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キヤノンユーザーリポート
No.429
三機工業株式会社
お客様プロファイル
CFD シミュレーションの 3D 結果を現実
空間に表現。表現力の高いプレゼンテー
ションを実現
社
三機工業株式会社 技術研究所建築設備開発部では、他社に先駆け
設
て CFD(数値 流 体力学)シミュレーションを導入し、空調や熱交 換
U
住
名:三機工業株式会社
R
L:www.sanki.co.jp/
所:東 京 都 中 央 区 明 石 町 8 番
1号
立:1925 年 4 月 22 日
職 員 数:連結:2,309 名
個別:1,926 名
等の高品質な設備設計を実現してきた。しかし高度な CFD シミュレー
ションの 3D 結果も、2 次 元のモニター上では、多面的な理 解を 促
進するような表現は難しく、それ故、お客 様との意思疎 通に時間が
かかったり、資料作成や修正に忙殺されるなど業務も非効率だった。
従 来 手法による手詰まり感を打破したのが、MREAL が生み出す複
合現実 感 (Mixed Reality:MR) の活用だった。使いなれた CFD ソフ
トウェアに最適化された専用プラグインを使用することで、操作性に
優れ、表現力と説得力に富む、体感型 3 次元シミュレーションを実
(2016 年 3 月 31 日現在)
三機工業グループは、「エンジニアリングを
つうじて快適環境を創造し広く社会の発展
に貢献する」を経営理念とし、高度なエン
ジニアリング力を活かして社会インフラのさ
まざまな分野で活躍しています。
主な事業
ビル空調衛生事業、産業空調事業、電
気事業、スマートビルソリューション事業、
ファシリティシステム事業、機械システム
事業、環境システム事業、不動産事業、
技術研究所
現した。
お客様が実現できたこと
目には見えない空気の流れや温度分布を、現実空
間の中で見える化することができた。
実感を伴う理解が加わり、発注者様との的確な意思
疎通とスピーディな決断が実現できた。
空調システム設計の手戻り処理を減らし、新たな発
想にもつながった。
お客様の声
お客様のご要望
空調設計に欠かせない CFD(数値流体力学)シミュレー
ションの結果をリアルに見える化したい
空調設計の専門知識が無い方とも、十分な意思疎通を
行い、的確な結論を導きたい
CFD シミュレーションの表現力を高め、施工後の設計変
更を無くしたい
技術研究所建築設備開発部
建 築 設 備2グル ープ マネージャー
福森 幹太 様
「見 え る 化 を さ ら に 推 進
できた」
「当社では多様な
『 見える化』
を積
極 的に推 進しており、
MRへの取
組みもその一環です。
施 工 前に設 備のモックアップ
を作るのもアイディアの可視化で
導入前の課題と背景
3次元のCFDを2次元で表示しては意味がない
以前から CFD に積極的に取り組んでいたと伺いました
「私が所属する建築設備開発部は、弊社における技術革新の要としてさまざ
まな開発・研究に取り組んでおり、CFD も約 28 年前に導入しました。た
とえば古い空調システムのリノベーションを行う場合、現状と改修後の効果
すが、
それにはまず、
CFDシミュレー
予想を要求される場合があります。ターゲットコストで空調が機能すること
ションによるアイディアの 裏 付け
を証明したり、逆にお客様のご予算では空調仕様が満たせない場合には、
が欠かせません。
代替案で効果が発揮できることを、CFD を使って提案することが重要です。
施 工 現 場の特 性を反映し、場
合によっては施 工 現 場で実 施す
しかしせっかくのシミュレーションの 3D 結果をモニターや印刷物という 2
るMRによるCFDシミュレーション
次元では、3 次元の空 気の動きなど表現するには限界があります。また、
は、見える化をさらに進 化させまし
専門知識をお持ちでない方にご理解いただくためには膨大な資料が必要な
た」
ど、業務も非効率です。しかし課題を打破するような解決策が見当たらなかっ
たのです」
導入の必然性
VRやARも検討しMRという結論に到達
以前から仮想現実の活用に取組んでいらっしゃったそうですね
「最近流行の 3DPDF や AR、VR ゴーグルを用いて、360°カメラで撮影
した設備機器周りの静止画や動画の確認などしています。それ自体は面白い
のですが、観察者の立ち位置は固定なので、さまざまなポジションや角度か
ら検証するには不十分ですし、用途を考えなくてはなりません。キヤノンか
ら MREAL がリリースされたことを知ったのは 5 年前のリリース発表の時で、
さっそく体験させてもらいました。キヤノン製複合機の動きを 3D にしたデ
モを見せてもらったのですが、その動きに複合機から出る熱の動きも加えら
れたら、つまり、MREAL を使って熱の動きの CFD シミュレーション結果
を 3D 映像で重ねたら面白いと閃いたのです。MREAL に大きな可能性が
あると直感した瞬間でした」
運用の工夫
に体感してもらうためのモデルルームとして活用してい
専用プラグインが操作性を向上
ます。事務所を想定したもの、病室で 4 床室を再現し
たもの、食品工場向けの空調組み込み型ベルトコンベア、
