12. 学生の健康に関する悩みや不安にこたえて(PDF:739KB/2頁)

12 学生の健康に関する悩みや不安にこたえて 大学生協共済連では、学生総合共済の加入者の健康に関する相談や心の悩みにこたえるために『学
生生活無料健康相談テレホン』を設置しています。この1年間(2014年10月〜 2015年9月)
からだの 健 康 相 談
●からだの健康相談件数の動き
この1年の件数を平均すると、52.8件/月となります。
昨年度の43.4件/月と比べ、
月間9.4件相談件数が増加しています。
年間通じて、日頃気になっている健康に関する不安や、けがや病気の
際の対処法、受診の判断に迷った時に、気軽にいつでも相談できる、無料
の電話相談窓口として広く利用されていると考えられます。
月別の推移は下記の通りです。
学生の健康に関する悩みや不安にこたえて
12
100
68
0
41
40
40
10月
11月
12月
1月
66
48
50
2月
3月
4月
62
5月
70
53
6月
51
7月
8月
45
9月
●相談者の利用状況
今年度の男女別利用比率を見ると、男性33.0%:女性67.0%となっ
ており、昨年(男性24.0%:女性76.0%)
と比べ、男性の利用率が増加
し、女性の利用率が減少しました。
利用者の続柄別では、
ご本人からの相談が59.6%、親御さんからの
相談は38.6%となっており、昨年(本人50.0%:親御さん46.1%)
と比
べて親御さんからの相談が7.5ポイント減少しています。
ご本人からの相談の性別比は男性48.1%:女性51.9%となってお
り、昨年(男性35.0%:女性65.0%)
と比べ、全体比率同様こちらも男性
の割合が大きく増加しています。
新規利用と再利用の状況はそれぞれ69.6%と30.4%で、新規利用
は昨年(59.1%)から10.5ポイント増加し、その分再利用率が昨年
(40.9%)
に比べ減少しています。
学年別では3年生、1年生と4年生の利用率がそれぞれ18.6%、
18.5%、18.3%でほぼ並んでおり、次いで2年生の16.6%となってい
ます。昨年利用率が25.1%と高かった3年生は、女子からの相談が減少
傾向で、男女合計でも昨年より6.5ポイント減少しています。
住居状況については、一人暮らしの利用比率は57.6%となっており、
昨年(61.6%)
に比べ、4.0ポイントとやや減少しています。
●時間帯別の利用状況
10時台の利用が最も多く全体の6.5%を占めています。次いで11時
台、21〜22時台と16時台で、それぞれが全体の約6%となっていま
す。時間帯で見た場合、10時〜11時台は全体の12.6%で、そのうち親
御さんからの相談が過半数を占めています。21時〜22時台は全体の
12.0%を占め、本人からの相談が多くなっています。自宅に帰り一息つ
いたところで相談されている様子がうかがえます。
●相談内容
『 病気、ケガ等の疑問や不安(日常的な範囲)』が最も多く、全体の
46.2%を占めています。これは、昨年度(37.8%)
と比べ、8.4ポイント
増加しています。ついで、
『 病気、
ケガ等の疑問や不安(受診中・受診後)』
が25.9%となり、昨年(29.6%)
と比べ、3.7ポイント減少しています。
これらを合計すると、全体の相談件数の72.1%となり、昨年(67.4%)
に比べ4.7ポイント増加しています。
相談内容は多岐にわたる相談が寄せられました。これらから、
自身や家
族のこころと体の健康への関心の高さがうかがえます。また、急なけがや
病気になった時の受診の目安や応急処置、医療機関へのかかり方など、
電話による専門的かつ個別の具体的なアドバイスを求めていることがわ
かります。
また、
『 心の悩み』
については、昨年度は2.9%、今年度は3.2%と大き
な変化はなく、
全体で占める割合も大きくはありませんが、
身体症状の表
出は精神症状が起因するものもあることが推察され、
その意味で「からだ
の相談」
と
「こころの相談」をセットにしている
「学生生活無料健康相談テ
レホン」は学生生活サポートの一助になっていることが考えられます。
●学年別相談傾向
1年生は、男性からの相談の多い傾向にありました。今年度は事故に
関する相談が多くありました。交通事故直後の相談や、事故後整形外科
に通院する中での相談、初めての一人暮らしの中、不慣れな調理中のけ
がから、環境の変化に起因する心身の不調まで、多岐にわたる内容でし
た。
2年生は、交通事故や部活動、
アルバイト先での事故、一人暮らしの食
