、同じ 割合ではない。「明らかな樹冠損傷」の割合は、38%から 35%とさらに減少し た。「警告段階」にあるのは、42%である(2012 年:40%)。 -5- 。中 「樹冠の劣化無し」の割合は、23%で殆ど変化なかった(2012 年:22%) 位の樹冠劣化は、24.3%から 23.7%に低下した。 カシワ:カシワは明らかな損傷割合が、50%から 42%に減少した。「警告段 階」にあるのは、39%である(2012 年:33%)。劣化無しは 19%であった(2012 年:17%)。中位の樹冠劣化は 27%で、同時に 2012 年の 29.4%を、明らかに下 回っている。カシワはこの改善にも拘わらず、我々の森林の中で最も強く劣化 している樹種である。これは特に、様々な蝶の幼虫による食害に起因して弱体 化し、そして新しい芽のうどんこ病への罹病が続く。 ドイツの国土の約 1/3 が、森林に覆われている(約 1 110 万 ha)。この国で多 い樹種は、針葉樹のトウヒ(28%)、マツ(24%)、それに続くのが広葉樹のブ ナ(15%)とカシワ(10%)である。この4樹種全部で、森林面積の約 3/4 を 占めている。森林の現況は、様々な要因の影響が相互に強かったり、弱かった りすることで、大きく変動する。これには、樹齢と個々の樹種の素質、現在の そして過去の管理、現地の要因そして被害を及ぼす生物の出現、大気汚染物質 の被害などが含まれる。気象変動の規模とスピードによって、森林の余分なリ スクが生じている。 森林現況調査の背景: 森林現況は、1984 年から各州がネットワークシステムを通じて、7 月と 8 月 に無作為抽出調査を実施する。森林現況の指標として、樹冠状況が用いられて いる。調査されたデータは、各州からチューネン森林生態系システム研究所に 伝達され、そこで連邦農業省の委託に基づいて分析・評価する。この定期的な 抽出調査によって、樹冠状況の変化を把握し、リスク評価がされる。この情報 は、森林保護のための林業ー環境政策上の決定に係る重要な基礎である。 表ー1 損 傷 段 階 劣 化 損傷段階の定義 割 合 名 0 0-10 % 1 11-25 警告段階(弱い樹冠劣化) 2 26-60 中位の強い樹冠劣化 3 61-99 強い樹冠劣化 4 100 樹冠損傷無し 枯死 -6- 称 表ー2 年 全樹種 樹種毎の中位の強い樹冠劣化の割合(単位・%) トウヒ マツ ブナ カシワ 他の針葉 他の広葉 樹種 樹種 1984 18.9 21.3 18.0 17.0 15.9 22.2 9.9 1985 17.7 20.0 16.5 15.2 17.5 24.3 10.3 1986 18.1 19.7 16.6 16.6 19.2 25.2 11.9 1987 17.7 17.2 17.2 20.1 19.2 21.7 12.1 1988 16.8 16.9 16.6 17.2 18.8 19.6 12.0 1989 17.2 17.6 16.1 17.0 20.9 19.5 13.3 1990 18.3 18.1 17.6 20.3 19.8 20.1 16.1 1991 21.1 19.9 22.8 20.7 23.4 20.4 19.0 1992 21.2 20.8 19.7 24.8 22.8 20.6 21.4 1993 19.7 20.0 17.0 22.9 25.4 21.8 17.5 1994 20.4 20.6 19.0 21.7 26.7 22.0 17.5 1995 19.2 19.1 16.6 23.9 25.0 21.3 16.2 1996 18.4 17.8 15.8 22.0 28.0 20.3 16.1 1997 18.8 18.7 16.2 22.7 28.2 18.8 15.8 1998 18.3 19.4 15.0 22.0 24.9 18.8 15.1 1999 18.6 19.0 15.9 23.2 26.2 18.4 14.7 2000 19.3 19.7 16.6 25.6 24.4 18.7 14.5 2001 18.8 20.1 16.4 22.8 24.0 18.1 13.5 2002 19.1 20.2 16.9 22.3 22.5 18.9 15.8 2003 19.9 20.8 17.5 22.7 25.4 19.9 17.6 2004 22.8 23.6 18.5 30.5 28.5 21.0 19.7 2005 21.5 21.8 18.6 27.0 28.1 19.8 18.2 2006 21.0 19.7 18.7 27.7 26.6 19.9 18.2 2007 20.7 20.8 17.8 25.6 28.0 20.4 17.8 2008 20.4 20.8 18.9 22.0 28.3 22.2 16.5 2009 19.7 19.4 15.8 27.0 26.5 19.7 14.9 2010 19.1 18.7 16.0 23.3 29.6 17.6 15.5 2011 20.4 19.1 15.6 30.4 26.3 18.8 16.7 2012 19.2 19.3 14.5 24.3 29.4 18.7 15.7 2013 18.8 18.8 15.1 23.7 27.0 17.3 15.6 -7- 表ー3 全樹種の損傷段階割合(森林面積に対する%)の進展(単位・%) 年 樹冠劣化無し 警告段階 明らかな樹冠劣化 全樹齢 60 年まで 60 年以上 1984 44 33 23 データなし データなし 1985 42 34 24 〃 〃 1986 39 38 23 〃 〃 1987 41 38 21 10 29 1988 42 40 18 6 25 1989 40 41 19 7 27 1990 38 39 23 13 32 1991 32 38 30 19 38 1992 29 42 29 16 40 1993 34 42 24 10 35 1994 31 43 26 13 34 1995 36 41 23 9 33 1996 39 39 22 8 31 1997 37 41 22 7 32 1998 38 41 21 5 32 1999 37 41 22 7 32 2000 35 42 23 7 34 2001 36 42 22 7 33 2002 35 44 21 7 32 2003 31 46 23 8 33 2004 28 41 31 13 44 2005 29 42 29 11 41 2006 32 40 28 12 41 2007 30 45 25 12 36 2008 31 43 26 11 37 2009 36 37 27 8 37 2010 38 39 23 7 33 2011 37 35 28 10 38 2012 39 36 25 9 34 2013 38 39 23 9 31 2014・3・18 青森中央学院大学 中川 一徹 -8- 訳
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