お使いの CFD シミュレーションは MREAL とスムーズ
データセンターのサーバールーム、車両試験室など、さ
につながりましたか
まざまなシーンでの空調シミュレーションをご覧いただ
「当初は MREAL と既に互 換性のある汎用ポストプロ
けます。
セッサで描画・表示させることを考えましたが、それで
通常の VR のように背景となる部屋のディテールまで
は新たに操作方法を習得する必要があります。またシス
3D-CG にしてしまうと、現実感が失われることがある
テムも複雑になり、アップデートも煩雑になります。そ
のですが、MREAL が得意とする位置合わせ技術により、
こで、当社が使用している CFD ソフトウェアの標準ポ
実際の室内映像とシミュレーション結果を合成すればよ
ストプロセッサに最適化された専用プラグインをキヤノ
り臨場感のあるイメージを体験者に伝えられます。
ン IT ソリューションズで構築してもらいました。
マーカーカーペットを導入したのは、弊 社の支 社 支
②計算実行「ソルバー」
結果ファイル
専用プラグイン
①モデル条件「プリプロセッサ」
計算ファイル
MREAL
③画面表示「ポストプロセッサ」
店の他、展示会や施工現場など体感スタジオの外でも
MREAL を活用したいからです。展示会にて当社の設備
等を再現する際は、以前のように空調設備を用意する
必要は無く、体験型とすることで来場者の注目を集める
展示が手軽に設営できます」
このプラグインにより、担当者は従来と同じ作業手順
で、MREAL に CFD シミュレーションの結果を取り込
む事が可能になりました。MREAL の装置起動と同時に
CFD ポストプロセッサを操作するだけで、温度や圧力分
布、空調気流の流れ、パーティクルといった複雑で立体的
な 3D 動画を再現することができるようになったのです」
表示クオリティはいかがでしたか
体 感 スタジ オ
「 空 調 の 温 度 分 布や 気 流 な ど を 3D で 解 析する の が
CFD シミュレーション で す から、特 定 の 断 面 はもち
体験者の反応はいかがでしたか
ろん、3D の奥行き感も極めて重要です。その点でも
「みなさん『こんな風に空気は流れているのか』と驚かれ
MREAL のクオリティは非常に高いと感じています。プ
ます。3D-CG を見慣れた方々でも、自分の立ち位置や
ラグインも良くできていて、使い慣れたポストプロセッ
視点、方向を自由に変えながら、空気の流れやパーティク
サが保有するすべての機能が駆使でき、高品質な複合
ルの移動軌跡を追うことで、新たな発見があるようです。
現実が生成されるのでありがたいです。
体験者が CFD シミュレーションの理解を深めること
ご覧になったお客様からも非常に好評です。驚かれる
ができることから、MREAL はお客様との意思疎通を
ことはもちろん、AR や VR をよくご存じのお客様にも
改革する効果もあります。たとえば、病室の空調設備
この違いを体感できたと評価されます」
を検討する場合、看護師長さんの直感的なご意見は極
めて重要です。設備設計等の専門的知識をお持ちでな
取り組みの成果
体感スタジオでオフィスや病室を再現
体感スタジオはどのように活用されていますか
「具体的には、弊社技術研究所にいらっしゃったお客様
くとも、ベッドや患者さんのイメージに合成された空気
の流れを、その病室内に身を置いて確認できますので、
的確な判断とスピーディな決定を引き出すことができま
す。お客様とのコミュニケーションもスムーズになるの
で、受注にもつなげたいと思っています。」
将来の展望
めばたくさん燃えるのか、水蓄熱槽内の温度成層はどう
なっているのかなど、MREAL で見てみたいですね。
BIMにも活用を広げたい
また、CFD シミュレーション以外にも設備系の BIM
今後の展望についてお聞かせください。
(Building Information Modeling)との組み合わせも
「温度、気流、圧力、湿度など、空調検討に必要なシミュ
進めています。今後、MREAL の事例が数多く公開さ
レーションを更に拡大したいと考えています。例えば、
れるようになれば、他にも新たな活用アイディアが生ま
人間が入れない焼却炉の中でどのように空気を送り込
れてくるだろうと期待しています。」
お客様の業務フロー
病室の空調検討の事例
MREAL体験者が見ている映像
現実世界
実際の病室(病院のモックアップ)
複合現実世界
実写風景にシミュレーション結果(CG)が
合成された映像が、視線の方向や立ち位置
に連動して表示される
MREAL体験者
リアルタイムに合成
仮想世界
空調気流のシミュレーション結果
ベッドに寝ている人に空調の風が直接あた
らないことが直感的に理解できる
MR(Mixed Reality)システム「MREAL」
(エムリアル)
MR(Mixed Reality)とは現実世界と仮想世界を融合させる映像技術です。コンピュータグラフィックス(CG)の
みで表現されるヴァーチャルリアリティから一歩進んだ、複合現実の世界。キヤノンの映像技術が、新たな視覚世界
を生み出します
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