生活の改善など、生活環境の拡大による事故や体調の不安、健康維持、
改善に関する相談が多く見受けられました。
12
2015 ANNUAL REPORT
3年生は、女性からの相談が昨年度比67%と減少、男性からの相談が前
年度の3倍の件数入りました。内容としては、治療中のさまざまな疾患のつ
らい症状についての相談が多くみられました。
4年生は、海外留学後の体調不良や、今抱えている心身の不調、睡眠時
間の調整の相談など、社会生活に向けての相談が多く見受けられました。
大学院生は、対人関係の悩みや、睡眠障害、慢性疾患を抱えながら勉学
する方の相談が入りました。
親御さんからの相談は、1年生男性、2年生女性の母親からお子さんの体
調を気遣う相談が多くみられました。またその他には、
高校生で共済に加入
している方からの相談や、親御さんご自身や配偶者の健診結果にかかわる
相談や医療相談、祖父母の介護や健康についてなどさまざまな相談が多く
入りました。
相談者の声
<日常的な範囲内で病気やケガ等の疑問や不安>
●幼い頃そばアレルギーがあったが、最近アレルギー検査をしたところ
陰性だった。今日そばを食べたら蕁麻疹が出てしまった。どう対応した
らよいか。
(1年18歳男性)
●1時間前に電子レンジでお惣菜を温めたらプラスティックの容器が溶
けた。換気はしたが、溶けた時の臭いをかいでしまった。体に悪影響
はないか。
(1年18歳女性)
<受診中または受診後の病気やケガ等の疑問や不安>
●片頭痛で薬を内服している。試験があるので本人は飲み続けたいと
いっているが、半年以上の長期内服になるのが心配。飲み続けても
大丈夫か。
(2年20歳女性の母親)
●数日前から咽喉の痛み、咳、微熱があり近医で漢方薬を処方されて
飲んでいる。今、頭痛があり辛いため、市販の鎮痛剤を飲みたいが、
飲み合わせは問題ないか。
(4年23歳女性)
<健康づくり(食生活、運動、健診、予防接種)>
●大学入学前はスポーツをしていて体型を気にすることは全くなかった
が、一人暮らしを始めて不規則な生活になり太ってきた。どのようにし
たら体型を元に戻せるか。
(1年19歳女性)
<性に関すること
(性病・生理・セックスなどを含む)、妊娠・出産>
●月経の予定が2〜7日後であるが乳房が張る。妊娠の可能性がある
のか。いつも妊娠が不安で仕方がないが、避妊手術についても教え
てほしい。
(1年27歳女性)
<心の悩み>
●ストレスが溜まるとつい飲酒してしまう。アルコール依存症になるので
はと心配だが、飲むのを止められない。どうしたら止められるか。
(院2年27歳女性)
●精神科に通院中。
数年前から女性になりたいという気持ちが出てきた。
性同一性障害かもしれない。性的に葛藤があり悩んでいる。周囲の
理解はあるがどう考えたらよいか。
(院1年26歳男性)
●薬学部を希望して入学したが、思ったように成績が伸びず、気分転換
もうまくできない。自分には適性がないのではないかと悩んでいるが、
どうしたらよいか。
(1年19歳女性)
<医療機関、施設等の案内>
●息子が腹痛で受診したところ、大腸内視鏡の検査を勧められた。大
腸内視鏡検査ができる病院を知りたい。
(3年21歳男性の母親)
●最近引っ越したばかりで病院がどこにあるのかわからない。元々喘息
の既往があるが、風邪をひいてしまった。風邪をひくと喘息がひどくな
ることが多いので、喘息も診てもらえる医療機関を案内してほしい。
(院1年22歳女性)
●ボールが目に当たり、視野の中に虫のようなものが飛んで見える。見
えづらさもあるので、すぐ受診できる眼科を教えてほしい。
(1年18歳男性)
※個人が特定される可能性のある相談について、一部修正を加えてあります。
〜学生生活無料健康相談テレホンの報告
携帯電話からもかけられます。
年中無休 24時間365日
の相談件数は、からだの健康相談が634件、こころの健康相談が864件、計1,498件となりました。こころの
健康相談は全体の57.7%で、相談に占める割合が高い状態が続いています。
「学生生活無料健康相談テレホン からだとこころの健康相談2015年度報告書」より
こころの 健 康 相 談
●こころの健康相談件数の動き
この一年の件数を平均すると、72.0件/月となります。
昨年度の79.6件/月と比べ、相談件数が90.5%となっています。
男性の学生の利用数が前年比の78.4%となっています。例年は夏休みシー
ズンである8月〜9月が一年を通して一番相談件数の少ない時期でしたが、今年
は昨年度と比較し8月〜9月の相談件数が20.9%増加しました。
月別の推移は下記の通りです。
200
