暖地産リンゴの果実成熟の特徴 福島県農業総合センター果樹研究所 1 栽培科 部門名 果樹-その他-収穫 2 担当者 斎藤祐一・額田光彦・桑名篤・安達義輝・志村浩雄 3 要旨 リンゴの果実成熟は、硬度、デンプン指数及び果皮中クロロフィル含量と相関が高く、成熟を判断する指標として利 用できる。なお、「つがる」の着色や「ふじ」の蜜入りは、年により遅れることがあるため、果肉硬度やデンプン指数を指 標とし、収穫が遅れないように注意が必要である。 (1) 農業総合センター果樹研究所におけるリンゴの果実成熟について、1995~2015年のデータから生育日数との関係 について回帰分析を実施した。 (2) 硬度、デンプン指数及びクロロフィルの回帰式はバラツキが少なく、成熟状況を判断するための指標として利用で きる(図1~図3)。 (3) 「つがる」 の果皮アントシアニン含量及び「ふじ」のリンゴ酸含量は、成熟期の最低気温が高いほど少ない傾向が 認められる(データ省略)。また、「ふじ」では3~8月の平均気温が高い年は、成熟日数が長くなる(図4)。 (4) 「つがる」は収穫時の硬度が低い年があり、11ポンド未満が8ヶ年あった。本県はリンゴ産地の中では暖地に位置し ており収穫時の気温が高い場合には、デンプン指数や硬度を指標とした収穫が必要である(図5)。 (5) 「ふじ」の蜜入りは収穫指標として用いられているが、蜜入り指数2.0未満の年が7ヶ年あり、蜜が入りにくい年は、 20 デンプン指数 18 16 14 12 100 150 200 生育日数 y = -0.0004x2 + 0.174x - 14.7 R² = 0.90*** 100 14 ●3~8月の平均気温>17.6℃ ○3~8月の平均気温<17.6℃ 200 15 1 150 200 生育日数 250 18 ●3~11月平均気温>17.1℃ ○3~11月平均気温<17.1℃ 16 12 11 図5 2 図3 「ふじ」の成熟と果皮中クロロフィルの減少 ●3~8月平均気温>17.6℃ ○3~8月平均気温<17.6℃ 14 12 0 「ふじ」生育期間の平均気温と成熟日数 3 100 9 16 17 18 19 3~8月の平均気温(℃) y = 37.9e-0.016x R² = 0.79 4 0 10 y = 5.73x + 102.9 R² = 0.389*** 5 250 13 210 190 150 200 生育日数 図2 「ふじ」の成熟とデンプンの減少 硬度(lbs) 成熟日数 220 10 2 4 6 8 アントシアニン含量(μg/cm2) 1 「つがる」 のアントシアニン含量と硬度 図6 2 3 蜜入り指数 4 「ふじ」の蜜入り指数と硬度 成果を得た課題名 (1) 研究期間 平成23年度~27年度 5 2 250 図1 「ふじ」の成熟と硬度の低下 4 3 1 10 図4 4 硬度(lbs) 硬度(lbs) 5 y = 0.0008x2 - 0.351x + 51.8 R² = 0.89*** クロロフィル(μg/cm2) 果肉硬度や食味を指標とした収穫が必要である(図6)。 (2) 研究課題名 発育予測技術の構築 (3) 参考となる成果の区分(指導参考) 主な参考文献・資料 富山県におけるリンゴ「ふじ」の蜜入り果の発生消長とその要因(富山県農技セ研報24.17-20(2007))
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