0
67
10月
54
56
11月
12月
66
57
1月
2月
72
77
73
3月
4月
5月
90
96
6月
7月
82
74
8月
9月
●相談者の利用状況
今年度の男女別利用比率を見ると、男性34.1%:女性65.9%となります。昨
年度と同様、女性の利用率が6割を占めています。
利用者の続柄別では、ご本人からの相談が80.9%、親御さんからの相談は
18.5%です。全体として相談件数は減少しましたが、親御さんからのご相談が昨
年比で4.8ポイント増えています。特にうつ病、発達障害、統合失調症の子どもに
対して、親としてどのように接していけばよいかという相談が目立ちました。
新規利用と再利用の状況は、それぞれ26.7%と73.3%となっており、昨年度
に対し、新規利用の比率が9.6ポイント増えています。
学年別では、年々、高学年の相談が増加しています。4年生と大学院生の利用
率が22.1%と22.2%となり、ほぼ同数でした。大学に入り直したり、留年したと
いった20代後半以降の学生から多くのご相談があります。
住居状況については、一人暮らしが79.1%:家族と同居は19.1%となってい
ます。家庭の財務事情から自宅通いが多くなっていると一般的に言われています
が、昨年度に対し、一人暮らしの比率が6.7ポイント増加しています。
●時間帯別の利用状況
時間帯別の利用状況を見ると、夜20時〜0時の時間帯が多く、夜の23時台の
件数が最も多くなっています。適応障害で現実の世界では人間関係をうまく構築
することができないが、電話では話しやすいと夜中にかけてくる相談者もいます。
今年度は、親御さんが一人暮らしの学生に窓口利用をすすめているケースも
ありました。また、学生が眠られてから親御さん自身のこころや職場の悩みのご
相談も複数みられました。
●相談内容
昨年度と同様、ご本人が抱えている精神障害(発達障害、統合失調症、適応障
害、ADHD、アスペルガー症候群など)により日常生活や学業に影響を与えてい
るケースが多く見られます。
昨年度に引き続き、今年度も一人暮らしの子どもとのコミュニケーションの取
り方についての親御さんの相談が多くみられました。例えば、一人暮らしでうつ状
態となったご本人に対して、詮索もしにくいが、放っておくこともできないのでど
うしたらよいかというような相談です。とりわけ、母子家庭での母親からの相談が
多いことは特徴的です。
大学に入りなおしたものの、世代のギャップを感じて孤独感を癒すために毎日
のように利用されることもあります。デイケアに通い、相談、頼ること、断ることが
大切と習ったので、この窓口を使って相談の練習をしているという相談者もい
らっしゃいます。研究が忙しくて、家に帰ってくるとさみしくて電話をしてしまう、個
人的な悩みについて、両親にも友人にも大学のカウンセリングルームにも相談で
きないと電話相談を利用されるケースもあります。年間を通して毎週のように電
話をかけてこられる相談者がいらっしゃり、一校で年間100件を超えるケースも
ありました。
ポツポツとお話しされる相談者もいますが、なかには怒鳴りわめきながら攻撃
的な口調で相談する相談者もいらっしゃいます。相談員は「死にたい」という思い
も否定せずありのままを受け止めることで、相談者が辛い気持ちを安心して言葉
にできるよう心掛けています。ある有名な精神科医は、自殺を防ぐには内面にこ
もっている怒りを吐き出させることが大切だと言っているそうです。
●学年別相談傾向
1年生は、一人暮らしを始めたものの、食生活面の管理ができず過食嘔吐や摂
食障害でご相談いただくケースがみられました。
2年生、3年生は、学生生活自体には余裕が出てきますが、サークル、アルバイ
ト先などで人間関係がうまくいかなくなり、社会に出てどうなるのだろうと漠然と
不安を感じているようです。恋愛についてのご相談も多くみられます。
4年生は、卒論や大学院入試のプレッシャーを感じているとの訴え、いざ就職
活動を始めようとしたところ、人前で話すことや、人と話すことが苦手で不安だと
いうケースがありました。何らかの事情で、留年や休学した相談者については、そ
の傾向が強いようです。
大学院生は、研究室という狭い世界の人間関係のトラブルで悩む姿が見受け
られました。過酷な環境で体調を崩してしまう相談者や、就職活動で追い詰めら
相談者の声
<身体症状の悩み>
●娘は、
大学入学を機に一人暮らしを始めた。
当初から過食気味であったが、
ここ
数ヵ月のうちに過食して吐くようになったと言っている。
見た目の変化はなく、
体
重が増えたわけでもないのに、
「体重が増えた」
「減らさなきゃ」と言っている。
対人関係でストレスがあるようだ。
どうしたらよいのか分からず心配している。
(1年19歳女性の母親)
●自分で対処できないことが起きるとパニックに陥り、
その感情が自分の身体に
向かってしまう。
頭を殴ったり、
髪の毛をかきむしったり、
鋏などで何度も自分の
太ももを傷つけたりしてしまう。
(3年20歳女性)
<精神症状の悩み>
●ご飯を食べられない。
帰省時に実家にいる間は食事をすることができる。
大学
に戻ると1日1個のパンも食べられない。
一人で家にいると変な声が聞こえるの
で、
できるだけ遅くまで大学の図書館にいる。
(1年19歳女性)
●息子が大学の前から泣きながら電話をしてきた。
5月の連休の頃から、
研究室
の教授とうまくいっておらず、
何度も強い叱責を受けているようだ。
そのため、
何
も手につかなくなり、
無気力になっている。
(4年22歳男性の母親)
●息子が部活の試合で一度負けてしまってから、
うつ状態になっている。
辞めてし
まいたいという気持ちもあるようなのだが、
今までお世話になっているので辞
められないとも言っている。
眠れず、
外出できないことや、
食欲がなく吐いてしま
うこともあり、
何か叫んで急に泣き出すこともある。
(2年20歳男性の母親)
<人間関係の悩み>
●院の先輩と飲んでいた時に、
アルバイトでしている家庭教師の仕事について批
判された。
相談者がアルバイトをすることで実験に支障をきたしている、
人に教
えることで優越を感じたいだけだと指摘された。
(院1年24歳男性)
●担当教授とうまくいっておらず、
会うと眩暈がしてしまうくらい体調に影響が出
ている。
教授は、
アイディアが浮かぶと即予定を変更し実行していくタイプだが、
自分は時に石橋を叩いて渡らないタイプなので、
正反対すぎてついていけな
い。
そのため、
現在は学校にも行けていない。
(院3年29歳女性)
●ある程度、
友だちと仲良くなると、
お互いをけなすようなブラックジョークを言う
ようになるが、
それに対応できない。
真面目でつまらない奴と思われるのも、
いじ
られるキャラになるのも、
どちらも嫌だ。
(1年18歳男性)
<学業・進路の悩み>
●試験を前にするとプレッシャーで、
過食嘔吐が止まらなくなる。
就職活動がうま
くいかない。
やっと決まった内定先も希望とは少し異なる分野で、
その業種で働
いていくための試験を受けなければならない。
(4年22歳女性)
●息子が自宅に引きこもって不登校状態なので、
どう対応したらよいのか相談し
たい。
入学当初から登校せず、
履修登録もしていなかったため、
大学側から自宅
訪問があった。
本人の安否確認も取れない状況が続き、
単位取得が難しくなっ
たので、
現在は実家で静養をしている。
(1年20歳男性の母親)
.
●息子は、
就職先に内定していたのに、
単位不足で卒業できず、
就職浪人した。
2
年生の終わりに寮を出てからパチンコにはまり、
就職せずパチンコで生計を立
てると言っている。
(4年23歳男性の母親)
<その他の悩み>
●今までの過去の自分が嫌いすぎて、
どう対処したらよいかわからない。
実家は
自分の可能性を妨げる可能性が高い環境なので、
大学入学と同時に一人暮ら
しを始めた。
母親の機嫌を取りながら自分の意思を持たずにひっそりと過ごし
てきた。
(2年19歳女性)
●他人に対する苦手意識が大きい。
そんな自分を変えないといけないと、
外向的
になろうと頑張った。
最近、
慣れてきて相手に受け入れられているなと嬉しく思
う反面、
やっぱり自分には無理だと感じる。
相手に受け入れられず、
沈黙が続くこ
とが怖い。
そのような自分が嫌で苦しい。
(2年19歳女性)
●体調を崩しているはずの娘と連絡が取れない。
学校とアルバイトに忙しくして
いるので、
メールの返信が早い子ではないのだが、
あまりにも連絡がこないと、
どうかしたのではないかと不安になってしまう。
(4年22歳女性の母親)
12
学生の健康に関する悩みや不安にこたえて 100
れて無意識のうちに涙が出てしまうというケースです。アカデミックハラスメント対
策は喫緊の課題だと考えられます。
SNSやLINEが隆盛している昨今ですが、一人ひとりに肉声で応えることで、人
の温かさを感じていただけているのではないかと考えています。それは、複数回の
相談者が多いことからもうかがえます。
※個人が特定される可能性のある相談について、
一部修正を加えてあります。
2015 ANNUAL REPORT
13